説明

自動販売機

【課題】商品選択時の操作性に優れ、商品の誤選択を防止でき、製造開発コストも低い自動販売機を提供する。
【解決手段】筐体の一部に設けられた透明板を介して内部の複数の商品が利用者に視認可能な自動販売機10であって、前記透明板を含む所定のエリアを撮影するカメラ20−1〜20−Nと、前記カメラからの画像に基づいて、前記利用者が前記複数の商品の中から選択した選択商品を判断する画像処理部30と、前記複数の商品の中の1つの商品を指定する商品コード信号を受け取り、前記商品コード信号が指定する商品を出力させる制御部40と、を含み、前記画像処理部30は、前記カメラからの画像における前記利用者の指の位置を抽出し、前記利用者の指の位置と前記透明板との位置関係に基づき、前記選択商品を判断し、前記選択商品と判断した商品を指定する前記商品コード信号を前記制御部に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機等に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に複数の商品を配置してこれらの前面にガラス等の透明板を設置している自動販売
機がある。このような自動販売機は一般にグラスフロント型自動販売機と呼ばれている。
グラスフロント型自動販売機では、見えている商品そのものを購入できるため利用者に安
心感を与える。また、グラスフロント型自動販売機では、さまざまな形状やサイズの商品
を販売できる。そのため、利用者が自動販売機で購入できる商品の幅が広がり、利用者に
とっても利便性が高い。さらに、商品が飲料の場合には飲み口を内部の機械に触れさせず
に排出できるため衛生面でも優れており、商品が排出される過程を利用者が視認できるた
めにアミューズメント性も備えている。
【0003】
その一方で、グラスフロント型自動販売機では、商品選択時の操作性がよくない場合が
ある。例えば、グラスフロント型でない自動販売機では、商品見本に近接して配置された
ボタンを押すことで利用者は商品を選択する。このときの操作は容易であり、利用者は選
択した商品(以下、選択商品)を誤る可能性は低い。しかし、グラスフロント型自動販売
機では商品の前面はボタンのないガラス板であり、商品選択用のテンキーやダイレクトキ
ーは硬貨投入口等の近傍に集約配置されていることが多い。そのため、利用者は商品に付
された番号を覚えておき、その番号をテンキーで入力する操作を行ったり、その番号の付
されたダイレクトキーを押したりする必要がある。このような商品選択方法は、操作性が
よいとはいえず、利用者が商品を誤選択する可能性が生じてしまう。
【0004】
そこで、特許文献1の発明では、例えば商品が配置される段毎に異なる色のシールを貼
り、ダイレクトキーの色をシールの色と略一致させることによって、商品とダイレクトキ
ーの対応を視覚的にわかりやすくする(以下、第1の比較例)。これにより、グラスフロ
ント型自動販売機の商品選択時の操作性を向上させて、利用者が商品を誤選択する可能性
を低減させる。
【0005】
また、タッチパネルを使用して操作性を向上させることも可能である。例えば、硬貨投
入口等の近傍に商品見本を映像で表示するタッチパネルを配置することで操作性を向上さ
せて誤選択を防止してもよい(以下、第2の比較例)。また、例えば、ガラス面に商品選
択ボタンの機能を有するタッチパネルを貼ることで操作性を向上させて誤選択を防止して
もよい(以下、第3の比較例)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−40967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、第1の比較例では、商品数が増えるにつれて必要な色数も増える。しかし、一
般に利用可能なダイレクトキーの発光色は限られている。そのため、商品数が増えた場合
に、同色に区分された商品間で誤選択が生じる可能性を排除できない。また、ダイレクト
キーの発光色の種類を増やした場合には自動販売機の製造開発コストが増大してしまう。
【0008】
また、第2の比較例と第3の比較例では、自動販売機のサイズに合わせたタッチパネル
が必要になり自動販売機の製造開発コストが増大してしまう。また、多くの人が直接触れ
るためにタッチパネル表面が傷つく可能性がある。この場合には、自動販売機としての機
能が損なわれる恐れがある。さらに、第3の比較例では、タッチパネルによって光の透過
率が低下して商品の視認性が損なわれる可能性もある。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明のいくつかの態様によ
れば、商品選択時の操作性に優れ、商品の誤選択を防止でき、製造開発コストも低い自動
販売機を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明は、筐体の一部に設けられた透明板を介して内部の複数の商品が利用者に視
認可能な自動販売機であって、前記透明板を含む所定のエリアを撮影するカメラと、前記
カメラからの画像に基づいて、前記利用者が前記複数の商品の中から選択した選択商品を
判断する画像処理部と、前記複数の商品の中の1つの商品を指定する商品コード信号を受
け取り、前記商品コード信号が指定する商品を出力させる制御部と、を含み、前記画像処
理部は、前記カメラからの画像における前記利用者の指の位置を抽出し、前記利用者の指
の位置と前記透明板との位置関係に基づき、前記選択商品を判断し、前記選択商品と判断
した商品を指定する前記商品コード信号を前記制御部に出力する。
【0011】
本発明によれば、画像処理部はカメラからの画像に基づいて、利用者の指の位置と透明
板との位置関係から選択商品を判断して、選択商品と判断した商品を指定する商品コード
信号を制御部に出力する。そして、制御部は、商品コード信号が指定する商品を出力させ
る。このとき、利用者は、特にテンキーやダイレクトキーを操作することなく、欲しい商
品を指差すだけで商品選択を行うことが可能である。そのため、本発明の自動販売機は、
商品選択時の操作性に優れている。また、例えばテンキーでの利用者の数値間違い等に起
因する、商品の誤選択を防止することができる。そして、自動販売機のサイズに合わせた
タッチパネルを必要とすることもない。そのため、自動販売機の製造開発コストが低くて
済む。
【0012】
ここで、利用者の指の位置と透明板との位置関係とは、例えば、利用者の指が透明板に
接触している場合の平面的な位置だけでなく、非接触時の透明板の表面からの距離も含む
。本発明によれば、例えばセンサー機能をもたないガラス(透明板)が設けられた自動販
売機で、タッチパネルと同様の操作を可能にする。つまり、利用者が選択したい商品の前
面部分のガラスに触れた場合に、画像処理部は利用者の指の先に配置されている商品が選
択商品だと判断することができる。このとき、利用者は実際の商品を見ながらガラスに触
れるだけで選択ができるので操作性がよく、誤選択する可能性はほとんどない。また、セ
ンサー機能をもたないガラスを用いることができるので製造開発コストが低く、タッチパ
ネルで用いる見本画像等も用意する必要がない。
【0013】
このとき、本発明ではタッチパネルと異なり、必ずしも利用者がガラスに触れる必要は
ない。本発明によれば、利用者の指が透明板の表面からある距離(例えば1cm)以内に
ある場合に、利用者による商品選択が行われていると判断することもできる。この場合に
は、非接触で商品選択を実行できるので、ガラスの表面が傷つくことがない。そのため、
開発製造コストのみならず保守のコストも低く抑えることが可能である。
【0014】
なお、筐体の一部に設けられた透明板は、例えばガラスであっても透明な樹脂であって
もよい。また、この透明板は、内部の商品をそのまま利用者に見せることができるように
無色透明であることが好ましいが、品質保持等の目的のために有色透明であってもよい。
【0015】
本発明のカメラは1つであっても複数であってもよい。カメラは、透明板を含む所定の
エリアを撮影するが、撮影した画像に透明板のほぼ全体が含まれていればよく、必ずしも
自動販売機全体が撮影されている必要はない。所定のエリアは固定されたエリアであるこ
とが好ましいが、切り替えが可能であったりズームが可能であったりしてもよい。透明板
のほぼ全体とは、商品が配置された部分の正面以外(例えば、透明板の外枠部分)は画像
に含まれなくてもよいことを意味する。なお、画像とはカメラが撮影した動画や静止画の
ことであり、特に動画から切り出された1フレームの画像を指す。カメラからの画像とは
、カメラからの出力データに基づいて構成される画像をいう。
【0016】
本発明の画像処理部は、カメラからの画像に基づいて利用者の指の位置を抽出する。例
えば、利用者が自動販売機を使用する前に取得された初期画像を保存しておき、カメラか
らの画像と初期画像とを比較することで指を検出して、その位置を特定してもよい。指の
検出では色による判断や、形状による判断や、これらの組み合わせによる判断等が行われ
てもよい。また、初期画像は、環境の変化(例えば、日中と夜間)に対応するために定期
的に更新されてもよい。また、自動販売機が例えば人感センサーを含んでいて、利用者が
いない状態が一定時間継続した場合に初期画像を更新してもよい。
【0017】
商品コード信号とは、例えば商品のIDである数値を表す信号であってもよい。自動販
売機内部にP個の商品がある場合に、商品コード信号は1〜Pのいずれかの数値を表す信
号であってもよい(Pは2以上の整数)。このとき、制御部は、商品コード信号が表す数
値がIDである商品を、商品取出口に出力させてもよい。また、商品コード信号とは、商
品の位置を表す信号(ロケーションコード信号)であってもよい。このとき、制御部は、
商品コード信号が表す位置にある商品を、商品取出口に出力させてもよい。商品コード信
号がロケーションコード信号である場合には、商品変更や商品位置の移動があっても設定
を変更する必要がない。
【0018】
(2)この自動販売機において、前記画像処理部は、前記カメラからの画像において前記
複数の商品のそれぞれを特定する領域である商品特定領域を設定し、前記利用者の指が前
記透明板の表面から所定の距離内にあって、かつ、1つの前記商品特定領域に含まれる場
合に、当該商品特定領域が特定する商品を前記選択商品と判断してもよい。
【0019】
本発明の画像処理部は、複数の商品のそれぞれを特定できる画像上の領域である商品特
定領域を設定する。そして、例えばカメラが固定されたエリアを撮影している場合には、
画像処理部は、画像における画素の位置(画像上の座標)によって、その画素がどの商品
特定領域に含まれるかを瞬時に判断することが可能である。
【0020】
本発明の画像処理部は、利用者の指の位置を抽出した場合に、透明板の表面からの距離
とともに、指(特に指先に限ってもよい)を構成する画素がどの商品特定領域に含まれる
かの判断ができる。そして、利用者の指が透明板の表面から所定の距離内にあって、かつ
、1つの商品特定領域に含まれる場合に、当該商品特定領域が特定する商品を選択商品と
判断する。
【0021】
ここで、商品特定領域は、隣接する商品との混同が生じない程度に大きくとることがで
き、多角形等の形状とすることもできる。そのため、効率的な判断を行うことが可能であ
る。
【0022】
(3)この自動販売機において、前記画像処理部は、前記利用者の指が所定の時間よりも
長く1つの前記商品特定領域に含まれる場合に、当該商品特定領域が特定する商品を前記
選択商品と判断してもよい。
【0023】
(4)本発明は、筐体の一部に設けられた透明板を介して内部の複数の商品が利用者に視
認可能な自動販売機であって、前記透明板を含む所定のエリアを撮影するカメラと、前記
カメラからの画像に基づいて、前記利用者が前記複数の商品の中から選択した選択商品を
判断する画像処理部と、前記複数の商品の中の1つの商品を指定する商品コード信号を受
け取り、前記商品コード信号が指定する商品を出力させる制御部と、を含み、前記画像処
理部は、前記カメラからの画像において前記複数の商品のそれぞれを特定する領域である
商品特定領域を設定し、前記カメラからの画像における前記利用者の指の位置を抽出し、
前記利用者の指が所定の時間よりも長く1つの前記商品特定領域に含まれる場合に、当該
商品特定領域が特定する商品を前記選択商品と判断し、前記選択商品と判断した商品を指
定する前記商品コード信号を前記制御部に出力する。
【0024】
これらの発明によれば、画像処理部は、利用者の指の位置を抽出した場合に、指(特に
指先に限ってもよい)を構成する画素がどの商品特定領域に含まれるかの判断を行う。そ
して、利用者の指が1つの商品特定領域に所定の時間よりも長く含まれている場合に、当
該商品特定領域が特定する商品を選択商品と判断する。
【0025】
所定の時間以上、利用者が1つの商品を指差すことを確認してから選択商品を判断する
ので、画像処理部の誤検出を防止することができる。なお、所定の時間とは例えば1〜1
0秒であってもよいし、それより長くてもよい。
【0026】
なお、利用者の指の位置を抽出した場合に、透明板の表面からの距離も検出して判断に
用いることで、画像処理部の誤検出防止の効果を高めてもよい。
【0027】
(5)この自動販売機において、前記カメラを複数含み、前記画像処理部は、複数台の前
記カメラからの画像における前記利用者の指の位置が1つの同じ前記商品特定領域に含ま
れる場合に、当該商品特定領域が特定する商品を前記選択商品と判断してもよい。
【0028】
(6)この自動販売機において、前記カメラを2台備え、2台のカメラからの画像が所定
の視差を生じる位置に設置されてもよい。
【0029】
これらの発明によれば、複数のカメラを使用することで、視差を利用した判断が可能に
なると共に、複数の画像に基づいて商品特定領域を判断するので、画像処理部において選
択商品を正しく検出することが可能になる。
【0030】
複数のカメラは同時に全てが使用されてもよいし、複数のカメラのうち利用者の指を検
出可能な一部のカメラが選択により使用されてもよい。そして、製造開発コストを低くす
るために、複数のカメラは2台であってもよい。
【0031】
(7)この自動販売機において、赤外線発生源を含み、前記カメラは赤外線カメラであっ
てもよい。
【0032】
本発明によれば、例えば赤外線LEDといった赤外線発生源と、赤外線カメラを備える
ことによって、暗い夜間などでも正確に利用者の指の位置をカメラの画像から抽出するこ
とが可能である。よって、例えば夜間であっても画像処理部において選択商品を正しく検
出できる自動販売機を提供できる。
【0033】
(8)この自動販売機において、前記カメラは可視カメラであってもよい。
【0034】
本発明の自動販売機のカメラは、通常の可視光を用いた画像を撮影する可視カメラであ
ってもよい。このとき、特殊なカメラを用いる必要がないため製造開発コストが低くて済
む。
【0035】
(9)この自動販売機において、前記カメラは自動販売機の上部に設置されていてもよい

【0036】
本発明によれば、カメラを上部に設置した場合には、透明板を撮影するためにレンズ部
は下を向く。そのため、レンズ部が埃等で汚れることがなく、開発製造コストのみならず
保守のコストも低く抑えることが可能になる。
【0037】
(10)この自動販売機において、前記複数の商品を個別に照らす照明を含み、前記制御
部は、前記商品コード信号を受け取った場合に、前記商品コード信号が指定する商品が、
他の商品と区別されて照らされるように前記照明を制御してもよい。
【0038】
(11)この自動販売機において、前記利用者からの指示を受け取り、指示信号として制
御部に出力するユーザーインターフェース部を含み、前記制御部は、前記商品コード信号
が指定する商品が他の商品と区別されて照らされた後に、前記商品コード信号が指定する
商品が前記選択商品であることを前記利用者が確認したことを示す前記指示信号を受け取
った場合に、前記商品コード信号が指定する商品を出力させてもよい。
【0039】
これらの発明によれば、制御部は商品コード信号が指定する商品を出力させる前に利用
者の確認を促すため、誤った商品が出力されることを防ぐことができる。例えば、照明を
操作することで商品コード信号が指定する商品が、他の商品と区別されて利用者に示され
てもよい。制御部は、例えば商品コード信号が指定する商品の照度を上げさせたり、点滅
させたり、照らす色を変えさせたりしてもよい。また、逆に、商品コード信号が指定する
商品以外の商品の照明を暗くさせることで区別してもよい。
【0040】
また、商品コード信号が指定する商品が選択商品であるか否かを利用者が確認して、O
Kボタンやキャンセルボタンを用いて回答できるようにしてもよい。これらのボタンはユ
ーザーインターフェース部を経由して、指示信号として制御部に伝えられてもよい。
【0041】
(12)本発明は、筐体の一部である商品ディスプレイに複数の商品の見本を表示する自
動販売機であって、前記商品ディスプレイを含む所定のエリアを撮影するカメラと、前記
カメラからの画像に基づいて、前記利用者が前記複数の商品の中から選択した選択商品を
判断する画像処理部と、前記複数の商品の中の1つの商品を指定する商品コード信号を受
け取り、前記商品コード信号が指定する商品を出力させる制御部と、を含み、前記画像処
理部は、前記カメラからの画像における前記利用者の指の位置を抽出し、前記利用者の指
の位置と前記商品ディスプレイとの位置関係に基づき、前記選択商品を判断し、前記選択
商品と判断した商品を指定する前記商品コード信号を前記制御部に出力する。
【0042】
本発明によれば、画像処理部はカメラからの画像に基づいて、利用者の指の位置と前記
商品ディスプレイとの位置関係から選択商品を判断して、選択商品と判断した商品を指定
する商品コード信号を制御部に出力する。そして、制御部は、商品コード信号が指定する
商品を出力させる。本発明の自動販売機は、商品のそれぞれに対応するボタンや、自動販
売機のサイズに合わせたタッチパネルを必要とすることもない。そのため、自動販売機の
製造開発コストが低くて済む。このとき、利用者はボタンを押す必要はなく、欲しい商品
の見本を指差すだけで商品選択を行うことが可能である。そのため、本発明の自動販売機
は、商品選択時の操作性に優れている。
【0043】
なお、商品ディスプレイとは、筐体の一部であって複数の商品の見本を表示する部分を
いう。例えば、商品ディスプレイは商品の模型を利用者が視認可能なように格納している
部分であってもよい。また、例えば、商品の見本とは商品の外観の画像であって、商品デ
ィスプレイはその画像を映し出すLCD等のディスプレイ装置であってもよい。
【0044】
(13)本発明は、筐体の一部である商品ディスプレイに複数の商品の見本を表示する自
動販売機であって、前記商品ディスプレイを含む所定のエリアを撮影するカメラと、前記
カメラからの画像に基づいて、前記利用者が前記複数の商品の中から選択した選択商品を
判断する画像処理部と、前記複数の商品の中の1つの商品を指定する商品コード信号を受
け取り、前記商品コード信号が指定する商品を出力させる制御部と、を含み、前記画像処
理部は、前記カメラからの画像において前記複数の商品のそれぞれを特定する領域である
商品特定領域を設定し、前記カメラからの画像における前記利用者の指の位置を抽出し、
前記利用者の指が所定の時間よりも長く1つの前記商品特定領域に含まれる場合に、当該
商品特定領域が特定する商品を前記選択商品と判断し、前記選択商品と判断した商品を指
定する前記商品コード信号を前記制御部に出力する。
【0045】
本発明によれば、画像処理部は、利用者の指の位置を抽出した場合に、見本の位置に対
応して設けられた商品特定領域のいずれかに指が含まれるかを判断する。そして、利用者
の指が1つの商品特定領域に所定の時間よりも長く含まれている場合に、当該商品特定領
域が特定する商品を選択商品と判断する。所定の時間以上、利用者が1つの商品を指差す
ことを確認してから選択商品を判断するので、画像処理部の誤検出を防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1実施形態の自動販売機のブロック図。
【図2】図2(A)は第1実施形態の自動販売機の外観の正面図。図2(B)は側面図。
【図3】図3(A)は画像処理部のフローチャート。図3(B)は制御部のフローチャート。
【図4】図4(A)〜図4(B)は商品特定領域を説明する図。
【図5】図5(A)〜図5(B)は視差による指の見え方の違いを説明する図。
【図6】第1実施形態の照明制御とユーザーインターフェースを説明する図。
【図7】図7(A)〜図7(B)は第1変形例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0048】
1.第1実施形態
本発明の第1実施形態について図1〜図6を参照して説明する。
【0049】
1.1.自動販売機の構成
図1は本実施形態の自動販売機10のブロック図である。自動販売機10は、N台のカ
メラ20−1〜20−N、画像処理部30、制御部40を含む。更に、ユーザーインター
フェース部50や図外の照明や赤外線発生源を含んでもよい。自動販売機10は、一般に
グラスフロント型自動販売機と呼ばれる種類の自動販売機であり、利用者は、筐体の一部
に設けられた透明板を介して内部の複数の商品を視認することができる。
【0050】
カメラ20−1〜20−Nは、透明板を含む所定のエリアを撮影する。撮影されるエリ
アはカメラ20−1〜20−Nのそれぞれで異なっており、カメラ20−1〜20−Nの
設置位置に依存する。カメラ20−1〜20−Nは、撮影した画像をそれぞれ画像データ
102−1〜102−Nとして画像処理部30に出力する。ここで、カメラの台数Nは1
以上の自然数である。N=1の場合には、カメラ20−1とカメラ20−Nは同じ1台の
カメラである。
【0051】
本実施形態では、N=2、すなわち2台のカメラで自動販売機10が構成されている。
このとき、後述する視差を利用した判断が可能であり、カメラの台数を2台に抑えること
で製造開発コストを低くすることができる。以下の本実施形態の説明では、カメラ20−
Nをカメラ20−2と、画像データ102−Nを画像データ102−2と表現する。
【0052】
カメラ20−1とカメラ20−2とが撮影する、例えば利用者が指で自動販売機を操作
する様子は、リアルタイムに画像処理部30に送られる。それぞれのカメラが撮影した画
像に基づく画像データ102−1、102−2は、例えば毎秒10フレームといったレー
トで伝送される。画像データ102−1、102−2は、例えばバッファーを経由して画
像処理部30に送られてもよい。
【0053】
画像処理部30は、カメラ20−1とカメラ20−2からの画像に基づいて、利用者が
自動販売機内部の複数の商品の中から選択した選択商品を判断する。ここで、画像処理部
30は、画像データ102−1、102−2からカメラ20−1とカメラ20−2が撮影
した画像を得て利用者の指の位置を抽出する。そして、抽出された利用者の指の位置と透
明板との位置関係に基づいて選択商品を判断する。本実施形態の画像処理部30は、利用
者の指が透明板の表面から所定の距離内にある場合に、一定時間以上、利用者が指差す1
つの商品を選択商品であると判断する。所定の距離とは例えば1cmであってもよいし、
ゼロ(指が透明板に触れている状態)であってもよい。なお、画像処理部30の処理の詳
細については後述する。
【0054】
画像処理部30は、選択商品と判断した商品を指定する商品コード信号103を制御部
40に出力する。商品コード信号103は自動販売機10の複数の商品の中の1つの商品
を指定する信号である。本実施形態では、例えばP個の商品に対してIDとして固有の番
号が割り当てられており、商品コード信号は1〜Pのいずれかの数値を表す信号であると
する。なお、商品コード信号は商品の位置を表す信号(ロケーションコード信号)であっ
てもよい。そして、例えば商品コード信号が確定して有効であることを示す信号が、商品
コード信号と共に画像処理部30から制御部40に出力されてもよい。
【0055】
なお、画像処理部30は、入力される画像データを選択可能であってもよい。例えば、
本実施形態の別の例として、自動販売機10は4台のカメラ20−1、20−2、20−
3、20−4を備えており(ここでは、N=4)、通常は自動販売機の上部に設置された
カメラ20−1、20−2をペアで使用して、視野角が限られる場合に下部に設置された
カメラ20−3、20−4をペアで使用する。このとき、画像処理部30は、画像データ
102−1、102−2のペアと、画像データ102−3、102−4のペアとを切り替
えて受け取ってもよい。
【0056】
このような画像データの切り替えは、例えば、昼間は低消費電力のカメラ20−1、2
0−2をペアで使用して、夜間には高感度のカメラ20−3、20−4をペアで使用する
場合等にも適用できる。
【0057】
制御部40は、自動販売機が備える様々な機能を制御信号104によって実施させる。
例えば、制御部40は商品コード信号103を受け取り、制御信号104によって商品コ
ード信号103が指定する商品を出力させる。
【0058】
また、例えば自動販売機10は商品を個別に照らす照明(図外)を含み、制御部40は
制御信号104によって照明を制御し、商品コード信号103が指定する商品の照明を点
滅させてもよい。その他、制御部40は入金額やつり銭等の計算、温度・電力制御、利用
者への表示制御等も制御信号104によって実施するが、ここでは説明を省略する。
【0059】
また、制御部40は、利用者からの指示である利用者指示100をユーザーインターフ
ェース50経由で指示信号105として受け取り、指示信号105に基づいて制御信号1
04を出力してもよい。例えば、利用者に商品の確認を促して、OK(利用者からの商品
出力の指示)又はキャンセル(利用者からのやり直し要求の指示)をユーザーインターフ
ェース50経由で受け取ってもよい。このとき、利用者からのOKを待ってから商品を出
力させる制御信号104を出力することで、誤った商品が出力されることを防ぐことがで
きる。
【0060】
なお、制御部40は、例えばCPUと記憶部で構成されてもよい。そして、例えば記憶
部はCPUのプログラムを格納するROMとデータ等を保存するRAMとを含んでいても
よい。このとき、さらにCPUは画像処理部30の機能を兼ねてもよい。
【0061】
1.2.自動販売機の外観
グラスフロント型自動販売機と呼ばれる種類の自動販売機である自動販売機10を図2
(A)〜図2(B)を用いて説明する。なお、図1と同じ要素については同じ番号を付し
ており説明は省略する。
【0062】
図2(A)は第1実施形態の自動販売機10の外観の正面図である。利用者は、透明板
56を介して商品60を視認することが可能である。自動販売機10はグラスフロント型
でない自動販売機と同様に、紙幣投入口52、硬貨投入口53、商品取出口54を備える
。しかし、従来のグラスフロント型の自動販売機が備えるテンキーやダイレクトキーはな
く、例えばOKボタン51Aとキャンセルボタン51Bとを備える。なお、例えば返却レ
バー、金銭表示部等については図示を省略している。
【0063】
自動販売機10は、その上部に庇58を備えており、庇58にはカメラ20−1とカメ
ラ20−2とが設置されている。なお、カメラが設置されるのは自動販売機10の上部に
限らないが、カメラを上部に設置した場合には、透明板56を撮影するためにレンズ部は
下を向くことになる。このとき、カメラのレンズ部が埃等で汚れることがないため、例え
ば保守のコストを低く抑えることが可能になる。
【0064】
図2(B)は第1実施形態の自動販売機10の外観の側面図である。カメラ20−1は
、透明板56のうち少なくとも商品60を視認させる部分、すなわち外枠を除く部分が撮
影されるように取り付けられる。そして、撮影された画像に基づいて利用者の指70の位
置と透明板56との位置関係がわかるように、操作中の利用者の指70が写るように取り
付けられる。なお、カメラ20−2についても同様である。
【0065】
ここで、利用者の指70の位置と透明板56との位置関係には、利用者の指70がどの
商品60を指差しているかを区別するための、透明板56の表面おける平面的(2次元的
)な指の位置が含まれる。加えて、利用者の指70が透明板56の表面からどれだけ離れ
ているか、すなわち利用者の指70と透明板56の表面との距離dも含まれる。
【0066】
1.3.フローチャート
本実施形態では、2つのカメラ20−1、20−2で撮影された2つの画像に基づいて
視差を利用し、距離dも含めた利用者の指70の位置を算出して選択商品の判断を行う
。この場合の、画像処理部30の処理の流れを図3(A)のフローチャートを用いて説明
し、制御部40の処理の流れを図3(B)のフローチャートを用いて説明する。なお、図
3(A)においては、カメラ20−1、20−2をそれぞれカメラ1、カメラ2と表記し
ている。
【0067】
1.3.1.画像処理部の処理のフローチャート
図3(A)は画像処理部のフローチャートである。画像処理部は、カメラ1を用いて初
期画像を取得する(S2)。初期画像とは利用者が自動販売機を使用する前の画像である
。初期画像には利用者および利用者の指は写っていない。取得された初期画像は、画像処
理部又は別に用意された記憶部に保存される。初期画像は、画像に影響する環境の変化が
生じた場合に自動的に更新されてもよいし、定期的に更新されてもよい。
【0068】
その後、例えば利用者が商品選択を行う場合に、画像処理部はカメラ1で第1の画像を
取得する(S4)。そして、画像処理部は、第1の画像と初期画像との差分を抽出する(
S6)。カメラ1は固定の所定エリアを撮影する。そのため、利用者が商品を指差して選
択する動作をしていれば、差分として指が検出されることになる(S8Y)。指の検出で
は色による判断や、形状による判断や、これらの組み合わせによる判断等が行われてもよ
い。
【0069】
利用者の指が検出されると、カメラ2で第2の画像を取得する(S10)。第1の画像
だけでなく第2の画像を用いることで、視差を利用して、利用者の指と透明板の表面との
距離(図2(B)のd参照)を正確に把握することが可能になる。また、2つの画像に
基づいて判断するので、利用者の指が指す商品を正確に把握することができる。
【0070】
本実施形態の画像処理部は、これらの画像において複数の商品のそれぞれを特定する領
域である商品特定領域を設定する。そして、第1の画像と第2の画像とで利用者の指が同
じ位置にあること、すなわち1つの同じ商品特定領域に含まれていることを確認する(S
12Y)。なお、商品特定領域の詳細と視差を利用する方法については後述する。
【0071】
そして、利用者の指が一定時間静止していること、すなわち1つの同じ商品特定領域に
一定時間以上含まれることを確認して(S14Y)、商品コード信号を制御部に出力する
(S16)。ここでの商品コード信号は、利用者の指が含まれている商品特定領域によっ
て特定される商品を表す。
【0072】
なお、初期画像との差分で利用者の指が検出されなかった場合(S8N)、第1の画像
と第2の画像で利用者の指が同じ位置にない場合(S12N)、利用者の指が一定時間静
止しなかった場合(S14N)は、いずれも第1の画像を取得するステップ(S4)に戻
る。
【0073】
1.3.2.制御部の処理のフローチャート
図3(B)は制御部のフローチャートである。制御部は、画像処理部から商品コード信
号を受け取った場合に(S22Y)、照明の制御を行う(S24)。ここで、照明の制御
とは、商品コード信号が指定する商品(以下、指定商品)の照明を他の商品とは区別する
ような制御である。
【0074】
例えば、指定商品を照らす照明を点滅させたり、明るくしたり、色を変えたりすること
で他の商品と区別することができる。この照明制御により利用者に指定商品を示し、指定
商品が選択商品(利用者が選択した商品)と一致するかの確認を利用者に促す。なお、制
御部は、商品コード信号が入力されるまで入力待ち状態となっている(S22N)。
【0075】
利用者は、例えばOKボタンとキャンセルボタン(図2(A)の51A、51B参照)
を用いて確認を行う。そして、制御部は利用者からのOKがあれば(S26Y)、制御信
号によって指定商品を商品取出口に出力させる(S30)。
【0076】
なお、利用者がキャンセルボタンを押した場合には(S26N)、利用者が再度商品選
択を行うことができるようにする。具体的には、指定商品を照らす照明を通常の状態に戻
し(S28)、制御部は商品コード信号の入力待ちの状態になる(S22)。
【0077】
1.4.画像処理部の判断の詳細
本実施形態の画像処理部は2台のカメラによって視差を利用して、利用者の指の位置を
判断している。このとき、2台のカメラからの画像において複数の商品のそれぞれを特定
する領域である商品特定領域を設定し処理の効率化を図っている。ここでは、図4(A)
〜図5(B)を参照して、商品特定領域、および利用者の指の位置と得られる画像との関
係について説明する。なお、図1〜図3(B)と同じ要素については同じ番号を付してお
り説明は省略する。
【0078】
図4(A)および図4(B)は商品特定領域を説明する図である。図4(A)および図
4(B)は、カメラからの画像における商品(図2(A)の商品60に対応)の位置と商
品特定領域M11〜M34との位置関係を示している。
【0079】
商品特定領域は、カメラからの画像において複数の商品のそれぞれを特定する領域であ
る。そのため、画像処理部は商品の位置に対応するように、商品と同じ数の商品特定領域
を設定する。なお、複数のカメラからの画像がある場合、画像処理部は画像のそれぞれに
ついて商品特定領域を設定する。本実施形態では2台のカメラからの画像のそれぞれにつ
いて商品特定領域が設定されている。
【0080】
図4(A)は商品特定領域M11〜M34の例である。商品の中心部を含む長方形の商
品特定領域M11〜M34が示されている。画像処理部は、利用者の指が例えば商品特定
領域M11に含まれる場合に、最上段の左に位置する商品が選択されたと判断する。本実
施形態では、商品特定領域M11〜M34を互いに離れて設けることで、誤って隣接する
商品が選択されたと判断することを防止している。ただし、商品特定領域M11〜M34
は互いに接して設けられていてもよい。
【0081】
図4(B)は図4(A)の部分拡大図である。図4(B)は商品特定領域M11〜M3
4と、格子で示した画素との関係を示している。なお、図4(B)では商品特定領域M1
3〜M34の図示は省略している。それぞれの商品特定領域は、画像における画素で定義
される。例えば、商品特定領域M11は10<x<20かつ30<y<40を満たす画素
(x,y)からなる領域として定義することができる。なお、“x”は水平方向の画素位
置を、“y”は垂直方向の画素位置を表す。
【0082】
このように、商品特定領域を設けて、利用者の指が商品特定領域に含まれるか否かを判
断することにより効率的な判断が可能になる。つまり、様々な形状を持つ商品自体の輪郭
を記憶して、利用者の指と輪郭との位置関係を比較するのに比べて、判断に要する時間を
短縮することが可能になる。
【0083】
なお、商品特定領域の形状は多角形に限らず、例えば商品の形状に合わせたものであっ
てもよい。位置と大きさについても、商品の中心を含むだけでなく、全体を覆うように設
定されてもよい。商品特定領域の位置や大きさ等は、環境の変化や処理に応じて可変であ
ってもよい。このとき、制御部又は制御部とは異なる商品特定領域設定部が、例えば画像
処理部に記憶された商品特定領域の設定情報を書き換えて、位置や大きさを変更してもよ
い。
【0084】
また、商品特定領域M11〜M34のそれぞれが内部にサブ領域を含んでおり、利用者
の指が所定のサブ領域に含まれた場合にだけ、その商品特定領域が特定する商品が選択さ
れたと判断してもよい。例えば、商品特定領域M11〜M34の大きさが同じでない場合
でも、商品が選択されたか否かの判断に用いる領域の大きさを揃えたい場合がある。この
ような場合、商品特定領域M11〜M34のそれぞれが複数のサブ領域から成るようにす
る。このとき、サブ領域の大きさを揃えることが好ましい。そして、商品特定領域M11
〜M34のそれぞれにおいて、例えば利用者の指がある1つのサブ領域に含まれた場合に
、その商品特定領域が特定する商品が選択されたと判断してもよい。なお、判断に用いら
れるサブ領域の位置(例えば中央)、範囲又は数(例えば1つ)は環境の変化や処理等に
応じて可変であってもよい。
【0085】
図5(A)〜図5(B)は本実施形態の2台のカメラから得られる画像の例を示してい
る。これらの図を用いて視差による利用者の指の見え方の違いを説明する。
【0086】
画像が自動販売機10のほぼ正面を映している場合には、利用者の指が商品特定領域M
11〜M34(図4(A)参照)のいずれかに含まれるか否かの判断は比較的容易にでき
る。しかし、利用者の指と透明板56の表面との距離(図2(B)のd参照)を測るこ
とは難しい。
【0087】
本実施形態では、1台目のカメラからの画像110Aを取得し(図3(A)のS4に対
応)、2台目のカメラからの画像110Bを取得して(図3(A)のS10に対応)、両
画像で利用者の指が1つの同じ商品特定領域を指しているか否かの判断を行う(図3(A
)のS12に対応)。1つの同じ商品特定領域を指している場合には、以下の通り、利用
者の指が透明板56の表面から所定の距離内にあると判断できる。
【0088】
図5(A)は、利用者の指が透明板56の表面から離れている場合における、正面左方
のカメラからの画像110Aと正面右方のカメラからの画像110Bとを示す。利用者の
指は1つの商品特定領域M12の正面にあるが、視差によって、画像110Aでは利用者
の指70Aは右側に、画像110Bでは利用者の指70Bは左側にあるように見える。こ
のとき、画像処理部は2枚の画像の指が同じ位置にないので(図3(A)のS12Nに対
応)、商品コード信号を出力することなく新たな画像を取得する処理に戻る。
【0089】
図5(B)は、利用者の指が透明板56の表面から所定の距離内に近づいた場合の画像
110A、画像110Bを示す。この場合、画像110A、110Bの両方で利用者の指
70A、70Bは共に商品特定領域M12に含まれるため、画像処理部は商品特定領域M
12が特定する商品の商品コード信号を出力する。
【0090】
本実施形態では、2台のカメラを用いることで、視差を利用して利用者の指の位置を奥
行き方向についても把握できる。具体的には、利用者の指が透明板56の表面から所定の
距離内にあるか否かの判断が可能である。ここで、透明板56の表面から所定の距離は、
商品特定領域の大きさ(この例では幅)によって調整することが可能である。例えば、商
品特定領域の幅を小さくすることで、利用者の指が透明板56に触れると商品コード信号
が出力されるようにすることが可能である。
【0091】
このとき、商品特定領域の幅を変更するのではなく、判断に使用するサブ領域の大きさ
又は範囲を調整してもよい。例えば、商品特定領域の大きさが商品毎に異なる場合でも、
判断に使用するサブ領域の大きさを全商品で揃えることによって、前記の所定の距離を全
商品で揃えることができる。
【0092】
なお、本実施形態では、画像処理部は利用者の指が一定時間静止すること、すなわち1
つの商品特定領域(又は、所定のサブ領域)に含まれて一定時間が経過することを待って
商品コード信号を出力する(図3(A)のS14Yに対応)。これにより、誤った商品に
ついて商品コードを出力することを防止できる。また、本実施形態の別の例として、一定
時間の経過を待つことなく商品コードを出力してもよいし、利用者の指が1つの商品特定
領域に含まれて一定時間が経過することだけを条件として商品コード信号を出力してもよ
い。
【0093】
そして、この例では自動販売機10のほぼ正面からの画像が得られるものとして説明し
たが、カメラの設置位置によっては透明板56が台形型にゆがむ場合がある(図7(B)
参照)。その場合には、台形型の商品特定領域を設定する等の対応を行うことで、前記と
同じ処理を行うことが可能である。
【0094】
1.5.制御部による確認について
本実施形態の制御部は、利用者に指定商品(商品コード信号が指定する商品)が選択商
品(利用者が選択した商品)であるかの確認を促すことで、商品が誤って出力されること
を防止する。この確認作業における、制御部の照明制御とユーザーインターフェースにつ
いて、図6を用いて説明する。
【0095】
図6は、制御部が利用者に確認を促しているときの自動販売機10の外観を表している
。なお、図2(A)と同じ要素には同じ番号を付しており説明は省略する。
【0096】
自動販売機10は複数の商品を個別に照らす照明を含んでいて、制御部はこれらの照明
を制御できる。本実施形態の制御部は、商品コードを受け取った場合に、指定商品の照明
を明るくさせ、他の商品の商品を暗くさせる(図3(B)のS24参照)。これにより、
利用者に指定商品がどれであるかを示す。
【0097】
そして、OKボタン51Aとキャンセルボタン51Bを点滅させて、指定商品が選択商
品と一致している場合にはOKボタン51Aを押すように利用者を促す。このとき、点滅
に代えて、または点滅と共に、音声ガイドによる説明が行われてもよい。制御部は、OK
ボタン51Aが押されたことを示す指示信号を受け取ると、制御信号によって指定商品を
商品取出口に出力させる。
【0098】
このとき、照明制御によって利用者はどれが選択商品であるかを簡単に把握できる。ま
た、確認作業もOKボタン51A又はキャンセルボタン51Bの一方を押すだけであるの
で、利用者にとって商品選択時の操作性が損なわれることはない。本実施形態の制御部の
これらの処理によって、操作性を損なうことなく、商品が誤って出力されることを防止す
ることができる。
【0099】
本実施形態の自動販売機では、画像処理部はカメラからの画像に基づいて、利用者の指
の位置と透明板との位置関係から選択商品を判断して、その商品を指定する商品コード信
号を制御部に出力する。そして、制御部は、商品コード信号が指定する商品を出力させる
。このとき、利用者は、特にテンキーやダイレクトキーを操作することなく、欲しい商品
を指差すだけで商品選択を行うことが可能である。そのため、本発明の自動販売機は、商
品選択時の操作性に優れている。また、例えばテンキーでの利用者の数値間違い等に起因
する、商品の誤選択を防止することができる。そして、例えば自動販売機のサイズに合わ
せたタッチパネルを必要とすることもない。そのため、自動販売機の製造開発コストが低
くて済む。さらに、カメラは様々なサイズの自動販売機に取り付けが可能である。そのた
め、特に自動販売機のサイズが大きい場合に、タッチパネル式の自動販売機に比べて製造
開発コストを大きく下げることができる。
【0100】
2.第1変形例
第1実施形態の第1変形例について図7(A)〜図7(B)を参照して説明する。なお
、図7(A)〜図7(B)において、図1〜図6と同じ要素には同じ番号を付しており説
明を省略する。
【0101】
図7(A)は第1変形例の自動販売機10の外観図である。図7(A)のように、第1
変形例の自動販売機10では1台のカメラ20−1の画像だけに基づいて、画像処理部が
利用者の指の位置を抽出する。なお、第1変形例のブロック図は、図1においてN=1と
した場合が対応する。カメラ20−1は例えば庇58の左方に設置される。
【0102】
図7(B)は、カメラ20−1が撮影した画像110の例である。カメラ20−1は透
明板56が含まれるエリアを斜め上から写すことで、画像処理部が透明板56と利用者の
指70との三次元の位置関係を検出できるようにする。このとき、透明板56は例えば台
形型に歪むが、画像処理部が台形型の商品特定領域(例えば図7(B)のM22、M32
)を設定することで判断が可能になる。
【0103】
ここで、本変形例では1台のカメラ20−1からの画像しか利用できない。そのため、
図7(B)のように商品特定領域M22の正面であって透明板56の表面と離れた位置に
利用者の指70がある場合に、商品特定領域M32に利用者の指70が含まれると誤認す
る可能性がある。そこで、画像処理部は、例えば利用者の指70の影72や、反射板56
に映った利用者の指(図外)なども抽出して判断に用いてもよい。
【0104】
本変形例では、1台のカメラ20−1だけを用いるため、製造開発コストをさらに低く
することが可能である。
【0105】
3.第2変形例
第1実施形態の第2変形例について説明する。第1実施形態のカメラ20−1〜20−
2は例えば可視カメラである。このとき、特殊なカメラを用いる必要がないため製造開発
コストが低くて済む。しかし、自動販売機は戸外に設置され、夜も稼動している。そのた
め、夜間でも正確に利用者の指の位置をカメラの画像から抽出することが求められる場合
がある。また、昼間の使用であっても、環境光が明るすぎる場合には、例えばカメラの自
動露出機能の影響により、利用者の指の位置の抽出がうまくいかない可能性がある。
【0106】
本変形例では、第1実施形態のカメラ20−1〜20−2を赤外線カメラとすることで
、夜間や環境光が明るすぎる場合でも正確に利用者の指の位置をカメラの画像から抽出す
ることを可能にする。
【0107】
このとき、第2変形例の自動販売機は、例えば赤外線LEDといった赤外線発生源を備
えていてもよい。赤外線発生源からの赤外線を利用者の指が反射し、その様子を赤外線カ
メラが撮影することで正確な利用者の指の位置を夜間等でも把握することが可能になる。
【0108】
これらの例示に限らず、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(
例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を
含む。
【0109】
また、グラスフロント型自動販売機を例にして説明したが、実施の形態で説明した構成
はグラスフロント型以外の自動販売機にも適用可能である。例えばタッチパネルで商品選
択を行う方式の自動販売機に本発明を適用した場合、タッチパネルに代えて商品の見本を
示す商品ディスプレイを使用することができる。例えば商品の見本とは、商品の外観を示
す模型、絵、映像等であってもよい。そして、例えば商品ディスプレイは商品の見本が描
かれた樹脂板等であってもよい。
【0110】
このとき、前記の実施例や変形例における商品を商品の見本に置き換えただけであり、
その他の構成や処理内容は同じである。よって、前記の実施例等と同じく、自動販売機の
製造開発コストを大きく下げることができる。そして、欲しい商品の見本を指差すだけで
商品選択を行うことが可能なため、グラスフロント型でない従来の自動販売機と比較して
も操作性がよい。
【0111】
そして、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を
含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同
一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構
成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0112】
10…自動販売機、20−1〜20−N…カメラ、30…画像処理部、40…制御部、5
0…ユーザーインターフェース部、51A…OKボタン、51B…キャンセルボタン、5
2…紙幣投入口、53…硬貨投入口、54…商品取出口、56…透明板、58…庇、60
…商品、70…利用者の指、72…影、100…利用者指示、102−1〜102−N…
画像データ、103…商品コード信号、104…制御信号、105…指示信号、110…
画像、110A…画像、110B…画像、M11〜M34…商品特定領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の一部に設けられた透明板を介して内部の複数の商品が利用者に視認可能な自動販
売機であって、
前記透明板を含む所定のエリアを撮影するカメラと、
前記カメラからの画像に基づいて、前記利用者が前記複数の商品の中から選択した選択
商品を判断する画像処理部と、
前記複数の商品の中の1つの商品を指定する商品コード信号を受け取り、前記商品コー
ド信号が指定する商品を出力させる制御部と、を含み、
前記画像処理部は、
前記カメラからの画像における前記利用者の指の位置を抽出し、
前記利用者の指の位置と前記透明板との位置関係に基づき、前記選択商品を判断し、
前記選択商品と判断した商品を指定する前記商品コード信号を前記制御部に出力する自
動販売機。
【請求項2】
請求項1に記載の自動販売機において、
前記画像処理部は、
前記カメラからの画像において前記複数の商品のそれぞれを特定する領域である商品特
定領域を設定し、
前記利用者の指が前記透明板の表面から所定の距離内にあって、かつ、1つの前記商品
特定領域に含まれる場合に、当該商品特定領域が特定する商品を前記選択商品と判断する
自動販売機。
【請求項3】
請求項2に記載の自動販売機において、
前記画像処理部は、
前記利用者の指が所定の時間よりも長く1つの前記商品特定領域に含まれる場合に、当
該商品特定領域が特定する商品を前記選択商品と判断する自動販売機。
【請求項4】
筐体の一部に設けられた透明板を介して内部の複数の商品が利用者に視認可能な自動販
売機であって、
前記透明板を含む所定のエリアを撮影するカメラと、
前記カメラからの画像に基づいて、前記利用者が前記複数の商品の中から選択した選択
商品を判断する画像処理部と、
前記複数の商品の中の1つの商品を指定する商品コード信号を受け取り、前記商品コー
ド信号が指定する商品を出力させる制御部と、を含み、
前記画像処理部は、
前記カメラからの画像において前記複数の商品のそれぞれを特定する領域である商品特
定領域を設定し、
前記カメラからの画像における前記利用者の指の位置を抽出し、
前記利用者の指が所定の時間よりも長く1つの前記商品特定領域に含まれる場合に、当
該商品特定領域が特定する商品を前記選択商品と判断し、
前記選択商品と判断した商品を指定する前記商品コード信号を前記制御部に出力する自
動販売機。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の自動販売機において、
前記カメラを複数含み、
前記画像処理部は、
複数台の前記カメラからの画像における前記利用者の指の位置が1つの同じ前記商品特
定領域に含まれる場合に、当該商品特定領域が特定する商品を前記選択商品と判断する自
動販売機。
【請求項6】
請求項5に記載の自動販売機において、
前記カメラを2台備え、2台のカメラからの画像が所定の視差を生じる位置に設置され
ている自動販売機。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の自動販売機において、
赤外線発生源を含み、
前記カメラは赤外線カメラである自動販売機。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の自動販売機において、
前記カメラは可視カメラである自動販売機。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の自動販売機において、
前記カメラは自動販売機の上部に設置されている自動販売機。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の自動販売機において、
前記複数の商品を個別に照らす照明を含み、
前記制御部は、
前記商品コード信号を受け取った場合に、前記商品コード信号が指定する商品が、他の
商品と区別されて照らされるように前記照明を制御する自動販売機。
【請求項11】
請求項10に記載の自動販売機において、
前記利用者からの指示を受け取り、指示信号として制御部に出力するユーザーインター
フェース部を含み、
前記制御部は、
前記商品コード信号が指定する商品が他の商品と区別されて照らされた後に、前記商品
コード信号が指定する商品が前記選択商品であることを前記利用者が確認したことを示す
前記指示信号を受け取った場合に、前記商品コード信号が指定する商品を出力させる自動
販売機。
【請求項12】
筐体の一部である商品ディスプレイに複数の商品の見本を表示する自動販売機であって

前記商品ディスプレイを含む所定のエリアを撮影するカメラと、
前記カメラからの画像に基づいて、前記利用者が前記複数の商品の中から選択した選択
商品を判断する画像処理部と、
前記複数の商品の中の1つの商品を指定する商品コード信号を受け取り、前記商品コー
ド信号が指定する商品を出力させる制御部と、を含み、
前記画像処理部は、
前記カメラからの画像における前記利用者の指の位置を抽出し、
前記利用者の指の位置と前記商品ディスプレイとの位置関係に基づき、前記選択商品を
判断し、
前記選択商品と判断した商品を指定する前記商品コード信号を前記制御部に出力する自
動販売機。
【請求項13】
筐体の一部である商品ディスプレイに複数の商品の見本を表示する自動販売機であって

前記商品ディスプレイを含む所定のエリアを撮影するカメラと、
前記カメラからの画像に基づいて、前記利用者が前記複数の商品の中から選択した選択
商品を判断する画像処理部と、
前記複数の商品の中の1つの商品を指定する商品コード信号を受け取り、前記商品コー
ド信号が指定する商品を出力させる制御部と、を含み、
前記画像処理部は、
前記カメラからの画像において前記複数の商品のそれぞれを特定する領域である商品特
定領域を設定し、
前記カメラからの画像における前記利用者の指の位置を抽出し、
前記利用者の指が所定の時間よりも長く1つの前記商品特定領域に含まれる場合に、当
該商品特定領域が特定する商品を前記選択商品と判断し、
前記選択商品と判断した商品を指定する前記商品コード信号を前記制御部に出力する自
動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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