説明

自動開閉ドアにおける手指等の挟み事故防止装置

【課題】 本発明は、手指,被服・見回り品などが自動開閉ドアとの間の隙間に挟まれる事故を確実に防止することができる自動開閉ドアにおける手指等の挟み事故防止装置を新規に提供するものである。
【解決手段】 本発明は、方立てまたは戸袋と自動開閉ドアとの間の隙間がドアの形式によって広い場合も、ずらしを含んで位置決め固定する調整取付部材と該調整取付部材の嵌付部に嵌付けて該隙間を可及的に小に狭める緩衝部材とからなり、該緩衝部材の該隙間側に触手した手指等を該隙間から跳ね離す外凹み斜面付の突出部を滑り加工を施して設けたことを特徴とする自動開閉ドアにおける手指等の挟み事故防止装置にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、引戸式の自動開閉ドアにおける手指等の挟み事故防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願の発明者はこの種の事故防止装置として特願2009−092575を提案している。
その内容は、方立てまたは戸袋のドア側に触手した手指をドアから離す凹み斜面付のヘッドを取付け、該凹み斜面の奥に触手を感知してドアの走行を停止または反転させる感知センサーを設けたことを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2009−092575
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のヘッドはドアのガラス面を断面Γ形などとする片面受けの戸枠のときは、ドアと方立てまたは戸袋との間の隙間が接面するほどに狭いために有効であるが、ガラス面を断面コ形の戸枠にて囲むドアにあっては、戸枠の翼片分において隙間が広くなることで適当ではないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ドアの形式等によってドアと方立てまたは戸袋との間の隙間が広い場合も方立て等にずらし止めして固定することができる調整取付部材と、該調整取付部材に嵌付けする緩衝部材とをもって構成して、隙間を近接するまで狭め、且つ該緩衝部材の該隙間側に触手した手指等を該隙間から跳ね離す外凹み斜面付の突出部を滑り加工を施して、かかる課題を解決するようにしたのである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、方立て等に位置決めして固定する調整取付部材と、これに嵌着する緩衝部材とを以って構成したので、広い隙間は当然のこと、隙間の大きさに対応して隙間を狭めるようにずらし取付けすることができて、挟み事故を確実に防止することができるという効果を生ずる。
【0007】
外凹み斜面を含む突出部に滑り加工を施しているので、触手しても、挟まれても滑り抜けて離れて事故に至らないという効果を生ずる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(a)は本発明装置の調整取付部材を自動開閉ドアに面した方立てに位置決めしてビス止め固定したときの部分拡大横断平面図、(b)は同、カバーにて美粧し、緩衝部材を嵌着した状態を示す図
【図2】同、自動開閉ドアに触れた手指等が外凹み斜面を滑ってガラス面から跳ね離される状態を示す平面図
【図3】同、誤って隙間に挟まれた手指が軽く抜ける状況を示す平面図
【図4】(a)は戸袋のドアを挟んだ内外の出入口の双方に本発明装置を備えた実施例を示す部分拡大横断平面図、(b)は方立てとガラス面間および方立てと開き方向側の戸枠間のそれぞれに本発明装置を備えた実施例を示す部分拡大横断平面図
【図5】第2実施例で、(a)は緩衝部材の空洞部内に線状スイッチを配線した横断平面図、(b)は同、触手により線状スイッチが作動した状態を示す平面図、(c)は同、手指等が隙間に入って外凹み斜面を変形して線状スイッチが作動した状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、方立てまたは戸袋に隙間の大きさに合わせて位置決め固定する調整取付部材と該調整取付部材の嵌付部に嵌付けする緩衝部材とをもって構成したので、広い間隙も近接するまでに狭めることができ、しかも緩衝部材の隙間側に触手した手指等を該隙間から外方に跳ね離す外凹み斜面付の突出部を滑り加工を施して設けたので、触手により隙間に引込まれそうな手指を外凹み斜面に沿って滑り跳ね離して以って挟まれ事故を未然に防止するようにしたのである。
また、緩衝部材内を空洞にしたことと、触手により作動する停止または戻り開放作動する非常用の線状スイッチを設けたので、挟まれ事故は初期の段階で防止されるなど安全性をより高めることができるようにしたのである。
【実施例1】
【0010】
断面コ形の戸枠1により囲まれたガラス面2からなる引戸タイプの自動開閉ドア3と収納する方立てまたは戸袋4との間の隙間Kは戸枠1の厚み分において広くなる。
【0011】
方立てまたは戸袋4はドア3の出入口に間隙K方向に向けて本発明装置を縦長において取付ける。先づ調整取付部材5を隙間Kを勘案して位置決めしてビス5a止め固定し、カバー5bにて美粧する。なお、調整取付部材5はビス5a止めにかえて両面テープまたは接着剤にて固定することもある。
【0012】
次いで緩衝部材6の嵌合部6aを調整取付部材5の嵌合部5cに嵌めて取付けする。緩衝部材6の外端は間隙Kを埋めてガラス面2に接近することとなる。また緩衝部材6の外端は戸閉じ方向に突出する突出部6bとその先端より嵌付け側に外凹み斜面6cを形成している。なお、突出部6bのガラス面2側は平坦面である。
【0013】
突出部6bのガラス面2側と外凹み斜面6cの表面はシリコーンまたはフッ素により滑り加工が施される。なお、緩衝部材6はその全長の内部を空洞にしている。
【0014】
しかして、自動開閉ドア3が開いて室内に入る際に誤ってガラス面2に手指が触れてそのまま方立てまたは戸袋4の出入口に引込まれそうになると、図2に示すように、手指は出入口において緩衝部材6の突出部6bの頂部から外凹み斜面6cを滑り動いて隙間Kから離されるを以って引込まれたり挟まれるということはない。万一、子供などの小さな手指が隙間K側に引込まれたときも、滑り加工が施されていることと、緩衝部材6が内部の空洞に向けて凹むことで広がるために、図3に示すように軽く抜けて挟まれ事故に進展しないこととなる。
【0015】
室内から外に出るときも本発明装置が図4(a)に示すように取付けられているときは、入るときと同様の安全が計られることとなる。また、図4(b)に示すように、戸開き方向側の戸枠1にも本発明装置を取付けて、開き移動する戸枠1と方立て4間の隙間Kに手指等が挟み込まれないようにすることもある。
【実施例2】
【0016】
図5は第2実施例であって、(a)に示すように緩衝部材6内の空洞部6d内に非常用の線状スイッチ7を配線して、(b)に示すように外凹み斜面6cに触手することで感知するとドア3を停止または戻り閉じするようにしたのである。また手指が隙間Kに引込まれたときも(c)に示すように緩衝部材6の変形圧によって線状スイッチ7は同様に作動して事故が進行しないようにしている。その他の構成と作用は前例と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は方立てまたは戸袋と自動開閉ドアとの間の隙間がドアの形式によって広い場合も、間隙の広さに合わせてずらし取付けする調整取付部材と、これに嵌付けする緩衝部材とをもって構成したので、すべてに取付け得ることで広く利用されるものである。
【符号の説明】
【0018】
1は戸枠
2はガラス面
3は引戸タイプの自動開閉ドア
4は方立てまたは戸袋
5は調整取付部材
5aはビス
5bはカバー
5cは嵌合部
6は緩衝部材
6aは嵌合部
6bは突出部
6cは外凹み斜面
7は非常用の線状スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方立てまたは戸袋と自動開閉ドアとの間の隙間がドアの形式によって広い場合に、方立て等にずらしを含んで位置決めして固定する調整取付部材と該調整取付部材の嵌付部に嵌付けてドアに外端を接近させて該隙間を狭める緩衝部材とからなり、該緩衝部材の該隙間側に触手した手指等を該隙間から跳ね離す外凹み斜面付の突出部を滑り加工を施して設けたことを特徴とする自動開閉ドアにおける手指等の挟み事故防止装置。
【請求項2】
緩衝部材内に触手により自動開閉ドアを停止または戻り閉じ作動させる非常用の線状スイッチを設けた請求項1に記載の自動開閉ドアにおける手指等の挟み事故防止装置。
【請求項3】
調整取付部材と緩衝部材は自動開閉ドアの入口側,出口側の双方に取付けする請求項1または2に記載の自動ドアにおける手指等の挟み事故防止装置。
【請求項4】
調整取付部材と緩衝部材は自動開閉ドアの戸枠に囲まれたガラス面と方立てとの間および戸開き方向側の戸枠と方立てとの間に取付けする請求項1または2に記載の自動ドアにおける手指等の挟み事故防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−26821(P2011−26821A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172972(P2009−172972)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000146582)株式会社信明産業 (17)
【Fターム(参考)】