説明

自動販売機

【課題】太陽電池パネルを備えた自動販売機において、コストを抑え、太陽電池での電力を有効に利用できる太陽電池パネルを備えた使い勝手のよい自動販売機を提供することを目的とする。
【解決手段】天面にソーラーパネル21を備え、ソーラーパネル21で発電された電力をバッテリー32に充電し自動販売機の電力の一部を賄うもので、バッテリー32を自動販売機本体前面の外扉11の内部に配置したことにより、自動販売機の電力の一部を賄うバッテリー32の合理的な設置ができ、コストを抑え、太陽光発電を有効に利用できるソーラーパネル21を備えた使い勝手のよい自動販売機を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池にて電力を賄う自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動販売機は、大型化、照明装置の増加、高機能化にともない消費電力量が増加する傾向であり、その電力量の一部を賄うために、屋根部に太陽電池パネルを備えた自動販売機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、図面を参照しながら、上記従来の自動販売機について説明する。
【0004】
図10は、従来の太陽電池パネルを屋根部に備えた自動販売機の斜視図である。
【0005】
図において、自動販売機1の屋根にモータによって回転駆動される太陽電池パネル3を備え、太陽電池パネル3に設けた受光センサ5によって太陽光の光量が所定以下の場合、モータを駆動する。そして、受光センサ5によって太陽光の光量が十分受けるようになるとモータを停止するようにモータを制御することで、太陽電池パネル3での発電効率を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−89330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の自動販売機では、太陽電池パネル3を回転駆動するモータが必要となり、そのための電力も必要となる。さらに、モータ、あるいは受光センサ5とモータ駆動のための制御部品等も必要となり、コストも高くなるという課題を有していた。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、太陽電池パネルを備えた自動販売機において、コストを抑え、太陽電池での電力を有効に利用できる太陽電池パネルを備えた使い勝手のよい自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来の課題を解決するために、本発明の自動販売機は、天面にソーラーパネルを備え、前記ソーラーパネルで発電された電力を蓄電池に充電し自動販売機の電力の一部を賄うもので、前記蓄電池を自動販売機本体前面の外扉の内部に配置したものである。
【0010】
これによって、自動販売機の電力の一部を賄う蓄電池の合理的な設置が可能となり、コストを抑え、使い勝手を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の自動販売機は、天面にソーラーパネルを備え、前記ソーラーパネルで発電された電力を蓄電池に充電し自動販売機の電力の一部を賄うもので、前記蓄電池を自動販売機本体前面の外扉の内部に配置したことにより、自動販売機の電力の一部を賄う蓄電池の合理的な設置ができ、コストを抑え、太陽電池での電力を有効に利用できる太陽電池パネルを備えた使い勝手のよい自動販売機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における自動販売機の正面図
【図2】同実施の形態における自動販売機の側面図
【図3】同実施の形態における自動販売機の斜視図
【図4】同実施の形態における自動販売機の要部前方斜視図
【図5】同実施の形態における自動販売機の要部後方斜視図
【図6】同実施の形態における自動販売機の外扉を内側から見た斜視図
【図7】同実施の形態における自動販売機の要部正面図
【図8】同実施の形態における自動販売機の要部斜視図
【図9】同実施の形態における自動販売機のバッテリ収納装置の斜視図
【図10】従来の自動販売機の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
請求項1に記載の発明は、天面にソーラーパネルを備えた自動販売機で、前記ソーラーパネルで発電された電力を蓄電池に充電し自動販売機の電力の一部を賄うもので、前記蓄電池を自動販売機本体前面の外扉の内部に配置したものであり、自動販売機の電力の一部を賄う蓄電池の合理的な設置ができ、コストを抑え、太陽電池での電力を有効に利用できる太陽電池パネルを備えた使い勝手のよい自動販売機を提供することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記蓄電池を前記外扉のヒンジ部側に配置したものであり、外扉開閉によるヒンジ部への負荷を低減することができるとともに、ヒンジ部を介しての配線を低減することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記ソーラーパネルと前記蓄電池とをつなぐ配線は自動販売機本体背面と下部の機械室とを通すもので、着脱可能に配置したものであり、メンテナンス性を高めることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記蓄電池近傍にファンを設けたものであり、蓄電池の排熱を確実に行うことができ、蓄電池の性能を高めることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、前記蓄電池を載置する底面に吸水部材を配置したものであり、蓄電池の液漏れに対しての安全性を高めることができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における自動販売機の正面図、図2は同実施の形態における自動販売機の側面図、図3は同実施の形態における自動販売機の斜視図、図4は同実施の形態における自動販売機の要部前方斜視図、図5は同実施の形態における自動販売機の要部後方斜視図、図6は同実施の形態における自動販売機の外扉を内側から見た斜視図、図7は同実施の形態における自動販売機の要部正面図、図8は同実施の形態における自動販売機の要部斜視図、図9は同実施の形態における自動販売機のバッテリ収納装置の斜視図である。
【0020】
図1から図5において、自動販売機本体10の前面を覆う外扉11はヒンジ機構12を介して回動自在に軸支されており、外扉11の上部には、商品サンプル展示室13を有し、内部に缶、ビン等の商品サンプル14を備え、商品サンプル14に対応してそれぞれ選
択ボタン15を設けている。
【0021】
また、商品サンプル展示室13内の商品サンプル14を照らす照明手段20は商品サンプル14の上下にそれぞれ配置している。
【0022】
また、商品サンプル展示室13の下方には、商品の広告などを掲示する広告パネル室16と貨幣を投入する金銭投入口17および携帯端末などの非接触端末の電子マネーによる決済が可能な読書き手段18と人の接近を検知する人感センサー28とを備えている。また、金銭投入口17や読書き手段18の下部には、利用者が選択した商品をしゃがみ姿勢で取り出す商品取出口19が備えられている。
【0023】
また、自動販売機本体10の天面には、多結晶シリコン素子を多数板状に成形したソーラーパネル21を有し、ソーラーパネル21はパネル載置台22に固定され、パネル載置台22はソーラーパネル21が水平面に対して30度から40度の傾斜角度になるように設定される。
【0024】
また、ソーラーパネル21を載置するパネル載置台22の前部には、パネル載置台22を自動販売機本体10に固定するための固定部23を備え、固定部23は左右2箇所で下方に向けてボルトをパネル載置台22に溶接等で一体に形成されたものである。そして、固定部23は自動販売機本体10の前面の外扉11を開放した状態で自動販売機本体内部からナット等で固定するものである。
【0025】
また、パネル載置台22の後部には固定脚24を有し、固定脚24の後端に下方に延出した後方フランジ部25を設け、後方フランジ部25を自動販売機本体10の背面に固定する構造となっている。
【0026】
また、固定脚24は内部に開口部26を有する矩形状とし、幅寸法はパネル載置台22の幅寸法と略同一としている。さらに固定脚24の両側部には側面フランジ27を設けている。
【0027】
また、固定脚24はパネル載置台22とは別体構造で着脱可能とし、自動販売機本体10の奥行寸法に応じて、ソーラーパネル21の設置角度を大きく変えずに後方フランジ部25を自動販売機本体10の背面に確実に固定できるように数種類の異なる固定脚構造を有している。
【0028】
また、図6から図9において、外扉11の内側上部には、断熱性を有する内扉30をヒンジにて開閉可能とし、内扉30の外面に商品サンプル展示室13を形成している。
【0029】
また、外扉11の内側下部のヒンジ機構12の近傍には、広告パネル室16に対向して自動販売機本体10を制御する制御基板等を収納する基板収納部31を備え、基板収納部31に併設して、ソーラーパネル21で発電した電力を蓄電するバッテリー32を収納するバッテリー収納装置33を有している。すなわちバッテリー収納装置33もヒンジ機構12側に配置している。
【0030】
また、ソーラーパネル21とバッテリー32とをつなぐ配線は自動販売機本体10の背面と下部の機械室とを通すもので、着脱可能に配置している。
【0031】
また、バッテリー32に近接した基板収納部31内にファン34を配置し、基板収納部31のバッテリー32側にスリット35を設けている。また、基板収納部31を覆うカバー36のファン34に対向する部分にもスリット37を設けている。
【0032】
また、バッテリー収納装置33の側面および前面には多数のスリット38を設け、底面には軟質性の吸水部材39を備えている。
【0033】
以上のように構成された自動販売機について、以下その動作、作用を説明する。
【0034】
自動販売機本体10の天面に設置したソーラーパネル21により、昼間は太陽光により発電され、発電された電気は配線を通してバッテリー32に蓄電される。そして、夜間にバッテリー32に蓄電された電気を商品サンプル展示室13内の商品サンプル14を照らす照明手段20に利用することで、自動販売機本体10の商用電源での消費電力量を低減することができる。
【0035】
そして、ソーラーパネル21を載置するパネル載置台22の前部には、パネル載置台22を自動販売機本体10に固定するための固定部23を備え、固定部23は自動販売機本体10の前面の外扉11を開放した状態で自動販売機本体内部からナット等で固定する構造としているため、別体梱包したソーラーパネル21のパネル載置台22の設置を容易に行うことができるとともに、外部から容易にソーラーパネル21を取り外すことを防止することができるので、ソーラーパネル21の設置容易性と防盗性を高めることができる。
【0036】
また、ソーラーパネル21を載置するパネル載置台22の前部の固定部23は左右2箇所で下方に向けてボルトをパネル載置台22に溶接等で一体に形成しているので、より確実にソーラーパネル21の設置容易性と防盗性を高めることができる。
【0037】
また、パネル載置台22の後部には固定脚24を有し、固定脚24の後端に下方に延出した後方フランジ部25を設け、後方フランジ部25を自動販売機本体10の背面に固定する構造としているので、前部の固定部23と合わせてソーラーパネル21の設置確実性を高めることができる。
【0038】
また、固定脚24はパネル載置台22とは別体構造で着脱可能とし、自動販売機本体10の奥行寸法に応じて、ソーラーパネル21の設置角度を大きく変えずに後方フランジ部25を自動販売機本体10の背面に確実に固定できるように数種類の異なる固定脚構造を有しているので、ソーラーパネル21およびパネル載置台22は共用しながら、奥行寸法の異なる自動販売機に対して、天面にソーラーパネル21の設置が可能となり、ソーラーパネル21およびパネル載置台22の汎用性を高めることができる。
【0039】
また、固定脚24は内部に開口部26を有する矩形状とし、幅寸法はパネル載置台22の幅寸法と略同一としているので、固定脚24の強度を高めることができ、強風等の外力による不具合を防止することができる。
【0040】
さらに固定脚24の両側部には側面フランジ27を設けているので、さらに固定脚24の強度を高めることができる。
【0041】
また、ソーラーパネル21はパネル載置台22に固定され、パネル載置台22はソーラーパネル21が水平面に対して30度から40度の傾斜角度になるように設定されているので、ソーラーパネル21の駆動機構等を不要とした中で、ソーラーパネル21の発電効率とソーラーパネル21の視認性とを得ることができる。すなわち、ソーラーパネル21の日射量と傾斜角度の関係は、方位を南とした場合30度で最大となり、それ以外の方位においても、水平に対する日射量の減少は30度から40度程度までは比較的小さいことからソーラーパネル21の発電効率への影響も問題ないレベルである。さらに正面から見た場合、利用者からソーラーパネル21の視認性が水平設置に比べ高まり、自動販売機の
地球環境保護、省エネへの貢献度をアピールすることもできる。
【0042】
なお、本実施の形態では、人の接近を検知する人感センサー28を備えているので、人感センサー28が人の接近を検知した場合のみ照明手段20を全点灯とし、通常は点滅制御することで、照明に必要な消費電力量を低減できるとともに、たとえば、夜間の照明において、上記人感センサー28での制御を行いながら、バッテリー32で充電した電力を利用することでバッテリー32の消費電力量の低減を図ることができ、ソーラーパネル21での発電エネルギーを有効に利用することができる。
【0043】
また、ソーラーパネル21で発電した電力を蓄電するバッテリー32を外扉11の内側で自動販売機本体10を制御する制御基板等を収納する基板収納部31近傍に配置しているので、バッテリー32と制御基板の接続も短く簡素にでき、また、バッテリー32の交換等のメンテナンスも外扉11の開閉で行えるので、コストを抑え、太陽電池での電力を有効に利用できる太陽電池パネルを備えた使い勝手のよい自動販売機を提供することができる。
【0044】
また、バッテリー32を外扉11のヒンジ機構12側に配置しているので、外扉11の開閉によるヒンジ機構12への負荷を低減することができるとともに、ヒンジ機構12を介しての照明手段20までの配線長さを低減することができる。
【0045】
また、ソーラーパネル21とバッテリー32とをつなぐ配線は自動販売機本体10の背面と下部の機械室とを通すもので、着脱可能に配置しているので、ソーラーパネル21および配線の後付が可能となるとともに、配線も含めたメンテナンス性を高めることができる。
【0046】
また、バッテリー32に近接した基板収納部31内にファン34を配置し、基板収納部31のバッテリー32側にスリット35を設けているので、バッテリー32の排熱を確実に行うことができ、バッテリー32の性能を高めることができる。具体的には、バッテリー32の近傍空気を、スリット35を介してファン34で吸入し、カバー36のスリット37から吹き出すことで、カバー36の外面をさらに覆うシート等で阻害されにくく効率的に循環させることができる。
【0047】
また、ファン34の動力源はソーラーパネル21の発電電力を利用することで、さらに省エネを図ることができる。利用方法としては、ソーラーパネル21の発電電力を直接利用してもよいし、蓄電されたバッテリー32の電力を利用してもよい。
【0048】
また、ファン34の運転制御は、バッテリー32の能力を引き出すためのもので、バッテリー32の周囲温度が所定の温度範囲になるように温度センサーを介して制御されるものである。
【0049】
また、バッテリー収納装置33の底面には軟質性の吸水部材39を備えているので、万が一バッテリー32内の液が漏れたとしても、吸水部材39がバッテリー液を吸水し、液漏れに対しての安全性を高めることができる。
【0050】
なお、ソーラーパネル21での発電状態を表示する表示装置を外扉11の前面に設けても良い。表示装置は、たとえば、「待機中」と「発電中」のいずれかを示すものであれば、特に限定されるものではない。
【0051】
また、自動販売機の冷却システムに可燃性冷媒、たとえばHC冷媒を用いた場合の安全性を高めるために、バッテリー収納部は冷却システム機能部品を収納した機械室よりも上
方に配置させている。さらに、商品取出口19の上方に配置しているので、万が一冷媒が漏れたとしても、HC冷媒は空気よりも比重が大きいのでバッテリーが着火源となる可能性を低減できる。さらに、ファン34でバッテリー近傍の空気を循環させることで、HC冷媒の濃度を低くすることができ、安全性を高めることができる。
【0052】
また、本実施の形態では、ソーラーパネルで発電された電力をバッテリーに充電し、自動販売機の照明の一部を賄うもので説明したが、照明以外のファン、モータなどの機能部品の動作に活用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明にかかる自動販売機は、天面にソーラーパネルを備え、前記ソーラーパネルで発電された電力をバッテリーに充電し自動販売機の電力の一部を賄うもので、自動販売機の電力の一部を賄うバッテリーの合理的な設置が可能となり、コストを抑え、使い勝手を高めることができるので、ソーラーパネルおよびバッテリーを備えたあらゆる自動販売機器の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0054】
10 自動販売機本体
11 外扉
12 ヒンジ機構
20 照明手段
21 ソーラーパネル
22 パネル載置台
23 固定部
24 固定脚
25 後方フランジ部
26 開口部
27 側面フランジ
32 バッテリー
34 ファン
39 吸水部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面にソーラーパネルを備えた自動販売機で、前記ソーラーパネルで発電された電力を蓄電池に充電し自動販売機の電力の一部を賄うもので、前記蓄電池を自動販売機本体前面の外扉の内部に配置したことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記蓄電池を前記外扉のヒンジ部側に配置したことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
前記ソーラーパネルと前記蓄電池とをつなぐ配線は自動販売機本体背面と下部の機械室とを通すもので、着脱可能に配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の自動販売機。
【請求項4】
前記蓄電池近傍にファンを設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の自動販売機。
【請求項5】
前記蓄電池を載置する底面に吸水部材を配置したことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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