説明

自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ、それを用いた自然循環式沸騰水型原子炉の燃料交換方法、それを用いた自然循環式沸騰水型原子炉の点検方法、及びそれを用いた自然循環式沸騰水型原子炉

【課題】燃料交換や点検時に格子部分のみを取出すことができる構造のまま、チムニの横断面における周辺部の構造剛性を向上させ、かつ、取付け着脱を容易とする。
【解決手段】前記課題を解決するため本発明は、複数の燃料集合体を横断面が円形状に装荷した炉心と、前記炉心の上に設置されたチムニ11を備えた自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ構造であって、前記チムニは、チムニ胴11dと、前記チムニ胴11dの内部に垂設された、チムニ構造から着脱可能な流路隔壁11b1と前記チムニ胴11dに接合された流路隔壁11b2により区画される複数の格子流路11aと格子流路を含んでなり、流路隔壁11b−1が全て角を成しているとともに、閉じた構造となっていることを特徴とする自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然循環式沸騰水型原子炉に備えられるチムニに関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまでに商業運転されている強制循環式の沸騰水型原子炉(以下、BWRという)では、円筒状の炉心シュラウド内に、横断面が正方形の燃料集合体をX軸方向,Y方向(ともに水平方向)に並べて林立させて炉心を構成している。そして、横断面が略十字型の制御棒が、その周囲を囲む4体の燃料集合体の間に挿入可能に配置され、この制御棒を囲む4体の燃料集合体の単位を制御棒セルという。
【0003】
近年では、自然循環式BWRが提唱され、その自然循環式BWRでは自然循環の駆動力確保のため、炉心の上に強制循環式BWRには無いチムニが設けられる(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のチムニは、仕切り板により流路隔壁を構成して複数の格子流路を有している構成である。その場合、個々の燃料集合体に配分される冷却材流量は、下部プレナムから炉心へ流入時に各燃料集合体に分配され、燃料集合体を冷却して冷却材の気液二相流となり、さらに個々の燃料集合体を出てチムニの格子流路内で合流してチムニを通過後、上部プレナムで各格子流路の気液二相流全体が合流するまでの間の燃料集合体圧損と格子流路の圧損と、格子流路内のボイド率により主にきまる冷却材比重差による駆動力で決まる。
【0004】
その他、チムニに関しては以下の文献が挙げられる。チムニ胴とチムニ格子の着脱については、流路隔壁の上端に流路開口のある上部支持板と、流路隔壁の下端に流路開口のある下部支持板を設け、上下の支持板とチムニ胴との間にくさびを打ち込んで、チムニの流路形成部分を水平方向に支持するという例もある。(例えば特許文献2参照)
また、チムニ構造の強化については、チムニ横断面矩形の一辺の途中が、隣接する横断面矩形の一辺によって支持される構造にするという例(例えば特許文献3参照)がある。
【0005】
さらに、チムニ格子を部分的に着脱可能とする構造として、角管状とする例もある(例えば特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平7−27051号公報
【特許文献2】特開2007−232546号公報
【特許文献3】特開2007−232434号公報
【特許文献4】特開2007−232421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
原子炉はその安全性確保のために、定期的に炉内の点検を行う必要がある。また燃料交換時においても、炉内での作業が必要となる。チムニはこれらの炉内点検や燃料交換時に取外し,取付け作業が必要となる。よってチムニは取外し、取付け性の良いことが必要になる。取外し,取付け作業が容易であるためには、チムニ格子部分のみを取り出せることが望ましい。
【0008】
そこで本発明が解決しようとする課題は作業時に取り出すチムニ構造部の重量を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では前記課題を解決するため、以下の手段を採用した。複数の燃料集合体を横断面が円形状に装荷した炉心と、前記炉心の上に設置されたチムニを備えた自然循環式沸騰水型原子炉のチムニであって、前記チムニは、チムニ胴と、前記チムニ胴の内部に垂設された流路隔壁により区画される複数の格子流路を含んでなり、前記複数の格子流路を区画する流路隔壁の一部がチムニ胴内面に接合され、前記複数の格子流路を区画する流路隔壁の残りがチムニ構造から着脱可能であることを特徴とする自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、燃料交換や点検作業の実施に対して流路隔壁の一部をチムニ胴内面に残存させるため、燃料交換や点検時に取外す格子部分の重量を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉の縦断面図である。
【図2】従来の自然循環式BWRにおけるチムニ構造を示す横断面図である。
【図3】(a)は本発明の一実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニの上面図であり、(b)は(a)の縦断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニの横断面図であり、図3のX−X横断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニの横面図であり、(a)はチムニ構造から着脱可能な流路隔壁部の横断面図、(b)は(a)を取り除いた後のチムニの横断面図である。
【図6】(a)は本発明の一実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニの上面図であり、(b)は(a)の縦断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニの横断面図であり、図6のX−X横断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニの横面図であり、(a)はチムニ構造から着脱可能な流路隔壁部の横断面図、(b)は(a)を取り除いた後のチムニの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は前述したような特徴を有するが、その他の特徴として以下の点が挙げられる。
【0013】
本発明の他の目的は、チムニ全体を取り出さなくとも燃料交換や点検作業を実施することである。そこでチムニ胴内面に接合される格子隔壁は、前記チムニ胴の内部に垂設された流路隔壁により区画される複数の格子流路のうち、水平断面で見て、前記複数の格子流路のうち格子流路を四辺で囲んでいない格子流路により形成されていること特徴とした自然循環式沸騰水型原子炉のチムニとする手段を採用した。これにより、燃料交換や点検作業の実施に対して影響する流路隔壁のみを取外して作業が行える効果を有する。
【0014】
本発明の他の目的は、以下の点である。チムニの格子流路に冷却材の気液二相流が流れると、流れによる格子間の差圧や、流体力による振動(流力振動)が発生する。差圧や流力振動は、格子流路を形成する流路隔壁に応力を与えるため、流路隔壁にはこの応力に対抗すべく高い構造健全性が要求される。なお、従来の自然循環式BWRにおけるチムニ構造は、図2に示すように、横断面において格子流路が正方格子状に配列したものである。さらに取外し時に自重で端部が変形しないように高い剛性が要求される。そこで、チムニ胴内面に接合される格子隔壁は、前記チムニ胴の内部に垂設された流路隔壁により区画される複数の格子流路のうち、水平断面で見て、前記複数の格子流路のうち格子流路を四辺で囲んでいない格子流路により形成されていること特徴とした自然循環式沸騰水型原子炉のチムニとすることを特徴とする手段を採用した。これにより格子端部が全て角を成した構造であるため、チムニ周辺部の構造剛性を向上させることができ、燃料交換や点検時等に流路隔壁部を取り出す際及び取付ける際に、吊作業による流路隔壁周辺部のたわみを従来の構造(図2参照)と比較して、両端固定のはりと片側固定、片側自由端のはりのたわみ式との比として考えることができるため、約2%に抑えることができるという効果を有する。
【0015】
本発明の他の目的は、以下の点である。燃料交換や点検時に取外すチムニの取付け・取外しを容易にすることである。そこでチムニ構造から着脱可能な流路隔壁と前記チムニ胴内面に接合された流路隔壁とがその一部において水平方向を支持していることを特徴とする自然循環式沸騰水型原子炉のチムニとする手段を採用した。これによりチムニ胴の内面に残存させた流路隔壁の一部が、取付けの際に格子部分の水平方向の支持をすることで、格子の位置決めを容易とする効果がある。
【0016】
以上述べた各特徴は、本発明の趣旨を脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0017】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。
【実施例1】
【0018】
(原子炉の概要)
一般に,沸騰水型原子炉内の冷却材(軽水)の駆動方法は二通り有り,一方は再循環ポンプを用いて強制循環させる方法であり、他方は再循環ポンプを用いないで自然循環による方法である。本実施形態は、後者の自然循環による方法である。
【0019】
自然循環による方法は、図1に示すように、原子炉圧力容器(以下、圧力容器という)6内に収納する炉心7で発生するボイド、すなわち蒸気(気相)と飽和温度の液相の冷却材の混合した密度の低い冷却材と、給水配管16bから供給される給水と混合された液相の冷却材との比重差によって自然循環に必要な駆動力を得るものである。
【0020】
図1に示すように本実施形態の自然循環式沸騰水型原子炉(以下、原子炉という)1は、円筒状の圧力容器6内に、炉心シュラウド8が、同心の円筒状に設けられている。この炉心シュラウド8は、その外側面と圧力容器6の内側面との間隙に環状空間を形成し、これをダウンカマ9という。また、炉心シュラウド8の内部には、多数の燃料集合体21が配置された炉心7を収容している。
【0021】
ダウンカマ9の上方には、復水器3から給水ポンプ4を介して、給水加熱器5で加熱の後、給水入口ノズル17から圧力容器6内に供給される冷却材を圧力容器6内に均等に配分する図示しない給水スパージャが円環状に設けられている。
【0022】
炉心シュラウド8は、シュラウドレグ8aによって支持される。ダウンカマ9を下降した冷却材は、シュラウドレグ8a間の流路から、炉心7の下部の炉心下部プレナム(以下、下部プレナムという)10に導き入れられる。
【0023】
炉心7の下部には、炉心支持板22を、上部には、上部格子板23を設け、燃料集合体21と制御棒24の横方向の配置を決めている。
【0024】
炉心支持板22には、所定の間隔で円形の図示しない貫通孔が設けられ、その貫通孔に制御棒案内管25が挿入され、制御棒案内管25の下部は、圧力容器6の底部を貫通して制御棒24を上下方向に動かす制御棒駆動機構(以下、CRDという)26を収容する制御棒駆動機構ハウジング(以下、CRDハウジングという)26aの上部に組合わされている。
【0025】
燃料集合体21は、制御棒案内管25の上端に取付けられた図示しない燃料支持金具の上に据えられ、その荷重は制御棒案内管25およびCRDハウジング26aを介して、圧力容器6の底部に伝えられる。
【0026】
前記の図示しない燃料支持金具は、側面に冷却材入口を有し、そこに図示しないオリフィスが設けられて、冷却材流量を規制している。燃料支持金具の冷却材入口に対応する制御棒案内管25の側面には開口が設けられ、下部プレナム10に導かれた冷却材が燃料支持金具を経て、燃料集合体21内に導かれる。
【0027】
個々の燃料集合体21は、図示しない四角筒のチャンネルボックスで囲われ軸方向の個別の流路を形成しており、チャンネルボックスは上部格子板23の上面まで到る構成をしている。
【0028】
前記制御棒24は図示しない中性子吸収物質を含む有効部を有し、その有効部が前記チャンネルボックスの外面をガイドとして、周囲の4体の燃料集合体21間に挿入される。
【0029】
炉心7の上には、炉心から出た冷却材の気液二相流を上方に導き自然循環駆動力を増加させるチムニ11が設けられている。チムニ11は、例えば圧力容器6と同心の円筒状のチムニ胴11dを有し、その内部を仕切り板で格子状に仕切った格子流路11aを有している。以下では、格子流路11aを構成する前記仕切り板を流路隔壁11bという。
【0030】
なお、個々の格子流路11aを上方に流れる冷却材がチムニ11内の上部で合流するように、チムニ11の上部に上部プレナム11cが設けられている。
【0031】
なお、上部格子板23とチムニ11の下端とは、ダウンカマ9を下降する冷却材と、炉心7を出た冷却材とが混じらないような組み合わせ構造となっている。
【0032】
チムニ11の上端は、チムニヘッド12aで閉じられる。チムニヘッド12aには、所定の数の冷却材通過用の孔が設けられ、その孔はスタンドパイプ12bを介して気液二相流から飽和蒸気と飽和水とを分離する気水分離器12につながっている。気水分離器12の上方には、蒸気乾燥器13が設けられ、気水分離器12を出た飽和蒸気に含まれる湿分を除去する。蒸気乾燥器13を通過した蒸気は、蒸気ドーム14,蒸気出口ノズル15,主蒸気配管16aを経て、タービン2に送られる。
【0033】
なお、チムニヘッド12aとスタンドパイプ12bと気水分離器12は一体に組み立てられており、燃料交換時には、一体でチムニ11の上端から着脱可能な構成となっている。
【0034】
このように、概略説明した原子炉1においては、給水入口ノズル17から供給される冷却材は、気水分離器12で分離された飽和水と混合し、図1中矢印Aで示される冷却材は、ダウンカマ9を下降し、シュラウドレグ8aの図示しない間隙によって構成される流路から、炉心シュラウド8内に流入し、炉心7によって加熱される。炉心7からの加熱によって冷却材Aは、矢印Bで示す飽和状態の気液二相流となり、この気液二相流は格子流路11a,上部プレナム11c,スタンドパイプ12bを経て、気水分離器12によって、矢印Cで示す気相の飽和蒸気と、矢印Dで示す液相の飽和水に分離される。飽和蒸気Cは、蒸気乾燥器13を経て、蒸気出口ノズル15から主蒸気配管16aによってタービン2に導かれ発電に供される。
【0035】
一方、飽和水Dは、圧力容器6内の冷却材に混合され、給水入口ノズル17から供給される冷却材と更に混合されて、再びダウンカマ9を下降して圧力容器6内を循環する。
【0036】
(チムニの構造例1)
図3と図4と図5(a)、(b)に本実施形態によるチムニ構造例1を示す。
【0037】
図3に示すように、チムニ11は、冷却材の上昇流と下降流とを分けるチムニ胴11dと、上昇流が流れる複数の流路を形成する流路形成装置11Aと、流路形成装置11Aを支える台座11gを有する。チムニ胴11dは円筒状の形状をしており、この円筒内に流路形成装置11Aが設置されている。
【0038】
図4に示すように、流路形成装置11Aは、チムニ構造から着脱可能な流路隔壁11b1(以下、流路隔壁11b1)およびチムニ胴と溶接等で接合された複数の流路隔壁11b2(以下、流路隔壁11b2)からなる流路隔壁11bを有し、また、図3に示すように、流路隔壁11b1に溶接等で接合された上部支持板11eおよび下部支持板11fと、上部支持板11eに接合されたフック31を有している。
【0039】
チムニ11は、図4に示すように、圧力容器6(図1参照)と同心の円筒状のチムニ胴11dを有し、その内部を仕切り板等の流路隔壁11b1で横断面矩形の格子状に仕切った格子流路11aを有している。また、格子流路11aを構成する流路隔壁11b1は、その端部が全て角を成していると共に、閉じた構造となっており、そのため、格子流路11aはチムニ胴中心部と比較してチムニ胴付近では小さい矩形の格子形状となっている(図5(a)参照)。流路隔壁11b1は、一体となって着脱が可能なように、流路隔壁が互いに交差する部分及び角は溶接等により接合され、製作される。なお、材質は、例えばステンレス鋼等の金属からなる。
【0040】
図4に示すように、本実施形態によるチムニ構造は、格子流路11aの横断面において、前記チムニ胴内面に接合された流路隔壁11b2とチムニ構造から着脱可能な流路隔壁11b1により形成される11b1および11b2により形成される格子流路100を有する。流路隔壁11b2の端部は、互いに直交して角を成すか、またはチムニ胴11d内面に接合されており、全て閉じた構造となっている(図5(b)参照)。また、図4に示すように流路隔壁11b2によって流路隔壁11b1の水平面の位置を支持する構造となっている。
【0041】
流路形成装置11Aの流路隔壁11b1は、チムニ胴11dに取付けられた台座11gに支えられ、流路隔壁11b2はチムニ胴と接合されている。チムニ11設置時には、まずチムニ胴11dが上部格子板23に取付けられる。その後、流路形成装置11Aの流路隔壁11b1は、フック31に掛けてクレーン等によって吊下ろされ、チムニ胴11d内面に接合された流路隔壁11b2に沿うように通す。この際、チムニ胴11dの水平断面における流路隔壁11bの区切り方によって、各流路隔壁11b2が支持する流路隔壁11b1が決定されるため、流路隔壁11b1の配置位置を決めて吊下ろすことができる。
【0042】
炉内の燃料交換や点検時には、前記と逆の手順を行うことで、チムニ胴11dを取外さなくても、炉内の燃料交換や点検時の作業に影響を及ぼす流路形成装置11Aの流路隔壁11b1のみを取外すことができる。
【0043】
図2に示すように、従来のチムニ構造においては、流路を形成する隔壁はそれと直交する流路隔壁によって等間隔で支持される構造となっており、流路隔壁端部においてはどこにも支持されない構造、つまり自由端となっている。図4および図5に示すように、チムニ胴側に流路隔壁の一部を残存させることにより、燃料交換や点検時に取外さなければならない流路隔壁部の重量増加を抑えながら、その角を全て閉じた構造とし、横断面内の自由端を無くすことができる。
【0044】
通常、等分布荷重を受ける辺を考える場合、片側しか固定されていない辺は、両端を固定された辺と比べて、その固定端に発生する最大応力は6倍程大きくなる。図3および図4に示すように、流路隔壁の横断面内の自由端を無くすことで、格子間の差圧荷重や流体振動や自重で発生する最大応力を低減させ、チムニ周辺部の構造剛性を向上させることができる。
【0045】
流路形成装置11Aはチムニ胴11d内に設置され、非常に近接した位置関係となっている。本発明により流路形成装置11A周辺部の剛性が高くなったことで、前記の炉内の点検時や燃料交換時における流路隔壁11b1の吊作業の際に、その最大たわみを2%程に抑えられるとともに、流路隔壁11b2がガイドサポートの役割を担うことにより、その取り扱い性を向上させることができる。
【実施例2】
【0046】
(チムニの構造例2)
図6と図7と図8(a),(b)に本実施形態によるチムニ構造例2を示す。
【0047】
図3と図4と図5に示したチムニ構造例1と比較して、構造例2の異なる点は、チムニ構造から着脱可能な流路隔壁11b1において、チムニ胴中心からみて最も外側の位置に配置される流路隔壁の全てを、水平断面が同心同径の円弧形状の流路隔壁とすることで、流路隔壁11b1を閉じた構造とした点である。また、チムニ胴11dに接合される複数の流路隔壁11b2は、流路隔壁11b1との取り合いにより、水平断面がチムニ胴11dの内面の円形状に対して弦の形状となるように、板状の流路隔壁が垂直に接合されている。なお、流路隔壁11b1の水平方向の支持は、流路隔壁11b2のそれぞれの面が、流路隔壁11b1の格子の角を支持することによって成されている。
【0048】
チムニ構造例2とすることで、チムニ構造1に比べて、チムニ胴11dと流路隔壁11b2における溶接等の接合箇所を減少させることができる。一方、流路隔壁11b2は、チムニ胴中心から最も外側となる流路隔壁が曲率を有するため、その加工工程が増える。
【0049】
流路形成装置Aの上部支持板11eは、水平断面が円輪状の形状をしており、流路隔壁11b1のチムニ胴中心から最も外側となる流路隔壁の上面が上部支持板11eと全て接合されるように、その内径はチムニ胴中心から最も外側となる流路隔壁の内径と同径とし、外径はチムニ胴中心から最も外側となる流路隔壁の外形よりも少し大きな径となっている。これにより、フック31を用いて流路隔壁11b1の取付けおよび取外しを行う際の流路隔壁11b1の安定性が向上している。
【0050】
また、流路隔壁11b1の水平方向の位置決めは、流路隔壁11b1の格子の角と流路隔壁11b2の面を対応付けさせることにより行うことができる。
【0051】
なお、本発明の実施の形態の具体的な構成は、前記した実施の形態とチムニ構造例1とチムニ構造例2とに限られる物ではなく、流路隔壁11b1と流路隔壁11b2との取り合いやチムニ胴内の流路隔壁の区切り方は、炉心に充填された燃料集合体に応じて、異なってもよい。また、チムニ構造例1とチムニ構造例2の特徴を組み合わせた方法を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
海外ESBWRに適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 自然循環式沸騰水型原子炉
2 タービン
3 復水器
4 給水ポンプ
5 給水加熱器
6 原子炉圧力容器
7 炉心
8 炉心シュラウド
8a シュラウドレグ
9 ダウンカマ
10 炉心下部プレナム
11 チムニ
11A 流路形成装置
11a 格子流路
11b 流路隔壁
11b1 着脱可能な流路隔壁
11b2 チムニ胴11dに接合された流路隔壁
11c 上部プレナム
11d チムニ胴
11e 上部支持板
11f 下部支持板
11g 台座
12 気水分離器
12a チムニヘッド
12b スタンドパイプ
13 蒸気乾燥器
14 蒸気ドーム
15 蒸気出口ノズル
16a 主蒸気配管
16b 給水配管
17 給水入口ノズル
21 燃料集合体
22 炉心支持板
23 上部格子板
24 制御棒
25 制御棒案内管
26 制御棒駆動機構
26a 制御棒駆動機構ハウジング
31 フック
100 11b1および11b2により形成される格子流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の燃料集合体を横断面が円形状に装荷した炉心と、前記炉心の上に設置されたチムニを備えた自然循環式沸騰水型原子炉のチムニであって、
前記チムニは、チムニ胴と、前記チムニ胴の内部に垂設された流路隔壁により区画される複数の格子流路を含んでなり、
前記複数の格子流路を区画する流路隔壁の一部がチムニ胴内面に接合され、前記複数の格子流路を区画する流路隔壁の残りがチムニ構造から着脱可能であることを特徴とする自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ。
【請求項2】
請求項1に記載の自然循環式沸騰水型原子炉のチムニにおいて、
前記チムニ胴内面に接合される格子隔壁は、前記チムニ胴の内部に垂設された流路隔壁により区画される複数の格子流路のうち、水平断面で見て、前記複数の格子流路のうち格子流路を四辺で囲んでいない格子流路により形成されていること特徴とした自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ。
【請求項3】
請求項1に記載の自然循環式沸騰水型原子炉のチムニにおいて、
前記チムニから着脱可能な流路隔壁において、
前記流路隔壁の水平断面の端部は全て角をなし、格子流路が閉じた構造であることを特徴とする自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ。
【請求項4】
請求項1に記載の自然循環式沸騰水型原子炉のチムニにおいて、
前記チムニ構造から着脱可能な流路隔壁と前記チムニ胴内面に接合された流路隔壁とがその一部において水平方向を支持していることを特徴とする自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ。
【請求項5】
請求項1に記載の自然循環式沸騰水型原子炉のチムニを用いて、
前記チムニから着脱可能な流路隔壁部のみを取外し、
その後、燃料交換を行うことを特徴とする自然循環式沸騰水型原子炉の燃料交換方法。
【請求項6】
請求項1に記載の自然循環式沸騰水型原子炉のチムニを用いて、
前記チムニから着脱可能な流路隔壁部のみを取外し、
その後、点検を行うことを特徴とする自然循環式沸騰水型原子炉の点検方法。
【請求項7】
請求項1に記載の自然循環式沸騰水型原子炉のチムニを用いて、
前記炉心からの冷却材の複数の格子流路を形成することを特徴とした自然循環式沸騰水型原子炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−69751(P2011−69751A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221817(P2009−221817)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)