説明

自動調圧式炭酸ガス圧力調整器

【課題】ビール樽からビールを注出するサーバシステムの、供給炭酸ガス圧力をビール温度、または、ビール樽温度に応じた圧力に、速く、正確に変化させることのできる、コンパクトな自動調圧式炭酸ガス圧力調整器の創出。
【解決手段】従来の圧力調整器を基本にして、電子制御ユニット(ECU)及び、ステッピングモータを追加、一体化することでコンパクト化を図り、ビール温度、または、ビール樽温度と炭酸ガス供給圧力の電気信号をECUに入力、ECU内に設定した制御マップとの圧力差を減じる側に、ECUはステッピングモータの駆動信号を出力、ステッピングモータは調圧プレートを回転させ、調圧スプリングの伸縮によって供給圧力を制御する。温度変化に応じ速く正確な制御を可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビール樽に炭酸ガス圧力をかけて注出する、ビールサーバシステムの、高圧容器の炭酸ガスを減圧する圧力調整器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビール樽からビールを美味しく注出するために、高圧容器の炭酸ガスを圧力調整器で減圧して、ビール樽に供給するビールサーバシステムの、ビール樽にかける炭酸ガス圧力(供給圧力)を、大気温度、ビール温度、又は、ビール樽温度に応じて変化させることが有効であることがわかっている。一般的には大気温度やビール温度に合わせて、手動で圧力調整器の調圧スプリングを操作して供給圧力を変えている。また、最近は図1に示すように、ビール通路1のビール温度を感知して伸縮するサーモワックスペレット2を利用して、調圧スプリング3を伸縮し、供給圧力を自動調整する方法も提案されている。
【特許文献1】特開2006−27651
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする課題は、ビール樽のビールを美味しく注出するために、ビール樽にかける供給圧力を、大気温度、ビール温度及び又は、ビール樽温度に応じて変化させることを目的に、従来の自動調圧式圧力調整器より応答性がよく、正確で信頼性が高い、自動調圧式炭酸ガス圧力調整器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、図2における、5の自動調圧式炭酸ガス圧力調整器を指す。図2はビール温度を感知する温度センサ6、又は、ビール樽温度を感知する温度センサ7、および炭酸ガス供給圧力センサ29の配置図である。図3は5の自動調圧式炭酸ガス圧力調整器の断面図であって、圧力調整器と一体的に組み込まれた電子制御ユニット30と、ステッピングモータ21、他、で構成し、上記図2の温度センサ6又は、7の電気信号と圧力センサ29の電気信号を電子制御ユニット30に入力、電子制御ユニット30は、入力された温度に対し入力された供給圧力が、制御マップ図4との差がある場合、ステッピングモータ21を駆動する電気信号を出力し、ビール樽からビールを注出する炭酸ガス供給圧力を、上記温度に応じた圧力に自動で変化させることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
圧力に対する安全性や調圧構造の信頼性の高い、従来の炭酸ガス圧力調整器に、電子制御ユニット、ステッピングモータ、他、を一体化し、ビール温度やビール樽温度に応じて供給圧力を変化させる自動化をすると、手動時の煩わしさ、調整誤差がなくなる、また、気温やビール温度をサーモワックスペレットに触れさせて、調圧スプリングの伸縮をする自動調圧式に比較しても、応答速度が速く、より正確に、目的の供給圧力を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以上説明したように、ビールサーバ用としての自動調圧式炭酸ガス圧力調整器は、ビアホールや居酒屋などの頻繁にビール樽を交換する量販店向けが最良で、頻繁に交換するビール樽内のビール温度はまちまちであり、供給圧力をビール温度、又はビール樽温度に依存した自動化は、いつでも誰でも、同じ美味しさのビールを注出することができる。
【実施例】
【0007】
図3は、本発明の実施例の断面図で、右の図は電子制御ユニット側の矢視図である。高圧の炭酸ガスは13のボンベジョイントから入り、15の1次バルブで中間圧に減圧され、17の2次バルブで供給圧力に調整される。供給圧力を決めるのが、19の調圧スプリングで、25の調圧プレートが回転して19の調圧スプリングを伸縮する。25の調圧プレートを回転させるのが22のコネクティングプレートで21のステッピングモータ軸に固定されている。22のコネクティングプレートには複数本のピン23を設け、調圧プレート25はピン23に沿ってブッシュ24を介して軸方向へスライドする。即ち、21のステッピングモータが回転すると、22のコネクティングプレートが回転し、23のピンが25の調圧プレートを回転させる、25の調圧プレートは回転しながらねじ部で軸方向に作動、19の調圧スプリングを伸縮する。
【0008】
図2の温度センサ6または7が、ビールまたはビール樽の温度を、低温側に感知し、圧力センサ29の圧力が制御マップより高いとき、図3の電子制御ユニット30は、ステッピングモータ21を、19の調圧スプリングを伸ばす方に駆動する。2次ダイアフラム18はビール樽内圧力が高いため図3の上方に移動し、17のリリーフポートが2次バルブ16´から離れ、炭酸ガスはビール樽側(供給圧力側)から17のポートを通過し、20の大気ポートから大気へ放出され、圧力を下げる。
【0009】
図2の温度センサ6または7が、ビールまたはビール樽の温度を、高温側に感知し、圧力センサ29の圧力が制御マップより低いとき、図3の電子制御ユニット30は、ステッピングモータ21を、19の調圧スプリングを縮ませる方に駆動する、2次ダイアフラム18は2次バルブを押し供給圧力を高める。
【0010】
図3において、通常ステッピングモータの回転による軸位置は、電子制御ユニットが認識している。ステッピングモータの過負荷や慣性などで、電子制御ユニットが認識している位置と実際の回転軸位置がずれることがある、軸位置の補正のため、位置センサ26を設ける。センサ26は非接触のホール素子を使用、あらかじめ決められた25の調圧プレート位置を認識し電気信号を出力する。25の調圧プレート位置はあらかじめマニュアル操作で供給圧力を例えば0.15MPaに調整しておき、図3の下方に下げておいた26の位置センサを、28の調整スクリューをねじ込んで、位置センサ26をスライドさせ出力が変化する位置で27の固定スクリューを締める。この位置を基準位置とし、電源ON時に電子制御ユニット内のステッピングモータ軸位置を、リセットする。
【0011】
電子制御ユニット30には、制御マップ図4を備え、温度センサと圧力センサの入力に対して、温度に対する圧力が制御マップと差があるとき、圧力差を減じる側にステッピングモータを駆動する。また、ビールの泡を好みで変えることができるように、電子制御ユニットに32の昇圧スイッチおよび33の降圧スイッチを設け、それぞれ0.02MPaから0.1MPaの間で任意設定した圧力へ、スイッチを押すことによって、制御マップに対して、設定圧力分平行に昇圧又は降圧する。
【産業上の利用可能性】
【0012】
以上説明したように、本発明は温度に応じた供給圧力の自動調圧を、応答速度が速く、きめ細かくできる。従って、ビール以外に、炭酸飲料の自動販売機用として、飲料温度に対する炭酸ガス混入率マップを設定することにより、正確な自動調圧式炭酸ガス圧力調整器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来の自動調圧式炭酸ガス圧力調整器の説明図である。
【図2】本発明の自動調圧式炭酸ガス圧力調整システムの説明図である。
【図3】本発明の自動調圧式炭酸ガス圧力調整器の説明図である。(実施例)
【図4】本発明の自動調圧式炭酸ガス圧力調整器の制御マップ図である。
【符号の説明】
【0014】
1 ビール通路
2 サーモワックスペレット
3 調圧スプリング
4 電源(ACアダプタ)
5 自動調圧式炭酸ガス圧力調整器アッセンブリ
6 ビール温度センサ
7 ビール樽温度センサ
8 ビール通路
9 炭酸ガス供給通路
10 温度センサ及び圧力センサコード
11 炭酸ガスボンベ
12 ビール樽
13 ボンベ接続口(炭酸ガス入口)
14 供給口(炭酸ガス出口)
15 1次バルブアッセンブリ
16 2次バルブアッセンブリ
16´ 2次バルブ
17 リリーフ通路
18 2次ダイアフラムアッセンブリ
19 調圧スプリング
20 大気ポート
21 ステッピングモータ
22 コネクティングプレート
23 ピン
24 ブッシュ
25 調圧プレート
26 位置センサ
27 固定スクリュー
28 調整スクリュー
29 圧力センサ
30 電子制御ユニット
31 電源スイッチ
32 昇圧スイッチ
33 降圧スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビール樽からビールを注出するための、炭酸ガス供給圧力を、気温、ビール温度、および又は、ビール樽温度によって変化させるために、気温、ビール温度、および又は、ビール樽温度の電気的信号と、炭酸ガス供給圧力の電気的信号を電子制御ユニットに入力し、電子制御ユニットに設定した制御マップを参照し、炭酸ガス供給圧力とマップ上の圧力とに差がある場合に、マップ上の圧力となるように、電子制御ユニットが圧力調整器のアクチュエータに駆動信号を出力することによって、炭酸ガスの供給圧力を調整する炭酸ガス用圧力調整システムにおいて、炭酸ガス圧力調整器に電子制御ユニットを一体に組付けるとともに、圧力調整用アクチュエータを、ステッピングモータとし、ステッピングモータは、ねじ式調圧プレートを回転させ、ねじ式調圧プレートは調圧スプリングの伸縮をすることを特徴とする自動調圧式炭酸ガス圧力調整器。
【請求項2】
ステッピングモータの脱調を補正するために、調圧プレート位置を検出するスイッチを設け、スイッチの反転位置を、供給圧力0.05MPaから0.5MPaの間に設定したことを特徴とする請求項1の自動調圧式炭酸ガス圧力調整器。
【請求項3】
電子制御ユニットに昇圧及び降圧のスイッチを設け、スイッチ操作で制御マップに対し昇圧又は降圧し、その圧力は、0.02MPaから0.1MPaの間に設定したことを特徴とする請求項1の自動調圧式炭酸ガス圧力調整器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate