説明

自動配置切除装置及びその使用方法

【課題】患者の消化管内で切除構造を支持するのに適した支持構造を含む切除装置及びそれを使用する方法が提供される。
【解決手段】支持構造は、長手方向軸及び回転支持体116を有する長手方向支持体114を含む。回転支持体は、長手方向支持体の長手方向軸に対して切除構造の一部が回転することを可能にするよう適応されている。切除構造は、電極配列132を含む。支持構造として例えば内視鏡又はカテーテルを含む細長い部材に切除装置100がベース112により取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消化管における切除組織用の医療装置及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの食道の基本的な機能は、口から胃への固体及び液体の栄養の輸送である。食道は、順行性方向(胃の方へ)において生理的な蠕動を提供して、本来の連係して働く収縮性のある能力を持っている。さらに、食道は、酸で引き起こされる損傷からその内面を保護するとともに、食物の通過を円滑にするようにpH中性の粘液を分泌する。胃は、口から摂取した食物及び液体、胃内面からの酸及び酵素、肝臓及び膵臓からの胆汁及び酵素の混合物を含む。下部食道括約筋及び横隔膜の筋肉は、食道と胃との交点にてバルブとして作用し、食道への胃内容物の逆流を防いでいる。この下部食道括約筋は、副交感神経の活動又は食物の塊がその弛緩をもたらすまで、通常閉じられたままであり、食物が食道から胃へ進むことを可能にする。胃の、特に胃の心臓の部分の膨満は、下部食道括約筋の急な弛緩をもたらし、吐き出す事象(げっぷ)に帰着する。ある食物、薬物、及びカフェインあるいはテオフィリン(キサンチン)を含む飲料は、下部食道括約筋を不適当に弛緩し、引き続いて逆流をもたらすかもしれない。老化又は裂孔ヘルニアに関する解剖の影響は、また患者に逆流をもたらすかもしれない。
【0003】
下部食道括約筋の異常な機能を持つ患者は、嚥下障害(飲み込み困難)、逆流による胸やけ、胸痛の症状、及び他の関連する症状を有するかもしれない。慢性胃食道逆流の共通の兆候は、びらん性食道炎である。有害な胃内容物に慢性的にさらされたとき、食道内面は、炎症、びらん、又は潰瘍になる破壊を起こすかもしれない。慢性GERD及び結果的なびらん性食道炎は、バレット食道又は腸化生として知られている癌の前段階に導くことができ、それは上皮細胞における損傷に関連した遺伝子の変化である。
【0004】
例えば、同時係属中で、一般に所有されている、2004年1月9日に出願された米国出願番号10/754,445に記載されているように、拡張可能な電極支持体を有する処置カテーテルは、高周波(RF)エネルギーを用いて、食道の異常な粘膜層を切除するために食道の周辺の領域を処置するために使用可能である。成功した場合、処置は、バレット食道の特徴である変質形成及び損傷した上皮細胞が実質的に存在しない通常の粘膜層の再生に結果としてなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、いくつかの実例において、そのような高周波切除処置は、完全に成功しないかもしれず、また、一若しくは複数の異常な粘膜領域が残るかもしれない。それらの局所領域は、粘膜病の局所領域を切除するのにより適した表面領域を有して設計された装置でアプローチすることができる。さらに、バレット食道を有する何人かの患者は、周辺の切除よりもむしろ局所的切除に適するであろう非周辺的なあるいは非常に短い区域の、非常に限定された病気で基準線に存在するかもしれない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一般的に、一つの態様において、本発明は、切除構造、及び患者の消化管内で切除構造を支持するのに適した支持構造を含む切除装置、並びにその使用方法を特徴とする。切除装置の支持構造は、一つの実施形態において、長手軸を有する長手方向支持体及び回転支持体を含む。回転支持体は、切除構造の少なくとも一部分を長手方向支持体の長手軸に対して移動可能とするのに適している。
【0007】
本発明の実施は、以下の特徴の一つ若しくは複数を含むことができる。回転支持体は、少なくとも一つの自由度で回転するように適応可能である。別の実施において、回転支持体は、少なくとも2つの自由度で回転するように適応可能である。さらに実施において、回転支持体は、少なくとも3つの自由度で回転するように適応可能である。
【0008】
回転支持体は、回転運動の範囲を制限するのに適した止め具部材を含むことができる。回転支持体は、移動抵抗体を含むことができる。一つの実施において、移動抵抗体は、バネを含んでいる。別の実施において、回転支持体は、切除構造の回動を防ぐのに適したロックを含んでいる。
【0009】
一つの実施において、切除装置は、切除構造の回動を防ぐのに適したアクチュエーター機構を含んでいる。
【0010】
支持構造は、内視鏡を含むことができる。あるいは、支持構造は、カテーテルを含む。
【0011】
切除構造は、少なくとも一つの電極を含むことができる。一つの実施において、複数の切除構造が支持構造に支持される。別の実施において、切除構造は、低温組織切除ができる。
【0012】
一般的に、別の態様において、本発明は、消化管内へ切除構造を進めること、消化管内で支持構造で切除構造を支持すること、少なくとも切除構造の一部を支持構造から離して組織表面の方へ回転させること、及び組織表面を切除するために切除構造を活性化することの工程を含む、消化管における組織を切除する方法を特徴とする。
【0013】
本発明の実施は、組織切除方法を含むことができる。ここで回転工程は、切除構造と組織表面との間に力を加えることを含む。別の実施において、切除構造を進める工程は、複数の切除構造を進めることを含み、また、回転工程は、複数の切除構造の一つ以上と組織表面との間に力を加えることにより、複数の切除構造の一つ以上の少なくとも一部を回転することを含む。
【0014】
回転工程は、少なくとも一つの回転軸周りに切除構造の少なくとも一部を回転することを含むことができる。一つの実施において、回転工程は、少なくとも2つの回転軸周りに切除構造の少なくとも一部を回転することを含む。さらに実施において、回転工程は、少なくとも3つの回転軸周りに切除構造の少なくとも一部を回転することを含む。
【0015】
一つの実施において、組織の除去方法は、切除構造の回転範囲を制限することをさらに含む。別の実施において、上記方法は、切除構造を回転させる間、切除構造の回転に抵抗することをさらに含む。さらなる実施において、上記方法は、切除構造の回転を防ぐために切除構造をロックすることをさらに含む。
【0016】
切除構造を進める工程は、消化管へ内視鏡を進めることを含むことができる。一つの実施において、支持工程は、内視鏡で切除構造を支持することを含む。
【0017】
一つの実施において、切除構造は、少なくとも一つの電極を含み、また、活性化する工程は、電極に電気的エネルギーを供給することを含む。別の実施において、切除構造は、凍結切除が可能であり、また、活性化する工程は、切除構造に非常に冷やされた液体を供給することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、移動の自由度を図示する座標軸を含む、本発明の切除装置の図である。
【図2A】図2Aは、回転支持体、及び移動の自由度を図示する座標軸を含む構造支持の断面図である。
【図2B】図2Bは、別の回転支持体、及び移動の自由度を図示する座標軸を含む構造支持の断面図である。
【図2C】図2Cは、別の回転支持体、及び移動の自由度を図示する座標軸を含む別の回転支持体の図である。
【図2D】図2Dは、別の回転支持体を含む別の構造支持の図である。
【図2E】図2Eは、別の回転支持体、及び移動の自由度を図示する座標軸を含む別の構造支持の図である。
【図3A】図3Aは、本発明の切除装置の図である。
【図3B】図3Bは、別の回転支持体の図である。
【図3C】図3Cは、別の回転支持体の図である。
【図4A】図4Aは、消化管環境において内視鏡と組み合わされた本発明の切除装置の図である。
【図4B】図4Bは、内視鏡と組み合わされた、リップ部品及び電極トレースを含む本発明の切除装置の図である。
【図4C】図4Cは、内視鏡と組み合わされた、リップ部品、ポート及びラインを含む本発明の切除装置の図である。
【図5】図5は、内視鏡と組み合わされた、2つの回転支持体、2つの長手方向支持体及び牽引切除構造を有する構造支持を含む本発明の切除装置の図である。
【図6】図6は、移動抵抗体を含む本発明の切除装置の図である。
【図7A】図7Aは、別の移動抵抗体を含む本発明の切除装置の図である。
【図7B】図7Bは、別の移動抵抗体を含む本発明の切除装置の図である。
【図8A】図8Aは、別の移動抵抗体を含む本発明の切除装置の図である。
【図8B】図8Bは、別の移動抵抗体を含む本発明の切除装置の図である。
【図9A】図9Aは、別の移動抵抗体を含む本発明の切除装置の図である。
【図9B】図9Bは、別の移動抵抗体を含む本発明の切除装置の図である。
【図10】図10は、別の移動抵抗体を含む本発明の切除装置の図である。
【図11A】図11Aは、別の移動抵抗体を含む本発明の切除装置の図である。
【図11B】図11Bは、別の移動抵抗体を含む本発明の切除装置の図である。
【図11C】図11Cは、別の移動抵抗体を含む本発明の切除装置の図である。
【図12】図12は、アクチュエーター機構を含む本発明の切除装置の図である。
【図13】図13は、内視鏡に接続された本発明の切除装置の図である。
【図14A】図14Aは、切除装置の別の実施形態における図である。
【図14B】図14Bは、切除装置の別の実施形態における図である。
【図14C】図14Cは、図14A及び図14Bに示される切除装置の端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の新しい特徴は、添付の請求範囲にて詳細に述べられている。本発明の特徴及び利点のより良い理解は、本発明の原理が利用されている例示的な実施形態を述べた以下の詳細な説明、及び添付の図面を参照することで得られるであろう。
【0020】
消化管内で切除構造を支持するのに適した支持構造を含む切除装置を用いて、患者又は対象物の消化管内の組織を除去するための装置及び方法が提供される。切除装置の支持構造は、長手軸を有する長手方向支持体、及び回転支持体を含む。回転支持体は、長手方向支持体の長手軸に対して切除構造の少なくとも一部を回転可能にするのに適している。本発明に従って、切除装置は消化管へ進められる。随意に、切除装置は、内視鏡の遠位端で支持することができる。切除構造は、組織表面の方へ回転して偏向可能であり、また、切除構造は、組織表面を切除するために活性化可能である。消化管内で、種々の大きさの組織表面部位は、選択的にここに記述された装置及び方法を用いて切除することができる。
【0021】
この開示の目的のため、口と肛門との間に延在し消化及び排泄の機能をする粘膜及び筋肉から構成されたいずれかの部分は、消化管の一部として考えられる。そのような部分は、食道、胃、小腸、中垂、大腸、結腸、直腸及び肛門管を含むが、これらに制限されない。
【0022】
図1に示されるように、一般に、本発明の切除装置100は、切除構造130を支持可能な支持構造111を含む。回転支持体116は、長手軸を有し切除構造130を支持する長手方向支持体114を含んでいる。回転支持体116は、長手方向支持体の長手方向軸に関して長手方向支持体114の少なくとも一部の回転を可能とし、切除構造130の少なくとも一部の回転を可能とするように適応されている。回転支持体によって可能になるような長手方向支持体114の回転は、例えば回転、旋回、ひねり、スピンを含むが、これらに限定されない。長手方向支持体114は、支持体114の長手方向軸から離れて、長手方向軸の方へ、又は長手方向軸に沿って回転可能であるということが構想される。
【0023】
長手方向構造114x、114y、114zの座標軸の表示により図1に示されるように、回転支持体116は、長手方向の構造114がいくつかの可能な自由度の中で移動することを可能にすることができる。図1及びその後の図では、各軸周りに可能な回転を示す単一の方向のみが示されているが、与えられた軸の周りに双方向に回転するよう示すことができる。
【0024】
図1及び図2Aに示すように、長手方向構造114が3つの自由度で自由に回転することができるように、回転支持体116は、構成され配置することができる。3つの自由度は、3つの軸、x、y及びzで示されている。これら及び後の図において、「yes」とラベルされた軸は、軸周りに双方向の自由な移動を示し、一方、「no」とラベルされた軸は、軸周りへの自由な移動はない。回転支持体は、少なくとも一つの自由度で、あるいは少なくとも2つの自由度で、あるいは少なくとも3つの自由度で回転するよう適合可能であることが構想される。切除装置は、x、yあるいはz面(図示せず)に沿った長手方向構造の直線的な運動又は浮動的な運動を提供するように構成され及び配置可能であろうことがさらに構想される。例えば、スポンジあるいは弾力のある長手方向支持体は、y方向(図示せず)における直線的な圧縮を見込むであろう。
【0025】
図2Bから図2Eに示すように、長手方向構造114が2つの自由度で自由に回転することができるように、回転支持体116は構成され配置されることができる。図2B及び図2Dの実施形態において、長手方向支持体は、x及びy軸の周りに回転自由であるが、z軸周りには回転しない(図2Bにおける座標軸図、及び図2Dに示されるx及びy軸を参照)。図2C及び図2Eに示される実施形態では、長手方向支持体は、x及びz軸の周りに回転自由であるが、y軸の周りには回転しない。
【0026】
図5に示すように、構造支持111は、各々が切除構造130を支持する2つの長手方向支持体114と連結された単一の回転支持体116を含むことができる。長手方向支持体114及びベース112は、シリコーン又はウレタン、これらに限定されないが、を含む弾性材料で作製することができる。切除装置100は、また、一つ以上の回転支持体114と連結された2つ以上の長手方向支持体114を含むことができることが構想される。
【0027】
回転支持体は、図1、図2A、図2B、図2D、図2E、図3A〜図3C、図4A〜図4B、図5、図6、図7A〜図7B、図8A〜図8B、図9A〜図9B、図10、図11A〜図11C、図12、及び図14A〜図14Cに示すように、さらにベース112部分を含むことができる。詳細後述するように、一般的に、ベース112は、これらに限定されないが例えば内視鏡又はカテーテルを含む細長い部材に切除装置100を取り付け又は接続する手段を提供するように構成され配置される。
【0028】
回転支持体116の部分は、長手方向支持体114に回転支持体116を接続し長手方向支持体114に回動を提供するための多くの形状及び構造のうちのどれでも含むように構成され配置されることができる。可能な形状は、これらに限定されないが、例えば円形形状、一定直径の筒状形状、可変直径の筒状形状、及び扁長の球体形状を含む。可能な構造は、これらに限定されないが、例えば一つ以上のヒンジ、バネ、自在継ぎ手、ボールジョイント、又はピン継手を含む。
【0029】
図1、図2A、図4B及び図5に示すように、一つの実施形態において、回転構造116は、長手方向支持体114における例えばソケットのような凹部又はレシーバーへセット可能であるボール形状の部分を含むことができる。別の実施形態では、図2Bに示すように、回転構造116は、突出部117を有するボール形状の部分を含むことができる。この実施形態において、突出部117は、長手方向支持体114のスロット115に係合し、それにより、z軸は除いてx及びy軸の2つの軸にて長手方向支持体114の回転を可能にする。スロット115と長手方向支持体の突出部117との係合は、z軸周りの長手方向支持体114の回転を禁止する。
【0030】
別の実施形態において、図2Cに示されるように、回転支持体116は、細長い球体あるいはフットボール形状の部分を含むことができる。座標軸の図に示されるように、図2Cに示された実施形態は、2つの軸に関して長手方向支持体114(図示せず)の回転を可能にするよう構成され配置される。示されるように、長手方向支持体114(図示せず)の回転が、y軸ではなくx及びz軸にて生じることができる。
【0031】
図2Dに示されるように、さらに別の実施形態において、支持構造111は、ピン119及び回転支持体116を有する自在継ぎ手を含むことができる。示されるように、この実施形態は、x及びy軸にて、長手方向支持体114(図示せず)の回転を可能にする。2つ以上の自在継ぎ手が支持構造111に含むことができることが構想される。図2Eに示されるように、さらに別の実施形態において、回転構造116はバネを含むことができる。座標軸の図で示されるように、この実施形態は、y軸ではなくx及びz軸にて長手方向支持体114の回転を可能にする。
【0032】
図3A〜図3C、及び図14A〜図14Cに示されるように、他の実施形態において、支持構造116は、ピン119を備える構造を含むことができる。ピン119は、長手方向支持体114、回転支持体116、及び幾つかの場合には支持構造111のベース112(あるいはベース112の接続エレメント120)の一部を貫通することができ、それにより長手方向支持体114と回転支持体116とが接続されることが構想される。長手方向支持体114によるピン119周りの回転は、長手方向支持体の長手方向軸に関して長手方向支持体114の少なくとも一部分の回転を提供する。長手方向支持体(図示せず)に回動を提供するために、一つ以上の自在継ぎ手が一つ以上のピン119と関連して用いることができることが構想される。
【0033】
図14A〜図14Bに示されるように、ここでは支持構造116がピン119を備え、ピン119周りへの長手方向支持体114の回転は、中立位置(図14Aを参照)から傾いた又は角度をなした位置(図14Bを参照)までの長手方向支持体114の運動範囲を含むことができる。中立及び角度をなした位置の両方は、組織表面の処置に有益である。低姿勢を含む中立位置は、切除装置100の導入、及び/又は処置部位からの切除装置100の除去に特に有用である。
【0034】
図3Bに示されるように、別の実施形態では、ピン119を含むことに加えて、回転支持体116は、ピン119に連結されたバネ124(例えばトーションバネ)を含む。図3Cに示されるように、さらに別の実施形態では、ピン119を含むことに加えて、回転支持体116は、ピン119に連結された移動抵抗体123を含んでいる。この実施形態において、移動抵抗体123は、ピン119の偏向又は回転の期間後に所望位置へピンを戻すことができる、多くの抵抗性の又は弾性的な物質あるいは構造のうちのいずれからでも構成することができる。適当な構造は、スリーブ又はブッシングに限定されないが、例えばシリコーンのスリーブあるいはブッシングを含む。ピンを包むか接合することに適している材料は、これらに限定されないが、シリコーン、ウレタンあるいは他のポリマーを含む。他の適当な材料及び構造は、当業者によく知られている。
【0035】
構造支持は、ここに記述された回転支持体116の形状のいずれかの組合わせを含むことができることが構想される。
【0036】
回転支持体のベースは、切除装置を支持する多くの方法のいずれでも構成され配置されることができる。いくつかの実施形態において、ベースは、切除装置の構造支持を、従来の内視鏡のような別の装置に接続するように構成され配置される。例えば、ベースは、内視鏡の外側表面に切除装置を取り付けるように構成され配置されることができる。あるいは、ベースは、内視鏡の内面、外側又は内側形状に、あるいは上述のいずれかの組合わせに切除装置を取り付けるように構成され配置されることができる。いくつかの実施形態において、図1、図3B〜図3C、図4A〜図4B、図6、図7A〜図7B、図8A〜図8B、図9A〜図9B、図10、図11A〜図11B、及び図12に示されるように、ベース112は、シースとして構成され配置される。特定の実施形態において、ベース112は、エラストマーのシースを含んでいる。他の実施形態において、図3A、及び図14A〜図14Cに示されるように、ベース112は、接続エレメント120及びバンド又は帯金126を含んでいる。一つの実施形態において、帯金126は、エラストマーの帯金である。接続エレメント120は、ベース112と長手方向支持体114との間で取付点を設けることができる。帯金126は、接続エレメント120に取り付け可能であり、例えば内視鏡を取り付ける方法として機能することができる。接続エレメント120及び帯金126は、同じ材料か、もし望むならば異なる材料から作製可能である。図14A〜図14Cに示すように、接続エレメント120は、長手方向支持体114まである角度のついた先細りの、あるいは傾斜した部分を含むことができる。図示するように、一つの実施形態において、接続エレメント120の先細り部は、ベース112の接続エレメント120においてピン119の反対側に位置する。接続エレメント120の先細り部は、切除装置100の取り外しを容易にするように機能することができる。
【0037】
図4B〜図4Cに示されるように、一つの実施形態において、回転支持体のベース112は、止め具又はリップ機能113を含んでいる。リップ113は、示されるように内視鏡127のようなアクセサリ装置に関して切除装置100を位置決めすることを援助するように設計された止め具として機能するように構成され配置されることができる。図4B〜図4Cに示される実施例では、回転支持体116のベース112内への内視鏡127の位置決めは、リップ113によって制限することができる。リップ113は、内視鏡の遠位端128に対して切除装置100の遠位の/近位の位置を割り出す又は制限することができる。
【0038】
一般的に、一つの態様において、図6、図7A〜図7B、図8A〜図8B、図9A〜図9B、図10、図11A〜図11C、及び図12に示すように、切除装置100は、移動抵抗体123を含んでいる。一般的に、移動抵抗体123は、長手方向支持体114の回動を受動的に調整するように構成され配置される。移動抵抗体123の利点は、切除装置100の外形の減少を含む。対象における所望の処理領域へ切除装置100をアクセスする、及び/又は、上記処理領域から切除装置100を除去するとき、縮小された外形は、有効である。例えば、縮小された外形の切除装置100は、消化管1とのアクセス又は除去のときに装置100が突っかかったり、引っかかったりすることがほとんど又は全くなくなる。長手方向支持体114が一つ以上の自由度により通常、自由に移動することができるので、移動抵抗体123は、移動の自由を調整するように都合良く役目を果たすことができる。いくつかの実施形態において、移動抵抗体123は、長手方向支持体114に取り付けられた、又は連結された弾性の又は非常に弾性の構造を含む。他の実施形態では、移動抵抗体123は、長手方向支持体114の回動を調整する種々の他の機械的手段を含んでいる。
【0039】
図6に示されるように、一つの実施形態において、移動抵抗体123は、バネを含んでいる。上記バネは、片持ちばね(図6に示されるような)、板ばね、トーションバネ、あるいは多くのばねタイプのいずれかで、それらのすべては当業者に良く知られているものでありえることが構想される。一つの実施形態において、図6に示すように、片持ちばねの移動抵抗体123は、取り付けられた内視鏡127の遠位端128に関して長手方向支持体114の回動を制限するように構成され配置されることができる。図示するように、長手方向支持体114は、移動抵抗体123のバネにより、通常、中立位置に維持される。本明細書で用いられる「中立位置」は、長手方向支持体114の長手方向軸が内視鏡127、あるいは切除装置100に接続される他の細長い部材の長手方向軸と実質的に平行であることを意味する。一つの実施形態において、移動抵抗体123は、回転支持体のベース、あるいは帯金、あるいはベースの接続エレメントに付けられ、その結果、それは、長手方向支持体に予備張力を与え、取り付けられた内視鏡127(図示せず)に対してその最低の外形位置に切除装置を固定する。
【0040】
移動抵抗体は、長手方向支持体の回動に抵抗し、かつ、さらに、中立位置から離れた長手方向支持体の回転の片寄りを力で引き起こすことを可能にするように、構成され配置されることができる。そのような力がない状態では、移動抵抗体のいくつかの実施形態は、中立位置へ長手方向支持体を戻すよう意図されている。移動抵抗体は、移動の一つ以上の軸の周りへの長手方向支持体の回動に影響するように構成され配置可能であることが構想さされる。更に、移動の異なる軸(例えばx、y及びz軸;図1を参照。)は、移動抵抗体によって異なり影響可能であることが構想される。
【0041】
別の実施形態において、図7A〜図7Bに示すように、移動抵抗体123は、電気導電性ワイヤ133を包封するシースを含むことができる。シースは、これに限定されないが、例えばシリコーンを含む、弾性の又は超弾性の材料で作製可能である。図7Bにて詳細に示されるように、シース移動抵抗体123は、一端にて長手方向支持体114に接続される。シース移動抵抗体123の反対側端部は、例えばスリーブ138により(図7A〜図7B)、内視鏡127又は他の細長い構造に関する位置に固定可能である。図7A〜図7Bに示される実施形態において、電気的な導電性ワイヤ133は、ジグザグ・パターンを含むことができる。そのパターンは、移動抵抗体123が延長される場合、電気的な導電性ワイヤ133の延長を可能にすることができる。
【0042】
さらに別の実施形態において、図8A〜図8Bに示すように、移動抵抗体123は、長手方向支持体114と連結されるか、又は長手方向支持体114に取り付けられる弾性の又は超弾性の材料のバンドを含むことができる。弾性の又は超弾性の適切な材料は、これに限定されないが、シリコーンを含むことができる。図8Aに図示されるように、一つの実施形態において、移動抵抗体は、内視鏡127上にくくられ、長手方向支持体114の一部を内視鏡127に接続する弾性の又は超弾性の材料のバンドである。図8Bに図示されるように、別の実施形態において、移動抵抗体123は、長手方向支持体114の一部を内視鏡127に結び付ける弾性の又は超弾性の材料のバンドである。図8Bに示される実施例において、バンドは、内視鏡127に取り付けられたスリーブ138により内視鏡127に接続される。
【0043】
さらに他の実施形態において、図9A〜図9Bに示されるように、移動抵抗体123は、長手方向支持体114の一部に取り付けられた支え又はつなぎ綱を含むことができる。支え又はつなぎ綱の一部は、内視鏡127に取り付けられたスリーブ138により内視鏡127に接続することができる。この実施形態の移動抵抗体123は、切除装置100に取り付けられた内視鏡127の遠位端128が、比較的真っ直ぐな構成において配置される場合、一般に中立位置に長手方向支持体114を維持することができる。内視鏡の遠位端128が図9Bに示されるように偏向される場合、移動抵抗体123の支え又はつなぎ綱は、それ自身上でたるみ又はひだをつけられることができる。一つの実施形態において、支え又はつなぎ綱の移動抵抗体123は、たるんだとき、アコーディオンのようにそれ自身上に崩れるように構成及び配置される(図9Bを参照)。
【0044】
別の実施形態において、図10に示されるように、移動抵抗体123は、フィンガー121部分、及び凹部122部分を含むことができる。フィンガー121は、スリーブ138又は他の取付手段により内視鏡127に接続されることができ、凹部122は、長手方向の支持体114に含まれることができる。図10に示されるように、フィンガー121は、凹部122に係合することができ、それにより、切除装置100に取り付けられた内視鏡127の遠位端128が、比較的直線状の構成にて配置されるとき、長手方向支持体114を中立位置に維持する。内視鏡の遠位端128の片寄り、あるいは長手方向支持体114の部分への力の適用が、凹部122からフィンガー121を可逆的に解放可能なように、フィンガー121及び凹部122は、構成され配置されることができる。一旦、フィンガー121が解放されれば、長手方向支持体114は、回動が自由になる。フィンガー121及び凹部122の再接続は、もう一度、長手方向支持体114を中立位置に維持する。
【0045】
図11A〜図11Cに示されるように、一つの実施形態において、移動抵抗体123は、長手方向支持体114の一部に接続されたスカートか一続きのもので、接続している内視鏡127の長さの下端に隣接して延在する。この実施形態において、移動抵抗体123のスカート又は一続きのものは、長手方向支持体114の近位端上に若しくは支持体114の近位端に並置して適合する。この配置は、長手方向支持体144の近位部分に滑らかな外形を提供する。そのような外形は、組織表面に支持体114が突っかかったり、引っかかったりする危険性を低減することにより、処置領域からの切除装置100の除去を容易にするのに有益である。移動抵抗体123は、図11A又は図11Bに示すように長手方向支持体114に取り付けることができるか、あるいは取り付けることができない。
【0046】
上述した移動抵抗体の一つ以上は、長手方向支持体の回動を調整するために単一の切除装置に含むことができることが構想される。また、内視鏡、カテーテルあるいは他の構造への移動抵抗体の一部の取り付けは、スリーブの取り付けに加えて多数の取り付け手段のうちのいずれかを含むことができることが構想される。例えば、移動抵抗体は、内視鏡かカテーテルの内側又は外側に、あるいはその形状(図示せず)に取り付けることができる。
【0047】
一般的に、一つの態様において、切除装置100は、長手方向支持体114の回転を積極的に調整するためにアクチュエーター機構134を含んでいる(例えば図12を参照)。一般的に、アクチュエーター機構134は、回転が抑制された長手方向支持体114と回転が自由な支持体114との間で相互交換を可能にする。図12に示されるように、一つの実施形態において、アクチュエーター機構134は、スイッチ135及び支え136又はつなぎ綱を含む。アクチュエーター機構134のスイッチ135は、切除装置100に接続された内視鏡127に連結することができる。支え136は、長手方向支持体114の一部に接続することができる。実施形態において、図12に示すように、アクチュエーター機構134のスイッチ135は、スリーブ138によって内視鏡に取り付けられており、示されるように、位置「A」及び「B」を含む一つ以上の位置にて位置することができる。位置「A」へのアクチュエーター機構134の切り替えは、支え136を引き、その結果、長手方向支持体114の回転の自由を固定する。さらに、位置「A」にあるとき、支持体114は、中立位置に維持される。位置「B」へのアクチュエーター機構134の切り替えは、支持体114を引く支え136をゆるめ、それにより支持体114の回転運動を可能にする。
【0048】
別の実施形態において、アクチュエーター機構は、吸引ライン(図示せず)を含む。この実施形態において、長手方向支持体の回動は、吸引により調整され、該吸引は、真空が作用したときに支持体の近位部分が固定可能なように構成され配置された吸引ラインにより提供される。真空がない状態で、長手方向支持体は、自由に回転することができるだろう。
【0049】
さらに別の実施形態において、長手方向支持体の回動が電磁石(図示せず)によって調整されるように、アクチュエーター機構は構成され配置される。この実施形態において、電磁石力の適用は、長手方向支持体を中立位置に固定させる。従って、長手方向支持体に電磁石力が作用しないとき、支持体は、自由に回転することができる。
【0050】
一つの実施形態において、切除構造は、高周波エネルギーを含むエネルギーを消化管の組織に配送するように構成され配置された電極構造である。そのような切除構造は、複数の電極を含むことができることが構想される。例えば、2つ以上の電極が切除構造の一部になりえる。エネルギーは、粘膜あるいは粘膜下の組織の切除を達成する適切なレベル、あるいは筋組織を実質的に保存しながらそれらの組織に損傷をもたらす適切なレベルにて配送可能である。本明細書で使用される、用語「切除」は、組織又は細胞壊死をもたらす組織への熱的損傷を意味する。熱的損傷は、組織の加熱又は冷却(例えば冷凍する)ことにより達成することができる。典型的には、本実施形態における切除は、冒された食道の部分から、異常な粘膜、例えば異常な柱状に成長したもの、を含む処置領域の粘膜内層全体を取り除き、かつ正常な粘膜内層の再増殖を可能にすることを目指している。好都合に、そのようなアプローチが使用されるときには、回復はより迅速になり、組織における狭窄形成は最小限になる。また、電極切除エレメントは、切除の間、組織が電極に貼り付くのを防止するため、長手方向支持体及び/又は電極を通して食塩水のような液体が浸透することを可能にするであろう。
【0051】
高周波エネルギーは、切除用エネルギーの一つの有利な形態であるが、例えば、マイクロ波エネルギー、又は赤外線あるいは紫外線光のような光子のあるいは放射の源で、後者は改善された感光剤とあるいは結合するようなものを含む他の有利なエネルギーでもよいことが認識される。光子源は、半導体のエミッター、レーザー、及び他のそのような源を含むことができる。本発明の別の実施形態では、切除エネルギー媒体として、加熱可能な液体、又は液体窒素、フレオン(登録商標)、非CFCの冷媒、もしくはCOのような冷却媒体を利用することができることが、また認識される。熱い又は冷たい液体又は気体を使用した切除に関し、切除システムは、患者の外側から、加熱/冷却バルーン又は他のエレメントへ、そして再び患者の外側へ戻す、加熱/冷却媒体を循環する手段を必要とするであろうことが構想される。凍結外科のプローブにおける循環媒体用手段は、切除技術において良く知られている。適切な循環手段は、例えば、また、参考として本明細書に組み込まれる、Dobak、IIIの米国特許6,182,666号、Liの米国特許6,237,355号、及びKovalcheck等の米国特許6,572,610号に開示されている。
【0052】
切除構造は、双極性の形態において高周波エネルギーを配送することができる構造に位置された双極性の電極配列を含むことができる。あるいは、切除構造は、例えば腰のくびれである対象の皮膚に一般的に置かれた戻り電極と組み合わされた高周波出力供給によりエネルギーが与えられる単極の電極構造を含むことができる。いずれの場合も、高周波エネルギーは、筋組織を実質的に加熱あるいは損傷せずに粘膜又は粘膜下の組織に損害を与えるあるいは切除するために、非常に短い時間にわたり高エネルギー束で配送可能である。ここで、切除構造は、複数の電極を含み、電極の一つもしくは複数は、双極又は単極になり得る。双極及び単極の電極の組み合わせが構想される。
【0053】
図1A、図3A、図4A、図5、図6、及び図7A〜図7Bに示すように、切除構造130は、形状及びサイズに関して多くの内のいずれにおいても構成され配置されることができる。図3A、図4A、図7A〜図7B、及び図14A〜図14Cに示すように、切除構造130は、電極配列132を含むことができる。切除構造130が電極配列132を含む場合、その配列は、典型的には、約0.5cmから9.0cmまでの範囲の面積を有する。典型的な配列形状は、正方形、長方形、円形、又は楕円形を含むであろう。一つの実施形態において、切除構造101は、2.5cmの面積を有する。別の実施形態では、切除構造101は、4cmの面積、及び2cm×2cmの寸法を有する。
【0054】
長手方向支持体は、切除構造を支持するように構成され配置される。支持体114は、切除構造130にて生成された高エネルギー束に耐えるいずれかの適当な材料で作製することができる。長手方向支持体は、柔軟であり、2つの軸の周りに回転を可能とし、それにより、さらに長手方向軸(図示せず)から離れた長手方向支持体の回転を可能にする。一つの実施形態において、長手方向支持体は、例えばシリコーンである弾性材で作製される。他の適切な材料は、例えば、ウレタンあるいは他のポリマーを含む。
【0055】
図3A、図4A〜図4B、図7A〜図7B、及び図14A〜図14Cに示すように、切除装置100は、電源に切除構造130を接続するために導電性ワイヤ133を含む電気的接続をさらに含むことができる。導電性ワイヤ133は、単一のワイヤー、あるいは切除構造を通って制御されたエネルギー配送を提供するために必要であるように複数のワイヤーを含むことができる。一つの実施形態において、導電性ワイヤ133は、リッツ線のような低い電気損失ワイヤーを含む。図4A〜図4Bに示すように、導電性ワイヤ133は、長手方向支持体114の遠位端上に巻かれ又は引かれ、支持体114の下を通過することができる。このような配置は、拘束又は回動の制限を防ぐことにより長手方向支持体114の回動を有利に容易にする。
【0056】
図4A〜図4B、及び図14A〜図14Cに示すように、切除装置100は、さらに一つ以上の電極トレース131を含むことができる。一つ以上の電極トレース131は、長手方向支持体114の少なくとも一部に従うように構成され配置されることができる。一つ以上のトレース131は、電極132及び導電性ワイヤ133と電気的に連通することができる。トレース131は、電極132あるいは別のエレメントの伸張になりえることが構想される。図14A〜図14Cに示されるように、一つ以上のトレース131は、接続点140によって導電性ワイヤ133と電気的に連通することができる。示されるように、接続点140は、ベース112の接続エレメント120に取り付けることができる。導電性ワイヤ133は、接続点140により切除装置に着脱可能に接続することができ、ここで、接続点は、例えば電気的なコネクターとして構成され配置される。
【0057】
本発明の別の実施形態では、切除エネルギー媒体として、加熱可能な液体、又は液体窒素、フレオン(登録商標)、非CFCの冷媒、もしくはCOのような冷却媒体を利用することができることが、また認識される。熱い又は冷たい液体又は気体を使用した切除に関し、切除システムは、患者の外側から加熱/冷却バルーン又は他のエレメントへ、そして再び患者の外側へ戻す加熱/冷却媒体を循環する手段を必要とするであろうことが構想される。凍結外科のプローブにおける循環媒体用手段は、切除技術において良く知られている。適切な循環手段は、例えば、また、参考として本明細書に組み込まれる、Dobak、IIIの米国特許6,182,666号、Dobak、III等の米国特許6,193,644号、Liの米国特許6,237,355号、及びKovalcheck等の米国特許6,572,610号に開示されている。
【0058】
従って、別の実施形態において、図4Cに示されるように、切除構造130は、組織の凍結切除のために構成され配置されることができる。一般的に、長手方向支持体114は、冷却液体の配送用の導管又は支持体を設けることで切除構造130を支持又は切除構造130として働くことができ、組織の凍結切除を可能にする。一つの実施において、切除構造は、液体あるいは気体で満たされることができるバルーンもしくはバルーンのようなもの(図示せず)になりえる。別の実施において、切除構造は、長手方向支持体の一部又は全ての表面を覆い、液体又は気体にて満たされることができるカプセルあるいは箱状のエレメントを含む(図示せず)。一つの実施において、長手方向支持体は、液体又は気体を受け入れるため部分的にあるいは完全に中空である。切除構造又は長手方向支持体は、熱伝導を容易にするため熱的に伝導性の材料を含むことができ、組織の凍結切除を達成することが構想される。切除構造又は長手方向支持体は、その表面の全て又は一部を覆う熱的に伝導性の形状を含むことができるということが構想される。例えば、適切な熱的に伝導性の形状は、これらに限定されないが、ステンレス鋼又はチタンを含む薄い金属面でありえる。
【0059】
切除構造又は長手方向支持体は、いくつかの実施において、加熱又は冷却媒体(図示せず)に対して浸透性があるように構成され配置されることができるということが構想される。そのように、上記媒体は、切除構造又は長手方向支持体を通って浸出することができ、それにより上記媒体と組織表面との間で直接に接触を可能とするということが構想される。
【0060】
図4Cに示されるように、切除構造130への冷却液の配送は、一つ以上のライン144、及び任意に一つ以上のポート142を含むことができる。ライン144は、非常に冷やされた液体を含む液体を輸送するように構成され配置されることができる。ポート142は、ライン144と切除構造130との間の接続を提供することができる。ポート142は、長手方向支持体142に直接連結することができる。一つの実施形態において、ポートは、長手方向支持体に連結され、支持体(図示せず)に関連した切除構造に導管を提供する。あるいは、ポート142は、直接、切除構造(図示せず)に連結することができる。いくつかの実施において、ライン144は、ポート142により長手方向支持体114に接続される(図4C参照)。ポートは、圧力差の達成によりしばしば成し遂げられる気体又は液体における相変化を生成するのに有用なノズル又は他の形状を含むことができる。
【0061】
例により、図4Cに図示されるように、一つの実施は、ポート142と連結された2つのライン144を含んでいる。そのライン144は、両方とも、取り付けられた内視鏡127(図4Cに示される図では、一つのみのライン144が内視鏡127に可視的に延在する)に延在する。ポート142は、長手方向支持体114の下側に直接接続され、長手方向支持体114の上部表面は、切除構造130として作用する。長手方向支持体114は、加熱された液体又は冷却液体のような媒体の進入を可能にするように、実質的に中空であることができる。
【0062】
任意的に、装置のラインは、切除構造への及び切除構造からの流体の流れのための戻り回路を設けることができる。例えば、図4Cに示されるように、一つの実施では、2つのライン144及び2つのポート142が使用され、一つのライン144が流入ラインとして働き、他方は流出ラインとして働くことができる。
【0063】
使用において、加熱され、又は非常に冷やされた液体は、流入ラインを通って切除構造に配送可能であり、それによって、切除構造を作動させる。非常に冷やされた液体での切除構造の作動は、液体から気体への相変化の発生、つまり圧力低下(所定の理想気体法則:PV=nRT)のような圧力差の生成による発生を含むことができる。組織の凍結切除は、非常に冷やされた切除構造にて組織に接続されることにより達成することができる。任意的に、加熱された又は非常に冷やされた液体剤の連続した流れは、切除構造への及び流出ラインによる切除構造から出る液体剤の連続又は不連続な流れにより、切除構造において維持することができる。もし望むならば、切除後、液体剤は、切除構造から除去することができる。任意的に、超−液体剤の除去後、所望の温度を有する、他の流体、気体又は空気を切除構造へ導入することができる。
【0064】
一般的に、別の態様において、消化管1における組織を除去する方法は、切除構造130(ここでは電極132)を含む切除装置100を消化管1内へ進めることを含む(例えば図4Aを参照)。切除構造130は、消化管1内で構造支持111で支持される。切除構造130の少なくとも一部分は、構造支持111から離れて回転可能であり、組織表面5に向けることができる。切除構造130は、組織表面5を切除するために所望のように作動されることができる。
【0065】
図4Aに図示されるように、一つの実施形態において、切除構造130(電極132としてここに示される)の少なくとも一部を回転させることは、切除構造130、例えば電極132と、組織表面5との間での力の適用を含んでいる。切除装置100が複数の切除構造130(例えば図5を参照)を含んでいる別の実施形態では、回転する工程は、一つ以上の切除構造130と組織表面5との間に力を作用することを含んでいる。
【0066】
消化管において組織を切除する方法は、少なくとも一つの回転軸の周りに、及び/又は少なくとも2つの回転軸の周りに、及び/又は少なくとも3つの回転軸の周りに、切除構造の少なくとも一部を回転することを含む。詳しく上述したように、切除装置は、そのような運動を支持するように構成され配置されることができる。例えば、図1に示されるように、切除装置100の支持構造111は、長手方向支持体114及び回転支持体116を含むことができる。切除構造130は、長手方向支持体114に支持され、一方、回転支持体116は、切除構造130の少なくとも一部の回転を可能にするように適合されている。本方法の切除構造130の回動に関する様々な構造の態様は、上に詳細に説明されている。
【0067】
別の実施形態において、切除構造の少なくとも一部を回転させる方法は、切除構造の回転範囲を制限することを含んでいる。x、y及びz軸における回転範囲の制限に関する特徴の様々な構造の態様は、上に説明されている。例えば、様々な回転支持体は、x、y及びz軸に関して移動の自由度を提供するように示されている。
【0068】
さらに実施形態において、方法は、切除構造を回転させながら切除構造の回転に抵抗することを含んでいる。上述したように、切除装置は、切除構造の回動に抵抗するように構成され配置された様々な移動抵抗体構造の形状を含むことができる。例えば、移動抵抗体は、長手方向支持体の回動を調整しそれにより切除構造の回動を調整することを示す。
【0069】
一つの実施形態において、図4Aに図示されるように、切除構造130を進めることは、消化管1内へ内視鏡127を進めることを含む。一つの市販の従来の内視鏡127の一例は、オリンパス「gastrovideoscope」モデルのGIF−Q160である。図13に示されるように、特定の市販の内視鏡の特定の構造は変更可能であるが、ほとんどの内視鏡は、操縦可能な遠位端128と、及び映像画面160への接続用の視覚チャネル161及びシャフト164内の内部作業チャネルへのアクセスを提供するポート166を含むハブ又はハンドル162とを有するシャフト164を含む。電源159は、電源ケーブル165により内視鏡127に電力を供給することができる。内視鏡検査法の技術において良く知られているように、オペレーターが内視鏡127の遠位端128を選択的に操縦することを可能にするために、ダイヤル、レバーあるいは他の機構(図示せず)がハンドル162に通常設けられるだろう。使用において、ここでは切除装置100が内視鏡127に連結あるいは接続され、その組合わせが消化管内へ導入され進められる。別の実施形態において、切除構造を進める工程は、消化管(図示せず)へカテーテルを進めることを含む。
【0070】
図4Aに示されるように、一つの実施形態において、方法は、内視鏡127で切除構造(電極132として示される)を支持することを含む。使用において、図4Aに図示するように、切除構造(電極132として示される)を含む切除装置100は、それの支持のため、内視鏡の遠位端128に取り付けることができる。詳細に上述したように、いくつかの実施形態において、回転支持体116は、切除装置100を内視鏡127へ接続するように構成され配置されたベース112をさらに含む。そのように、ベース112は、内視鏡127による切除装置100の支持のために取付点を提供することができる。
【0071】
別の方法において、切除構造を含む切除装置を消化管へ進める工程は、消化管へ内視鏡を進めること、及び切除装置を内視鏡を超えて進めることを含む。例えば、内視鏡は、目的の組織に対して位置決めすることができ、その後、目的の組織を除去するために、内視鏡の外部に切除装置を進めることができる。
【0072】
別の方法において、切除装置の支持工程は、切除装置が消化管へ進められた後、切除装置内へ内視鏡を挿入することを含むことができる。同時係属中の米国特許出願番号11/286,257及び11/286,444、2005年11月23日出願、それらにおける全ての記述は参考としてここに組み込まれる、に詳細に記載されているように、種々に適して形成された切除構造は、内視鏡内部の作業チャネル内に適合することができ、上記チャネルを通して搬送可能である。そのように、切除装置の切除構造は、代わりに内視鏡の内部作業チャネルにより支持することができる。切除装置を支持するため、本明細書に記述された方法のうちのいずれによる組み合わせが可能であることが構想される。
【0073】
別の実施形態において、ここで切除構造は少なくとも一つの電極であり、切除構造を活性化する工程は、電気的接続により電極に電気的エネルギーを供給することを含むことができる(例えば図3A、図4A〜図4B、図7A〜図7B、及び図14A〜図14C参照)。
【0074】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され記述されているが、そのような実施形態は、実施例のみにより提供されることは当業者にとって明らかだろう。多数の変更、変化及び置き換えは、発明から逸脱せずに当業者に思い浮かぶであろう。本明細書に記述された発明の実施形態への様々な代案が発明を実行するのに使用可能であることが理解されるべきである。以下の請求項が発明の範囲を規定し、それらの請求項及びそれらに均等の範囲内における方法及び構造はそれによりカバーされるということが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切除構造と、
患者の消化管内の切除構造を支持するのに適した支持構造であって、該支持構造は、長手方向軸を有する長手方向支持体、及び回転支持体を備え、該回転支持体は、長手方向支持体の長手方向軸に対して切除構造の少なくとも一部を移動可能とするよう適合され、回転支持体は移動抵抗体を備える、支持構造と、
を備えた切除装置。
【請求項2】
回転支持体は、少なくとも一つの自由度で回転するのに適した、請求項1記載の装置。
【請求項3】
回転支持体は、少なくとも二つの自由度で回転するのに適した、請求項1記載の装置。
【請求項4】
回転支持体は、少なくとも三つの自由度で回転するのに適した、請求項1記載の装置。
【請求項5】
回転支持体は、回転運動の範囲を制限するように適合した止め具部材を備える、請求項1記載の装置。
【請求項6】
移動抵抗体は、バネを備える、請求項1記載の装置。
【請求項7】
移動抵抗体は、切除構造の回動を防ぐように適合したロックを備える、請求項1記載の装置。
【請求項8】
切除構造の回動を防ぐのに適したアクチュエーター機構をさらに備える、請求項1記載の装置。
【請求項9】
支持構造は、内視鏡を備える、請求項1記載の装置。
【請求項10】
支持構造は、カテーテルを備える、請求項1記載の装置。
【請求項11】
切除構造は、少なくとも一つの電極を備える、請求項1記載の装置。
【請求項12】
支持構造により支持された複数の切除構造をさらに備える、請求項1記載の装置。
【請求項13】
切除構造は、凍結組織切除が可能である、請求項1記載の装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【公開番号】特開2013−48909(P2013−48909A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−223543(P2012−223543)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【分割の表示】特願2008−547527(P2008−547527)の分割
【原出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(505471912)タイコ ヘルスケアー グループ リミテッド パートナーシップ (26)
【Fターム(参考)】