説明

自動販売機の冷却加温装置

【課題】消費電力をより低減することができ、かつ、圧縮機の寿命が短くなることを防止できる自動販売機の冷却加温装置を提供する。
【解決手段】庫内が、互いに断熱的に区画された複数の商品収納室3A〜3Cに分けられ、複数の商品収納室3として、冷却状態と加温状態とに切換可能な商品収納室3Bと、冷却専用の商品収納室3Cとが設けられ、庫外に配設された圧縮機9および凝縮器10と、冷却専用の商品収納室3Cに配設された蒸発器4Cと、冷却状態と加温状態とに切換可能な商品収納室3Bに配設された熱交換器4Bとを有するヒートポンプ5を備えた自動販売機の冷却加温装置において、冷媒が2方向に分岐する箇所に、共通流路13m、13nを残りの2つの切換用流路13g、13k、13a、13jに対して選択的に接続する三方弁15、16を配設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動販売機の冷却加温装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
缶飲料やペットボトル飲料などの容器内に飲料などが入れられた商品を販売する自動販売機においては、商品が冷却状態(COLDと称す)または加温状態(HOTと称す)で販売される。また、季節に応じて、COLDとHOTとで販売する販売比率を変化させることも可能に構成されている。
【0003】
この種の自動販売機において省エネルギー型のものとして、凝縮器として機能可能な熱交換器の熱を庫内(商品収納部内)の加熱に利用できるヒートポンプ方式の自動販売機が開発されており、例えば、特許文献1に開示されている。
【0004】
前記特許文献1に示されている自動販売機の冷却加温装置では、図4〜図6に示すように、商品収納庫としての庫内2に、互いに断熱的に区画された3つの商品収納室3(商品収納室3A、3B、3C)が設けられている。そして、その中の1つの商品収納室3Bに設けられた熱交換器4Bに対して、冷媒の流れ方向を切り換えることにより、熱交換器4Bを蒸発器として用いて商品1を冷却したり、熱交換器4Bを凝縮器として用いて商品1を加温したりすることが可能に構成したヒートポンプ5が開示されている。
【0005】
ここで、図6における、4A、4Cは蒸発器、4Bは熱交換器、7は庫内送風ファン、8は膨張機構としてのキャピラリチューブ、9は圧縮機、10は凝縮器、11は庫外ファン、13a〜13kは冷媒流路、14a〜14gは電磁式2方弁からなる冷媒の開閉弁である。庫内送風ファン7、キャピラリチューブ8は、庫内2の各商品収納室3(3A〜3C)にそれぞれ配設され、圧縮機9、凝縮器10、庫外ファン11は、自動販売機における外部と空気の流通がある庫外12に1つずつ配設されている。また、図示しないが、各商品収納室3には各商品収納室3内の温度を検知する温度センサが内蔵されている。
【0006】
この構成において、商品収納室3Bの商品1を冷却する場合(すなわち、商品収納室3B内を冷却状態とする場合)には、開閉弁14b、14d、14gが開けられる一方、開閉弁14e、14fが閉じられる。これにより、図7に示すように、圧縮機9で圧縮された冷媒が、開閉弁14dが設けられている冷媒流路13aを介して凝縮器10に流入し、凝縮器10で凝縮された冷媒が、開閉弁14bが設けられている冷媒流路13dを介してキャピラリチューブ8および熱交換器4Bに流れ込み、熱交換器4Bが蒸発器として機能して、商品収納室3Bの商品1が冷却される。また、熱交換器4Bで気化した冷媒は、開閉弁14gが設けられている冷媒流路13gおよび冷媒流路13iを介して圧縮機9内に流れ込む。
【0007】
一方、商品収納室3Bの商品1を加温する場合(すなわち、商品収納室3B内を加温状態とする場合)には、開閉弁14c、14e、14fなどが開けられる一方、開閉弁14b、14d、14gが閉じられる。これにより、図8に示すように、圧縮機9で圧縮されて高温となった冷媒が、開閉弁14eが設けられている冷媒流路13jを介して熱交換器4Bに流れ込み、熱交換器4Bが凝縮器として機能して、商品収納室3Bの商品1が加温される。熱交換器4Bで凝縮された冷媒は、開閉弁14fが設けられている冷媒流路13kおよび冷媒流路13aを介して、庫外12に配設されている凝縮器10に流入する。この後、開閉弁14cが設けられている冷媒流路13eと(あるいはさらに、開閉弁14aが設けられている冷媒流路13cと)を介してキャピラリチューブ8および蒸発器4C(あるいは蒸発器4Cおよび蒸発器4A)に流れ込み、商品収納室3C(あるいは商品収納室3Cおよび商品収納室3A)の商品1が冷却される。また、蒸発器4C(あるいは蒸発器4Cおよび蒸発器4A)で気化した冷媒は、冷媒流路13i(あるいは冷媒流路13f、13i)を介して圧縮機9内に流れ込む。
【0008】
この自動販売機の冷却加温装置によれば、商品収納室3Bに設けられた熱交換器4Bを凝縮器として用いて、商品収納室3B内を加温することができる。一般に、ヒートポンプを用いたシステムでは、シーズヒータで加熱する場合と比較して、出力エネルギーに対する消費電力(入力エネルギー)が小さいため、例えば、商品収納室3B内に加温手段としてシーズヒータだけを配設して、このシーズヒータのみにより加温する場合と比較して、省エネルギー化を図ることができる。なお、図6〜図8に示すように、商品収納室3B内を補助的に加温する補助シーズヒータ34を設けて、熱交換器4Bを凝縮器として用いた場合の加温機能が不足する場合に、前記補助シーズヒータ34を作動させてもよく、この場合でも、加温手段としてシーズヒータだけで加温する場合と比較すると、省エネルギー化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−205308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、図6〜図8に示すような自動販売機の冷却加温装置においては、熱交換器4Bの冷媒出口に、開閉弁14gが設けられている冷媒流路13gと、開閉弁14fが設けられている冷媒流路13kとが2方向に分岐されて接続されており、自動販売機の冷却加温装置を稼動させる際には、何れか一方の開閉弁14gまたは開閉弁14fを開けて、他方を閉じる構成である。したがって、全ての開閉弁14a〜14gとして、通電時のみ冷媒流路を開ける(または閉じる)ものを用いた場合には、常に開閉弁14g、14fの何れかに通電する必要があるため、消費電力が大きくなる欠点がある。
【0011】
また、万一、開閉弁14g、14fが閉じた状態で両方とも故障した場合には、何れの冷媒流路13g、13kとも冷媒が流れない状態となるので、この状態で圧縮機9が稼動されると、冷媒の圧力が極めて高くなり、圧縮機9に過負荷を与えることとなって、圧縮機9の寿命が短くなるなどの不具合を発生するおそれがある。
【0012】
本発明は上記欠点や不具合などを改善するもので、消費電力をより低減することができ、かつ、圧縮機の寿命が短くなることを防止できる自動販売機の冷却加温装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題や難点などを解決するために、本発明は、庫内が、互いに断熱的に区画された複数の商品収納室に分けられ、前記複数の商品収納室として、冷却状態と加温状態とに切換可能な商品収納室と、冷却専用の商品収納室とが設けられ、庫外に配設された圧縮機および凝縮器と、少なくとも前記冷却専用の商品収納室に配設された蒸発器と、前記冷却状態と加温状態とに切換可能な商品収納室に配設された熱交換器とを有するヒートポンプを備えた自動販売機の冷却加温装置であって、冷媒が2方向に分岐する箇所に、共通流路を残りの2つの切換用流路に対して選択的に接続する三方弁が配設されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、前記三方弁は、その共通流路を残りの2つの切換用流路に対して選択的に接続する構造であるので、冷媒が2方向に分岐する箇所において、冷却時(または加温時)に、前記三方弁に通電しない状態で、冷媒が冷却時用の切換用流路に接続されるように設置することで、冷却時(または加温時)に、前記三方弁に通電しなくても済み、消費電力を減少させることができる。また、前記三方弁が万一故障した場合でも、共通流路に残りの2つの切換用流路の何れかには接続された状態(開状態)となっているので、この状態で圧縮機が稼動された場合でも、冷媒の圧力が極めて高くなることがなく、圧縮機に過負荷を与えることが防止される。
【0015】
なお、前記三方弁は、冷却、加温する熱交換器の冷媒出口に接続したり、庫内で商品収納空間が最も小さい商品収納室に配設したりすると好適である。この場合に、庫内で商品収納空間が最も小さい商品収納室に、冷媒が2方向に分岐する箇所に三方弁を配設することにより、前記三方弁の代わりに2つの電磁弁からなる開閉弁を設けた場合よりも配設スペースを少なく抑えることができるので、それだけ、商品収納室の商品収納空間を効率よく確保できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ヒートポンプを備えた自動販売機において、冷媒が2方向に分岐する箇所に、共通流路を残りの2つの切換用流路に対して選択的に接続する三方弁を配設したことにより、消費電力をより減少させることができて、省エネルギー化を図ることができるとともに、かつ、圧縮機に過負荷を与えることを防止できて、圧縮機、ひいては自動販売機の長寿命化を図ることができる。また、前記三方弁を、庫内で商品収納空間が最も小さい商品収納室に配設することにより、商品収納室の商品収納空間を効率よく確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る自動販売機の冷却加温装置の冷媒回路図である。
【図2】同自動販売機の冷却加温装置の冷媒回路図で、商品収納室3Bを冷却状態とする場合の冷媒の流れ状態を矢印により示している。
【図3】同自動販売機の冷却加温装置の冷媒回路図で、商品収納室3Bを加温状態とする場合の冷媒の流れ状態を矢印により示している。
【図4】自動販売機の縦断面図である。
【図5】同自動販売機の外扉および内扉を開けた状態を示す斜視図である。
【図6】従来の自動販売機の冷却加温装置の冷媒回路図である。
【図7】同従来の自動販売機の冷却加温装置の冷媒回路図で、商品収納室3Bを冷却状態とする場合の冷媒の流れ状態を矢印により示している。
【図8】同従来の自動販売機の冷却加温装置の冷媒回路図で、商品収納室3Bを加温状態とする場合の冷媒の流れ状態を矢印により示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る自動販売機の冷却加温装置を、図面に基づき説明する。なお、ここで示す実施の形態はあくまでも一例であって、必ずしもこの実施の形態に限定されるものではない。なお、従来の自動販売機(図4から図6参照)の構成要素と同様な機能のものには同符号を付す。
【0019】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る自動販売機は、庫内2が、互いに断熱的に区画された複数(この実施の形態では3つ)の商品収納室3(商品収納室3A、3B、3C)に分けられ、これらの商品収納室3として、冷却状態と加温状態とに切換可能な第1、第2の商品収納室3A、3Bと、冷却専用の第3の商品収納室3Cとが設けられている。なお、この実施の形態では、各商品収納室3の商品収納空間の大きさが、第1の商品収納室3A、第3の商品収納室3C、第2の商品収納室3Bの順で小さくなっており、庫内2で第2の商品収納室3Bの商品収納空間が最も小さい。
【0020】
本発明の実施の形態に係る自動販売機は、ヒートポンプ5からなる冷却加温装置を備えている。ヒートポンプ5は、第1、第3の商品収納室3A、3Cに配設された蒸発器4A、4Cと、第2の商品収納室3Bに配設されて、場合に応じて蒸発器または凝縮器(庫内凝縮器)として機能する熱交換器4Bと、これらの蒸発器4A、4Cおよび熱交換器4Bに対応して設けられた庫内送風ファン7および膨張機構としてのキャピラリチューブ8と、自動販売機における外部と空気の流通がある庫外12に1つずつ配設されている圧縮機9、凝縮器(庫外凝縮器)10、庫外ファン11と、ヒートポンプ5の各構成要素同士を接続する冷媒流路13a〜13nと、電磁式二方弁からなる冷媒の開閉弁14a〜14cなどを有している。なお、17aは庫外12の温度を検出する庫外温度センサ、17bは第2の商品収納室3Bの加温温度を検出する加温温度センサである。
【0021】
また特に、ヒートポンプ5における冷媒が2方向に分岐する箇所に、共通流路を残りの2つの切換用流路に対して選択的に接続する第1、第2の三方弁(電磁式の三方弁)15、16が配設されている。ここで、第1の三方弁15は、庫内2で商品収納空間が最も小さい商品収納室3Bに配設され、冷却、加温する熱交換器4Bの冷媒出口に冷媒流路(共通流路)13mを介して接続されている。そして、第1の三方弁15は、非通電状態で冷媒流路(共通流路)13mが圧縮機9へ流れる側の冷媒流路(切換用流路)13gに接続され(図1において、NO(ノーマルオープン)と表記する)、通電状態で冷媒流路(共通流路)13mが凝縮器10へ流れる側の冷媒流路(切換用流路)13kに接続される(図1において、NC(ノーマルクローズ)と表示する)よう構成されている。また、第2の三方弁16は、庫外12に配設され、圧縮機9の冷媒出口に冷媒流路(共通流路)13nを介して接続されている。そして、第2の三方弁16は、非通電状態で冷媒流路(共通流路)13nが凝縮器10へ流れる側の冷媒流路(切換用流路)13aに接続され(図1において、NO(ノーマルオープン)と表示する)、通電状態で冷媒流路(共通流路)13nが熱交換器4Bへ流れる側の冷媒流路(切換用流路)13jに接続される(図1において、NC(ノーマルクローズ)と表示する)よう構成されている。
【0022】
なお、この実施の形態では、第1の商品収納室3Aを加温可能な補助ヒートポンプが、設けられており、この補助ヒートポンプ20は、庫外12に1つずつ配設されている圧縮機21、蒸発器(庫外蒸発器)22、膨張機構としてのキャピラリチューブ23と、第1の商品収納室3A内に配設されている凝縮器24と、これらの各構成要素同士を接続する冷媒流路13o〜13qなどを有している。
【0023】
上記構成において、商品収納室3Bの商品1を冷却する場合(すなわち、商品収納室3B内を冷却状態とする場合)には、開閉弁14bが開けられるとともに、第1の三方弁15および第2の三方弁16には通電されず、第1の三方弁15では、圧縮機9へ流れる側の冷媒流路(切換用流路)13gに接続され、第2の三方弁16では、凝縮器10へ流れる側の冷媒流路(切換用流路)13aに接続される。これにより、図2に示すように、圧縮機9で圧縮された冷媒が、冷媒流路(共通流路)13n、第2の三方弁16、冷媒流路(切換用流路)13aを介して凝縮器10に流入し、凝縮器10で凝縮された冷媒が、開閉弁14bが設けられている冷媒流路13dを介してキャピラリチューブ8および熱交換器4Bに流れ込み、熱交換器4Bが蒸発器として機能して、商品収納室3Bの商品1が冷却される。また、熱交換器4Bで気化した冷媒は、冷媒流路(共通流路)13m、第1の三方弁15、冷媒流路13g、冷媒流路13iを介して圧縮機9内に流れ込む。
【0024】
一方、商品収納室3Bの商品1を加温する場合(すなわち、商品収納室3B内を加温状態とする場合)には、開閉弁14bが閉じられるとともに、第1の三方弁15および第2の三方弁16に通電され、第1の三方弁15では、凝縮器10へ流れる側の冷媒流路(切換用流路)13kに接続され、第2の三方弁16では、熱交換器4Bへ流れる側の冷媒流路(切換用流路)13jに接続される。これにより、図3に示すように、圧縮機9で圧縮されて高温となった冷媒が、冷媒流路(共通流路)13n、第2の三方弁16、冷媒流路(切換用流路)13jを介して熱交換器4Bに流れ込み、熱交換器4Bが凝縮器として機能して、商品収納室3Bの商品1が加温される。熱交換器4Bで凝縮された冷媒は、冷媒流路13m、冷媒流路13k、冷媒流路13aを介して、庫外12に配設されている凝縮器10に流入する。この後、開閉弁14cが設けられている冷媒流路13eと(あるいはさらに、開閉弁14aが設けられている冷媒流路13cと)を介してキャピラリチューブ8および蒸発器4C(あるいは蒸発器4Cおよび蒸発器4A)に流れ込み、商品収納室3C(あるいは商品収納室3Cおよび商品収納室3A)の商品1が冷却される。また、蒸発器4C(あるいは蒸発器4Cおよび蒸発器4A)で気化した冷媒は、冷媒流路13i(あるいは冷媒流路13f、13i)を介して圧縮機9内に流れ込む。
【0025】
上記構成によれば、第1の三方弁15は、共通流路である冷媒流路13mを残りの2つの切換用流路である冷媒流路13g、13kに対して選択的に接続し、第2の三方弁16は、共通流路である冷媒流路13nを残りの2つの切換用流路である冷媒流路13a、13kに対して選択的に接続する構造であるので、商品収納室3B内の冷却時には、第1、第2の三方弁15、16に通電しなくても済む。したがって、図6〜図8に示すように、それぞれ2つの開閉弁14g、14f、開閉弁14d、14eを有するために常に何れかに通電する必要があるものと比較して、消費電力を減少させることができ、ひいては省エネルギー化を図ることができる。
【0026】
また、第1の三方弁15や第2の三方弁16が万一故障した場合でも、共通流路である冷媒流路13mや冷媒流路13nに残りの2つの切換用流路である13g、13kや冷媒流路13a、13kの何れかには接続された状態(開状態)となっているので、この状態で圧縮機9が稼動された場合でも、冷媒の圧力が極めて高くなることがなくなり、圧縮機9に過負荷を与えることが防止される。これにより、圧縮機9、ひいては自動販売機全体の長寿命化を図ることができる。
【0027】
また、冷却、加温する熱交換器の冷媒出口に接続した第1の三方弁15を、庫内2で商品収納空間が最も小さい商品収納室3Bに配設することにより、第1の三方弁15の代わりに2つの電磁弁からなる開閉弁14f、14gを設けた場合(図6参照)よりも配設スペースを少なく抑えることができるので、それだけ、商品収納室3Bの商品収納空間を効率よく確保できる利点がある。
【0028】
なお、上記実施の形態では、商品収納室3Bを冷却状態にする場合に、第1、第2の三方弁15、16に通電しなくても済むように設定した場合を述べ、商品収納室3Bを冷却状態にする期間が、商品収納室3Bを加温状態にする期間よりも長い場合に、消費電力を減少させる効果が大きくなり、省エネルギー化を図ることができる。しかしながら、これに限るものではなく、商品収納室3Bを加温状態にする期間が、商品収納室3Bを冷却状態にする期間よりも長い場合など、商品収納室3Bを加温状態にする割合が大きい場合には、商品収納室3Bを加温状態にする場合に、第1、第2の三方弁15、16に通電しなくても済むように設定する(すなわち、第1の三方弁15が、非通電状態で冷媒流路(共通流路)13mが凝縮器10へ流れる側の冷媒流路(切換用流路)13kに接続され、第2の三方弁16が、非通電状態で熱交換器4Bへ流れる側の冷媒流路(切換用流路)13jに接続されるよう構成する)ことにより、消費電力の減少効果を大きくできる。
【0029】
また、上記の実施の形態では、商品収納室3Bに、この商品収納室3B内を補助的に加温する補助シーズヒータ34を設けた場合を述べたが、補助シーズヒータ34は必要に応じて設ければよく、場合によっては、補助シーズヒータ34を設けなくてもよい。また、上記実施の形態では、第1の商品収納室3Aを加温可能な補助ヒートポンプ20が設けられている場合を述べ、これにより、省エネルギー化をより良好に図ることができるものの、この補助ヒートポンプ20は必ずしも設けなければならないわけではない。
【0030】
また、上記実施の形態では、商品収納室3が3つの商品収納室3A〜3Cに分割されている場合を述べたが、これに限るものではなく、商品収納室3として、冷却状態と加温状態とに切換可能な商品収納室と、冷却専用の商品収納室とが設けられているならば、2つまたは4つ以上に庫内2が断熱的に分割されている構成のものに適用可能である。
【0031】
なお、上記の実施の形態では、冷媒が2方向に分岐する箇所に、共通流路を残りの2つの切換用流路に対して選択的に接続する三方弁が配設されている場合を述べたが、同様な作用効果を得るものとして、冷媒が3方向以上に分岐する箇所に、共通流路を残りの3つ以上の切換用流路に対して選択して接続する多方弁を配設する構成に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0032】
2 庫内
3、3A、3B、3C 商品収納室
4A、4C 蒸発器
4B 熱交換器
5 ヒートポンプ
7 庫内送風ファン
8 キャピラリチューブ(膨張機構)
9 圧縮機
10 凝縮器(庫外凝縮器)
11 庫外ファン
12 庫外
13a〜13q 冷媒流路
14a〜14c 開閉弁
15 第1の三方弁
16 第2の三方弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
庫内が、互いに断熱的に区画された複数の商品収納室に分けられ、
前記複数の商品収納室として、冷却状態と加温状態とに切換可能な商品収納室と、冷却専用の商品収納室とが設けられ、
庫外に配設された圧縮機および凝縮器と、少なくとも前記冷却専用の商品収納室に配設された蒸発器と、前記冷却状態と加温状態とに切換可能な商品収納室に配設された熱交換器とを有するヒートポンプを備えた自動販売機の冷却加温装置であって、
冷媒が2方向に分岐する箇所に、共通流路を残りの2つの切換用流路に対して選択的に接続する三方弁が配設されていることを特徴とする自動販売機の冷却加温装置。
【請求項2】
前記三方弁が、冷却、加温する熱交換器の冷媒出口に接続されていることを特徴とする請求項1記載の自動販売機の冷却加温装置。
【請求項3】
前記三方弁が、庫内で商品収納空間が最も小さい商品収納室に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の自動販売機の冷却加温装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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