説明

自動車変速機用のシフトコントロール機構

【課題】 アクチュエータの数を減少させ、走行中のシフト段に対する任意の次のシフト段に対応するシフトヘッドのシフト位置への先行移動を任意のタイミングで可能にすること。
【解決手段】 ツインクラッチギヤトレーンを備えた自動車変速機における4個のシフトヘッド11〜14を有する自動車変速機用のシフトコントロール機構において、走行中のシフト段に対する任意の次のシフト段に対応するシフトヘッドをシフト位置への先行移動を可能にするとともに、走行中のシフト段およびその他のシフト段に対応するシフトヘッドをシフト位置に保持するコントロール機構が、セレクト方向に相対的に動き、セレクトされるギヤに対応するシフト用ヘッド以外のシフトヘッドのシフト方向の動きを阻止するシフトインターロックブロック2と、セレクトされたシフトヘッドのシフト方向の動きを可能にするインナーレバー3とから成る自動車変速機用のシフトコントロール機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツインクラッチギヤトレーンを備えた自動車変速機における少なくとも3個以上のシフトヘッドを有する自動車変速機用のシフトコントロール機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車変速機用のシフトコントロール機構においては、複数個のシフト用ヘッドを任意に作動させるためには、各シフトヘッドに専用のアクチュエータを各々設置することで行うことができ、且つ、誤作動防止はアクチュエータ間で行うことができるため、基本的にはインターロックが必要ではなかった。
【0003】
今日一般にマニュアルトランスミッションなどで主に使用されるシフトヘッド選択式コントロール機構は、図21に示されるようにシフト方向およびセレクト方向共に移動可能なインナーレバーIと該インナーレバーIと同期してセレクト方向に移動可能で、シフト方向はインターロックボルトBにより拘束保持される構造により、シフトヘッドHの選択作動と他のシフトヘッドHの誤作動防止を兼ねた機能を持つものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の自動車変速機用のシフトコントロール機構は、各シフトヘッド用として各々アクチュエータを設置するものであるため、アクチュエータは高価なため複数必要となると高コストとなるので、コストの増大と設置スペースの増大が避けられないという問題が有った。
【0005】
ツインクラッチギヤトレーンを備えた自動車変速機において求められる機能としては、あるシフト段における走行中に次のシフト段へと先行シフトする必要があり、少なくとも2つの複数のシフトヘッドを任意のタイミングで作動(駆動)することが必要となる。
【0006】
また、シフトを任意で行うことに伴い、先行シフトするまではシフトヘッドが係止され誤作動防止がされつつ、任意のタイミングでシフト可能なように誤作動防止機構がキャンセルされ、且つ、該走行中のシフト段はシフトポジションで保持する機構が必要となる。
【0007】
しかしながら、従来のシフトヘッド選択式コントロール機構においては、例えば1速から2速への順番シフトが前提であり、すなわち1速(1st)のシフトヘッドHを戻してから2速(2nd)のシフトヘッドHを作動させるものであるため、例えば1速(1st)走行中に任意のタイミングで2速(2nd)のシフトヘッドH2を作動させる先行シフトが不可能である。
【0008】
何故なら、インナーレバーIが2速(2ND)用のシフトヘッドH2を選択できないからである。図22の作動状態図から明らかなように2速(2ND)用のシフトヘッドH2はインターロックブロックBにより、インターロックされており、作動できないのである。
【0009】
そこで本発明者は、ツインクラッチギヤトレーンを備えた自動車変速機における少なくとも3個以上のシフトヘッドを有する自動車変速機用のシフトコントロール機構において、走行中のシフト段に対する任意の次のシフト段に対応するシフトヘッドをシフト位置への先行移動を可能にするとともに、走行中のシフト段およびその他のシフト段に対応するシフトヘッドをシフト位置に保持するという本発明の技術的思想に着眼し、更に研究開発を重ねた結果、アクチュエータの数を減少させ、走行中のシフト段に対する任意の次のシフト段に対応するシフトヘッドのシフト位置への先行移動を任意のタイミングで可能にして、遅れの無い任意作動を可能にするという目的を達成する本発明に到達した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明(請求項1に記載の第1発明)の自動車変速機用のシフトコントロール機構は、
ツインクラッチギヤトレーンを備えた自動車変速機における少なくとも3個以上のシフトヘッドを有する自動車変速機用のシフトコントロール機構において、 走行中のシフト段に対する任意の次のシフト段に対応するシフトヘッドをシフト位置への先行移動を可能にするとともに、
走行中のシフト段およびその他のシフト段に対応するシフトヘッドをシフト位置に保持するコントロール機構を備えている
ものである。
【0011】
本発明(請求項2に記載の第2発明)の自動車変速機用のシフトコントロール機構は、
前記第1発明において、
前記コントロール機構が、
セレクト方向に相対的に動き、セレクトされるギヤに対応するシフト用ヘッド以外のシフトヘッドのシフト方向の動きを阻止するシフトインターロックブロックと、
セレクトされたシフトヘッドのシフト方向の動きを可能にするインナーレバーと
から成るものである。
【0012】
本発明(請求項3に記載の第3発明)の自動車変速機用のシフトコントロール機構は、
前記第2発明において、
前記シフトインターロックブロックが、シフトヘッドと作動アクチュエータの間に介挿されている
ものである。
【0013】
本発明(請求項4に記載の第4発明)の自動車変速機用のシフトコントロール機構は、
前記第3発明において、
前記作動アクチュエータが、2個のアクチュエータによって構成されている
ものである。
【0014】
本発明(請求項5に記載の第5発明)の自動車変速機用のシフトコントロール機構は、
前記第4発明において、
前記シフトインターロックブロックが、シフトヘッドをシフト方向における中立位置およびそれを挟む2個のシフト位置に拘束するとともに、シフトヘッドを中立位置およびそれを挟む2個のシフト位置におけるセレクト方向の相対的移動を可能にする3個のガイド溝を備えている
ものである。
【0015】
本発明(請求項6に記載の第6発明)の自動車変速機用のシフトコントロール機構は、
前記第5発明において、
前記インナーレバーが、前記シフトインターロックブロックに前記3個のガイド溝に直交するシフト方向に形成されたシフト溝内に介挿され、セレクトされたシフトヘッドのシフト方向における中立位置およびそれを挟む2個のシフト位置への移動を可能にするように構成されている
ものである。
【発明の効果】
【0016】
上記構成より成る第1発明の自動車変速機用のシフトコントロール機構は、ツインクラッチギヤトレーンを備えた自動車変速機における少なくとも3個以上のシフトヘッドを有する自動車変速機用のシフトコントロール機構において、前記コントロール機構が、走行中のシフト段に対する任意の次のシフト段に対応するシフトヘッドをシフト位置への先行移動を可能にするとともに、走行中のシフト段およびその他のシフト段に対応するシフトヘッドをシフト位置に保持するので、アクチュエータの数を減少させ、走行中のシフト段に対する任意の次のシフト段に対応するシフトヘッドのシフト位置への先行移動を任意のタイミングで可能にして、遅れの無い任意作動を可能にするという効果を奏する。
【0017】
上記構成より成る第2発明の自動車変速機用のシフトコントロール機構は、前記第1発明において、前記コントロール機構を構成する前記インナーレバーが、セレクトされたシフトヘッドのシフト方向の動きを可能にするとともに、前記シフトインターロックブロックが、セレクト方向に相対的に動き、セレクトされるギヤに対応するシフト用ヘッド以外のシフトヘッドのシフト方向の動きを阻止するので、アクチュエータの数を減少させ、走行中のシフト段に対する任意の次のシフト段に対応するシフトヘッドのシフト位置への先行移動を任意のタイミングで可能にして、遅れの無い任意作動を可能にするという効果を奏する。
【0018】
上記構成より成る第3発明の自動車変速機用のシフトコントロール機構は、前記第2発明において、前記シフトインターロックブロックがその間に介挿された前記複数のシフトヘッドが、前記作動アクチュエータによって任意に作動されるので、アクチュエータの数を減少させ、走行中のシフト段に対する任意の次のシフト段に対応するシフトヘッドのシフト位置への先行移動を任意のタイミングで可能にして、遅れの無い任意作動を可能にするという効果を奏する。
【0019】
上記構成より成る第4発明の自動車変速機用のシフトコントロール機構は、前記第3発明において、前記作動アクチュエータを構成する前記2個のアクチュエータによって、前記複数のシフトヘッドが任意に作動されるので、アクチュエータの数を減少させ、走行中のシフト段に対する任意の次のシフト段に対応するシフトヘッドのシフト位置への先行移動を任意のタイミングで可能にして、遅れの無い任意作動を可能にするという効果を奏する。
【0020】
上記構成より成る第5発明の自動車変速機用のシフトコントロール機構は、前記第4発明において、前記シフトインターロックブロックが備えている前記3個のガイド溝が、シフトヘッドをシフト方向における中立位置およびそれを挟む2個のシフト位置に拘束するとともに、シフトヘッドを中立位置およびそれを挟む2個のシフト位置におけるセレクト方向の相対的移動を可能にするので、シフトヘッドの選択作動とその他のシフトヘッドの誤作動防止をともに可能にするという効果を奏する。
【0021】
上記構成より成る第6発明の自動車変速機用のシフトコントロール機構は、前記第5発明において、前記インナーレバーが、前記シフトインターロックブロックに前記3個のガイド溝に直交するシフト方向に形成されたシフト溝内に介挿され、セレクトされたシフトヘッドのシフト方向における中立位置およびそれを挟む2個のシフト位置への移動を可能にするので、走行中のシフト段に対する任意の次のシフト段に対応するシフトヘッドのシフト位置への先行移動を任意のタイミングで可能にして、遅れの無い任意作動を可能にするという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下本発明の最良の実施の形態につき実施例に基づき、図面を用いて具体的に説明する。
【実施例1】
【0023】
本第1実施例の自動車変速機用のシフトコントロール機構は、図1ないし図4に示されるようにツインクラッチギヤトレーンを備えた自動車変速機における4個のシフトヘッド11〜14を有する自動車変速機用のシフトコントロール機構において、走行中のシフト段に対する任意の次のシフト段に対応するシフトヘッドをシフト位置への先行移動を可能にするとともに、走行中のシフト段およびその他のシフト段に対応するシフトヘッドをシフト位置に保持するコントロール機構が、セレクト方向に相対的に動き、セレクトされるギヤに対応するシフト用ヘッド以外のシフトヘッドのシフト方向の動きを阻止するシフトインターロックブロック2と、セレクトされたシフトヘッドのシフト方向の動きを可能にするインナーレバー3とから成るものである。
【0024】
本第1実施例の自動車変速機用のシフトコントロール機構は、図4に示されるようにエンジンE/Gの出力軸に同軸的に2個のクラッチが配設され、該2個のクラッチに回転連絡する2系列の歯車列より成るツインクラッチギヤトレーンを備えた自動車変速機であって、一例として図1および図2に示されるように前進6段、後進1段となる4つのシフトヘッド11〜14を想定した構造について説明する。
【0025】
本第1実施例のシフトコントロール機構は、シフト方向およびセレクト方向共に移動可能なインナーレバー3と、該インナーレバー3と同期してセレクト方向に移動可能で、シフト方向はインターロックボルト4により拘束保持されているとともにセレクト方向にスライド移動可能となる様支持されているインターロックブロック2とから成るシフトヘッド選択式コントロール機構である。
【0026】
前記シフトインターロックブロック2およひシフトレバーが、シフトヘッド1と作動アクチュエータの間に介挿されており、前記作動アクチュエータが、シフトアクチュエータ51およびセレクトアクチュエータ52の2個のアクチュエータによって構成されている。
【0027】
前記シフトアクチュエータ51は、図3に示されるようにシフトモータ(図示せず)の回転駆動によって、シフト方向にインナーレバー3を往復動させるように構成されている。
【0028】
前記セレクトアクチュエータ52は、図1に示されるようにセレクトモータ520によって減速ギヤ521を介して前記シフトインターロックブロック2が回転駆動されるように構成されている。
【0029】
前記シフトインターロックブロック2が、シフトヘッド1をシフト方向における中立位置およびそれを挟む2個のシフト位置に拘束するとともに、シフトヘッド1を中立位置およびそれを挟む2個のシフト位置におけるセレクト方向の相対的移動を可能にする3個のガイド溝21、22、23を備えているものである。
【0030】
前記インナーレバー3が、前記シフトインターロックブロック2に前記3個のガイド溝21、22、23に直交するシフト方向に形成されたシフト溝24内に介挿され、セレクトされたシフトヘッドのシフト方向における中立位置およびそれを挟む2個のシフト位置への移動を可能にするように構成されているものである。
【0031】
本第1実施例の自動車変速機用のシフトコントロール機構において、実際の変速作動について、図2および図3、図5ないし図19に示される作動状態図に基づいて説明する。
【0032】
停止時には、どのシフトヘッドも作動していない状態(ニュートラル(N)ポジション)となっており、インナーレバーとインターロックブロックによりどのシフトヘッドも選択可能な状態にある。
【0033】
ここで図2および図3は、1速(1st)発進を想定し、インナーレバーaを1速および4速(1st&4th)用シフトヘッド11を選択するポジションにセレクトした状態を示すものである。その他の変速段用シフトヘッド12ないし14は、インターロックブロック2の壁により係止され、誤作動防止の状態にある。また、1速および4速(1st&4th)用シフトヘッド11は、インナーレバー3により選択され、シフト方向に移動可能なように設けられたインターロックブロック2の溝部21に位置決めされている。
【0034】
次に、図5(A)および(B)に示されるように1速および4速(1st&4th)用シフトヘッド11はインナーレバー3により、1速(1st)側に移動されることにより、1速(1st)へのシフトの完了となる。
【0035】
この状態に続き、1速(1st)走行中に2速(2nd)への先行シフトを行う。
図5(A)および(B)に示される状態から、シフト方向には移動せずにそのままセレクト方向に回転し、2速および6速(2nd&6th)用シフトヘッド12が選択される(図6(A)および(B))。ここで、1速および4速(1st&4th)用シフトヘッド11はインターロックブロック2の壁により係止され誤作動防止の状態になる。
【0036】
続いて、インナーレバー3により選択された2速および6速(2nd&6th)用シフトヘッド12が2速(2nd)方向にシフトされた状態が図7(A)および(B)に示されるものである。これで、1速(1st)および2速(2nd)のシフトが完了する。
【0037】
ここで1速(1st)から2速(2nd)への変速においては、図4におけるツインクラッチ61、62の作動(係合関係が選択的に切り替え制御)により、最終的に車輪Wに連絡する動力伝達経路であるギヤ列71、72が切り替えられる。
【0038】
次に、2速(2nd)走行中に現在シフトされている1速(1st)のシフトヘッドを中立位置(Nポジション)に戻す為、図7に示される状態から、シフト方向には移動せずにそのままセレクト方向に回転し1速および4速(1st&4th)用シフトヘッド11を選択する(図8(A)および(B))。
【0039】
続いて、1速(1st)のシフトヘッドを中立位置(Nポジション)に戻した状態が図9(A)および(B)に示されるものである。
以上の作動を順次すすめることでシフトアップ操作が可能であり、シフトダウンについても同様の作動を繰り返す。
【0040】
すなわち図10(A)および(B)に示されるのは、2速(2nd)走行中に3速(3rd)のシフトヘッドがセレクトされる状態である。図11(A)および(B)に示されるのは、2速(2nd)走行中に3速(3rd)のシフトヘッドがシフトされる状態である。
【0041】
図12(A)および(B)に示されるのは、3速(3rd)走行中に2速(2nd)のシフトヘッドがセレクトされる状態である。図13(A)および(B)に示されるのは、3速(3rd)走行中に2速(2nd)に対応するシフトヘッドを2速位置にシフトダウンされる状態である。
【0042】
図14(A)および(B)に示されるのは、3速(3rd)走行中に4速(4th)のシフトヘッドがセレクトされる状態である。図15(A)および(B)に示されるのは、3速(3rd)走行中に4速(4th)に対応するシフトヘッドが4速位置にシフトアップされる状態である。図16(A)および(B)に示されるのは、4速(4th)走行中に3速(3rd)に対応するシフトヘッドがセレクトされる状態である。
【0043】
図17(A)および(B)に示されるのは、4速(4th)走行中に3速(3rd)に対応するシフトヘッドを3速位置にシフトダウンされる状態である。図18(A)および(B)に示されるのは、4速(4th)走行中に5速(5th)に対応するシフトヘッドがセレクトされる状態である。
【0044】
図19(A)および(B)に示されるのは、4速(4th)走行中に5速(5th)に対応するシフトヘッドを5速位置にシフトアップされる状態である。図20(A)および(B)に示されるのは、5速(5th)走行中またはシフト中に4速(4th)に対応するシフトヘッドがセレクトされる状態である。
【0045】
上記作用を奏する本第1実施例の自動車変速機用のシフトコントロール機構は、ツインクラッチギヤトレーンを備えた自動車変速機における4個のシフトヘッドを有する自動車変速機用のシフトコントロール機構において、前記コントロール機構を構成する前記インナーレバー3が、セレクトされたシフトヘッドのシフト方向の動きを可能にするとともに、前記シフトインターロックブロック2が、セレクト方向に相対的に動き、セレクトされるギヤに対応するシフト用ヘッド以外のシフトヘッドのシフト方向の動きを阻止するので、アクチュエータの数を減少させ、走行中のシフト段に対する任意の次のシフト段に対応するシフトヘッドのシフト位置への先行移動を任意のタイミングで可能にして、遅れの無い任意作動を可能にするという効果を奏する。
【0046】
また本第1実施例の自動車変速機用のシフトコントロール機構は、前記作動アクチュエータを構成する前記2個のアクチュエータによって、前記複数のシフトヘッドが任意に作動されるので、アクチュエータの数を減少させ、コストダウンを可能にするとともに、コンパクト化を実現するという効果を奏する。
【0047】
すなわち本第1実施例においては、前記作動アクチュエータによる上述の作動(移動)は、シフト方向(スライド)およびセレクト方向(回転)の2パターンのみとなるため、従来の4個のアクチュエータを2個のアクチュエータに減らして、2個のアクチュエータを設定することにより全ての作動を実現するものである。
【0048】
さらに本第1実施例の自動車変速機用のシフトコントロール機構は、前記シフトインターロックブロック2が備えている前記3個のガイド溝21、22、23が、シフトヘッドをシフト方向における中立位置およびそれを挟む2個のシフト位置に拘束するとともに、シフトヘッドを中立位置およびそれを挟む2個のシフト位置におけるセレクト方向の相対的移動を可能にするので、シフトヘッドの選択作動とその他のシフトヘッドの誤作動防止をともに実現するという効果を奏する。
【0049】
また本第1実施例の自動車変速機用のシフトコントロール機構は、前記インナーレバー3が、前記シフトインターロックブロック2に前記3個のガイド溝21、22、23に直交するシフト方向に形成されたシフト溝24内に介挿され、セレクトされたシフトヘッドのシフト方向における中立位置およびそれを挟む2個のシフト位置への移動を可能にするので、走行中のシフト段に対する任意の次のシフト段に対応するシフトヘッドのシフト位置への先行移動を任意のタイミングで可能にして、遅れの無い任意作動を可能にするという効果を奏する。
【0050】
なお、本第1実施例においては、高速運転状態(6thシフト)からの緊急停車および発進(1stシフト)においても、各シフトが任意に抜き・入れが可能なことからドラムシフトのような順次シフトが不必要で短時間での対応が可能となる。従来におけるドラムシフトでは6速→5速→4速→3速→2速→1速の抜きおよび入れが必要である。
【0051】
本第1実施例においては、6速(6th)抜き、5速(5th)抜き、1速(1st)入れの3アクションで実現することができるので、シフト操作を迅速にしてシフト制御時間を短縮し応答性を高めることが出来る。
【0052】
上述の第1実施例は、説明のために例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
ツインクラッチギヤトレーンを備えた自動車変速機における4個のシフトヘッドを有する自動車変速機用のシフトコントロール機構において、走行中のシフト段に対する任意の次のシフト段に対応するシフトヘッドをシフト位置への先行移動を可能にするとともに、走行中のシフト段およびその他のシフト段に対応するシフトヘッドをシフト位置に保持するコントロール機構が、セレクト方向に相対的に動き、セレクトされるギヤに対応するシフト用ヘッド以外のシフトヘッドのシフト方向の動きを阻止するシフトインターロックブロックと、セレクトされたシフトヘッドのシフト方向の動きを可能にするインナーレバーとから成り、アクチュエータの数を減らし、任意の次のシフト段に対応するシフトヘッドのシフト位置への先行移動を任意のタイミングで可能にする用途に適する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1実施例の自動車変速機用のシフトコントロール機構を示す部分横断面積図である。
【図2】本第1実施例のシフトコントロール機構を示す部分縦断面積図である。
【図3】本第1実施例のシフトコントロール機構におけるシフトインターロックブロックを示す展開説明図である。
【図4】本第1実施例のシフトコントロール機構が適用されているツインクラッチギヤトレーンを備えた自動車変速機を示すスケルトン図である。
【図5】本第1実施例における1速(1st)へのシフトの完了状態を説明するための説明図である。
【図6】本第1実施例における1速走行中の2速セレクト状態を説明するための説明図である。
【図7】本第1実施例における1速走行中の2速への先行シフト状態を説明するための説明図である。
【図8】本第1実施例における2速走行中の1速セレクト状態を説明するための説明図である。
【図9】本第1実施例における2速走行中の1速の戻し状態を説明するための説明図である。
【図10】本第1実施例における2速走行中の3速セレクト状態を説明するための説明図である。
【図11】本第1実施例における2速走行中の3速への先行シフト状態を説明するための説明図である。
【図12】本第1実施例における3速走行中の2速セレクト状態を説明するための説明図である。
【図13】本第1実施例における3速走行中の2速の戻し状態を説明するための説明図である。
【図14】本第1実施例における3速走行中の4速セレクト状態を説明するための説明図である。
【図15】本第1実施例における3速走行中の4速への先行シフト状態を説明するための説明図である。
【図16】本第1実施例における4速走行中の3速セレクト状態を説明するための説明図である。
【図17】本第1実施例における4速走行中の3速の戻し状態を説明するための説明図である。
【図18】本第1実施例における4速走行中の5速セレクト状態を説明するための説明図である。
【図19】本第1実施例における4速走行中の5速への先行シフト状態を説明するための説明図である。
【図20】本第1実施例における5速走行中の4速セレクト状態を説明するための説明図である。
【図21】従来のシフトヘッド選択式コントロール機構を示す斜視図である。
【図22】従来のシフトヘッド選択式コントロール機構における2つの作動状態を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0055】
11〜14 シフトヘッド
2 シフトインターロックブロック
3 インナーレバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツインクラッチギヤトレーンを備えた自動車変速機における少なくとも3個以上のシフトヘッドを有する自動車変速機用のシフトコントロール機構において、
走行中のシフト段に対する任意の次のシフト段に対応するシフトヘッドをシフト位置への先行移動を可能にするとともに、
走行中のシフト段およびその他のシフト段に対応するシフトヘッドをシフト位置に保持するコントロール機構を備えている
ことを特徴とする自動車変速機用のシフトコントロール機構。
【請求項2】
請求項1において、
前記コントロール機構が、
セレクト方向に相対的に動き、セレクトされるギヤに対応するシフト用ヘッド以外のシフトヘッドのシフト方向の動きを阻止するシフトインターロックブロックと、
セレクトされたシフトヘッドのシフト方向の動きを可能にするインナーレバーと
から成ることを特徴とする自動車変速機用のシフトコントロール機構。
【請求項3】
請求項2において、
前記シフトインターロックブロックが、シフトヘッドと作動アクチュエータの間に介挿されている
ことを特徴とする自動車変速機用のシフトコントロール機構。
【請求項4】
請求項3において、
前記作動アクチュエータが、2個のアクチュエータによって構成されている
ことを特徴とする自動車変速機用のシフトコントロール機構。
【請求項5】
請求項4において、
前記シフトインターロックブロックが、シフトヘッドをシフト方向における中立位置およびそれを挟む2個のシフト位置に拘束するとともに、シフトヘッドを中立位置およびそれを挟む2個のシフト位置におけるセレクト方向の相対的移動を可能にする3個のガイド溝を備えている
ことを特徴とする自動車変速機用のシフトコントロール機構。
【請求項6】
請求項5において、
前記インナーレバーが、前記シフトインターロックブロックに前記3個のガイド溝に直交するシフト方向に形成されたシフト溝内に介挿され、セレクトされたシフトヘッドのシフト方向における中立位置およびそれを挟む2個のシフト位置への移動を可能にするように構成されている
ことを特徴とする自動車変速機用のシフトコントロール機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−112573(P2006−112573A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−302327(P2004−302327)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(592058315)アイシン・エーアイ株式会社 (490)
【Fターム(参考)】