説明

自律型清掃ロボット

【課題】 アフタサービスを容易に行うことが可能なカバレッジロボットを提供することを目的とする。
【解決手段】シャーシと、複数の駆動車輪アセンブリと、清掃アセンブリと、作業面から除去されたデブリを収集する清掃ビンと、を含み、清掃ビンが、清掃アセンブリにより収集されたデブリを収納するデブリ空洞、および真空ファンにより収集されたデブリを収納するフィルタ空洞を画定するビンハウジングと、該フィルタ空洞内に配置され、実質的に該真空ファンに微粒子が入るのを阻止するように構成されたビンフィルタと、該ビンハウジングに取り付けられ、ビン閉位置と、アフタサービス用に該フィルタ空洞および該ビンフィルタを剥き出しにするビン開位置との間で移動するように構成されたビンカバーとを備えることを特徴とする、カバレッジロボットが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本米国出願は、2005年12月2日に出願され、「ROBOT NETWORKING, THEMING AND COMMUNICATION SYSTEM」という名称であって、出願番号第60/741,442号を割り当てられた米国仮特許出願に対して、米国特許法第119条(e)の下に優先権を主張し、該出願の全内容は本明細書によって参考として援用される。
【0002】
本発明は、ロボットに関し、より詳細には自律型清掃ロボットなどのカバレッジロボットに関する。
【背景技術】
【0003】
家庭用ロボット工学、職場用ロボット工学、および/または、消費者志向ロボット工学の分野において、家事機能、例えば真空清掃を遂行する移動ロボットが広く導入されてきており、床洗浄、巡回、芝刈り、および他のこのような任務を遂行するロボットの例を見出すことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
移動ロボットは多くの構成要素を含み、これらの構成要素には、他の構成要素より先に磨耗するか、またはサービスを必要とし得るものがある。一般に、1つの構成要素が故障すると、ロボットの動きが大いに妨げられたり全体として故障したりし得る。使用者は、アフタサービスのためにロボット全体を修理サービスへ送ることが必要となり得るが、それによりその後、ロボットのかなりの部分の分解を要することがあり、あるいは、修理費用がロボットの価格を超える場合、ロボットは廃棄されることがある。使用者には、代わりに、全く新規のロボットを購入する必要が生じることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
カバレッジロボットは、ロボットの寿命にわたって定期的なアフタサービスを必要とし得る或る数の構成要素を有する。カバレッジロボットを使用して、或る面が保護される。これには、清掃も、研磨、塗装、再塗装、掃除、消毒、処理加工、およびそれ以上のことも含む。個別の構成要素またはアセンブリを取外して修理または交換できるモジュール式カバレッジロボットは、ロボットの有用性を向上し、ロボットの全体的な寿命を増加させる。さらに、幾つかのモジュールを、同一形状の空洞に嵌合するが機能性の異なる代替のモジュールへ変更することができる。一般に、以下のモジュールは、カバレッジロボットの機能性に影響を与えることなくロボットから取外して交換することができる:主要清掃ヘッド、側部ブラシ清掃ヘッド、車輪モジュール、真空ビン、交換可能な上部パネルまたはカバー、カバー内で着脱可能な遠隔制御装置、交換可能な下部保持パネルまたはカバーまたは輪止め、バッテリ、緩衝器、および前輪キャスタ。
【0006】
一態様において、カバレッジロボットは、シャーシと、シャーシ上に配置された複数の駆動車輪アセンブリと、シャーシにより担持される、作業ヘッドを含む作業アセンブリ(例えば清掃アセンブリ)とを含む。各駆動車輪アセンブリ(例えば駆動車輪モジュール)は、駆動車輪アセンブリハウジングと、該ハウジングに回転可能に連結された車輪と、駆動車輪アセンブリハウジングにより担持され車輪を駆動するよう作動可能である車輪駆動モータとを含む。清掃アセンブリ(例えば作業ヘッドモジュール)は、清掃アセンブリハウジングと、清掃アセンブリハウジングに回転可能に連結された清掃ヘッド(例えば作業運動用に連結された作業ヘッド)と、清掃アセンブリハウジングにより担持され清掃ヘッドを駆動するよう作動可能である清掃駆動モータとを含む。車輪アセンブリと清掃アセンブリとは各々、カートリッジまたは完全なユニットとして、シャーシのそれぞれのレセプタクルから別々に独立して取外し可能である。レセプタクルは成形空洞とすることができ、この成形空洞は、カートリッジまたはモジュールに合致する外壁形状を包囲し案内する受け壁を有し、各モジュールが、対応する成形空洞へと滑動しこれと嵌合するようにされる。モジュールの壁および対応する成形空洞の壁は、モジュールが直線に沿って咬合成形空洞に入るよう案内されるように、少なくとも一方向(例えば挿入方向)に沿って、基本的に平行とすることができる。モジュールは、固締具および/または接近カバー、あるいは保持カバーによりシャーシ内で固定することができる。
【0007】
一実施において、各駆動車輪アセンブリは、シャーシの前部から車輪を懸下するリンク機構も含む。シャーシの前部にリンク機構の第1端部を結合して、リンク機構の第2端部に結合した車輪を、リンク機構の第1端部の周りで半径方向に、シャーシに関して垂直に移動可能にすることにより、ロボットは、このようなリンク機構のないロボットよりも簡単に、敷居および移行部を横切ることができる。リンク機構は、車輪からのトルクに応えてシャーシを風上へ傾けることも促進するが、このことも、ロボットが敷居および移行部を横切ることを支援する。
【0008】
別の例において、車輪アセンブリ(モジュール式であろうと非モジュール式であろうと)は、近くに床がないことを検出する近接センサの少なくとも一部を含む。近接センサは、赤外線(IR)エミッタおよび受信機の対とすることができ、IRエミッタと受信機とは、車輪の両側に設置され、或る角度にて放射されて車輪の下の床面に反射するIRビームを放射し受信するように位置決めされる。床がない場合、放射されたIRビームは床に反射しないので、IR受信機には受信されない。近接センサが床がないことを感知すると、ロボット制御器には絶壁回避処置を開始するよう通知がなされる。
【0009】
一実施において、各車輪アセンブリは電源コネクタも含み、この電源コネクタは、駆動車輪アセンブリハウジングの外面に配置されており、駆動車輪アセンブリがレセプタクル内に置かれると、そのそれぞれのレセプタクル内で、対応するシャーシ電源コネクタと咬合して車輪アセンブリへの電力接続を確立するように構成されている。同様に、清掃アセンブリも電源コネクタを含むことができ、この電源コネクタは、清掃アセンブリハウジングの外面に配置されており、清掃アセンブリがレセプタクル内に置かれると、そのそれぞれのレセプタクル内で、対応するシャーシ電源コネクタと咬合して清掃アセンブリへの電力接続を確立するように構成されている。モジュールが、直線に沿って咬合成形空洞に入るよう案内されるので、これらのコネクタは、相互に一直線に整列することができる。
【0010】
幾つかの実施において、各モジュール用の電源コネクタは、工具の不要な(工具なしで作動可能な)モジュール側電気プラグであり、該モジュール側電気プラグは、シャーシ上で、工具の不要な、対応するモジュール側電気プラグと咬合する。
【0011】
一例において、清掃ロボットは、シャーシにより担持される電気バッテリまたは電気化学セルも含む。電気バッテリは、ロボットへ電力を提供する。
【0012】
別の例において、清掃ロボットは、シャーシ上に配置された取外し可能なキャスタ車輪アセンブリを含む。取外し可能なキャスタ車輪アセンブリは、ロボットと床との間に付加的な支持を提供する。
【0013】
別の例において、ロボットは、シャーシの底部に固定された取外し可能なカバー(例えば保持カバーまたは接近カバー)を含む。カバーは、各車輪アセンブリおよび清掃アセンブリをそのそれぞれのレセプタクル内に固定する。ロボットは、シャーシの上部に配置された取外し可能なカバー(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第60/741,442号において開示されているような、例えば審美的または機能的なパネル)も含むことができる。シャーシの上部の取外し可能なカバーにより、所有者は、様々な色および表示器を有する、テーマを持ったカバーまたは機能的カバー、あるいはパネルを取り付けることが可能となる。あるいは、例えば誘導または障害物検出用の付加的なセンサ等も可能となる。一例において、取外し可能なカバーは、ロボットの外観を実質的に模している、セグメント化した保守表示パネルを含む。セグメント化した保守表示装置上には、各モジュールレセプタクルに対応する照明可能な表示器が配置される。モジュールレセプタクルは、駆動車輪アセンブリ、清掃アセンブリ、バッテリ、または清掃ビンそれぞれに個々に関連する。別の例において、取外し可能なカバーは、指示を送出するための、あるいは、詰りまたはロボットに関する或るその他の問題を使用者に警告するための音声出力装置を含む。ロボット上の制御機構は、表示器の照明、および音声出力装置からの音声応答を制御し、サービスの必要性または指示を使用者に連絡する。
【0014】
制御器は、照明可能な表示器を使用して、使用者に情報を連絡することができる。幾つかの例として、以下を含む。定常光がモジュールの問題点を示す、点滅光がモジュールの使用を示す、清掃中の清掃ヘッドの正常回転中に光は点滅しない、作業面準備作動中の清掃ヘッドの逆回転中に光が点滅する。
【0015】
幾つかの実施において、ロボットは、シャーシの前部に配置された取外し可能な緩衝器を含む。緩衝器は、ロボットと、緩衝器に接触する物体とを保護する。
【0016】
一例において、清掃ロボットは清掃ビンを含み、該清掃ビンは、シャーシにより担持されており、作業面から除去されたデブリ(例えば廃液を含む)を清掃ヘッドにより収集するよう配置されている。清掃ビンは、デブリ空洞およびフィルタ空洞、ならびにビンフィルタを画定するビンハウジングと、ビンカバーとを含むことができる。2つ以上のデブリ空洞、例えば掃除済みデブリ空洞、および真空掃除済みデブリ空洞を提供してもよい。清掃処理または洗浄流体を施す場合、清掃ビンは、洗浄流体分配部を含むことができる。デブリ空洞は、作業面から除去されたデブリを清掃ヘッドにより収集するように構成されている。フィルタ空洞は、作業面から除去されたデブリを、フィルタ空洞と流体連通する真空ファンにより収集するように構成されている。ビンフィルタは、フィルタ空洞内に配置されており、実質、真空ファンに微粒子が入るのを阻止するように構成されている。ビンカバーは、ビンハウジングに回転可能に取り付けられており、ビン閉位置と、アフタサービス用にフィルタ空洞およびビンフィルタを剥き出しにするビン開位置との間で移動するように構成されている。
【0017】
一実施において、清掃ビンは、開位置でビンカバーを付勢するビンカバーばねアクチュエータも含む。清掃ビンがロボットに据付けられると、ビンカバーは閉じられる。清掃ビンがロボットから取外されると、ビンカバーが、ばねにより開くよう加動され、アフタサービス用にフィルタ空洞およびビンフィルタが剥き出しにされる。清掃ビンは、付勢されたビンカバーを閉位置で保持する掛け金も含むことができるので、使用者は、ビンカバーを選択的に開放することができる。
【0018】
別の実施において、清掃ビンは、フィルタ空洞内に、イオン電荷された、洗浄可能で取外し可能なモジュール式濾過板も含む。
【0019】
一例において、清掃ヘッド回転部はブラシを含み、回転方向は反転するので、清掃アセンブリは、表面(カーペット)準備装置として働くことができる。この例において、ビンは、液体または粉末(清涼剤等)を担持しており、この液体または粉末は、清掃ヘッドにより床面へ分配される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】図1Aは、カバレッジロボットの例を示す上面斜視図である。
【図1B】図1Bは、カバレッジロボットの例を示す底面斜視図である。
【図1C】図1Cは、カバレッジロボットの例を示す断面図である。
【図1D】図1Dは、カバレッジロボットの例を示す断面図である。
【図1E】図1Eは、カバレッジロボットの成形空洞、咬合モジュール、および平行な外壁を示す断面図である。
【図1F】図1Fは、カバレッジロボットの成形空洞、咬合モジュール、および平行な外壁を示す断面図である。
【図2A】図2Aは、カバレッジロボットのシャーシ、機能的コアカバー、上部パネル、および保持カバーの例を示す分解図である。
【図2B】図2Bは、カバレッジロボットのシャーシ、機能的コアカバー、上部パネル、および保持カバーの例を示す分解図である。
【図3】図3は、カバレッジロボットの清掃アセンブリ、駆動車輪アセンブリ、バッテリ、および底部カバーの例を示す分解図である。
【図4A】図4Aは、水平な清掃ヘッドの例を示す斜視図である。
【図4B】図4Bは、垂直な清掃アセンブリの例を示す斜視図である。
【図4C】図4Cは、垂直な清掃アセンブリの例を示す略図である。
【図5】図5は、カバレッジロボット緩衝器の例を示す斜視図である。
【図6】図6は、清掃ビンの例を示す分解図である。
【図7A】図7Aは、清掃ビンカバーを含む清掃ビンの例を示す断面図である。
【図7B】図7Bは、清掃ビンカバーを含む清掃ビンの例を示す断面図である。
【図8】図8は、キャスタ車輪アセンブリの例を示す分解図である。
【図9A】図9Aは、脱輪センサの例を示す分解図である。
【図9B】図9Bは、キャスタ車輪アセンブリの例を示す断面図である。
【図10A】図10Aは、駆動車輪アセンブリの例を示す上面から見た分解図である。
【図10B】図10Bは、電源コネクタの正面図である。
【図11】図11は、駆動車輪アセンブリの例を示す底面から見た分解図である。
【図12】図12は、清掃アセンブリの例を示す斜視図である。
【図13】図13は、清掃ヘッドアセンブリの例を示す底面斜視図である。
【図14】図14は、清掃ヘッドアセンブリの例を示す上面斜視図である。
【図15】図15は、カバレッジロボットの例を示す略図である。
【図16】図16は、カバレッジロボットのアフタサービス工程の例を示す略図である。
【図17】図17は、カバレッジロボットの例を示す上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の1つ以上の実施の詳細を、添付の図面および以下の記載において説明する。本開示のその他の特徴、目的、利点は、記述および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかとなろう。
【0022】
種々の図面における同じ参照符号は、同様の要素を示している。
【0023】
図1Aは、カバレッジロボット100の例を示す上面斜視図である。カバレッジロボット100は、作業面、例えば床または壁からブラシ掛けされたデブリを真空掃除することにより、作業面を清掃するのに使用することができる。カバレッジロボット100は、カバレッジロボット100から別々に独立して取外し可能なモジュール式構成要素を含む。カバレッジロボットを使用して、或る面が保護される。これには、清掃、研磨、塗装、再塗装、掃除、消毒、処理加工、およびそれ以上のことも含む。
【0024】
カバレッジロボット100の上面図は、取外し可能な側部清掃アセンブリ102、取外し可能な上部カバー104、取外し可能な装飾カバー106、および取外し可能な緩衝器108を示す。一実施において、側部清掃アセンブリ102は、作業面上のデブリをカバレッジロボット100の下の吸引路へ移動させる。上部カバー104は、カバレッジロボット100の表側にある内部構成要素を覆う。装飾カバー106は、カバレッジロボット100の外観またはスタイルを、例えば色またはテーマに関して変更するのに使用する。装飾カバー106は、付加的または選択的に、センサ、インタフェース、アクチュエータ、および同等のものを担持する機能的パネルまたは板とすることができる(例えば、カバー106に、カバー自身のマイクロプロセッサ、装着されたセンサ、装着されたアクチュエータ、および/または、ロボット自体へのプラグインタフェースのうちの幾つかまたは全てを提供することができる)。様々な装飾カバー106または様々な機能的カバー(図示せず)が、ロボット100内で成形カバー−受け空洞または凹部に合致する同一の外形、例えば外壁構成を有するならば、それらをモジュールとして交換可能に装着することができる。緩衝器108は、カバレッジロボット100と、カバレッジロボット100が接触する物体とを接触中に保護する。
【0025】
モジュール式構成要素、例えば側部清掃アセンブリ102、上部カバー104、装飾カバー106、および緩衝器108は、咬合成形受け空洞へ装着可能となるように配置されており、カバレッジロボット100から別々に独立して取外すことができる。例えば、破損したまたは磨耗した構成要素を取外して、適切に機能する構成要素と交換することができ、あるいは、不良の構成要素を調整し、再度使用することができる。代替の例において、構成要素、例えば装飾カバー106を交換して、カバレッジロボット100のスタイルまたは外観を変更することができる。別の例において、構成要素を交換して、例えば側部清掃アセンブリ102内の堅いブラシを柔らかいブラシに交換することにより、カバレッジロボット100の機能を変更することができる。
【0026】
図1Bは、カバレッジロボット100の例を示す底面斜視図である。カバレッジロボット100の底面図は、取外し可能な駆動車輪アセンブリ110a−110b、取外し可能な主要清掃アセンブリ112、取外し可能なキャスタ車輪アセンブリ114、取外し可能な清掃ビン116、および取外し可能な底部カバー118を示す。駆動車輪アセンブリ110a−110bは、カバレッジロボット100に推進力を提供する。主要清掃アセンブリ112も、作業面上のデブリをカバレッジロボット100の下の吸引路の方へ移動させる。キャスタ車輪アセンブリ114は、作業面との第3の接触点を提供する。清掃ビン116は、カバレッジロボット100が作業面から真空掃除するデブリを蓄える。底部カバー118は、カバレッジロボット100内の成形モジュール、例えば側部清掃アセンブリ102および112、駆動車輪アセンブリ110a−110b、ならびにキャスタ車輪アセンブリ114を固定するのを助長する。
【0027】
図1Cおよび図1Dを参照すると、成形モジュール(例えば、概略的に示すモジュール110a、112、110b、102)に、機械コネクタ(例えば固締具を受け入れるためのもの、あるいはそれ自体が固締具であるもの)1003a、1403、1103a、411、ならびに、電気コネクタ1002a、1402、1102a、410を提供することができる。成形モジュールを例えばその咬合成形受け空洞内へ摺動すると、成形モジュール上の機械コネクタは、ロボットシャーシ202内に形成された、対応するコネクタ、固定具、またはハードポイント205、209、207、211と整列し、成形モジュール上の電気コネクタは同時に、ロボットシャーシ202内に形成された咬合コネクタ204、208、206、210と整列する。このことにより、確実にモジュールを装着し、電源コネクタに各モジュールへの電力を提供することができる。
【0028】
図1Eおよび図1Fを参照すると、シャーシ202は、下方を向く成形レセプタクル空洞を含むユニボディの構造体として形成されている。図1Eでは、駆動車輪モジュール110aのハウジング324aに合致する成形レセプタクル304と、駆動車輪モジュール110bのハウジング324bおよび側部ブラシモジュールのハウジング340に合致する成形レセプタクル306/310と、作業ヘッドモジュールのハウジング332に合致する作業ヘッド成形レセプタクル308とを示す。各成形レセプタクルは不規則なカップであり、このカップは、カップの底部壁の中または上にプラグと、受け入れられるべきモジュールの形状をした平行壁である周辺部と、底部カバー118を向く開放している側とを有する。一例として、図1Eおよび図1Fに、平行壁304aおよび底部壁304bを示すが、各々の成形レセプタクルが、同様の特徴を有することもできる。概略的に示すように、ロボット100の底部は、幾つかのモジュールを含む。成形レセプタクルの平行壁と、合致するモジュールの合致する平行壁とは、堅固な滑り嵌合(モジュールが本体の構造的モノコックの一部を成すべき場合)、および緩い滑り嵌合(モジュールが音をたてるべきでなく移動ロボットの剛性に著しく貢献することのない場合)である。平行壁としてのこれらの壁により、モジュールは、受け成形レセプタクルの「カップ」内を壁に沿って底部まで直接滑動することができる(この場合、本明細書で検討するように、同一の直線方向へ挿さる電気コネクタが、レセプタクルの底部または側部のプラグにより受けられる)。図1Eおよび図1Fに示すように、隣接する2つの成形レセプタクルが、壁を共有することができ(例えば、作業ヘッドレセプタクル308が車輪モジュールレセプタクル304、306と壁を共有するように)、そして、2つ以上のモジュールが、相互に接する平行壁を有する限りにおいても、これらのモジュールを単一のレセプタクルが受けることができる(例えば、車輪モジュールレセプタクル306および側部ブラシモジュールレセプタクル310が相互接続され、車輪モジュール壁またはハウジング324aおよびブラシモジュールハウジング340が、レセプタクルが相互接続している隣接した平行壁を有する(あるいは、例えば単一のレセプタクルを形成する)ように)。図1Eに概略的に示すように、モジュールは、合致するレセプタクルの底部に達するまで、「垂直な」(例えば平行壁の)方向で所定の位置へと摺動する。さらに図示するように、モジュールは各々、固締具Fにより、対応するそれらのレセプタクル内で固定することができ、これらの固締具は、挿入方向と同じ方向に固締されるので、底部カバー118を取外すと直接的な接近が可能になる。本明細書で注記するように、底部カバー118は、好ましくは工具の不要なものであり、この底部カバー118をシャーシに固定するための締め金、留め金、摺動部、または同等のものを有し、底部カバー118を取外すとモジュールのほとんどが見えるようになり、任意の固締具を取外せばモジュールを滑り出させることができる。
【0029】
図2A−図2Bは、カバレッジロボット100のシャーシ202、上部カバー104、ならびに装飾/底部カバー106および118の例を示す分解図を提供する。シャーシ202は、カバレッジロボット100の清掃アセンブリ102および112、駆動車輪アセンブリ110a−110b、キャスタ車輪アセンブリ114、ならびにその他の構成要素を担持する。シャーシ202はレセプタクルを含み、そこでは、底部カバー118により構成要素が固定される。一実施において、シャーシ202はユニボディの構成であり、この構成は、各モジュール用に各レセプタクルを画定し、部品用の接触点を含む。この関連で、指摘するように、シャーシ202は、シャーシの外板(「構造的外板」)により構造的負荷が支持される、全体的にまたは部分的にユニボディのまたはモノコックの技術により形成することができる。シャーシ202および上部カバー104は、密封または防水すべき電子部品、例えば制御機構1050を封入することができ、共に堅く固定して二部分のモノコック構造支持体を形成することができる。本明細書で検討するモジュールは、構造的外板により支持することができるが、モノコックの部材として形成することもでき、および/または、外側モノコック自体を有して、その成形受け空洞へ摺動され固定されたモジュールが、ロボットの構造的剛性に貢献できるようにすることもできる。他方で、カバー106および118は一般に、ロボットの構造的剛性には著しく貢献しないであろう(貢献するように各々を修正することはできようが)。図3は、カバレッジロボット100の清掃アセンブリ102および112、駆動車輪アセンブリ110a−110b、電気バッテリ302、ならびに底部カバー118の例を示す分解図である。底部カバー118は、バッテリ302を保持し、異物がロボット100内へ侵入するのを防止する障壁として働き、作業面が熱ければ断熱障壁を提供する。図1C−図1Fおよび図3を参照すると、シャーシ202は、成形受けレセプタクル304、306、308、310、および312を画定し、そこでは、(モジュールの平行壁を咬合成形受けレセプタクルの平行壁へ摺動することにより)駆動車輪アセンブリ110a、駆動車輪アセンブリ110b、主要清掃アセンブリ112、側部清掃アセンブリ102、および電気バッテリ302が受けられ、それぞれ底部カバー118により固定される。底部カバー118は開口部314、316、318、320、および322を含み、これらの開口部は例えば、対応する成形受けレセプタクルの下方を向く開口部よりも小さいので、駆動車輪アセンブリ110a、駆動車輪アセンブリ110b、主要清掃アセンブリ112、側部清掃アセンブリ102、およびキャスタ車輪アセンブリ114それぞれが、底部カバーを通して働くことができ、事例によっては作業面に接触することができる。
【0030】
底部カバー118がモジュール方式であることにより、ロボット100を、様々な床面に対処するように修正することができる。底部カバー118は、床に関する様々なカバー高さにてシャーシ202上に配置し、様々な床の種類に対処することができる。毛足の長いシャグカーペットでは、ロボット100が深いカーペット上を簡単に滑るように進む(遊動する)ことができるように、底部カバー118をテフロン(登録商標)で覆ってカバー高さを低減することができる。床面が主として硬い床張りである場合、主要清掃アセンブリ112の方へ微細な汚れが導かれるように、底部カバー118の前部に口髭ブラシが配置された交換可能な底部カバー118を使用することができる。主要清掃アセンブリ112から浮遊粉塵が逃散するのが最小となるように、底部カバー118の後部に配置した付加的な口髭ブラシを使用することができる。ロボット100を使用して多くの傾斜(出っ張り/階段)のある面を清掃する際、底部カバー118は、ロボット100が出っ張りから落下または滑落するのを防止する制動系として働く輪止めパッドと嵌合させることができる。別の実施において、床に近接して床を殺菌するように働くUV光モジュールが底部カバー118の下に配置され、このUV光モジュールは、側部清掃アセンブリ102または112のうち一方の電力接点と接触する電気端子と嵌合する。さらに別の実施において、床の研磨清掃を必要としている工場/研究室の床を準備するためには、塗装層を塗布する前に、底部カバー118に紙やすりのフラップを装備することができる。
【0031】
駆動車輪アセンブリモジュール110a−110bは、駆動車輪アセンブリハウジング324a−324bと、車輪326a−326bと、車輪駆動モータ328a−328bと、リンク機構330a−330bとをそれぞれ含む。車輪326a−326bは、駆動車輪アセンブリハウジング324a−324bに回転可能に連結されている。さらに、駆動車輪アセンブリハウジング324a−324bは、車輪駆動モータ328a−328bをそれぞれ担持する。車輪駆動モータ328a−328bは、車輪326a−326bをそれぞれ駆動するよう作動可能である。リンク機構330a−330bは、駆動車輪アセンブリ110a−110bを、車輪326a−326bそれぞれの前方の場所にてシャーシ202にそれぞれ取り付けている。リンク機構330a−330bは、シャーシ202から車輪326a−326bをそれぞれ懸下する。リンク機構330a−330bはシャーシ202との結合部にて回転するので、車輪326a−326bはそれぞれ上下に移動することができる。
【0032】
主要清掃アセンブリ112は、清掃アセンブリハウジング332と、主要ブラシ334と、補助ブラシと、清掃駆動モータ336とを含む。主要ブラシ334、補助ブラシ、枢動フレーム、線材カバーまたは仕切り、および、ブラシと共に移動して表面むらに対処するその他の要素が、主要清掃ヘッドを形成している。主要ブラシ334は、清掃アセンブリハウジング332に回転可能に連結されており、作業面をブラシ掛けして清掃するように回転する。清掃アセンブリハウジング332は、清掃駆動モータ336を担持する。清掃駆動モータ336は、主要ブラシ334を、そして任意で補助ブラシを駆動する。この主要清掃アセンブリ112は、図示するように、ロボット100の主要作業ヘッド(すなわちロボットが前方へ移動する際に働いて領域を覆うもの)を含み、主要作業ヘッドは、ロボット100の主要作業幅部分を含む。
【0033】
側方または側部の清掃アセンブリ102は、清掃アセンブリハウジング338と、側部ブラシ340と、清掃駆動モータ342とを含む。側部ブラシ340は、清掃アセンブリハウジング338に回転可能に連結されており、作業面をブラシ掛けして清掃するように回転する。この側部ブラシ340は、ロボットの周辺部の上を延びて、壁に沿って隅部でデブリを収集し、デブリが主要ブラシにより収集されるようにデブリを主要ブラシ334の前に差し向ける。清掃アセンブリハウジング338は、清掃駆動モータ342を担持する。清掃駆動モータ342は、側部ブラシ340を駆動する。
【0034】
電気バッテリ302は、モータ制御器および増幅器を介して、構成要素、例えば駆動車輪アセンブリ110a−110b、ならびに側部清掃アセンブリ102および112に電力を提供する。駆動車輪アセンブリ110a−110b、ならびに清掃アセンブリ102および112は電源コネクタを含み、これらの電源コネクタは、車輪駆動モータ328a−328b、ならびに清掃駆動モータ336および342それぞれへのモータ電力および/または制御を接続する。電源コネクタは、駆動車輪アセンブリハウジング324a−324b、ならびに清掃アセンブリハウジング332および338の外面に設置されている。電源コネクタは、シャーシ202内のレセプタクル304、306、308、310、および312内の電源コネクタと咬合する。
【0035】
図4Aは、主要ブラシ334の例を示す斜視図である。主要ブラシ334は、主要清掃アセンブリ112内の清掃ヘッドから別々に独立して取外し可能であり、これによってカバレッジロボット100から取外し可能である。主要ブラシ334はこの場合、作業面と平行な水平軸の周りで回転し、これによって、水平な清掃アセンブリとなる。ただし、カバレッジロボットの主要作業幅部分は、垂直に回転するブラシ、真空掃除機に代わるブラシのないもの、往復ブラシ、循環ベルト部材、および知られているその他の清掃用具を含むことができる。主要ブラシ334は、長手方向回転軸を画定する円筒形本体402を有する。円筒形本体402に対して半径方向に、剛毛404が取り付けられる。円筒形本体402に沿って長手方向に、可撓性フラップ406が取り付けられる。剛毛404および可撓性フラップ406は、回転する際、作業面上のデブリを移動させて、これらのデブリをロボット内の掃除ビンの方へ差し向ける。幾つかの事例において、主要ブラシは、デブリまたは汚れを、カバレッジロボット100の下の吸引路の方へ差し向けることもできる。湿潤清掃ロボットの場合、主要ブラシは代わりに洗浄機能を有することができ、真空掃除機またはその他の収集器が、洗浄後に廃液を収集することができる。
【0036】
図4Bは、側部清掃アセンブリ102の例を示す斜視図であり、この側部清掃アセンブリは垂直な清掃アセンブリとすることができる。特定の実施において、清掃ブラシ340は、清掃アセンブリ102およびカバレッジロボット100から別々に独立して取外し可能である。側部清掃ブラシ340は、作業面に垂直な垂直軸の周りで回転する。清掃ブラシ340は、回転軸にて清掃ブラシ340に付いている第1端部と、回転軸から放射状に広がる第2端部とを備えたブラシ要素408を有する。特定の実施において、隣接するブラシ要素は、清掃ブラシ340の軸の周りで均等に離間しており、例えば3つの要素間に120度の間隔があり、あるいは6つの要素間に60度の間隔がある。ブラシ要素408は、カバレッジロボット100の周縁端を越えて延び、カバレッジロボット100の近くのデブリをカバレッジロボット100の下の吸引路の方へ移動させる。幾つかの実施において、垂直な側部清掃アセンブリ102は概ね垂直であるが、清掃ブラシ340は、垂直な側部清掃アセンブリ102の垂直軸からずれた(傾いた)軸の周りで作動する。図4Cに概略的に示すように、ブラシ340は、前方および左右方向の両方に傾けて(すなわち、車輪接触面内での移動方向から約45度の線の周りで回転するようにその面に対して下方に傾けて)、ロボットの周辺の外部からデブリを主要作業幅部分の方へ収集することができ、収集されたこのようなデブリがいったんそこにきてもこれを撹乱したり、またはロボットの作業幅部分からデブリを噴出することはない。軸のずれは、様々なカーペットの種類、例えばシャグに適合するように任意で調整して、清掃ブラシ340の傾きをカスタマイズすることができる。
【0037】
図4Bおよび図1Dを参照すると、側部清掃アセンブリ102は、電源コネクタ410を含む。側部清掃アセンブリ102が成形レセプタクル310内に置かれると、電源コネクタ410は、レセプタクル310(上述のように、電源コネクタを案内して咬合する成形平行壁を任意で有するもの)内の電源コネクタ210と咬合する。咬合した電源コネクタ410は、電気バッテリ302から清掃駆動モータ342へ電力を提供する。側部清掃アセンブリ102上の機械的ハードポイントまたは固締具411は、レセプタクル310内の対応する機械的ハードポイント211と咬合する。
【0038】
図5は、カバレッジロボット100の緩衝器108の例を示す斜視図である。緩衝器108は、シャーシ202の前部にてカバレッジロボット100に取り付けられる。緩衝器108は、シャーシ202およびカバレッジロボット100から別々に独立して取外し可能である。緩衝器108は、1つ以上の物体との衝突中に、カバレッジロボット100と、カバレッジロボット100の経路中の1つ以上の物体とを保護する。
【0039】
図6は、清掃ビン116の例を示す分解図である。清掃ビン116は、底部ハウジング602と、中間ハウジング604と、上部ハウジング606と、デブリ空洞607と、フィルタ空洞608と、フィルタ空洞カバー609と、デブリスキージ610と、真空ファン612とを含む。図2を参照すると、シャーシ202は開口部316を画定しており、そこでは清掃ビン116が収容される。
【0040】
上部ハウジング606と中間ハウジング604とは共に、デブリ空洞607を形成する。デブリ空洞607は、主要清掃アセンブリ112に隣接するその前側にて少なくとも1つの開口部を有する。デブリ空洞607は、開口部を通して、主要清掃アセンブリ112からデブリを収集することができる。
【0041】
底部ハウジング602と中間ハウジング604とは共に、作業面から真空掃除されたデブリを蓄えるフィルタ空洞608を形成することもできる。デブリスキージ610は、作業面を洗浄し、デブリをデブリ空洞608内へ差し向ける。真空ファン612は、中間ハウジング604の表側に取り付けられる。真空ファン612は、デブリスキージ610のところの作業面からフィルタ空洞608を通る吸引路を作り出す。真空ファン612の下にフィルタがあれば、デブリがフィルタ空洞608を出て真空ファン612に入ることが防止される。
【0042】
フィルタ空洞カバー609は、中間ハウジング604に回転可能に取り付けられており、閉位置と、アフタサービス用にフィルタ空洞608およびフィルタを剥き出しにする開位置との間で移動するように構成されている。
【0043】
清掃ビン116は、開位置でフィルタ空洞カバー609を付勢するフィルタ空洞カバーばねアクチュエータ611も含むことができる。清掃ビン116がシャーシ202に固定されると、フィルタ空洞カバー609は閉位置におかれる。フィルタ空洞カバー609がシャーシ202から取外されると、フィルタ空洞カバーばね611はフィルタ空洞カバー609を開放して回転させ、デブリの除去用にフィルタ空洞608を剥き出しにする。一例において、清掃ビン116は、使用者が掛け金を解放するまで、付勢されたフィルタ空洞カバー609を閉位置におく掛け金も含むことができ、これによって、フィルタ空洞カバーばね611は、カバーを開放して回転させることができる。
【0044】
真空ファン612は、電源コネクタ614を含む。電源コネクタ614は、電気バッテリ302から真空ファン612へ電力を提供する。電源コネクタ614は、上部ハウジング606内の開口部616から突出している。このことにより、電源コネクタ614は、清掃ビン116がシャーシ202内部のレセプタクル内に置かれると、シャーシ202内で電源コネクタと咬合することができる。
【0045】
図7A−図7Bは、清掃ビンカバーを含む清掃ビン116の例を示す断面図である。図7Aは、上部ハウジング606にてヒンジで留められた清掃ビンカバー702を有する清掃ビン116の例を示す。ビンカバー702は、清掃ビン116のロボット側を封入する。ビンカバー702は、開放して、清掃ビン116を、特に、フィルタ空洞608からデブリを空にすることができる。真空ファン612の下のビンフィルタ704は、吸引路に沿ってフィルタ空洞608内へと真空掃除されたデブリを保持する。ビンカバー702は、開位置でビンカバー702を付勢する付属のばね706、または別の装置を有することができる。
【0046】
特定の実施において、清掃ビン116がカバレッジロボット100から取外されると、ビンカバー702は開放される(図7A、図7Bに示す)。
【0047】
別法として、ビンカバーの掛け金を解放するとビンカバー702を開放することができる。掛け金は、例えばカバレッジロボット100の作動中、ビンカバー702を閉位置で保持する。掛け金を解放してビンカバー702を開放し、清掃ビン116を空にすることができる。
【0048】
図8は、キャスタ車輪アセンブリ114の例を示す分解図である。キャスタ車輪アセンブリ114は、シャーシ202およびカバレッジロボット100から別々に独立して取外し可能である。キャスタ車輪アセンブリ114は、キャスタ車輪ハウジング802と、キャスタ車輪804と、脱輪センサ806と、車輪−床近接センサ808とを含む。
【0049】
キャスタ車輪ハウジング802は、キャスタ車輪804と、脱輪センサ806と、車輪−床近接センサ808とを担持する。キャスタ車輪804は、キャスタ車輪ハウジング802内の垂直軸の周りで旋回し、水平軸の周りで回る。
【0050】
脱輪センサ806は、シャーシ202に関するキャスタ車輪804の下方変位を検出する。脱輪センサ806は、キャスタ車輪804が作業面と接触しているかどうかを判断する。
【0051】
車輪−床近接センサ808は、キャスタ車輪804に隣接して収容されている。車輪−床近接センサ808は、シャーシ202に対する床の近接性を検出する。車輪−床近接センサ808は、赤外線(IR)エミッタと、IR受信機とを含む。IRエミッタは、IR信号を生成する。IR信号は作業面に反射する。IR受信機は、反射したIR信号を検出し、作業面の近接性を判断する。別法として、車輪−床近接センサ808は、別の種類のセンサ、例えば可視光センサを使用することができる。車輪−床近接センサ808は、カバレッジロボット100が作業面内の絶壁、例えば階段ステップまたは出っ張りを下りるのを防止する。特定の実施において、駆動車輪アセンブリ110a−110bは各々、車輪−床近接センサを含む。
【0052】
図9Aは、脱輪センサ806の例を示す分解図である。脱輪センサ806は、IRエミッタ902と、IR受信機904とを含む。IRエミッタ902はIR信号を生成する。このIR信号は、キャスタ車輪804から反射する。IR受信機904は、反射したIR信号を検出し、キャスタ車輪804の垂直位置を判断する。
【0053】
図9Bは、キャスタ車輪アセンブリ114の例を示す断面図である。この図は、キャスタ車輪804の上面906を示しており、この上面からIR信号が反射する。IR受信機904は、反射したIR信号を使用して、キャスタ車輪804の垂直位置を判断する。
【0054】
図10Aは、駆動車輪アセンブリ110aの例を示す上面から見た分解図である。この図は、駆動車輪アセンブリハウジング324aと、車輪駆動モータ328aと、リンク機構330aと、車輪326aと、電源コネクタ1002aとを示す。図11は、駆動車輪アセンブリ110bの例を示す底面から見た分解図である。この図は、駆動車輪アセンブリハウジング324bと、車輪駆動モータ328bと、リンク機構330bと、車輪326bと、電源コネクタ1002bとを示す。
【0055】
図10A−図10B、図11、および図1Cを参照すると、駆動車輪アセンブリ110aは、電源コネクタ1002aも含む。レセプタクル304内に駆動車輪アセンブリ110aが置かれると、電源コネクタ1002aは、レセプタクル304内の電源コネクタ204と咬合する。このことにより、電源コネクタ1002aは、電気バッテリ302から車輪駆動モータ328aへ電力を提供することができる。駆動車輪アセンブリ110a上の機械的ハードポイント1003aが、レセプタクル304内の対応する機械的ハードポイント205と咬合する。駆動車輪アセンブリ110a上の電源コネクタ1002aは遊動コネクタ(エッジカード)であり、この遊動コネクタは、ピン/ねじ1004aによりアセンブリハウジング324aに装着されており、ピン1004a、電源コネクタ1002a、およびアセンブリハウジング324aの壁の間に間隙を備えている。限定的な自由遊動設計により、電源コネクタ1002aは、モジュール内の位置決め特性、例えば機械的ハードポイント1003aが係合する際に少量移動することができ、これによって、組立中および作動中のコネクタ組への応力を最小にすることができる。
【0056】
図12は、主要清掃アセンブリ112(あるいは、「清掃」しない実施のためのカバレッジまたは作業モジュール)の例を示す斜視図である。主要清掃アセンブリ112内では、清掃アセンブリハウジング332は、清掃ヘッドアセンブリ1202を担持する。清掃ヘッドアセンブリ1202は、清掃アセンブリハウジング332およびカバレッジロボット100に関して移動可能にすることができる。清掃ヘッドアセンブリ1202は、主要ブラシ334と、清掃駆動モータ336とを担持する(図からわかるように、ブラシ334上には非常に複数の剛毛群が提供されるが、明確にするためにほんの少しのみ図示する)。
【0057】
図13は、清掃ヘッドアセンブリ1202の例を示す底面斜視図である。清掃ヘッドアセンブリ1202は、清掃ヘッドアセンブリハウジング1302を含む。清掃ヘッドアセンブリハウジング1302は、主要ブラシ334と、補助清掃ブラシ1304とを担持する。
【0058】
主要ブラシ334は、清掃ヘッドアセンブリハウジング1302に回転可能に連結されている。補助清掃ブラシ1304は、可撓性フラップを含む。補助ブラシ1304は、主要ブラシ334とは反対方向に回転するので、主要ブラシ334により押しやられたデブリは捕獲され、補助ブラシ1304を越えて上方へ向けられる。さらに、清掃ヘッドが回転すると、可撓性フラップは、作業面を清潔にブラシ掛けすることができる。
【0059】
図14は、清掃ヘッドアセンブリ1202の例を示す上面斜視図である。この図は、清掃ヘッドアセンブリハウジング1302の後方にある清掃駆動モータ336の場所を示す。図14および図1Cを参照すると、清掃ヘッドアセンブリハウジング1302は、電源コネクタ1402も含む。電源コネクタ1402は、電気バッテリ302から清掃駆動モータ336へ電力を提供する。主要清掃アセンブリ112内に清掃ヘッドアセンブリ1202が置かれると、電源コネクタ1402は、清掃アセンブリハウジング332内の開口部から突出する。駆動車輪アセンブリと同様に、主要清掃アセンブリ112上の電源コネクタ1402は、遊動コネクタ(エッジカード)であり、この遊動コネクタは、ピンによりモジュールハウジングに装着されており、ピンおよびエッジカード内のC字形受け溝の間に間隙を有して電源コネクタ1402を包囲する。レセプタクル308内に主要清掃アセンブリ112が置かれると、電源コネクタ1402は、シャーシ202内の電源コネクタ208と咬合し、清掃駆動モータ336へ電力を提供する。主要清掃アセンブリ112上の機械的ハードポイント1403は、レセプタクル308内の対応する機械的ハードポイント209と咬合する。
【0060】
一実施において、図1C−図1Dを参照すると、電源コネクタ1002、1102、1402、および410は工具が不要な(工具なしで作動可能な)モジュール側電気プラグであり、この電気プラグは、シャーシ202上の、工具の不要な、対応するモジュール側電気プラグ204、206、208、および210と咬合する。電源コネクタ1002、1102、1402、410、204、206、208、および210は、モジュールがレセプタクル内へ挿入されると、各モジュール(駆動車輪アセンブリ110a、駆動車輪アセンブリ110b、主要清掃アセンブリ112、側部清掃アセンブリ102、電気バッテリ302、および清掃ビン116)と、対応するレセプタクル304、306、308、310、312、および316とのそれぞれの間の電気接続を確立する。
【0061】
図1C−図1Dを参照すると、シャーシ202は、中に制御機構1050が取外し可能に装着されたレセプタクル250を画定する。レセプタクル304、306、308、および310内の電源コネクタ204、206、208、および210はそれぞれ、制御機構1050に電気接続されている。シャーシ202上には、表示パネル105が配置される。表示パネル105は、制御機構1050と電気通信している。
【0062】
図15は、表示器150を有する表示パネル105と、音声出力装置160とを含むロボット100の例を示す略図である。表示器150は、実質、各モジュールレセプタクル304、306、308、310、312、および316にそれぞれ対応する照明可能な表示器3040、3060、3080、3100、3120、および3160を有するロボットの外観を模しているセグメント化した保守表示装置を含む。モジュールレセプタクル304、306、308、310、312、および316はそれぞれ、駆動車輪アセンブリ110a、駆動車輪アセンブリ110b、主要清掃アセンブリ112、側部清掃アセンブリ102、電気バッテリ302、および清掃ビン116に対応している。制御機構1050は、表示パネル105の表示器3040、3060、3080、3100、3120、および3160の照明と、音声出力装置160からの音声応答とを制御して、サービスの必要性を使用者に連絡する。一例において、制御器は、セグメント化した保守表示パネル105上の表示器3040、3060、3080、3100、3120、および3160のうち1つ以上を照明して、レセプタクル304、306、308、310、312、および316のうちの1つにあるモジュールが使用者により取外し交換される必要があることを示す。
【0063】
制御機構1050は、駆動車輪アセンブリ110a−110bと、清掃アセンブリ102および112とへ送出される電流を監視する。過電流が検出されると、制御機構1050により、保守表示装置150の適切な表示器3040、3060、3080、および3100が照明され、詰りまたは取り除くべきその他の障害が示される。別の例において、制御機構1050は音声応答を送信し、この音声応答は、音声出力装置160により送出されて、問題をどのように修正すべきかの指示を提供する。詰りまたは問題がいったん取り除かれても、過電流が残っている場合、警告/保守の表示は照明されたままになり、モジュールの交換が必要であることが示される。一実施において、清掃ビン116は、現在のビン容量を制御機構1050に連絡するビン満杯センサを含む。制御機構1050は、ビンが満たされていることを検出すると、表示器3160を照明し、清掃ビン116を空にするよう使用者へ信号を送る。制御機構1050は、バッテリ302が少ないか、またはサービスを必要としていることを検出すると、表示器3120を照明し、バッテリ302を保守するよう使用者へ信号を送る。各例において、制御機構1050は、音声出力装置160により案内音声指示を送出することができる(例えば、カバーを取外すこと、モジュールを取外すこと、モジュールを送付すること、またはモジュールを廃棄すること、および新規のモジュールを注文すること)。各セグメントに様々な色(例えば多色のLEDまたは様々なLED)を提供して、様々なメッセージを知らせることができる(例えば、緑色は注意が必要でないこと、黄色は詰り、赤色はサービスまたは保守交換、点滅する緑色は通常の手入れ、例えばビンを空にすること、洗浄液の交換、あるいはバッテリ充電)。
【0064】
図16を参照すると、ロボットの寿命を伸ばすためにモジュール方式が使用される。一実施において、使用者は、1つ以上のモジュールに対応する保守表示装置105上の照明可能な表示器3040、3060、3080、3100、3120、および3160の照明に対応し、または、音声出力装置160から提供される、交換すべきモジュールを識別するようにとの指示に対応する。使用者は、保守要求を、コンピュータ4002を通してインターネット4004上でウェブサーバ4006に連絡する。このウェブサーバは、保守要求をフルフィルメントセンタ4008に送る。フルフィルメントセンタ4008は、交換部品の小包4010を使用者に送付する。ロボット100は、部品をどのようにインストールすべきかの音声指示を提供することができる。別の実施において、ロボット100は、無線でローカルネットワーク4002へ連絡し、このローカルネットワークが保守要求を連絡する。
【0065】
図17を参照すると、カバレッジロボット100のモジュール方式は、カバレッジロボット100の上部に画定されたモジュール溝190により、さらに拡張することができる。モジュール式溝190は、データモジュール192を受け入れるように構成されている。データモジュール192は内蔵型であり、構成するRAM、ROM、Flash、またはEEPROMの型の記憶装置上のデータ(特別な書込みユニットが装備された使用者のコンピュータにて、または製造者にてのいずれかで、例えばテーマを持ったコンテンツ等のコンテンツを提供するために、ソフトウェア、ビデオ、または音声コンテンツを用いてロードできるもの)を搬送することができる。
【0066】
一例において、データモジュール192は、モジュール溝190内にインストール可能な記録装置であり、カバレッジロボット100およびその構成部品の燃費が記録される。例えば、データモジュール192は、駆動された距離、どのくらいの頻度でカバレッジロボット100が使用されたか、モジュールが変更された場合の特定のモジュールの寿命、等を記録することができる。さらに、ロボットは、データモジュール192をインストールしなければ機能しないように構成することができる。さらに別の例において、データモジュール192は、カバレッジロボット100のソフトウェア挙動を変更するのに使用される。データモジュール192の本体を、上部カバー106が、例えば、付加的なセンサ(例えば、前方を指示するソナー、複数の方向でのIRエミッタ/受信機、磁針先端方向へ指示するIR受信機、天井を指示するIR投影機、天井を指示するIR受信機、検出および/または向きを逸らすように配置されたジャイロスコープ)、アクチュエータ(例えば、パン/チルトユニット、噴霧ユニット)、通信(RFまたはIR見通し線)、あるいはマイクロプロセッサを用いて、形成することができる。
【0067】
近接センサ、例えば絶壁センサおよび壁追随センサを開示している米国特許第6,594,844号「ロボット障害物検出システム」、iRobotのルンバ型カバレッジ/清掃ロボットの全体構造と、主要清掃ヘッドおよびエッジ清掃ヘッドとを詳細に開示している米国特許第6,883,201号「自律的床清掃ロボット」、挙動ベースロボット工学の原則に応じて調停者により選択された、脱出挙動を含む移動制御およびカバレッジ挙動を開示している米国特許第6,809,490号「自律型ロボット用マルチモードのカバレッジのための方法およびシステム」、仮想の壁、つまり壁シミュレート指向ビームによるロボット閉じ込めを開示している米国特許第6,781,338号「ロボットの位置を特定して閉じ込めておく方法およびシステム」を各々、参照により全体として本明細書に組み込む。
【0068】
いくつかの実施を説明した。それにもかかわらず、当然のことながら、以下の請求項の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができる。例えば、カバレッジロボットは、上記のものとは異なる数の駆動車輪アセンブリまたは清掃アセンブリを含むことができる。従って、その他の実施は以下の特許請求の範囲の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバレッジロボット(100)であって、
シャーシ(202)と、
該シャーシ(202)上に配置された複数の駆動車輪アセンブリ(110a−110b)であって、各駆動車輪アセンブリが、
駆動車輪アセンブリハウジング(324a−324b)と、
該ハウジング(324a−324b)に回転可能に連結された車輪(326a−326b)と、
該駆動車輪アセンブリハウジング(326a−326b)により担持され、該車輪(326a−326b)を駆動するよう作動可能である車輪駆動モータ(328a−328b)と、
を含む、駆動車輪アセンブリと、
該シャーシ(202)により担持される清掃アセンブリ(112、102)であって、該清掃アセンブリが、
清掃アセンブリハウジング(332、338)と、
該清掃アセンブリハウジング(332、338)に回転可能に連結された清掃ヘッド(334、340)と、
清掃アセンブリハウジング(332、338)により担持され、該清掃ヘッド(334、340)を駆動するよう作動可能である清掃駆動モータ(336、342)と、
を含む、清掃アセンブリと、
前記シャーシ(202)により担持され、作業面から除去されたデブリを前記清掃ヘッド(112)により収集するよう配置された清掃ビン(116)と、を含み、
前記清掃ビン(116)が、
デブリ空洞(607)およびフィルタ空洞(608)を画定するビンハウジング(602、604、606)であって、該デブリ空洞が、作業面から除去されたデブリを前記清掃ヘッド(334)により収集するように構成されており、該フィルタ空洞が、作業面から除去されたデブリを、該フィルタ空洞と流体連通する真空ファン(612)により収集するように構成されている、ビンハウジングと、
該フィルタ空洞(608)内に配置されており、実質的に該真空ファン(612)に微粒子が入るのを阻止するように構成されたビンフィルタ(704)と、
該ビンハウジング(602、604、606)に取り付けられており、ビン閉位置と、アフタサービス用に該フィルタ空洞(608)および該ビンフィルタ(704)を剥き出しにするビン開位置との間で移動するように構成されたビンカバー(609、702)とを含むことを特徴とする、カバレッジロボット。
【請求項2】
前記シャーシ(202)により担持される電気バッテリ(302)、および該シャーシ(202)上に配置された取外し可能なキャスタ車輪アセンブリ(114)をさらに含む、請求項1に記載のカバレッジロボット。
【請求項3】
各駆動車輪アセンブリ(110a−110b)が、前記シャーシ(202)の前部から前記車輪(326a−326b)を懸下するリンク機構(330a−330b)をさらに含み、かつ/または、近くに床がないことを検出するように構成された少なくとも1つの近接センサ(808)をさらに含む、請求項1または2に記載のカバレッジロボット。
【請求項4】
前記シャーシ(202)の上部に配置された取外し可能なカバー(104)をさらに含み、かつ/または、前記シャーシ(202)の前部に配置された取外し可能な緩衝器(108)をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のカバレッジロボット。
【請求項5】
前記清掃ビン(116)が、前記開位置で前記ビンカバー(609、702)を付勢するビンカバーばねアクチュエータ(611、706)をさらに含み、かつ/または、該付勢されたビンカバー(609、702)を前記閉位置で保持する掛け金をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のカバレッジロボット。


【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−75932(P2012−75932A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−280350(P2011−280350)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【分割の表示】特願2008−543549(P2008−543549)の分割
【原出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FLASH
【出願人】(502432084)アイロボット コーポレイション (40)
【Fターム(参考)】