説明

自動車用灯具の取付構造及び自動車用灯具の取付方法

【課題】自動車に形成された開口のうち正面視で略水平な部位以外の例えば斜めや縦の部位でも自動車用灯具を所定の配光が得られるように車体に取付けることを可能にする。
【解決手段】車体側に取り付けられる車体側固定部15と自動車用灯具5を固定する灯具固定部16を有した取付ステー4を使用して、所定の配光が得られるように自動車用灯具5を車体に取り付けた取付構造。灯具固定部16に形成した円形孔19にリード線8、9を通して灯具取付け面に灯体本体6の裏面を装着させ、灯体本体6の裏面に形成したネジ穴に灯体固定ネジ20、20を仮止めし、その灯体固定ネジのネジ部をガイドとして円形孔の開口周縁に摺接させることで、光源7を中心として自動車用灯具を灯具固定部に対して360度回転自在とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のフロントバンパの開口に灯具を取り付ける自動車用灯具の取付構造及び自動車用灯具の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、フロントバンパに形成された開口にフォグランプをブラケットによって取り付ける自動車ランプの取付構造が開示されている。この自動車ランプの取付構造は、ランプを上下方向に首振り回転調整可能とすると共に左右方向にも首振り回転調整可能とすることで、車体に対するランプの取付角度が微調整できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3981438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、上下方向及び左右方向にランプを動かすことができるものの可動範囲が狭いため、車体への取付け位置によっては所定の配光が得られる向きにランプを動かすことが出来ない場合が生じる。特に、フロントバンパの開口のうち正面視で略水平な部位以外の例えば斜めや縦の部位にランプを取付けるような場合、特許文献1に開示された技術では所定の配光となるようにランプを取付けることは不可能である。たとえ、ランプを取り付けることが出来たとしてもブラケットに対するランプの可動範囲が狭いことから当該ランプの配光が所定の配光状態からずれたものとなる。
【0005】
そこで、本発明は、自動車に形成された開口のうち正面視で略水平な部位以外の例えば斜めや縦の部位でも自動車用灯具を所定の配光が得られるように車体に取付けることのできる取付け自由度の高い自動車用灯具の取付構造及び自動車用灯具の取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、灯体本体内に光源を有し且つ灯体本体の裏面から外部へ引き出されたリード線を有した自動車用灯具を自動車に形成された開口に取付ステーを介して取り付けた自動車用灯具の取付構造であって、前記取付ステーは、自動車の車体側にステー固定手段で取り付けられる車体側固定部と、該車体側固定部と一体的に形成されて自動車用灯具を固定させる灯具固定部とを有し、前記自動車用灯具は、前記灯具固定部に形成された円形孔に前記リード線を通して灯具取付け面に装着され、また、前記灯体本体の裏面に形成された2箇所のネジ穴に螺合させた灯体固定ネジのネジ部をガイドとして前記円形孔の開口周縁に摺接させることで前記光源を中心として自動車用灯具を前記灯具固定部に対して360度回転自在とし且つ前記灯体固定ネジを締めることで該灯体固定ネジの頭で前記自動車用灯具を前記灯具固定部に固定したことを特徴としている。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、前記車体側固定部は、自動車の車体側にステー固定手段で仮止め自在且つ固定自在とされることを特徴としている。
【0008】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記自動車用灯具は、前記灯具固定部に対して前記光源を中心として回転させて所定の配光が得られた回転位置で前記灯体固定ネジを締め付けて固定されていることを特徴としている。
【0009】
第4の発明は、第1から第3の何れか1つの発明において、前記灯体本体の裏面に形成された通気孔を、前記灯具固定部の円形孔と対応した位置に設けたことを特徴としている。
【0010】
第5の発明は、第1から第4の何れか1つに記載の発明において、前記取付ステーは、連結部を介して複数個が一体化されており、各連結部に設けた破断容易部から破断して各取付ステーとして使用されることを特徴としている。
【0011】
第6の発明は、第1から第4の何れか1つに記載の発明において、前記取付ステーは、連結部を介して複数個が一体化されており、各取付ステーに各自動車用灯具が固定されて、一体化されたままの状態で前記連結部を折り曲げることで前記自動車の開口の形状に沿って車体側に取り付けられることを特徴としている。
【0012】
第7の発明は、第1から第6の何れか1つに記載の自動車用灯具の取付構造を使用して自動車に形成された開口に自動車用灯具を取り付ける取付方法であって、前記取付ステーの灯具固定部に自動車用灯具を灯体固定ネジで仮止めしておき、その後、取付ステーを車体側に仮止めした状態で前記自動車用灯具を灯具固定部に対して光源を中心として回転させて所定の配光が得られる回転位置を定めた後、前記取付ステーを一旦車体側から取り外して前記灯体固定ネジを締めて自動車用灯具を前記灯具固定部に固定し、再度、前記取付ステーを車体側に固定することを特徴としている。
【0013】
第8の発明は、第7の発明において、前記自動車の車体側にステー固定手段であるボルトを取り付け、そのボルトをガイドとして前記取付ステーの車体側固定部に形成した長穴を差し込んで前記取付ステーを車体側に仮止めし、再度の前記車体側への固定に際して、前記ボルトをガイドとして前記車体側固定部を差し込み該ボルトを締め付けて前記取付ステーを車体側に固定することを特徴としている。
【0014】
第9の発明は、第8の発明において、前記自動車の車体側にボルトを取り付けるに際して、前記車体側固定部の外形状に形取った型紙を使用し、その型紙を車体側に貼り付けた後、該型紙に形成した孔にポンチを打って前記ボルトの取付け孔位置としたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、光源を中心として自動車用灯具を、取付ステーの灯具固定部に対して360度回転自在としたので、自動車に形成された開口のどの形状部位に対しても所定の配光が取れるように自動車用灯具を回転させることができ、開口の形状に依存することなくユーザが自由に自動車用灯具の取付け位置を決めることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、車体側固定部が自動車の車体側にステー固定手段で仮止め自在且つ固定自在とされるので、自動車用灯具の配光を決める際には仮止めをし、配光が決まった後は固定してがたつきを無くすことができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、灯具固定部に対して光源を中心として回転させて所定の配光が得られた回転位置で灯体固定ネジを締め付ければ、車体に対する自動車用灯具の配光位置が固定される。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、灯体本体の裏面に形成された通気孔が、灯具固定部の円形孔と対応した位置に設けられているので、光源の点灯で灯体内の空気が加熱された後、消灯により灯体内の空気と外気との温度差により灯体内面に付着する水滴の発生を防止するための外気が、前記円形孔を通して通気孔より灯体内部に入り込むことが可能となる。よって、灯体本体内の結露発生を防止することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、複数個の取付ステーは連結部を介して一体化されており、その連結部に設けた破断容易部から破断することで各取付ステーとして使用できるため、ユーザの好みに応じて自動車用灯具の数に合わせて取付ステーを使用することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、連結部を介して複数個の取付ステーを一体化しており、一体化されたままの状態でその連結部を折り曲げて自動車の開口の形状に沿って各取付ステーに固定した自動車用灯具を取り付けることで、均等間隔に自動車用灯具を誰でも簡単に取り付けることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、取付ステーを車体側に仮止めした状態で自動車用灯具を灯具固定部に対して光源を中心として回転させることで、車体に対する自動車用灯具の配光を所定の配光に設定することができる。その後、取付ステーを一旦車体側から取り外して灯体固定ネジを締めることで、所定の配光を得ることができる位置で自動車用灯具を灯具固定部に固定することができる。後は、再度取付ステーを車体側に取り付けて固定すれば、誰でも簡単に所定の配光とした自動車用灯具を車体に取り付けることができる。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、車体側に取り付けたボルトをガイドとして取付ステーの車体側固定部に形成した長穴を差し込んで前記取付ステーを車体側に仮止めできるので、自動車用灯具の配光を決め易くなる。そして、再度の取付ステーの車体側への固定は、前記ボルトを締め付けるだけで配光が決まった自動車用灯具を車体に誰でも取り付けることが可能となる。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、取付ステーの車体側固定部の外形状に形取った型紙を使用し、その型紙に形成した孔にポンチを打ってボルトの取付け孔位置とすることで、車体に対する取付ステーの取付け位置を確実に決めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は本実施形態の自動車用灯具をフロントバンパーに形成された開口に複数個取り付けた取付状態の一例を示す斜視図である。
【図2】図2は図1の自動車用灯具のうちの一つを示し、自動車用灯具を取付ステーで車体側に取り付けた状態の側面図である。
【図3】図3は図1の自動車用灯具のうちの一つを示し、自動車用灯具を車体側に取り付ける前の状態を示す斜視図である。
【図4】図4は取付ステーに灯体固定ネジで自動車用灯具を取り付ける前の状態を示す斜視図である。
【図5】図5は灯体固定ネジの頭で取付ステーを自動車用灯具に押し付けて当該自動車用灯具を取付ステーに固定することを示す図である。
【図6】図6は自動車用灯具に取付ステーを取り付けた状態を示し、取付ステーに対して自動車用灯具が光源を中心として360度回転することを示し、(A)はその斜視図、(B)はその正面図である。
【図7】図7は車体側に取付ステーを取り付けるのに使用する型紙の一例を示す平面図である。
【図8】図8は連結部を介して複数個の取付ステーを一体化した例であり、(A)はその全体斜視図、(B)はその一部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
「自動車用灯具の取付構造説明」
先ず、本実施の形態の自動車用灯具の取付構造を、図1〜図6を参照して説明する。図1では、自動車1のフロントバンパー2に形成された開口3に取付ステー4を介して自動車用灯具5を取り付けている。自動車用灯具5の取り付け個数は、ユーザの好みにより任意の数とすることができる。この実施の形態では、5つの自動車用灯具5を車体に取り付けた例としているが、あくまでその数は一例であり、図1で示す数に限定されない。
【0027】
自動車用灯具5は、例えば昼間に常時点灯して車両周囲の人に注意を喚起する役目で使用されるデイタイムランニングランプである。もちろん、この自動車用灯具5は、一実施の形態であり、デイタイムランニングランプ以外の補助ランプであってもよい。自動車用灯具5は、図2及び図3に示すように、灯体本体6内に光源7を有している。本実施の形態では、指向性を有し低電力消費に優れるLEDを光源7としている。LED以外にも通常の白熱灯などを光源7として使用することもできる。
【0028】
灯体本体6の裏面6aには、図4に示すように、光源7と電気的に接続される2本のリード線8、9が外部へ引き出されている。一方のリード線8の先端には、雄接続端子10が設けられている。他方のリード線9の先端には、雌接続端子11が設けられている。また、灯体本体6の裏面6aには、後述する取付ステー4に自動車用灯具5を360度回転自在とし且つねじ止めすることで固定するためのネジ穴12が2箇所設けられている。2つのネジ穴12、12は、灯体本体6の中心点を通る線上に所定距離を隔てて形成することが望ましい。
【0029】
また、灯体本体6の裏面6aには、光源7の点灯により灯体本体6内の空気が加熱された後、消灯により灯体内の空気と外気との温度差により灯体内面に生じる結露の発生を防止すべく灯体内部の空気と外気との熱交換を行うための通気孔13が形成されている。通気孔13は、例えば灯体本体6の裏面中心位置にあることが望ましい。図4では、通気孔13を円形孔としているが、その孔形状は特に限定されない。
【0030】
取付ステー4は、自動車1の車体側にステー固定手段である十字六角ボルト14で仮止め自在且つ固定自在とされる車体側固定部15と、該車体側固定部15と一体的に形成されて自動車用灯具5を固定させる灯具固定部16とを有している。車体側固定部15は、例えばフロントバンパリインフォースメント17等の車体側に十字六角ボルト14で取り付けられる。
【0031】
車体側固定部15には、十字六角ボルト14のネジ部14aをガイドとして取付ステー4を取り付けるための長穴であるスライド長穴18が2箇所に形成されている。スライド長穴18は、ネジ部14aに対する挿入を容易にするために、開口側へ行くに従ってその開口幅を広くしている。また、スライド長穴18の幅は、ネジ部14aの直径よりも若干広い寸法とされており、また、六角形状をなすネジ頭14bの大きさよりも小さな寸法とされている。
【0032】
灯具固定部16には、2本のリード線8、9が邪魔にならないように自動車用灯具5を360度回転自在とするための円形孔19が形成されている。この円形孔19は、灯体本体6の裏面6aに形成された2つのネジ穴12、12に螺合する各灯体固定ネジ20、20のネジ部20a、20aの外周に接触する程度の大きさをなす孔として形成されている。具体的には、2つのネジ穴12、12を結んだ長さに、2つのネジ部20a、20aのそれぞれの半径の長さを加え、更に若干の余裕長さを足した長さを直径とする円形孔19としている。
【0033】
取付ステー4は、車体側固定部15に対して灯具固定部16を略直角に折り曲げた一体化構造とされている。かかる取付ステー4は、例えば薄板金属により形成され、取り付け位置に応じて車体側固定部15と灯具固定部16とのなす角度を手で曲げて変更することもできる。
【0034】
灯具固定部16の一面は、自動車用灯具5を取り付ける灯具取付け面16aとされている。この灯具取付け面16aには、灯体本体6の裏面6aが接して自動車用灯具5が取り付けられる。この一方、灯具固定部16の他面16bは、灯体固定ネジ20、20のネジ頭20b、20bが接触する。具体的には、図5に示すように、灯具固定部16の他面16bのうち円形孔19の開口周縁部に、灯体固定ネジ20、20のネジ頭20b、20bの一部が接触する。この接触した部位が、灯体固定ネジ20、20のネジ頭20b、20bによって灯具固定部16と自動車用灯具5との共締め部位となる。
【0035】
自動車用灯具5は、取付ステー4に対して灯体固定ネジ20、20を灯体本体6の裏面6aに形成した2つのネジ穴12、12にそれぞれ螺合させることで、該灯体固定ネジ20、20のネジ頭20b、20bで該取付ステー4の灯具固定部16に形成した円形孔19の開口周縁部を押し付けることにより固定される。そして、前記自動車用灯具5を灯具固定部16に固定した取付ステー4は、車体側であるフロントバンパリインフォースメント17に孔開けをしたネジ孔21に螺合した十字六角ボルト14のネジ部14aに車体側固定部15に形成したスライド長穴18を差し込み、該十字六角ボルト14を締め付けることで車体側に固定される。
【0036】
ユーザは、自身の好みに応じて自動車用灯具5を車体側に取り付けるため、例えば図1に示すように、フロントバンパー2に形成された開口3のうち開口上端部、開口下端部、開口側縁部、開口コーナー部に自動車用灯具5を取り付けようとする。この一方、自動車用灯具5は、所定の配光が得られるように車体に取り付けなければならない。そのため、本実施の形態では、図6に示すように、取付ステー4の灯具固定部16に対して光源7を中心として自動車用灯具5を360度回転自在とすることで、所定の配光をとるようにしている。
【0037】
具体的には、灯体固定ネジ20、20を緩めた状態にして灯具固定部16に対して自動車用灯具5を光源7を中心として360度回転可能な範囲で回転させることで配光を決め、その後灯体固定ネジ20、20を締め付けて自動車用灯具5を固定する。配光を合わせるには、灯体本体6の表面6bに表示された2つ配光位置合わせマーク22と、文字23を使用する。文字23は、必ず正面から見たときに斜めや逆さまにならずに正規の読み取り可能な向きとなるようにする。2つの配光位置合わせマーク22は、路面と平行に配置されるようにする。こうすることで、開口3のうち開口下端部、開口側縁部、開口コーナー部に自動車用灯具5を取り付ける場合でも、所定の配光とすることができる。
【0038】
「自動車用灯具の取付方法の説明」
次に、自動車用灯具5の車体側への取付方法について、図面を参照しながら説明する。
先ず、自動車用灯具5の車体に対する取り付け位置を決める。そして、図7に示す型紙24を使用し、取付ステー4の車体側固定部15を十字六角ボルト14で固定する位置にポンチを打って取付け孔位置を決定する。型紙24は、自動車1のフロントバンパー2の形に応じて傾斜させてあり、取り付ける自動車用灯具5の数に応じた数だけのステー形状部25を有している。
【0039】
ステー形状部25は、車体側固定部15の外形状とほぼ同じ(但し、スライド長穴18に対応する部位は無い)形状に形取られており、また、各スライド長孔18と対応する位置にポンチを打つための孔26を有している。各ステー形状部25の間隔は、数個の自動車用灯具5を取り付ける間隔(例えば隣り合う自動車用灯具5との間の距離が10mm程度)とすることが望ましい。
【0040】
前記型紙24を開口3にあてがって粘着テープで車体に固定した後、各ステー形状部25に形成した孔26にポンチを打って取付け孔位置を決める。ポンチの他に、マジックなどで印を付けてもよい。そして、型紙24を車体から取り外した後、ドリルで孔開けを行いネジ孔21を形成する。なお、ネジ孔21まで形成しなくても下穴だけでもよい。次に、このネジ孔21に十字六角ボルト14のネジ部14aをねじ込んで仮止めする。このとき、十字六角ボルト14のネジ頭14bと車体取付部位との間には、少なくとも車体側固定部15を差し込む程度の隙間を空けておく。
【0041】
この一方、取付ステー4の灯具固定部16に形成された円形孔19に、雄接続端子10が接続されたリード線8と雌接続端子11が接続されたリード線9を共に通す。そして、灯体本体6の裏面6aを灯具固定部16の灯具取付け面16aに接触させた後、裏面6aに形成したネジ穴12に灯体固定ネジ20、20のネジ部20a、20aをねじ込む。この時、灯体固定ネジ20、20は、最後まで締め込むことなく灯具固定部16に対して自動車用灯具5が回転できる程度に仮止めしておく。
【0042】
そして、自動車用灯具5を仮止め保持した取付ステー4を手に持って、車体側固定部15に形成した各スライド長孔18を、前記十字六角ボルト14をガイドとして差し込む。こうして、取付ステー4を車体側に仮止めする。次に、仮止め状態で自動車用灯具5を、灯体固定ネジ20、20のネジ部20a、20aをガイドとして円形孔19の開口周縁に摺接させることで前記光源7を中心として回転させて所定の配光が得られる回転位置を定める。具体的には、灯体本体6の表面6bに表示された2つ配光位置合わせマーク22を路面と平行に配置すると共に、文字23を正面から見たときに斜めや逆さまにならずに正規の向きで読み取れるようにする。これで、自動車用灯具5の配光が決まる。
【0043】
配光をとるために自動車用灯具5を灯具固定部16に対して光源7を中心として回転させるが、リード線8、9、雄接続端子10及び雌接続端子11が何れも回転の邪魔になることなく自動車用灯具5を360度回転させることができるため、開口下端部、開口側縁部、開口コーナー部に自動車用灯具5を取り付ける場合でもきちんと配光を取ることができる。
【0044】
次に、取付ステー4を車体から一旦取り外し、灯体固定ネジ20、20を締めて自動車用灯具5を灯具固定部16に固定する。この作業で、自動車用灯具5が取付ステー4に固定される。そして、再度、自動車用灯具5を固定した取付ステー4を手に持って、車体側固定部15に形成した各スライド長孔18を、前記十字六角ボルト14をガイドとして差し込んだ後、該十字六角ボルト14を締め付ける。この作業を、残りの自動車用灯具5の数だけ繰り返すことで、自動車用灯具5の取付作業は終了となる。
【0045】
以上のように本実施の形態によれば、光源7を中心として自動車用灯具5を、取付ステー4の灯具固定部16に対して360度回転自在としたので、自動車1に形成された開口3のどの形状部位に対しても所定の配光を取れるように自動車用灯具5を回転させることができ、開口3の形状に依存されることなくユーザが自由に自動車用灯具5の取付け位置を決めることができる。これにより、ユーザーの好みによりオリジナリティのある自動車用灯具5の装着が実現できる。
【0046】
また、本実施の形態によれば、車体側固定部15が自動車の車体側にステー固定手段14で仮止め自在且つ固定自在とされるので、自動車用灯具5の配光を決める際には仮止めをし、配光が決まった後は固定してがたつきを無くすことができる。
【0047】
また、本実施の形態によれば、灯具固定部16に対して光源7を中心として回転させて所定の配光が得られた回転位置で灯体固定ネジ20、20を締め付ければ、車体に対する自動車用灯具5の配光位置を固定することができる。
【0048】
また、本実施の形態によれば、灯体本体6の裏面6aに形成された通気孔13が、灯具固定部16の円形孔19と対応した位置に設けられているので、光源7の点灯で灯体内の空気が加熱された後、消灯により灯体内の空気と外気との温度差により灯体内面に付着する水滴の発生を防止するための外気が、前記円形孔19を通して通気孔13より灯体内部に入り込むことが可能となる。その結果、灯体本体6内の結露発生を防止することができる。
【0049】
また、本実施の形態によれば、取付ステー4を車体側に仮止めした状態で自動車用灯具5を灯具固定部16に対して光源7を中心として回転させることで、車体に対する自動車用灯具5の配光を所定の配光に設定することができる。その後、取付ステー4を一旦車体側から取り外して灯体固定ネジ20、20を締めることで、所定の配光を得ることができる位置で自動車用灯具5を灯具固定部16に固定することができる。後は、再度、取付ステー4を車体側に取り付けて十字六角ボルト14を締めれば、誰でも簡単に所定の配光とした自動車用灯具5をユーザの好みの位置に取り付けることができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、取付ステー4の車体側固定部15の外形状に形取った型紙24を使用し、その型紙24に形成した孔26にポンチを打って十字六角ボルト14の取付け孔位置とすることで、車体に対する取付ステー4の取付け位置を確実に決めることができる。また、本実施の形態によれば、型紙24を表裏反転させて使用することで、自動車用灯具5を車体に対して左右対称に取り付けることができる。
【0051】
「その他の実施形態」
図8は、連結部27を介して複数個の取付ステー4を一体化した例であり、(A)はその全体斜視図、(B)はその一部を示す正面図である。取付ステー4は、プレス金型によって打ち抜き加工及び曲げ加工などを連続して行うことにより、連結部27を介して複数個が一体化されている。連結部27には、各取付ステー4を手で折り曲げることにより切り離して分割可能とする破断容易部であるV溝28が形成されている。
【0052】
ユーザは、連結部27によって連結された取付ステー4を必要に応じた数だけ、前記破断容易部から破断して分割して使用することができる。また、複数個の取付ステー4が連結部27で連結された一体化されたままの状態で、前記連結部27を折り曲げることで自動車1の開口3の形状に沿って車体側に取り付けるようにしてもよい。
【0053】
また、型紙24に形成した複数個のステー形状部25を各々切り離して使用することもできる。ステー形状部25をぞれぞれに切り離した場合は、自動車用灯具5をユーザの好みに応じた間隔で車体に取り付けることができる。
【0054】
また、型紙24のステー形状部25の外縁を縁取るように位置決めテープを車体側に貼り、この位置決めテープの形状に合致するように取付ステー4の車体側固定部15を位置合わせするようにしてもよい。つまり、この型紙24は、前記した2つの使い方ができる。また、位置決めテープを車体側に貼る方法は、取り付け位置を検討する際に有効である。この他、取付ステー4の車体への固定は、両面テープ(ステー固定手段)を使用することも可能であり、その場合には位置決めテープを車体側に貼る方法は有効である。
【0055】
以上、本発明を適用した具体的な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、補助灯などの自動車用灯具を車体に取り付けるのに利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 自動車
3 開口
4 取付ステー
5 自動車用灯具
6 灯体本体
7 光源
8、9 リード線
10 雄接続端子
11 雌接続端子
13 通気孔
14 十字六角ボルト(ステー固定手段)
15 車体側固定部
16 灯具固定部
17 フロントバンパリインフォースメント(車体側)
18 スライド長穴
19 円形孔
20 灯体固定ネジ
20b 灯体固定ネジのネジ頭
24 型紙
27 連結部
28 V溝(破断容易部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯体本体内に光源を有し且つ灯体本体の裏面から外部へ引き出されたリード線を有した自動車用灯具を自動車に形成された開口に取付ステーを介して取り付けた自動車用灯具の取付構造であって、
前記取付ステーは、自動車の車体側にステー固定手段で取り付けられる車体側固定部と、該車体側固定部と一体的に形成されて自動車用灯具を固定させる灯具固定部とを有し、
前記自動車用灯具は、前記灯具固定部に形成された円形孔に前記リード線を通して灯具取付け面に装着され、また、前記灯体本体の裏面に形成された2箇所のネジ穴に螺合させた灯体固定ネジのネジ部をガイドとして前記円形孔の開口周縁に摺接させることで前記光源を中心として自動車用灯具を前記灯具固定部に対して360度回転自在とし且つ前記灯体固定ネジを締めることで該灯体固定ネジの頭で前記自動車用灯具を前記灯具固定部に固定した
ことを特徴とする自動車用灯具の取付構造。
【請求項2】
請求項1記載の自動車用灯具の取付構造であって、
前記車体側固定部は、自動車の車体側にステー固定手段で仮止め自在且つ固定自在とされる
ことを特徴とする自動車用灯具の取付構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の自動車用灯具の取付構造であって、
前記自動車用灯具は、前記灯具固定部に対して前記光源を中心として回転させて所定の配光が得られた回転位置で前記灯体固定ネジを締め付けて固定されている
ことを特徴とする自動車用灯具の取付構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1つに記載の自動車用灯具の取付構造であって、
前記灯体本体の裏面に形成された通気孔を、前記灯具固定部の円形孔と対応した位置に設けた
ことを特徴とする自動車用灯具の取付構造。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1つに記載の自動車用灯具の取付構造であって、
前記取付ステーは、連結部を介して複数個が一体化されており、各連結部に設けた破断容易部から破断して各取付ステーとして使用可能である
ことを特徴とする自動車用灯具の取付構造。
【請求項6】
請求項1から請求項4の何れか1つに記載の自動車用灯具の取付構造であって、
前記取付ステーは、連結部を介して複数個が一体化されており、各取付ステーに各自動車用灯具が固定されて、一体化されたままの状態で前記連結部を折り曲げることで前記自動車の開口の形状に沿って車体側に取り付けられる
ことを特徴とする自動車用灯具の取付構造。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか1つに記載の自動車用灯具の取付構造を使用して自動車に形成された開口に自動車用灯具を取り付ける取付方法であって、
前記取付ステーの灯具固定部に自動車用灯具を灯体固定ネジで仮止めしておき、その後、取付ステーを車体側に仮止めした状態で自動車用灯具を灯具固定部に対して光源を中心として回転させて所定の配光が得られる回転位置を定めた後、前記取付ステーを一旦車体側から取り外して前記灯体固定ネジを締めて自動車用灯具を前記灯具固定部に固定し、再度、前記取付ステーを車体側に固定する
ことを特徴とする自動車用灯具の取付方法。
【請求項8】
請求項7記載の自動車用灯具の取付方法であって、
前記自動車の車体側にステー固定手段であるボルトを取り付け、そのボルトをガイドとして前記取付ステーの車体側固定部に形成した長穴を差し込んで前記取付ステーを車体側に仮止めし、再度の前記車体側への固定に際して、前記ボルトをガイドとして前記車体側固定部を差し込み該ボルトを締め付けて前記取付ステーを車体側に固定する
ことを特徴とする自動車用灯具の取付方法。
【請求項9】
請求項8記載の自動車用灯具の取付方法であって、
前記自動車の車体側にボルトを取り付けるに際して、前記車体側固定部の外形状に形取った型紙を使用し、その型紙を車体側に貼り付けた後、該型紙に形成した孔にポンチを打って前記ボルトの取付け孔位置とした
ことを特徴とする自動車用灯具の取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−35332(P2013−35332A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170830(P2011−170830)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(390005304)PIAA株式会社 (19)
【Fターム(参考)】