説明

自動販売機、自動販売機に使用される照明部、照明部として使用されるシート部材および自動販売機における照明部の形成方法

【課題】従来よりもさらに節電効果の高い照明光源を採用した自動販売機を提供する。
【解決手段】自動販売機1は、商品の見本3を展示する展示部2と、展示部2を照明する第1照明部4と、購入対象となる商品を選択する選択部15と、選択部15を照明する第2照明部16と、商品の対価を支払う対価支払い部17と、対価支払い部17を照明する第3照明部6、8、10と、商品を排出する排出口13と、排出口13を照明する第4照明部14と、釣銭を返却する返却口11と、返却口11を照明する第5照明部12とを備えている。本発明では、第1照明部4、第2照明部16、第3照明部6、8、10、第4照明部14および第5照明部12などのうち少なくとも1つを夜光部材により構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を販売する自動販売機、自動販売機に使用される照明部、照明部として使用されるシート部材および自動販売機における照明部の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料およびその他の商品を無人で販売する自動販売機は非常に多くの人に利用されており、非常に便利なものである。たとえば、夜間に店が開いていない時間帯にもスポーツ飲料等を入手でき、高熱を出した幼児に臨時に栄養を補給できることもある。
【0003】
一方で、福島第一原子力発電所の事故に伴い、大幅な電力不足が生じるおそれがある。東京都知事の発言によって、自動販売機の節電が強く要請されており、業界としてもより一層の節電対策に追われている。
【0004】
従来の節電対策としては、人感センサにより人間の接近を検知すると、主照明部を点灯する発明が提案されている(特許文献1)。また、商品を照明する光源である蛍光灯を発光ダイオードに置換することで節電を図る発明も提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3006284号公報
【特許文献2】特開2010−182223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に記載の発明は節電効果が高く、極めて優れた発明である。その一方で、依然として照明のための電力は必要であり、改善の余地がある。とりわけ、特許文献1は人間が近づいたときに主照明部が点灯するため、人間が近づかなければ点灯しない。つまり、どこに自動販売機があるかを知らない人間にとってはそもそも自動販売機を発見できない。そこで、本発明は、従来よりもさらに節電効果の高い照明光源を採用した自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
商品の見本を展示する展示部と、
前記展示部を照明する照明部と
を備え、前記照明部を夜光部材により構成したことを特徴とする自動販売機を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光源として夜光部材を採用することで、蛍光灯や発光ダイオードよりも電力を大幅に削減できる。夜光部材の発光時間は近年大幅に改善してきており、8時間程度も発光可能な部材も登場しており、将来はさらに長くなることが期待されている。よって、太陽光や街灯、自動販売機が備える蛍光灯や発光ダイオードからの光を受光することで、夜間に、夜光部材が発光するため、夜間の消費電力を削減できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】自動販売機の概要を示す図である。
【図2】照明部の一例を示す図である。
【図3】照明部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、自動販売機の顧客対応面(前面)を示している。自動販売機1は、商品の見本3を展示する展示部2と、展示部2を照明する第1照明部4と、購入対象となる商品を選択する選択部15と、選択部15を照明する第2照明部16と、商品の対価を支払う対価支払い部17と、対価支払い部17を照明する第3照明部6、8、10と、商品を排出する排出口13と、排出口13を照明する第4照明部14と、釣銭を返却する返却口11と、返却口11を照明する第5照明部12とを備えている。対価支払い部17は、紙幣挿入口5、硬貨投入口7、および、クレジットカードまたは電子財布による電子決済部9を備えている。また、自動販売機1は、広告などのシート部材19を収納する収納部18を備えていてもよい。この場合、シート部材19が夜光部材により形成されていれば、夜間に、自販機の存在と商品が販売中であることを視覚的に表すことができよう。シート部材19は、第6照明部として機能する。
【0011】
本発明では、第1照明部4、第2照明部16、第3照明部6、8、10、第4照明部14、第5照明部12および第6照明部、並びに、以下で説明する各種の照明部のうち少なくとも1つを夜光部材により構成したことを特徴とする。第1照明部4、第2照明部16、第3照明部6、8、10、第4照明部14および第5照明部12は、太陽光や街灯、自動販売機が備える蛍光灯や発光ダイオードからの光を受光することで発光する。よって、従来の蛍光灯や発光ダイオードと比較して電力の節電効果が高い。夜光部材としては、上述したように蓄光性のものがあるが、自発光性のものが採用されてもよい。蓄光性のものの代表的な商品としては、たとえば、根本特殊化学株式会社が販売するN夜光(登録商標)、ルミノーバ(登録商標)などがある。
【0012】
第1照明部4、第2照明部16、第3照明部6、8、10、第4照明部14および第5照明部12並びにその他の照明部は、夜光部材として夜光塗料を塗布することで形成されても良いし、夜光材料を備えたシート部材で形成されても良い。また、シート部材の裏面には自動販売機1に貼付するための糊部材が予め設けられていても良い。糊部材に代えて両面テープなどが使用されても良い。このようなシート部材を自動販売機1の各部のサイズに合わせて裁断して形成しておけば、すでに設置済みに自動販売機1にも後付けで照明部を追加できる利点がある。
【0013】
排出口13は、一般に外扉と内扉を備えている。外扉は透光性を有しており、排出された商品が見えるようになっている。しかし、排出口13は図1の左右方向に長いため、夜間においてはそのどこに商品が排出されたかを視認しにくいことがある。そこで、図1に示すように、内扉の外面に夜光塗料を塗布したり、夜光性のシート部材を貼付したりすることで第4照明部14を形成することで、商品がどこにあるかを確認しやすくなるであろう。内扉の外面のサイズにあった夜光性のシート部材を提供すれば、すでに設置済みに自動販売機1にも後付けで照明部を追加できる利点がある。
【0014】
返却口11は一般に照明が設けられておらず、黒色をしているため、夜間は視認しにくい。そこで、返却口11を形成する側壁に夜光塗料を塗布したり、夜光性のシート部材を貼付したりすることで第3照明部12を形成してもよい。これにより、返却口11がどこにあるかが視認しやすくなり、また、返却された硬貨も視認しやすくなるであろう。返却口11の側壁のサイズにあった夜光性のシート部材を提供すれば、すでに設置済みに自動販売機1にも後付けで照明部を追加できる利点がある。なお、側壁とは、自動販売機1を正面から見て、左側壁、右側壁、奥側壁、底面側壁、上面側壁である。これらの側壁のすくなくとも1つに照明部を形成すればよい。
【0015】
展示部2を照明する第1照明部4は、展示部2に夜光塗料を塗布したり、夜光性のシート部材を貼付したりすること形成可能である。一般に、展示部2には、インパネシートと呼ばれるシート部材が壁面に貼付される。そこで、このインパネシートに夜光塗料を塗布したり、夜光性のシート部材を貼付したりしてもよい。また、インパネシート自体を夜光性のシート部材で形成しても良い。
【0016】
図2において(A)には、展示部2のほぼ全面を第1照明部4とした例が示されている。このように、第1照明部4のサイズを大きくすれば、夜間における商品見本の視認性が高まるであろう。
【0017】
図2において(B)には、対価支払い部17自体に夜光塗料を塗布したり、夜光性のシート部材を貼付したりしてもよい。
【0018】
図2において(C)には、自動販売機1が商品を販売していることを示すメッセージ22が印刷されたシート部材19が示されている。周囲の夜光部とメッセージ22とのコントラストを高めるような非夜光性の色剤でメッセージ22を印刷すれば、メッセージ22が極めて目立つようになる。これにより、顧客は、自動販売機1が商品を販売していることを夜間でも認識しやすくなるであろう。なお、メッセージ22が夜光性の色剤で印刷され、その周囲が非夜光性の素材で形成されていても良い。メッセージ22が夜間において視認できれば十分だからである。
【0019】
図3(A)は、自動販売機1の前面に夜光塗料を塗布したり、夜光性のシート部材を貼付したりして、前面自体を第7照明部31とした例を示している。自動販売機1の前面のサイズは予めわかっているため、そのサイズに合わせて夜光性のシート部材を用意しておけば、既存の自動販売機にも照明部を追加できる利点がある。とりわけ、自動販売機自体を交換するには多額の費用がかかるため、所有者が交換を躊躇するであろう。そこで、自動販売機1のサイズに合わせた夜光性のシート部材を提供すれば、既存の自動販売機1の所有者も低廉な導入コストでもって容易に節電しやすくなろう。
【0020】
図3(B)は、自動販売機1の前面の縁に夜光塗料を塗布したり、夜光性のシート部材を貼付したりして枠上の第8照明部32を形成した例を示している。夜間においては、節電のために、蛍光灯や発光ダイオードなど電力を供給された動作する光源の動作を停止する。そのため、自動販売機1は視認しにくいことがある。そのため、自動車が自動販売機1に衝突したりする事故も発生している。そこで、夜間でも運転者が自動販売機1に気付くように、第7照明部31や第8照明部32を設けることは好ましいであろう。
【0021】
なお、図1では省略しているが、蛍光灯や発光ダイオードによる光源も設けられていてもよい。この場合、蛍光灯や発光ダイオードから光によって上記の照明部が発光するため、蛍光灯や発光ダイオードの発光時間を従来よりも短くできる。つまり、高い節電効果が期待できる。
【0022】
夜光部材の発光時間は近年大幅に改善してきており、8時間程度も発光可能な部材が登場している。また、この発光時間はさらに延びることが期待されている。よって、自動販売機の夜間における照明の大部分を夜光部材により賄うことができるようになるだろう。
【0023】
本発明によれば、光源として夜光部材を採用することで、蛍光灯や発光ダイオードよりも電力を大幅に削減できる。たとえば、太陽光や街灯、自動販売機が備える蛍光灯や発光ダイオードからの光を受光することで、夜間に、夜光部材が発光するため、夜間の消費電力を削減できる利点がある。電力を必要とする光源と併用する場合でもあっても、本発明の夜光部材による照明部が照明するため、電力を必要とする光源の点灯時間をさらに短くできるようになるであろう。
【0024】
夜光部材は夜間においても継続して自動販売機1を照明するため、自動販売機1を顧客が発見しやすくなる。また、自動販売機1が販売中であることを顧客に認識してもらいやすくなる利点もある。さらには、電力を使用する光源がすべて消灯した状態であっても、自動車のドライバーから発見されやすくなり、自動車の衝突を防止できるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の見本を展示する展示部と、
前記展示部を照明する照明部と
を備え、前記照明部を夜光部材により構成したことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
商品の見本を展示する展示部と、
購入対象となる商品を選択する選択部と、
商品の対価を支払う対価支払い部と、
商品を排出する排出口と、
釣銭を返却する返却口と、
前記展示部、前記選択部、前記対価支払い部、前記排出口および前記返却口のうち少なくとも一つを照明する照明部と
を備え、前記照明部を夜光部材により構成したことを特徴とする自動販売機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の自動販売機に使用される前記照明部であって、
夜光部材により形成されたことを特徴とする照明部。
【請求項4】
商品の見本を展示する展示部を備えた自動販売機に取り付けられるシート部材であって、
前記展示部を照明する夜光部材により形成されたことを特徴とするシート部材。
【請求項5】
自動販売機に取り付けられるシート部材であって、
前記自動販売機の顧客対応面である前面のサイズを基準として裁断され、夜光部材により形成されていることを特徴とするシート部材。
【請求項6】
自動販売機が備えるシート部材収納部に収納されるシート部材であって、夜光部材により形成されていることを特徴とするシート部材。
【請求項7】
前記シート部材には、前記自動販売機が商品を販売していることを示すメッセージが非夜光性の色剤により形成されていることを特徴とする請求項6に記載のシート部材。
【請求項8】
商品の見本を展示する展示部を備えた自動販売機において前記展示部を照明する照明部の形成方法であって、
前記展示部に夜光塗料を塗布するか、または、夜光性のシート部材を貼付することで前記照明部を形成する工程を有することを特徴とする形成方法。
【請求項9】
商品の見本を展示する展示部と、購入対象となる商品を選択する選択部と、商品の対価を支払う対価支払い部と、商品を排出する排出口と、釣銭を返却する返却口とを備えた自動販売機において前記展示部、前記選択部、前記対価支払い部、前記排出口および前記返却口のうち少なくとも一つを照明する照明部の形成方法であって、
夜光塗料を塗布するか、または、夜光性のシート部材を貼付することで前記照明部を形成する工程を有することを特徴とする形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−248175(P2012−248175A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132661(P2011−132661)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(511145144)有限会社庚研 (1)
【Fターム(参考)】