説明

自動車用の電気接続箱

【課題】プリント基板に搭載した電気電子部品と外部電線との接続に使用する部品点数を削減する。
【解決手段】ケース11の内部に収容するプリント基板14上に電気電子部品21、22を備えている電気接続箱であって、電気電子部品21の本体21aから突出した複数の端子のうち、一部の端子21bはプリント基板14に設けた導体16と半田接続H1する一方、他の端子21cはプリント基板14に穿設した貫通穴23に通して或いはプリント基板14の周端14aの外部を通して該プリント基板14の裏面側へと突出させ、該端子21cの突出側には外部電線30と接続されたコネクタ32の収容部19を備え、該収容部19に収容されるコネクタ32内の電線端末端子31と電気電子部品21の端子21cとを直接接続する構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の電気接続箱に関し、該電気接続箱に収容しているプリント基板上の電気電子部品と外部電線との接続構造を改良するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用の電気接続箱には、ヒューズやサーキットブレーカなどの電気電子部品が搭載されている。これら電気電子部品と外部電線との従来の接続構造は、電気電子部品をプリント基板上に実装し、該電気電子部品の一部の端子をプリント基板の導体に半田接続し、他の端子を基板に実装した基板用コネクタや中継端子に接続し、これら基板用コネクタや中継端子を、外部電線端末に接続したコネクタと接続する構造が一般的であった。
【0003】
たとえば、特開2006−050753号公報において、図6に示すように、電気接続箱に搭載される基板1の表面にリレー等の電気部品2を実装すると共に、該基板1の端部に基板用コネクタ3を実装し、電気部品2と基板用コネクタ3とを基板1上に配される導体5を介して接続し、ケース外部に臨ませている基板用コネクタ3の嵌合面4に、外部電線と接続したコネクタ(図示せず)を嵌合接続することにより、電気部品2と外部電線とを接続している。
【0004】
【特許文献1】特開2006−050753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来は、電気接続箱に搭載される電気電子部品と外部電線とを、基板に実装した基板用コネクタあるいは中継端子を介して接続しており、これら追加部品を要するために部品コストがかかる点に問題があった。また、基板用コネクタや中継端子の使用は、電気接続箱の小型化、軽量化を図るうえでも問題があった。
【0006】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、自動車用の電気接続箱に関し、電気接続箱に搭載される電気電子部品と外部電線との接続を、基板用コネクタや中継端子などの追加部品を使用せずに接続することにより、部品コストを削減すると共に、電気接続箱の小型化、軽量化を図ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、ケース内部に収容するプリント基板上に電気電子部品を備えている電気接続箱であって、前記電気電子部品の本体から突出した複数の端子のうち、一部の端子は前記プリント基板に設けた導体と半田接続する一方、他の端子は前記プリント基板に穿設した貫通穴に通して或いはプリント基板の周端の外部を通して該プリント基板の裏面側へと突出させ、該端子の突出側には外部電線と接続されたコネクタの収容部を備え、該収容部に収容されるコネクタ内の電線端末端子と前記電気電子部品の端子とを直接接続する構成としていることを特徴とする自動車用の電気接続箱を提供している。
【0008】
このように、電気電子部品の端子を、基板に設けた貫通穴(スルーホール)を貫通させ、あるいは基板の周端外部を通すことで、基板裏面側のコネクタ収容部に向けて突出させることができ、該端子と外部電線端末の端子とを、基板用コネクタや中継端子を介することなく直接接続することができる。従って、基板用コネクタや中継端子などの追加部品が不要となるため、部品コストを削減できるとともに、組み立て作業性も向上する。また、部品点数の削減により、電気接続箱の小型化および軽量化を図ることができる。
【0009】
前記電気電子部品の端子と接続する前記プリント基板の導体は印刷導体あるいはプリント基板に固定したバスバーからなる電源回路の導体であり、
前記電源回路の導体に前記電気電子部品の入力側の端子を接続し、出力側の端子を前記コネクタ内の電線端末端子と接続する構成としている。
【0010】
前記コネクタと接続する端子はタブ形状のオス端子で、該オス端子を前記プリント基板に穿設した長方形状の貫通穴に貫通させると共に、該貫通穴に半田付け固定し、該貫通穴から突出した先端部を前記コネクタ内の電線端末のメス端子と嵌合接続している。
【0011】
前記プリント基板の前記ケース内部に垂直方向に収容していると共に、該ケースの側面に前記コネクタの収容部を凹設し、該収容部に前記プリント基板を貫通した電気電子部品の端子が突出し、前記収容部に横入れする前記コネクタ内の電線端末端子と接続していることが好ましい。
前記配置とすると、電気接続箱の形状を薄くすることができ、上下方向の設置スペースがあるが幅が狭い設置スペースに好適に電気接続箱を搭載することができ、また、該電気接続箱と接続するワイヤハーネスのコネクタを電気接続箱に側方から取り付けることができ、ワイヤハーネスとの接続作業性を高めることができる。
【0012】
前記電気電子部品はサーキットブレーカ、PTC素子、ヒューズ、ヒュージブルリンクから選択される回路保護部品からなる。
【発明の効果】
【0013】
上述したように、本発明によれば、電気接続箱に搭載される電気電子部品の端子と外部電線端末の端子とを、基板用コネクタや中継端子を介することなく直接接続できるため、部品コストを削減できるとともに、電気接続箱の組立作業性も向上できる。また、部品点数の削減により、電気接続箱の小型化および軽量化の要請にも応じることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図4に、本発明の第一実施形態にかかる自動車用の電気接続箱10を示す。
電気接続箱10はジャンクションボックスであり、図1に示すように、ロアケース12とアッパーケース13で構成されるケース11の内部に、プリント基板14を縦入れして垂直方向に収容している。ロアケース12の側面12aにはコネクタ収容部19を設けている。
【0015】
前記プリント基板14は、絶縁基板15に所要の回路パターンで印刷した導体17を備え、その一部に電源回路導体16を設けている。また、該プリント基板14上には、複数のサーキットブレーカ21を含めて所要の電気電子部品を実装している。
【0016】
図2および図3に示すように、前記サーキットブレーカ21は、本体21aから突出した入力側端子21bはL形状とし、その先端部を電源回路導体16の表面に半田H1で接続している。出力側端子21cは真っすぐに延ばしたタブ形状のオス端子とし、絶縁基板15に穿設した長方形状の貫通穴(スルーホール)23に貫通させ、絶縁基板15の裏面側より外方に突出させ、後述するように、前記ロアケース12の側面に設けたコネクタ収容部19内に突出させている。かつ、該コネクタ収容部19に嵌合するワイヤハーネス端末のコネクタ内のメス端子との嵌合時において前記出力側端子21cを保持するために、前記貫通穴23の内周面と出力側端子21cとを半田H2で接続している。
【0017】
プリント基板14上には、図2に示すように、リレー22や基板実装型のコネクタ23も実装して導体17と接続している。また、プリント基板14には導体17と接続したヒューズ接続用バスバー18を設けている。
【0018】
前記プリント基板14は、図1に示すように、ロアケース12に上面開口部より垂直方向に挿入して収容している。該プリント基板14に実装したサーキットブレーカ21は、図4(A)(B)に示すように、出力側端子21cをロアケース12のコネクタ収容部19内に突出させている。該コネクタ収容部19には、ワイヤハーネスを構成する外部電線30の端末に接続されたコネクタ32を横入れして嵌合接続し、図4(B)に示すように、該コネクタ32内に係止されている外部電線30の端末のメス端子31と、前記サーキットブレーカ21の出力側端子21cとを嵌合して直接接続している。
また、前記コネクタ収容部19を設けた側面と対向するロアケース12の側面には、前記プリント基板14の導体17と接続したコネクタ23の収容部およヒューズ接続用バスバー18を突出させるヒューズ収容部を設けている。
【0019】
前記構成の電気接続箱10は、サーキットブレーカ21の出力側端子21cをプリント基板14の裏面側に貫通させて、外部電線30に接続したコネクタ32を収容するコネクタ収容部19内に突出させているため、基板用コネクタや中継端子を介することなく、サーキットブレーカ21と外部電線30の端末端子31とを直接接続することができる。これにより、部品コストを削減できるとともに、組み付け作業性も向上する。また、部品点数の削減により、電気接続箱10の小型化および軽量化を図ることができる。
【0020】
さらに、サーキットブレーカ21の出力側端子21cが、基板15の貫通穴23へ半田H2で位置決め固定されているため、コネクタ32との接続作業を正確、かつ容易に行うことができる。
【0021】
なお、サーキットブレーカ21の出力側端子21cは、図5に示すように、基板15の外端縁15aの外方を通して裏面側に突出させてもよい。其の際、出力側端子21cは絶縁基板15の外端縁15aと半田で接続して位置決め固定しておくことが好ましい。
【0022】
本発明は前記実施形態に限定されず、サーキットブレーカ21の入力側端子と接続する電源回路用導体は、プリント基板14の絶縁基板15に固定したバスバーとしてもよい。また、外部電線30と接続する電気電子部品として、サーキットブレーカ21に替えて、あるいは、サーキットブレーカ21に加えて、PTC素子、ヒューズ、ヒュージブルリンク、リレーを搭載してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一実施形態に係る電気接続箱の分解斜視図である。
【図2】図1に示す回路基板の側面図である。
【図3】図1に示す回路基板にサーキットブレーカを実装する工程を示す概略説明図である。
【図4】図1に示す電気接続箱を示し、(A)は全体斜視図であり、(B)は要部断面図である。
【図5】サーキットブレーカの出力側端子の他の取り付け構造を示す側面図である。
【図6】従来例の図である。
【符号の説明】
【0024】
10 電気接続箱
11 ケース
14 プリント基板
16 電源回路導体
19 コネクタ収容部
21 サーキットブレーカ(電気電子部品)
21b 入力側端子
21c 出力側端子
23 貫通穴
30 外部電線
31 メス端子
32 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内部に収容するプリント基板上に電気電子部品を備え、
前記電気電子部品の本体から突出した複数の端子のうち、一部の端子は前記プリント基板に設けた導体と半田接続する一方、
他の端子は前記プリント基板に穿設した貫通穴に通し、またはプリント基板の周端の外部を通して、該プリント基板の裏面側へと突出させ、該端子の突出側に外部電線と接続されたコネクタの収容部を備え、該収容部に収容されるコネクタ内の電線端末端子と前記電気電子部品の端子とを直接接続する構成としていることを特徴とする自動車用の電気接続箱。
【請求項2】
前記電気電子部品の端子と接続する前記プリント基板の導体は印刷導体あるいはプリント基板に固定したバスバーからなる電源回路の導体であり、
前記電源回路の導体に前記電気電子部品の入力側の端子を接続し、出力側の端子を前記コネクタ内の電線端末端子と接続する構成としている請求項1に記載の自動車用の電気接続箱。
【請求項3】
前記コネクタと接続する端子はタブ形状のオス端子で、該オス端子を前記プリント基板に穿設した長方形状の貫通穴に貫通させると共に、該貫通穴に半田付け固定し、該貫通穴から突出した先端部を前記コネクタ内の電線端末のメス端子と嵌合接続している請求項1または請求項2に記載の自動車用の電気接続箱。
【請求項4】
前記プリント基板の前記ケース内部に垂直方向に収容していると共に、該ケースの側面に前記コネクタの収容部を凹設し、該収容部に前記プリント基板を貫通した電気電子部品の端子が突出し、前記収容部に横入れする前記コネクタ内の電線端末端子と接続している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動車用の電気接続箱。
【請求項5】
前記電気電子部品はサーキットブレーカ、PTC素子、ヒューズ、ヒュージブルリンク、リレーから選択される回路保護部品からなる請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の自動車用の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−206377(P2008−206377A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−42851(P2007−42851)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】