説明

自動車用安全ベルト装置

【課題】ベルトが弛まないように自動的な動作を行うベルトハンドオーバを提供すること。
【解決手段】本発明は、ベルトハンドオーバを備えた自動車用安全ベルト装置であって、ベルトハンドオーバが、ベルト案内アーム3とベルト案内開口板4とアクチュエータとを有し、車両に固定された下側のベルト支持点を起点として、ベルト案内開口板4を通り、転向プーリ10を介してベルト巻取器まで案内されたベルト8を備え、アクチュエータが、ベルト案内アーム3を基本位置からベルト提供位置までを突出運動及び引込運動させ得るものであり、ベルト8に沿って移動自在な挿込舌部を備えたものであって、さらに、ベルトハンドオーバがベルト連行体12を備え、これが、ベルト案内アーム3の引込時に自動的に連行機能を作動させて、ベルト8を弛ませないためにベルト案内アーム3と共にベルト8を引込むものであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載された自動車用安全ベルト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に知られている3点式シートベルトを有する自動車用安全ベルト装置では、これがシート利用者により使用されていない場合、ベルトが、シート横下のベルト支持点から上方に向かってベルト案内開口板へ達し、そこからパネルの裏側にあるベルト巻取器まで伸びている。車両に固定された下側のベルト支持点とベルト案内開口板との間におけるベルトの部分には、挿込舌部(タングともいう)がベルトに沿って移動自在なように配置されている。パネルと反対側のシート横下には、挿込舌部を着脱し得るベルトバックルが、下側のベルト支持点に向けて取り付けられている。シート利用者は、自動車用安全ベルト装置を装着するために、後方に向けて大きく手を伸ばしてベルトおよび挿込舌部を掴み、これらをベルトバックルまで引っ張るとともに、挿込舌部をベルトバックルに装着する必要がある。これにより、ベルトの一方の部分が骨盤および腹部の前で横に伸びる腰ベルトを形成するとともに、他方の部分が胸および鎖骨の前で斜めに伸びる肩ベルトを形成する。
【0003】
Bピラーを有する車両の場合、通常はBピラーにベルトが配置されるので、自動車用安全ベルト装置を装着するのに、シート利用者は難なくベルトに手が届く。これに対して、Bピラーを有しておらず、長いフロントドアも通常有していないカブリオレ車両の場合、ベルト案内開口板はリアシートバックのさらに後方に位置することが多いので、シート利用者は、ベルトおよび挿込舌部まで手を伸ばすことを不便に感じる。
【0004】
そこで、当分野に属する自動車用安全ベルト装置であって、シート利用者のほぼ肩の高さでフロントシートバックの横後方に取り付けられたベルト案内アームと、そのベルト案内アームの端部側に取り付けられたベルト案内開口板と有するベルトハンドオーバを備えたものが、すでに一般に知られている(例えば、特許文献1参照)。この場合、ベルトは、車両の内部に固定された下側のベルト支持点を起点として、ベルト案内開口板を通り、パネルの裏側に入って当該パネルの裏側にある少なくとも1つの転向プーリを介してベルト巻取器へ案内される。さらに、ベルトハンドオーバは、ベルト案内アームのためのアクチュエータを有する。これにより、ベルト案内アームは、パネルの中に引込まれた基本位置から、ベルト提供位置まで、アクチュエータで制御されながらほぼ水平方向に突出することができる。こうして、ベルトおよび挿込舌部を掴むのに適切な位置であるベルト提供位置、すなわち上半身の横の位置で、ベルト案内開口板によりベルトがシート利用者に提供される。そして、シート利用者が挿込舌部をベルトバックルに装着した後は、ベルト案内アームがベルト案内開口板とともにアクチュエータで再び制御されながら、基本位置まで引込まれる。なお、このベルト案内開口板により、3点式シートベルトにおける上側のベルト支持点が定義される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第10314464号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ベルト案内アームがベルト案内開口板とともにベルト提供位置まで突出すると、当然ながら、ベルトは、自動車用安全ベルト装置の装着に必要な長さ以上に引き出される。このため、挿込舌部をベルトバックルに装着し、ベルト案内アームが基本位置まで引込まれた後には、ベルトに弛みが生ずる。したがって、この弛みの分だけベルトをベルト巻取器に戻さなければならず、場合によっては、シート利用者に余分な動作が要求されることになる。これに対して、本発明の課題は、ベルトハンドオーバを備えた当分野に属する自動車用安全ベルト装置をさらに改良し、ベルトが弛まないように自動的な動作を行うものを提供することである(ベルトの弛みのプレセーフ)。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、ベルトハンドオーバがベルト連行体を備えており、当該ベルト連行体が、ベルト案内アームおよびベルト案内開口板の引込時に自動的に連行機能を作動させて、ベルトを弛ませないためにベルト案内アームおよび/またはベルト案内開口板とともにベルトを引込むものであることによって、解決される。
【0008】
シート利用者が挿込舌部をベルトバックルに装着し、ベルト案内アームが基本位置まで引込まれたベルトハンドオーバでは、ベルトが弛まずにシート利用者の身体にしっかりと接する。これにより、シート利用者を適切にシートに拘束し、安全機能が改善されるという利点がある。
【0009】
ベルト連行体の連行機能は、ベルトハンドオーバの運動により、すなわち、ベルトハンドオーバやアクチュエータの力を通じで作動するものであることが好ましい。このため、ベルト連行体は別途の駆動装置を必要としない。重要な点は、上記連行機能が、ベルト案内アームおよびベルト案内開口板の引込時に作動することである。上記連行機能がベルト案内アームおよびベルト案内開口板の突出時に作動するかについては、特に問題とならない。なぜなら、ベルト案内アームおよびベルト案内開口板の突出により、ベルトがベルト巻取器から引き出されるからである。
【0010】
このようなベルト連行体の連行機能は、所定の力および/または所定の引込経路を通じて作動することができる。
具体的には、ベルト連行体は、基本位置から突出した位置でばね復元力によりベルトに当接する制動シューを有する。また、ベルト案内開口板を引込んだ基本位置で、ばね復元力に抗して制動シューをベルトから離す調節機構が備えられている。引込んだ基本位置で制動シューの位置調整を行う調整機構は、旋回レバー、ばねなどで構成される。
【0011】
制動シューの好ましい実施形態では、制動シューは回転自在に支持されたアングルレバーの第1脚部であるとともに、ベルト案内開口板の裏面でアングルレバーの第2脚部に支持された圧縮ばねが設けられる。この圧縮ばねは、好ましくはねじりばねであり、このねじりばねの一端側がベルト案内開口板の裏面で支持されて、その他端側が第2脚部で支持される。上記圧縮ばねは、ベルト案内開口板が基本位置から突出した位置にあれば、ばね復元力により第2脚部をベルト案内開口板から離す方向にアングルレバーを回転させることで、第1脚部である制動シューをベルトに当接させる。これに対して、ベルト案内開口板が引込まれた基本位置にあれば、第2脚部がパネルに当接するとともに、アクチュエータの引込力により、圧縮ばねのばね復元力に抗して、第2脚部がベルト案内開口板へ近づけられる。すなわち、アングルレバーは、第2脚部がベルト案内開口板へ近づけられる方向に回転することで、第1脚部である制動シューがベルトから離れる。このように、ベルトは、自動車の衝突事故に備えて、基本位置では制動シューに保持されることなく出退自在である。
【0012】
上述の制動シューの他の実施形態では、引込時にベルトを挟み込むための制動接触面が、制動シューに設けられていてもよい。
ベルト連行体はクランプ部材を有しても良い。当該クランプ部材は、ベルト案内アームおよび/またはベルト案内開口板に配置される。また、このクランプ部材は、上下のクランプ部の間にベルトが位置するようにして、配置される。このようなクランプ部材は、適切な調整機構を有する。すなわち、この調整機構は、ベルト案内アームが基本位置にあれば上下のクランプ部を互いに離れるように動かし、ベルト案内アームが引込経路、および場合によっては突出経路の一部にあれば上下のクランプ部を互いに近づけるように動かす。上下のクランプ部が互いに近づいた位置、つまりクランプ部によりベルトを挟み込んで保持する位置がクランプ位置である。したがって、このようなクランプ部材によっても、ベルトが自動的に弛まないようにすることができるため、ベルトの自動的な連行による引込みを行うことができる。
【0013】
クランプ部材の特に好ましい実施形態では、クランプ部材は、ベルト案内アームに配置された上下のクランプロールを有し、そのうち下のクランプロールが、軸受体に形成された垂直方向の軸受スリットで支持されている。突出経路および引込経路の一部には、制御カムが傾斜面を有する台として設けられており、そこに下のクランプロールが乗り上げることで、軸受スリットの中で下のクランプロールが持ち上げられ、クランプ位置に達する。制御カムに乗り上げた下のクランプロールは、クランプ位置のまま、ベルト案内アームとともにほぼ水平方向に動く。制御カムに乗り上げた下のクランプロールは、基本位置に達するまでに、制御カムの端部に達して、クランプ位置から初期の高さまで降りる。これにより、ベルトの挟み込みが解消されるので、基本位置ではベルトが再び出退自在となる。
【0014】
ベルト連行体の他の代替的な実施形態では、設計的に簡素なものとして、ベルト連行体が、ベルト案内開口板の裏側でベルト案内アームに取り付けられた制動ロールを有し、この制動ロールを介してベルトが案内される。すなわち、制動ロールは、ベルトの上面または下面でベルトに当接するように設けられている。この制動ロールを、ベルトを引込む方向へ、つまりベルトをベルト案内開口板の裏側に送り込む方向へ回転させることで、ベルトが引込まれる。
【0015】
ベルト案内アームは、公知の構成、例えば部分的にラック駆動装置のラックとして構成されてもよい。これにより、ベルト案内アームの直線的な出退運動が可能である。これ以外にも、直線的な出退運動のための公知の駆動装置が存在し、場合によっては、これらの公知の駆動装置を用いてもよい。
【0016】
ベルトの連行機能は、自動的に且つベルトハンドオーバの制御に関係なく作動するので、ベルトハンドオーバのための駆動装置は、押ボタン、ドア開放スイッチ、および/または着座スイッチによってシート利用者に制御されるような、公知の構成であってもよい。
【0017】
ベルトハンドオーバの発展した実施形態では、2つのベルトハンドオーバ(2)は、Bピラーを有しないカブリオレ車両において、車両内側部の上部で且つフロントシートバックの後方に取り付けられていることが、特に好ましい。
【発明の効果】
【0018】
上記自動車用安全ベルト装置によると、シート利用者が挿込舌部をベルトバックルに装着して、ベルトハンドオーバが基本位置まで引込まれた時点で、ベルトが弛まずにシート利用者の身体にしっかりと接するので、シート利用者がベルトの弛みをベルト巻取器に戻すための動作を不要にできるとともに、シート利用者を適切にシートに拘束して、安全機能を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る自動車用安全ベルト装置の一部を示す概略斜視図である。
【図2】基本位置でのベルト連行体を示す拡大断面図である。
【図3】基本位置から突出した位置でのベルト連行体を示す拡大断面図である。
【図4】ベルト連行体の他の実施形態を示すベルトハンドオーバの断面図である。
【図5】図4のベルト連行体の拡大側面図である。
【図6】ベルト連行体の他の代替的な実施形態を示すベルトハンドオーバの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1には、ベルトハンドオーバ2を備えたカブリオレ車両の安全ベルト装置の一部が示されている。ベルトハンドオーバ2は、シート利用者の肩の高さ付近に取り付けられたベルト案内アーム3と、このベルト案内アーム3の端部側に取り付けられたベルト案内開口板4とを有する。ベルト案内アーム3は、ラック駆動装置にて構成されたアクチュエータ5により、直線的な出退運動による位置調整が可能である(両矢印6)。
【0021】
ベルト8は、ベルト案内アーム3の下側で、ベルト案内開口板4の開口7を通り、パネル9の裏側にある転向プーリ10を介してベルト巻取器11に案内される。ベルト案内開口板4の裏面には、ベルト8の下方にベルト連行体12が取り付けられており、このベルト連行体12を図2および図3に拡大して示す。なお、ベルト連行体12の詳細については後述する。
【0022】
図1には、ベルト案内アーム3およびベルト案内開口板4をベルト提供位置まで突出させた状態のベルトハンドオーバ2が示されている。このベルト提供位置では、シート利用者が難なくベルト8に手が届くようにするため、パネル9から突出させたベルト案内開口板4によりベルト8が提供される。
【0023】
ベルト8をベルトバックルに装着した後、ベルトハンドオーバ2では、ベルト案内アーム3およびベルト案内開口板4がアクチュエータ5により制御されながら引込まれていき、図2に示すように、基本位置でベルト案内開口板4がパネル9に当接する。ベルト連行体12は、ベルト案内開口板4の裏面に回転自在に支持されたアングルレバー13を有する。このアングルレバー13は、制動シュー14として構成される第1脚部と、この第1脚部と回転軸を共有して当該第1脚部に直角に取り付けられた第2脚部15とを有する。この第2脚部15は、ねじりばね(圧縮ばねの一例である)16により、ベルト案内開口板4の裏面で支持されている。
【0024】
図2に示すように、ベルトハンドオーバ2では、ベルト案内アーム3が引込まれた基本位置にあるとき、第2脚部15はアクチュエータ5の引込力によりパネル9およびベルト案内開口板4へ近づけられる。すなわち、アクチュエータ5の引込力により、第2脚部15は、圧縮ばねのばね復元力に抗してパネル9で押され、ベルト案内開口板4へ近づけられる。言い換えれば、アングルレバー13は、第2脚部15がパネル9およびベルト案内開口板4へ近づけられる方向に回転し、これによって、制動シュー14としての第1脚部がベルト8から明らかに離されて、ベルト8はベルト案内開口板4の開口7の中で出退自在となる。
【0025】
これに対して、図3には、引込運動中(矢印18)において、ベルト案内アーム3が基本位置から突出した状態でのベルトハンドオーバ2を示している。図3に示すように、ねじりばね16が自己のばね復元力により伸展することで、アングルレバー13は、第2脚部15がベルト案内開口板4から離れる方向(矢印19)に回転し、これによって、制動シュー14としての第1脚部が、ベルト8に当接してこのベルト8を保持する。したがって、ベルト連行体12により、引込運動中のベルト案内アーム3とともに、ベルト8が引込方向に連行される。
【0026】
図4に、代替的な実施の形態に係る自動車用安全ベルト装置1の断面図を示し、この拡大図を図5に示す。この自動車用安全ベルト装置1に備えられたベルト連行体20では、上下2つのクランプロール21,22がベルト案内アーム3に配置されている。具体的には、ベルト案内アーム3に取り付けられた軸受体23に、上下2つのクランプロール21,22が支持されており、特に下のクランプロール22は、軸受体に形成された垂直方向の軸受スリット24で支持されている。
【0027】
突出・引込経路の一部に制御カム25が傾斜台として設けられている。下のクランプロール22は、この制御カム25に、特に引込時(矢印26)に乗り上げることで軸受スリット24の中で上昇して(矢印27)クランプ位置に達し、上のクランプロール21とでベルト8を挟み込む。そして、そのままベルト案内アーム3が引込まれることで、基本位置に達する前に下のクランプロール22が制御カム25の端部に達する。これにより、下のクランプロール22は、制御カム25から降りることで軸受スリット24の中で降下し、ベルト8の挟み込みが解消する。したがって、基本位置では、ベルト8はベルト案内開口板4の開口7の中で出退自在となる。
【0028】
図6にも、さらに他の代替的な実施の形態に係る自動車用安全ベルト装置1の断面図を示す。この自動車用安全ベルト装置1に備えられたベルト連行体28では、ベルト案内開口板4の裏側でベルト案内アーム3に制動ロール29が取り付けられている。この制動ロール29は、ベルト8の上面または下面(図6では下面)に対応した位置に取り付けられて、ベルト8に当接するとともに、ベルト8を案内するものである。また、上記制動ロール29は、ベルトをベルト案内開口板4の裏側に送り込む方向へ回転することでベルト8を引込むという保持作用を有する。この保持作用は、ベルト8の弛みを戻すだけで足りるが、ベルト8に生じ得る強い引張力に対応できるものであってもよい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトハンドオーバ(2)を備えた自動車用安全ベルト装置であって、
当該ベルトハンドオーバ(2)が、シート利用者の肩の高さに取り付けられたベルト案内アーム(3)と、このベルト案内アーム(3)の端部側に取り付けられたベルト案内開口板(4)とを有し、
車両に固定された下側のベルト支持点を起点として、上記ベルト案内開口板(4)を通り、パネル(9)の裏側にある少なくとも1つの転向プーリ(10)を介してベルト巻取器(11)まで案内されたベルト(8)を備え、
上記ベルトハンドオーバ(2)が、上記ベルト案内アーム(3)のためのアクチュエータ(5)を有し、
当該アクチュエータ(5)が、上記ベルト案内アーム(3)を上記パネル(9)の中に引込んだ基本位置からベルト提供位置まで水平方向に突出させ得るとともに、当該ベルト提供位置から基本位置まで引込み得るものであり、
上記ベルト案内開口板(4)により上側のベルト支持点が定義され、
3点式シートベルトとして、上記ベルト(8)に沿って移動自在でバックルに着脱される挿込舌部を備えており、
さらに、上記ベルトハンドオーバ(2)がベルト連行体(12;20;28)を備え、
当該ベルト連行体(12;20;28)が、ベルト案内アーム(3)およびベルト案内開口板(4)の引込時に自動的に連行機能を作動させて、ベルト(8)を弛ませないためにベルト案内アーム(3)および/またはベルト案内開口板(4)とともにベルト(8)を引込むものであることを特徴とする自動車用安全ベルト装置。
【請求項2】
ベルト連行体(12;20;28)の連行機能が、所定の力および/または所定の引込経路を通じて作動するものであることを特徴とする請求項1に記載の自動車用安全ベルト装置。
【請求項3】
ベルト連行体(12)が、基本位置から突出した位置でばね復元力によりベルト(8)に当接する制動シュー(14)を有し、
ベルト案内開口板(4)を引込んだ基本位置で、ばね(16)復元力に抗して上記制動シュー(14)を上記ベルト(8)から離す調節機構を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用安全ベルト装置。
【請求項4】
制動シュー(14)が、回転自在に支持されたアングルレバー(13)の第1脚部であるとともに、圧縮ばねが、ベルト案内開口板(4)の裏面でアングルレバー(13)の第2脚部(15)に支持されて、
引込んだ基本位置で、アクチュエータ(5)の引込力により、上記圧縮ばねのばね復元力に抗して、上記第2脚部(15)がパネル(9)および上記ベルト案内開口板(4)へ近づけられる方向に上記アングルレバー(13)を回転させることで、制動シュー(14)としての第1脚部をベルト(8)から離すことを特徴とする請求項3に記載の自動車用安全ベルト装置。
【請求項5】
ベルト連行体(20)がクランプ部材(21,22)を有しており、
当該クランプ部材(21,22)が、ベルト案内アーム(3)の引込経路および突出経路の少なくとも一部にわたって、ベルト(8)を連行するためのクランプ位置へ動くものであることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用安全ベルト装置。
【請求項6】
クランプ部材が、ベルト案内アーム(3)に配置された上下のクランプロール(21,22)を有し、
下のクランプロール(22)が、軸受体(23)に形成された垂直方向の軸受スリット(24)で支持され、
突出経路および引込経路の一部に設けられた制御カム(25)を備え、
下のクランプロール(22)が、上記制御カム(25)に乗り上げることで、上記軸受スリット(24)の中でクランプ位置へ持ち上げられ、上記制御カム(25)の水平方向長さにわたってクランプ位置のままベルト案内アーム(3)とともに動くものであることを特徴とする請求項5に記載の自動車用安全ベルト装置。
【請求項7】
ベルト連行体(28)が、ベルト案内開口板(4)の裏側でベルト案内アーム(3)に取り付けられた制動ロール(29)を有し、
当該制動ロール(29)が、上記ベルト案内アーム(3)の引込方向に回転することで、ベルト(8)を当該ベルト案内アーム(3)とともに引込むものであることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用安全ベルト装置。
【請求項8】
ベルト案内アーム(3)が、部分的にラック駆動装置のラックとし構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の自動車用安全ベルト装置。
【請求項9】
ベルトハンドオーバ(2)の駆動装置が、押ボタン、ドア開放スイッチ、および/または着座スイッチによってシート利用者に制御されるものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の自動車用安全ベルト装置。
【請求項10】
自動車が、Bピラーを有しないカブリオレ車両であり、
2つのベルトハンドオーバ(2)が、車両側部の上部で且つフロントシートバックの後方に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の自動車用安全ベルト装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−1208(P2012−1208A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135851(P2011−135851)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(591006586)アウディ アクチェンゲゼルシャフト (34)
【氏名又は名称原語表記】AUDI AG
【住所又は居所原語表記】D−85045 Ingolstadt,Germany
【Fターム(参考)】