説明

自動製パン器

【課題】調理性能に優れ、かつ食材投入の準備がし易い自動製パン器を提供する。
【解決手段】ヒータ3を有する焼成室2内に設置されるパン焼き型5と、メニュー選択等を入力する操作部10と、各種情報を音声で報知する音声報知部12と、室温を検知する室温検知部13とを備え、各メニューは室温に応じた複数の製パン工程を有し、製パン工程内に、食材を投入する材料投入工程と、パン生地の発酵を行う発酵工程と、運転開始から所定時間経過後に室温検知部13で検知された室温に応じて最適な製パン工程を決定する室温判定を含み、製パン工程決定後、材料投入工程の時期を算出し、それを、所定のタイミングで音声報知部12で報知するもので、所定時間発酵工程に近い時点で室温判定することで、最適な製パン工程が決定でき、また、使用者は音声報知部12からの音声が届く距離内に居れば、材料投入の時期を知ることができるので、食材の準備が容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭で使用する自動製パン器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の、レーズン、くるみ等の食材を使用者が調理中に投入できるようにした自動製パン器においては、投入すべきタイミングになるとブザー等を動作させて、使用者に食材を投入する旨を知らせていた。また、室温に応じた複数の製パン工程を有し、調理開始直後の室温から製パン工程の1つを選択し、その製パン工程における食材投入までの正確な時間を算出し、その時間を液晶表示装置に表示することで、調理開始時に使用者に食材投入のタイミングを知らせるようにした自動製パン器があった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図12は、上記特許文献1に記載された食材投入のタイミングを調理開始時に知らせる機能を持つ自動製パン器の全体構成図である。
【0004】
図12において、本体21内には、焼成室22があり、この焼成室22内には加熱を行うヒータ23が取り付けられている。また、焼成室22内には、着脱自在に装着されたパン焼き型24もあり、ヒータ23の通電によってパン焼き型24を加熱する。モータ25は動力をベルト26を介して、パン焼き型24内底部の練り羽根27の駆動を行いパン生地を練り上げる。調理中には、サーミスタ28を含む温度検知手段32がパン生地温度を検知し、制御手段29に伝える。制御手段29で検知温度が所定の調理制御温度より低い場合には、加熱制御手段30よりヒータ23への通電を行う。また、制御手段29が測定している時間が所定時間経過するとモータ制御手段31によりモータ25への通電を行い練りあるいはガス抜き工程を行う。制御手段29は、入力手段33からの入力に基づいて、表示手段34や報知手段35を利用して、食材投入までの残時間表示や食パンの出来上がりまでの残時間表示、調理終了報知や食材投入報知を行う。
【特許文献1】国際公開第01/000072号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の自動製パン器の構成は、調理開始直後の室温から複数の製パン工程の1つを選択することで食材投入までの時間を算出している。複数の製パン工程を持つ理由は、製パン工程において、室温の影響を最も受けるのは発酵工程であり、室温が高い時には過発酵になりやすいので発酵工程の時間を短く、反対に室温が低い時には発酵不足になり易いので発酵工程の時間を長くした製パン工程が必要になる為である。しかし従来の自動製パン器のように、室温から製パン工程を選択するタイミングが、調理開始時に設定されていると、タイマー調理や、調理開始から発酵工程までの時間が長いメニューの場合には、調理開始時と発酵工程での室温差が大きくなる場合があり、最適な製パン工程が選択できずパンの出来が良くない場合があった。その為、より正確な室温判定をするならば発酵工程の近くで行う必要があるが、発酵工程の近くで室温判定をして最適な製パン工程を選択する場合、それまでは食材投入の時間が確定しない為、食材投入時刻の表示もできず、使用者には食材投入のタイミングが分からないという課題があった。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、正確に室温判定を行い最適な調理性能を確保しつつ、使用者にとって食材投入の準備もし易い使い勝手の良い自動製パン器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の自動製パン器は、加熱部を有する焼成室と、前記焼成室内に設置され底部に練り羽根を有するパン焼き型と、メニュー選択や調理条件等各種の指示を入力する操作部と、選択されたメニュー等を表示する表示部と、各種情報を音声で報知する音声報知部と、室温を検知する室温検知部とを備え、各メニューは前記室温に応じた複数の製パン工程を有し、前記製パン工程内にレーズン、くるみ等の食材を使用者自ら投入を行う材料投入工程と、パン生地の発酵を行う発酵工程と、運転開始から所定時間経過後に前記室温検知部で検知された室温に応じて最適な製パン工程を決定する室温判定を含み、前記製パン工程決定後、前記材料投入工程の時期を算出し、所定のタイミングで前記音声報知部で材料投入時期を報知するようにしたもので、製パン工程を決定する室温判定を、運転開始から所定時間経過後、すなわち発酵工程に近い時点で行うことにより、より最適な製パン工程が決定できると共に、使用者は音声報知部からの音声が届く距離内に居れば、材料投入の時期を確実に知ることができるので、使用者は、自動製パン器の側に継続して居なくても良く、また、他の作業を行っていても食材投入のタイミングを逃すことがなく、食材の準備も容易になる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自動製パン器は、最適な調理性能を確保しつつ、材料投入の時間が決まると、音声でそれを知らせるので使用者は自動製パン器の側に継続していなくても、また、他の作業を行っていても食材投入のタイミングを知ることができ、食材の準備も容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、加熱部を有する焼成室と、前記焼成室内に設置され底部に練り羽根を有するパン焼き型と、メニュー選択や調理条件等各種の指示を入力する操作部と、選択されたメニュー等を表示する表示部と、各種情報を音声で報知する音声報知部と、室温を検知する室温検知部とを備え、各メニューは前記室温に応じた複数の製パン工程を有し、前記製パン工程内にレーズン、くるみ等の食材を使用者自ら投入を行う材料投入工程と、パン生地の発酵を行う発酵工程と、運転開始から所定時間経過後に前記室温検知部で検知された室温に応じて最適な製パン工程を決定する室温判定を含み、前記製パン工程決定後、前記材料投入工程の時期を算出し、所定のタイミングで前記音声報知部で材料投入時期を報知するようにしたもので、製パン工程を決定する室温判定を、運転開始から所定時間経過後、すなわち発酵工程に近い時点で行うことにより、より最適な製パン工程が決定できると共に、使用者は音声報知部からの音声が届く距離内に居れば、材料投入の時期を確実に知ることができるので、使用者は、自動製パン器の側に継続して居なくても良く、また、他の作業を行っていても食材投入のタイミングを逃すことが無く、食材の準備も容易になる。
【0010】
第2の発明は、特に、第1の発明の材料投入時期を、残時間で報知するようにしたもので、使用者は、残り時間から投入する食材の準備のタイミングが計りやすい。
【0011】
第3の発明は、特に、第1の発明の材料投入時期を、時刻で報知するようにしたもので、使用者は、家庭内の時計等を参考に、食材投入のタイミングが計りやすく使い勝手が良い。
【0012】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明の音声報知部で材料投入時期を報知する所定のタイミングを、室温判定で製パン工程が決定し、材料投入工程までの時間が算出されたタイミングとしたもので、使用者は、調理開始から一番早いタイミングで材料投入の時期を知ることができ、使い勝手が良い。
【0013】
第5の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明の音声報知部で材料投入時期を報知する所定のタイミングを、室温判定で製パン工程が決定し、材料投入工程までの時間が算出されたタイミングから前記材料投入工程が開始するまでの間で、かつ、予め実験等で決められた、投入用食材の準備を開始するのに適したタイミングとしたもので、材料投入の時間を知ると同時に、使用者は、その報知を合図に、投入する食材の準備に取り掛かることができ、使い勝手が良い。
【0014】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか一つの発明の音声報知部が報知する所定のタイミングを、室温判定で製パン工程が決定し、材料投入工程までの時間が算出されたタイミングから材料投入工程が開始するまでの間に複数回設けたもので、使用者が材料投入の時期を聞き逃すことを防ぐことができ、使い勝手がよい。
【0015】
第7の発明は、特に、第1〜6のいずれか一つの発明の操作部からの操作により、音声報知部の動作、停止を選択できるようにしたもので、夜間等音声報知をしたくない時は音声報知を停止できるので、機能の幅が広がり使い勝手が良い。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
以下に、本発明の第1の実施の形態における自動製パン器について図1〜7を用いて説明する。図1は、本実施の形態における自動製パン器の全体構成図である。
【0018】
図1において、本体1は、本実施の形態における自動製パン器の外郭を示すものであり、この本体1の内部にパンを焼成する焼成室2を設けている。そして、焼成室2には焼成室2を加熱する加熱部であるヒータ3と、パン生地を練る練り羽根4を有するパン焼き型5を設けている。練り羽根4はモータ6により駆動され、焼成室2には焼成室2内の温度を検知するサーミスタで構成された温度検知部7、イースト菌を投入するイースト投入装置8とを設けている。
【0019】
商用電源9は、本体1に電源を供給するものであり、その他に本体1には、調理メニューの選択等調理条件の入力や調理の開始等の操作を行う操作部10と、選択されたメニュー及びでき上がり時間等の各種情報を表示する液晶で構成された表示部11と、同じく各種情報を音声によって報知する音声報知部12が設けられている。
【0020】
音声報知部12は、予め記録された音声データを信号として出力する音声IC12aと、音声IC12aから出力される音声信号を増幅する増幅器12bと、増幅された音声信号を報知するスピーカー12cで構成されている。
【0021】
本体1は、さらに、室温を検知するサーミスタで構成された室温検知部13と、温度検知部7、室温検知部13、操作部10からの信号を受けてヒータ3やモータ6、イースト投入装置8、表示部11、音声報知部12を選択されたメニューと室温に応じて、予め記憶された製パン工程に従って制御するマイクロコンピュータ14を備えている。
【0022】
また、マイクロコンピュータ14には、使用者が操作部10により製パン工程途中でレーズン、クルミ等の食材(図示せず)の投入ありを選択すると、食材の製パン工程の途中にある使用者による食材の投入工程のタイミングを、音声報知部12を用いて知らせる材料投入時間報知部14aを内蔵し、さらに、マイクロコンピュータ14には、時計機能として時間を刻む為の水晶振動子15と、商用電源9から切り離されても時計機能を維持する為の補助電源16が接続されている。
【0023】
図2は、操作部10、表示部11の詳細図であり、操作部10内には、調理するメニューを選択するメニューキー10a、現在時刻やタイマー調理ででき上がり時刻を設定する時キー10bと分キー10c、タイマー調理を設定可能な状態にする予約キー10d、加熱調理や使用者が設定したメニュー等の情報をキャンセルする切キー10e、メニューキー10aで選択したメニューの調理を開始するスタートキー10fと、製パン工程途中に使用者によるレーズン、クルミ等の食材の投入の有無を選択する材料投入キー10gを備えている。
【0024】
自動製パン器の製パン機能が停止している状態で、水晶振動子15を用いた時計機能として、現在時刻9時0分であることをマイクロコンピュータ14が表示部11に表示している。
【0025】
以上のように構成された自動製パン器について、以下その動作、作用を説明する。
【0026】
図3は、図2に示した自動製パン器の状態から、メニューキー10aにより「フランスパン」を選択し、材料投入キー10gにより調理中の「食材投入あり」を選択した場合の表示部11の表示内容を示している。
【0027】
この図3において、予めマイクロコンピュータ14に記憶されたフランスパンの製パン工程の所要時間である6時間30分が、現在時刻9時0分に加算され、フランスパンのでき上がり時刻として15時30分がマイクロコンピュータ14により表示部11に表示されている。
【0028】
図4は、本実施の形態におけるマイクロコンピュータ14に予め記憶されている各メニュー毎の製パン工程の内、使用者による材料投入工程を含むフランスパンの製パン工程を表した図である。
【0029】
この図4において、それぞれ室温に応じて、室温が28℃以上であれば高温プロセス、20℃以上28℃未満であれば中温プロセス、20℃未満であれば低温プロセスの製パン工程が動作するようになっている。
【0030】
室温毎に製パン工程を分けているのは室温によるパンのできにもっとも影響がある発酵工程の時間を調整するためであり、過発酵になりやすい高温プロセスでは、第1発酵、第2発酵、成形発酵の時間を短く、反対に発酵不足になりやすい低温プロセスでは、発酵の時間を長くしており、それに伴い全ての製パン工程の時間を一定にするため、ねかし時間で調整している。
【0031】
これによりレーズン、くるみ等の食材を使用者自ら投入を行う材料投入工程の時間も各プロセスに応じて変わってくる。その為、室温の判断は精度を上げるため、発酵にできるだけ近くかつ、調理開始から同じタイミングで行うよう、ねかし1の工程が始まる直前に行われ、それまでは全ての室温に共通の練り羽根4をモータ6で駆動してパン焼き型5内の材料を混ぜる練り工程が所定時間、本実施の形態では15分間行われる。
【0032】
図5は、図3の状態から、スタートスイッチ10fをオンして、パンの調理工程を始めた直後の表示部11の詳細図であり、調理中であることを表示している。調理開始から15分が経過して、練り工程が終わると、マイクロコンピュータ15は、記憶された製パン工程の練り工程の次にある室温判定として、室温検知部13によって室温を検知し、調理プロセスを決定する。
【0033】
本実施の形態においては、室温25℃で中温プロセスを選択する。材料投入時間報知部14aは室温判定で中温プロセスが決定されると、室温判定から材料投入工程までの残時間として、中温プロセスのねかし1工程が45分、ねかし2工程が30分を加算して1時間15分を求め、求めた残時間1時間15分を材料投入工程までの時間として、音声報知部12内の音声IC12aに出力する。音声IC12aは、材料投入時間報知部14aから受け取った材料投入工程までの残時間1時間15分を、音声信号として増幅器12bを介してスピーカー12cに出力する。
【0034】
図6は、本実施の形態における材料投入時間報知部14aの動作を表したものであり、自動製パン器の本体1内にあるスピーカー12cより音声にて、「今から、材料投入まで1時間15分」である旨を報知している。
【0035】
図7は、本実施の形態において、材料投入までの1時間15分が経過して、材料投入工程に入った時の表示部11の詳細図であり、マイクロコンピュータ14は、音声報知部12を駆動して材料投入を行う旨を音声で報知して、使用者に材料投入のタイミングであることを知らせるとともに、表示部11にて材料投入工程の3分間、「材料投入」の文字を点滅表示するようにしている。
【0036】
使用者は、この材料投入工程中に、パン焼き型5内に、予め用意したレーズンまたはクルミ等の食材を投入する。
【0037】
以上のように本実施の形態によれば、メニュー選択や調理条件等各種の指示を入力する操作部10と、メニュー等各種情報を表示する表示部11と、同じく各種情報を音声によって報知する音声報知部12と、室温を検知する室温検知部13と、室温に応じた複数の製パン工程を有し、製パン工程内にはレーズン、くるみ等の食材を使用者自ら投入を行う材料投入工程と、パン生地の発酵を行う発酵工程を含み、調理運転開始から所定時間経過後、室温検知部13により室温判定をして最適な製パン工程を決定することを特徴とし、製パン工程決定直後、材料投入工程までの残時間を求め、音声報知部12から音声によって材料投入までの残時間を報知する材料投入時間報知部14aを設けたことにより、自動製パン器として最適な室温判定をおこないつつ、使用者は自動製パン器の音声報知部12から音声の届く距離に居さえすれば、材料投入の時間を知ることができるので、使用者は自動製パン器の側に継続していなくても、また、他の作業を行っていても食材投入のタイミングを確実に知ることができ、食材の準備も容易になる。
【0038】
また、材料投入の時間は、残時間で行うため残り時間から投入する食材準備のタイミングが計りやすい。また、室温判定で製パン工程が決定し、材料投入工程までの時間が求められたタイミングで材料投入の時間を報知することにより、使用者は調理開始から一番早いタイミングで、材料投入の時間を知ることができ、使い勝手が良い。
【0039】
なお、本実施の形態では、フランスパンの製パン工程の中温プロセスを用いたが、その他のメニューの材料投入工程を有する各プロセスを用いても、何ら効果に変わりはない。
【0040】
また、本実施の形態において、より温度検知の精度を高める為、温度検知部7と室温検知部13を別々に備えたが、コスト優先で温度検知部を1つにまとめて室温と焼成室2内の両方の温度を検知するようにしても、材料投入の時間を報知するという効果に変わりはない。
【0041】
なお本実施の形態では、フランスパンの製パン工程の特徴と、どのような室温でも一定時間で調理工程を終える自動製パン器の特性上、調理開始から一番発酵工程の近くで行う室温判定のタイミングが、発酵工程に対して多少早めになっているが、もちろん調理開始時に室温判定を行うよりも、パンの出来に良い効果があるのは明らかである。また、製パン工程を見直すことで、室温判定を発酵工程により近づけることでもできる。
【0042】
(実施の形態2)
図8は、本発明の第2の実施の形態における自動製パン器の動作状態を示す図である。なお、上記第1の実施の形態と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0043】
上記第1の実施の形態では、材料投入時期を残時間で報知するようにしたが、本実施の形態は、材料投入時期を時刻で放置するようにしたもので、他の構成は、上記第1の実施の形態と同じである。
【0044】
材料投入時間報知部14aは、室温判定で中温プロセスが決定されると、室温判定から材料投入工程までの残時間として、中温プロセスのねかし1工程が45分、ねかし2工程が30分を加算して1時間15分を求める。室温判定は調理開始時刻の9時から、練り工程時間15分が経過した時点で行われるため、現在時刻の9時15分に求めた残時間1時間15分をプラスして時刻10時30分を材料投入の時刻として、音声報知部12内の音声IC12aに出力する。音声IC12aは、材料投入時間報知部14aから受け取った材料投入工程の時間10時30分を、音声信号として増幅器12bを介してスピーカー12cに出力する。
【0045】
図8は、本実施の形態における自動製パン器の材料投入時間報知部14aの動作を表したものであり、自動製パン器の本体1内にあるスピーカー12cより音声にて、材料投入の時刻として「10時30分」を報知している。
【0046】
以上のように本実施の形態によれば、材料投入時間報知部14aが報知する材料投入のタイミングを時刻によって行うことにより、使用者は材料投入のタイミングを家庭内にある時計等を参考に計ることができ、使い勝手が良い。
【0047】
(実施の形態3)
図9は、本発明の第3の実施の形態における自動製パン器の動作状態を示す図である。なお、上記第1の実施の形態と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0048】
本実施の形態は、材料投入工程で投入する材料の準備を開始するのに適した時期に投入時期を報知するようにしたもので、他の構成は、上記第1の実施の形態と同じである。
【0049】
材料投入時間報知部14aは、室温判定で中温プロセスが決定されると、室温判定から材料投入工程までの残時間として、中温プロセスのねかし1工程が45分、ねかし2工程が30分を加算して1時間15分を求める。そしてそこから時間をカウントして残時間が1分になる1時間14分が経過するのを待つ。1時間14分が経過して材料投入までの残時間が1分になると、材料投入時間報知部14aは残時間1分を材料投入までの時間として、音声報知部12内の音声IC12aに出力する。音声IC12aは材料投入時間報知部14aから受け取った材料投入工程までの残時間1分を、音声信号として増幅器12bを介してスピーカー12cに出力する。
【0050】
図9は、本実施の形態における材料投入時間報知部14aの動作を表したものであり、自動製パン器の本体1内にあるスピーカー12cより音声にて、今から、材料投入まで1分である旨を報知するようにする。
【0051】
以上のように本実施の形態によれば、材料投入時間報知部14aは、材料投入工程開始する1分前に、材料投入の時間を報知することにより、使用者が材料投入の時間を知ると同時に、そこからレーズンやナッツ等の材料の準備を開始すると、ちょうど材料投入のタイミングになるので使用者にとって非常に使い勝手がよいものである。
【0052】
なお、本実施の形態においては、レーズンやナッツ等の準備に適した時間を1分としたが、準備する材料や実験等の結果に応じた時間に変更しても効果は同じである。
【0053】
(実施の形態4)
図10は、本発明の第4の実施の形態における自動製パン器の動作状態を示す図である。なお、上記第1の実施の形態と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0054】
本実施の形態は、材料投入工程が開始するまでの間に、材料投入時期を複数回報知するようにしたもので、他の構成は、上記第1の実施の形態と同じである。
【0055】
材料投入時間報知部14aは、室温判定で中温プロセスが決定されると、室温判定から材料投入工程までの残時間として、中温プロセスのねかし1工程の45分、ねかし2工程の30分を加算して1時間15分を求め、まず求めた残時間1時間15分を材料投入までの時間として、音声報知部12内の音声IC12aに出力する。音声IC12aは材料投入時間報知部14aから受け取った材料投入工程までの残時間1時間15分を、音声信号として増幅器12bを介してスピーカー12cに出力する。
【0056】
その後、材料投入時間報知部14aは、時間カウントを継続して、材料投入工程までの残時間が10分になると、再度残時間10分を材料投入開始までの時間として、音声報知部12内の音声IC12aに出力する。
【0057】
音声IC12aは材料投入時間報知部14aから受け取った材料投入工程までの残時間10分を、音声信号として増幅器12bを介してスピーカー12cに出力する。その後も材料投入時間報知部14aは、時間カウントを継続し、材料投入工程まで残時間が1分になると、残時間1分を材料投入開始までの時間として、音声報知部12内の音声IC12aに出力する。音声IC12aは材料投入時間報知部14aから受け取った材料投入工程までの残時間1分を、音声信号として増幅器12bを介してスピーカー12cに出力する。
【0058】
図10は、本実施の形態における材料投入時間報知部14aの動作を表したものであり、自動製パン器の本体1内にあるスピーカー12cより音声にて、まず「材料投入まで1時間15分」である旨を報知した後、時間が経過して材料投入まで残時間が10分と1分にそれぞれなった時にそれを使用者に報知するようにしている。
【0059】
以上のように本実施の形態によれば、材料投入時間報知部14aは、材料投入工程開始する1時間15分前、10分前、1分前の3回と、材料投入までの時間を複数回報知することで、使用者が材料投入の時間を聞き逃すことを防ぐことができ、使い勝手がよい。
【0060】
なお、本実施の形態では、材料投入工程開始する1時間15分前、10分前、1分前の3回時間報知したが、同じ時間を複数回報知しても、また時間間隔及び回数を変更しても、材料投入までの時間を聞き逃すことを防ぐ効果は同じである。
【0061】
(実施の形態5)
図11は、本発明の第5の実施の形態における自動製パン器の操作部と表示部の詳細図である。なお、上記第1の実施の形態と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0062】
本実施の形態は、材料投入キー10gで、調理中の食材投入あり(音声)、及び食材投入あり、なしを選択できるようにし、材料投入時間報知部14aは、材料投入キー10gで、「食材投入あり(音声)」が選択された時のみに動作するようにしたもので、材料投入キー10gにより、材料投入時間報知部14aの動作、停止を選択できるので、夜間等音を出したくない時は音声報知を停止できるので、機能の幅が広がり使い勝手がさらに向上するものである。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のように、本発明にかかる自動製パン器は、精度良く室温判定を行い調理性能を確保しつつ、食材投入の準備もし易いもので、自動製パン器に限らず室温に調理性能が影響され、調理中に食材の投入や追加を行う必要のある電気調理器等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1における自動製パン器の全体構成図
【図2】同自動製パン器の操作部と表示部の詳細図
【図3】同自動製パン器におけるフランスパンと材料投入ありを選択したときの表示部の詳細図
【図4】(a)同自動製パン器におけるフランスパンの製パン工程図(高温プロセス)(b)同フランスパンの製パン工程図(中温プロセス)(c)同フランスパンの製パン工程図(低温プロセス)
【図5】同自動製パン器における調理開始時の表示部の詳細図
【図6】同自動製パン器における投入時間出力部の動作図
【図7】同自動製パン器における材料投入工程中の表示部の詳細図
【図8】本発明の実施の形態2における自動製パン器の動作状態を示す図
【図9】本発明の実施の形態3における自動製パン器の動作状態を示す図
【図10】(a)〜(c)本発明の実施の形態4における自動製パン器の動作状態を示す図
【図11】本発明の実施の形態5における自動製パン器の操作部と表示部の詳細図
【図12】従来の自動製パン器の全体構成図
【符号の説明】
【0065】
1 本体
2 焼成室
3 ヒータ(加熱部)
4 練り羽根
5 パン焼き型
7 温度検知部
10 操作部
11 表示部
12 音声報知部
13 室温検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部を有する焼成室と、前記焼成室内に設置され底部に練り羽根を有するパン焼き型と、メニュー選択や調理条件等各種の指示を入力する操作部と、選択されたメニュー等を表示する表示部と、各種情報を音声で報知する音声報知部と、室温を検知する室温検知部とを備え、各メニューは前記室温に応じた複数の製パン工程を有し、前記製パン工程内にレーズン、くるみ等の食材を使用者自ら投入を行う材料投入工程と、パン生地の発酵を行う発酵工程と、運転開始から所定時間経過後に前記室温検知部で検知された室温に応じて最適な製パン工程を決定する室温判定を含み、前記製パン工程決定後、前記材料投入工程の時期を算出し、所定のタイミングで前記音声報知部で材料投入時期を報知するようにした自動製パン器。
【請求項2】
材料投入時期を、残時間で報知するようにした請求項1に記載の自動製パン器。
【請求項3】
材料投入時期を、時刻で報知するようにした請求項1に記載の自動製パン器。
【請求項4】
音声報知部で材料投入時期を報知する所定のタイミングを、室温判定で製パン工程が決定し、材料投入工程までの時間が算出されたタイミングとした請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動製パン器。
【請求項5】
音声報知部で材料投入時期を報知する所定のタイミングを、室温判定で製パン工程が決定し、材料投入工程までの時間が算出されたタイミングから前記材料投入工程が開始するまでの間で、かつ、予め実験等で決められた、投入用食材の準備を開始するのに適したタイミングとした請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動製パン器。
【請求項6】
音声報知部が報知する所定のタイミングを、室温判定で製パン工程が決定し、材料投入工程までの時間が算出されたタイミングから材料投入工程が開始するまでの間に複数回設けた請求項1〜5項のいずれか1項に記載の自動製パン器。
【請求項7】
操作部からの操作により、音声報知部の動作、停止を選択できるようにした請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動製パン器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−117241(P2007−117241A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−310763(P2005−310763)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】