説明

自己閉鎖性注出口を形成した包装袋

【課題】 注出口の長さを最小限に抑えるとともに、注出口の開封後に注出口を下にして吊下げておいても、袋内部に収納した液体等の内容物が少量ずつ滲み出してくるのを防止することができる自己閉鎖性注出口を有する包装袋を提供する。
【解決手段】 プラスチックフイルムをヒートシールし、ヒートシール部と非ヒートシール部によって収納室に連通する自己閉鎖性注出口を形成した包装袋において、前記自己閉鎖性注出口の通路の両側部に少なくとも一対の流路延長部を左右対称に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体内容物を収容し、開封後に注出口を下にして吊下げて使用しても、内容物の滲み出しを防止することのできる自己閉鎖性注出口を形成した包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりプラスチックフイルム等の可撓性材料により形成された、一度開封した後に注出口を下にして吊下げておいても袋内部に収納した液体が流出しない、自己閉鎖性注出口を有する液体包装袋は公知である(例えば、特許文献1参照)。これらの液体包装袋の自己閉鎖性注出口は、通常はプラスチックフイルムをヒートシールすることによって形成されるが、未ヒートシール部が注出口流路となるようにヒートシールを行う。この注出口は、開封後に注出口部が湾曲し、V字形の折れ目が形成されることによって、袋内部に収納した液体の流出を防止するものである。
【0003】
このような包装袋としては、袋内部に収納した液体の流出を防止するために、注出口通路のヒートシール部と非ヒートシール部の隙間をなくすように、ヒートシール方法を工夫したものや(特許文献2参照)、注出口内に注出口の面積を部分的に大きくした巾広流路を配設したもの(特許文献3参照)、も提案されている。
【特許文献1】実開昭62−93040号公報
【特許文献2】特開2003−165550号公報
【特許文献3】特開2004−314995号公報
【0004】
しかしながら、アルコール系殺菌剤、台所用洗剤等のように、低粘度或いはフイルム内面を構成する材料との接触角が60度以下であるような濡れ性の良い液体を袋内部に収納した場合には、注出口通路における微小な隙間から、毛細管現象により液体が滲み出るという問題があった。
このような滲み出しの対策としては、注出口の長さを長くすることが考えられるが、注出口を長くすると内容物の注出性が低下し、また包装袋を構成するフイルムの量が増加し、コストアップを招くという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は上記従来技術の問題点を解消して、注出口の長さを最小限に抑えるとともに、注出口の開封後に注出口を下にして吊下げておいても、袋内部に収納した液体等の内容物が少量ずつ滲み出してくるのを防止することができる自己閉鎖性注出口を有する包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、上記課題を解決するために、次の1〜10の構成を採用する。
1.プラスチックフイルムをヒートシールし、ヒートシール部と非ヒートシール部によって収納室に連通する自己閉鎖性注出口を形成した包装袋において、前記自己閉鎖性注出口の通路の両側部に少なくとも一対の流路延長部を左右対称に形成したことを特徴とする包装袋。
2.前記流路延長部の奥行きをL、最大幅をaとしたときに、L≧aとなるように流路延長部を形成したことを特徴とする1に記載の包装袋。
3.前記流路延長部の入口幅をbとしたときに、a≧bとなるように流路延長部を形成したことを特徴とする2に記載の包装袋。
4.前記流路延長部を注出口通路に対して収納室側に傾斜させて形成したことを特徴とする1〜3のいずれかに記載の包装袋。
5.複数対の流路延長部を注出口の通路の両側部に形成したことを特徴とする1〜4のいずれかに記載の包装袋。
6.前記自己閉鎖性注出口の幅を部分的に拡張して収納室側に前記注出口よりも幅広の誘導部を設けたことを特徴とする1〜5のいずれかに記載の包装袋。
7.前記誘導部の収納室側の入口幅をc、自己閉鎖性注出口側の出口幅をd、自己閉鎖性注出口の入口幅をeとしたときに、c≧d>eとなるように誘導部を設けたことを特徴とする6に記載の包装袋。
8.前記包装袋の収納室に自己閉鎖性注出口に隣接する定量室を設けたことを特徴とする1〜7のいずれかに記載の包装袋。
9.フイルム状の弁を設けて収納室と定量室を区画したことを特徴とする8に記載の包装袋。
10.前記収納室のサイドシール部に袋の幅方向内側に向かって突出するヒートシール部を設けて定量室を区画したことを特徴とする8に記載の包装袋。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、包装袋を構成するフイルムの使用量を増やさずに、内容物の注出性の低下を防止し、しかも低粘度或いは包装袋を構成するフイルムとの濡れ性の良い内容液の滲み出しを防止することのできる自己閉鎖性注出口を有する包装袋を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面に基づいて、本発明の特徴について説明する。
図1及び図2は、本発明の自己閉鎖性注出口を形成した包装袋の1例を示す図であり、図1は包装袋全体の平面図、そして図2は図1の包装袋の注出口の部分拡大図である。
この包装袋1は、プラスチックフイルムをヒートシールし、ヒートシール部4と非ヒートシール部によって定量室3及び収納室2に連通する自己閉鎖性注出口5を形成したものである。この自己閉鎖性注出口5の通路の両側部には、入口が狭く奥が略円形に拡張された一対の流路延長部6、6、及びその出口側にもう一対の略半円形の流路延長部6’、6’が、注出口5の通路に対して直交する方向に、それぞれ左右対称に設けられている。注出口5の先端部には、開封予定線に沿ってミシン目、スコア加工、レーザー加工等による易開封加工部7と引き裂き用タブ8が形成されている。
【0009】
注出口5の定量室3側に設ける一対の流路延長部6、6は、図2に示したように、その奥行をL、最大幅をa、入口幅をbとしたときに、L≧aでa≧bとなるように形成することが好ましく、この例ではL>a>bとなっている。
このような構成とすることにより、限られた注出口の形成空間内において、注出口内側のヒートシール部4と流路延長部6、6の界面の長さを効率良く延長させることができる。
この包装袋1では、注出口5の両側部に上記の流路延長部6、6及び6’、6’を左右対称に設けて、注出口5自体の長さ(直線部としての長さ)を変えることなく、前記したように、注出口内側のヒートシール部4と流路延長部6、6の界面の長さを延長させたことによる界面を通る内容液の流出遅延効果、及び流路の拡張による内容液の流路全体への拡散効果により、包装袋1の内容液の滲み出しを防止するものである。このとき、流路延長部の隙間が大きい場合は前記流出遅延効果が顕著に現れ、また、小さい場合は前記拡散効果が顕著に現れる。
【0010】
この包装袋1内には、未シール状とした袋の上縁部9から、殺菌剤、台所用洗剤、身体用洗剤、油等の液体が充填された後に、上縁部9をヒートシールして密封される。上縁部9には、吊下げ用の孔10が設けられる。
包装袋1から内容液を注出するには、上縁部9に設けた孔10をフック等に吊下げ、注出口5の先端部に設けたタグ8を指でつまんで易開封加工部7に沿って引き裂いて注出口5を開封し、定量室3を手又は治具で押圧することによって内容液を注出する。内容液の注出後に手又は治具による押圧を中止すると、内容液の重さにより注出口5が定量室3の近傍部分から軸方向に沿って湾曲し、V字形の折れ目が形成されることによって、流出を防止することができる。
【0011】
例えば、図9に示すような、直管状の注出口を有する従来の包装袋71では、アルコール系殺菌剤や台所用洗剤等のように、低粘度或いはフイルム内面を構成する材料との濡れ性が良い液体を収納した場合には、注出口通路における微小な隙間から、毛細管現象により内容液が滲み出すのを防止することができなかった。
本発明の包装袋1では、上記の構成を採用することによって、内容液の滲み出しを防止することが可能となった。
【0012】
図3は、本発明の自己閉鎖性注出口を形成した包装袋の他の例を示す、包装袋の注出口付近の部分拡大図である。
この包装袋11では、注出口5の通路の両側部に形成する一対の流路延長部6、6を、注出口通路に対して定量室3側に傾斜させたものである。包装袋11の他の構成は、図1の包装袋1と同様である。
このような構成とすることにより、図1の包装袋1より注出口内側のヒートシール部4と流路延長部6、6の界面の長さを延長させることができ、また、流路延長部の隙間が大きい場合は、前記界面の長さを延長したことによって遅延効果を大きくすることができる。
【0013】
図4は、本発明の自己閉鎖性注出口を形成した包装袋の他の例を示す、包装袋の注出口付近の部分拡大図である。
この包装袋21では、注出口5の通路の両側部に、注出口5の定量室3側から出口側にかけて、順次奥行きの長さが短かくなる4対の流路延長部61、62、63、64を、注出口5の通路に対して直交する方向に設けたものである。包装袋21の他の構成は、図1の包装袋1と同様である。
このような構成とすることにより、図3の包装袋11よりも注出口内側のヒートシール部4と流路延長部6、6の界面の長さをさらに延長させることができるので、流路延長部の隙間が大きい場合は、前記界面の長さを延長したことによって遅延効果を大きくすることができる。
【0014】
図5は、本発明の自己閉鎖性注出口を形成した包装袋の他の例を示す、包装袋の注出口付近の部分拡大図である。
この包装袋31は、図1の包装袋1の注出口5の幅を部分的に拡張して定量室3側(すなわち、収納室2側)に、注出口5よりも幅広の誘導部22を設けたものである。包装袋31の他の構成は、図1の包装袋1と同様である。
この包装袋31では、上記幅広の誘導部22を設けることによって、注出口5の先端を開封して包装袋を吊下げたときに、内容液の圧力が誘導部22に集中することで、注出口5が定量室3の近傍部分から軸方向に沿って湾曲しやすくなり、V字形の折れ目がより確実に形成されるため、注出口5の自己閉鎖性が一段と改善される。
【0015】
図6は、本発明の自己閉鎖性注出口を形成した包装袋の他の例を示す図で、Aは包装袋の注出口近辺の部分拡大図、そしてBはAの注出口をさらに拡大した図である。
この包装袋41では、図5の包装袋31の誘導部22の形状を変更して、誘導部22の定量室3側(すなわち、収納室2側)の入口幅cと注出口5側の出口幅(平坦部分の幅)d、注出口5の入口幅eが、c≧d>eとなるように構成したものである。
また、誘導部22の出口側に、2対の同形状の流路延長部6、6を注出口5の通路に対して直交する方向に形成するとともに、注出口5のヒートシール部4の先端部外側を狭幅にカットすることにより、注出口5の外側形状を筒状に構成している。注出口5の外側形状を筒状にしない場合、本発明の自己閉鎖性注出口を形成した包装袋を吊り下げた直後に、先端が後ろ側に反り返る場合があり、後ろ側に反り返ると適切な軸方向に沿ったV字型形状が形成されず、液体内容物の滲み出しにつながる恐れがある。そこで注出口5の外側形状を筒状にすることによって、包装袋41を吊り下げた直後に形成されるV字型形状が、先端の反り返り方向に依存しなくなる。さらに、定量室3のヒートシール部の外側形状を曲線状に構成することによって包装袋41を吊り下げた時に、定量室3周辺のヒートシール部形状を安定化させることができる。包装袋41の他の構成は、図5の包装袋31と同様である。
【0016】
図7は、本発明の自己閉鎖性注出口を形成した包装袋の他の例を示す、包装袋の注出口付近の部分拡大図である。
この包装袋51では、図5の包装袋31の誘導部22の形状を図6の包装袋41の誘導部22と同じものとするとともに、注出口5の通路の両側部に、誘導部22側から出口側にかけて順次奥行きの長さが短くなる3対の流路延長部61、62、63を、注出口5の通路に対して直交する方向に設けたものである。包装袋51の他の構成は、図5の包装袋31と同様である。
【0017】
図8は、本発明の自己閉鎖性注出口を形成した包装袋の他の例を示す、包装袋の注出口付近の部分拡大図である。
この包装袋61では、図7の包装袋51において、注出口5の両側部に形成する流路延長部として、4対の同形状の流路延長部6、6、6、6を、注出口5の通路に対して直交する方向に設けたものである。包装袋61の他の構成は、図7の包装袋51と同様である。
【0018】
図10〜図12は本発明の自己閉鎖性注出口を形成した包装袋の他の例を示す図であり、図10は内容物充填前の包装袋の平面図である。また、図11及び図12は図10の包装袋に内容物を充填した状態を示す定量室及び注出口の部分拡大模式図であり、図11は注出口が閉じた状態を示す図、図12は注出口が開いた状態を示す図である。図11及び図12において、(A)は定量室及び注出口の断面模式図、(B)は弁(中央部分)及び注出口における内容物の状態をそれぞれ表す図である。
【0019】
この包装袋81は、2枚の側壁部材12及び13を両側部16、16及び下端部17でヒートシールしたものであり、内容物充填後に包装袋の上端部をヒートシールするものである。この包装袋81には、液体収納室2に隣接する定量室3及び定量室3に連通する自己閉鎖性の注出口5が設けられている。液体収納室2と定量室3はフイルム状の弁15により区画されており、弁15の巾方向の上端部18は一方の側壁部材12にヒートシールにより接合され、弁15の巾方向の下端部19は他方の側壁部材13にヒートシールにより接合されている。また、弁15の長さ方向の両側部は側壁部材12及び13にヒートシールされている。弁15の下端部19にはその中央部に未シール部20を設けることによって、液体収納室2と定量室3が連通するように構成されている。
注出口5の通路の両側部には、図1の包装袋1と同様に、入り口が狭く奥が略円形に拡張された一対の流路延長部6、6、及びもう一対の略半円形の流路延長部6’、6’が、注出口の通路に対して直交する方向に、それぞれ左右対称に設けられている。また、注出口5の先端部には、易開封加工部7と引き裂き用タブ8が形成されている。
【0020】
この包装袋81に液状内容物を充填すると、図11にみられるように内容物は液体収納室2から弁15の未シール部20を通って定量室3に流入する。このときの液体収納室2の内圧をPo、定量室の内圧をPとするとP<Poである。また、包装袋を構成する包材は、注出口5の定量室3との接続部でヒートシール部17に沿って液状内容物の圧力によってV字状に折り曲げられ注出口の対向する側壁を密着させるとともに、注出口5の通路の両側部に一対の流路延長部6、6を設けたことにより、注出口5の先端部を開封した後にも注出口5は充分な自己閉鎖性を有し、液状内容物が流出することはない。
【0021】
この包装袋81から液状内容物を取り出すには、図12にみられるように注出口5の先端部を開封した後に、手又は治具により定量室3を押圧する。このときP>Poとなり注出口5の折れがなくなるので、注出口5は開放され液状内容物が注出される。
その際に、液状内容物は定量室3から液体収納室2に逆流しようとするが〔図12(B)〕、弁15が閉じられた状態となるので内容物の逆流は防止され、定量室3内の内容物は注出口5から全て注出されるので、注出の安定性と優れた定量性を確保することができる。
【0022】
図13〜図15は、本発明の包装袋をスタンディングパウチに適用した1例を示す図であり、図13はパウチの斜視図、図14は図13のパウチに内容物を充填した状態を示す断面模式図、そして図15は図13のパウチの使用状態を示す断面模式図である。
このスタンディングパウチ91では、パウチの頂部25より下方の位置でパウチの側壁を外側に伸長させることによって、先端に注出口5と定量室3を有する分岐室26を形成したものである。分岐室26の内部には、フイルム状の弁15が上端部23及び下端部24でそれぞれ側壁部材12,13にヒートシールされて、収納室2及び定量室3を区画している。弁15の下端部24の中央部には、図10の包装袋と同様に未シール部20を設けることによって、収納室2と定量室3が連通するように構成されている。
【0023】
注出口5の通路の両側部には、図3の包装袋11と同様に、注出口通路に対して定量室3側に傾斜させた一対の流路延長部6、6が左右対称に設けられている。
このスタンディングパウチでは、パウチの頂部25からパウチ内に内容物を充填した後に頂部25をヒートシールし、パウチを密封する。このパウチを使用するには、例えばパウチ底部に設けた吊り下げ用孔10をフック28等の係止具に係合させることによりパウチを倒立させると(図15参照)、内容物が分岐室26内に流入し弁15の未シール部20を通過して定量室3内に充填される。このパウチ91から、内容液を取り出す操作は、図10の包装袋81と同様である。
【0024】
図16は、本発明の自己閉鎖性注出口を形成した包装袋の他の例を示す図である。
この包装袋101では、図10の包装袋81の弁15に代えて、包装袋のサイドシール部16、16に袋の幅方向内側に向って突出するヒートシール部からなる第一の区画部32、32を設けることによって、収納室2と定量室3を区画したものである。そして、第一の区画部の上部には、ヒートシール部からなる第二の区画部33、33を設けることによって、定量室3と収納室2の間に緩衝室34を形成している。包装袋101の他の構成は、図10の包装袋81と同様である。
【0025】
この包装袋101から内容液を注出するには、注出口5の先端部を開封した後に、定量室3を手又は治具で押圧すればよい。その際に、液体等の内容物は定量室3から収納室2側に逆流しようとするが、この逆流は第一の区画部32、32によって大部分防止することができる。
このパウチ101では、第一の区画部32、32の上部にヒートシールによる第二の区画部33、33を設け、定量室3と収納室2の間に緩衝室34を形成することにより、注出時に液体等の内容物が定量室3から収納室2に逆流するのを防止することができる。また、この緩衝室34により、パウチ101に第一の区画部32、32により狭い液通路35を構成することに伴って、液通路35の近傍にパウチの偏った変形が生じるのを防止することが可能となる。
【0026】
本発明の自己閉鎖性注出口を有する包装袋を構成するプラスチックフイルムとしては、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなる単層フイルム、これらのヒートシール性を有する熱可塑性樹脂フイルムを袋の内層とし、他のフイルムを積層した2層以上の層構成を有する積層フイルムを使用することができる。
ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂フイルムとしては、例えばポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、結晶性ポリブテン−1、結晶性ポリ4−メチルペンテン−1、低−、中−、或いは高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)等のポリオレフィン類;ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体等の芳香族ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン樹脂等のハロゲン化ビニル重合体;アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体の如きニトリル重合体;ナイロン6、ナイロン66、パラまたはメタキシリレンアジパミドの如きポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類;各種ポリカーボネート;ポリオキシメチレン等のポリアセタール類等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
【0027】
特に好ましい材料としては、例えば低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン系不飽和カルボン酸乃至その無水物でグラフト変性されたオレフィン樹脂等のオレフィン系樹脂、アイオノマー樹脂、比較的低融点乃至低軟化点のポリアミド乃至コポリアミド樹脂、ポリエステル乃至コポリエステル樹脂等が使用される。
【0028】
包装袋を構成するプラスチックフイルムとして積層フイルムを使用する場合には、上記のヒートシール性を有する熱可塑性樹脂フイルムを袋の内層とし、必要に応じて接着剤層を介して、他のフイルムを積層した積層フイルムを使用する。
接着剤層を形成する材料としては、ポリエチレンイミン樹脂、アルキルチタネート樹脂、ポリエステル−イソシアネート系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル系樹脂、極性基を導入したオレフィン系樹脂等から選ばれた接着性樹脂を使用する。
【0029】
ヒートシール性樹脂と積層するフイルムとしては、特に制限はなく、通常包装袋に用いられるものはいずれも使用可能である。このようなフイルムに適した材料としては、上記のヒートシール性樹脂として使用される材料はいずれも使用することができるが、内層に用いる樹脂よりも融点の高い樹脂を選択するのが好ましい。
また、他のフイルムとして、アルミニウム等の金属箔、紙、セロファン等と上記のプラスチックフイルムの1種又は2種以上を貼合せたものを使用することもできる。特に、ガスバリヤー性を必要とする内容物の場合には、ポリ塩化ビニリデン樹脂、EVAケン化物、ナイロン又は環状オレフィンコポリマー等の樹脂層、アルミニウムや酸化珪素などの金属酸化物蒸着膜を有する樹脂層、粘土鉱物を含有する樹脂層、アルミニウム等の金属箔を含む積層フイルムを使用することが好ましい。
包装袋を構成するフイルムに断熱性や剛性等を付与するために、各種合成樹脂の発泡体からなるフイルムを使用することもでき、またアルミナ、シリカ、酸化チタン、炭酸カシウム、カーボン、タルク等の無機物やガラス繊維等を混練した各種合成樹脂からなるフイルムを使用することもできる。
【0030】
本発明の包装袋を構成するのに好適な積層フイルムの層構成としては、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET:外層)/未延伸線状低密度ポリエチレン(LLDPE:内層)、2軸延伸ナイロン(外層)/LLDPE(内層)、2軸延伸PET(外層)/アルミニウム箔(中間層)/LLDPE(内層)、2軸延伸ナイロン(外層)/アルミニウム箔(中間層)/LLDPE(内層)、2軸延伸PET(外層)/2軸延伸ナイロン(中間層)/LLDPE(内層)、2軸延伸PET(外層)/アルミニウム箔(中間層)/2軸延伸ナイロン(中間層)/LLDPE(内層)等が挙げられる。
また、加圧加熱処理等の高温処理が必要とされる用途には、2軸延伸PET(外層)/アルミニウム箔(中間層)/未延伸ポリプロピレン(PP:内層)、2軸延伸PET(外層)/2軸延伸ナイロン(中間層)/アルミニウム箔(中間層)/未延伸PP(内層)、2軸延伸PET(外層)/未延伸PP(内層)、2軸延伸ナイロン(外層)/未延伸PP(内層)、2軸延伸ナイロン(外層)/アルミニウム箔(中間層)/未延伸PP(内層)、無機酸化物蒸着2軸延伸PET(外層)/未延伸PP(内層)、無機酸化物蒸着2軸延伸ナイロン(外層)/未延伸PP(内層)等の、内層に未延伸PPを用いた積層フイルムを用いることができる。
これらの積層フイルムの各層間には、上記の接着性樹脂から選択した接着剤層が設けられる。
【0031】
プラスチックフイルムを単層とするか、又はどのような層構成のものとするかは、包装袋に充填する内容物の性状に応じて選択すればよい。プラスチックフイルムの製造は、キャスト法、Tダイ法、カレンダー法又はインフレーション法等の通常の方法により行うことができる。また、積層フイルムの製造は、あらかじめ成形したフイルムのドライラミネーション、基体フイルムへのコーティング、溶融共押し出し等通常の方法により行うことができる。
【0032】
本発明の自己閉鎖性注出口を形成した包装袋に収納する液体内容物としては特に制限はなく、液体洗剤、シャンプー、リンス、液体歯磨き粉、消毒液、醤油、ソース、ケチャップ、ドレッシング等、液状ないしはジェル状のものはいずれも好適に収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の自己閉鎖性注出口を形成した包装袋の1例を示す図である。
【図2】図1の包装袋の注出口の部分拡大図である。
【図3】本発明の自己閉鎖性注出口を形成した包装袋の他の例を示す図である。
【図4】本発明の自己閉鎖性注出口を形成した包装袋の他の例を示す図である。
【図5】本発明の自己閉鎖性注出口を形成した包装袋の他の例を示す図である。
【図6】本発明の自己閉鎖性注出口を形成した包装袋の他の例を示す図である。
【図7】本発明の自己閉鎖性注出口を形成した包装袋の他の例を示す図である。
【図8】本発明の自己閉鎖性注出口を形成した包装袋の他の例を示す図である。
【図9】従来の自己閉鎖性注出口を有する包装袋の1例を示す図である。
【図10】本発明の自己閉鎖性注出口を形成した包装袋の他の例を示す図である。
【図11】図10の包装袋に内容物を充填した状態を示す模式図で、注出口が閉じた状態を示す図である。
【図12】図10の包装袋に内容物を充填した状態を示す模式図で、注出口が開いた状態を示す図である。
【図13】本発明の包装袋をスタンディングパウチに適用した1例を示す図である。
【図14】図13のパウチに内容物を充填した状態を示す模式図である。
【図15】図13のパウチの使用状態を示す模式図である。
【図16】本発明の自己閉鎖性注出口を形成した包装袋の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1、11、21、31、41、51、61、71、81、91、101 包装袋
2 収納室
3 定量室
4 ヒートシール部
5 注出口
6、6’ 流路延長部
7 易開封加工部
8 引き裂き用タブ
9 袋上縁部
10 吊り下げ用孔
12、13 側壁部材
15 弁
16 サイドシール部
17 下端シール部
18、23 弁上端部
19、24 弁下端部
20 未シール部
22 誘導部
25 パウチ頂部
26 分岐室
28 フック
32、33 区画部
34 緩衝室
35 液通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフイルムをヒートシールし、ヒートシール部と非ヒートシール部によって収納室に連通する自己閉鎖性注出口を形成した包装袋において、前記自己閉鎖性注出口の通路の両側部に少なくとも一対の流路延長部を左右対称に形成したことを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記流路延長部の奥行きをL、最大幅をaとしたときに、L≧aとなるように流路延長部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記流路延長部の入口幅をbとしたときに、a≧bとなるように流路延長部を形成したことを特徴とする請求項2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記流路延長部を注出口通路に対して収納室側に傾斜させて形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の包装袋。
【請求項5】
複数対の流路延長部を注出口の通路の両側部に形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の包装袋。
【請求項6】
前記自己閉鎖性注出口の幅を部分的に拡張して収納室側に前記注出口よりも幅広の誘導部を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の包装袋。
【請求項7】
前記誘導部の収納室側の入口幅をc、自己閉鎖性注出口側の出口幅をd、自己閉鎖性注出口の入口幅をeとしたときに、c≧d>eとなるように誘導部を設けたことを特徴とする請求項6に記載の包装袋。
【請求項8】
前記包装袋の収納室に自己閉鎖性注出口に隣接する定量室を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の包装袋。
【請求項9】
フイルム状の弁を設けて収納室と定量室を区画したことを特徴とする請求項8に記載の包装袋。
【請求項10】
前記収納室のサイドシール部に袋の幅方向内側に向かって突出するヒートシール部を設けて定量室を区画したことを特徴とする請求項8に記載の包装袋。
















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−256627(P2006−256627A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−72634(P2005−72634)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】