説明

自動車用空調装置

【課題】冷風と温風とのエアミキシング性の向上を図りつつ、空調ケース内において空気の通過による騒音を抑制できる自動車用空調装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る自動車用空調装置1は、空調ケース10と、エバポレータ60と、ヒータコア70とを備える。また、自動車用空調装置1は、エバポレータ60を通過して生成された冷風を吹出口20側とヒータコア側とに分配する第1のミックスドア100と、エバポレータ60を通過した冷風の流れ方向に沿って冷風を整流するとともに、ヒータコア70を通過した温風の流れ方向に対する交差方向に温風を偏向する第2のミックスドア200をさらに備える。第2のミックスドア200は、冷風と温風とが混合するエアミキシング領域AMにおいて、冷風の流れ方向に沿った位置と、冷風の交差方向に沿った位置との間で回動するように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調ケース内に、エバポレータとヒータコアとが設けられる自動車用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、内部に導入された空気を車室内に向けて吹き出す吹出口(デフ吹出口、ベント吹出口、フット吹出口)が形成される空調ケース内に、冷風を生成するエバポレータと、温風を生成するヒータコアとが配設される自動車用空調装置について、様々な提案がなされている。
【0003】
例えば、エバポレータを通過した冷風が流れる第1流路及びヒータコアを通過した温風が流れる第2流路によって構成されるバッフルを備えた自動車用空調装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この自動車用空調装置によれば、バッフルにより空気(冷風や温風)の勢いを増大させ、冷風と温風とのエアミキシング性の向上を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−94187号公報(第2〜第3頁、第1〜第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の自動車用空調装置では、冷風や温風がバッフル内に張り付きながらバッフルを通過するため、冷風と温風とのエアミキシング性の向上については、未だ改善の余地があるのが現状であった。また、冷風又は温風が常にバッフルを通過するため、このバッフルを通過する際に騒音が発生するという問題もあった。
【0006】
そこで、本発明は、冷風と温風とのエアミキシング性の向上を図りつつ、空調ケース内において空気の通過による騒音を抑制できる自動車用空調装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、内部に導入された空気を車室内に向けて吹き出す吹出口(吹出口20)が形成される空調ケース(空調ケース10)と、前記空調ケース内に配設され、前記空気を冷却することによって冷風を生成するエバポレータ(エバポレータ60)と、前記エバポレータよりも前記空気の流れ方向の下流側に配設され、前記エバポレータを通過した前記空気を加熱することによって温風を生成するヒータコア(ヒータコア70)とを備える自動車用空調装置(自動車用空調装置1)であって、前記エバポレータを通過した前記冷風を前記吹出口側と前記ヒータコア側とに分配する第1のミックスドア(第1のミックスドア100)と、前記エバポレータを通過した前記冷風の流れ方向に沿って前記冷風を整流するとともに、前記ヒータコアを通過した前記温風の流れ方向に対する交差方向に前記温風を偏向する第2のミックスドア(第2のミックスドア200)とをさらに備え、前記第2のミックスドアは、前記冷風と前記温風とが混合するエアミキシング領域(エアミキシング領域AM)において、前記冷風の流れ方向に沿った位置と、前記冷風の交差方向に沿った位置との間で回動するように配置されることを要旨とする。
【0008】
かかる特徴によれば、第2のミックスドアは、エバポレータを通過した冷風の流れ方向に沿って冷風を整流するとともに、ヒータコアを通過した温風の流れ方向に対する交差方向に温風を偏向する。これにより、従来のようなバッフルを用いなくても、第2のミックスドアにより空気(冷風)の勢いの低下を低減させることができる。このため、冷風と温風とのエアミキシング性の向上を図ることができる。
【0009】
また、第2のミックスドアは、エアミキシング領域において、冷風の流れ方向に沿った位置と、冷風の交差方向に沿った位置との間で回動するように配置される。これにより、第2のミックスドアが冷風の流れ方向に沿った位置に配置される場合には、エバポレータを通過した冷風の流れ方向に沿って冷風を整流し、第2のミックスドアが冷風の交差方向に沿った位置に配置される場合、温風の交差方向に冷風を偏向する。このため、冷風を整流する場合には、第2のミックスドアに対する冷風の抵抗が高くなり過ぎない。従って、冷風が第2のミックスドアを通過する際に騒音が発生しにくく、空調ケース内において空気(冷風)の通過による騒音を確実に抑制できる。
【0010】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記第2のミックスドアの一端は、前記第1のミックスドアの一端に回動可能に支持され、前記第2のミックスドアの他端は、前記空調ケース内に形成される係合部(係止部12)に係合しつつ該係合部内で摺動することを特徴とする。
【0011】
かかる特徴によれば、第2のミックスドアの一端が第1のミックスドアの一端に回動可能に支持され、第2のミックスドアの他端が空調ケース内に形成される係合部に係合しつつ該係合部内で摺動する。これにより、第2のミックスドアは、エアミキシング領域において、冷風の流れ方向に沿った位置と、冷風の交差方向に沿った位置との間で回動し易くなる。このため、冷風と温風とのエアミキシング性をより確実に向上させることができる。
【0012】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1又は第2の特徴に係り、前記第1のミックスドアは、前記冷風が通過する冷風通路(冷風通路32)を閉じ状態として前記冷風を全て前記ヒータコア側へ導入する全閉位置と、前記冷風通路を開け状態として前記冷風を全て前記吹出口側へ導く全開位置との間で回動する冷風側ミックスドア(冷風側ミックスドア110)と、前記冷風側ミックスドアが前記全閉位置にあるとき、前記温風が通過する温風通路(温風通路33)を開け状態として前記冷風を全て前記ヒータコア側へ導く全開位置と、前記冷風側ミックスドアが前記全開位置にあるとき、前記温風通路を閉じ状態として前記冷風を全て前記吹出口側へ導く全閉位置との間で回動する温風側ミックスドア(温風側ミックスドア120)とによって構成され、前記第2のミックスドアは、前記冷風側ミックスドアの一端に回動可能に支持され、前記冷風側ミックスドアの回動に連動して回動することを要旨とする。
【0013】
かかる特徴によれば、第2のミックスドアは、冷風側ミックスドアの一端に回動可能に支持され、冷風側ミックスドアの回動に連動して回動する。これにより、第2のミックスドアが冷風側ミックスドアと別の位置に配置される場合と比較して、第2のミックスドアの配置箇所を敢えて確保する必要がなくなる。このため、空調ケースの小型化をも実現できる。
【0014】
本発明の第4の特徴は、本発明の第1乃至第3の特徴に係り、前記第2のミックスドアは、複数のフラップ(フラップ210)と、前記フラップを並列多段状に支持する支持体(支持体220)とを有することを要旨とする。
【0015】
かかる特徴によれば、第2のミックスドアは、フラップと、支持体とを有する。これにより、フラップにより空気(冷風)の勢いの低下を低減させ易くなり、冷風と温風とのエアミキシング性の向上をさらに図ることができる。
【0016】
本発明の第5の特徴は、本発明の第4の特徴に係り、前記フラップは、前記エバポレータを通過した前記冷風を全て前記吹出口側に導くフルクール時において、前記冷風の流れ方向に沿って配置され、前記ヒータコアを通過した前記温風を全て前記吹出口側に導くフルホット時において、前記温風の流れ方向に交差するように配置されることを要旨とする。
【0017】
かかる特徴によれば、フラップは、フルクール時において、冷風の流れ方向に沿って配置され、フルホット時において、温風の流れ方向に交差するように配置される。これにより、フラップは、フルクール時では吹出口に向けて冷風を案内し易くなる。このため、空気(冷風)の勢いの低下を低減させ易くなり、冷風と温風とのエアミキシング性の向上をさらに図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の特徴によれば、冷風と温風とのエアミキシング性の向上を図りつつ、空調ケース内において空気の通過による騒音を抑制できる自動車用空調装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本実施形態に係る自動車用空調装置1の冷風モードを示す縦断側面図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る自動車用空調装置1の温風モードを示す縦断側面図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る自動車用空調装置1の混合風モードを示す縦断側面図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る第1のミックスドア100及び第2のミックスドア200の一部を示す斜視図である。
【図5】図5は、その他の実施形態に係る自動車用空調装置1Aの混合風モードを示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明に係る自動車用空調装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。具体的には、(1)自動車用空調装置1の構成、(2)第1のミックスドア100及び第2のミックスドア200の構成、(3)第1のミックスドア100及び第2のミックスドア200の動き、(4)作用・効果、(5)その他の実施形態について説明する。
【0021】
なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0022】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0023】
(1)自動車用空調装置1の構成
まず、本実施形態に係る自動車用空調装置1の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る自動車用空調装置1の冷風モードを示す縦断側面図である。図2は、本実施形態に係る自動車用空調装置1の温風モードを示す縦断側面図である。図3は、本実施形態に係る自動車用空調装置1の混合風モードを示す縦断側面図である。
【0024】
図1〜図3に示すように、自動車用空調装置1は、合成樹脂等からなる空調ケース10を備える。この空調ケース10内には、内部に導入された空気を車室内に向けて吹き出す吹出口20と、画壁11等によって適宜に区画することで空気通路30(導入通路31や冷風通路32、温風通路33等)とが形成される。
【0025】
吹出口20は、デフ吹出口DEFと、ベント吹出口VENTと、フット吹出口FOOTとによって構成される。一方で、空気通路30の上流位置には、送風部品(ブロワ40、導入通路31)が設けられる。また、空気通路30の途中には、機能部品(フィルタ50、エバポレータ60、ヒータコア70等)が設けられる。
【0026】
ブロワ40は、空調ケース10内に空気を導入する。このブロワ40から排出された空気は、導入通路31に設けられたフィルタ50を経由することで清浄化される。このフィルタ50の後段(下流側)には、冷凍サイクルの一部を成すエバポレータ60が設けられている。
【0027】
エバポレータ60は、空気と冷媒との間で熱交換して空気を冷却することによって冷風を生成する。このエバポレータ60及び上述したフィルタ50は、ブロワ40の下側位置において縦方向に並列配置されており、上下垂直位置から上側を下流側に少しずらし、下側を上流側に少しずらした傾斜縦方向に設定されている。この傾斜縦方向の設定により、導入通路31を通過する空気を取り込み易く、且つ、エバポレータ60の下部に余裕スペースを形成できる。
【0028】
エバポレータ60の下流側のうち画壁11の上側には、エバポレータ60を通過することにより生成された冷風が通過する冷風通路32が設けられる。この冷風通路32には、第1のミックスドア100(冷風側ミックスドア110)及び第2のミックスドア200が配設される。
【0029】
一方、エバポレータ60の下流側のうち画壁11の下側には、ヒータコア70を通過することにより生成された温風が通過する温風通路33が設けられる。この温風通路33には、第1のミックスドア100(温風側ミックスドア120)、ヒータコア70が順に配設される。なお、第1のミックスドア100及び第2のミックスドア200の詳細については、後述する。
【0030】
ヒータコア70は、エバポレータ60よりも空気の流れ方向の下流側に配設され、エバポレータ60を通過した空気(冷風)を加熱することによって温風を生成する。このヒータコア70には、エンジンやラジエータ等と連結される配管71が設けられる。また、ヒータコア70は、画壁11により一端側が支持され、フィルタ50及びエバポレータ60と同様に傾斜縦方向に設定されている。この傾斜縦方向の設定により、温風通路33を通過する空気を取り込み易く、且つ、ヒータコア70の下部に余裕スペースを形成できる。また、ヒータコア70は、空調ケース10の底内面を回り込んだ空気を下側から取り込むように配設される。これにより、温風通路33についても、下から上に向かって温風が流れる通路となる。
【0031】
(2)第1のミックスドア100及び第2のミックスドア200の構成
次に、上述した第1のミックスドア100及び第2のミックスドア200の構成について、図1〜図4を参照しながら説明する。なお、図4は、本実施形態に係る第1のミックスドア100及び第2のミックスドア200の一部を示す斜視図である。
【0032】
第1のミックスドア100及び第2のミックスドア200は、空気の温度等の性状(冷風及び温風の配分比率)を調整する。なお、この調整された空気は、それぞれの吹出口20(デフ吹出口DEF、ベント吹出口VENT及びフット吹出口FOOT)近傍に設けられるデフドア21、ベントドア22、フットドア23の開閉位置によって、それぞれの吹出口20から吹き出すようになっている。
【0033】
(2.1)第1のミックスドア100
図1〜図4に示すように、第1のミックスドア100は、エバポレータ60を通過して生成された冷風を吹出口20側とヒータコア70側とに分配する。この第1のミックスドア100は、冷風側ミックスドア110と、温風側ミックスドア120とによって構成される。
【0034】
冷風側ミックスドア110は、冷風通路32中に配設される。この冷風側ミックスドア110は、冷風通路32を閉じ状態として冷風を全てヒータコア70側へ導入する全閉位置(図2参照)、冷風通路32を開け状態として冷風を全て吹出口側へ導く全閉位置(図1参照)との間で回動する。具体的には、図4に示すように、冷風側ミックスドア110は、冷風通路32を開閉可能な板状の第1ドア本体111と、第1ドア本体111を回動させる回動支軸112とによって構成される。
【0035】
一方、温風側ミックスドア120は、温風通路33中に配設される。この温風側ミックスドア120は、冷風側ミックスドア110が全閉位置にあるとき、温風通路33を開け状態として冷風を全てヒータコア70側へ導く全開位置(図2参照)と、冷風側ミックスドア110が全開位置にあるとき、温風通路33を閉じ状態として冷風を全て吹出口側へ導く全閉位置(図1参照)との間で回動する。
【0036】
このような第1のミックスドア100(冷風側ミックスドア110及び温風側ミックスドア120)は、第2のミックスドア200と連動する。
【0037】
(2.2)第2のミックスドア200の構成
図1〜図4に示すように、第2のミックスドア200は、エバポレータ60を通過した冷風の流れ方向に沿って冷風を整流するとともに、ヒータコア70を通過した温風の流れ方向に対する交差方向に冷風を偏向する。
【0038】
この第2のミックスドア200は、冷風と温風とが混合するエアミキシング領域AMにおいて、冷風の流れ方向に沿った位置(図2参照)と、冷風の交差方向に沿った位置(図1参照)との間で回動するように配置される。
【0039】
第2のミックスドア200の一端は、第1のミックスドア100の一端に回動可能に支持され、第2のミックスドア200の他端は、空調ケース10内に形成される係止部12に係合しつつ該係止部12内で摺動する。具体的には、第2のミックスドア200は、冷風側ミックスドア110の一端(上端)に回動可能に支持され、冷風側ミックスドア110の回動に連動して回動する。
【0040】
このような第2のミックスドア200は、板状からなる複数のフラップ210と、フラップ210を並列多段状に支持する支持体220と、支持体220を回動させる回動支軸230と、空調ケース10内に形成される係止部12内で摺動する摺動支軸240とを有している。
【0041】
フラップ210は、図4に示すように、支持体220に対して所定角度αの傾きを有した状態で支持体220に固定されている。つまり、フラップ210は、エバポレータ60を通過した冷風を全て吹出口20側に導くフルクール時において、冷風の流れ方向に沿って並列状態で配置される。また、フラップ210は、ヒータコア70を通過した温風を全て吹出口20側に導くフルホット時において、温風の流れ方向に交差するように配置される。なお、所定角度αは、空調ケース形状、冷風通路等により個別に調整し設定できる。
【0042】
(3)第1のミックスドア100及び第2のミックスドア200の動き
冷風モード(フルクールモード)では、図1に示すように、冷風側ミックスドア110が全開位置で温風側ミックスドア120が全閉位置にある際、空気は温風通路33には流れず、冷風通路32のみを流れる。このとき、フラップ210のぞれぞれは、冷風の流れ方向に沿って配置されるため、冷風を吹出口20側に向かって整流する。
【0043】
逆に、温風モード(フルホットモード)では、図2に示すように、冷風側ミックスドア110が全閉位置で温風側ミックスドア120が全開位置にある際、空気は冷風通路32には流れず、温風通路33のみを流れる。
【0044】
そして、混合風モード(フルクールとフルホットとの中間モード)では、図3に示すように、冷風側ミックスドア110が中途位置にある際、第2のミックスドア200(フラップ210)も中途位置にある。これにより、冷風通路32を通過した冷風と温風通路33を通過した温風とは、第1ドア本体111とフラップ210との間等で混合し(混合風が生成され)、エアミキシング領域AMが形成される。このフラップ210のぞれぞれは、冷風の流れ方向に沿って配置されるとともに温風の流れ方向に交差するように配置されるため、冷風を温風側に向かって偏向する。
【0045】
その後、温度調整された空気は、それぞれの吹出口20(デフ吹出口DEF、ベント吹出口VENT及びフット吹出口FOOT)から吹き出す。この吹出口20の選択は、デフドア21、ベントドア22、フットドア23の開閉によって制御される。なお、この吹出口20の選択制御(=モード選択制御)については、公知(例えば、特開2009−6857号公報)のものである。
【0046】
(4)作用・効果
以上説明した本実施形態では、第2のミックスドア200は、エバポレータ60を通過した冷風の流れ方向に沿って冷風を整流するとともに、ヒータコア70を通過した温風の流れ方向に対する交差方向に冷風を偏向する。これにより、従来のようなバッフルを用いなくても、第2のミックスドア200により空気(冷風)の勢いの低下を低減させることができる。このため、冷風と温風とのエアミキシング性の向上を図ることができる。
【0047】
また、第2のミックスドア200は、エアミキシング領域において、冷風の流れ方向に沿った位置と、冷風の交差方向に沿った位置との間で回動するように配置される。これにより、第2のミックスドア200が冷風の流れ方向に沿った位置に配置される場合には、エバポレータを通過した冷風の流れ方向に沿って冷風を整流し、第2のミックスドア200が冷風の交差方向に沿った位置に配置される場合、温風の交差方向に冷風を偏向する。このため、冷風を整流する場合には、第2のミックスドア200に対する冷風の抵抗が高くなり過ぎない。従って、冷風が第2のミックスドア200を通過する際に騒音が発生しにくく、空調ケース10内において空気(冷風)の通過による騒音を確実に抑制できる。
【0048】
本実施形態では、第2のミックスドア200の一端が第1のミックスドア100の一端に回動可能に支持され、第2のミックスドア200の他端が空調ケース10内に形成される係止部12に係合しつつ該係止部12内で摺動する。これにより、第2のミックスドア200は、エアミキシング領域において、冷風の流れ方向に沿った位置と、冷風の交差方向に沿った位置との間で回動し易くなる。このため、冷風と温風とのエアミキシング性をより確実に向上させることができる。
【0049】
本実施形態では、第2のミックスドア200は、冷風側ミックスドア110の一端に回動可能に支持され、冷風側ミックスドア110の回動に連動して回動する。これにより、第2のミックスドア200が冷風側ミックスドア110と別の位置に配置される場合と比較して、第2のミックスドア200の配置箇所を敢えて確保する必要がなくなる。このため、空調ケース10の小型化をも実現できる。
【0050】
本実施形態では、第2のミックスドア200は、フラップ210と、支持体220とを有する。これにより、フラップ210により空気(冷風)の勢いの低下を低減させ易くなり、冷風と温風とのエアミキシング性の向上をさらに図ることができる。
【0051】
本実施形態では、フラップ210は、フルクール時において、冷風の流れ方向に沿って並列状態で配置され、フルホット時において、温風の流れ方向に交差するように配置される。これにより、フラップ210は、フルクール時では吹出口20に向けて冷風を案内し易くなる。このため、空気(冷風)の勢いの低下を低減させ易くなり、冷風と温風とのエアミキシング性の向上をさらに図ることができる。
【0052】
(5)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0053】
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。具体的には、自動車用空調装置1では、フィルタ50、エバポレータ60及びヒータコア70については、傾斜縦方向に設定されているものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図5に示すように、自動車用空調装置1Aでは、フィルタ50及びエバポレータ60については、垂直方向に設定されており、ヒータコア70については、下側を下流側に少しずらした傾斜縦方向に設定されている。このような自動車用空調装置1Aであっても、冷風と温風とのエアミキシング性の向上を図りつつ、空調ケース内において冷風の通過による騒音を抑制できる。
【0054】
また、第2のミックスドア200は、冷風側ミックスドア110の一端(上端)に回動可能に支持されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、冷風側ミックスドア110と別体に設けられていてもよい。この場合であっても、第2のミックスドア200は、冷風側ミックスドア110の回動に連動して回動することが好ましい。
【0055】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0056】
1,2…自動車用空調装置
10…空調ケース
11…画壁
20…吹出口
DEF…デフ吹出口
FOOT…フット吹出口
VENT…ベント吹出口
21…デフドア
22…ベントドア
23…フットドア
30…空気通路
31…導入通路
32…冷風通路
33…温風通路
40…ブロワ
50…フィルタ
60…エバポレータ
70…ヒータコア
100…第1のミックスドア
110…冷風側ミックスドア
111…第1ドア本体
112…回動支軸
120…温風側ミックスドア
200…第2のミックスドア
210…フラップ
220…支持体
230…回動支軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に導入された空気を車室内に向けて吹き出す吹出口が形成される空調ケースと、
前記空調ケース内に配設され、前記空気を冷却することによって冷風を生成するエバポレータと、
前記エバポレータよりも前記空気の流れ方向の下流側に配設され、前記エバポレータを通過した前記空気を加熱することによって温風を生成するヒータコアと、
を備える自動車用空調装置であって、
前記エバポレータを通過した前記冷風を前記吹出口側と前記ヒータコア側とに分配する第1のミックスドアと、
前記エバポレータを通過した前記冷風の流れ方向に沿って前記冷風を整流するとともに、前記ヒータコアを通過した前記温風の流れ方向に対する交差方向に前記温風を偏向する第2のミックスドアとをさらに備え、
前記第2のミックスドアは、前記冷風と前記温風とが混合するエアミキシング領域において、前記冷風の流れ方向に沿った位置と、前記冷風の交差方向に沿った位置との間で回動するように配置されることを特徴とする自動車用空調装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車用空調装置であって、
前記第2のミックスドアの一端は、前記第1のミックスドアの一端に回動可能に支持され、前記第2のミックスドアの他端は、前記空調ケース内に形成される係合部に係合しつつ該係合部内で摺動することを特徴とする自動車用空調装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の自動車用空調装置であって、
前記第1のミックスドアは、
前記冷風が通過する冷風通路を閉じ状態として前記冷風を全て前記ヒータコア側へ導入する全閉位置と、前記冷風通路を開け状態として前記冷風を全て前記吹出口側へ導く全開位置との間で回動する冷風側ミックスドアと、
前記冷風側ミックスドアが前記全閉位置にあるとき、前記温風が通過する温風通路を開け状態として前記冷風を全て前記ヒータコア側へ導く全開位置と、前記冷風側ミックスドアが前記全開位置にあるとき、前記温風通路を閉じ状態として前記冷風を全て前記吹出口側へ導く全閉位置との間で回動する温風側ミックスドアとによって構成され、
前記第2のミックスドアは、前記冷風側ミックスドアの一端に回動可能に支持され、前記冷風側ミックスドアの回動に連動して回動することを特徴とする自動車用空調装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の自動車用空調装置であって、
前記第2のミックスドアは、
複数のフラップと、
前記フラップを並列多段状に支持する支持体と
を有することを特徴とする自動車用空調装置。
【請求項5】
請求項4に記載の自動車用空調装置であって、
前記フラップは、
前記エバポレータを通過した前記冷風を全て前記吹出口側に導くフルクール時において、前記冷風の流れ方向に沿って配置され、
前記ヒータコアを通過した前記温風を全て前記吹出口側に導くフルホット時において、前記温風の流れ方向に交差するように配置されることを特徴とする自動車用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−240482(P2012−240482A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110252(P2011−110252)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】