説明

自動車用バンパ装置

【課題】自動車のバンパビームへの斜め方向からの衝突に対してバンパビームの端末部分が潰れ、衝撃エネルギーを吸収している。特に、バンパステーとバンパビームおよびサイドフレームとの接合部に割れが生じる。
【解決手段】バンパステー(4)の前方端部に前方取付金具(5)を溶接し、前方取付金具(5)をバンパビーム(2)に固定させる。前方取付金具(5)は平坦部(10)と傾斜面(11)とを有し、傾斜面(11)をバンパビーム(2)の後面とは離反させ、受圧面積を減少させる。また、平坦部(10)は傾斜面(11)と反対側の位置に張出片(14)を有し、張出片(14)のボルト挿通孔(13)でバンパビーム(2)に固定させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層された構成部品間を二重シールした燃料電池に関するものである。本発明は、斜め方向およびポール衝突を含む正面衝突に対し衝撃エネルギーの吸収を効率的に行いかつ改良されたバンパステーを有する自動車用バンパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用バンパ装置は、車体の幅方向に延在しかつその前方(および後方)に配されるバンパビーム(バンパリインホースとも言う)と、車体の両側にあって前後方向に延在するサイドフレームとバンパビームとの間に配されかつバンパビームをサイドフレームに固定するバンパステーとから構成される。
【0003】
バンパビームはアルミニウム合金の押出形材或いはスチール板のプレス品からなり、その断面形状はコの字状、ロの字状、日の字状或いは目の字状といったものが多用されており、バンパステーは、バンパビームに固定される中空の本体部と、該本体部と一体の取付片とで構成するものが提案されている(特開2000−344029号公報参照)。
【0004】
該特開2000−344029号公報は、図8に示す如く、中空のバンパビーム101の後面に対の突片102,102をバンパビーム101の本体部104と一体に押出し成形し、この突片102,102を必要な取付片103,103を除いて切除し、バンパビーム101を構成する。
中空のバンパステー106の一端に折返片105,105を形成する。
【0005】
バンパステー106のバンパビーム101への取付は取付片103,103間にバンパステーの端部を挿入し、取付片103,103をバンパステー106に摩擦攪拌結合により接合している。さらに、バンパステーの折返片105,105をサイドフレーム107のフランジ部108に摩擦攪拌結合により接合している。
【0006】
【特許文献1】特開2000−344029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来例のバンパ装置では、バンパビーム101の押出成形後、突片102,102の相当部分を切除しなければならない。加えて、バンパステーの折返片105,105を作るためバンパステー106の対向側部の一部の切除を必要とする。
このような切除作業は、バンパの寸法精度に影響を与えかつ歩溜まりを悪くしている。
【0008】
バンパステーとサイドフレームとの接合は、折返片105,105をサイドフレーム107のフランジ部108へ摩擦攪拌結合させているが、この部分の剛性に問題があり、特に車両の斜め方向の衝突時、該接合部に溶接割れが起こり、衝突時のエネルギー吸収を低下させている。
さらに、取付片103,103とバンパステー106との摩擦攪拌結合の部分に、車両の斜め方向の衝突時に割れがみられ、改善が望まれている。
【0009】
それ故に、本発明は、前述した従来技術の不具合を解消させることを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前述した課題を解決するために、バンパステーの前後端面に前方および後方取付金具を溶接し、該バンパステーをバンパビームとサイドフレームに固定させる技術手段を用いる。
好ましくは、取付金具はバンパステーの端面をくわえ込む対のフランジを有し、該フランジを介してバンパステーと取付金具とを溶接させる技術手段を用いる。
【0011】
この基本的技術手段の採用は、バンパステーの上下両側であって車両の衝突時に衝撃荷重のかかる必要部分に溶接をさせ得るので、バンパステーとバンパビーム或いはサイドフレームとの接合部の割れはない。
【0012】
本発明によれば、自動車の車幅方向に延在するバンパビームと、車体のサイドフレームとバンパビームの各端末部との間に配されるバンパステーとを備え、バンパステーがサイドフレームの長手方向に延在する中空部材からなる本体部と、バンパビーム側の本体部端面に溶接される前方取付金具と、サイドフレーム側の本体部端面に溶接される後方取付金具とを有し、前方取付金具をバンパビームにかつ後方取付金具をサイドフレームに固定させ、かつ後方取付金具が対のフランジを有し、当該対のフランジ間にバンパステーの本体部の外壁面をくわえ込ませる自動車用バンパ装置が提供される。
【0013】
好ましくは、後方取付金具の該フランジと該外壁面とをその中央部を除いて溶接する。
より好ましくは、前方取付金具がバンパビームの後面に沿う平坦部と、該平坦部と一体に連続しかつバンパビームの後面とは離反する傾斜面とを有し、該平坦面と傾斜面とがバンパステーの本体部の外壁面をくわえ込ませるフランジを有し、該フランジと該外壁面とを溶接する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるバンパステーは、車両の衝突時、取付金具を変形させる動きを作るが、その際、応力集中部位をなくすように改良し、割れを抑制させ得る。
バンパステーの前後端面に取付金具を溶接し、取付金具を溶接したバンパステーをバンパビームとサイドフレームに固定するので取付は容易である。
【0015】
前方取付金具とバンパビームとの取付のためのボルト挿通孔をバンパステーの中空部相当位置に、後方取付金具とサイドフレームとの取付のためのボルト挿通孔をバンパステーの中空部相当位置外に設けており、これにより溶接部への応力集中と割れを避けることを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図2に示すように、自動車用バンパ装置1は、自動車の車幅方向に延在するバンパビーム2と、車体の両側に位置するサイドフレーム3とバンパビーム2の両端部との間に配されるバンパステー4と、前方取付金具5と、後方取付金具6とを備える。
バンパビーム(バンパリインホースとも言う)2は、アルミニウム合金の押出形材よりなり、その断面は、日の字状、目の字状、田の字状といった公知の中空形状のものが用いられる。
【0017】
サイドフレーム3は、その形状を特に限定されないが、たとえば、図6に示すように、板体7と断面チャンネル状の中空部材8とを接合させたものを、図示例では用いている。
【0018】
バンパステー4は、アルミニウム合金の中空押出形材からなるもので、図示例では断面ロの字状のものが用いられている。他の断面形状の押出形材を用いても良い。
バンパステー4の前端面には前方取付金具5が溶接される。前方取付金具5は、板状のアルミニウム合金の押出形材よりなり、その高さはバンパステー4の高さにほぼ等しく、その両側に突片状のフランジ9,9が設けられる。
【0019】
前方取付金具5は、バンパビーム2の後面に沿う平坦部10と該後面から後方へと離反する傾斜面11を有し、平坦部10であってバンパステー4の中空部相当位置に対のボルト挿通孔12を設ける。ボルト挿通孔12にはナット(図示なし)がセットされる。
【0020】
前方取付金具5は、さらに、側方のボルト挿通孔13を有する張出片14を有す。
前方取付金具5とバンパステー4とは、その上下部を連続する溶接部15により結合し、その左右側部を中央に欠落のある断続溶接部16,17により結合する。この溶接部16,17は、溶接による各部材に発生する歪みを避けるのに有効である。
【0021】
傾斜面11の設置は、前方取付金具5とバンパビーム2との接触面を小さくし、車両衝突時の荷重のバンパビーム2からバンパステー4への伝達面積を小さくさせ、衝突初期に荷重が特に大きくなるのを防ぎ、更にバンパステー4の先端からつぶれる様に生じる変形が順に後方へと安定して進行するようにしている。図示例では、平坦部10と傾斜面11との比はバンパステー4の幅の略1/3を傾斜面とさせているが、この程度の比が衝撃荷重をやわらげるのに好ましい。衝突時、バンパステー4に伴い傾斜面11がバンパビーム2の後面に接し、受圧面積を大とさせる。
【0022】
後方取付金具6は、バンパステー4の後方端部をくい込ませる突片状のフランジ18,18を有す。バンパステー4の後端部をフランジ18,18間にくい込ませ、その上下部を連続した溶接部19,19により結合し、その左右両側部は中央部を欠落させた断続溶接部20,21により結合させる。
溶接部19は、バンパステー4の幅いっぱいに設けることなく、中央部のみでも良い。
【0023】
後方取付金具6は、バンパステー4の高さより高い寸法を有し、フランジ18,18間であってかつバンパステー4の上下の位置に左右に対のボルト挿通孔22,22を有す。
後方取付金具6の一方の側部に張出片23を有し、この張出片23に上下に対のボルト挿通孔24,24を設ける。
図1の例では、後方取付金具6の上下縁に凹部25を設けている。
【0024】
後方取付金具6のサイドフレーム3への取付は、ボルト挿通孔22,24を介してボルト(図示なし)をサイドフレームに通し、ナット(図示なし)を締め付けることで行う。
【0025】
図4乃至7に本発明の別の例を示す。本例では、バンパビーム2とバンパステー4は図1乃至3に示す例と同じものが用いられているが、後方取付金具6’は、図1の例に用いた後方取付金具6の張出片23を切除した構成となっている。
【0026】
後方取付金具6’のサイドフレーム3への取付は、サイドフレーム3の端部に固定した台板26に後方取付金具6’をボルト止めすることで行う。台板26は固定片27を有し、これら固定片27がサイドフレーム3の上下壁に溶接又はボルト止めされる(図7参照)。
【0027】
後方取付金具6’は、斜め方向の衝撃荷重に対し、図1の例に比し、ボルト挿通孔24を用いての張出片23とサイドフレーム3との固定が無い分、フランジ18のたわみにより溶接部20,21への応力集中が軽減され、溶接部の破損をより防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のバンパ装置に用いられるバンパステーの斜視図である。
【図2】本発明の一例の平面図である。
【図3】本発明の一例の側面図である。
【図4】本発明の別の例の斜視図である。
【図5】図4の例に用いられているバンパステーの斜視図である。
【図6】図4の矢視VI−VIより見た断面図である。
【図7】図4の矢視VII−VIIより見た断面図である。
【図8】従来のバンパ装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1 バンパ装置
2 バンパビーム
3 サイドフレーム
4 バンパステー
5,6 取付金具
9,18 フランジ
10 平坦部
11 傾斜面
12,13,22,24 ボルト挿通孔
15,16,17,19,20,21 溶接部
25 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車幅方向に延在するバンパビームと、車体のサイドフレームとバンパビームの各端末部との間に配されるバンパステーとを備え、
バンパステーがサイドフレームの長手方向に延在する中空部材からなる本体部と、バンパビーム側の本体部端面に溶接される前方取付金具と、サイドフレーム側の本体部端面に溶接される後方取付金具とを有し、前方取付金具をバンパビームにかつ後方取付金具をサイドフレームに固定させ、かつ後方取付金具が対のフランジを有し、当該対のフランジ間にバンパステーの本体部の外壁面をくわえ込ませる自動車用バンパ装置。
【請求項2】
後方取付金具の該フランジと該外壁面とをその中央部を除いて溶接する請求項1記載の自動車用バンパ装置。
【請求項3】
前方取付金具がバンパビームの後面に沿う平坦部と、該平坦部と一体に連続しかつバンパビームの後面とは離反する傾斜面とを有し、該平坦面と傾斜面とがバンパステーの本体部の外壁面をくわえ込ませるフランジを有し、該フランジと該外壁面とを溶接する請求項1記載の自動車用バンパ装置。
【請求項4】
バンパステーの本体部の上下部を前方および後方取付金具に溶接させている請求項2又は3記載の自動車用バンパ装置。
【請求項5】
後方取付金具がその対のフランジの間であってかつバンパステーの本体部の外側に位置するボルト挿通孔を有する請求項4記載の自動車用バンパ装置。
【請求項6】
後方取付金具が一方のフランジの外側方であってバンパステーの本体部の外側に位置するボルト挿通孔を有する請求項5記載の自動車用バンパ装置。
【請求項7】
前方取付金具がその対のフランジ間であってかつバンパステーの本体部の内側に位置するボルト挿通孔、および一方のフランジの外側方であってバンパステーの本体部の外側に位置するボルト挿通孔を有する請求項4記載の自動車用バンパ装置。
【請求項8】
バンパステーがアルミニウム合金からなる請求項1乃至7の何れかに記載の自動車用バンパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−168897(P2008−168897A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−51135(P2008−51135)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【分割の表示】特願2003−338479(P2003−338479)の分割
【原出願日】平成15年9月29日(2003.9.29)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000100791)アイシン軽金属株式会社 (137)