説明

自動販売機

【課題】人体検知センサを内蔵した自動販売機において、自動販売機前面に来た購買客を確実に検知することができる自動販売機を提供する。
【解決手段】人体検知センサ22を内蔵した自動販売機本体において、人体検知センサ22を金額表示器に内蔵し、自動販売機本体の左右方向中心側に向けて所定角度傾斜して配設する。

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
【0001】
本発明は、その内部に人体検知センサを搭載した自動販売機に関する。

【背景技術】
【0002】
従来、自動販売機の前面に人体検知センサを設けて、それにより購買客の有無を判別し、例えば購買客が自動販売機の前面に来たときのみ、パネル等を照明する照明装置を点灯させることにより、照明用電力消費を節電するようにした自動販売機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、上記人体検知センサを自動販売機のコントローラから受信した投入金額等の金額情報および販売対象毎の在庫数量等のメンテナンス情報を表示するための金額表示器が、自動販売機本体前面と略平行となるように内蔵された自動販売機が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−283544号
【特許文献2】特開2005−49965号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の自動販売機によると、2種類の人体検知センサを自動販売機前面の金額表示器の両側に設置する構成であるため、当該人体検知センサ専用の設置スペースが必要となるという問題がある。
【0006】
そこで、特許文献2のように、人体検知センサを金額表示器に内蔵することで該人体検知センサ専用の設置スペースが不要となる。ところで、自動販売機の金額表示器は一般的に、硬貨を投入する硬貨投入口や紙幣を挿入する紙幣投入口、挿入した紙幣及び投入した硬貨を返却する返却レバーの近傍に設置される。それら構成部品は、図1に示すように自動販売機前面における右側部分に片寄って設置されている。これは、自動販売機に収納される商品数により、該自動販売機の構造上制限が生じてしまうことに起因する。このような状況で、特許文献2の如く人体検知センサを搭載した金額表示器が自動販売機本体と略平行となるように内蔵した場合、図5に示すように人体検知センサの指向性によって、自動販売機前面において検知できる領域(自動販売機前面右半分)と検知できない領域(自動販売機前面左半分)とができる。このため、購買客が自動販売機の幅方向右側から自動販売機に接近した場合には該購買客を検知することができるが、幅方向左側から接近した際には人体検知センサによる検知タイミングが変化し、意図しない状況で検知してしまったり、意図する状況で検知できない場合が発生してしまうという問題が生じてしまう。
【0007】
そこで本発明では、人体検知センサを内蔵した自動販売機において、自動販売機前面に来た購買客を確実に検知することができる自動販売機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明によれば、人が所定距離内に接近したときに検知信号を出力する人体検知センサを配設した自動販売機において、前記人体検知センサは該自動販売機の左右方向中心側に向けて所定角度傾斜して配設されることを特徴とする。これにより、自動販売機の構造上、人体検知センサが自動販売機の左右方向のいずれに配置されたとしても、該人体検知センサを自動販売機の中心側に向けて傾斜することで、自動販売機前面に到来した購買客を確実に検知することが可能になる。
【0010】
また、請求項2の発明によれば、請求項1記載の自動販売機において、前記人体検知センサは、所定の販売に関する情報を表示するための金額表示器に内蔵されることを特徴とする。これにより、人体検知センサを設ける専用のスペースを設ける必要がない。
【0011】
また、請求項3の発明によれば、請求項2記載の自動販売機において、前記金額表示器は、自動販売機前面に対して略平行に配設される第1の配線基板と、前記人体検知センサが実装される第2の配線基板とを有し、前記第2の配線基板を第1の配線基板に対して所定角度傾斜させたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の発明によれば、請求項3記載の自動販売機において、前記第1の配線基板及び第2の配線基板を収容する収容部を有し、該収容部には前記第2の配線基板を支持する支持部を形成することを特徴とする。
【0013】
また、請求項5の発明によれば、請求項4記載の自動販売機において、前記支持部は第2の配線基板の支持角度を段階的に可変するための複数の溝部により構成されることを特徴とする。
【0014】
また、請求項5の発明によれば、請求項4記載の自動販売機において、前記溝部の開口部付近にテーパ部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、人体検知センサが自動販売機の左右方向のいずれに配置されたとしても、該人体検知センサを自動販売機本体中心側に向けて所定角度傾斜させるので、自動販売機の前面に到来した購買客を該人体検知センサにて確実に検知することができる。また、人体検知センサを金額表示器に内蔵することで、該人体検知センサの専用のスペースを設ける必要がなくなる。更に、金額表示器に内蔵された人体検知センサの傾斜角度を任意に調整することが可能となるため、人体検知センサが内蔵された金額表示器が自動販売機のどの位置に配置されたとしても柔軟に対応することができ、より確実に購買客の存在を検知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係る金額表示器を備えた自動販売機の全体斜視図であり、前面を開口した自動販売機本体1と、自動販売機本体1の前面を開閉する外扉2と、外扉2の前面に設けられた商品サンプル室3とを備え、商品サンプル室3内には照明対象物としての多数の商品サンプル4が設けられている。また、外扉2の前面には広告表示室5が設けられている。
【0017】
自動販売機本体1は内部に断熱性の商品収納庫(図示せず)を備え、商品収納庫内にはサーペンタイン式等の商品コラム(図示せず)が設けられている。
【0018】
外扉2は幅方向一端を自動販売機本体1に回動自在に支持され、その前面には、複数の商品選択スイッチ2a、硬貨投入口2b、紙幣投入口2c、金額表示器2d、硬貨返却口2e及び商品取出口2fが設けられている。ここで本実施形態では、硬貨投入口2b、紙幣投入口2c、金額表示器2dは外扉2の前面右側に集約して配置されている。
【0019】
図2は、金額表示器2dの分解斜視図である。金額表示器2dは、その本体となる本体ケース10と、この本体ケース10の下面に着脱自在に取り付けられ、所定の波長の発光光を出射するLEDなどを実装し、投入された金額を表示する金額表示及び釣銭切れを表示する釣銭切ランプ及び商品の販売中を表示する販売中ランプ等の販売関連の表示を行なう第1の基板20と、人が自動販売機へ到来したことを検知する人体検知センサ22を実装した第2の基板21と、特定の光透過率を有し、基板20に実装されているLEDからの発光光を拡散させるための拡散シート30と、本体ケース10の上面部分から蓋をするための蓋部40とを備えている。ここで、第1の基板20は自動販売機本体1の前面に対して略平行に配設されている。
【0020】
図3(a)は、第1の基板20及び第2の基板21の正面図、図3(b)は、第1の基板20と第2の基板21との位置関係を示す底面図である。人体検知センサ22を実装した第2の基板21は、第1の基板20に対して所定角度傾斜して配設されている。詳細には、第2の基板21は、自動販売機本体1の前面の中央側に向かって所定角度傾斜して配設される。人体検知センサ22の傾斜角度は自動販売機の運用によって異なるが、購買客が自動販売機を操作する状況で確実に検知できる程度に傾斜させることが好ましい。第2の基板21は図示しない本体ケース10に当接することで係止される。尚、図示しないが、第1の基板20と第2の基板21とは例えばコネクタなどの接続部により電気的に接続されている。
【0021】
図4は、本実施形態における第2の実施形態を示す底面図である。本体ケース10には、前述の第1の基板20が着脱自在に取り付けられている。人体検知センサ22を実装した第2の基板21の一端側は第1の基板20に設けられた軸25に軸支されており、軸25を中心に回動自在に形成されており、自動販売機本体1の前面の中央側に向かって所定角度傾斜させることが可能となっている。本体ケース10には、第2の基板21の他端側を係止するための複数の溝部23a〜23cが配設されている。溝部23a〜23cの上側には、それぞれテーパ24a〜24cが形成されている。該テーパ24a〜24cは後述する第2の基板21の係合を解除する際に、溝部23a〜23cの何れかに第2の基板21が引っ掛かることを防止する目的で設けられているものである。
【0022】
第2の基板21の傾斜角度を変更するには、まず第2の基板21の他端側が係止されている溝部23a〜23cの何れから軸25により軸支されている第2の基板21の一端側を回動させることにより解除する。その後、フリー状態となった第2の基板21の他端側を溝部23a〜23cの何れかに解除方向とは逆方向に回動させて係合することで、傾斜角度を変更することができる。
【0023】
尚、上記第2の実施形態においては、第1の基板20と第2の基板21とを軸支し、第2の基板21の一端側を軸25を中心に回動自在に形成するように構成したが、これに限られるものではなく、例えば第1の基板と第2の基板に夫々接続用のコネクタを設け、該コネクタ間を可撓性のフレキシブル基板を介して電気的に接続し、当該フレキシブル基板を撓ませて第2の基板21の他端の係合及び係合の解除を行うことで、傾斜角度を変更することもできる。
【0024】
また、上記第2の実施形態においては、第1の基板20と第2の基板21とを軸支し、第2の基板21の一端側を軸を中心に回動自在に形成するように構成したが、本体ケース10に第2の基板の一端側を係止する係止片を設け、該係止片と他端側の溝部とで第2の基板を係止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る金額表示器を備えた自動販売機の全体斜視図
【図2】本発明の実施形態に係る金額表示器の分解斜視図
【図3】本発明の第1の実施形態を示す金額表示器の正面図及び底面図
【図4】本発明の第2の実施形態を示す金額表示器の断面図
【図5】人体検知センサを備えた自動販売機の従来の構成図
【符号の説明】
【0026】
1・・・自動販売機本体、2・・・外扉、2a・・・商品選択スイッチ、2b・・・硬貨投入口、2c・・・紙幣投入口、2d・・・金額表示部、2e・・・硬貨返却口、2f・・・商品取出口、10・・・本体ケース、20・・・第1の基板、21・・・第2の基板、22・・・人体検知センサ、23a〜23c・・・溝部、24a〜24c・・・テーパ、25・・・軸、30・・・拡散シート、40・・・蓋部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が所定距離内に接近したときに検知信号を出力する人体検知センサを配設した自動販売機において、前記人体検知センサは該自動販売機の左右方向中心側に向けて所定角度傾斜して配設されることを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記人体検知センサは、所定の販売に関する情報を表示するための金額表示器に内蔵されることを特徴とする請求項1記載の自動販売機。
【請求項3】
前記金額表示器は、自動販売機前面に対して略平行に配設される第1の配線基板と、前記人体検知センサが実装される第2の配線基板とを有し、前記第2の配線基板を第1の配線基板に対して所定角度傾斜させたことを特徴とする請求項2記載の自動販売機。
【請求項4】
前記第1の配線基板及び第2の配線基板を収容する収容部を有し、該収容部には前記第2の配線基板を支持する支持部を形成することを特徴とする請求項3記載の自動販売機。
【請求項5】
前記支持部は第2の配線基板の支持角度を段階的に可変するための複数の溝部により構成されることを特徴とする請求項4記載の自動販売機。
【請求項6】
前記溝部の開口部付近にテーパ部を設けたことを特徴とする請求項5記載の自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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