説明

自動販売機の省エネシステム

【課題】、システム全体として省エネ効率を向上させることが可能な自動販売機の省エネシステムを提供する。
【解決手段】この省エネシステム100は、親機の自動販売機20と少なくとも1台以上の子機の自動販売機37が互いにLAN36により接続され、親機20のコマンドに基づいて子機37の省電力機能を制御する自動販売機の省エネシステムであって、親機20は、複数種類の商品を収納する商品収納部と商品収納部に収納された商品を払出す商品払出し機構とを有する商品処理部33と、商品情報を表示するタッチパネル32と、子機37との間で情報の授受を仲介する通信部35と、タッチパネル32を操作することにより選択された商品の価格についての決済を行なう金銭処理部30と、利用者が近接したことを検知する人感センサ34と、制御部31と、を備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機の消費電力を節約するための省エネルギー機能(以下、省エネシステムという)に関し、さらに詳しくは、自動販売機の親機と子機を通信回線により接続し、親機の指令に基づいて通信回線を介して子機を通常の運用状態と消費電力を節約する動作態様(以下、省エネモードという)とを切換制御する自動販売機の省エネシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自動販売機における省エネモードは、例えば、利用頻度が少なくなると通常の運用状態から待機状態へと移行し、待機状態では自動販売機の看板、スイッチ等の照明を必要最低限の部分だけ点灯しておき、利用者に稼働中であることが分かるようにして消費電力を節約している。利用者が商品を購入するために自動販売機に近接したときに利用者を検知して全体の照明を再点灯し、通常の運用状態へと復帰するといった方法で省電力を図っていた。また、商品選択手段が液晶画面内にあるタッチパネル式販売機では、待機状態において液晶画面のバックライトを消灯しておき、商品を購入するために近接した利用者を検知したときに液晶画面を点灯させる方式を採っている。また、このような省エネモードを備えた自動販売機が、所定の区域内に複数台設置されている場合、従来は各自動販売機間の連携がなかったため、各自動販売機の使用頻度に対応した最適な省エネモードに設定することができなかった。つまり、使用頻度が高い自動販売機は、機器の立ち上がり時間が長くならないような省エネモードに設定し、使用頻度の低い自動販売機については、従来の省エネモードに限らず、機器の立ち上がり時間を多少犠牲にしても、更に省エネ効果の高い省エネモードに移行させるといったきめ細かな制御が困難であった。
【0003】
また、従来技術として特許文献1には、通信回線でホストに接続された複数台の自動販売機の運転モードを制御するに際し、手動で自動販売機に省エネ指示を与えると、通信回線を介してその旨をホストに通報し、これを認識したホストは、通信回線を介して全ての自動販売機に通常運転モードから省エネルギー運転モードへの切り換えを指示し、全ての自動販売機を省エネルギー運転モードに切り換える自動販売機の運転制御方法について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−69183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている従来技術は、ホストが複数の自動販売機を一元管理するシステムであり、何れか1台の自動販売機が手動により省エネモードになると、ホストが無条件に他の自動販売機を省エネモードに切り替えるため、切り替えを忘れたり間違って切り替えた場合、適切に省エネが実行できないばかりでなく、間違って省エネモードに切り替えられた他の自動販売機を稼働するまでに時間を要するといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、親機の自動販売機と少なくとも1台以上の子機の自動販売機を通信回線により接続し、親機の使用状態が予め設定した条件を満たした場合に、親機から通信回線を介して、子機を更に高い段階の省エネモードに移行させるコマンドを送信することにより、システム全体として省エネ効率を向上させることが可能な自動販売機の省エネシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、所定の区域内に設置された複数の自動販売機のうち、最も利用される頻度が高い自動販売機を親機とし、他の自動販売機を子機とし、前記親機と少なくとも1台以上の前記子機が通信回線により接続され、前記親機のコマンドに基づいて前記子機の省電力部を制御する自動販売機の省エネシステムであって、前記親機及び子機は、他の自動販売機との間で情報の授受を仲介する通信部と、制御部と、を夫々備え、前記親機の制御部は、予め設定した所定の設定条件を満たした場合、前記通信回線を介して前記子機の省電力部を制御するコマンドを送信することを特徴とする。
本発明では、子機は親機から送信されたコマンドに基づいて動作する。従って、子機が自ら判断して省エネモードへ移行することはできない。即ち、子機は省エネモードにするか否かは、全て親機からのコマンドにより指令されて動作するが、自動販売機として動作しているときに省エネモードにすべき旨の指令がきた場合は、その動作が終了してから省エネモードへ移行する。これにより、自動販売機の設置環境に適応した省エネモードを実行することができる。
請求項2は、前記親機は、利用者が近接したことを検知する人感センサを備え、該人感センサにより前記利用者が単位時間内に近接した回数が所定回数以下であることを検知した場合、前記設定条件を満たしたと判断して前記通信回線を介して省電力モードに移行させるコマンドを前記子機に送信することを特徴とする。
親機が最も使用頻度が高い環境に設置されている場合、親機が子機を省エネモードにするために求められる一つの条件は、利用者が単位時間内に親機に近接した回数が所定回数以下であることを検知したことである。そこで本発明では、親機に人感センサを備え、利用者が単位時間内に近接した回数が所定回数以下であることを検知した場合、通信回線を介して省電力モードに移行させるコマンドを子機に送信する。これにより、簡単な方法で親機の使用頻度を計測することができる。
【0007】
請求項3は、前記親機の制御部は、前記人感センサにより前記利用者が単位時間内に近接した回数が所定回数以上であることを検知した場合、前記設定条件を満たしたと判断して前記通信回線を介して前記省電力モードを解除して通常モードに移行させるコマンドを前記子機に送信することを特徴とする。
単位時間内に所定の回数以上利用者が親機に近接している場合は、親機の使用頻度が高いと見做すことができる。従って、このような時は、親機だけでは対応が不十分である可能性があるので、子機の省エネモードを解除して通常モードに移行させる。これにより、親機に集中して列を作っている利用者を分散させることができる。
請求項4は、前記親機の制御部は、現在時刻を計時する時刻計時手段を備え、該時刻計時手段により計時した現在時刻が過去の時間帯別売り上げ履歴より推定した該親機の時間帯別使用率が予め設定した所定値よりも少ない時間帯と一致した場合、前記通信回線を介して前記省電力モードに移行させるコマンドを前記子機に送信することを特徴とする。
親機が最も使用頻度が高い環境に設置されている場合、親機が子機を省エネモードに移行させるために求められる一つの条件は、過去の時間帯別売り上げ履歴から推定した時間帯別使用率が最も少なくなる時間帯であるか否かということである。そこで本発明では、親機に現在時刻を計時する時刻計時手段を備え、計時した時間が時間帯別使用率が最も少なくなる時間帯になったときに、通信回線を介して省電力モードに移行させるコマンドを子機に送信する。これにより、統計データに基づいて子機を省エネモードに移行するので、実稼働状態とのずれを少なくすることができる。
【0008】
請求項5は、前記省エネモードは、該自動販売機のスイッチ、及び画面表示の照明を消灯する第1段階と、該第1段階に加えて該自動販売機を構成する各ユニットを待機状態とする第2段階と、により構成されていることを特徴とする。
省エネモードの効果を高めるには、電力消費が大きい部分を省電力化するのが効果的である。しかし、電力消費が大きい部分は、一旦省電力モードにすると、通常モードに立ち上がるまでに時間がかかるといった課題がある。そこで本発明では、通常モードの立ち上がり時間の影響を受けない第1段階と、立ち上がり時間が長い第2段階とを設ける。これにより、状況に応じて最適な省エネモードを選択することができる。
請求項6は、前記親機は、前記子機に対して省エネモードに移行させるコマンドを送信した場合は、該親機の省エネモードを前記第1段階に設定すると共に、前記子機の省エネモードを前記第2段階に設定することを特徴とする。
親機は常に通常モードで待機しなければならない。そこで、親機は立ち上がり時間の影響を受けない第1段階の省エネモードとする。また、省エネの効果を高めるために、子機の省エネモードは第2段階とする。従って、親機が省エネモードに移行させるコマンドを送信した場合は、親機は第1段階、子機は第2段階の省エネモードとなる。これにより、システム全体として省電力の効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、子機を省エネモードにするか否かは、全て親機からのコマンドにより決定されるが、自動販売機として動作しているときに省エネモードにするべき旨の指令がきた場合は、その動作が終了してから実行されるので、自動販売機の設置環境に適応した省エネモードを実行することができる。
また、親機に人感センサを備え、利用者が単位時間内に所定の回数以上近接していないことを検知した場合、通信部を介して省電力モードに移行させるコマンドを子機に送信するので、簡単な方法で親機の使用頻度を計測することができる。
また、単位時間内に所定の回数以上利用者が親機に近接している場合は、子機の省エネモードを解除して通常モードに移行させるので、親機に集中して列を作っている利用者を分散させることができる。
また、親機に現在時刻を計時する時刻計時手段を備え、計時した時間が時間帯別使用率が最も少なくなる時間帯になったときに、通信部を介して省電力モードに移行させるコマンドを子機に送信するので、統計データに基づいて子機を省エネモードに移行するので、実稼働状態とのずれを少なくすることができる。
また、通常モードの立ち上がり時間の影響を受けない第1段階と、立ち上がり時間が長い第2段階とを設けるので、状況に応じて最適な省エネモードを選択することができる。
また、親機が省エネモードに移行させるコマンドを送信した場合は、親機は第1段階、子機は第2段階の省エネモードとなるので、システム全体として省電力の効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る自動販売機の一例として飲用品を販売する自動販売機の前面パネルを示す外観図である。
【図2】本発明の実施形態に係る親機の自動販売機と子機の自動販売機により構成される省エネシステムの機能を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る自動販売機の省エネモードを実施する際のレイアウトの一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る自動販売機の省エネモードの動作を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る自動販売機の省エネモードの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明の実施形態に係る自動販売機の一例として飲用品を販売する自動販売機の前面パネルを示す外観図である。この自動販売機20には、紙幣挿入口23、コイン投入口24、釣り銭口22が備えられており、現金利用者への対応が可能となっている。図中下方には商品を排出するための商品取出口25が配置されている。更に、図中上方には、販売商品の一覧を表示するタッチパネル21が設けられている。
次に本発明の自動販売機の概略動作について説明する。まず、利用者が商品を購入するために、紙幣挿入口23、又はコイン投入口24から金銭を投入することにより、タッチパネル21に全ての商品が表示される。このとき、利用者が近接したことを検知する人感センサにより、タッチパネル21に全ての商品が表示されるようにしてもよい。利用者は、その中から購入する商品を選択する。そして、図示しない確定ボタンにタッチすることにより、その商品が選択されたものと見做されて、投入料金が商品の購入料金以上であれば商品取出口25から払い出される。
【0012】
ここで、本発明では、所定の区域内に設置された複数の自動販売機のうち、最も利用される頻度が高い自動販売機を親機とし、他の自動販売機を子機とする。親機の自動販売機と少なくとも1台以上の子機の自動販売機を、LANのような通信回線により接続して、親機の指令に基づいて子機の省エネモードを制御するものである。例えば、図1の自動販売機20を親機とした場合、人感センサの動作回数を計測して、単位時間内の回数が多い場合は、この自動販売機20が頻繁に使用されていると見做すことができる。また、使用される頻度が長時間に亘る場合は、自動販売機20に利用者が集中して列をつくる可能性があるので、この自動販売機20に接続された図示しない子機の自動販売機にLANを介して省エネモードを解除して通常モードに移行するコマンドを送信する。逆に、単位時間内の人感センサの動作回数が少ない場合は、この自動販売機20の使用頻度が低下したと見做し、例えば、バックライトの照明を消灯して省エネモードに移行する。このとき、子機は当然親機より使用頻度が更に低下していると見做して、この自動販売機20に接続された図示しない子機の自動販売機にLANを介して省エネモードに移行するコマンドを送信する。
【0013】
図2は本発明の実施形態に係る親機の自動販売機と子機の自動販売機により構成される省エネシステムの機能を示すブロック図である。この省エネシステム100は、親機の自動販売機(以下、単に親機と呼ぶ)20と少なくとも1台以上の子機の自動販売機(以下、単に子機と呼ぶ)37が互いにLAN(通信回線)36により接続され、親機20のコマンドに基づいて子機37の省電力機能を制御する自動販売機の省エネシステムであって、親機20は、複数種類の商品を収納する商品収納部と商品収納部に収納された商品を払出す商品払出し機構とを有する商品処理部33と、商品情報を表示するタッチパネル(表示手段)32と、子機37との間で情報の授受を仲介する通信部35と、タッチパネル32を操作することにより選択された商品の価格についての決済を行なう金銭処理部30と、利用者が近接したことを検知する人感センサ34と、制御部31と、を備え、制御部31は、予め設定した所定の設定条件を満たした場合、通信部35を介して子機37へ省電力モードへ移行するコマンドを送信する。また、通信部35には外部の機器と情報の授受を行なうインターネット38と接続されている。尚、子機37の構成は基本的に親機20と同様であるので、説明を省略する。
本実施形態では、子機37は親機20から送信されたコマンドに基づいて動作する。従って、子機37が自ら判断して省エネモードに移行することはできない。即ち、子機37を省エネモードにするか否かは、全て親機20からのコマンドにより指令されるが、自動販売機として動作しているときに省エネモードにする指令がきた場合は、その動作が終了してから実行される。これにより、自動販売機の設置環境に適応した省エネモードを実行することができる。
【0014】
図3は本発明に係る自動販売機の省エネシステムの一例を示す図である。利用者の出入り口がイベント会場や施設に1箇所しかない場合、利用者は必ず出入り口を通過するので、その近傍の目立つ位置に自動販売機が設置される場合が多い。また、自動販売機1台では不足の場合は、出入り口から離れた場所に他の自動販売機を設置する場合がある。例えば、図3のように、イベント会場や施設39の出入り口40に親機20を設置し、子機37a、37bは出入り口40から離れた2箇所に設置した場合を想定する。そして親機20と子機37a、37bはLAN36により接続される。このような場合、殆どの利用者は親機20を利用する。従って、親機20の使用頻度が低下すると、当然、子機37a、37bの使用頻度は更に低下するので、そのような時は、LAN36を介して子機37a、37bを省エネモードにするコマンドを送信する。しかし、利用者が多いために親機20の前に利用者が長い列を作るようになると、他の利用者は、他の場所にも自動販売機が設置されていないかと探し、子機37aを見つけてそれを利用する。このとき、子機37aが省エネモードになっていると、通常モードで稼働するまでに時間がかかり利用者に不便をかけることになる。そこで本発明では、親機20は、人感センサにより、親機の利用者が単位時間内に近接した回数が所定回数以上であることを検知した場合、LAN36を介して子機37a、37bに省電力モードを解除して通常モードに移行させるコマンドを送信する。そのコマンドを受信した子機37a、37bは、省エネモードを解除して通常モードに移行して利用者を待機する。これにより、子機37aを探した利用者は、自動販売機が立ち上がるまで待たされることなく即座に利用することができる。尚、通常モードに移行させるコマンドを子機37a、37bに同時に送信せず、まず親機20に近い子機37aだけに送信して、親機20の利用者が多いために長時間待機する場合に、子機37bにも通常モードに移行させるコマンドを送信するようにしても良い。
【0015】
図4は本発明の第1の実施形態に係る自動販売機の省エネモードの動作を説明するフローチャートである。ここでは、説明を簡略化するために、親機と子機が1対1に接続されている場合(図2の形態)を想定する。まず、親機20の制御部31は人感センサ34を監視して(S1)、人感センサ34が利用者を検知しないと(S1でNO)、予め設定した所定の時間に達したか否かをチェックする(S2)。所定の時間に達していなければ(S2でNO)、ステップS1に戻って繰り返す。そしてこの状態が所定の時間以上継続すると(S2でYES)、利用者が継続して利用していないと判断して、親機20のバックライトを消灯し(S3)、通信部35からLAN36を介して子機37に対して現在のモードを問い合わせる(S4)。子機37はその問い合わせを受信すると、現在、省エネモードか通常モードかをチェックする(S14)。省エネモードであれば省エネモードであることを親機20に返信し(S15)、通常モードであれば通常モードであることを親機20に返信する(S20)。親機20はその返信を受信すると、子機37が省エネモードか通常モードかをチェックする(S5)。既に省エネモードであれば(S5でYES)ステップS1に戻る。また、通常モードであれば(S5でNO)、子機37に省エネモードのコマンドを送信する(S6)。そのとき、コマンドを受信した子機37が利用者により使用されて動作中であった場合は(S16でYES)、その動作が終了した時点で(S16でNO)子機37を省エネモードに移行して(S17)、省エネモード開始信号を親機20に送信する(S18)。親機20は子機37が省エネモードに移行したことを確認すると(S7でYES)、ステップS1に戻って繰り返す。尚、ステップS16で子機37が動作している確率は低いが、たまたま、子機37のそばにいた利用者が子機37を利用する場合もあり得る。
【0016】
一方、ステップS1で親機20の人感センサ34により利用者が検知されると(S1でYES)、親機20のバックライトを点灯して(S8)、人感センサ34が検知した回数をカウントする(S9)。そして、予め設定した時間(単位時間)になったか否かをチェックして(S10)、その時間に達していれば(S10でYES)カウンタをクリアしてステップS3に進んでバックライトを消灯して、以下、省エネモードに移行する。ステップS10で単位時間に達していなければ(S10でNO)、カウンタの値が所定回数以上に達しているか否かをチェックし(S11)、達していなければ(S11でNO)ステップS1に戻って繰り返す。ステップS11で所定回数以上に達していれば、親機の使用頻度が高くなり、親機20に利用者が長い列を作っている可能性があるので、子機37に対して通常モードのコマンドを送信する(S12)。子機37はこのコマンドを受信すると子機37を通常モードに移行する(S13)。
即ち、親機20が最も使用頻度が高い環境に設置されている場合、親機20が子機37を省エネモードに移行させるために求められる一つの条件は、利用者が単位時間内に親機20に近接した回数が所定回数以下であることを検知したことである。そこで本発明では、親機20に人感センサ34を備え、利用者が単位時間内に近接した回数が所定回数以下であることを検知した場合、LAN36を介して省電力モードに移行させるコマンドを子機37に送信する。これにより、簡単な方法で親機の使用頻度を計測することができる。
【0017】
また、単位時間内に所定の回数以上利用者が親機20に近接している場合は、親機20の使用頻度が高いと見做すことができる。従って、このような時は、親機20だけでは対応が不十分である可能性があるので、子機37の省エネモードを解除して通常モードに移行させる。これにより、利用者が親機20に長い列を作っている待たされることを防止することができる。
【0018】
図5は本発明の第2の実施形態に係る自動販売機の省エネモードの動作を説明するフローチャートである。図4と同じ動作は図4と同じ符号を付して説明を省略する。図5が図4と異なる点は、制御部31に現在時刻を計時する時刻計時手段を備え、この時刻計時手段により計時した現在時刻が過去の時間帯別売り上げ履歴より推定した親機の時間帯別使用率の最も少ない時間帯と一致した場合、通信部35を介して省電力モードに移行させるコマンドを子機37に送信する点である。即ち、ステップS1で人感センサ34が利用者を検知しないと(S1でNO)、時間帯別使用率が最も少ない時間帯をセットし(S21)、セットした時間帯になったか否かをチェックして(S22)、時間帯に達したら(S22でYES)ステップS3に進んでバックライトを消灯する。
即ち、親機20が最も使用頻度が高い環境に設置されている場合、親機20が子機37を省エネモードに移行させるために求められる一つの条件は、過去の時間帯別売り上げ履歴から推定した時間帯別使用率が予め設定した所定値よりも少なくなる時間帯であるか否かということである。そこで本発明では、親機20に現在時刻を計時する時刻計時手段を備え、計時した時間が時間帯別使用率が予め設定した所定値よりも少なくなる時間帯になったときに、通信部35を介して省電力モードに移行させるコマンドを子機37に送信する。これにより、統計データに基づいて子機37を省エネモードに移行するので、実稼働状態とのずれを少なくすることができる。
【0019】
また、省エネモードは、自動販売機の看板、スイッチ、及び画面表示の照明を消灯する第1段階と、この第1段階に加えて自動販売機を構成する各ユニットを待機状態とする第2段階により構成した場合、省エネモードの効果を高めるには、電力消費が大きい部分を省電力化するのが効果的である。しかし、電力消費が大きい部分は、一旦省電力にすると、通常モード立ち上がるまでに時間がかかるといった課題がある。例えば、紙幣処理ユニットは、紙幣搬送用の駆動部や多数のセンサを備えているため紙幣の投入待ちをしているときでも消費電力が多くなる。しかし、電力供給を断にすると、電力を再投入してもイニシャル動作を済ませるまでは紙幣の投入を受け付けることができない。そこで本実施形態では、通常モードの立ち上がり時間の影響を受けない第1段階と、立ち上がり時間が長い第2段階とを設ける。これにより、状況に応じて最適な省エネモードを選択することができる。
また、親機20は常に通常モードで待機しなければならない。そこで、親機20は立ち上がり時間の影響を受けない第1段階の省エネモードとする。また、省エネの効果を高めるために、子機37の省エネモードは第2段階とする。従って、親機20が省エネモードに移行させるコマンドを送信した場合は、親機20は第1段階、子機37は第2段階の省エネモードとなる。これにより、システム全体として省電力の効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0020】
20 自動販売機(親機)、21 タッチパネル、22 つり銭口、23 紙幣挿入口、24 コイン投入口、25 商品取出口、30 金銭処理部、33 商品処理部、31 制御部、34 人感センサ、35 通信部、36 LAN、37 自動販売機(子機)、38 インターネット、100 省エネシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の区域内に設置された複数の自動販売機のうち、最も利用される頻度が高い自動販売機を親機とし、他の自動販売機を子機とし、前記親機と少なくとも1台以上の前記子機が通信回線により接続され、前記親機のコマンドに基づいて前記子機の省電力部を制御する自動販売機の省エネシステムであって、
前記親機及び子機は、他の自動販売機との間で情報の授受を仲介する通信部と、制御部と、を夫々備え、
前記親機の制御部は、予め設定した所定の設定条件を満たした場合、前記通信回線を介して前記子機の省電力部を制御するコマンドを送信することを特徴とする自動販売機の省エネシステム。
【請求項2】
前記親機は、利用者が近接したことを検知する人感センサを備え、該人感センサにより前記利用者が単位時間内に近接した回数が所定回数以下であることを検知した場合、前記設定条件を満たしたと判断して前記通信回線を介して省電力モードに移行させるコマンドを前記子機に送信することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の省エネシステム。
【請求項3】
前記親機の制御部は、前記人感センサにより前記利用者が単位時間内に近接した回数が所定回数以上であることを検知した場合、前記設定条件を満たしたと判断して前記通信回線を介して前記省電力モードを解除して通常モードに移行させるコマンドを前記子機に送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の自動販売機の省エネシステム。
【請求項4】
前記親機の制御部は、現在時刻を計時する時刻計時手段を備え、該時刻計時手段により計時した現在時刻が過去の時間帯別売り上げ履歴より推定した該親機の時間帯別使用率が予め設定した所定値よりも少ない時間帯と一致した場合、前記通信回線を介して前記省電力モードに移行させるコマンドを前記子機に送信することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の自動販売機の省エネシステム。
【請求項5】
前記省エネモードは、該自動販売機のスイッチ、及び画面表示の照明を消灯する第1段階と、該第1段階に加えて該自動販売機を構成する各ユニットを待機状態とする第2段階と、により構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の自動販売機の省エネシステム。
【請求項6】
前記親機は、前記子機に対して省エネモードに移行させるコマンドを送信した場合は、該親機の省エネモードを前記第1段階に設定すると共に、前記子機の省エネモードを前記第2段階に設定することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の自動販売機の省エネシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−191597(P2010−191597A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34078(P2009−34078)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(305027456)ネッツエスアイ東洋株式会社 (200)
【Fターム(参考)】