説明

自動車の照明装置

【課題】センタピラーレス仕様に対応できるとともに、コストの上昇及び飛び石等による損傷を回避できる自動車の照明装置を提供する。
【解決手段】フロントドア10が開かれたことを検知するフロントドア開検知センサ23と、リヤドア11が開かれたことを検知するリヤドア開検知センサ24と、リヤドア11の前面下部11dに設けられ、フロントドア開検知センサ23がフロントドア10の開を検知したとき及びリヤドア開検知センサ24がリヤドア11の開を検知したときオンするカーテシランプ25とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントドア及びスライド式リヤドアを備えたセンタピラーレス仕様の自動車に関し、詳細にはドア開時に足元周辺を照らすようにした照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車においては、夜間の乗降性を高める観点から、ドアを開くと足元の周辺をカーテシランプで照らすようにした照明装置を備える場合がある。例えば、特許文献1では、スライド式のリヤドアにリヤドアの下方及び後方を照らすカーテシランプを配設している。また、特許文献2では、センタピラーに車室内の乗降口の下部周辺を照らすカーテシランプを配設するとともに、スライド式リヤドアにアウタハンドルの周辺を照らすカーテシランプを配設している。さらに、特許文献3では、車幅方向に開閉するドアの下縁部にカーテシランプを配設している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−327041号公報
【特許文献2】特開2009−126214号公報
【特許文献3】特開2001−23469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の特許文献1〜3の照明装置は、何れも各ドアにカーテシランプを配設しており、部品点数が増える分だけコストが上昇するという問題がある。
【0005】
また特許文献2では、センタピラーにカーテシランプを配設することにより、フロント側及びリヤ側の両方の室内を照らすようにしている。しかしこの構造は、センタピラーレス仕様の自動車には適用できないという問題がある。
【0006】
さらに前記センタピラーにカーテシランプを配設する構造では、照射領域が主として車室内であることから、車室外での照明は確保できない。このため、ドア開口の下縁部を形成するサイドシルに車外下方を照らすカーテシランプを配設しているが、このようにした場合には、カーテシランプが車外に露出することから、走行中の飛石等により損傷し易いという懸念がある。
【0007】
本発明は、前記従来の状況に鑑みてなされたもので、センタピラーレス仕様に対応できるとともに、コストの上昇及び飛石等による損傷を回避できる自動車の照明装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、車両側部にフロントドア開口とリヤドア開口とを一体的に形成し、前記フロントドア開口を該開口の前縁部に支持されたフロントドアにより車幅方向に開閉可能とするとともに、前記リヤドア開口をスライド式のリヤドアで前後方向に開閉するようにした自動車の照明装置において、前記フロントドアが開かれたことを検知するフロントドア開検知センサと、前記リヤドアが開かれたことを検知するリヤドア開検知センサと、前記リヤドアの前面下部に設けられ、前記フロントドア開検知センサがフロントドアの開を検知したとき及び前記リヤドア開検知センサがリヤドアの開を検知したときオンするカーテシランプとを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明に係る照明装置によれば、センタピラーレス仕様のスライド式リヤドアの前面下部にカーテシランプを設け、フロントドア及びリヤドアが開いたときに前記カーテシランプを点灯するようにしたので、1つのカーテシランプにより、フロントドア及びリヤドアの何れを開いた場合にも、それぞれのドア開口の足元周辺を照らすことができ、従来の各ドアにカーテシランプを配設する場合に比べて部品点数を削減してコストを低減できる。
【0010】
また前記カーテシランプをリヤドアの前面下部に配置したので、このカーテシランプは、走行中はフロンドドアの後端面により覆われることから、カーテシランプが外部に露出することはなく、走行中の飛石等による損傷を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1による照明装置を備えた自動車の側面図である。
【図2】前記自動車のフロントドア,リヤドアを開いた状態の側面図である。
【図3】本発明の実施例2による照明装置のドア開閉スイッチ部分の模式構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0013】
図1及び図2は、本発明の実施例1による自動車の照明装置を説明するための図である。なお、本実施例の説明のなかで前後,左右という場合は、特記なき限り、シートに着座した状態で見た場合の前後,左右を意味する。
【0014】
図において、1は本実施例の照明装置8を備えた自動車の車体を示している。この車体1は、左,右のサイドパネル(車両側部)2,2と、該左,右のサイドパネル2,2の下端部同士を接続するように配設されたフロアパネル3と、上端部同士を接続するよう配設されたルーフパネル4とで車室Aを形成した概略構造を有する。
【0015】
前記車室A内にはフロントシート5及びリヤシート6が搭載されており、このフロントシート5の運転席側の前方にはステアリングホイール7が配設されている。
【0016】
前記左側のサイドパネル2は、フロントドア開口2aとリヤドア開口2bとが一体的に形成された、いわゆるセンタピラーレス仕様のものである。これにより乗り降り及び荷物の積み卸しが容易に行なえる。また図示していないが、前記右側のサイドパネル2には、フロントドア開口とリヤドア開口とがセンタピラーにより前後に区分けするように形成されている。
【0017】
前記左側のサイドパネル2のフロントドア開口2aには、該フロントドア開口2aを開閉するフロントドア10が配設されている。このフロントドア10は、前記フロントドア開口2aの前縁部を形成するフロントピラー12に取り付けられたヒンジ部材(不図示)を中心にして車幅方向に開閉可能に支持されている。
【0018】
前記左のサイドパネル2のリヤドア開口2bには、該リヤドア開口2bを開閉するスライド式のリヤドア11が配設されている。このリヤドア11は、前記サイドパネル2に取り付けられたスライドレール13を介して前後方向に開閉可能に支持されている。
【0019】
前記フロントドア10は、ドア本体10aの上部開口にウインドガラス10bを昇降可能に配設するとともに、該ドア本体10aの後端部にドアハンドル10cを配設した構造を有する。
【0020】
前記フロントドア10には、該フロントドア10を車体1にロックする上,下のドアロック機構15,16が配設されている。
【0021】
前記上のドアロック機構15は、フロントドア開口2aの上縁部を形成するルーフレール17に取り付けられた上ロックストライカ15aと、前記ドア本体10aに取り付けられた上ロックストライカ15aに係脱可能に係合する上ドアラッチ(不図示)とを有する。
【0022】
また前記下ドアロック機構16は、フロントドア開口2aの下縁部を形成するロッカパネル18に取り付けられた下ロックストライカ16aと、前記ドア本体10aに取り付けられた下ロックストライカ16aに係脱可能に係合する。
【0023】
前記リヤドア11は、ドア本体11aの上部開口にウインドガラス11bを昇降可能に配設するとともに、該ドア本体11aの前端部にドアハンドル11cを配設した構造を有する。
【0024】
前記リヤドア11には、該リヤドア11を車体1にロックするリヤドアロック機構20が配置されている。このリヤドアロック機構20は、リヤドア開口2bの後縁部を形成するリヤピラー21に取り付けられたリヤストライカ20aと、前記ドア本体11aに取り付けられ、リヤストライカ20aに係脱可能に係合するドアラッチ(不図示)とを有する。
【0025】
前記照明装置8は、前記フロントドア10が開かれたことを検知するフロントドア開検知センサ23と、前記リヤドア11が開かれたことを検知するリヤドア開検知センサ24と、前記リヤドア11の前面下部11dに設けられたカーテシランプ25とを備えている。具体的には、前記フロントドア開検知センサ23は、前記下ドアロック機構16の解除をフロントドア10の開と検出し、リヤドア検知センサ24は、前記リヤドアロック機構20の解除をリヤドア11の開と検出する。
【0026】
前記照明装置8は、さらに、前記フロントドア開検知センサ23がフロントドア10の開操作を検知したとき及び前記リヤドア開検知センサ24がリヤドア11の開操作を検知したときに前記カーテシランプ25をオンして点灯させるコントロールユニット26とを備えている。
【0027】
前記コントロールユニット26は、フロントドア10及びリヤドア11が閉じられたときには前記カーテシランプ25を消灯する。
【0028】
前記カーテシランプ25は、光を車両前方かつ下方に向けて照射するように配置されており、リヤドア11を閉じた状態でフロンドドア10を開くと、フロンドドア開口2aの下縁部周辺及び車外下方を照らす。また前記カーテシランプ25は、リヤドア11を開くと、該リヤドア11と共に後方に移動しつつ、リヤドア開口2bの下縁部周辺及び車外下方を照らす。
【0029】
このように本実施例によれば、センタピラーレス仕様のスライド式リヤドア11の前面下部11dにカーテシランプ25を配設し、フロントドア10及びリヤドア11の何れが開いたときにも前記カーテシランプ25を点灯するようにしたので、1つのカーテシランプ25によりフロントドア開口2a及びリヤドア開口2bの足元周辺を照らすことができ、従来の各ドアにカーテシランプを配設する場合に比べて部品点数を削減でき、コストを低減できる。
【0030】
また本実施例では、前記カーテシランプ25をリヤドア11の前面下部11dに配置したので、前記カーテシランプ15は、走行中はフロンドドア10の後端面により覆われることから、カーテシランプ25が外部に露出することはなく、走行中の飛石等による損傷を防止できる。
【0031】
なお、前記実施例では、カーテシランプ25をコントロールユニット26によりオン・オフ制御したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、フロントドア,リヤドアの開時に点灯し、閉時に消灯するルームランプ又はキーシリンダランプに連動させてカーテシランプを点灯,消灯させるようにしてよい。
【0032】
また、フロントドア,リヤドアの半開き状態を検出して点灯するドア開警告灯に連動させてカーテシランプを点灯させるようにしてもよく、このようにした場合には、既存の照明装置をそのまま利用でき、コストの上昇をさらに抑制することができる。
【実施例2】
【0033】
図1及び図3に本発明の実施例2による自動車の照明装置を示す。
【0034】
本実施例2では、前記フロントドア10の後面10dとリヤドア11の前面11eとの対面部に、何れのドアが開いた場合にもオンするドア開閉スイッチ27を配設し、これを前記フロントドア開検出センサ,リヤドア検出センサの代用としている。
【0035】
前記ドア開閉スイッチ27は、具体的には例えば、図3に示すように、リヤドア11内に、該リヤドア11の前面11eから出没自在に、かつ突出方向にばね27bで付勢して配置されたスイッチ端子27aと、このスイッチ端子27aによりオン・オフされる接点27cとを有する。このドア開閉スイッチ27は前記カーテシランプ25と電源との間に介設されている。
【0036】
フロントドア10及びリヤドア11が閉じている場合は、図3(a)に示すように、前記スイッチ端子27aはフロントドア10の後面10dで押されてリヤドア11の内方に没入し、接点27cは開放されている。
【0037】
一方、フロントドア10が車幅方向外方に開くと、図3(b)に示すように、前記スイッチ端子27aがリヤドア11の前面11eから前方に突出し、接点27cを導通させる。なお、リヤドア11が車両後方に開いた場合も前記フロントドア10が開いた場合と全く同様である。
【0038】
このように本実施例2では、フロントドア10又はリヤドア11の何れが開いた時にもオンするドア開閉スイッチ27を設け、これをカーテシランプ25と電源との間に介在させたので、極めて簡単な構造により、かつ低コストで、1つのカーテシランプ25によりフロントドア開口2a及びリヤドア開口2bの足元周辺を照らすことができ、従来の各ドアにカーテシランプを配設する場合に比べて部品点数を削減でき、コストを低減できる。
【符号の説明】
【0039】
2 サイドパネル(車両側部)
2a フロントドア開口
2b リヤドア開口
8 照明装置
10 フロントドア
11 リヤドア
11d 前面下部
12 フロントピラー(前縁部)
23 フロントドア開検知センサ
24 リヤドア開検知センサ
25 カーテシランプ
27 ドア開閉スイッチ(フロントドア,リヤドア開検知センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側部にフロントドア開口とリヤドア開口とを一体的に形成し、前記フロントドア開口を該開口の前縁部に支持されたフロントドアにより車幅方向に開閉可能とするとともに、前記リヤドア開口をスライド式のリヤドアで前後方向に開閉するようにした自動車の照明装置において、
前記フロントドアが開かれたことを検知するフロントドア開検知センサと、
前記リヤドアが開かれたことを検知するリヤドア開検知センサと、
前記リヤドアの前面下部に設けられ、前記フロントドア開検知センサがフロントドアの開を検知したとき及び前記リヤドア開検知センサがリヤドアの開を検知したときオンするカーテシランプと
を備えたことを特徴とする自動車の照明装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−126345(P2011−126345A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284479(P2009−284479)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】