説明

自己冷却式容器と冷却装置

本発明は、飲料を保存する容器に関し、該容器は容器本体とクロージャとを備え、内部チャンバを画定しており、該内部チャンバは内部容積を画定し、所定の容積の前記飲料を含む。容器は、ハウジング容積を画定しているハウジングを有する冷却装置をさらに備えている。冷却装置は、化学量数の実質的に非毒性の生成物を生成する不可逆エントロピー増加反応を開始する少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質を含む。当初は冷却装置内に保持される少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質は、互いに分離されており、エントロピー増加反応を起こして、飲料1ml当たり少なくとも50ジュールの飲料の熱量が減少する。冷却装置は、少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質間で反応を開始させるためのアクチュエータをさらに備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
飲料缶と飲料ボトルは、炭酸飲料たとえば、ビール、サイダー、スパークリングワイン、炭酸ミネラルウォーター、または様々なソフトドリンク、あるいは非炭酸飲料、たとえば、非炭酸水、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、ワイン、または様々なフルーツジュースなどの飲料を保存するために数十年に亘って使用されてきた。飲料容器、たとえばボトル、特に缶は典型的には、最大量の飲料を収容し、使用する材料の量を最小限にすると共に、飲料容器の機械的安定性を保証するように設計されている。
【背景技術】
【0002】
殆どの飲料には、標準保存温度よりも大幅に低い最適な提供温度がある。飲料容器は、典型的には、スーパーマーケット、レストラン、一般家庭、および保存施設では室温で保存される。殆どの飲料の最適な摂取温度は、約5℃であるため、飲料を提供する前に冷却する必要がある。典型的には、飲料容器は提供する前に飲料を約5℃の温度にできるように飲料を提供するかなり前から冷蔵庫または冷蔵保存室などに保存される。したがって、飲料をすぐに飲めるようにしておきたい人は、飲料を常に低温で保存しなければならない。バー、レストラン、スーパーマーケット、およびガソリンスタンドなどの多くの商業施設は、消費者の冷えた飲料の要求を満たすことができるように常に冷蔵庫を運転する必要がある。これは、消費する前に飲料缶を長期間に亘って保存しなければならないことがあるため、エネルギの無駄遣いと見なすことができる。この文脈において、出願人である会社だけでも、冷たい飲料を提供するために1年に約17,000台の冷蔵庫を設置し、各冷蔵庫は、典型的には約200Wの電力を消費することに触れておくべきである。
【0003】
上述したとおり、冷蔵による飲料容器の冷却は非常に遅く、エネルギの無駄である。一部の人は、温度が氷点よりも十分に低い冷凍機または同様の保存設備内に短時間、飲料容器を入れておくことによって冷却に必要な時間を短縮するであろう。しかし、これは、飲料が凍る十分前に冷凍機から飲料を取り出さないと、飲料の膨張によって飲料容器が破断し得るため、安全上のリスクを伴う。別法では、水の熱伝導性が空気の熱伝導性よりも著しく高いため、氷と水の入ったバケツを、飲料のより効率的な冷却のために使用することができる。
【0004】
飲料容器自体が、適切な低い温度に飲料を冷却するために飲む直前に作動させることができる冷却要素を備えていれば有利であろう。飲料分野のパッケージングの範囲内において、飲料缶と自己冷却式飲料缶の冷却に関連した特定の技術が、特に、米国特許第4403567号、米国特許第7117684号、欧州特許第0498428号、米国特許第2882691号、英国特許第2384846号、国際公開第2008/000271号、英国特許第2261501号、米国特許第4209413号、米国特許第4273667号、米国特許第4303121号、米国特許第4470917号、米国特許第4689164号、米国特許出願公開第2008/0178865号、特開2003−207243号、特開2000−265165号、米国特許第3309890号、国際公開第85/02009号、米国特許第3229478号、米国特許第4599872号、米国特許第4669273号、国際公開第2000/077463号、欧州特許第87859号(米国特許第4470917号に対応)、米国特許第4277357号、独国特許第3024856号、米国特許第5261241号(欧州特許第0498428号に対応)、英国特許第1596076号、米国特許第6558434号、国際公開第02/085748号、米国特許第4993239号、米国特許第4759191号、米国特許第4752310号
国際公開第01/10738号、欧州特許第1746365号、米国特許第7117684号、欧州特許第0498428号、米国特許第4784678号、米国特許第2746265号、米国特許第1897723号、米国特許第2882691号、英国特許第2384846号、米国特許第4802343号、米国特許第4993237号、国際公開第2008/000271号、英国特許第2261501号、米国特許出願公開第20080178865号、特開2003−207243号、米国特許第3309890号、米国特許第3229478号、国際公開第2000/077463号、国際公開第02/085748号に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献には、化学反応または蒸発によって冷却するための技術が記載されている。上記のこのような技術を使用する場合は、飲料を瞬間冷却することができ、事前の冷却が必要なくなり、電気エネルギの消費を回避できる。上記技術では、冷却装置は飲料容器と比較して大きい。言い換えれば、少量の飲料を収容するために大きな飲料容器を用意しなければならないため、材料と容積が無駄となってしまう。したがって、より良く冷却し、かつ/または飲料容器内の空間をあまり占有しない冷却装置が要望されている。
【0006】
本発明の目的は、飲料の温度を約22℃から5℃まで下げて電動外部冷却の必要性を排除または少なくとも実質的に低減するための、飲料容器内で使用することができる冷却装置を提供することである。
【0007】
本発明によるさらなる利点は、飲料容器と冷却装置を長期間、たとえば、数週間、数ヶ月間、または数年間に亘って保存した後、飲料がまさに飲まれようとする直前に、冷却装置を作動させて飲料を適当な摂取温度まで冷却することができる。したがって、本発明のさらなる目的は、飲料がまさに飲まれようとする直前に冷却装置を作動させる作動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的と様々な他の目的は、本発明による冷却装置の好ましい実施形態と、飲料を保存する容器によって得られる本発明の第1の態様の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。この容器は容器本体とクロージャ(closure)を備え、内部チャンバを画定しており、この内部チャンバが、内部容積を画定し、所定の容積の飲料を含み、
この容器が、飲料の所定の容積の約33%を超えず、かつ内部容積の約25%を超えないハウジング容積を画定しているハウジングを有する冷却装置をさらに備え、
この冷却装置が、少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質を含み、この反応物質が、互いに反応すると、反応物質の化学量数よりも少なくとも3(factor 3)、好ましくは少なくとも4、より好ましくは少なくとも5大きい化学量数の実質的に非毒性の生成物を生成する不可逆エントロピー増加反応を開始し、
少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質が、当初は互いに分離して冷却装置内に保持され、前記不可逆エントロピー増加反応で互いに反応すると、5分以下、好ましくは3分以下、より好ましくは2分以下の時間内で、飲料1ml当たり少なくとも50ジュール、好ましくは少なくとも70ジュール、たとえば、70〜85ジュール、好ましくは約80〜85ジュールの飲料の熱量が減少し、
冷却装置が、少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質間で反応を開始させるためのアクチュエータをさらに備えている。
【0009】
前記容器は、典型的には、約20〜75センチリットルの飲料の容積を有する1人分用の小さい容器である。しかし、場合によっては、より大きい容器、たとえば、1リットルの飲料を収容できる大きいボトルまたは容器、あるいは5リットル以上の飲料を収容できるケグと共に冷却装置を使用しても良い。このような場合、冷却装置は、飲料の最初の提供に適した飲む温度に飲料を瞬間冷却することが目的であり、冷却後は、後の提供のために飲料を冷蔵庫に保存しても良い。この容器は、製造、すなわち打ち抜きが容易であり、容器を溶融して環境に易しい方法でリサイクルすることができるアルミニウムから形成するのが好ましい。別法では、収縮可能な容器または非収縮容器を、PETプラスチックなどのポリマー材料から製造することができる。さらなる別法では、容器は、従来のガラス瓶とすることができる。
【0010】
冷却装置は、飲料容器の底部または飲料容器の蓋に固定するなどして飲料容器に固定するのが好ましい。冷却装置は、飲料と反応物質を分離するためのハウジングを有するべきである。冷却装置は、大き過ぎると飲料容器内に収容される飲料の量が少なくなってしまうため、飲料容器の内部容積のかなりの大部分を必要とすべきではない。このためには飲料容器を大きくするか、あるいは同じ量の飲料を収容するためにより多くの飲料容器を製造する必要があり、いずれの選択肢も、容器の製造に使用される原料が多くなり、保存と輸送の嵩が大きくなってしまうため、生態学的かつ経済的に望ましくない。飲料の容積の約33%であり、飲料容器の全内部容積の25%の冷却装置ハウジングの容積を、冷却効率と収容される飲料の容積との間の許容できるトレードオフにすることを企図する。小さ過ぎる冷却装置は、十分に低い温度まで飲料を冷却することができないであろう。
【0011】
冷却装置に使用される2つの反応物質は、冷却装置の作動の前は分離して維持され、冷却装置の作動のときに、2つの反応物質が互いに反応する。反応物質は、たとえば、2つの別個のチャンバに収容することによって別個に保持する、あるいは一方または両方の反応物質にコーティングを設けて反応の開始まですべての反応を防止することができる。2つの反応物質は、実質的に非毒性であるべきであり、この実質的に非毒性とは、冷却装置内で使用される適当な量が誤って摂取されても致死性ではないことを意味することを理解されたい。3つ以上の反応物質、たとえば、3つまたはそれ以上の反応物質が存在し得ることもさらに企図する。反応は、エントロピー増加反応であるべきである、すなわち反応生成物の数が、反応物質の数よりも多くなるべきである。この文脈では、驚くべきことに、反応物質の化学量数よりも化学量数が少なくとも3、好ましくは4以上、より好ましくは5大きい生成物を生成するエントロピー増加反応が、小さい化学量数よりも効率的に冷却をもたらすことを見出した。化学量数は、生成物の数と反応物質の数との間の関係である。反応は、不可逆的であるべきであり、不可逆的は、飲料を再加熱の可能性をもたらし得る反応の逆転が著しい困難なしには不可能であることを意味すると理解すべきである。飲料の温度は、少なくとも15℃、好ましくは20℃低くするべきであり、これは、水ベースの飲料の場合、飲料1リットル当たり約50〜85ジュールの飲料の熱量減少に相当する。これよりも小さい温度低下または熱量減少は、飲料に対して十分な冷却をもたらさないため、飲料は、化学反応が終了して飲料が提供される時でも不適切に生ぬるいであろう。好ましくは、化学反応は、反応物質の120〜240J/ml、最も好ましくは反応物質の240〜330J/mlの熱量減少をもたらす。このような冷却効率は、概ね、氷が水に溶けることによって得られる冷却効率である。化学反応は、可能な限り迅速であるのが好ましいが、冷却装置の近くで氷が形成されるのを回避するために、ある程度の時間が熱エネルギ伝達に認められる。好ましくは、熱量減少または温度低下が、5分以内、好ましくは2分以内に達成されることを企図する。飲料摂取までに許容可能な時間が存在する。この文脈では、炭酸飲料は、典型的には、飲料中で起こるCOの泡の発生が飲料中の乱流の量を増やして飲料内で温度が迅速に等しくなるため、非炭酸飲料と比較して冷却装置のより低い温度が許容されることに留意されたい。
【0012】
さらに、用語「不可逆的」は、語「非可逆的」と同義と見なされるべきである。用語「不可逆反応」は、反応生成物と反応物質が、反応物質および/または反応生成物の割合および/または外部条件、たとえば、圧力や温度などの単純な変更によって逆転可能な化学平衡にならない反応を意味することを理解されたい。不可逆反応の例には、反応生成物が錯体、沈殿物、またはガスである反応が含まれる。化学反応、たとえば、平衡をもたらす、水などの溶液への塩の溶解とイオンへの塩の解離などを伴う反応は、正反応と逆反応が同じ比率で起こると自然に停止し、たとえば、殆どの溶液または混合物では、反応は、反応物質の溶解性によって制限される。上記定義した不可逆反応は、すべての反応物質が反応するまで続く。
【0013】
独国特許出願公開第2150305A1号に、飲料ボトルまたは飲料缶を冷却する方法が記載されている。可溶性塩を含む冷却カートリッジが、飲料ボトルまたは飲料缶内に含められている。特定の量の水に塩を溶解することにより、負の溶解エンタルピーを利用して冷却効果が得られる。しかし、提案された負の溶解エンタルピーの利用では、当初の温度が21℃とすると、達成される最低温度は、約12℃である。どの実施形態の例でも、約5℃の望まれる温度には達しない。飲料中の熱量減少の計算(Q=c×m×ΔT)により、例示的な実施形態は、僅か約15〜38J/mlの飲料の熱量減少しか達成しない。また、実施形態のすべての例は、飲料の容積の33%を超える全容積を有する反応物質を必要とする。さらに、上記文献で提案されたすべての反応は、単に溶液から水を除去することによって反応を逆転させることができるため、可逆反応と見なされる。水を除去することにより、溶解した塩イオンが再結合し、元の反応物質を形成する。
【0014】
独国実用新案第29911156U1号に、外部冷却要素を備えた飲料缶が開示されている。冷却要素は、圧力を加えてこの冷却要素内の2つの化学種を混合することによって作動させることができる。上記文献には、冷却要素の温度が0℃または−16℃に達すると述べられている水中での塩化カリウムと、硝石と、サルミアック塩(salmiacsalt)の溶解と解離を伴う1つの化学反応のみが記載されているが、この記載は、冷却要素の開始温度には触れていない。この記載はまた、冷却要素に用いた寸法と、どの容積の飲料と反応物質が使用されたかにも触れていない。
【0015】
多くの不可逆エントロピー増加反応は、このようなものとして周知である。一例が、インターネットのURL:http://web.archive.org/web/20071129232734/http://chemed.chem.purdue.edu/demo/demosheets/5.1.htmlで見つかる。上記参照は、以下の反応を提案する。
Ba(OH)・8HO(s)+2NHSCN(s)→Ba(SCN)+2NH(g)+10HO(l)
【0016】
上記参照は、上記反応が、吸熱エントロピー増加反応であり、水の氷結温度よりも低い温度にすることを示唆している。しかし、この反応を飲料の冷却に関連して使用できるかについての記載がなく、必要な利用可能な反応物質の量、または反応を開始させるためにアクチュエータを使用するかについての情報が一切ない。
【0017】
殆どの溶液反応とは異なり、上記反応を、液体の水を一切添加せずに開始できることに留意されたい。一部の他の不可逆エントロピー増加反応は、開始のために一滴の水のみを必要とする。
【0018】
アンモニアは有毒と見なされ、飲料に入ると飲料に非常に不快な味を付けるため、アンモニアの使用は、この文脈では好ましくない。好ましくは、すべての反応物質と反応生成物は、非毒性であるのに加えて、偶発的に飲料中に放出された場合にも中立的な味を有するべきである。
【0019】
アクチュエータが、反応物質間の化学反応を開始させるために使用される。反応物質は、反応を開始させるために圧力の上昇または低下を飲料容器内から冷却装置に伝達するための圧力伝達装置を備えることができる。圧力低下は、典型的には、飲料容器が開封されると達成されるため、冷却装置は、飲料容器が開封されると作動するように構成することができる。別法では、機械式アクチュエータを用いて化学反応を開始させることができる。機械式アクチュエータは、紐またはロッドとするか、または化学反応を開始させるために飲料容器の外部と通じさせることができる。別法では、機械式アクチュエータは、容器が開封されたときに化学反応が開始されるように容器のクロージャに接続して取り付けることができる。反応の開始は、2つの反応物質を互いに接触させる、すなわちアクチュエータによって破壊、溶解、または破断される破壊可能、溶解可能、または破断可能な膜によって提供される異なるチャンバ内に反応物質を配置することによって行うことができる。膜は、たとえば、刺入要素を使用して破断させることができる。反応生成物と反応物質は、実質的に非毒性であるべきである。
【0020】
スパイクを使用して2つの化学種を分離している膜を突き通すある種の作動装置が、上記独国特許出願公開第2150305A1号に記載されている。米国特許出願公開第2008/0016882号に、剥離可能な膜または小導管によって分離された2つの化学種を有する作動装置のさらなる例が示されている。
【0021】
生成物の容積は、反応物質の容積を実質的に超えると冷却装置が化学反応中に爆発し得るため、反応物質の容積を実質的に超えるべきではない。3〜5%の安全マージンをとるか、または放出開口を備えることができる。容積の減少も回避すべきである。顆粒は容易に取り扱うことができ混合できるため、反応物質は、顆粒として用意するのが好ましい。顆粒は、反応を防止するコーティングを備えることができる。コーティングは、たとえば、反応チャンバに進入してコーティングを溶解する液体によって反応中に溶解することができる。この液体は、活性剤と呼ぶことができ、たとえば、水、プロピレングリコール、またはアルコールとすることができる。反応制御剤、たとえば、選択的吸収制御剤または遅延温度設定剤を反応速度を遅らせるために使用でき、触媒を反応速度を速めるために使用できることもさらに企図する。容器が、冷却効率を上げるために飲料の流れを冷却装置に案内する案内要素を備え得ることもさらに企図する。本冷却装置は、いわゆるパーティケグ(party keg)に使用することもできる。パーティケグとは、内部を加圧して分配できる飲料ケグのことである。この方法では、比較的大きいパーティケグは、使用する前に予め冷却しなくても良い。別法では、冷却装置は、容器内を自由に移動可能な小型装置として提供することができる。これは、固定冷却装置を設けるのが困難であり得るガラス瓶に適するであろう。
【0022】
本発明の第1の態様のさらなる実施形態によると、2つの別個の反応物質は、1つ以上の塩水和物を含む。塩水和物は、水分子を放出することによってエントロピー増加反応を起こすことが知られている。この文脈では、概念の実証が、研究室で実験を行うことによってなされた。上記の研究室の実験では、それぞれが構造に付加された多数の結晶水分子を有する2つの塩を反応させて遊離水として結晶水を遊離させることによって劇的なエネルギ変化がもたらされた。本研究室の実験では、次の化学反応を試した:NaSO、10HO+CaCl、6HO→2NaCl+CaSO、2HO+14HO。反応式の左側は、合計2つの分子を含むが、反応式の右側は、合計20の分子を含む。したがって、ΔSがk×ln20/2に一致するため、エントロピー要素−TΔSがかなり大きくなる。
【0023】
上記の化学反応は、石膏の水溶液中で単塩を生成する。したがって、この反応のすべての成分が非毒性かつ非汚染性であることが明らかである。本実験では、NaSOを64グラム、CaClを34グラム使用し、反応により、温度が20℃低下し、2時間以上に亘って安定性が維持された。ビール330mlと2つの反応物質を含むボトル100mlを含め、合計450mlの容積を有するプロトタイプのビール缶を製造した。缶の開封後に、反応物質が反応して、飲料缶内のビールが劇的に冷却される。
【0024】
本発明によると、冷却装置は、2つ以上の化学反応物質間の化学反応に基づいて形成される。この化学反応は、全エントロピーの増加によって駆動される自然不可逆吸熱反応である。この化学反応は、周囲から熱を吸収し、結果として系の熱力学的ポテンシャルが増大する。ΔHは、エンタルピーの変化であり、吸熱反応の正の符号を有する。化学反応の自然発生は、ギブス自由エネルギΔGの変化から確かめることができる。
【0025】
一定温度では、ΔG=ΔH−T×ΔSである。反応に対する負のΔGは、反応が自然発生であることを示している。自然吸熱反応の要件を満たすために、反応に対するエントロピーΔSの全増加が、エンタルピーΔHの増加を超えなければならない。
【0026】
本発明の第1の態様のさらなる実施形態によると、少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質は、第1の反応物質と、第2の反応物質と、第3の反応物質とを備え、第2の反応物質と第3の反応物質が、別個の顆粒として存在し、第1の反応物質が、第2の反応物質と第3の反応物質の顆粒を覆うコーティングとして用いられている。第1の反応物質によって第2の反応物質と第3の反応物質をコーティングすることにより、第2の反応物質と第3の反応物質が第3の反応物質によって反応が防止されているため、これら3つの反応物質が混合されても分離された状態に維持されることを保障することができる。この方法では、たとえば、衝撃などによる偶発的な化学反応の開始を回避することができ、少量の水が反応チャンバに進入したとしても、コーティングが第2の反応物質と第3の反応物質を保護するため、反応は開始されない。反応しないコーティングは容積を無駄にして冷却装置を大きくしなければならないため、第1の反応物質をコーティングとして使用するのが好ましい。
【0027】
本発明の第1の態様のさらなる実施形態によると、第2の反応物質と第3の反応物質は、中間反応生成物を生成する第1の不可逆エントロピー増加反応を起こし、そして第3の反応物質が中間反応生成物と反応して第2の不可逆エントロピー増加反応を起こす。中間反応生成物が有毒であるか、または悪臭などの不快感を与える場合は、中間生成物を第3の反応物質と反応させて、中間反応性生物の欠点を一切有していない安全な最終産物を生成することによって、中間生成物の悪影響を回避することができる。
【0028】
本発明の第1の態様のさらなる実施形態によると、中間生成物はガスであり、第2の不可逆エントロピー増加反応は、錯体または沈殿物を生成する。たとえば、中間生成物が、有毒ガスまたは臭気ガスの場合は、この中間生成物は、本文脈での使用に適さないであろう。次いで、ガスを、第3の反応物質と反応させて安全な錯体または沈殿物を生成することによって鎮静化することができる。
【0029】
本発明の第1の態様のさらなる実施形態によると、第1の反応物質は、水または有機溶媒、好ましくは水などの液体によって溶解可能であり、第1の反応物質と、第2の反応物質と、第3の反応物質とが、コーティングによって反応が防止されている。反応開始時に、コーティングを少なくとも部分的に溶解するのに十分な量の水が冷却装置内に導入され、これにより3つすべての反応物質が溶解して互いに反応することができる。
【0030】
本発明の第1の態様のさらなる実施形態によると、冷却装置は、容器内に収容されている。冷却エネルギの大部分が飲料の冷却に使用され、周囲に消失しないようにするために、冷却装置を、好ましくは、飲料と直接接触するように、より好ましくは、飲料によって完全に取り囲まれるように容器内に配置することができる。
【0031】
反応物質
本発明による冷却装置は、互いに反応すると、反応物質の化学量数よりも少なくとも3、好ましくは4、より好ましくは5大きい化学量数の実質的に非毒性の生成物を生成する不可逆エントロピー増加反応を開始する少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質を含む。反応物質は、好ましくは、固体であるが、固体−液体、液体−液体、および固体−固体−液体の反応物質も、本文脈、すなわち飲料容器で使用される冷却装置の実施の文脈で適切であることも企図する。固体反応物質は、粉末、顆粒、または削り屑などとして存在することができる。
【0032】
反応物質と生成物は、実質的に非毒性である。
【0033】
本発明の文脈では、非毒性は、文字通り解釈されるべきではなく、本発明によって使用される量と形態で摂取されたときに致死性ではないあらゆる反応物質または生成物が当てはまると解釈されるべきである。適切な反応物質は、(a)遊離結晶水中で易溶解性である、または(b)遊離結晶水中で難溶解性である生成物を生成する。易溶解性生成物と難溶解性生成物を以下に列記する。
易溶解性 難溶解性
NaCl BaSO
KCl BaCO
NHCl Bi(OH)
NHBr CaCO
NH Ca(PO
NHNO CaSO・2H
(NHSO CoCO
NHHSO Co(OH)
CaCl CuBr
CrCl Cu(OH)
CuBr Fe(OH)
LiBr・2HO Fe(OH)
LiCl・HO FePO・2H
NHOH Fe(PO
KBr LiCO
KCO・1 1/2HO MgCO
KOH・2HO MnCO
KNO Mn(OH)
KHPO Ni(OH)
KHSO4 SrCO
NaBr2HO SrSO
NaClO Sn(OH)
NaOH・HO ZnCO
NaNO Zn(OH)
NaSCN
SnSO
TiCl
TiCl
ZnBr・2H
ZnCl
NHSCN
【0034】
さらなる適切な反応物質は以下の通りである。
NaAl(SO)2、12H
NHAl(SO)2、12H
LiOH H
NaSiO
NaSiO.xHO、x=5−9
NaO.xSiO x=3−5
NaSiO
NaSiO7
LiSiO
LiSiO
【0035】
さらなる反応物質と反応物質のセットを下の表1と表2に列記する。
【0036】
塩生成物は、好ましくは、易溶解性塩であるが、難溶解性生成物は、実質的に毒性を与えない有毒の塩生成物が好ましい。
【0037】
不可逆エントロピー増加反応中の容積の変化が、±5%以下、好ましくは±4%以下、さらに好ましくは±3%以下であるか、あるいは冷却装置が、不可逆エントロピー増加反応で生成されたあらゆる過剰なガスの大気への放出が可能となるように大気に連通している。
【0038】
本発明による適切な固体反応物質は、塩水和物と酸水和物である。本発明による塩水和物は、有機塩水和物または無機塩水和物であり、好ましくは無機塩水和物である。一部の以下の塩は、選択的吸収を制御するために、ほんの微量存在すると考えられる。適切な有機塩水和物には、ピクリン酸マグネシウム八水和物Mg(C(NOO)・8HO、ピクリン酸ストロンチウム六水和物Sr(C(NOO)・6HO、酒石酸カリウムナトリウム四水和物KNaC・4HO、コハク酸ナトリウム六水和物Na(CH(COO)・6HO、酢酸銅一水和物Cu(CHCOO)・HOなどが含まれる。本発明による適切な無機塩水和物は、リチウム、ナトリウム、およびカリウムなどのアルカリ金属の塩水和物と、ベリリウム、カルシウム、ストロンチウム、およびバリウムなどのアルカリ土類金属の塩水和物と、クロム、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、および亜鉛などの遷移金属の塩水和物と、アルミニウム塩水和物と、ランタン塩水和物である。適切なアルカリ金属塩水和物は、たとえば、LiNO・3HO、NaSO・10HO(グラウバー塩)、NaSO・7HO、NaCO・10HO、NaCO・7HO、NaPO・12HO、NaHPO・12HO、Na・10HO、Na・6HO、NaBO・4HO、Na・10HO、NaClO・5HO、NaSO・7HO、Na・5HO、NaBr・2HO、Na・6HO、KPO・3HOなどであり、好ましい適切なアルカリ土類金属塩水和物は、たとえば、MgCl・6HO、MgBr・6HO、MgSO・7HO、Mg(NO・6HO、CaCl・6HO、CaBr・6HO、Ca(NO・4HO、Sr(NO・4HO、Sr(OH)・8HO、SrBr・6HO、SrCl・6HO、Srl・6HO、BaBr・2HO、BaCl・2HO、Ba(OH)・8HO、Ba(BrO・HO、Ba(ClO・HOなどである。適切な遷移金属塩水和物は、たとえば、CrK(SO・12HO、MnSO・7HO、MnSO・5HO、MnSO・HO、FeBr・6HO、FeBr・6HO、FeCl・4HO、FeCl・6HO、Fe(NO・9HO、FeSO・7HO、Fe(NH(SO4)・6HO、FeNH(SO・12HO、CoBr・6HO、CoCl・6HO、NiSO・6HO、NiSO・7HO、Cu(NO・6HO、Cu(NO・3HO、CuSO・5HO、Zn(NO・6HO、ZnSO・6HO、ZnSO・7HOなどである。適切なアルミニウム塩水和物は、たとえば、Al(SO・18HO、AlNH(SO・12HO、AlBr・6HO、AlBr・15HO、AlK(SO・12HO、Al(NO・9HO、AlCl・6HOなどである。適切なランタン塩水和物は、LaCl・7HOである。本発明による適切な酸水和物は、クエン酸一水和物などの有機酸水和物である。
【0039】
塩水和物または酸水和物は、好ましくは、別の塩水和物または酸水和物と反応するが、結晶水が十分な量で遊離して、エントロピー寄与にかかわる吸熱反応を駆動する限り、あらゆる非水和化合物と反応することもできる。
【0040】
本発明による適切な非水和化合物には、酸、アルコール、有機化合物、および非水和塩が含まれ得る。酸は、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、ギ酸、酢酸、氷酢酸などとすることができる。アルコールは、マンニトール、レソルシノールなどとすることができる。有機化合物は、尿素などとすることができる。本発明による非水和塩は、たとえば、無水アルカリ金属塩、無水アルカリ土類金属塩、無水遷移金属塩、無水アルミニウム塩、無水錫塩、無水鉛塩、無水アンモニウム塩、および無水有機塩などとすることができる。適切な無水アルカリ金属塩水和物は、たとえば、NaClO、NaCrO、NaNO、K、KSO、K、K、KBrO、KCl、KClO、KlO、KCr、KNO、KClO、KMnO、CsClなどである。適切な無水アルカリ土類金属は、たとえば、CaCl、Ca(NO、Ba(BrO、SrCO、(NHCe(NOなどである。適切な無水遷移金属塩は、たとえば、NiSO、Cu(NOである。適切な無水アルミニウム塩は、Al(SOなどである。適切な無水錫塩は、SnI(s)、SnI(g)などである。適切な無水鉛塩は、PbBr、Pb(NOなどである。適切なアンモニウム塩は、NHSCN、NHNO、NHCl、(NH4)2Cr2O7などである。適切な無水有機塩は、たとえば、酢酸尿素、ギ酸尿素、硝酸尿素、およびシュウ酸尿素などである。
【0041】
上に列記したあらゆる水和塩または水和酸の無水型を、本発明による反応における非水和化合物として使用できることもさらに企図する。本発明による液体反応物質は、PBr、SCl、SnCl、TiCl、VClなどの液体塩、またはCHCLなどの液体有機化合物とすることができる。
【0042】
反応に寄与する反応物質の数は、少なくとも2つである。一部の実施形態は、3つ以上の反応物質を使用することができる。
【0043】
本発明による1つの可能な反応は以下の通りである。
NaSO・10HO(s)+CaCl・6HO(s)→2Na(aq)+2Cl(aq)+CaSO・2HO(s)+14HO(l)
ΔH=2×(−240kJ/mol)+2×(−167kJ/mol)+(−2023kJ/mol)+14×(−286kJ/mol)−((−4327kJ/mol)+(−2608kJ/mol))=94kJ/mol
ΔS=2×(58J/K×mol)+2×(57J/K×mol)+(194J/K×mol)+14×(70J/K×mol)−((592J/K×mol)+(365J/K×mol))=2.361kJ/K×mol
室温(T=298K)において、
ΔG=ΔH−T×ΔS=94kJ/mol−298K×0.447kJ/K×mol=−39kJ/mol
【0044】
負の符号は、反応が自然発生であることを示している。
【0045】
生成物の反応物質に対する化学量数は、19/2=9.5:1である。
【0046】
本発明による別の可能な反応は以下の通りである。
NaSO・10HO(s)+Ba(OH)・8HO(s)→BaSO(s)+2Na(aq)+2OH(aq)+18HO(l)
ΔH=−1473kJ/mol+2×(−240kJ/mol)+2×(−230kJ/mol)+18×(−286kJ/mol)−(−4327kJ/mol+(−3342kJ/mol))=108kJ/mol
この反応の室温(T=298K)におけるΔGは、直接計算することができる。
ΔG=−1362kJ/mol+2×(−262kJ/mol)+2×(−157kJ/mol)+18×(−237kJ/mol)−(−3647kJ/mol+(−2793kJ/mol))=−26kJ/mol
【0047】
したがって、この反応は、自然発生である。生成物の反応物質に対する化学量数は、23/2=11.5:1である。
【0048】
本発明によるさらに可能な反応は以下の通りである。
Ba(OH)・8HO(s)+2NHSCN(s)→Ba(SCN)+2NH(g)+10HO(l)
ΔH=102kJ/mol
ΔS=0.495kJ/K×mol
ΔG=ΔH−T×ΔS=102kJ/mol−298K×0.495kJ/K×mol=−45.5kJ/mol
【0049】
この反応は自然発生である。生成物の反応物質に対する化学量数は、13/3=4.33:1である。
【0050】
さらなる反応の例は、以下の通りである。
a) Ba(OH)・8HO(s)+2NHNO(s)→Ba(NO+2NH(g)+10HO(l)
b) Ba(OH)・8HO(s)+2NHCl(s)→BaCl+2NH(g)+10HO(l)
【0051】
添加剤と活性剤
反応は、好ましくは、極性溶媒、たとえば、水、グリセリン、エタノール、プロピレングリコールなどの添加によって開始されるが、反応は、反応物質に接触させることによって単純に開始することもできる。
【0052】
一部の反応では、反応物質は、接触または混合されると反応しなくなることがある。このような反応では、反応を可能にするために適切な触媒を使用することができる。
【0053】
一部の実施形態では、固体反応物質は、コーティングまたはマイクロカプセル化することができる。適切な外部コーティングは、耐熱性であるが、コーティングを溶解できる活性化流体と接触すると溶解する。適切なコーティングには、デンプンとセルロースなどの糖質、ポリエチレングリコール(PEG)などのポリエーテルが含まれるが、セラックまたはプラスチックも含まれる。適切な活性化流体には、水、アルコール、有機溶媒、酸が含まれる。コーティングの代わりとして、固体反応物質を、可溶性ゲルまたはフォーム内に埋め込むことができる。
【0054】
コーティングを使用することにより、反応物質を、反応速度を高めるために予め混合することができる。さらに、反応物質のコーティングは、飲料の保存状態または飲料の熱処理による冷却効果の早過ぎる開始を防止する。一部の実施形態では、反応物質質量の一部を、反応を遅くして反応によってもたらされる冷却を引き延ばすために、厚いコーティングで被覆する。他の実施形態では、2つ以上のコーティングを反応物質に施しても良いし、異なるコーティングを、異なる反応物質または反応物質質量の一部に施しても良い。コーティングの代わりに、反応物質を有機溶剤等の非水流体に懸濁することもできる。
【0055】
適切な溶融温度を有する遅延温度設定剤は、本発明に使用することができる。適切な溶融温度は、遅延温度設定剤が、氷点よりも高い温度または冷却する飲料の望ましい冷却をもたらす任意の望ましい温度で液体であり、かつ温度がこの氷点よりも下がると固化して反応を遅延させ、これにより飲料容器内の飲料の凍結を防止する温度とすることができる。遅延温度設定剤は、その固化形態が本発明による反応の反応速度を低下させるように、水の氷結温度よりも高い適切な溶融温度、たとえば、0℃〜+10℃の温度、たとえば、2℃〜6℃を有する任意の化合物とすることができる。適切な遅延温度設定剤の例には、ポリエチレングリコール、脂肪酸、またはポリマーが含まれる。
【0056】
反応物質は、特定の用途に反応速度を合わせるために様々なサイズの顆粒の形態とすることができる。顆粒は、上記のようにコーティングすることもできる。
【0057】
一部の反応では、グリセロールなどの溶媒または微量汚染物質を添加して、コーティングが残っている反応物質からの生成物の結晶の生成を防止して、さらなる反応を阻害することが好ましい。反応速度を制御し、かつ/または完全な反応を保障するために、吸収剤(adsorbent)を使用して生成物を選択的に吸収することができる。一部の反応では、反応を開始するために使用される液体活性剤は、選択的吸収制御剤としても機能して反応を制御する。
【0058】
酸性生成物または塩基性生成物を生成する反応では、pH調整緩衝剤を含めることができる。この緩衝剤を使用して、ガスの形態の生成物の溶解を促進することもできる。
【0059】
1つ以上の反応物質を前駆体から現位置で形成できることを企図する。これは、冷却装置が容器内に配置された後に冷却装置の早過ぎる作動または事前作動の防止に有利であろう。
【0060】
添加物:3,7−ジアミノ−5−フェノチアジニウムアセタート、18クラウン6エーテル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリンジノンが、反応の制御の文脈で一部の反応に適切であり得ることをさらに企図する。
【0061】
現在好ましい反応
現在好ましい反応は、水酸化ストロンチウム八水和物と硝酸アンモニウムとの間の反応である。最終生成物を安全に生成するために、硝酸マグネシウム六水和物を第3の反応物質として添加する。最も好ましくは、硝酸マグネシウム六水和物を、水酸化ストロンチウム八水和物と硝酸アンモニウムを分離するためのコーティングとして使用する。上記反応物質は、一次反応とNH3精製反応で反応する。高い冷却効果を有する一次反応は以下の通りである。
3Sr(OH)8HO(s)+6NHNO3(s)→3Sr2++6NO+6NH+30H
【0062】
NHは、有毒と見なされ、少なくとも不快な臭気を有し得るため、さらなる反応によって鎮静化しなければならない。NHを沈静化する反応は、以下の一次反応の冷却効率よりも低い冷却効率を有する。
3Sr2++6NO+6NH+30HO+Mg(NO6HO(s)→3Sr2++8NO+Mg(NH)62++36H
【0063】
最終生成物は、僅かにアンモニアの臭いのする完全に安全な白いゲルである。
【0064】
飲料330mlを20℃冷却させるには、上記反応物質88mlが必要である。したがって、一般的な440mlの飲料缶を、飲料330mlと反応物質88mlを収容するために使用することができる。
【0065】
飲料の冷却
用いられる反応、反応混合物と飲料の熱容量、飲料の初期温度、および飲料と反応物質の量のそれぞれによって、広範囲の冷却効果を得ることができる。本発明による冷却装置は、冷却装置の容積が容器の容積の30%を超えない限り、任意の量の反応物質を含むことができる。
【0066】
飲料容器内の冷却装置の冷却効果は、飲料の容量を5分以内、好ましくは2分以内の時間で、少なくとも10℃冷却させるのに十分であるべきである。
【0067】
主に水からなる飲料の場合は、特定の熱容量は、液体水の特定の熱容量:4.18kJ/kg・Kに近似させることができる。飲料を冷却するために必要な冷却効果qは、式:q=m・ΔT・Cpによって求めることができる。したがって、飲料1kgを20℃冷却するためには、冷却装置は、冷却すべき飲料から83.6kJの熱量を吸収しなければならない。したがって、本発明では、飲料の熱量の減少は、5分以内、好ましくは3分以内、より好ましくは2分以内の時間で、飲料1ml当たり少なくとも50ジュール、好ましくは飲料1ml当たり少なくとも70ジュール、たとえば、飲料1ml当たり70〜85ジュール、好ましくは飲料1ml当たり約80〜85ジュールであるべきである。
【0068】
さらなる実施形態によると、容器本体は、容積が3〜50リットルのポリマー材料または金属材料からなる飲料ケグを備えることができ、ケグは、収縮可能であるか硬質であり、クロージャは、ケグに連結している。別法では、容器本体は、ガラスまたはポリマー材料のボトルを備えることができ、このボトルは、0.2〜3リットルの容積を有し、クロージャは、ねじ蓋、キャップ、または栓である。さらなる別法では、容器本体は、金属材料、好ましくはアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる飲料缶と飲料蓋を備えることができ、飲料缶は、0.2〜1リットルの容積を有し、クロージャは、飲料蓋のエンボス領域によって構成されている。さらなる別法では、容器は、好ましくは、バッグ−イン−ボックス、バッグ−イン−バッグ、またはバッグ−イン−ケグとしてバッグを備えることができる。
【0069】
さらなる実施形態によると、容器は、飲料の流れを容器本体から案内するための案内要素を備えている。案内要素は、飲料の流れを冷却装置を経てクロージャに向かって案内する役割を果たすことができる。冷却装置は、容器内に配置することができ、別法では、冷却装置は、容器の外部に配置される。容器本体は、内壁と外壁を構成する二重壁容器を構成することができ、冷却装置は、内壁と外壁との間に配置することができる。
【0070】
さらなる態様によると、容器本体は、容器内に収容されるか、または加圧ホースによって容器に接続される圧力発生装置を備えることができる。圧力発生装置は、好ましくは、飲料容器内に飲料を加圧するための二酸化炭素発生装置を備える。
【0071】
さらなる実施形態によると、容器は、飲料容器から飲料を選択的に分配するためにタップラインとタップ弁を備えることができる。飲料容器は、炭酸飲料、たとえば、ビール、サイダー、ソフトドリンク、ミネラルウォーター、スパークリングワイン、または非炭酸飲料、たとえば、フルーツジュース、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、水道水、ワイン、アルコール飲料、アイスティー、またはカクテルを構成する飲料で満たすことができる。
【0072】
さらなる実施形態によると、冷却装置は、飲料容器の一体部分または飲料容器の上部の一部、あるいは飲料容器の壁部または底部の一部を形成する。冷却装置は、飲料容器の基部、容器の壁部、または容器の上部に固定される。別法では、冷却装置は、小型装置を構成し、この小型装置は、容器内を自由に移動可能である。
【0073】
さらなる実施形態によると、冷却装置は、飲料缶のサイズの金属缶として、飲料を含む多数の容器を収容する冷却ボックスとして、飲料ボトルなどの中に配置される冷却スティックとして、容器の一部、たとえば、ボトルのネックまたは金属缶もしくは金属ボトルの本体部分を取り囲むように配置されるスリーブとして、あるいはクロージャの一部またはボトルのキャップとして構成することができる。
【0074】
本発明とその多くの利点を、一部の限定目的ではない実施形態を示す例示目的の添付の模式図を参照しながら詳細に後述する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1A】ガス透過性膜を備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器を示している。
【図1B】ガス透過性膜を備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器を示している。
【図1C】ガス透過性膜を備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器を示している。
【図2A】補助反応チャンバを備えた冷却装置を有する自己冷却式容器である。
【図2B】補助反応チャンバを備えた冷却装置を有する自己冷却式容器である。
【図3A】可溶性プラグを備えた冷却装置を有する自己冷却式容器である。
【図3B】可溶性プラグを備えた冷却装置を有する自己冷却式容器である。
【図3C】可溶性プラグを備えた冷却装置を有する自己冷却式容器である。
【図4A】刺入可能な膜を備えた冷却装置を有する自己冷却式容器である。
【図4B】刺入可能な膜を備えた冷却装置を有する自己冷却式容器である。
【図5A】キャップを備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図5B】キャップを備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図6A】破断可能なダイヤフラムを備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図6B】破断可能なダイヤフラムを備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図7A】テレスコープ弁を備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図7B】テレスコープ弁を備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図8A】水溶性ダイヤフラムを備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図8B】水溶性ダイヤフラムを備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図9A】可撓性シリンダを備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図9B】可撓性シリンダを備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図9C】可撓性シリンダを備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図9D】可撓性シリンダを備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図9E】可撓性シリンダを備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図10A】一対のキャップを備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図10B】一対のキャップを備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図11A】キャップと破断可能なダイヤフラムを備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図11B】キャップと破断可能なダイヤフラムを備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図12A】刺入可能な膜と破断可能な膜を備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図12B】刺入可能な膜と破断可能な膜を備えた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図13A】小型装置を構成する冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図13B】小型装置を構成する冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図14A】小型装置と作動制御流体を構成する冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図14B】小型装置と作動制御流体を構成する冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図15A】追加の反応チャンバを有する小型装置を構成する冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図15B】追加の反応チャンバを有する小型装置を構成する冷却装置を有する自己冷却式飲料容器である。
【図16A】缶の形状を有する冷却装置を備え、長方形の冷却ボックスである。
【図16B】缶の形状を有する冷却装置を備え、長方形の冷却ボックスである。
【図17A】冷却装置が中心に配置されたブラウン型(brown shape)をした冷却ボックスである。
【図17B】冷却装置が中心に配置されたブラウン型をした冷却ボックスである。
【図17C】冷却装置が中心に配置されたブラウン型をした冷却ボックスである。
【図18A】冷却装置が取り付けられた自己冷却式飲料容器の充填工程を示している。
【図18B】冷却装置が取り付けられた自己冷却式飲料容器の充填工程を示している。
【図18C】冷却装置が取り付けられた自己冷却式飲料容器の充填工程を示している。
【図18D】冷却装置が取り付けられた自己冷却式飲料容器の充填工程を示している。
【図18E】冷却装置が取り付けられた自己冷却式飲料容器の充填工程を示している。
【図18F】冷却装置が取り付けられた自己冷却式飲料容器の充填工程を示している。
【図19A】小型装置を構成している冷却装置を有する自己冷却式飲料容器の充填工程を示している。
【図19B】小型装置を構成している冷却装置を有する自己冷却式飲料容器の充填工程を示している。
【図19C】小型装置を構成している冷却装置を有する自己冷却式飲料容器の充填工程を示している。
【図19D】小型装置を構成している冷却装置を有する自己冷却式飲料容器の充填工程を示している。
【図19E】小型装置を構成している冷却装置を有する自己冷却式飲料容器の充填工程を示している。
【図19F】小型装置を構成している冷却装置を有する自己冷却式飲料容器の充填工程を示している。
【図20A】蓋が付いた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器の充填工程を示している。
【図20B】蓋が付いた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器の充填工程を示している。
【図20C】蓋が付いた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器の充填工程を示している。
【図20D】蓋が付いた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器の充填工程を示している。
【図20E】蓋が付いた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器の充填工程を示している。
【図20F】蓋が付いた冷却装置を有する自己冷却式飲料容器の充填工程を示している。
【図21A】自己冷却式パーティー・ケグ・システムを示している。
【図21B】自己冷却式パーティー・ケグ・システムを示している。
【図22A】瞬間冷却を達成するための冷却装置を備えたケグを有する飲料ディスペンスシステムを示している。
【図22B】瞬間冷却を達成するための冷却装置を備えたケグを有する飲料ディスペンスシステムを示している。
【図23A】刺入膜が設けられた冷却装置を備えた飲料ケグを有する飲料ディスペンスシステムを示している。
【図23B】刺入膜が設けられた冷却装置を備えた飲料ケグを有する飲料ディスペンスシステムを示している。
【図24】ボタン作動式冷却装置を有する飲料ボトルを示している。
【図25】圧力作動式冷却装置を有する飲料ボトルを示している。
【図26A】使用者によって作動される、キャップが付いた冷却装置を有する飲料ボトルを示している。
【図26B】使用者によって作動される、キャップが付いた冷却装置を有する飲料ボトルを示している。
【図27A】内部冷却装置を備えた飲料スティックを構成している冷却装置を示している。
【図27B】内部冷却装置を備えた飲料スティックを構成している冷却装置を示している。
【図27C】内部冷却装置を備えた飲料スティックを構成している冷却装置を示している。
【図27D】内部冷却装置を備えた飲料スティックを構成している冷却装置を示している。
【図28A】飲料ボトルのネックに取り付けられるボトルスリーブを示している。
【図28B】飲料ボトルのネックに取り付けられるボトルスリーブを示している。
【図28C】飲料ボトルのネックに取り付けられるボトルスリーブを示している。
【図29A】飲料ボトルの本体の周りに取り付けられるボトルスリーブを示している。
【図29B】飲料ボトルの本体の周りに取り付けられるボトルスリーブを示している。
【図29C】飲料ボトルの本体の周りに取り付けられるボトルスリーブを示している。
【図29D】飲料ボトルの本体の周りに取り付けられるボトルスリーブを示している。
【図30】選択的吸収剤が角での成長を防止した反応の結晶を示している。
【図31】複数の飲料缶を収容するためのディスペンス/冷蔵システムである。
【図32】複数の飲料缶を収容するための冷蔵システムである。
【発明を実施するための形態】
【0076】
各図面は、本発明による冷却装置の様々な例示的な実施形態を例示している。
【0077】
図1Aは、本発明による自己冷却式容器10の部分断面図を示している。自己冷却式容器10は、たとえば、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの薄い金属シートからなる飲料缶12を備えている。飲料缶12は、飲料缶基部14と蓋16によって閉じられた円筒本体を有する。蓋16は、タブと、クロージャを構成するエンボス領域を備えている(タブとエンボス領域は、この図では見えない)。飲料缶12は、冷却装置を備え、この冷却装置は、飲料缶12内の飲料缶基部14に並置されている。冷却装置20は、飲料缶12に類似しているがサイズが著しく小さい薄い金属シートの円筒体を備える。別法では、冷却装置20は、プラスチックから形成されているラミネートまたは薄いアルミニウムホイルでコーティングされた同様のポリマー材料とすることができる。冷却装置のサイズは、十分な冷却効果を達成すると共に、飲料缶12内に収容することができる飲料の量を実質的に減らさないようにするために、飲料缶12の全容積の約20%〜30%、好ましくは飲料缶12の全容積の約25%に相当する。飲料、好ましくは炭酸飲料、たとえば、ビール、スパークリングワイン、または様々なソフトドリンクは、飲料缶12に充填され、典型的には飲料缶12の容積の70%を占め、蓋16と飲料の上面との間に約5%の空間が形成される。冷却装置20は、底部22と上部24との間に延在する。底部22は、好ましくは、冷却装置20が飲料缶12内で安定な位置をとるように飲料缶基部14に固定される。別法では、冷却装置20は、飲料缶12の固有部分を構成する。たとえば、冷却装置20を備える飲料缶12は、一片の金属シートから打ち抜くことができる。冷却装置20の上部24と飲料缶12の蓋16は、別個の部品であり、冷却装置の上部は、冷却装置20が充填されてから取り付けられ、蓋は、飲料缶12が充填されてから取り付けられる。冷却装置20の上部24は、飲料がまったく入らないように冷却装置20の内部を密閉する。上部24は、ガス透過性膜26を備え、このガス透過性膜は、空気または二酸化炭素などのガスの冷却装置20への進入は可能にするが、飲料などの液体の進入は防止する。冷却装置20の内部は、ガス透過性膜26に近接して配置された圧力空間32と、底部22の近傍に配置された主反応物質チャンバ28と、圧力空間32と主反応物質チャンバ28との間に配置された水チャンバ44とに分かれている。主反応物チャンバ28は、冷却装置20の大部分を構成し、顆粒反応物質29が充填されている。顆粒反応物質29は、互いに反応すると周囲の飲料からエネルギを吸収して飲料を冷却する少なくとも2つの分離した反応物質を含む。反応は、典型的には、2つの反応物質が互いに接触すると開始される。反応物質の正確な組成は、この記載の化学の部分で詳細に後述する。少なくとも1つの化合物が、水溶性コーティングを有する顆粒を構成し、この顆粒は、反応物質が互いに接触するのを防止して、一切の反応の開始を防止する。水溶性コーティングは、たとえば、デンプンとすることができる。代替の実施形態では、1つまたは複数の顆粒を、可溶性ゲルまたはフォーム内に埋め込むことによって反応を防止することができる。さらなる別法では、反応物質は、上記のコーティング、ゲル、またはフォームによって互いに分離された高度に圧縮された薄いディスクまたはプレートとして用意することができる。
【0078】
圧力空間32は、可撓性ダイヤフラム30によって水チャンバ44から分離されている。可撓性ダイヤフラム30は、漏斗型であり、可撓性ダイヤラム30の周囲を構成している丸い円周補強ビード34から、可撓性ダイヤフラム30の中心部を構成している円形壁40まで延びている。円形壁40は、圧力空間32を主反応物質チャンバ28から分離している。丸い円周補強ビード34は、ワッシャ36に並置されており、ワッシャ36は、丸い円周補強ビードを上部24に対して密閉している。水チャンバ44が、上部24から内側下方に延びている硬質カップ型壁38によって主反応物質チャンバ28から分離されている。可撓性ダイヤフラムは、円形壁40で下方に延びている円周把持フランジ42を備えている。円周把持フランジ42は、カップ型壁38の端部の周りを把持して、水チャンバ44を主反応物質チャンバ28から遮断している。
【0079】
冷却装置は、主反応物質チャンバ28を顆粒反応物質29で満たし、水チャンバ44を水で満たし、次いで上部を冷却装置20に取り付けて密閉することによって用意する。続いて、飲料缶12を飲料で満たし、加圧し、そして蓋16で密閉する。飲料缶12内の圧力は、飲料缶12内と冷却装置20内とで等しい圧力が維持されるため、冷却装置20が作動しないことを保障する。
【0080】
図1Bは、飲料缶12が開封されて、冷却装置20内で化学反応が開始されたときの自己冷却式容器10の部分断面図である。飲料缶12は、タブ18を、蓋16に並置された通常の水平位置から、蓋16に対して外側に延びた垂直位置まで傾けて開封する。タブ18を垂直位置に傾けることにより、タブ18が、蓋16のエンボス領域内に突き出て、エンボス領域が破断し、飲料缶12の飲料の出口(不図示)が画定される。飲料缶12が開封されると、飲料缶12内の高圧CO2ガスが外部の大気に逃げる。飲料缶12内が大気圧になると、ガスが圧力空間32からガス透過性膜26を介して飲料缶12にゆっくりと逃げる。同時に、主反応物質チャンバ28内の高い圧力が、可撓性ダイヤフラム30に圧力を加えるため、可撓性ダイヤフラム30が上部24に向かって移動する。丸い円周補強ビード34とワッシャ36が、圧力空間32と主反応物質チャンバ28を流体密閉する。可撓性ダイヤフラム30が、作動位置をとる、すなわち上部24に向かって移動すると、円周把持フランジ42が硬質カップ型壁38から外れ、水チャンバ44内に保持された水が主反応物質チャンバ28内に流れる。主反応物質チャンバに進入した水が、顆粒反応物質の水溶性コーティングを溶解して化学反応を開始させる。反応は、吸熱反応であり、飲料からエネルギを吸収する、すなわち飲料が冷たくなる一方、熱エネルギが飲料から冷却装置20に移動する。化学反応についてのさらなる詳細は後述する。冷却装置20によって吸収される熱エネルギは、飲料缶12内の飲料を冷やす。数秒後、飲料の相対温度が約10℃、典型的には20℃下がり、飲料を飲む人が、飲料缶12を開封してすぐに冷たい飲料を味わうことができる。小売店内に冷蔵されずに保存されている飲料缶12は、典型的には、約22℃の温度であり得る。開封後、飲料は熱損失などにより約6℃まで急冷される。冷却に必要な時間は、典型的には5分未満、より典型的には3分未満である。飲料を飲む人が飲料を飲み終わったら、飲料缶12は廃棄することができ、飲料缶12の金属は、環境に優しい方法でリサイクルすることができる。
【0081】
図1Cは、飲料缶12が開封されて、冷却装置20で化学反応が開始された直後の自己冷却式容器10の代替の実施形態の部分断面図であり、図1Bに類似している。図1Cは、反応物質チャンバ28の上部を示す第1の拡大図と、反応物質チャンバ28の下部を示す第2の拡大図をさらに示している。拡大図から、この時点で、図1Cに点線で示されている水が反応物質チャンバ28の上部の顆粒反応物質29に接触しているが、反応物質チャンバ28の下部は乾燥したままである。
【0082】
顆粒反応物質29は、コアと、このコアを完全に覆っているコーティングを有している。顆粒反応物質29は、29Aとして示されている第1の反応物質のコーティングと29Bとして示されている第2の反応物質のコアを有するタイプの顆粒反応物質29と、29Aとして示されている第1の反応物質のコーティングと29Cとして示されている第3の反応物質のコアを有する別のタイプの顆粒反応物質29の2つに分けられる。
【0083】
反応物質チャンバ28の下部を示している第2の拡大図では、コア29Bと29Cが互いに接触していないため化学反応を開始できない。反応物質チャンバ28の上部を示している第1の拡大図では、顆粒反応物質29が水に曝露され、コーティング29Cが分解し始め、これによりすべての反応物質29A、29B、29Cが混ざって互いに反応する。
【0084】
反応物質BとCは、初めに反応して反応生成物を生成し、この反応生成物は、反応物質Aと反応することによって鎮静化される。
【0085】
図2Aは、図1の自己冷却式容器10のすべての特徴を備えた自己冷却式容器10IIのさらなる実施形態の部分断面図である。しかし、本発明の自己冷却式容器10IIは、主カップ型壁38の外部の下側に取り付けられた補助カップ型壁46をさらに備えている。主把持フランジ42の延長部を構成している補助把持フランジ48が、補助カップ型壁46と主カップ型壁38と共に、補助反応物質チャンバ50を画定している。補助反応物質チャンバ50は、補助顆粒反応物質が充填され、この補助顆粒反応物質は、反応における反応物質の1つを構成している。他の反応物質は、主反応物質チャンバ28内に配置されているため、顆粒反応物質のコーティングの必要がない。
【0086】
図2Bは、飲料缶が開封されて化学反応が開始されたときの図2Aの自己冷却式容器10IIを示している。開始された状態では、円周把持フランジが、図1Aに示されているようにカップ型壁38から外れているため、水チャンバ44内の水が主反応物質チャンバ28内に流れることができる。同時に、円周把持フランジ42によって可撓性ダイヤフラム30に接続された補助把持フランジ48が、補助カップ型壁46から外れ、補助反応物質が主反応物質チャンバ28に入ることができ、これにより化学反応が開始される。本実施形態は、追加のチャンバを必要とするが、反応物質が別個のチャンバに保存されるため、顆粒反応物質の一切のコーティングが必要ないという利点を有する。
【0087】
図3Aは、図2に示されている自己冷却式容器10IIに類似した自己冷却式容器10IIIを示している。自己冷却式容器10IIIは、圧力空間32を有するが、ガス透過性膜の代わりとして、水溶性プラグ27が冷却装置20の上部24に収容されている。水溶性プラグ27は任意の水溶性材料とすることができ、このような水溶性材料は、非毒性であり、十分に硬質の耐圧プラグを形成でき、このプラグは、飲料などの水溶液に曝露されると数分以内に溶解する。非毒性は、たとえば、国立保健機関等によって消耗品への使用が許可されている材料を意味することを企図する。このような材料には、砂糖、デンプン、またはゼラチンが含まれ得る。水溶性プラグ27により、冷却装置20を準備して、飲料缶に使用されるまで長期間、たとえば、数日または数週間に亘って加圧することができる。水溶性プラグ27は、冷却装置20内、すなわち主反応物質チャンバ28、水チャンバ44、および圧力空間32内の圧力が上部24から外部に逃げるのを防止する。可撓性膜は、本実施形態ではゴムから形成されており、同様にゴムから形成され、カップ型壁38に並置され、円形壁40と丸い円周補強ビード34との間に延在する支持ダイヤフラム31を備えている。可撓性ダイヤフラム30と支持ダイヤフラム31との間の圧力を等しくするために、圧力口52が、可撓性膜に設けられており、これにより支持ダイヤフラム31と可撓性膜30との間の空間と圧力空間32との間で圧力を等しくすることが可能である。
【0088】
図3Bは、化学反応が開始される前の、飲料缶12とこの飲料缶12内に配置された冷却装置20とを備えた自己冷却式容器10IIIを示している。水溶性プラグ26は、飲料缶12に飲料が充填され、炭酸ガスが注入され/加圧されている際に、圧力空間32内の圧力が冷却装置20の外部に逃げるのを防止する。一定時間後か、あるいは低温殺菌中に、水溶性プラグ26が溶解し、飲料缶12の内部と冷却装置20の圧力空間32との間が流体連通する。飲料缶12内の圧力が、冷却装置20IIIを反応前状態、すなわち化学反応が開始されていない状態に維持する。
【0089】
図3Cは、飲料缶12が開封されて化学反応が開始されたときの図3Bによる自己冷却式容器10IIIを示している。飲料缶12が開封されると、飲料缶12内の圧力と圧力空間32内の圧力が、飲料缶12の外部の周囲圧力まで低下する。このため、図2を参照して既に説明したように冷却装置20で化学反応が起こる。
【0090】
図4Aは、自己冷却式容器10IVのさらなる実施形態を示している。自己冷却式容器10IVは、図1〜図3に関連して説明した飲料缶に類似した飲料缶12を備えている。飲料缶12は、飲料缶基部14と、蓋16と、この蓋16に固定された飲料缶12内に延びた冷却装置20を有する。冷却装置20IVは、飲料缶基部14に向かって延びた円筒型アルミニウム管を備えている。圧力口52が、外部の大気圧と圧力空間32との間の流体連通を可能にするべく蓋16に画定されており、この圧力空間は、蓋16とダイヤフラム30との間の冷却装置内に画定されている。ダイヤフラム30は、ゴムなどの可撓性材料からなり、圧力空間32と水チャンバ44との間に流体密閉障壁を形成している。水チャンバ44は、破断可能なダイヤフラム54によって主反応物質チャンバ28から分離されている。破断可能なダイヤフラム54は、ダイヤフラム30に類似した可撓性材料からなる。破断可能なダイヤフラム54は破断され得る、すなわち針を構成している刺入要素56によって不可逆的に開けることができ、この針は主反応物質チャンバ28内に配置され、先端が破断可能なダイヤフラム54に向いている。主反応物質チャンバ28は、図1〜図3に関連して説明した実施形態に類似したコーティングされた顆粒反応物質が充填されている。主反応物質チャンバ28は、飲料缶の基部14に接触せずに近接して配置された底部22によって、飲料缶12から分離されている。底部22は、冷却装置20の外壁と同じ材料、すなわち、好ましくはアルミニウムからなる。底部22は、波形部58によって冷却装置20IVの外壁に接続され、この波形部により、底部22が可撓性と双安定性、すなわち内側と外側のそれぞれに向かって膨らんだ機械的安定性を規定することができる。飲料缶12が充填され、加圧されると、飲料缶12内の圧力により、底部22と、破断可能なダイヤフラム54と、ダイヤフラム30とが内側方向に膨らむ。
【0091】
図4Bは、飲料缶12を備えた自己冷却式容器10IVを示し、この飲料缶は、タブ18が傾けられて開封されている。タブ18を傾けることにより、蓋16のエンボス領域が破断して蓋16に開口が形成され、これにより飲料を注ぐことができ、圧力が逃げる。圧力が逃げると、冷却装置20IVの底部22が、冷却装置20IVの内部圧力によって飲料缶基部14に向かって膨らむ。底部22は、双安定性に形成されているため、飲料缶基部14方向に膨らむと、大気圧以下(subatmosphere pressure)となる主反応物質チャンバ28により、破断可能なダイヤフラム54とダイヤフラム30が飲料缶基部14に向かって膨らむ。したがって、破断可能なダイヤフラム54は、刺入要素56に向かって膨らみ、このため破断可能なダイヤフラム54が破裂する。破断可能なダイヤフラム54は、破裂するダイヤフラムとするか、所定の破壊点を有するようにするか、あるいは張力部を設けるようにして、刺入要素56が破断可能なダイヤフラム54に刺入すると、水チャンバ44と主反応物質チャンバ28との間に開口が形成され、これにより水チャンバ44内の水が主反応物質チャンバ28に進入して化学反応が始まり、飲料が冷却されるようにすることができる。化学反応は、周囲境界部からエネルギを吸収して、少なくとも10℃、好ましくは20℃以上相対的に冷却する。
【0092】
図5Aは、図4の自己冷却式容器10IVに類似した自己冷却式容器10を示している。破断可能なダイヤフラムの代わりに、自己冷却式容器10は、水チャンバ44と主反応物質チャンバ28を分離する、プラスチック材料からなる主キャップ60を有する。主キャップ60は、内側に突き出たフランジを構成する主キャップ座62によって所定の位置に保持されており、このフランジは、冷却装置20の内壁に固定され、主キャップ60に低い圧力を加える。主キャップ60は、水チャンバ44と主反応物質チャンバ28との間の流体密閉連結を形成する薄い円形プラスチック要素を構成している。
【0093】
図5Bは、図4Bに示された飲料缶と同様に開封され作動された図5Aによる自己冷却式容器10を示している。飲料缶12が開封されると、冷却装置20の底部22が飲料缶基部14に向かって膨らみ、これにより主反応物質チャンバ28内の圧力が低下し、主キャップ60が主キャップ座62から外れて主反応物質チャンバ28の中に落下し、これにより水チャンバ44と主反応物質チャンバ28との流体連通が可能となる。したがって、水が水チャンバ44から主反応物質チャンバ28の中に流れ、これにより化学反応が始まって飲料が冷却される。顆粒反応物質が溶解すると、主キャップ60が、冷却装置20の底部22に向かって落下し得る。
【0094】
図6Aは、図5に示されている自己冷却式容器10に類似しているが、主キャップ座と主キャップの代わりに、本実施形態は、支持メッシュ66と、水チャンバ44と主反応物質チャンバ28を分離する破断可能なダイヤフラム54とを備えている自己冷却式容器10VIを示している。支持メッシュは、破断可能なダイヤフラム54に対して並置された金属またはプラスチックからなる格子を構成し、このダイヤフラムは、主反応物質チャンバ28に面し、かつ破断可能なダイヤフラム54は、水チャンバ44に面している。破断可能なダイヤフラム54は、破裂膜を構成し、この破裂膜は、水チャンバ44と主反応物質チャンバ28との間の流体連通を防止している。支持メッシュ56は、破断可能なダイヤフラム54が圧力口52に向かって上方に膨らむのを防止し、主反応物質チャンバの圧力が水チャンバ44の圧力を超えると破裂する。
【0095】
図6Bは、飲料缶12が開封されたときの自己冷却式容器10VIを示している。飲料缶が開封されることにより、飲料缶12内の圧力が低下して、底部22が飲料缶基部14に向かって膨らみ、これにより主反応物質チャンバ28内の圧力が低下する。主反応物質チャンバ28内の圧力低下により、破断可能なダイヤフラム54が飲料缶基部14に向かって膨らむ。破断可能なダイヤフラム54は破裂膜であり、この破裂膜は刺入要素を使用しなくても破断する。破断可能なダイヤフラム54は、主反応物質チャンバ28と水チャンバ54との間の圧力差によって破裂して水チャンバ44と主反応物質チャンバ28との間を流体連通させる非弾性膜とすることができる。水チャンバ44から主反応物質チャンバ28に進入する水が、化学反応を起こし、図4と図5で既に説明したように周囲の飲料に冷却効果がもたらされる。
【0096】
図7Aは、図6の自己冷却式容器10VIに類似しているが、破断可能なダイヤフラムと刺入要素の代わりに、テレスコープ型弁68が、水チャンバ44と主反応物質チャンバ28を分離している自己冷却式容器10VIIを示している。テレスコープ型弁68は、複数の弁要素69、70、71を構成している。弁要素は、円形の円筒フランジ要素を構成している。直径が最も大きい第1の弁要素69は、冷却装置20VIIの内壁に固定されている。第1の弁要素69は、冷却装置20VIIの底部22に向かってやや突き出ており、内側に突き出たビードを構成している。第2の弁要素70は、第1の弁要素に対して密閉する外側に突き出た上側ビードと、第1の弁要素69の外側に突き出たビードに対して密閉する内側に突き出たビードとを有するフランジ要素を構成している。第3の弁要素71は、第2の弁要素70の外側に突き出たビードに対して密閉する外側に突き出た上側ビードと、第2の弁要素70の内側に突き出た下側ビードに対して密閉する下側の水平面とを有するカップ型要素を構成している。
【0097】
図7Bは、飲料缶12が開封されたときの図7Aの自己冷却式容器10VIIを示している。図6Bで既に説明したように、飲料缶12の開封により、冷却装置20の底部22が外側に膨らみ、これにより主反応物質チャンバ28内の圧力が低下して、第2と第3の弁要素70、71が冷却装置20VIIの底部22の方向に移動するため、第2の弁要素70の外側に突き出たビードが、第1の弁要素71の内側に突き出たビードに対して密閉し、第3の弁要素71の外側に突き出たビードが、第2の弁要素70の内側に突き出たビードに対して密閉する。第2と第3の弁要素70、71は、周方向に配置された弁開口72を備え、これらの開口は、水チャンバ44と主反応物質チャンバ28との間の流体連通を可能にする。したがって、水が水チャンバ44から主反応物質チャンバ28に流れることができる。
【0098】
図8Aは、図4に関連して説明した自己冷却式容器10IVに類似しているが、補助反応物質チャンバ50が、水チャンバ44と主反応物質チャンバ28との間に設けられている自己冷却式容器10VIIIを示している。水チャンバ44は、支持体74と破断可能なダイヤフラム54IIによって補助反応物質チャンバ50から分離されている。支持体74は、冷却装置20の内壁と破断可能なダイヤフラム54との間を密閉し、この破断可能なダイヤフラムは、中心に位置して下降管76を覆い、この下降管は、主反応物質チャンバ28に向かって突出している。補助反応物質チャンバ50と主反応物質チャンバ28は、水溶性ダイヤフラム78によって分離されている。
【0099】
図8Bは、飲料缶12が開封されたときの図8Aで説明された自己冷却式容器10VIIIを示している。飲料缶の開封により、冷却装置20の底部22が、図4〜図7を参照して上記したように外側に膨らむことができる。主反応物質チャンバ28の圧力低下により、水溶性ダイヤフラム78が底部22に向かって膨らみ、補助反応物質チャンバ50内の圧力が低下して破断可能なダイヤフラム54IIが破裂し、水チャンバ44内の水が下降管76に進入し、水溶性ダイヤフラム78に向かって流れる。水溶性ダイヤフラムが下降管からの水によって溶解されると、補助反応物質チャンバ50に保持された、化学反応の開始に必要な2つの反応物質の第1の反応物質を構成する補助反応物質が、主反応物質チャンバ28に保持された、化学反応の開始に必要な2つの反応物質の第2の反応物質を構成する主反応物質と反応することが可能となる。結果として生じる化学反応の開始は、これらの反応物質の相互接触によってもたらされる。この反応は、冷却効果をもたらす。
【0100】
図9Aは、図4の自己冷却式容器10IVに類似しているが、完全にポリマー材料から形成されている冷却装置20IXを備えた自己冷却式容器10IXを示している。冷却装置20IIは、3つの部分を有するポリマーシリンダを構成し、第1の部分は、飲料缶12の蓋16に固定された硬質シリンダ部分80である。蓋は気密されているため、外部と上側硬質シリンダ部分80との間でまったく流体連通していない。上側硬質シリンダ部分80は、飲料缶12内に突出し、中間可撓性シリンダ82を構成する第2のシリンダ部分に接続され、この可撓性シリンダは、下側硬質シリンダ部分81を構成する第3のシリンダ部分に接続され、この下側硬質シリンダ部分は、飲料缶基部14の近くで密閉されている。上側硬質シリンダ部分80は、水チャンバを構成し、下側硬質シリンダ部分は、顆粒反応物質で充填されている。飲料缶12が充填されて加圧されると、この圧力が、冷却装置20IX内の圧力が飲料缶12内の圧力よりも低いため、中間可撓性シリンダを絞って、絞り弁を形成する。
【0101】
図9Bは、飲料缶12が開封されたときの図9Aの自己冷却式容器10IXを示している。飲料缶12内の圧力低下により、中間可撓性シリンダ82が絞られていない状態となり、上側硬質シリンダ部分80と下側硬質シリンダ部分81との間の流体連通を可能にする。このように中間シリンダ82が通路を形成するため、上側硬質シリンダ部分内に保持された水が下側硬質シリンダ部分内に流れ、これにより下側硬質シリンダ部分81内に保持されたコーティング顆粒反応物質が活性化する。
【0102】
図9Cは、図9Aと図9Bに類似しているが、中間可撓性シリンダ82の内壁に位置する任意選択の円周把持部材83を追加として備えた、冷却装置20IXを有する飲料缶12を備えた自己冷却式容器10IXを示している。把持部材83は、プラスチック材料の小さいディスク型要素を構成する分離要素84を収容し、この分離要素は、上側硬質シリンダ部分80内に保持された水と下側硬質シリンダ部分81内に保持された顆粒反応物質との間をより確実に遮断する。把持部材83と分離要素84は、好ましくは、実質的に硬質のプラスチックからなる。把持部材83は、分離要素83の対応するビードとインターロックすることができる把持要素を備えている。
【0103】
図9Dは、飲料缶12が開封されていない加圧された状態の図9Cの把持部材83と分離要素84の拡大図を示している。
【0104】
図9Eは、飲料缶12が開封されて、中間可撓性シリンダ82の外部からの圧力低下により、中間可撓性シリンダ82の壁部が分離して分離要素が把持部材83から外れ、これにより上側硬質シリンダ部分80と下側硬質シリンダ部分81との間の流体連通が可能となったときの図9Dの拡大図を示している。把持部材83と分離要素84を用いることにより、冷却装置20IIが作動して中間可撓性シリンダ82の壁部が分離されたときに、十分に画定された分離が、上側硬質シリンダ部分80と下側硬質シリンダ部分81との間に達成される。
【0105】
図10Aは、図5の冷却装置10に類似した冷却装置10を示している。冷却装置20は、補助反応チャンバ50を有し、この補助反応チャンバは、水チャンバ44と主反応物質チャンバ28との間に配置されている。補助反応チャンバ50は、主キャップ60と主キャップ座62によって主反応物質チャンバ28から分離されている。補助反応チャンバは、補助キャップ86と補助キャップ座88によって水チャンバ44から分離されている。主キャップ座62と主キャップ60および補助キャップ座88と補助キャップ86は、図5に関連して説明した主キャップ座と主キャップと同じ方法で機能する。
【0106】
図10Bは、飲料缶12が開封されて、冷却装置20の底部22が、飲料缶12内の圧力低下によって外側に膨らんだときの図10aの自己冷却式容器10を示している。この外側への膨らみにより、補助キャップ62と主キャップ60が圧力によって底部22に向かって下方に落下し、水と補助反応物質と主反応物質とが混合されて化学反応が始まる。
【0107】
図11Aは、図10に関連して説明した自己冷却式容器10に類似しているが、補助キャップ座と補助キャップの代わりに、支持メッシュ66と破断可能なダイヤフラム54が設けられた自己冷却式容器10XIを示している。支持メッシュ66と破断可能なダイヤフラム54は、既に説明した図6の自己冷却式容器10VIと同様に機能する。
【0108】
図11Bは、飲料缶12が開封されて冷却装置20XIが作動されたときの図11Aの自己冷却式容器10XIを示している。
【0109】
図12Aと図12Bは、図4の破断可能なダイヤフラム54と刺入要素56が図6の支持メッシュ66と破断可能なダイヤフラム54と組み合わせられた、自己冷却式容器10に類似した自己冷却式容器10XIIを示している。
【0110】
図13Aは、小型冷却装置を構成する液中冷却装置20XIIを有する飲料缶12IIを備えた自己冷却式容器10XIIIを示している。冷却装置20XIIは、好ましくはポリマー材料のシリンダを画定し、このシリンダは、飲料缶12II内の飲料中で自由に動くことができる。冷却装置20IIは、圧力空間32IIと、水チャンバ44IIと、主反応物質チャンバ28IIとを備えている。圧力空間32IIは、少量の飲料が冷却装置20IIに進入するのを可能にする圧力口52を備えている。圧力空間32と水チャンバ44IIは、可撓性ダイヤフラム40IIによって分離されている。水チャンバ44IIと主反応物質チャンバ28は、プラグ座90とこのプラグ座90の中心に配置された主プラグ89によって分離されている。プラグ座90は、主プラグ89と冷却装置20IIの内壁との間を遮断している。主プラグ89は、ダイヤフラム30IIに接続されている。飲料缶12内の過剰な圧力により、ダイヤフラム30IIが弛緩して作動していない状態に維持する。主プラグ89は、水チャンバ44II内の水と主反応物質チャンバ28II内の顆粒反応物質を分離している。
【0111】
図13Bは、飲料缶12IIが開封されたときの図13Aに示された自己冷却式容器10XIIIを示している。飲料缶12IIが開封されると、飲料缶12IIと圧力空間32IIの圧力が低下し、水チャンバ44IIの圧力により、ダイヤフラム30IIが圧力口52IIに向かって膨らむ。ダイヤフラム30IIが圧力口52に向かって膨らむと、ダイヤフラム30IIに接続された主プラグ89が、プラグ座90から外れて、水チャンバ44IIと主反応物質チャンバ28IIとの間の流体連通が確立され、水が主反応物質チャンバ44に進入して化学反応を引き起こし、これにより飲料が冷却される。
【0112】
図14Aは、図13に示されている自己冷却式容器10XIIIに類似しているが、冷却装置20XIVが、反応時間を短縮する反応制御流体を含む補助反応物質チャンバ50IIを追加として備えている自己冷却式容器10XIVを示している。補助反応物質チャンバ50IIは、水チャンバ44IIと主反応物質チャンバ28IIとの間に配置されている。水チャンバ44IIと補助反応物質チャンバ50IIは、主プラグ座90と主プラグ89によって支持され、補助反応物質チャンバ50IIと主反応物質チャンバ28IIとは、補助プラグ座94と補助プラグ92によって支持されている。補助プラグ92は、主プラグ89に接続されている。
【0113】
図14Bは、飲料缶12IIが開封されたときの図14Aの自己冷却式容器10XIVを示している。飲料缶12IIを開封したときの圧力低下により、ダイヤフラム30が圧力口22に向かって膨らむ。主プラグ89と補助プラグ92の両方がダイヤフラム30IIに接続されているため、水チャンバ44IIと補助反応物質チャンバ50IIの両方が、主反応物質チャンバ28IIとの流体連通を確立する。これにより、水チャンバ44II内の水と補助反応物質チャンバ50II内の反応制御流体が、コーティングされた顆粒反応物質が充填された主反応物質チャンバ28II内に流れる。両方の反応物質が水中で互いに混合されると、化学反応が起こり、冷却が開始される。反応制御流体は冷却効果を延長し、たとえば、飲料缶12内での氷の形成を防止するために使用することができる。
【0114】
図15Aと図15Bは、図14に示されている自己冷却式容器10XIVに類似しているが、流れ制御流体の代わりとして、第2の反応物質が補助反応物質チャンバ50II内に保持され、これにより反応物質のコーティングの必要がなくなっている自己冷却式容器10XVを示している。飲料缶12IIの開封によって作動されると、主反応物質チャンバ28内の第1の顆粒反応物質が水溶液中の第2の顆粒反応物質と混合して、化学反応が始まる。
【0115】
図16Aは、発泡スチレンなどの硬質断熱材料からなる断熱キャリア96を備えた冷却ボックスを構成する自己冷却式容器10XVIを示している。断熱キャリア96は、6つの標準的な飲料缶12III、すなわち、参照番号12で示されている上記した飲料缶に一致する形状を有する典型的なサイズの飲料缶を収容するのに適した空間を画定しているキャビティ97を有するが、冷却装置を備えていない。内側キャビティ97は、平坦な底面と内側の連続した側壁を画定しており、この連続した側壁は、6個の飲料缶の外面に一致する複数の相互連結された円弧を画定する湾曲部98を有し、この湾曲部は、安定かつ確実な配置が達成されるように公知の3×2の「6パック」の構成に配置したときの飲料缶12IIIの個々の配置の位置を画定する。したがって、内側キャビティ97は、各行に3個の飲料缶12IIIで2行に配置された合計6個の飲料缶12IIIを収容するように構成されている。スペーサ99が、安定性を高めるために6個の飲料缶12IIIの内側空間を埋めるために用意される。スペーサ99は、好ましくは、プラスチック、金属、もしくはボール紙などの非断熱材料または弱い断熱材料から形成される。自己冷却式容器10XVIでは、飲料缶12IIIの1個が、飲料缶12IIIに一致する外形を有する冷却装置20XVIに置き換えられている。冷却装置20XVIは、作動ボタン100を有し、この作動ボタンを押すと、冷却装置20XVI内の化学反応が始まる。冷却装置20XVIの内部は、外部からの機械的な作動、すなわちボタン100の押圧によって作動される点を除き、図1〜図15に示されている上記の冷却装置のいずれかに一致させることができる。ボタンを、たとえば、2つの反応物質を分離する破断可能なダイヤフラムなどに直接取り付けることができるため、ボタンを押圧することによってダイヤフラムが破断して、2つの反応物質が互いに接触することができる。別法では、ボタン100は、圧力空間に作用することができ、この圧力の変化により、可撓性ダイヤフラムが移動して化学反応が開始される。
【0116】
図16Bは、5個の飲料缶12と冷却装置20XVIを収容している断熱キャリア96を備えた自己冷却式容器10XVIの平面図を示している。自己冷却式容器10XVIは、室温で保存することができる。飲料缶内の飲料が飲まれる直前に、冷却装置20XVIの作動ボタン100を押圧して冷却を開始する。さらなる断熱として、断熱キャリア96に掛ける任意選択のカバーを用意することができる。
【0117】
図17Aは、自己冷却式容器10XVIの代替構造を構成している自己冷却式容器10XVIIを示している。図16の冷却装置20XVIに相当する冷却装置20XVIIが、中心に配置されたスペーサ99内に収容され、6個の飲料容器が、スペーサ99を取り囲んでいる断熱キャリア96内に収容されている。断熱キャリア96は、丸い外形を有し、内側キャビティ97は、中心に配置されたスペーサ99の周りに円周構造に6個の飲料缶12IIIを収容するための湾曲部98を有する。
【0118】
図17Bと図17Cはそれぞれ、自己冷却式容器10XVIの斜視図と平面図を示している。
【0119】
図18A〜図18Fは、図1〜図3に示されているタイプの冷却装置20を含む、図1〜図3に示されているタイプの飲料缶12の充填と加圧の工程を示している。
【0120】
図18Aは、充填する前の飲料缶12を換気する工程を示している。飲料缶12は、冷却装置20と蓋フランジ104を備えている。飲料缶は典型的には、換気ホース102を挿入して飲料缶12内に二酸化炭素(CO)を注入することによって3回の換気が行われる。飲料缶12内の空気が、二酸化炭素で置換される。飲料缶12内にいくらかでも空気が残ると、飲料が劣化し得る。換気に続いて、飲料缶12を、図20Bに示されているように飲料で充填する。
【0121】
図18Bは、充填ホース103が飲料缶12内に挿入され、飲料が飲料缶12内に注入される飲料充填工程を示している。飲料は、予め炭酸ガスが注入されており、飲料中に最大量の二酸化炭素が溶解するように氷点よりも僅か数℃高い低温である。
【0122】
図18Cは、充填ホース103が取り出されたときの充填された飲料缶12を示している。飲料は、高圧環境を必要とせずに二酸化炭素が飽和できる氷点よりも僅かに高い温度を有する二酸化炭素雰囲気に維持される。
【0123】
図18Dは、蓋16が蓋フランジ104に密閉された飲料缶12を示している。蓋16は、蓋フランジ104の上に折り畳まれて気密シールを形成している。
【0124】
図18Eは、低温殺菌プラント106内の飲料缶12を示している。低温殺菌プラントは、約70℃の水槽を備えている。低温殺菌プロセスは、食料品中のあらゆる微生物の成長を遅らせることで公知がある。低温殺菌中、飲料内の圧力が、飲料の加熱とこの結果生じる飲料からの二酸化炭素の放出によって約6バールまで上昇する。冷却装置は、このような高圧に耐えることができるように十分に硬質に形成すべきである。加えて、冷却装置内で使用される反応物質は、温度と圧力の上昇の影響を受けずに維持される、すなわち反応物質に、燃焼、反応、溶融、沸騰、または後の反応の開始を不可能または無効にする状態への他の変化が起きないはずである。また、ミネラルウォーターなどの非低温殺菌飲料の場合は、反応物質は、屋内または屋外での保存中に達し得る、少なくとも30℃〜35℃の温度までは影響を受けずに維持されるはずであることにも留意されたい。
【0125】
図18Fは、室温での飲料缶12を示している。飲料缶12内の圧力は、約3〜5バールであり、この圧力は、冷却装置20の作動を防止するのに十分である。飲料缶が開封されて、内部圧力が周囲の大気に逃げると、飲料缶12が、1バールの大気圧となり、冷却装置20が、図1〜図15を参照して既に説明したように作動する。
【0126】
図19A〜図19Eは、図13〜図15に示されているタイプの冷却装置を備えた、図13〜図15に示されているタイプの飲料缶12の充填工程と加圧工程を示している。製造工程は、図21Cの冷却装置20の配置が、蓋16が取り付けられる前の充填後に行われる点を除き、図18を参照して上記説明した充填工程に類似している。
【0127】
図20A〜図20Fは、図4〜図12に示されているタイプの冷却装置を備えた、図4〜図12に示されているタイプの飲料缶12の充填工程と加圧工程を示している。冷却装置20が蓋16に取り付けられているため、冷却装置と蓋は、図20Dでは、飲料缶12に一体部品として取り付けられる。
【0128】
図21Aは、ビルトイン加圧システムと自己冷却式容器を有するパーティー・ケグ・システム110を示している。このパーティー・ケグは、典型的には1回用の単純な飲料ディスペンスシステムを構成し、約3〜10リットルの飲料、典型的には5リットルの飲料を収容する。パーティーケグは、私的なパーティーなどの小さな社交行事でよく使用される。パーティーケグは、しばしば、加圧/炭酸注入システムを備え、このようなあるパーティー・ケグ・システムは、係属中の未公開の欧州特許出願第08388041.9号に記載されている。パーティーケグは、欧州特許出願第08388041.9号で述べられているが、内部冷却をまったく備えていないため、飲料が提供される直前まで外部冷却を必要とする。パーティーケグ110は、ハウジング112を備え、このハウジング12は、好ましくは発泡スチレンなどの薄い断熱材料からなる。ハウジングは、上部空間114と下部空間116を備え、これらの空間は、クロージャ118によって分離されている。適当な量の飲料を含む飲料ケグ120は、下部空間116内に収容され、クロージャ118に固定されている。飲料ケグ120は、上方に向いた開口122を備え、この開口は、固定フランジ123によってクロージャ118に固定されている。タップライン124が、開口122を介して飲料ケグ120内に延びている。タップラインは上昇管を構成し、クロージャ118内を通り上部空間114を経てハウジング112の外部に延びている。ハウジング112の外部では、タップ弁126が、このタップ弁126を通る飲料の流れを制御するために使用される。タップ弁126が開位置であると、飲料がタップライン124を流れ、飲料タップ127を通ってパーティー・ケグ・システム110から流れ出るため、飲料をグラス等に集めることができる。ガスケット128が、タップライン124をクロージャ118に密閉している。圧力発生器130が、上部空間114に配置されている。圧力発生器は、加圧された二酸化炭素のカートリッジとするか、あるいは化学圧力発生器とすることができる。圧力発生器130は、加圧ホース132によって飲料ケグ120に接続されている。加圧ホース132は、開口122を介して飲料ケグ120の内部に接続され、ガスケット128によってクロージャ118に密閉されている。圧力発生器130とハウジング112の外部との間に延在する加圧ノブが、飲料ケグ120の加圧の開始に使用される。飲料ケグ120は飲料が充填され、さらに冷却装置20XXIを収容している。この冷却装置は、主反応物質チャンバ28と補助反応物質チャンバ50とを備え、これらのチャンバは、水溶性ダイヤフラム78によって分離されている。流体入口136が、水溶性ダイヤフラムに隣接して配置されている。流体入口136により、加圧流体が冷却装置20XXIに進入することができる。流体入口136は、逆止め弁138を備え、この逆止め弁は、飲料ケグ120内の圧力の変動によって反応物質が流体入口136から流出して飲料に接触するのを完全に防止する。
【0129】
図21Bは、加圧ノブ134の操作によって作動されたときの図23Aのパーティー・ケグ・システム110を示している。圧力ノブ134が操作されると、加圧された二酸化炭素が、飲料ケグ120に進入し、内部に収容された飲料を加圧する。したがって、飲料が冷却装置20XXIの流体入口136に進入し、水溶性ダイヤフラム78を溶解する。これにより、主反応物質チャンバ28内に配置された主反応物質が、補助反応物質チャンバ50内に配置された補助反応物質と混合するため、冷却反応が始まる。冷却装置20の機能原理は、図8の冷却装置20VIIIの機能原理に類似しているが、反対方向である、すなわち図8の冷却装置20VIIIは圧力の低下によって作動されるが、図21の冷却装置20XXIは、圧力の上昇によって作動される。このように、パーティー・ケグ・システム110は、事前に冷却しなくても良く、室温で保存することができる。飲料を飲む直前に、操作者が加圧ノブを押し、これにより自動的に冷却反応が始まり、数分後に、タップ弁126を操作して冷たい飲料を分配することができる。パーティー・ケグ・システムのハウジングを省略する、または断熱を必要としない場合はより単純なハウジングに交換できることもさらに企図する。
【0130】
図22Aは、私用または商業用の飲料ディスペンスシステム140を示している。このような飲料ディスペンスシステムは、当分野で公知であり、国際公開第2007/019853号に既に記載されている。飲料ディスペンスシステム140は、回動可能なエンクロージャ142を備え、このエンクロージャは、基板144に取り付けられている。エンクロージャ142の内部は、圧力チャンバ146を画定している。圧力チャンバ146は、圧力蓋148によって基板144から分離されている。圧力蓋148は、シーリング150によって基板144に対して密閉されている。圧力チャンバ146に向かって内側に面した圧力蓋148の側面が、結合フランジ152を構成している。結合フランジ152は、飲料ケグ120を固定するために使用され、この飲料ケグは、圧力チャンバ146内に収容され、その大部分を占有している。飲料ケグ120は、飲料が分配されるときに圧力によって収縮される収縮ケグである。冷却/圧力発生器156は、飲料ケグ146内に配置された飲料を冷却し、加圧するために圧力チャンバ146に接続されている。タップライン124は、圧力チャンバ146をタップ弁126に接続している。圧力チャンバ146に面したタップライン124の端部は、飲料ケグ120の内部とタップ弁126との間の流体連通を可能にする結合フランジ152を刺し通すカニューレ151を備えている。タップハンドル154は、遮断位置と飲料ディスペンス位置との間でタップ弁126を操作するために使用される。飲料ディスペンス位置では、ハンドル154が、その通常の垂直の向きから水平の向きに移動し、飲料が、タップ弁126を経て飲料タップ127を通り、飲料ディスペンスシステム140から流れ出る。飲料ケグ120の内部は、飲料と冷却装置20XXIIを収容している。固定ロッド158によって保持された冷却装置20XXIIは、主反応物質チャンバ28と補助反応物質チャンバ50とを備えている。主反応物質チャンバ28と補助反応物質チャンバ50は、破断可能なダイヤフラム54によって分離されている。冷却装置20XXIの上部は、刺入要素56が接続された可撓性ダイヤフラム30を備えている。刺入要素56は、破断可能なダイヤフラム54に向かって延びている。
【0131】
図22Bは、圧力チャンバ146が加圧されたときの図24Aの飲料ディスペンスシステム140を示している。圧力チャンバ146内の圧力は、飲料ケグ120を変形させるように作用し、これにより可撓性ダイヤフラム30が破断可能なダイヤフラム54に向かって内側に膨らむ。したがって、破断可能なダイヤフラム54が、突き出た刺入要素56によって破裂され、冷却をもたらす化学反応が開始される。このように、飲料ケグ120内の飲料の急速な冷却が達成され、作動から数分以内に、タップハンドル154を操作して飲料ケグ126から冷たい飲料を分配することができる。このように、飲料ケグを冷却しなくても良く、従来の方法で飲料が冷却されるまでの長い待ち時間が必要なくなる。冷却装置20XXIIは、飲料ケグが装着されると飲料を急速に冷却する。
【0132】
図23Aは、図21の冷却装置と同様に機能する、冷却装置20XXIIIを除き、図24に示されている飲料ディスペンスシステム140に類似した飲料ディスペンスシステム140を示している。冷却装置20は、主反応物質チャンバ28と補助反応物質チャンバ50とを備え、これらのチャンバは、水溶性ダイヤフラム78によって分離されている。水溶性ダイヤフラム78は、作動通路160によって結合フランジ152に接続されている。結合フランジ152は、二重密閉膜162を備え、この膜は、作動通路160を飲料ケグ120の内部と結合フランジ152の外部から遮断している。図23Aは、エンクロージャ142が、圧力チャンバ146にアクセスできるように後側に回動されたときの飲料ケグ120の装着手順を示している。
【0133】
図25Bは、圧力蓋148がエンクロージャ142に取り付けられ、エンクロージャ142が正常な位置に戻されて圧力チャンバ146を密閉したときの飲料ディスペンスシステム140を示している。圧力蓋148が取り付けられると、二重密閉膜162が刺入され、流体が作動通路60とタップライン124に入ることができる。圧力チャンバ146が加圧されると、飲料が、作動通路160に進入して、この作動通路160の端部にある水溶性膜78を溶解する。したがって、作動が完了し、図22に関連して説明したように化学反応が開始され、飲料が冷却される。
【0134】
図24は、一体型冷却装置20XXVIを備えたボトルキャップ166を有するボトル164を示している。ボトルキャップ166は、ボトル164の口に近いねじ山168に取り付けられたキャップフランジ170を有する。冷却装置20XXVIは、ボトルキャップ166に固定され、ボトル164内に延びている。冷却装置20XXVIは、ボトルキャップ166がボトル164から外される前に冷却を開始するための作動ボタン96を有する。
【0135】
図25は、可撓性ダイヤフラム30が冷却装置20の底部に設けられている点を除き、図26Aに示されている冷却装置に類似した冷却装置を有するボトル164を示している。ボトルキャップ166が捻られてボトル164から加圧ガスが逃げると、可撓性ダイヤフラム30が外側に膨らみ、これにより図4Aに関連して示された自己冷却式容器に類似した化学反応が始まる。
【0136】
図26Aは、ボトルキャップ166と外側キャップ172を有するボトル164を示している。外側キャップ172は歯付きロッドに接続され、このロッドは、冷却装置20XXVI内に配置されている。中間ダイヤフラム174は、冷却装置20内の2つの反応物質を分離している。
【0137】
図26Bは、外側キャップ172が捻られたときの図27のボトル164を示している。外側キャップを捻ることにより、歯付きロッド176が中間ダイヤフラム174を破断させ、これにより2つの反応物質が混合され、冷却効果を生じさせる化学反応が始まる。数分後に、外側キャップ172とボトルキャップ166を取り外して、冷えた飲料を提供することができる。
【0138】
図27Aは、一体型冷却装置20を有する冷却スティックを構成しているドリンクスティック180を示している。ドリンクスティック180は、ハンドルとして使用することができるつまみ182と、冷却装置を収容する細長い可撓性タンク184を備えている。冷却装置20は、第1の反応物質を含む破断可能なタンク186を備えている。第2の反応物質は、破断可能なタンク186の外部の細長い可撓性タンク184内に収容されている。
【0139】
図27Bは、図28Aのドリンクスティック180の作動を示している。ドリンクスティック180は、矢印の方向に曲げられると作動する。ドリンクスティック180を曲げることにより、破断可能なタンク186が破断し、第1の反応物質が第2の反応物質と混合し、これにより冷却効果を生じさせる化学反応が始まる。
【0140】
図27Cは、破断可能なタンクが破断して化学反応が始まったときの図28Bのドリンクスティック180を示している。
【0141】
図27Dは、ドリンクスティック180がボトル164内に挿入されたときの図28Cのドリンクスティック180を示している。ボトル164は、室温のビールまたはソフトドリンクを含む従来の飲料ボトルとすることができる。ドリンクスティック180の冷却効果によって、ボトル164内の飲料が、室温よりも著しく低い温度まで冷却される。ドリンクスティック180は、あらゆる飲料を瞬間冷却するために他の飲料容器に使用できることもさらに企図する。たとえば、ドリンクスティック180は、ジントニックなどの冷たいロングドリンクに使用して長時間に亘って飲料の冷たさを維持するためにバーが備えるができる。
【0142】
代替の実施形態では、上記ドリンクスティック180は、円錐形を有することができ、氷型と一緒に使用し、作動されたドリンクスティックを水が満たされた氷の型に挿入して角氷を瞬間に形成することができる。別法では、ドリンクスティックは、飲料などの中の角氷として直接使用するために角型を有することができる。
【0143】
図28Aは、たとえば、ワインクーラーなどとして使用されるボトル164の外部に取り付けるのに適したボトルスリーブ188の第1の実施形態を示している。ボトルスリーブ188は、主反応物質チャンバ28と水チャンバ44とを備え、これらのチャンバは、破断可能なダイヤフラム54によって分離されている。ボトルスリーブ188は、固定リング189によってボトルに固定され、この固定リングは、ボトルスリーブ188の第1の溝190に一致している。固定リング189は、ボトル164にしっかりと取り付けられている。第1の溝190は、主反応物質チャンバ28に隣接して位置している。第2の溝191は、水チャンバ44に隣接し、第1の溝190の上に位置している。
【0144】
図28Bは、ボトルスリーブ188が矢印の方向に押し下げられることによって作動されたときのボトルスリーブ188を示している。ボトルスリーブ188を下方に押し下げることにより、固定リング189が第1の溝190から外れ、第2の溝191内に収容される。したがって、破断可能なダイヤフラム54が、固定リング189によって破断され、水チャンバ44内の水が主反応物質チャンバ28内の反応物質と混合し、冷却反応が始まる。
【0145】
図28Cは、ボトルスリーブ190が取り付けられたボトル164の斜視図を示している。
【0146】
図29Aは、平坦な構造のワインクーラー192を構成するボトルスリーブを示している。ワインクーラー192は、外層193と、内層194と、この外層とこの内層との間に配置された破断可能なダイヤフラム54とを備えている。外層と破断可能なダイヤフラムとの間の空間は、水チャンバ44を構成し、破断可能なダイヤフラムと内層194との間の空間は、主反応物質チャンバ28を構成している。外層192と内層194は可撓性であり、図29Aに示されている平坦な構造の第1の安定した位置を有する双安定性層を構成している。
【0147】
図29Bは、円形のスリーブ形状を形成する第2の双安定性位置にあるワインクーラー192を示し、外層193は外側に面し、内層194は、内側に面している。第2の安定位置は、ワインクーラー192に弱い曲げる力を加えることによって達成することができる。第2の構造、すなわち円形構造をとると、破断可能なダイヤフラム54が破断されるため、水と反応物質が混合され、冷却が始まる。
【0148】
図29Cは、ワインクーラー192の斜視図を示している。
【0149】
図29Dは、飲料ボトル164の外側に取り付けられているワインクーラー192を示している。したがって、飲料ボトル164内の飲料は、飲用温度まで効率的に冷却される。
【0150】
上記の自己冷却式容器と冷却装置の効率は、冷却装置の伝熱特性(伝熱因子)に強く依存すると考えられる。伝熱因子は、冷却装置の形状、特に飲料と接触する表面積を変えることによって変更することができ、たとえば、冷却装置に金属フィンを設けることによって、伝熱因子を高くして冷却効率を上げることができる。続いて、たとえば、発泡スチレンまたは疎水性材料の中に冷却装置を封入することによって、伝熱因子を低下させる、すなわち冷却効率を下げることができる。別法では、冷却化学反応の効率を上げるためには触媒を使用することができ、冷却化学反応の効率を下げるためには選択的吸収制御剤を使用することができる。
【0151】
冷却装置全体を、ゴムまたはプラスチックなどの可撓性材料から形成することができ、冷却装置自体が可撓性ダイヤフラムを構成することをさらに企図する。
【0152】
冷却装置の変更形態は、冷却装置を通る混合部材に接続された紐を引いて作動させることができる。
【0153】
冷却装置は、内側管と外側管との間の空間の反応区画で、内側管を流れる飲料を冷却するために管内の管として形成されている。
【0154】
冷却装置は、タップラインを流れる飲料を冷却するためにタップラインの周りに取り付けできるように形成されている。
【0155】
冷却装置は、偶発的な作動を回避するために破壊可能なシールを有することができる。
【0156】
冷却装置は、飲料が透過可能な膜と、飽和塩溶液と、冷却装置の内部から塩溶液を分離する非透過性膜とを有する安全解除装置(arming device)を備えている。冷却装置が容器内で沈められると、飲料の水分が、浸透作用によって透過性膜を介して飽和塩溶液に入って容積を増加させ、これにより膜に圧力がかかり、この圧力が冷却装置の内部に伝達され、結果として内部圧力が上昇し、この圧力上昇を、上記したように反応を開始させるために使用することができる。
【0157】
図30は、本発明による不可逆エントロピー増大反応の不溶性生成物として生成される単純な立方晶系結晶195を示している。結晶195は、合計6つの結晶面を備え、その1つが参照数字196で示されている。さらに、結晶195は、合計8つの角を画定し、その1つが参照数字198で示されている。結晶195の面196に成長が存在し、その1つが参照数字197で示されている。角198においては、結晶の成長が沈殿物によって阻害され、その1つが参照数字199で示されている。沈殿物は、結晶195の角198に選択的に付着する選択的吸収剤から形成されている。結晶の成長を防止するための選択的吸収剤の使用は、不溶性生成物が形成される際に、この不溶性生成物が残った反応物質を封入してこの過程を停止できる反応で示されている。
【0158】
図31に、全体が参照数字200で示された、本発明によるディスペンス/冷蔵システムが示されている。このシステムは、キャビネットを有する冷蔵キャビネット202を備え、このキャビネット内に、図31の右下部分に例示されているように内部空間が画定されている。図31では、冷蔵キャビネット202が破断して、複数の飲料缶が例示され、飲料缶の1つが参照数字204で示され、飲料缶は、飲料缶スライディングシュートに支持され、このスライディングシュートの1つが、参照数字206で示され、合計8個の飲料缶204を支持している。冷蔵キャビネット202内には、冷蔵ユニット208と加熱ユニット210が収容されている。冷蔵ユニット208と加熱ユニット210はそれぞれ、冷蔵キャビネット202の内室を所定の予め設定されたサーモスタット制御温度、たとえば、16℃〜20℃、特に、周囲温度よりも僅かに高いまたは僅かに低い温度にするために、冷蔵キャビネット202の内室の冷却と加熱の機能を果たす。
【0159】
周囲温度が実質的に一定で、ある下限よりも高い場合は、冷蔵キャビネット202の内室が周囲温度よりもやや低い温度まで常に冷却されるため、加熱ユニット210を省略することができる。冷蔵キャビネット202の内部温度が、あるサーモスタット制御温度に設定されるため、各飲料缶204は、かなり短い時間、たとえば、1〜5分の数分間、好ましくは約2分間の内に、飲料缶が冷蔵キャビネット202内に保存されている温度からある冷却温度、たとえば、5℃まで冷却するために、本発明の教示に従って実施される冷却装置を備えることができる。
【0160】
図31に示されている冷蔵キャビネット202は、ディスペンサシュートが接続されたディスペンス開口212を備え、このディスペンサシュートは、参照数字216で示されている。図31に示されているシステム200は、冷蔵キャビネット202内に設けられた、ディスペンス機構を作動させるための追加の公知の要素または部品、たとえば、コイン受け取り機、カードリーダー、またはチップリーダーなどを有利に備えており、これらは、支払いの確認またはある額の送金受領の確認をすると一度に1本の飲料缶204をシステム200から分配するように制御する。
【0161】
個々の飲料缶204が予め設定された一定温度、好ましくは周囲温度よりもやや低い温度で保存される、サーモスタット制御される冷蔵キャビネット202を提供することにより、主電源からの電気エネルギの総消費量は、適度に冷えた飲料缶を使用者に提供するある低い使用温度、すなわち、たとえば、+5℃の温度まですべての飲料缶が冷却される従来の飲料缶ディスペンサと比較すると大幅に低下する。周囲温度またはそれよりもやや低い温度までへと冷却を軽減することにより、従来の飲料缶冷蔵/ディスペンスシステムと比較すると、電力消費量のごく一部しか、図31に示されている本発明による飲料ディスペンスシステムによって使用されない。従来の飲料缶ディスペンサ/冷蔵システムは、たとえば、25℃またはそれよりもさらに高い周囲温度から5℃まで飲料缶を冷却しなければならないが、本発明によるシステム200は、たとえば、20℃の温度まで飲料缶を冷却する機能を果たすだけであるため、飲料缶を25℃〜5℃に冷却する同等の従来のディスペンサ/冷蔵システムと比較すると、概算で少なくとも80%のエネルギ消費量が低減される。
【0162】
図32では、全体が参照数字200で示された本発明による冷蔵システムが示されている。図31に示されている飲料ディスペンスシステム200は、開閉式前扉203を有する従来のフリッジ(fridge)または冷蔵庫に変更することができる。この前扉から個々の飲料缶204を一連の棚206の上に載せることができ、これらの棚の上に飲料缶204が支持される。使用者は、冷蔵庫の前扉202を開けてこれらの棚から飲料缶204を取り出すことができる。
【0163】
冷蔵システム200は、冷蔵庫のキャビネットの内部を見せるための、開閉式戸棚203を備えている点を除き、図31の冷蔵システム200に類似している。1つが参照数字204で示されている複数の飲料ボトルと、1つが204IIで示されているケグが、1つが参照数字206で示されている飲料缶の棚の上に置かれている。棚206は、図31に関連して説明したシステムのシュートの代わりである。冷蔵キャビネット202内には、冷蔵ユニット208と加熱ユニット210が収容されている。冷蔵ユニットと加熱ユニットはそれぞれ、冷蔵キャビネット202の内室を所定の予め設定されたサーモスタット制御温度、たとえば、16℃〜20℃、特に、周囲温度よりも僅かに高いまたは僅かに低い温度にするために、冷蔵キャビネット内室の冷却と加熱の機能を果たす。
【0164】
上記した冷蔵キャビネット内または従来の冷蔵庫内に保存された個々の飲料缶を所定の予め設定された温度まで冷却することにより、本発明の教示に従って実施される、個々の飲料缶に含められる冷却装置は、個々の飲料缶を冷蔵キャビネット内の温度から、使用者が飲料缶の飲料を飲むまたは注ぐ温度まで所定の正確な冷却を行うようにデザインすることができる。
【0165】
飲料容器、飲料缶、ボトル、冷却装置、ディスペンス/冷却装置などの多数の特定の有利な実施形態を参照して本発明を上記のように説明してきたが、自己冷却式容器の上記の実施形態の特徴と冷却装置の上記の実施形態の特徴を組み合わせて、自己冷却式容器と冷却装置の別の実施形態を提供できるため、本発明が、上記の有利な実施形態の上記開示によって決して限定されるものではないことを理解されたい。別の実施形態もすべて、本発明の一部と見なされる。さらに、本発明は、上記と等価または類似のすべての構造を含み、かつ本発明を特徴付ける以下の点と本願の保護範囲を規定する以下のクレームによって限定される範囲も含むことを理解されたい。
【0166】



【0167】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を保存する容器であって、前記容器が容器本体とクロージャとを備え、内部チャンバを画定しており、前記内部チャンバが、内部容積を画定し、所定の容積の前記飲料を含み、
前記容器が、前記飲料の前記所定の容積の約33%を超えず、かつ前記内部容積の約25%を超えないハウジング容積を画定しているハウジングを有する冷却装置をさらに備え、
前記冷却装置が、少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質を含み、前記反応物質が互いに反応すると、前記反応物質の化学量数よりも少なくとも3、好ましくは少なくとも4、より好ましくは少なくとも5大きい化学量数の実質的に非毒性の生成物を生成する不可逆エントロピー増加反応を開始し、
前記少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質が、当初は互いに分離して前記冷却装置内に保持され、前記不可逆エントロピー増加反応で互いに反応すると、5分以下、好ましくは3分以下、より好ましくは2分以下の時間内で、飲料1ml当たり少なくとも50ジュール、好ましくは飲料1ml当たり少なくとも70ジュール、たとえば、飲料1ml当たり70〜85ジュール、好ましくは飲料1ml当たり約80〜85ジュールの前記飲料の熱量が減少し、
前記冷却装置が、前記少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質間で前記反応を開始させるためのアクチュエータをさらに備える、容器。
【請求項2】
前記アクチュエータが、前記反応を開始させるために前記内部チャンバ内の圧力上昇を前記冷却装置に伝達する、あるいは前記反応を開始させるために前記内部チャンバ内の圧力低下を前記冷却装置に伝達する圧力伝達装置、たとえば、ガス透過性膜または可撓性膜を備える、あるいは前記アクチュエータが、前記少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質間の前記反応を開始させるための機械式アクチュエータを備える、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記反応物質が、前記アクチュエータによって破壊、溶解、または破断される破壊可能、溶解可能、または破断可能な膜によって分離された、あるいは置換可能なプラグによって分離された、前記冷却装置内の別個の区画内に保持される、あるいは前記アクチュエータが、前記膜を破壊または刺入するための膜破壊装置または膜刺入装置を備え、かつ/または前記アクチュエータが、前記容器の外部からアクセス可能であり、好ましくは前記クロージャによって作動される、請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
前記不可逆エントロピー増加反応が、前記少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質から前記実質的に非毒性の生成物への±5%以下、たとえば、好ましくは±4%以下、さらに好ましくは±3%以下の容積の変化をもたらす、あるいは前記冷却装置が、前記不可逆エントロピー増加反応で還元されたあらゆる過剰なガスの大気への放出が可能となるように大気に連通されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器。
【請求項5】
前記少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質が、別個の顆粒として、少なくとも1つの顆粒と少なくとも1つの液体として、または別個の液体として存在し、前記顆粒または前記複数の顆粒が、好ましくは、1つ以上の外部コーティング、たとえば、デンプンのコーティングまたは可溶性プラスチックコーティングなどによる反応を防止され、前記1つ以上の外部コーティングが、水または有機溶媒、好ましくは水溶性コーティングなどの液体によって溶解可能である、あるいは前記顆粒または前記複数の顆粒が、可溶性ゲルまたはフォームに封入されて反応を防止されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の容器。
【請求項6】
前記冷却装置が、水、有機溶媒、たとえば、アルコール、プロピレングリコール、またはアセトンなどの化学活性剤をさらに含み、前記液体活性剤が、好ましくは、選択的吸収制御剤または遅延温度設定剤などの反応制御剤として機能する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の容器。
【請求項7】
前記少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質が、前記不可逆エントロピー増加反応で多数の遊離水分子に遊離する1つ以上の塩水和物、好ましくは無機塩水和物を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の容器。
【請求項8】
前記少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質が、第1の反応物質と、第2の反応物質と、第3の反応物質とを含み、前記第2の反応物質と前記第3の反応物質が、別個の顆粒として存在し、前記第1の反応物質が、前記第2の反応物質と前記第3の反応物質の前記顆粒を覆うコーティングとして用いられている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第2の反応物質と前記第3の反応物質が、中間反応生成物を生成する第1の不可逆エントロピー増加反応をもたらし、前記第3の反応物質が、前記中間反応生成物と反応して第2の不可逆エントロピー増加反応をもたらす、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記中間生成物がガスであり、前記第2の不可逆エントロピー増加反応が錯体または沈殿物を生成する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の反応物質が、水または有機溶媒、好ましくは水などの液体によって溶解され、前記第1の反応物質と、前記第2の反応物質と、前記第3の反応物質とが、前記コーティングによって反応が防止されている、請求項8〜10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記冷却装置が、前記容器内に収容されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
飲料を保存する容器内で使用されるか、または前記容器と組み合わせて使用される冷却装置であって、前記容器が容器本体とクロージャとを備え、内部チャンバを画定しており、前記内部チャンバが内部容積を画定し、所定の容積の前記飲料を含み、
前記冷却装置が、前記飲料の前記所定の容積の約33%を超えず、かつ前記内部容積の約25%を超えないハウジング容積を画定しているハウジングを有し、
前記冷却装置が、少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質を含み、前記反応物質が互いに反応すると、前記反応物質の化学量数よりも少なくとも3、好ましくは少なくとも4、より好ましくは少なくとも5大きい化学量数の実質的に非毒性の生成物を生成する不可逆エントロピー増加反応を開始し、
前記少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質が、当初は互いに分離して前記冷却装置内に保持され、互いに反応して前記不可逆エントロピー増加反応を開始すると、5分以下、好ましくは3分以下、より好ましくは2分以下の時間内で、飲料1ml当たり少なくとも50ジュール、好ましくは飲料1ml当たり少なくとも70ジュール、たとえば、飲料1ml当たり70〜85ジュール、好ましくは飲料1ml当たり約80〜85ジュールの前記飲料の熱量が減少し、
前記冷却装置が、前記少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質間で前記反応を開始させるためのアクチュエータをさらに備える、冷却装置。
【請求項14】
前記アクチュエータが、前記反応を開始させるために前記内部チャンバ内の圧力上昇を前記冷却装置に伝達する、あるいは前記反応を開始させるために前記内部チャンバ内の圧力低下を前記冷却装置に伝達する圧力伝達装置、たとえば、ガス透過性膜または可撓性膜を備える、あるいは前記アクチュエータが、前記少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質間の前記反応を開始させるための機械式アクチュエータを備える、請求項13に記載の冷却装置。
【請求項15】
前記反応物質が、前記アクチュエータによって破壊、溶解、または破断される破壊可能、溶解可能、または破断可能な膜によって分離された、あるいは置換可能なプラグによって分離された、前記冷却装置内の別個の区画内に保持される、あるいは前記アクチュエータが、前記膜を破壊または刺入するための膜破壊装置または膜刺入装置を備え、かつ/または前記アクチュエータが、前記容器の外部からアクセス可能であり、好ましくは前記クロージャによって作動される、請求項13または14に記載の冷却装置。
【請求項16】
前記不可逆エントロピー増加反応が、前記少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質から前記実質的に非毒性の生成物への±5%以下、たとえば、好ましくは±4%以下、さらに好ましくは±3%以下の容積の変化をもたらす、あるいは前記冷却装置が、前記不可逆エントロピー増加反応で還元されたあらゆる過剰なガスの大気への放出が可能となるように大気に連通されている、請求項13〜15のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項17】
前記少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質が、別個の顆粒として、少なくとも1つの顆粒と少なくとも1つの液体として、または別個の液体として存在し、前記顆粒または前記複数の顆粒が、好ましくは、1つ以上の外部コーティング、たとえば、デンプンのコーティングまたは可溶性プラスチックコーティングなどによる反応を防止され、前記1つ以上の外部コーティングが、水または有機溶媒、好ましくは水溶性コーティングなどの液体によって溶解可能である、あるいは前記顆粒または前記複数の顆粒が、可溶性ゲルまたはフォームに封入されて反応を防止されている、請求項13〜16のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項18】
前記冷却装置が、水、有機溶媒、たとえば、アルコール、プロピレングリコール、またはアセトンなどの化学活性剤をさらに含み、前記液体活性剤が、好ましくは、選択的吸収制御剤または遅延温度設定剤などの反応制御剤として機能する、請求項13〜17のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項19】
前記少なくとも2つの別個の実質的に非毒性の反応物質が、前記不可逆エントロピー増加反応で多数の遊離水分子に遊離する1つ以上の塩水和物、好ましくは無機塩水和物を含む、請求項13〜18のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項20】
前記装置が、飲料缶のサイズの金属缶として構成される、飲料を含む多数の容器を収容する冷却ボックスとして構成される、飲料ボトルなどの中に配置される冷却スティックとして構成される、容器の一部、たとえば、ボトルのネックまたは金属缶もしくはボトルの本体の一部を取り囲むように配置されるスリーブとして構成される、またはクロージャの一部もしくはボトルのキャップとして構成される、請求項13〜19のいずれか1項に記載の冷却装置。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C−9D】
image rotate

【図9E】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図14B】
image rotate

【図15A】
image rotate

【図15B】
image rotate

【図16A】
image rotate

【図16B】
image rotate

【図17A】
image rotate

【図17B】
image rotate

【図17C】
image rotate

【図18A】
image rotate

【図18B】
image rotate

【図18C】
image rotate

【図18D】
image rotate

【図18E】
image rotate

【図18F】
image rotate

【図19A】
image rotate

【図19B】
image rotate

【図19C】
image rotate

【図19D】
image rotate

【図19E】
image rotate

【図19F】
image rotate

【図20A】
image rotate

【図20B】
image rotate

【図20C】
image rotate

【図20D】
image rotate

【図20E】
image rotate

【図20F】
image rotate

【図21A】
image rotate

【図21B】
image rotate

【図22A】
image rotate

【図22B】
image rotate

【図23A】
image rotate

【図23B】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26A】
image rotate

【図26B】
image rotate

【図27A】
image rotate

【図27B】
image rotate

【図27C】
image rotate

【図27D】
image rotate

【図28A】
image rotate

【図28B】
image rotate

【図28C】
image rotate

【図29A】
image rotate

【図29B】
image rotate

【図29C】
image rotate

【図29D】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate


【公表番号】特表2012−511690(P2012−511690A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540068(P2011−540068)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066703
【国際公開番号】WO2010/066775
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(505413303)カールスバーグ・ブルワリーズ・エー/エス (10)
【Fターム(参考)】