説明

自動販売機

【課題】金銭処理装置の交換を容易にし、取り扱う金種数を容易に変更することができる自動販売機を提供すること。
【解決手段】投入された金銭の処理を行う金銭処理装置30を備えた自動販売機において、予め決められた単金種のみの処理が可能なコインセレクタ32及び複数金種の処理が可能なコインメック31のいずれか一方が金銭処理装置30として接続されている場合には、金銭処理装置30を通じて金銭の処理を行う一方、コインセレクタ32及びコインメック31がともに接続、あるいは非接続となる場合には、接続異常と判断する制御手段20を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機に関し、より詳細には、投入された金銭の処理を行う金銭処理装置を備えた自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動販売機本体の内部に商品を収容し、所望の金銭が投入されて金銭処理装置にて金銭処理を行い、商品が選択されることにより選択された商品を払い出して販売する自動販売機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような自動販売機では、予め決められた単金種のみの処理が可能なコインセレクタと称される単金種処理装置と、複数金種の処理が可能なコインメックと称される多金種処理装置とのいずれか一方が金銭処理装置として設けられており、設けられた金銭処理装置で処理を実行するソフトウェアのみが格納されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−109102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、自動販売機で取り扱う金種数を変更しようとすると、金銭処理装置のみならずソフトウェアも交換しなければならず、結果的に、交換作業が煩雑となっていた。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、金銭処理装置の交換を容易にし、取り扱う金種数を容易に変更することができる自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る自動販売機は、投入された金銭の処理を行う金銭処理装置を備えた自動販売機において、予め決められた単金種のみの処理が可能な単金種処理装置及び複数金種の処理が可能な多金種処理装置のいずれか一方が金銭処理装置として接続されている場合には、該金銭処理装置を通じて金銭の処理を行う一方、前記単金種処理装置及び前記多金種処理装置がともに接続、あるいは非接続となる場合には、接続異常と判断する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に係る自動販売機は、上述した請求項1において、前記制御手段は、接続異常と判断した場合には、報知手段を通じて報知させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、制御手段が、予め決められた単金種のみの処理が可能な単金種処理装置及び複数金種の処理が可能な多金種処理装置のいずれか一方が金銭処理装置として接続されている場合には、該金銭処理装置を通じて金銭の処理を行う一方、単金種処理装置及び多金種処理装置がともに接続、あるいは非接続となる場合には、接続異常と判断するので、取り扱う金種数を変更する場合には金銭処理装置を交換するだけでよい。これにより、金銭処理装置の交換を容易にし、取り扱う金種数を容易に変更することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である自動販売機を概念的に示す概念図である。
【図2】図2は、図1に示した自動販売機の制御手段の基板構成を模式的に示す模式図である。
【図3】図3は、図1に示した自動販売機の特徴的な制御系を模式的に示すブロック図である。
【図4】図4は、図2及び図3に示した制御手段が実行する接続判定処理の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態である自動販売機を概念的に示す概念図である。ここで例示する自動販売機は、自動販売機本体である本体キャビネット10を備えている。
【0013】
本体キャビネット10は、頂部が湾曲した直方状の形態を成しており、寸法例の一例を挙げると、例えば、高さが500mm、左右幅が500mm、前後幅が500mmの大きさを有するものである。このような本体キャビネット10には、透光性の樹脂材から形成された扉11が開閉自在に配設してあり、図示の例では、扉11を閉成した状態である。この扉11を通じて外部から視認可能な内部には、商品ラック12が上下に複数段(図示の例では3段)設けてある。
【0014】
商品ラック12は、いわゆるスパイラルラックと称されるものであり、スパイラル13が設けてある。スパイラル13は、前後方向に沿って螺旋状に巻回された態様で構成され、かつ中心軸回りに回転可能に配設されたものであり、各ピッチ間に商品が載置されている。このようなスパイラル13は、後方側に配設された駆動ユニットを構成するモータ(図示せず)から駆動力が与えられることにより時計回り、あるいは反時計回りに回転し、かかる回転を行うにしたがって漸次前方側に延在するように形成した螺旋状の部材であり、前方側端部は開放端になっている。
【0015】
このようにスパイラル13が回転することにより前方に搬送され、かつ下方に落下することにより払い出された商品は、上記扉11に設けた商品取出口(図示せず)より取り出し可能になる。
【0016】
上記本体キャビネット10の前面において扉11の右方側には、商品選択ボタン14及び硬貨返却口15が設けてある。商品選択ボタン14は、商品を選択するための押釦スイッチである。この商品選択ボタン14を通じての操作は、選択信号として後述する制御手段20に与えられる。
【0017】
硬貨返却口15は、図には明示しないが、本体キャビネット10の側面(例えば右面)に形成された硬貨投入口から投入された硬貨のうち、購入商品の価格を上回った分を返却するための開口である。ここで硬貨投入口に硬貨が投入されると、後述する金銭処理装置30を通じて金種が識別されて、投入価格、返却価格等の金銭処理が行われる。
【0018】
図2は、図1に示した自動販売機の制御手段20の基板構成を模式的に示す模式図であり、図3は、図1に示した自動販売機の特徴的な制御系を模式的に示すブロック図である。これらに図示するように、制御手段20は、基板21上に例えばROM(Read Only Memory)等のメモリ22が設けてある。また、基板21上には、VTS通信用コネクタ23及びコインセレクタ用コネクタ24が設けてある。VTS通信用コネクタ23は、金銭処理装置30の1つであり、複数金種の金銭処理を可能とするコインメック(多金種処理装置)31との接続を可能にするものである。コインセレクタ用コネクタ24は、金銭処理装置30の1つであり、単数金種の金銭処理を可能とするコインセレクタ(単金種処理装置)32との接続を可能にするものである。このコインセレクタ32と基板21とは、ショートハーネス34で接続される。かかるショートハーネス34を通じてコインセレクタ32が接続されると、基板21に設けられた特定の汎用入出力ポートがオン状態となる一方、コインセレクタ32が接続されていないと、汎用入出力ポートがオフ状態となる。
【0019】
図3に示すように、制御手段20を機能毎に説明すると、制御手段20は、メモリ22に予め格納されたプログラムやデータにしたがって自動販売機の動作を統括的に制御するものであり、本実施の形態の特徴的な構成要素として、接続監視部20a、監視判定部20b、接続判定部20c及び出力部20dを備えている。ここでメモリ22には、各金銭処理装置30、すなわちコインメック31及びコインセレクタ32のそれぞれでの金銭処理が可能なプログラムが予め格納されている。
【0020】
接続監視部20aは、コインメック31及びコインセレクタ32の接続を監視するものである。監視判定部20bは、接続監視部20aを通じて監視された結果により、コインメック31及びコインセレクタ32のいずれか一方が接続されているのか否かを判定するものである。接続判定部20cは、コインメック31が接続されているのか、コインセレクタ32が接続されているのかを判定するものである。出力部20dは、報知手段40に対して異常発生指令を出力するものである。ここで、報知手段40は例えばブザー音等の音声を発して報知するものである。
【0021】
図4は、図2及び図3に示した制御手段20が実行する接続判定処理の処理内容を示すフローチャートである。かかる接続判定処理の処理内容を説明することにより、自動販売機の動作について説明する。
【0022】
図4に示す接続判定処理における制御手段20は、電源がオンとなって電源電力が投入されると、カウント数、並びにコインメック31及びコインセレクタ32の接続状態を初期化する(ステップS101,ステップS102)。より具体的には、カウント数を0とし、コインメック31及びコインセレクタ32の接続状態をともに非接続を示す0とする。
【0023】
初期化を行った制御手段20は、接続監視部20aを通じてコインメック31に対してVTS通信にてスタンバイ送信を行う(ステップS103)。コインメック31からスタンバイ応答があれば、コインメック31の接続状態を、接続を示す1とする(ステップS104:Yes,ステップS105)。
【0024】
コインメック31からスタンバイ応答がない場合(ステップS104:No)、あるいはステップS105でコインメック31の接続状態を1とした場合、制御手段20は、接続監視部20aを通じて汎用入出力ポートがオンであるか否かを監視し、オンであれば、コインセレクタ32の接続状態を、接続を示す1とする(ステップS106:Yes,ステップS107)。
【0025】
汎用入出力ポートがオンでない場合(ステップS106:No)、あるいはステップS107でコインセレクタ32の接続状態を1とした場合、制御手段20は、監視判定部20bを通じて、コインメック31及びコインセレクタ32のいずれかが1であるか否かを判定する(ステップS108)。つまり、接続監視部20aを通じて監視された結果により、コインメック31及びコインセレクタ32のいずれか一方が接続されているのか否かを判定する。
【0026】
その結果、コインメック31及びコインセレクタ32のいずれかが1となる場合(ステップS108:Yes)、制御手段20は、接続判定部20cを通じてコインセレクタ32が1であるか否かを確認する(ステップS109)。これにより、コインセレクタ32が1である場合(ステップS109:Yes)、制御手段20は、コインセレクタ32が接続しているものと判定して(ステップS110)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これにより制御手段20は、待機状態になり、これにより自動販売機は販売待機状態となる。
【0027】
その一方、コインセレクタ32が1でない場合(ステップS109:No)、制御手段20は、コインメック31が接続しているものと判定して(ステップS111)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これにより制御手段20は、待機状態になり、これにより自動販売機は販売待機状態となる。
【0028】
ステップS108において、コインメック31及びコインセレクタ32の両方の接続状態が1となる場合、あるいはコインメック31及びコインセレクタ32の両方の接続状態が0となる場合には、制御手段20は、カウント数が予め決められた設定回数である3回に達しているか否かを判断する(ステップS108:No,ステップS112)。
【0029】
カウント数が3回に達していない場合(ステップS112:No)、制御手段20は、カウント数を1つ増加して(ステップS113)、ステップS102〜ステップS108の処理を繰り返す。具体的に説明すると、カウント数が0であれば、設定回数に達していないので、カウント数を1とした後にステップS102〜ステップS108の処理を繰り返す。
【0030】
カウント数が3回に達している場合(ステップS112:Yes)、制御手段20は、出力部20dを通じて報知手段40に対して異常発生指令を出力し(ステップS114)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。このように報知手段40に異常発生指令を出力することにより、報知手段40がブザー音等の音声を発することで、作業者は、金銭処理装置30の接続異常が発生していることを認識することができる。
【0031】
このように本実施の形態における自動販売機においては、販売待機状態となった後に、硬貨投入口に硬貨が投入され、金銭処理装置30にて硬貨の金種等が判断されて投入価格が商品の販売価格以上であると、該当する商品の商品選択ボタン14が有効化される。そして、利用者により商品選択ボタン14が押下されると、選択された商品を収納する商品ラック12のモータを駆動させてスパイラル13を回転させ、該スパイラル13の最前部に載置された商品を落下させて商品取出口より取り出し可能な状態にする。これにより商品が販売される。
【0032】
以上説明したような本実施の形態である自動販売機によれば、制御手段20が、コインセレクタ32及びコインメック31のいずれか一方が金銭処理装置30として接続されている場合には、該金銭処理装置30を通じて金銭の処理を行う一方、コインセレクタ32及びコインメック31がともに接続、あるいは非接続となる場合には、接続異常と判断するので、取り扱う金種数を変更する場合には金銭処理装置30を交換するだけでよい。これにより、金銭処理装置30の交換を容易にし、取り扱う金種数を容易に変更することができる。
【0033】
また、上記自動販売機では、制御手段20が、接続異常と判断する場合には、報知手段40を通じて例えばブザー音等の音声により報知させるので、作業者は、早期に金銭処理装置30の接続異常の発生を認識することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上のように、本発明に係る自動販売機は、自動販売機本体の内部に商品を収容し、所望の金銭が投入されて商品が選択されることにより、選択された商品を払い出して販売するのに有用である。
【符号の説明】
【0035】
10 本体キャビネット
11 扉
12 商品ラック
13 スパイラル
14 商品選択ボタン
15 硬貨返却口
20 制御手段
20a 接続監視部
20b 監視判定部
20c 接続判定部
20d 出力部
21 基板
22 メモリ
23 VTS通信用コネクタ
24 コインセレクタ用コネクタ
30 金銭処理装置
31 コインメック
32 コインセレクタ
34 ショートハーネス
40 報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された金銭の処理を行う金銭処理装置を備えた自動販売機において、
予め決められた単金種のみの処理が可能な単金種処理装置及び複数金種の処理が可能な多金種処理装置のいずれか一方が金銭処理装置として接続されている場合には、該金銭処理装置を通じて金銭の処理を行う一方、前記単金種処理装置及び前記多金種処理装置がともに接続、あるいは非接続となる場合には、接続異常と判断する制御手段を備えたことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記制御手段は、接続異常と判断した場合には、報知手段を通じて報知させることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−191913(P2011−191913A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56258(P2010−56258)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】