説明

自動車道料金所の収受員昇降用の階段を有する地下人道およびトールアイランド

【課題】ETCシステムが設置され走行レーンを横断することなく、既設のトールブースおよび料金収受機器の設置位置や収受員の業務場所を変更することなく、トールアイランドへ安全に出入り可能とした地下人道を提供する。
【解決手段】自動車道の料金所の走行レーンの地下に設けた収受員通行用の地下人道3およびトールブースを有するトールアイランドにおいて、地下人道3を人道ボックス5から形成し、人道ボックス5上にトールアイランドを位置せしめ、人道ボックス5の直上のトールアイランドに通じる開口部8を設け、この開口部8に人道ボックス5から階段10を地下人道3から90°方向転換して昇降する踏面12aを有する狭小な面積の階段10を設け、ETCを設置したトールアイランドを含めて全てのトールアイランドへ地下人道3から安全に出入り可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は高速道路や自動車専用道路の料金所におけるトールブース(すなわち料金収受ブース)へ、収受員が安全に出入りするために自動車の走行レーンの地下を横断して設けられた地下人道から地上のトールブースを有するトールアイランドおよびETC(登録商標)システムの設置されたトールアイランドへ昇降する階段を有する地下人道およびトールアイランドに関する。
【背景技術】
【0002】
高速度道路などの自動車道路1には、走行距離に応じた料金を収受するため、料金所には、走行レーン2の側部にトールアイランド7が設けられ、このトールアイランド7に収受員が料金を収受するトールブースがある。このトールブースのあるトールアイランド7には、自動車の進入してくる方へ突出するコンクリート製プロテクター6が設置されており、いわゆる舟と称されるトールアイランド7となっている。このように複数のトールアイランド7の間に自動車の走行レーン2が設けられている。ところで、この料金所では、料金を収受するために収受員が自動車の走行レーン2を横切ってトールアイランド7のトールブースに出入りしたり、走行レーン2の地下を横切って設けた地下人道3から直階段11によりトールアイランド7に出入りするようになっている。
【0003】
すなわち、このような自動車道路1の料金所において、走行レーン2が往路側および復路側でそれぞれ1〜2車線と少なく、走行自動車の少ない道路では、料金の収受員は走行自動車の間隙を狙って走行レーン2を直接に横切ってトールアイランド7のトールブースへ出入りするものが多い。一方、高速度道路など、走行自動車の数も多く頻繁に走行するところでは、料金所における走行レーン2の数も多く、トールアイランド7およびトールブースの数も多い。このため収受員が自動車の走行間隙を狙って複数の走行レーン2を直接に横切ってトールアイランド7のトールブースへ出入りすることは大変に危険である。したがって、走行レーン2が例えば6車線以上あるような料金所では、収受員がトールアイランド7のトールブースへ出入りするために、走行レーン2の地下を横断する地下人道3を原則的に設け、トールブースのあるトールアイランド7へ階段例えば直階段11により昇降することが基準として策定されている。さらに、この基準では隣合う走行レーン2の2レーンからなる各トールアイランド7において、一つ置きのトールアイランド7毎に地下人道3からの階段を設けることが策定されており、階段の設けられているトールアイランド7へ地下人道3から出入りし、地下人道3からの階段のない隣のトールアイランド7へ出入りするために、直接に走行レーン2を横切って渡り、それぞれのトールアイランド7のトールブースへ出入りするものと策定されている。
【0004】
上記の地下人道3から一つ置きのトールアイランド7について、階段により出入りする従来の地下人道3と直階段11を模式的に示す図を図5および図6により説明する。図5は、従来のトールアイランド7の地下を横切る地下人道3から一つ置きのトールアイランド7に直階段11を設けたトールアイランド7を示す平面図である。この場合、トールアイランド7へ昇降する直階段11のないトールアイランド7へは隣のトールアイランド7から直接に走行レーン2の走行自動車の間を横切り、そのトールアイランド7へ出入りする。図6は、図5の地下人道3と直階段11の側部から見た側面図で、地下人道3をプレキャストコンクリートの人道ボックス5から形成し、直階段11の部分もプレキャストされたコンクリート直階段11aを連設して形成している。この地下人道3の地上部には、走行レーン2を走行してきた自動車がトールアイランド7へ誤って衝突しないように、先が舟の舳先形状をしたコンクリート製プロテクター6が配置されている。
【0005】
ところで、省人化を図り、さらに自動車の走行流れを阻害しないために、最近は高速度道路や自動車専用道路の料金所にETCシステムを設置し、しかも、走行レーン2の少ないところにも、ETCシステムを設置するようになってきている。このETCシステムでは、自動車はETCシステムの設置されているトールアイランド7をノンストップで通行可能であり、このETCシステムでは時速80km/hでも通過可能に設計されている。ところで、ETCシステムの設置された走行レーン2には、開閉バー7eが設けられており、ETCカードを搭載した自動車が通行する際に開閉バー7eが開いて走行可能となり、ETCカードを搭載していない自動車では、開閉バー7eは閉じたままで通行が阻止されている。したがってETCカードを搭載している自動車であっても、開閉バー7eが開かない場合には、開閉バー7eの手前で安全に走行停止できるように、走行速度20km/h以下での走行が推奨されている。しかし、一般には40km/h程度で走行する自動車も多いので、ETCシステムに何らかのトラブルが生じたときには、このETCシステムの開閉バー7eの設置された走行レーン2のトールアイランド7に、トールブースの収受員が開閉バー7eの設置されているトールアイランド7へ行く必要がある。このために収受員がETCシステムの設置されたトールアイランド7へ走行レーン2を直接に横切って行くこととなり、走行中の自動車に轢かれる危険が高い。また、ETCシステムあるいはその開閉バー7eにトラブルが発生しなくとも、安全な地下人道3などのないところでは、収受員がトールブースへ勤務するためにETCシステムの走行レーン2を直接に横切って行くこととなり、極めて危険であった。
【0006】
そこでETCシステムの設置された走行レーン2のある料金所における事故対策として、全く地下人道3の設けられていない場所に、地下人道3を設け、既に地下人道3が設けられているところであっても、全てのトールアイランド7すなわちETCシステムの開閉バー7eの設置されたトールアイランド7に地下人道3から行けるように策定されている。
【0007】
ところで、このようなトールアイランド7にトールブースを有して料金を徴収する有料道路には、道路整備特別措置法による東名、名神、首都、阪神等の高速道路があり、その他に地方自治体の運営する一般道路がある(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、従来のこれらの道路では、上記したようにETCシステムの併置された料金所における、収受員のトールブースへの出入りの安全面が充分に配慮されているとは必ずしも言えるものではなかった。
【0008】
【非特許文献1】マイペディア99、日立デジタル平凡社、1999年発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、有料道路出入口のうち、ETCシステムを設置しているような箇所のトールアイランド7のトールブースへ、収受員が出入りする際の安全を図ることを目的とするものである。ところで、従来の有料道路出入口では、既設のトールアイランド7に収受員が出入りする際の安全を図るために、地下人道3から直階段11をトールアイランド7に設けている。この場合、地下人道3から出入りする直階段11が各走行レーン2の一つ置きのトールアイランド7に設けられており、この直階段11のあるトールアイランド7のトールブースから直階段11のないトールアイランド7へ直接に走行レーン2を横切って出入りしなければならない。しかしながら、ETCシステムを設置した料金所が増えてくると、このETCシステムを設置したトールアイランド7へ走行レーン2を横切って出入りすることは、上記したように極めて危険である。そこで、地下人道3から全てのトールアイランド7に直接に階段10を設けて出入りできるものとする必要がある。このために地下人道3が設置されてない箇所に地下人道3を新設する場合には、地下人道3から直接に全てのトールアイランド7に階段10を設けるものとする。一方、既に地下人道3が既にあり、一つ置きのトールアイランド7に直階段11を有する従来の地下人道3の場合は、この従来の地下人道3を利用して、直階段11の設けられてないトールアイランド7に直接に昇降できる新規の階段10を設け、全てのトールアイランド7に安全に行けるものとし、さらにそのトールアイランド7上を通ってETCシステムの開閉バー7eの駆動部7dへ行けるものとする。また各トールアイランド7に設置されているETCシステムの駆動部の開閉バー7eを駆動するための電源用電線の配管13をトールアイランド7の階段10の側部に設置可能とする。
【0010】
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、通行料金の収受員がETCシステムが設置されたトールアイランド7において、走行レーン2を横断することなく、トールブースのあるトールアイランド7あるいはETCシステムの開閉バーの設置されたトールアイランド7へ安全に出入り可能とするために、既設の奥行きの短い幅の狭い面積の限られたトールブースの料金収受機器の設置位置や収受員の業務場所に影響を与えることなく、階段により昇降して出入りできるものとした地下人道3並びに収受員の詰めるトールブースとETCシステムの開閉バーの駆動部を有するトールアイランド7を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための本発明の手段は、請求項1の発明の手段では、高速道路やその他の自動車道1の料金所の走行レーン2の地下に設けた収受員通行用の地下人道3およびトールブースを有するトールアイランド7における手段であり、地下人道3の上にトールアイランド7を位置するものとし、地下人道3直上のトールアイランド7に地下人道3から開口された開口部8を設ける。さらに地下人道3に階段10の階段基部10aを設置し、トールアイランド7の直下の地下人道3から90°方向転換して開口部8へ昇降する階段10を接続したことを特徴とする自動車道料金所の収受員昇降用の階段10を有する地下人道3およびトールアイランド7である。
【0012】
請求項2の発明の手段では、地下人道3は走行レーン2に対して直角方向に形成され、地下人道3の直上のトールアイランド7に設けた開口部8は地下人道3の横幅およびトールアイランド7の横幅により規定される大きさ内に開口されている。この開口部8の片半内に階段10の地上出口10dを有し、トールアイランド7の直下の地下人道3から開口部8へ90°方向転換して昇降する階段10は開口部8の片半の幅および地下人道3の高さにより規定される大きさ内に収まる横幅12bと踏み代12cと蹴上げ高さ12dの複数段の踏面12aからなる階段10となっている。さらに、階段10の地上出口10dはトールアイランド7上に形成の側壁14bを有する天蓋14で被われ、この天蓋14の側壁14bの側部の開口部8の残りの片半上にETCシステム用の通信線および電力線などの配管13を挿通した挿通孔7bを有する蓋板7aを設けて収受員通行用の通路としてトールアイランド7に掛け渡したことを特徴とする、請求項1の手段の自動車道料金所の収受員昇降用の階段10を有する地下人道3およびトールアイランド7である。
【0013】
請求項3の発明の手段では、開口部8の片半の幅および地下人道3の高さにより規定される大きさ内に収まる横幅12bと踏み代12cと蹴上げ高さ12dの複数段の踏面12aからなる階段10は、収受員が昇降可能な50〜90cmの細幅の階段10からなっている。さらに、地下人道3内の階段10の側部に収受員が通行可能な50〜90cmの細幅の通路3aを有することを特徴とする、請求項2の手段の自動車道料金所の収受員昇降用の階段10を有する地下人道3およびトールアイランド7である。
【0014】
請求項4の発明の手段では、収受員が昇降可能な50〜90cmの細幅の階段10は、複数段の踏面12aからなる階段基部10aとこの階段基部10aに続く三角形状の複数段の踏面12aにより昇段しながら90°方向転換する階段折曲部10bとこの階段折曲部10bに続く複数段の踏面12aからなる階段上部10cとからなるものである。さらに、この階段基部10aはそれらの踏面12aのうちトールアイランド7の開口部8の端部8bの直下の手前に位置する階段基部10aの踏面12aと地下人道3の天井3bとの間に収受員昇降用の所定の建築限界を確保すると共にこの階段上部10cの下部10fを収受員通行用の高さからなる所定の建築限界を確保した空間としているたことを特徴とする、請求項3の手段の自動車道料金所の収受員昇降用の階段10を有する地下人道3およびトールアイランド7である。なお、本願の発明における所定の建築限界の「所定」とは、道路整備特別措置法およびその規則などの法令に定めた規定をいう。
【0015】
請求項5の発明の手段では、複数段の踏面12aからなる階段基部10aは、地下人道3内の通路3aの側部に沿って配設の上下水道や通信線あるいは電力線などの配管13を覆う基壇9上に設置されていることを特徴とする、請求項4の手段の自動車道料金所の収受員昇降用の階段を有する地下人道3およびトールアイランド7である。
【0016】
請求項6の発明の手段では、収受員通行用の地下人道7は、プレキャストコンクリート製の人道ボックス5の連接体5fからなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項の手段の自動車道料金所の収受員昇降用の階段10を有する地下人道3およびトールアイランド7である。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明の手段では、地下人道上の直ぐ上にトールアイランドを位置するように設け、地下人道に地下人道方向に昇段する階段基部を設置し、この階段を地下人道直上のトールアイランドに接続する開口部を設け、この開口部によりトールアイランドへ90°方向転換して昇降する階段を接続するのみで、地下人道から階段のないトールアイランドに階段を容易に設置できる。この階段は走行レーンの方向に延在する導入路を地下人道から設け、この導入路から直行して昇段する直階段をトールアイランドに接続し、トールブースへ出入り可能とした従来の階段と異なって、本発明の階段は階段基部の昇段方向を地下人道の進行方向に設け、その後90°方向転換してさらに昇段して規定高さの地下人道を昇段してトールアイランドの開口部へ至る階段であるので、地下人道から開口部に至る階段の占める地下人道上の面積は、地下人道の幅内に余裕をもって収まる大きさの横幅および縦幅のコンパクトな狭小に形成されている。このように階段の設置面積が狭小であるので、予め階段を軽合金などのユニット化した狭小な階段に形成して置くことができ、したがって階段の設置が迅速かつ容易にできて、工期を短く工事費の大幅なコストダウンが図れる。
【0018】
第2の発明の手段では、地下人道は走行レーンに対して直角方向に形成し、上記手段の地下人道の横幅およびトールアイランドの横幅により規定される大きさの開口部内に開口され、この開口部の片半内に階段の地上出口を設け、トールアイランドの直下の地下人道から開口部へ90°方向転換して昇降する階段を開口部の片半の幅および地下人道の高さにより規定される大きさ内に収まる大きさの横幅と踏み代と蹴上げ高さからなる踏面を有する階段としているので、地下人道直上のトールアイランドの横幅により規定される大きさ内の開口部に上記手段のコンパクトな面積の階段の地上出口を設けることができる。さらに、階段の地上出口は側壁を有する天蓋で被われているので風雨を防ぐことができ、しかも、面積のコンパクトな階段の地上出口の階段の側部の半体の開口部の部分に蓋板を被せて地下人道に吹き込む風雨を防ぎ、この蓋板の内部に挿通孔を有し、この挿通孔にトールアイランド後端部に設置するETCシステム用の通信線および電力線の配管を挿通しているので、容易にETCシステムの開閉バーの駆動部へ通信線および電力線を配設でき、さらにETCシステムに異常のある時は、収受員が蓋板上を通路としてETCシステムの開閉バーの駆動部へ走行レーンへ降りることなくトールアイランド上を通って安全に行ける。
【0019】
請求項3の発明の手段では、上記の階段は規定の踏み代と蹴上げ高さの大きさの踏面からなる階段からなっており収受員が昇降可能な50〜90cmの細幅であるので、地下人道を拡幅する工事をしなくとも、地下人道内の階段の側部に収受員が通行可能な50〜90cmの細幅のさらに奥へ行くための通路を容易に設けることができる。
【0020】
第4の発明の手段では、さらに階段を階段基部とそれに続く三角形状の複数段の踏面により昇降する90°方向転換する階段の折曲部として通常の踊り場をなくし、さらに階段上部に接続し、それらの階段基部の踏面のうちトールアイランドの開口部の端部の直下の手前に位置する階段基部の踏面と地下人道の天井との間に収受員昇降用の所定の建築限界を確保すると共にこの階段上部10の下部を収受員通行用の高さからなる所定の建築限界を確保した空間としているので、階段の段数を増やすことなく、規定の地下人道の高さに適合してトールアイランドに昇降しうる所定の建築限界からなる階段とすることができ、さらに階段上部の下部を収受員が通行できる十分な高さを有する空間を所定の建築限界の地下人道の高さ内に確保することができる。
【0021】
さらに第5の発明の手段は、階段基部は地下人道内の通路の側部に沿って配設の上下水道や通信線あるいは電力線の配管を覆う基壇の上に設置されているので、上下水道や通信線あるいは電力線の配管が地下人道内の通路の側部に沿って配設されていても、これらに阻害されることなく、収受員の通路の側部に50〜90cmの細幅の階段を設けることができ、既存の地下人道の幅を拡張する必要もない。
【0022】
第6の発明の手段では、地下人道を工場生産のプレキャストコンクリート製人道ボックスの連接体から形成することにより、新規に地下人道を設ける場合に施工期間が短縮できるので、施工による交通障害を最小限に抑えることができ、コストダウンを図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して以下に説明する。先ず、図1は、地下人道3を新設する場合、新設の地下人道3上に位置するように、トールアイランド7の先端部を延長するため、先端部に設けたコンクリート製プロテクター6を前方へ移動する状態を説明する平面図である。図2において、(a)は地下人道3上に延長したトールアイランド7に階段10の設置のために開口部8を設けた状態を示す平面図で、(b)は該開口部8に階段の折曲部10bを有する階段10を設けた状態を示す平面図である。図3において、(a)は地下人道3と階段の基部10aと階段の折曲部10bと階段の上部10cとトールアイランド7の入口である階段10の地上出口10dと側壁14bを省略した天蓋14をトールアイランド方向に見た立面図で、(b)は地下人道3と通路3aと階段の基部10aと階段の折曲部10bと階段の上部10cとトールアイランド7と側壁14bを省略した天蓋14並びにETCシステムの開閉バー7eを有する駆動部7dを地下人道3の階段の基部10aから見た正面図である。図4は本発明における地下人道3の通路3aの側部の配管13を覆う基壇9と階段基部10aと階段折曲部10bと階段上部10cからなる本発明における階段10の構造と人道ボックス5と開口部8を示す実施例の図で、(a)は基壇9と階段10の部分を立体的に示す斜視図で、(b)は基壇9と階段10の部分を示す平面図である。図5において、(a)は料金所における地上のトールアイランド7と走行レーン2の部分と地下人道3の部分で、中央の人道ボックス5に本発明における階段10および天蓋14を設けた模式的断面図で、(b)は天蓋14を省略した本発明の階段10およびETCシステムの開閉バー7eの駆動部7dを有するトールアイランド7と走行レーン2を模式的に示す平面図である。図6は料金所における従来の地上のトールアイランド7と走行レーン2の部分と人道ボックス5からなる地下人道3の部分で、中央の人道ボックス5に設けた直階段11および天蓋14および側壁14bを設けた模式的断面図である。図7は従来の一つ置きに直階段11を設けたトールアイランド7を有する全トールアイランド7と走行レーン2を示す模式的平面図である。図8は従来の地下人道の人道ボックスと直階段の側部とトールアイランドを示した模式的側面図である。
【0024】
高速道路やその他の自動車道路1の料金所の走行レーン2の地下に設けた収受員通行用の従来の地下人道3および料金を収受するトールブースを有するトールアイランド7において、本発明の手段として地下人道3の上にトールアイランド7を位置するものとし、さらに地下人道3からの本発明における階段10を地下人道3の直上のトールアイランド7に設けるものとして改良する場合あるいは収受員の通行用の地下人道3を有しない場合に地下人道3を新設する場合を例として説明する。この場合、これらの工事を全ての走行レーン2およびトールアイランド7で一斉に実施するのではなく、自動車の走行を妨害しないように、隣接の2つの走行レーン2のみを、例えば安全のために矢板で囲って工事をするものとし、工事が終了すると、次の走行レーン2とトールアイランド7に工事を移行するものとする。
【0025】
先ず、工事では、図1に示すように、設置されている地下人道3あるいは設置する地下人道3の直上のトールアイランド7の先端部に従来から設置されているコンクリート製プロテクター6を除去し、この除去したコンクリート製プロテクター6を地下人道3の位置より前方に移設してETCシステムの開閉バー7eおよびその駆動部7dを設置する箇所を設けるためにトールアイランド7を延ばすものとする。このコンクリート製プロテクター6を有するトールアイランド7の長さは凡そ4mとする。次いで、この地下人道3の直上をトールアイランド7の先端部分とし、この部分に、図2の(a)に示すように、地下人道3からの階段10を設置するための開口部8を掘削して設ける。この場合、階段10を収受員が2段上ると収受員の頭部が地下人道3の天井3bの頂版の法令による所定の建築限界の高さに達することとなるので、この部分の上部から開口する開口部8を天井3bの頂版に設けるものとする。さらに、図2の(b)に示すように、地下人道3のトールアイランド7の直下の開口部8の手前の部分に地下人道3の方向に昇降する階段基部10aを設置して階段10とする。この階段基部10aの踏面12aに続いて地下人道8と平行な方向から90°方向転換する踏面12aからなる階段折曲部10bを接続し、さらに階段上部10bの踏面12aを接続して、開口部8を経てトールアイランド7へ昇降する階段10とする。この場合、階段10の素材はアルミ合金製あるいはスチール製からなるものとする。一箇所のトールアイランド7への階段10の設置が終わると、次のトールアイランド7へ工事を移動して工事を繰り返すことで、交通を妨げることなく、全てのトールアイランド7に地下人道3からの階段10を設置する。
【0026】
以上のように工事して、本発明の第1の手段の自動車道路1の料金所の走行レーン2の地下に設けた収受員通行用の地下人道3およびトールブースを有するトールアイランド7において、地下人道3の直上にトールアイランド7を位置するものとし、さらに上記したように地下人道3の直上のトールアイランド7に開口部8を開け、地下人道3に階段基部10aを設置し、直下の地下人道3から直上のトールアイランド7の開口部8へ90°方向転換して昇降する階段10を接続することで、料金を収受する収受員が全て階段10を昇降して行き来することで安全に往来できる地下人道3およびトールアイランド7を形成した。
【0027】
上記において、例えば、地下人道3は、幅は内径2.0m、厚さ20cm、高さ2m50cmのコンクリート壁を有し、地下人道3の内部に所定の建築限界2m10cmの高さの通路3aを形成する。地下人道3の路面は55cmの基礎工の上に厚さ30cmのコンクリート層から形成され、天井3bの頂版は厚み22cmのコンクリート層からなり、さらに走行レーン2の路面高さまで33cmの路盤が設けられている。さらに走行レーン2の路面から20cmの高さのトールアイランド7が形成されている。トールアイランド7の幅は規定の2m20cmである。したがって、この規定の幅の中に細幅の階段10を構築する開口部8を設けるものとするので、開口部8の幅は1m70cmで、奥行きは2.0mとする。本発明における細幅の階段10は本実施例では90cmの細幅とする。ところで、階段10はアルミ合金製あるいはスチール製で狭小な面積内にコンパクトにユニット化して形成しているので、階段10をユニットの要部にばらしてユニット部品として搬送し、現地で組み立てることにより、迅速に階段10が構築できる。この階段10の階段折曲部10bの部分はその下部をアルミ合金製あるいはスチール製の階段の支柱12により支持されている。
【0028】
階段10を設置するときは、下部の階段基部10aを地下人道3内の片側に寄せて設置する。これらの階段10の踏面12aの奥行きである踏み代12cは例えば21cmで、1段の蹴上げ高さ12dは例えば20cmとする。上記したように、階段10の階段基部10aを2段上がり3段目の踏面12aになると収受員の頭部が地下人道3の所定の建築限界の高さの天井3bの頂版に達することとなる恐れが生じる。そこで階段10の階段基部10aの2段目の踏面12aの真上の天井3bの頂版を過ぎた3段目の踏面12aの上部をトールンアイランド7の面まで開口して、図2に示すように、開口部8とする。この開口部8を図2の(a)に示し、階段10を図2の(b)に示す。この図2の(b)に見られるように、階段10の下部の階段基部10aは2段目の踏面12aの奥の直上は開口部8の端部となっており、その位置から階段基部10aをさらに3段上がると直角三角形の踏面12aの2段からなる階段折曲部10bにより90°方向転換し、さらに階段上部10cの4段を上がると走行レーン2の路面高さとなる。さらに階段上部10cの残りの2段を上りきるとトールアイランド7の入口である地上出口10dに到達する。さらに階段基部10aの階段の側部10eには、地下人道3の方向に延びる細幅の通路3aとなっており、さらに奥のトールアイランド7の下部に行き来できる構造となっている。この通路3aの幅は75cmからなり、階段上部10cの下を通る。したがってこの通路3aの高さは、収受員の背丈に余裕高さを設けて通路3aの高さの建築限界を上記のように、所定の建築限界の2m10cmとしている。図3に示すように、階段10を有する開口部8は雨天時に雨が入らないように、前部が高さ0.5mで後部が建築限界の高さ2.5mの支柱14aで支持したポリカーボネート製の天蓋14とその両側壁が形成され、料金収受用のトールブースまでトールアイランド7の上が覆われている。この天蓋14の横幅はトールアイランド7の2m20cmの幅から定まる建築限界の1m70cmに形成されている。
【0029】
この地下人道3は、走行レーン2に対して直角方向に形成されており、地下人道3の直上のトールアイランド7に向けて設けた開口部8はトールアイランド7の横幅により規定される大きさ内に開口されている。この開口部8の片半内に、階段10の地上出口10dを設け、トールアイランド7の直下の地下人道3から開口部8へ90°方向転換して昇降する階段10が設けられている。上記のように、階段10の地上出口10dの部分には、トールアイランド7上に形成した天蓋14を有して雨を防いでいる。この天蓋14の側壁14bの側部14cである開口部8の残りの半体部分には、トールアイランド7の上に掛け渡した蓋板7aを載置して地下人道3に風雨を防いでいる。この蓋板7a内には、ETCシステムの開閉バー7eの駆動部7d用の通信線および電力線の配管13を挿通した挿通孔7bを有している。さらに、ETCシステムに異常のある時は、収受員が蓋板7aの上を通路としてETCシステムの開閉バー7eの駆動部7dへ走行レーン2へ降りることなくトールアイランド7上を通って安全に行けるものとしている。
【0030】
他の実施の形態を図4に示す。図4は地下人道3をプレキャストコンクリート製の複数個の人道ボックス5を連接した連接体5fから構築している。この場合、人道ボックス5の通路3aの脇の床5aに上下水道や電力ケーブルを収納した配管13あるいは側壁5bに通信ケーブルなどを収納した配管13を設けた例である。この図4に示す人道ボックス5は階段10を設置している部分のものである。したがって、この部分はトールンアイランド7の直下の部分である。この人道ボックス5は側壁5bの下部の床5aの面との角部に内部に突出するハンチの無いタイプで、上部の天井5cの角にのみ内部に突出するハンチ5dを有し、床5aの片隅に排水用の溝5eを有するものである。この人道ボックス5の大きさは、高さ3m、幅2m40cm、側壁5bの厚さ20cm、床5aの厚さ30cm、天井5cの頂版の厚さ22cmである。図4の(a)に示すように、人道ボックス5は幅2m、奥行き1m70cmの開口部8を天井5cの頂版に有する。階段10を設置するために、通路3aの側部を通る配管13を被蓋して保護する初段の高さ15cmと2段目の高さ25cmの基壇9をスチール板あるいはアルミ合金板から形成し、この基壇9へ通路3aの側から上がるものとする。さらに、アルミ合金製あるいはスチール製の階段10の下部である階段基部10aを基壇9に固定し、3段からなる階段基部10aに続く2段からなる90°折れる階段折曲部10bを設け、さらに階段折曲部10bに続く6段の階段上部10cを設け、この階段上部10cの上部の4段で開口部8を経て路面高さに達し、最後の2段でトールンアイランド7に上りきるものとする。この階段10における階段折曲部10bの部分は床5aからアルミ合金製あるいはスチール製の支柱10bで支持されている。
【0031】
さらに、人道ボックス5内の階段上部10cの踏面12aを2段上がった階段上部10cの踏面12aの下部は、上記したように人道ボックス5内の幅75cmの通路3aとなっており、この通路3aから基壇9の初段目へ入り、下部に配管13を有する2段目の踏み代で地下人道3の方向に90°方向転換して、階段基部10aへ上る。この2段からなる基壇9を有する場合は、階段基部10aの初段の踏面12aの直上は図4に示すように既に開口部8となっている。ところで、走行レーン2の地下の部分の地下人道3を形成する人道ボックス5は開口部8を持ったプレキャストコンクリートからなり、工場生産して施工場所に運び込んで施工できるので、地下人道3を極めて短時間で施工できるメリットがある。また既に人道ボックス5が設置されており、これにトールアイランド7に上る階段10を追加する場合にも、本発明では、人道ボックス5の天井5cの頂版に開口部8を設けて本発明における階段10を設置すれば、容易に階段10を有するトールアイランド7を完成することができるので、本発明の手段によるときは工期が短く、コストダウンにつながる。したがって、地下人道3を新設する場合には極めて有利である。また、階段10はアルミ合金製あるいはスチール製のユニットからなるものであるので、組立てが現地で容易に迅速に行え、かつ、階段10の設置する面積が狭小であるので、従来のコンクリート製の直階段11に比して低コストで設置できる。したがって、本発明は開閉バー7eを有するETCシステムの設置されたトールアイランド7を含めて全てのトールアイランド7に地下人道3から階段10を設け、全てのトールアイランド7にETCシステムの開閉バー7eおよびその駆動部7dを設けるので、地下人道3から全てのトールアイランド7へ階段10により、ETCシステムを有する箇所のトールアイランド7へ、システムに異常を感じた収受員が地下人道3から容易に安全に行くことができ、さらにこのトールアイランド7上を通ってETCシステムの開閉バー7eの駆動部7dへ安全に行ける。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】地下人道を新設する場合、新設の地下人道上に位置するように、トールアイランドの先端部を延長するために、コンクリート製プロテクターを前方へ移動する状態を説明する平面図である。
【図2】(a)は地下人道上に延長したトールアイランドの先端部に階段の設置のために開口部を設けた状態を示す自動車の平面図で、(b)は開口部に階段の折曲部を有する階段を設けた状態を示す自動車道の平面図である。
【図3】(a)は地下人道と階段の基部と階段の折曲部と階段の上部とトールアイランドの入口部をトールアイランド方向に見た立面図で、(b)は地下人道と通路と階段の基部と階段の折曲部と階段の上部とトールアイランドを地下人道の階段の基部から見た正面図である。
【図4】本発明における地下人道の通路の側部の配管を覆う基壇と階段の基部と階段の折曲部と階段の上部からなる本発明における階段の構造と人道ボックスと開口部を示す他の実施例の図で、(a)は基壇と階段の部分を立体的に示す斜視図で、(b)は基壇と階段の部分を示す平面図である。
【図5】従来のトールアイランドの地下を横切る地下人道から一つ置きのトールアイランド方向に直階段をトールアイランドに設けた平面図である。
【図6】従来の人道ボックスからなる地下人道と直階段の側部から見たトールアイランドの側面図である。
【図7】従来の直階段を上から見たトールアイランドと走行レーンの模式的平面図である。
【図8】従来の地下人道の人道ボックスと直階段の側部とトールアイランドを示した模式的側面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 自動車道
2 走行レーン
3 地下人道
3a 通路
3b 天井
4 導入路
5 人道ボックス
5a 床
5b 側壁
5c 天井
5d ハンチ
5e 溝
5f 連接体
6 コンクリート製プロテクター
7 トールアイランド
7a 蓋板
7b 挿通孔
7c 後端部
7d 駆動部
7e 開閉バー
8 開口部
8b 端部
9 基壇
10 階段
10a 階段基部
10b 階段折曲部
10c 階段上部
10d 地上出口
10e 階段側部
10f 下部(階段上部の)
11 直階段
11a コンクリート直階段
12 階段の支柱
12a 踏面
12b 横幅
12c 踏み代
12d 蹴上げ高さ
13 配管
14 天蓋
14a 支柱
14b 側壁
14c 側部(天蓋の)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速道路やその他の自動車道路の料金所の走行レーンの地下に設けた収受員通行用の地下人道およびトールブースを有するトールアイランドにおいて、地下人道の上にトールアイランドを位置せしめ、地下人道直上のトールアイランドに開口部を設け、地下人道に階段の基部を設置し、直下の地下人道から90°方向転換して開口部へ昇降する階段を接続したことを特徴とする自動車道料金所の収受員昇降用の階段を有する地下人道およびトールアイランド。
【請求項2】
地下人道は走行レーンに対して直角方向に形成され、地下人道直上のトールアイランドに設けた開口部は地下人道の横幅およびトールアイランドの横幅により規定される大きさ内に開口され、該開口部の片半内に階段の地上出口を有し、トールアイランド直下の地下人道から開口部へ90°方向転換して昇降する階段は開口部の片半の幅および地下人道の高さにより規定される大きさ内に収まる横幅と踏み代と蹴上げ高さの複数段の踏面からなる階段を有し、かつ、該階段の地上出口はトールアイランド上に形成の側壁を有する天蓋で被われ、該天蓋の側壁の側部の開口部の残りの片半上にETCシステム用の通信線および電力線などの配管を挿通した挿通孔を有する蓋板を設けて収受員通行用の通路としてトールアイランドに掛け渡したことを特徴とする請求項1に記載の自動車道料金所の収受員昇降用の階段を有する地下人道およびトールアイランド。
【請求項3】
開口部の片半の幅および地下人道の高さにより規定される大きさ内に収まる横幅と踏み代と蹴上げ高さの複数段の踏面からなる階段は、収受員が昇降可能な50〜90cmの細幅の階段からなり、地下人道内の階段の側部に収受員が通行可能な50〜90cmの細幅の通路を有することを特徴とする請求項2に記載の自動車道料金所の収受員昇降用の階段を有する地下人道およびトールアイランド。
【請求項4】
収受員が昇降可能な50〜90cmの細幅の階段は、複数段の踏面からなる階段基部と該階段基部に続く三角形状の複数段の踏面により昇段しながら90°方向転換する階段折曲部と該階段折曲部に続く複数段の踏面からなる階段上部とからなり、該階段基部はそれらの踏面のうちトールアイランドの開口部の端部直下の手前に位置する階段基部の踏面と地下人道の天井との間に収受員昇降用の所定の建築限界を確保すると共に該階段上部の下部を収受員通行用の高さからなる所定の建築限界を確保した空間としたことを特徴とする請求項3に記載の自動車道料金所の収受員昇降用の階段を有する地下人道およびトールアイランド。
【請求項5】
複数段の踏面からなる階段基部は、地下人道内の通路の側部に沿って配設の上下水道や通信線あるいは電力線などの配管を覆う基壇上に設置されていることを特徴とする請求項4に記載の自動車道料金所の収受員昇降用の階段を有する地下人道およびトールアイランド。
【請求項6】
収受員通行用の地下人道は、プレキャストコンクリート製の人道ボックスの連接体からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動車道料金所の収受員昇降用の階段を有する地下人道およびトールアイランド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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