説明

自動電力管理を備えた自動遮光フィルタ

防護自動遮光フィルタ(ADF:automatic darkening filter)は、自動電力管理能力を備える。ADFは、前記ADFがその時点で使用中であるか否かに基づいて前記ADFへの電力を制御する、電力管理制御装置を備える。一実施形態では、前記ADFが使用中であるかどうかを判定するために、前記電力管理制御装置は、前記ADFの動きを感知し、且つ、感知された前記動きに基づいて前記ADFへの電力を制御する運動センサを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接工のトーチからの光の入射を濾光するために溶接ヘルメット上で使用できる、自動遮光液晶防護シールド又はフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動遮光液晶防護シールドは、また、自動遮光フィルタ若しくはADFとしても知られるが、強いレベルの入射光からの防護が望まれる溶接のような用途にしばしば使用される。典型的なADFは、溶接アークのグレア(眩光)に曝されていないときの明(クリア若しくは透明)状態から、そのようなグレアに曝されているときの暗(ほとんど不透明)状態へとフィルタを変化させる、バッテリによって動作する電子制御回路を含む。これによって、溶接工が、溶接作業を実施でき、また防護シールドを取り外すことなく溶接領域の外で仕事を行えるようになる。ADFは、偏光フィルタと液晶素子の層との組み合わせから構築することができる。そのようなフィルタの例が、米国特許第6,097,451号及び同第5,825,441号(いずれもホーネル(Hornell)及びパーマー(Palmer))に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、自動電力管理を含む防護自動遮光フィルタ(ADF:automatic darkening filter)を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ADFは、前記ADFがその時点で使用中であるか否かに基づいて前記ADFへの電力を制御する、電力管理制御装置を備える。一実施形態では、前記ADFが使用中であるかどうかを判定するために、前記電力管理制御装置は、前記ADFの動きを感知し、且つ、感知された前記動きに基づいて前記ADFへの電力を制御する運動センサを備える。
【0005】
一実施形態では、本発明は、自動遮光フィルタであって、ADFヘルメットと、制御信号に応答して明状態から暗状態へと変化する、前記ADFヘルメット内に据え付けられた切り替え可能フィルタと、入射光の存在を示す情報に応答して、制御信号を生成し、且つ、前記制御信号を前記切り替え可能フィルタへと送信する切り替え可能フィルタ制御装置と、前記ADFの動きを感知し、且つ、感知された前記動きに基づいて前記ADFへの電力を制御する電力管理制御装置とを備える、自動遮光フィルタを構成する。
【0006】
他の実施形態では、本発明は、前記自動遮光フィルタの動きを感知する工程と、感知された前記動きに基づいて前記自動遮光フィルタへの電力を制御する工程とを含む方法を含む。
【0007】
用語「自動遮光フィルタ」(ADF:automatic darkening filter)は、ヘルメットと、溶接などの環境又は過度にまぶしい光によって人間の目が損傷する虞のある他の環境において過剰なグレアからユーザの目を防護するように設計された切り替え可能フィルタとを含む、防護デバイスを意味する。用語「自動電力管理」は、ユーザの積極的な行動(ON/OFFボタン若しくは他の電力制御スイッチを押すなど)なしにデバイスへの電力を自動的に制御することを意味する。用語「切り替え可能フィルタ」は、制御信号に応答して明状態から暗状態へと変化することのできるフィルタを意味する。用語「切り替え可能フィルタ制御装置」は、入射光の存在を示す情報に応答して、制御信号を生成し、且つ、前記制御信号を切り替え可能フィルタへと送信する装置を意味する。用語「運動センサ」は、位置、加速度、傾斜、衝撃、及び/又は振動などの動きを示すいくつものパラメータのうちのいずれかを感知するセンサを意味する。用語「電源」は、バッテリ、パワーサプライ、ジェネレータ、コンデンサ、燃料電池、AC電源、又は他のいずれかの種類の電力供給装置など、電力をそれによって供給できるあらゆるデバイス又は機構を意味する。用語「電力管理制御装置」は、ADFの動きを感知し、且つ感知された動きに基づいて前記ADFへの電力を制御する装置を意味する。
【0008】
本発明の1以上の実施形態の詳細を、添付図面及び以下の説明に示す。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明をそれとともに使用できる種類の自動遮光フィルタ(ADF:automatic darkening filter)ヘルメット10の一例の斜視図である。ADFヘルメット10は、ヘルメットシェル12内で支持された自動遮光フィルタレンズ20を含む。自動遮光フィルタレンズ20は、ヘルメットがユーザによって着用されたときに該フィルタレンズが着用者の目の真正面にくるように、ヘルメットシェル12内に据え付けることができる。一実施形態では、レンズ20は、交換可能である。レンズ20は、矩形(若しくは他の形状の)フレーム又はハウジングの形態を呈してよい。ヘルメットシェルの例は、例えば、米国特許第6,185,739号、同第5,533,206号、同第5,191,468号、同第5,140,707号、同第4,875,235号、及び同第4,853,973号に見ることができる。ADFヘルメット10には、また、それらの内部に清浄な空気が供給されていてもよく、したがって該ADFヘルメット10は、呼吸ゾーンを周囲空気から隔てるためのフェイスシールを含んでよい。そのようなフェイスシールの一例は、米国特許出願第10/987,512号、同第10/987,641号、同第10/988,789号、同第29/217,155号、同第29/217,153号、同第29/217,154号、同第29/217,107号、同第29/217,156号に示されている。
【0010】
図2は、自動遮光フィルタレンズ20の一例の分解図を示す。この実施形態では、自動遮光フィルタレンズ20は、2枚の交換可能な防護プレート22と24との間に据え付けられた切り替え可能フィルタ30を含む。切り替え可能フィルタ30は、明状態から暗状態へと変化でき、ADFヘルメット10内に据え付けられた制御電子機器によって制御される。図2に示される実施形態では、切り替え可能フィルタ30は、7枚の異なる層、すなわち、UV/IRフィルタ31、3枚の偏光子32、34、及び36、2枚の液晶素子33及び35、並びにカバーガラス37の積層体である。UV/IRフィルタ31は、レンズがONであるかOFFであるか明であるか暗であるかに関わらず、有害な放射線を絶えず遮断する。制御電子機器(後述)による補助下で、液晶素子33及び35は、溶接アークを検出し、且つレンズを瞬時に遮蔽することによって溶接アークに反応する、シャッターの機能を果たす。好適な切り替え可能フィルタの例が、米国特許第6,097,451号及び同第5,825,441号、並びに同一出願人による同時継続中の米国特許出願(マグヌッセン(Magnusson)ら、2005年3月11日出願)に記載されている。
【0011】
一実施形態では、第1及び第2の液晶素子33及び35は、低ツイスト液晶セルである。液晶セル33及び35には、制御電圧をそれによって印加できるコネクタ(図示せず)が設けられる。また、一部の実施形態では、以上で参照した米国特許第5,825,441号に記載されているように、第1の偏光子24及び第3の偏光子32の偏光の向きは、第2の偏光子56の偏光の向きに対してほぼ垂直である。他の実施形態では、以上で参照した米国特許出願(マグヌッセン(Magnusson)ら、2005年3月11日出願)に記載されているように、第1の偏光子24又は第3の偏光子32の少なくとも1つの偏光の向きは、第2の偏光子56の偏光の向きに対してほぼ垂直からずれている。図2には特定の切り替え可能フィルタの構造が示され記載されているが、切り替え可能フィルタ30は、また、当該技術分野において既知の他の形態を呈することもでき、本発明は、この点に関して制限されない。
【0012】
図3は、全体的に参照番号40によって言及されるADFのブロック図である。ADF40は、切り替え可能フィルタ30と、切り替え可能フィルタ制御装置50と、電力管理制御装置60とを含む。切り替え可能フィルタ制御装置50は、光センサ54とフィルタコントローラ52とを含む。フィルタコントローラ52は、光センサ54によって検出された入射光のレベルに応答して、切り替え可能フィルタ30によってもたらされる遮蔽の程度を制御する。このために、フィルタコントローラ52は、入射光の検出されたレベルを示す光センサ54からの信号を受け取り、電圧など、対応するフィルタ制御信号を生成する。フィルタコントローラ52は、これらのフィルタ制御信号を切り替え可能フィルタ30に適用し、したがって、入射光の検出されたレベルに応答して、切り替え可能フィルタ30によってもたらされる遮蔽の程度を制御する。例えば、光センサ54が溶接アーク又は他の入射光源の存在を検出するときには、フィルタコントローラ52は、対応する制御電圧を発生させてその制御電圧を切り替え可能フィルタ30の液晶素子33及び35(図2参照)に印加することができる。制御電圧は、切り替え可能フィルタ30を暗くして、溶接アークのグレアからユーザを防護させる。制御電圧の大きさ、したがって提供される遮蔽の程度は、入射光の強度に応じたものであってよい。溶接アーク又はユーザがそれから防護されるべき他の入射光源が存在しない場合、フィルタコントローラ52は、液晶素子33及び35への制御電圧を低減し、又はなくし、したがってフィルタ30をより透明にする。ゆえに、切り替え可能フィルタ30は、溶接作業を実施しながらユーザを防護し、防護ヘルメットを取り外すことなくユーザが溶接領域の外で他の仕事を行えるようにする。
【0013】
電力管理制御装置60は、ADF40に自動電力管理能力を与える。すなわち、電力管理制御装置60は、ADF40がその時点で使用中であるかどうかに基づいてADF40への電力を制御する。本発明の目的では、電力管理制御装置60は、感知された動きからADF40の使用を推測する。電力管理制御装置60は、そのような動きを、例えば、溶接作業を実施するための準備の際にユーザがADF40を手に取る又は身に着けるときに感知することができる。電力管理制御装置60は、ADF40の動きを感知し、感知された動きに基づいてADF40への電力を制御する。
【0014】
電力管理制御装置60は、ADF40が使用中であるかどうかを絶えず監視し、それに応じてADF40を作動又は動作停止させる。ADF40が使用中でないときには、電力管理制御モジュール60がADF40を動作停止させる。動作停止されたときには、ADF40は、低(若しくは無)電力の休止モード又はOFF状態で動作する。ユーザが溶接ヘルメットを手に取るときに感知される動きのようなユーザ活動を検出すると、ADF40を自動的に「目覚めさせ(wake up)」若しくは作動させ、アクティブモードに入らせる。他方、運動センサ68から受け取られる信号が、ユーザによって開始される活動が指定期間にわたって検出されなかったことを示すときには、電力管理制御装置60は、ADF40を動作停止させて、ADF40を休止モードに戻す。
【0015】
図3に示される実施形態では、電力管理制御装置60は、バッテリなどの電源66と、運動センサ68と、信号処理フィルタ62と、電力コントローラ64とを備える。電力コントローラ64と運動センサ68とは、相まって、ADF40の自動電力管理能力を提供する働きをする。運動センサ68は、ADF40の動きを感知し、動きを示す信号を生成して、その信号を信号処理フィルタ62を経由して電力コントローラ64へと送信する。信号処理フィルタ62は、これらの信号のうち小さな一時的外部振動に起因するものを除去する。信号処理フィルタ62は、電力コントローラ64による分析のために、何らかのユーザ活動に関係している可能性のある他の信号を通過させる。
【0016】
電力コントローラ64は、感知された任意の動きが予め選択された閾値条件を満たすかどうかを判定するために、運動センサ68から発信される信号を分析する制御ロジックを含む。閾値条件は、ユーザ活動の結果として起こり得る、感知される動きの最低レベルに相当する。電力コントローラ64は、感知された運動に基づいてADF40への電力を制御する。閾値条件が満たされる場合、電力コントローラ64は、作動信号を生成してその作動信号を切り替え可能フィルタ制御装置50へと送信する。この作動信号は、ADF40を本質的に「目覚めさせ(wakes up)」て、ADF40をON状態に入らせる。作動されたときには、ADF40は、完全自動遮光防護をもたらして、前述のように検出された周囲光の存在又は欠如に応答して明状態から暗状態に切り替える。
【0017】
運動センサ68は、位置、加速度、傾斜、衝撃、及び/又は振動などの動きを示すいくつものパラメータのうちのいずれかを感知することができ、本発明がこの点に関して制限されないことを理解すべきである。一実施形態では、運動センサ68は、ADF40がOFF状態にあるときには電力を全く必要としない完全に受動的なデバイスである。そのような受動的感知デバイスの例としては、例えば、ゆるく接続された電気接点(例えば、1つ若しくは2つの金めっきボール)から成る機械的振動/動きセンサ、2軸若しくは3軸加速度計(例えば、完全に一体化されたシリコンデバイス)、又は運動、傾斜、衝撃、振動、及び/若しくは動きを示す他の情報を感知する他のいずれかの種類の既知のセンサを挙げることができる。他の実施形態では、運動センサ68は、OFF状態では最小量の電流しか取り出さない低電力センサであってよい。
【0018】
運動センサ68は、いくつかの種類の振動/動きセンサのうちのいずれかであってよいが、一実施形態では、関心のある信号は、運動センサ68の機械的加速度である。この加速度信号は、所与の閾値を超える任意の全方向加速度成分の弁別型バイナリインジケータなどの形態であることができる。他の実施形態では、加速度信号は、軸ごとに別個の絶対加速度値をもつ3軸加速度計など、より複雑な形態を呈することができる。
【0019】
電力コントローラ64は、概念的に、第1の振動イベント(すなわち、運動センサ68によって感知される動き)の検出時に作動される状態機械として表すことができる。4つのシステム状態S0〜S3の例は、次のように記述することができる。
【0020】
【表1】

【0021】
図4A〜4Cは、前述の状態S0〜S3について状態間の移動を説明するタイミング図を示す。図4A〜4Cの最上段は、それぞれ参照番号70、76、及び82によって全体的に示された振動イベントを示す。中央の段は、それぞれ参照番号72、78、及び84によって全体的に示されたシステム状態S0〜S3を示す。最下段は、それぞれ参照番号74、80、及び86によって全体的に示されたADFのステータス(例えば、ON又はOFF)を示す。
【0022】
図4Aは、参照番号70によって全体的に示された、システムをON状態へと作動させることにならない、短期の振動イベントを示す。状態S0(OFF/動作停止)の間に、小さな(短い持続時間の)振動イベントが時間t0で起こり、システムを状態S1へと移行させる。状態S1になった後、システムは、時間t1まで待機する。状態S1(時間枠t1−t0)の間、振動イベントが継続する。時間t1で、システムは、状態S2へと移行し、時間枠t2−t1の間、振動イベントを探す。状態S2(時間枠t2−t1)の間に振動イベントが存在しないので、システムは、作動されず、時間t2で状態S0へと戻る。
【0023】
図4Bでは、より大きな(より長い持続時間の)振動が、システムを作動させてON状態である状態S3に移行させることになる。この場合、参照番号76によって示される振動イベントが、状態S2において時間t3で起こる。時間t3がt2−t1時間枠内で(換言すれば、時間t2よりも前に)起こるので、システムは、作動され、状態S3、すなわちON状態に入る。
【0024】
図4Cでは、システムは、参照番号86によって示されるように時間t0でON(状態S3)である。ON状態S3の間、システムは、自動遮光フィルタの動きを絶えず監視する。予め規定された期間中に動きが感知されない場合、電力管理制御装置60は、自動遮光フィルタが使用中ではないものとみなし、ADF40を動作停止させる。図4Cでは、予め規定された期間は、時間枠t4−t0である。t4−t0時間枠の間に振動イベントが感知されないので、電力管理制御装置60は、システムを動作停止させて状態S0、すなわちOFF状態に戻す。
【0025】
一部の実施形態では、環境に応じて、時間枠t1−t0は、例えば0.5秒〜3秒の範囲内のどこであってもよい。時間枠t2−t1は、例えば、0.5〜3秒の範囲内のどこであってもよい。時間枠t4−t0は、例えば、1分〜10分の範囲内のどこであってもよい。ただし、これらの時間枠に修正を加えることができ、また、数ある因子の中でも特に、使用の種類及び/又はADFが使用されることになる特定の環境によっては、記載された範囲外の他の時間枠もまた適している場合があることを理解すべきである。したがって、本発明は、この点に関して制限されない。
【0026】
図5は、電力管理制御装置60がそれによってADF40への電力を自動的に管理する、プロセスの一例を示すフローチャートである。OFF状態(S0)(90)で始まるプロセスについて記載するが、プロセスをまた任意の時点で記載できることを理解すべきである。
【0027】
OFF状態S0(90)で、電力コントローラ64は、振動イベントに関して運動センサ68から発信される信号を分析する(91)。閾値条件を満たす振動イベントが検出されない場合、システムは、OFF状態S0にとどまる(90)。閾値条件を満たす振動イベントが検出された場合(91)、システムは、状態S1へと移行し、第1の時間t1まで待機する(92)。時間t1が経過した後、システムは、状態S2へと移行する(93)。次いで、電力コントローラ64は、時間枠t2−t1の間の振動イベントに関して運動センサ68から受け取った信号を分析する(94)。この時間枠の間に振動が検出されない場合、電力コントローラ64は、検出された最初の振動が、ユーザによって開始される活動とは相関がなかったものと見なし、OFF状態S0へと戻る(90)。
【0028】
他方、閾値条件を満たす振動イベントが時間枠t2−t1の間に検出された場合(94)、電力コントローラは、その動きがユーザによって開始された活動に相当すると見なし、デバイスは、ON状態S3へと移行する(95)。ON状態になった後、電力コントローラ64は、振動イベントに関して運動センサから受け取った信号を分析する。閾値条件を満たす振動イベントが起こり続ける限り、システムは、ON状態S3にとどまる。ただし、OFF条件が満たされたときには(96)常に、電力コントローラ64は、デバイスがもはや使用中ではないものと見なし、システムをOFF状態S0へと戻す(90)。
【0029】
適切なOFF条件(96)の例としては、例えば、規定された期間にわたる検出された溶接光の欠如、規定された期間にわたる感知された動きの欠如、規定された期間にわたるそれ以外のユーザ活動(ADFユーザ制御の操作など)がないこと、又はADFがその時点で使用されていないことを示す他の適切な条件を挙げることができる。例えば、閾値条件を満たす振動イベントが指定期間にわたって検出されない場合、電力コントローラ64は、ADF40がもはや使用中ではないと見なすことがあり、システムをOFF状態S0へと戻すことがある。この指定期間は、例えば、1分〜10分の間のどこに設定されてもよい。指定期間は、製造業者によって決定且つ設定されてもよく、又はユーザが設定可能であってもよく、また、ADFが使用される環境に適した時間の長さをもたらすように選択されてよい。
【0030】
電力コントローラ64及び/又はフィルタコントローラ52は、プログラム可能なプロセッサに前述の方法を実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体として具体化されてよい。「コンピュータ可読媒体」としては、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、電気的消去書き込み可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、磁気ハードドライブ、磁気ディスク若しくは磁気テープ、光ディスク若しくは光磁気ディスク、又はホログラフィー媒体などが挙げられるが、これらに限定されない。命令は、1以上のソフトウェアモジュールとして実装されてよく、それらのソフトウェアモジュールは、それらだけで実行されても、他のソフトウェアと併せて実行されてもよい。「コンピュータ可読媒体」は、また、伝送回線若しくは無線通信チャネル上で命令を転送するように変調又はエンコードされた搬送波を含んでよい。
【0031】
本発明は、また、本明細書に記載の機能又は方法を実行するための論理回路を含む1以上のデバイスとして具体化されてもよい。論理回路としては、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など、一般用にプログラム可能であっても又は専用であってもよいプロセッサを挙げることができる。
【0032】
本明細書に記載の技術の1以上を、部分的に又は完全にソフトウェアで実行することができる。例えば、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ読み取り可能な命令、すなわち、前述した技術の1以上を実施するためにプロセッサが実行できるプログラムコードを、格納する、ないしは別の方法で含むことができる。
【0033】
本明細書に記載の発明は、いくつかの利点を有する。例えば、ヘルメットが手に取られるときにADFが自動的に作動するので、ユーザは、システムを使用可能状態にするために特別な措置をとる必要がない。さらに、制御回路によって、必要とされるときにシステムが作動されることが保証されるので、ユーザがADFをオンにするのを忘れてアクティブな防護を受けないという危険が低減される。システムは、また、使用中でないときにはデバイスの電力を下げ、必要とされるときにだけデバイスを作動させることによって、電気エネルギー(例えば、バッテリ寿命)を節約することができる。また、エネルギー消費がより低いので、より小さくより軽いバッテリを使用することができる。
【0034】
背景技術の項で引用したものを含めて、以上で引用したすべての特許及び特許出願は、全体を本明細書に参考として組み込まれる。
本発明の様々な実施形態を説明した。上記及び他の実施形態は、特許請求の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】自動電力管理を有する、自動遮光フィルタ(ADF:automatic darkening filter)ヘルメット10の一例の斜視図。
【図2】ADFレンズ構造20の実施形態の一例の分解図。
【図3】図2の切り替え可能フィルタ30と、自動電力管理を備えたADFの制御電子機器42とのブロック図。
【図4A】自動電力管理を備えたADFの一例についての4つのシステム状態を示すタイミング図。
【図4B】自動電力管理を備えたADFの一例についての4つのシステム状態を示すタイミング図。
【図4C】自動電力管理を備えたADFの一例についての4つのシステム状態を示すタイミング図。
【図5】ADFにおける自動電力管理をもたらすプロセスの一例を示すフローチャート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動遮光フィルタ(ADF:automatic darkening filter)であって、
ADFヘルメットと、
制御信号に応答して明状態から暗状態へと変化する、前記ADFヘルメット内に据え付けられた切り替え可能フィルタと、
入射光の存在を示す情報に応答して、制御信号を生成し、且つ、前記制御信号を前記切り替え可能フィルタへと送信する切り替え可能フィルタ制御装置と、
前記ADFの動きを感知し、且つ、感知された前記動きに基づいて前記ADFへの電力を制御する電力管理制御装置と、を備える、自動遮光フィルタ。
【請求項2】
前記電力管理制御装置は、前記ADFの動きを感知する運動センサをさらに備える、請求項1に記載の自動遮光フィルタ。
【請求項3】
前記運動センサは、運動、加速度、傾斜、衝撃、及び振動のうちの少なくとも1つを検出する、請求項2に記載の自動遮光フィルタ。
【請求項4】
前記運動センサは、前記ADFヘルメット内に位置決めされる、請求項2に記載の自動遮光フィルタ。
【請求項5】
前記電力管理制御装置は、感知された前記動きが閾値条件を満たすときに前記ADFを作動させる、請求項2に記載の自動遮光フィルタ。
【請求項6】
前記閾値条件は、ユーザ活動の結果として起こり得る、感知される動きの最低レベルに相当する、請求項5に記載の自動遮光フィルタ。
【請求項7】
前記電力管理制御装置につながれた電源をさらに備える、請求項1に記載の自動遮光フィルタ。
【請求項8】
前記電源は、バッテリを含む、請求項7に記載の自動遮光フィルタ。
【請求項9】
前記電力管理制御装置は、OFF条件が満たされたときに前記ADFを動作停止させる、請求項1に記載の自動遮光フィルタ。
【請求項10】
前記OFF条件は、規定された期間にわたる検出された溶接光の欠如、規定された期間にわたる感知された動きの欠如、規定された期間にわたる他のユーザ活動の欠如のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の自動遮光フィルタ。
【請求項11】
自動遮光フィルタの動きを感知する工程と、
感知された動きに基づいて前記自動遮光フィルタへの電力を制御する工程と、を含む方法。
【請求項12】
感知された前記動きが閾値条件を満たすときに前記自動遮光フィルタを作動させる工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記OFF条件が満たされたときに前記自動遮光フィルタを動作停止させる工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記OFF条件が満たされたときに前記自動遮光フィルタを動作停止させる工程は、感知された前記動きが予め規定された前記期間にわたる動きの欠如を示すときに、前記自動遮光フィルタを動作停止させることをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
予め規定された前記期間は、1分〜10分の範囲内である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記自動遮光フィルタが動作停止されたときに第1の振動イベントを感知する工程と、
第1の時間枠の間、待機する工程と、
第2の時間枠の間、第2の振動イベントを感知する工程と、
前記第2の振動イベントに応答して前記自動遮光フィルタを作動させる工程と、をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の時間枠は、0.5秒〜3秒の範囲内である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の時間枠は、0.5秒〜3秒の範囲内である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
時間t0において、前記自動遮光フィルタが第1の動作停止状態S0にあるときの第1の振動イベントを感知する工程と、
時間t1において、第2の状態S1に入る工程と、
時間枠t2−t1の間に振動イベントが検出されない場合、時間t2において再び状態S0に入る工程と、をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
時間枠t2−t1は、0.5秒〜3秒の範囲内である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
時間枠t1−t0は、0.5秒〜3秒の範囲内である、請求項17に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2008−546445(P2008−546445A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516940(P2008−516940)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/022174
【国際公開番号】WO2007/001777
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】