説明

自動販売機

【課題】誘導加熱式の缶商品加熱装置を搭載した自動販売機に関し、缶商品の具材、加熱前の温度に関わらず、信頼性の高い均一な加熱を効率よく行える缶商品の誘導加熱装置を備えた自動販売機を提供することを目的とする。
【解決手段】温度検知手段43と、缶商品18毎の温度上昇度を設定する温度上昇度設定手段44を備え、予め缶商品18の温度上昇度を設定し、缶商品18を加熱販売する際の加熱前の温度と缶商品18の目標温度との温度差と、缶商品18の温度上昇度から加熱時間を特定し、誘導加熱装置17の加熱を終了することで、おでんのような具材が入った缶商品18のように缶商品内の熱伝導率が異なるような場合においても、加熱前の温度が異なる場合においても、多品種の缶に対応して安定的に加温することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動販売機内に誘導加熱式の缶商品加熱装置を搭載し、販売された缶商品を急速加熱する誘導加熱式の缶商品加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の缶商品を誘導加熱コイルを介して加熱し販売を行う自動販売機の制御装置には、缶商品の重量を検知し、その重量に比例した加熱時間もしくは通電電流の大きさで誘導加熱する制御装置について開示したものがある。
【特許文献1】特開平2−81198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の誘導加熱装置の構成では、おでんやラーメンなどの具材が入った缶商品などがあり、同じ重量でも具材がない缶商品と具材がある缶商品では、缶商品内の熱伝導率が異なるため、缶商品に応じた出来上がり温度とならないという課題を有していた。
【0004】
また、缶商品の重量に比例した加熱時間もしくは通電電流の大きさで誘導加熱するため、商品の保存温度が異なる場合には、缶商品の出来上がり温度が異なってしまう課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、缶商品の具材、加熱前の温度に関わらず、信頼性の高い均一な加熱を効率よく行える缶商品の誘導加熱装置を備えた自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために、本発明の自動販売機は、缶商品を電磁誘導加熱方式によって加熱する缶商品の誘導加熱装置を備えた自動販売機において、前記誘導加熱装置に、前記缶商品の表面温度を検知する温度検知手段と、前記缶商品の温度上昇度を設定する温度上昇度設定手段を備え、前記温度上昇度入力手段により前記缶商品の温度上昇度を設定し、缶商品加熱販売の際に前記温度検知手段により加熱前の前記缶商品の表面温度を算出し、前記缶商品の目標温度と加熱前の温度との温度差を算出し、記憶している前記缶商品の温度上昇度から加熱時間を特定し、その加熱時間を経過したとき、前記誘導加熱装置の加熱を停止するものである。
【0007】
これによって、おでんのような具材が入った缶商品のように缶商品内の熱伝導率が異なるような場合においても、加熱前の温度が異なる場合においても、加熱前の缶商品の温度と目標温度の温度差を算出し、あらかじめ想定された缶商品の温度上昇度により加熱時間を算出するので、中身飲料温度を最適温度に加温することができ、多品種の缶に対応して安定的に加温することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自動販売機は、缶商品に応じた温度上昇度を設定し、加熱前の缶商品の表面温度と目標温度により温度差を算出し、設定した温度上昇度により最適温度になるまでの加熱時間を算出し加熱制御を行うので、多品種の缶に対応して中身飲料温度を最適温度に加温することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
請求項1に記載の発明は、缶商品を電磁誘導加熱方式によって加熱する缶商品の誘導加熱装置を備えた自動販売機において、前記誘導加熱装置に、前記缶商品の表面温度を検知する温度検知手段と、前記缶商品の温度上昇度を設定する温度上昇度設定手段を備え、前記温度上昇度入力手段により前記缶商品の温度上昇度を設定し、缶商品加熱販売の際に前記温度検知手段により加熱前の前記缶商品の表面温度を算出し、前記缶商品の目標温度と加熱前の温度との温度差を算出し、記憶している前記缶商品の温度上昇度から加熱時間を特定し、その加熱時間を経過したとき、前記誘導加熱装置の加熱を停止するものであり、おでんのような具材が入った缶商品のように缶商品内の熱伝導率が異なるような場合においても、加熱開始前の温度が異なる場合においても、加熱前の缶商品の温度と目標温度の温度差を算出し、あらかじめ想定された缶商品の温度上昇度により加熱時間を算出するので、中身飲料温度を最適温度に加温することができ、多品種の缶に対応して安定的に加温することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、加熱時間を補正できる加熱時間補正設定手段を備え、特定した加熱時間を前記加熱時間補正設定手段にて更に補正可能としたものであり、オペレータにより、好みに応じた缶商品の出来上がり温度に補正することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、加熱運転停止した際の缶商品の表面温度が、あらかじめ設定された限界温度を超えたときは、加熱した缶商品を搬出しないものであり、オペレータによる温度上昇度設定手段、加熱時間補正手段による設定ミスがあった場合に商品が非常に高温となってしまい、購入者が不安全になることを防止することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、故障が発生した際に故障を表示する故障表示手段を備え、加熱運転停止した際の缶商品の表面温度が、あらかじめ設定された限界温度を超えたときは、故障表示手段により故障を表示するものであり、オペレータによる温度上昇度設定手段による設定ミスがあることを故障表示手段によりオペレータに知らせることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の発明において、加熱運転停止した際の缶商品の表面温度が、あらかじめ設定された限界温度を超えたときは、対象となる缶商品を売り切れにするものであり、オペレータによる温度上昇度設定手段、加熱時間補正手段による設定ミスがあった場合に缶商品が払い出されないこととなるため、それ以降の販売を行えないようにすることができる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、加熱運転停止した際の缶商品の表面温度が、あらかじめ設定された限界温度を超えたとき、加熱した前記缶商品を搬出せず保持した後、前記缶商品の表面温度の平均温度が、時間経過により、あらかじめ設定された安全温度になったときは、加熱した缶商品を払い出すものであり、オペレータによる温度上昇度設定手段、加熱時間補正手段による設定ミスがあり、缶商品が払い出されず、それ以降の販売が行えない状態においても、安全温度となった場合には、加熱した前記缶商品を払い出すことで、販売機会を逃すことを回避することができる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1を示す自動販売機の正面図である。図2は同実施の形態の自動販売機の縦断面図である。図3は同実施の形態の自動販売機における缶商品の誘導加熱装置の斜視図である。図4は同実施の形態の自動販売機における缶商品の誘導加熱装置の正面図である。図5は図4の矢視Aの側面図である。図6は図4の矢視Aの側面図である。図7は図4のB−B線の断面図である。図8は図4の矢視Cの平面図である。図9は同実施の形態の自動販売機における缶商品の誘導加熱装置の搬出機構を示す図である。図10は同実施の形態の缶商品の表面温度と中身温度との関係を示す図である。図11、図12は、同実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【0017】
図において、自動販売機本体11内には複数の商品収納室11aが区画構成されて種々の缶商品18がそれぞれ収納されている。自動販売機本体11の前面開口部には外扉12が配置されている。外扉12の上部に商品サンプル展示室13、その下方に商品の広告などを掲示する広告パネル室14と金銭投入部15が横並びに備えられ、外扉12の下部には選択された商品18を排出する商品取出口16が備えられている。そして商品取出口16と隣り合わせに缶商品の誘導加熱装置17が設置され商品収納室11aの下部から商品18を受け入れるように関連づけられている。そして、誘導加熱装置17の商品排出側は商品取出口16と連通し、缶商品の誘導加熱装置17で加熱された飲料等の流動性内容物に代表される缶商品18は商品取出口15から取り出せるように形成されている。
【0018】
また、誘導加熱装置17の高さ方向の配置位置に関しては、特に商品取出口16よりも下方の位置に配置されるように構成されている。すなわち、上から順に商品収納室11aの商品を排出する下端部、商品取出口16の商品の落下する底部、誘導加熱装置17の商品が載置される下端部、という高さ方向の配置関係となっている。
【0019】
以下に誘導加熱装置17による加熱構造について説明する。
【0020】
誘導加熱装置17は、缶商品18を倒置姿勢に受容保持する断面略円弧状(以下、樋状という)の商品受台19と、商品受台19の裏面に巻装した誘導加熱コイル20と、商品受台19の近傍にあり、下方から缶商品18の周面に当接する回転手段としての下部ローラ21と、下部ローラ21の下方に下部ローラ駆動モータ22が設置され、下部ローラ21と下部ローラ駆動モータ22がベルト23によって連結されて下部ローラ21を回転駆動させる構成となっている。
【0021】
誘導加熱コイル20と下部ローラ21とは所定の間隔Lをおいて離間した位置に配置されており、誘導加熱コイル20の配置されている領域内に下部ローラ21が埋め込まれて存在するものではない。
【0022】
また、誘導加熱コイル20の形状は上記のような断面略円弧状や樋状に限るものではなく、缶商品18を倒置姿勢に受容保持して適切な加熱を行えるような形状であればよい。
【0023】
商品受台19は樹脂などの非磁性材で形成され、商品受台19の周縁部には裏面に向かってフランジ部19aを形成し商品受台19の裏面には、このフランジ部19aに囲まれた空間部19bを形成している。誘導加熱コイル20はこの空間部19bに形成されている。商品受台19は誘導加熱装置17を形成する外枠24にビス等で固定されている。
【0024】
なお、商品受台19を形成する材料は、缶商品18の回転動作と接触摺動することになるので、樹脂の場合であると、例えば低摩擦,低摩耗の特性を有する高密度ポリエチレン等の樹脂で形成することが好ましい。
【0025】
誘導加熱装置17は外枠24で周囲を覆って形成されている。具体的には商品受台19の背面を固定する背面壁24a、商品受台19の下面を固定する底壁24b、商品受台19の両端側で誘導加熱装置17の両側壁を形成する側壁24c、24d、背面壁24aに対応する前面壁24eで覆われている。具体的には図のように外枠24の側壁24aと底壁24bに商品受台19の裏側を固定できるように設置され、商品受台19の上部が側壁24aに沿うように配置し、商品受台19の下部が底壁24bに載置するように設置されている。
【0026】
また下部ローラ21は内部に金属性の軸21aと、軸21aの外側に延長して樹脂製のローラ部材21bを備え、ローラ部材21bには軸21a方向に延長してゴム部材21cで覆われている。ゴム部材21cの表面には細かな溝を形成していてもよい。
【0027】
また下部ローラ21の両端は軸21aによって誘導加熱装置17の側壁24cと側壁24dに軸支され、軸21aの一端側と下部ローラ駆動モータ22には滑車25を備え、ベルト23を介して連結されている。
【0028】
上記のように、誘導加熱装置17は外枠24の上部に誘導加熱コイル20を備えた樋状の商品受台19を背面壁24aと底壁24bに立て掛けるように固定し、商品受台19の下端縁19c近傍に下部ローラ21が備えられ、外枠24の底壁24bの下部は側壁24c、24dと前面壁24eに周囲を覆われ、内部に下部ローラ駆動モータ22と誘導加熱コイル20の発熱による熱を強制排熱するための排熱ファン26が設置され、前面壁24eには排熱ファン26に対応する部分に排熱孔27が形成されている。
【0029】
また背面壁24aには上部にも孔28を備え、この孔28は誘導加熱コイル20に対応する部分に形成されている。また少なくとも背面壁24aはアルミ製板で形成されている。
【0030】
次に、自動販売機本体11内における誘導加熱装置17の配置構成について述べると、高さ方向の配置関係は上述のとおり、誘導加熱装置17の缶商品18が載置される下端部は商品取出口16の底部よりも下方に位置し、概ね誘導加熱装置17は商品取出口16の下方に通常存在する外扉12の空間スペースを活用して配置できるようにしている。
【0031】
商品取出口16は、商品購入者の取り出し性を高めて腰を屈める負担を軽減するために通常、外扉12の最下部にレイアウトせず、それよりも上部の適所に配置構成されるために、通常、商品取出口16の下方にいわゆるデッドスペースとなる空間が存在するものである。
【0032】
そして、このデッドスペースとなる空間内をほぼ活用して配置される誘導加熱装置17は、缶商品18の排出側が上向きとなるような傾斜姿勢で配置される。したがって、誘導加熱装置17内から商品取出口16内に缶商品18を排出するためには缶商品18の自重に抗して移動させる排出機構を別途必要としている。
【0033】
以上のように構成された誘導加熱装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0034】
誘導加熱装置17の商品受台19に上部から缶商品18が倒置姿勢で投入されると、下部ローラ21は下部ローラ駆動モータ22の駆動により滑車25に引っ掛けたベルト23を介して軸21aを回転させ、軸21aに圧入されたローラ部材21bを同時に回転させて回転駆動している。
【0035】
また、図5のように下部ローラ駆動モータ22は下部ローラ21が反時計回りに回転するように回転することで缶商品18を回転させるとともに誘導加熱コイル20に高周波電流を通電して缶商品18を誘導加熱する。そして所定時間の加熱が経過すると誘導加熱コイル20への給電、下部ローラ駆動モータ22を停止する。
【0036】
下部ローラ21回転時、ゴム部材21cが缶商品18に当接しているので缶商品18はグリップが効いて空回りすることなく回転することができ、局部加熱することなく適温に加熱することができる。また缶商品18の下部が誘導加熱コイル20と下部ローラ21に挟まれており、図4のように、下部ローラ21が反時計回りに回転するので缶商品18は時計回りに回転し、図5のように商品受台19が設置されているので缶商品18は商品受台17から飛び出すことはない。なお、缶商品18の空回りが避けられるならばゴム部材21cに代わる部材やゴム部材21cなしで可能な材料で下部ローラ21を形成してもよい。
【0037】
また商品受台19は倒置姿勢の缶商品18より長く形成されている。これに伴って下部ローラ21も少なくとも商品受台19の長さ以上に長く備えられているので、缶商品18が商品受台17上のどこに倒置して設置しても、缶商品18を固定することなく回転させることができ局部加熱を防ぐことができる。つまり、缶商品18の長さに関わらず安定した加熱が行える。一方、商品受台19の上方は開放して缶商品18を規制する部材を有さず、回転により商品受台19との下部接触面で均一加熱が可能であるため、商品の外径の大小にも左右されず加熱が行える。すなわち缶商品18の大小に関わらず安定した加熱品質を提供できるものである。
【0038】
なお、回転手段としての下部ローラ21は商品受台19の長さ以上に軸方向長さが長いことが好ましいが、これより短い形態であっても、実質的な缶商品18との当接面が下部ローラ21の軸方向に十分確保できて安定した回転が行えるものであれば差し支えない。
【0039】
限定されるものではないが、目安として受け入れが想定される缶商品18の全長よりも下部ローラ21の接触面の長さが長ければ、想定される缶商品18の全長に対する商品受台19の長手方向の寸法設計の合理的範囲より、缶商品18の商品受台19への受け入れ時に軸方向に位置ずれしても実質的には缶商品18の全長方向の大部分を下部ローラ21の接触面で受けることになり、安定した回転動作に大きな支障は生じない。
【0040】
また、ゴム部材21cに細かな溝が形成されていれば、さらに缶商品の空回りを低減し、回転駆動させることができる。
【0041】
また缶商品18の加熱時、誘導加熱コイル20は発熱し背面壁24aにも熱が伝熱される。背面壁24aはアルミ製板であるので、鉄板よりは熱伝導率が低く伝熱を低減することができるが、十分ではないので、排熱ファン26によって、背面壁24aの孔28から外部の空気を取り入れ、底壁24bに形成した底孔29に連通させて、排熱孔27から外部へ排熱し、背面壁24aの異常な加熱を防止することができる。また下部ローラ駆動モータ22の発熱も排熱ファン26によって低減することができるので、モータの信頼性を確保することができる。
【0042】
一方、図4のように誘導加熱装置17の商品受台19の上部に姿勢制御部材30が形成され、商品受台19の幅方向(長さ方向)に移動自在に形成してもよい。姿勢制御部材30は商品受台19の上部に形成した上部ローラ31に移動自在に挿入されている。上部ローラ31は軸として金属性の軸31aと、軸31aの外側に幅方向に延長して樹脂製のローラ部材31bで形成されている。ローラ部材31bには軸31a方向に溝31cが形成されている。
【0043】
上部ローラ31は商品受台19の上部で背面壁24a側に商品受台19の幅方向に延在して形成され、姿勢制御部材30は樹脂製であり缶商品に接触しても傷つきがないようにしており、前面壁24e側に向かって水平に延びている。
【0044】
上部ローラ31の回転駆動は上部ローラ駆動モータ32の駆動によって行われる。上部ローラ駆動モータ32は商品受台19の下方に備えた下部ローラ駆動モータ22と横並びに配置している。そして上部ローラ31と上部ローラ駆動モータ32はベルト33を介して連結されている。
【0045】
以上のように構成された誘導加熱装置の姿勢制御機構について、以下その動作、作用を説明する。
【0046】
誘導加熱装置17の上方から缶商品18が投入される。このとき倒置姿勢で商品受台19にセットされれば良いが、商品受台19に缶商品18が立ち姿勢で投入される場合がある。このまま加熱すると、商品受台19との接触部のみが局部加熱を起こし商品が破損したり適温に加熱されないおそれがある。
【0047】
したがって、まず姿勢制御部材30は初期位置である商品受台19の端部に位置し、缶商品18が誘導加熱装置17に投入されると、缶商品18の姿勢状態にかかわらず上部ローラ駆動モータ32を駆動させ、上部ローラ31が回転駆動し、姿勢制御部材30が商品受台19の端部から他方の端部へ溝31cに沿って移動する。そして端部まで移動すると、上部ローラ駆動モータ32を逆回転させ、上部ローラ31を逆回転させて姿勢制御部材30を初期位置まで戻す。そして初期位置まで戻ってきたことを確認した後、加熱動作を行う。
【0048】
これによって缶商品18が商品受台19上に立ち姿勢であれば、姿勢制御部材30の移動動作によって缶商品18を商品受台19上に倒すことができ、立ち姿勢による局部加熱を防ぐことができる。姿勢制御部材30は缶商品18が立ち姿勢にある場合、缶商品18の中間よりも上部に当たるように配置されているので、商品が立ったまま商品受台19上を引きずられることを防ぐことができる。
【0049】
また姿勢制御部材30は商品受台19を幅方向に往復移動させるので、缶商品19が倒れず初期位置に姿勢制御部材30が戻ってこないと判断すると、加熱動作を行わないので缶商品18の局部加熱や破損を防ぐことが出来る。
【0050】
上記以外に姿勢制御部材30を往復移動させず、片側移動によって制御し、次の加熱動作を判断してもよい。この場合、缶商品18投入から加熱動作を行うまでの時間を短縮でき、利用者への待ち時間を低減することができる。
【0051】
次に、誘導加熱装置17による缶商品の搬出機構について説明する。
【0052】
搬出機構の直接的な動作は、搬出部材33によって商品受台19で加熱された後の缶商品18を缶の長手方向に滑らせて外部へ押し出すものである。搬出部材33は樹脂製材料で形成され缶商品18に接触しても傷つきがないようにしており、搬出部材33の端部には溝を有した挿入孔33aを備え、下部ローラ21を挿入している。下部ローラ21も溝34を軸方向に向かって延在して形成し、溝34と溝34の間の缶商品18に当接する一連の当接部35が軸方向に向かって延在し、当接部35にはゴム部材36で表面を覆われている。
【0053】
下部ローラ駆動モータ22にベルト33を介して連結される下部ローラ21の一端部分には溝34やゴム部材36が形成されていない搬出部材33を待機させる待機部分37を形成している。待機部分37は下部ローラ21を構成するローラ部材21bと一体成形されており、待機部分37の外径はローラ部材21bの外径より小さく形成されている。また待機部分37にはバネ部材38が挿入されローラ部材21bの端部に固定されている。
【0054】
また、誘導加熱装置17の商品受台19の端部には開口部39が形成され、開口部39を開閉する上下方向に移動可能な開閉部材40が形成されている。図8は図4の矢視Cの図である。開閉部材40は背面壁24aと前面壁24eに上下方向に形成されたレール41に沿って上下方向に移動可能である。
【0055】
開閉部材40は樹脂製であり、略中央部に上下方向に開口した開口部40aを備え、開口部40aには開閉部材駆動モータ42とラックピニオン式に移動するように歯40bが形成されている。
【0056】
開閉部材駆動モータ42は上部ローラ駆動モータ32や下部ローラ駆動モータ22と同じ空間部に配置されている。
【0057】
以上のように構成された誘導加熱装置の搬出機構について、以下その動作、作用を説明する。
【0058】
誘導加熱装置17の上方から缶商品18が投入され、缶商品18の姿勢制御機構による動作後、加熱動作が行われ、適温に加熱した後、商品受台19から缶商品18を外部へ搬出する搬出機構による動作が行われる。
【0059】
加熱動作時、下部ローラ21が回転することで当接部35が缶商品18に当接して缶商品18を回転(自転)させるとともに誘導加熱コイル20に高周波電流を通電して缶商品18を誘導加熱する。これによって一連の当接部35が缶商品18に当接するので缶商品18を自転させることができる。
【0060】
またこの時、搬出部材33は下部ローラ21の回転により挿入孔33内に形成された溝34との関係によって、初期位置である待機部分37側に移動するように構成されており、搬出部材33は溝34や当接部35から離脱して待機部分37に誘導される。搬出部材33は待機部分37内でスリップ(空回り)しながら維持される。下部ローラ21の回転によって、さらに側壁24c側へ移動しようとする搬出部材33はバネ部材38によって商品受台19側に付勢されるので側壁24cにかかる荷重を低減することができる。またこのバネ部材38を備えることによって、搬出部材33の破損を防止できる。
【0061】
そして加熱動作が終了し、下部ローラ21が停止すると、次に缶商品18の搬出動作を行う。このとき、下部ローラ駆動モータ22に逆通電し、下部ローラ21は加熱時の逆回転を行う。これによって搬出部材33は下部ローラ21の待機部分37から溝34に沿って移動し倒置姿勢の缶商品18に当接し倒置姿勢のまま商品受台19上を押して行くことで滑らせて外部へ搬出する。
【0062】
搬出部材33は商品受台19の端部まで移動すると、下部ローラ21を加熱時と同じ方向に回転させて、搬出部材33を初期位置である待機位置37に移動させる。
【0063】
よって加熱後の缶商品18を自動的に外部へ搬出することができるので利用者は誘導加熱装置17内に手を入れて取り出す必要がなく安全を確保することができる。また商品搬出後、搬出部材33を待機位置37に戻すことで、商品がユニット内に詰っているかどうかを制御することができ、所定時間の間に待機位置37に戻らない場合は商品詰まりとして異常判断することができる。
【0064】
次に、誘導加熱装置17内に缶商品18が投入される前の待機時は、開閉部材40は開口部40aを閉じて商品受台19に触れられず、異物等が侵入することがないようにしている。また、缶商品18の投入時に誘導加熱装置17外に缶商品の一部が誤って飛び出すことも防止するほか、加熱中の装置内空間を開放せず加熱効率を高める役割もある。
【0065】
缶商品18が投入されると、姿勢制御機構により倒置姿勢に維持され、加熱動作によって商品を加熱し、その後下部ローラ21を駆動させて搬出部材33を初期位置から移動開始させると同時に、開閉部材駆動モータ42を駆動させて開閉部材40をレール41に沿って開いて適温に加熱した缶商品18を搬出する。開閉部材40は開閉部材駆動モータ42の駆動により上下方向に形成した歯40bとラックピニオン式により下方へ移動して開口部39を開いて商品受台19から商品を搬出する。
【0066】
このとき、開口部39には搬出部材33が移動しており、開口部39を搬出部材33で塞ぐことになり、缶商品18の搬出時に開口部39から内部に手や異物を挿入されるのを防ぐことができる。
【0067】
そして搬出部材33が初期位置方向へ移動する前に、先に開閉部材駆動モータ42を駆動させ開閉部材40で開口部39を閉じて、その後搬出部材33を初期位置に戻すことで一連の動作の中で、商品受台19内に手や異物が入るのを阻止することができる。また安全性を確保できる。
【0068】
また、同じ空間内に駆動モータを配置し、排熱ファン26を備えて排熱しているので駆動モータの発熱によるモータの信頼性低下を阻止することができる。
【0069】
そして、上述した誘導加熱装置17と商品取出口16の高さ方向の配置関係により、缶商品18を誘導加熱装置17外に排出する排出機構は、斜め上方に向けて傾斜設置された誘導加熱装置17に設けられる商品受台19の面上を商品18の長手方向に斜め上方に摺動させて移動させるように構成されている。すなわち、搬出機構の搬出部材33は斜め上方に缶商品18を押し上げながら移動し、最後には開口部39より商品取出口16内に缶商品18を落下排出させることができる。
【0070】
したがって、このような構成をとることにより、誘導加熱装置17を商品取出口16に対して相対的に下方となるように配置しても缶商品18の排出は支障なく可能であり、これにより、通常の自動販売機ではデッドスペースとなっている商品取出口16の下方空間を有効に活用して誘導加熱装置17を備えることができる。このため、従来技術のように商品収納室11aに利用する有効な庫内スペースを割いて誘導加熱装置17を設ける必要がなく、庫内スペースを商品収納室11aに最大限有効活用できる。
【0071】
さらに、誘導加熱装置17は外扉12側の商品取出口16の下方空間に収容するものであるため、現状一般的に使用される自動販売機の商品収納室11aを含めた庫内側の構成や商品取出口16を含む外扉12の構成をほとんど変更せずに、新たに、誘導加熱装置17を備えて商品の急速加熱機能を有する付加価値の高い自動販売機を実現できるメリットがある。
【0072】
なお、本実施の形態においては、誘導加熱コイル20と回転手段である下部ローラ21とは所定の間隔Lをおいて離間した位置に配置されている構成のものを前提に説明したが、姿勢制御機構や搬出機構は、いずれもその機構そのものに特有の作用効果を有するものであるので、誘導加熱コイル20と回転手段である下部ローラ21の配置関係については、所定の離間関係にあるものでなくても構わず、誘導加熱コイル20の領域と回転手段である下部ローラ21の配設位置が重なり合うものでも組み合わせ構成が可能であり特有の効果を期待することができる。
【0073】
次に、缶商品18の温度を検知する温度検知手段である非接触式温度検知手段43について説明する。
【0074】
図4のように、前面壁24eに非接触式温度検知手段43を設置するホルダー44をビス等で固定する。ホルダー44内には非接触式温度検知手段43(例えば赤外線センサー)が保持されている。
【0075】
非接触式温度検知手段43は商品受台19の長手方向(幅方向)の略中間部で、下部ローラ21近傍に配置されている。缶商品は下部ローラ21に当接配置するので缶外径の大小にかかわらず缶商品と非接触式温度検知手段43との距離はほぼ一定に保つことが出来る。したがって商品受台19のどの位置に缶商品18が倒置されても缶商品と一定の距離が保てるように配置することができる。
【0076】
以上のように構成された誘導加熱装置の缶商品18の検知手段について、以下その動作、作用を説明する。
【0077】
商品受台19に倒置姿勢に維持された缶商品18は下部ローラ21の回転により自転を行う。そして缶商品18は非接触式温度検知手段43によってその表面が所定温度になったことを検知したときに誘導加熱コイル20への給電を停止し、回転駆動も停止される。したがって非接触式温度検知手段43を下部ローラ21近傍で商品受台19の長手方向の略中間部に設置することで、缶商品の外径大小にかかわらず適温に加熱することができる。
【0078】
次に、温度検知手段43の測定温度に基づいて、加熱を制御する場合について説明する。
【0079】
誘導加熱装置17による加熱対象の缶商品18が商品選択ボタン(図示しない)の押圧操作によって、商品収納室11a内に約30℃程度の中身飲料が劣化しない温度に保温されている缶商品18が商品受台19に搬送され、商品姿勢制御部材30を動作させて缶商品18を商品受台19上に強制的に倒置姿勢に受容させる。この商品姿勢制御部材30の動作中は、誘導加熱コイル20には通電されず、加熱待ち時間としている。
【0080】
また、この加熱待ち時間は誘導加熱コイル20のコイル温度を下げるための安全保護としてでもあり、この間に温度検知手段43で加熱前の缶商品18の缶商品の表面温度を測定する。
【0081】
この加熱待ち時間中の缶商品18の表面温度は、約30℃で、中身飲料温度とほぼ同一温度である。そして、商品姿勢制御部材30の動作が初期位置に戻って終了すると、誘導加熱コイル20に通電し、同時に缶商品18を下部ローラ21によって回転させる。
【0082】
図10のように、加熱を開始すると缶商品18の表面温度は約60℃に急上昇し、その後、温度上昇度は小さくなって、ほぼ温度上昇度は等しく維持される。温度検知手段43によって測定すると、実際には測定誤差が生じ、測定温度にバラツキが生じる。このように缶商品の表面温度の測定に測定誤差が含まれる中で、中身飲料温度を適温(例えば約55℃)に加熱するために、直接測定される缶商品の表面温度Taと中身飲料温度Tbとの相関を算出して適温に制御する必要がある。
【0083】
そこで、誘導加熱装置17の運転により、缶商品18の表面温度と中身飲料温度との相関を検証するために、実験すると図10のようになる。上述したように、温度測定には測定誤差が生じるため、0.1秒ごとに測定された缶商品の表面温度データを10秒間隔で平均温度を算出、いわゆる最小二乗法による算出により、缶商品の表面温度の温度上昇度を表し、また中身飲料温度も同様に算出して中身飲料温度の温度上昇度を表すと図のようになることがわかる。
【0084】
この検証実験により、加熱開始から約5秒後には、缶商品の表面温度の上昇度はほぼ一定になり、また中身飲料温度の温度上昇度と缶商品の表面温度の温度上昇度は、ほぼ同じ上昇度になる。
【0085】
実際の缶商品18の販売においては、中身飲料温度を直接検知することはできないので、上記の検証実験より、缶商品の表面温度と中身飲料温度との温度上昇度が加熱開始後、約5秒後以降はほぼ一定になることから、缶商品の表面温度の測定のみによって中身飲料温度を特定することができる。
【0086】
そして図10より、缶商品の表面温度の加熱開始時点t0での缶商品の仮想表面温度T0を算出し、目標設定値となる中身飲料温度(例えば55℃)と加熱前の中身飲料温度(例えば30℃)との温度差(上昇必要温度)を缶商品の仮想表面温度T0に加えた缶商品の目標表面温度が、缶中身飲料温度が目標温度55℃になったときの缶商品18の表面温度となり、温度検知手段43で検知した値が缶商品の目標表面温度になったとき、誘導加熱コイル20の通電を停止する。
【0087】
しかしながら、おでんのような具材が入った缶商品18の場合には、回転しながら缶商品18の表面温度の平均温度を測定した場合に、缶商品内の具材の温度が缶商品18の表面温度に影響し、缶商品18の表面温度が上昇、下降する場合が継続的に、もしくは突発的に発生する場合があり、最小二乗法による演算では、最小二乗法の缶商品の表面温度の温度上昇度が一定の値を示さず、結果として出来上がり温度にバラツキが発生してしまう。しかしながら、缶表面温度では上記のような現象となるものの、具材の影響を除けば、具材が入っていない場合と同様の温度上昇度と考えられ、実験データから缶商品18の中身温度が目標温度になるまでの時間を測定し、加熱開始前の缶商品18の表面温度から温度上昇度を算出することができ、加熱開始前の缶商品18の表面温度を測定し、目標温度となる中身飲料温度との温度差を算出し、予測された缶商品18の温度上昇度で割ることで、加熱時間を算出することができる。
【0088】
次に、具材が入っている缶商品18を加熱する制御方法についてについて説明する。
【0089】
図11、図12において、予めオペレータは、温度上昇度設定手段44により缶商品18の温度上昇度を所定の温度上昇度Aに設定する(STEP1)。続いて、加熱時間補正手段45により缶商品18の加熱時間補正時間を所定の加熱時間補正時間Bに設定する(STEP2)。
【0090】
次に購入者により缶商品18が選択され、誘導加熱装置17の上方から缶商品18が投入され、缶商品18の姿勢制御機構による動作後の加熱動作について説明する。
【0091】
加熱開始に先立ち、図10における加熱待ち時間に、温度検知手段43により缶商品18の加熱開始温度Cを取り込み(STEP3)、温度上昇度設定手段44により設定した缶商品18の温度上昇度A、加熱時間補正手段45により加熱時間補正時間B、加熱開始温度C、そして目標温度Dから加熱時間Eの演算を行う(STEP4)。
【0092】
次に加熱開始から加熱時間E経過したか判定を行い(STEP5)、加熱経過しなければ、STEP4へ戻り、経過していれば加熱を終了する(STEP6)。
【0093】
続いて、温度検知手段43により加熱終了後の缶商品18の表面温度を測定し、やけど等が懸念される限界温度以上かの判定を行い(STEP7)、限界温度以上であれば、缶商品18の搬出を行なわず、誘導加熱装置17に保持し、温度上昇度設定手段44、加熱時間補正手段45による誤設定があったことを故障表示し、次販売不可とする。限界温度未満であれば、誘導加熱装置17から缶商品18を払い出し、故障表示を解除し、次の販売に備える(STEP8)。
【0094】
また、温度上昇度設定手段44、加熱時間補正手段45による誤設定があった場合には温度検知手段43により誘導加熱装置17に保持した缶商品18の表面温度が安全と思われる安全温度以下となったかを判定し(STEP9)、安全温度以下となった場合には缶商品18を誘導加熱装置17から缶商品18を払い出し、缶商品18以外の販売に備える(STEP10)。
【0095】
以上のように、おでんのような具材が入った缶商品の場合には、缶商品18毎の温度上昇度を自由に設定できる温度上昇度設定手段44を設けることで、缶商品18毎に自由に温度上昇度を入力することができる。代表的な温度上昇度のレベルを複数設け、複数あるレベルから設定する方式にしてもよい。
【0096】
これによって、おでんのような具材が入った缶商品18のように缶商品18内の熱伝導率が異なるような場合においても、加熱開始前の温度が異なる場合においても、加熱前の缶商品18の温度と目標温度の温度差を算出し、あらかじめ想定された缶商品18の温度上昇度により加熱時間を算出するので、中身飲料温度を最適温度に加温することができ、多品種の缶商品18に対応して安定的に加温することができる。
【0097】
また、算出された加熱時間を補正する時間を設定し、記憶する加熱時間補正手段45を設け、飲料毎に加熱時間補正時間を設定できるようにする。
【0098】
これによって、オペレータの好みに応じて缶商品18の出来上がり温度を補正することができる。代表的な加熱時間補正時間のレベルを複数設け、複数あるレベルから設定する方式にしてもよい。
【0099】
また、温度上昇度設定手段44、加熱時間補正設定手段45による加熱運転停止した際の温度検知手段43による缶商品18の表面温度の検知温度の平均値が、あらかじめ設定された限界温度になったとき若しくは超えたときは、加熱した缶商品18を搬出せず、誘導加熱装置17内に保持させる。
【0100】
これにより、オペレータによる温度上昇度設定手段44による缶商品の温度上昇度による設定ミス、加熱時間補正設定手段45による加熱時間補正の設定ミスがあった場合に缶商品18が非常に高温となってしまい、購入者にやけどを負わせてしまうことを防止することができる。
【0101】
この場合、オペレータによる温度上昇度設定手段44、加熱時間補正手段45による設定ミスと判断し、次回の誘導加熱装置17による販売を停止する販売停止表示44を行い、対応する商品選択ボタン(図示しない)の操作を無効とし、故障表示(図示しない)を行う。
【0102】
これによってオペレータによる温度上昇度設定手段44、加熱時間補正手段45による設定ミスを自動販売機管理者に知らせることができる。
【0103】
また、オペレータによる温度上昇度設定手段44、加熱時間補正手段45による設定ミスによる異常により、誘導加熱装置17内に加熱した缶商品18を保持するが、加熱運転停止した際の缶商品18の表面温度の平均温度が、あらかじめ設定された限界温度になったとき若しくは超えたとき、加熱した缶商品18を搬出せず、誘導加熱装置17内に保持させた後、缶商品18の表面温度の平均温度が、時間経過により、あらかじめ設定された安全温度になったときは、加熱した缶商品18を払い出すとしたものである。
【0104】
これにより、オペレータによる温度上昇度設定手段、加熱時間補正手段による設定ミスがあり、商品が払い出されず、それ以降の販売が行えない状態においても、安全温度となった場合には、加熱した缶商品を払い出し、販売促進の低下を抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
以上のように本発明にかかる缶商品の誘導加熱装置は、おでんのような具材が入った缶商品のように缶商品内の熱伝導率が異なるような場合においても、加熱前の温度が異なる場合においても、加熱前の缶商品の温度と目標温度の温度差を算出し、あらかじめ想定された缶商品の温度上昇度により加熱時間を算出するので、中身飲料温度を最適温度に加温することができ、多品種の缶商品に対応して安定的に加温することができ、自動販売機や携帯用缶加熱装置として広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の実施の形態1を示す缶商品の誘導加熱装置を備えた自動販売機の正面図
【図2】同実施の形態の自動販売機の縦断面図
【図3】同実施の形態の自動販売機における缶商品の誘導加熱装置の斜視図
【図4】同実施の形態の自動販売機における缶商品の誘導加熱装置の正面図
【図5】図4の矢視Aの側面図
【図6】図4の矢視Aの側面図
【図7】図4のB−B線の断面図
【図8】図4の矢視Cの平面図
【図9】同実施の形態の自動販売機における缶商品の誘導加熱装置の搬出機構を示す図
【図10】同実施の形態の缶商品の表面温度と中身温度との関係を示す図
【図11】同実施の形態の自動販売機におけるフローチャート
【図12】同実施の形態の自動販売機におけるフローチャート
【符号の説明】
【0107】
11 自動販売機本体
17 誘導加熱装置
18 缶商品
43 非接触式温度検知手段(温度検知手段)
44 温度上昇度設定手段
45 加熱時間補正手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶商品を電磁誘導加熱方式によって加熱する缶商品の誘導加熱装置を備えた自動販売機において、前記誘導加熱装置に、前記缶商品の表面温度を検知する温度検知手段と、前記缶商品の温度上昇度を設定する温度上昇度設定手段を備え、前記温度上昇度入力手段により前記缶商品の温度上昇度を設定し、缶商品加熱販売の際に前記温度検知手段により加熱前の前記缶商品の表面温度を算出し、前記缶商品の目標温度と加熱前の温度との温度差を算出し、記憶している前記缶商品の温度上昇度から加熱時間を特定し、その加熱時間を経過したとき、前記誘導加熱装置の加熱を停止することを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
加熱時間を補正できる加熱時間補正設定手段を備え、特定した加熱時間を前記加熱時間補正設定手段にて更に補正可能とすることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
加熱運転停止した際の缶商品の表面温度が、あらかじめ設定された限界温度を超えたときは、加熱した缶商品を搬出しないことを特徴とする請求項1または2に記載の自動販売機。
【請求項4】
故障が発生した際に故障を表示する故障表示手段を備え、加熱運転停止した際の缶商品の表面温度が、あらかじめ設定された限界温度を超えたときは、故障表示手段により故障を表示することを特徴とする請求項3に記載の自動販売機。
【請求項5】
加熱運転停止した際の缶商品の表面温度が、あらかじめ設定された限界温度を超えたときは、対象となる缶商品を売り切れにすることを特徴とする請求項3または4に記載の自動販売機。
【請求項6】
加熱運転停止した際の缶商品の表面温度が、あらかじめ設定された限界温度を超えたとき、加熱した前記缶商品を搬出せず保持した後、前記缶商品の表面温度の平均温度が、時間経過により、あらかじめ設定された安全温度になったときは、加熱した缶商品を払い出すことを特徴とする請求項3に記載の自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−79810(P2010−79810A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250148(P2008−250148)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】