説明

自然衛星を介した非実時間同期型無線情報伝送装置システム

【課題】ブロードバンドワイヤレスの恩恵を世界中の民に提供することができる無線情報伝送装置システムを提供する。
【解決手段】地球上の月が見える場所から物理的に離れた月が見える別の場所への情報通信手段を提供する方法として、月という自然衛星を介した無線通信システムであり、その構成は、月面には大規模情報蓄積装置及び送受信用無線装置、月面から見た地球の大きさをビームスポット径とする超高利得送受信用アンテナ、月面中継基地局施設への給電設備として、太陽光発電設備と蓄電設備の組み合わせ等による給電設備を設け、地球から月を見た際に地球の自転と月の自転の関係から、常に月の表側が地球を向いているという自然法則を利用する事により、情報伝送に月が見えるまでの時間差があることを許容することで、地球上の至る所から、おなじ月をみてる、地球上の別の場所に対して、大容量無線情報通信手段の提供を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を無線通信回線を通して送受信を行う無線情報伝送装置システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、人工衛星と呼称される電源付き送受信無線伝送装置システムを地球周回軌道上にロケットやスペースシャトル等により打ち上げて、主に地球赤道上の鉛直垂直線上に位置し、地球に引き寄せられる装置にかかる重力という引力と、高速で地球上空を飛翔する事で得られる重力と反対方向に作用する遠心力との間で、平衡がとれる宇宙空間に配置する事により、地球上と人工衛星の間で無線情報伝送を行うことにより、遅延の少ない、ほぼ実時間での情報伝送を行ってきた。
【0003】
従来技術の人工衛星を用いた無線情報伝送装置システムでは、一つの人工衛星で地球上全体を通信可能範囲としてカバーすることはできず、複数個の衛星を配置することにより、地球上の離れた地点同士を無線伝送装置システムにより、伝送時間の遅延が少ない情報通信を行っていた。
【0004】
また、地球上の衛星軌道への打ち上げ時には、輸送手段の技術的制約により重量制限があるため小型化を余儀なくされており、大容量の情報蓄積装置を搭載するのが難しく、主に地球上から送信されてきた無線情報通信を受けて、地球上の別の地点へ再送信する役割を担っている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】 特許公開2010−16485 宇宙通信システム
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上に述べた従来の人工衛星を用いた宇宙通信では、地球上の遠隔地点同士を結ぶための情報伝送装置システムとして、地球軌道上を周回するという制約による大規模な構造にすることが物理的に難しいことから、大容量無線情報伝送装置システムとしては難しいという問題点がある。
【0007】
本発明は、このような従来の問題を解決しようとするもので、月という自然衛星を介した非実時間同期型無線情報伝送装置システムにより、ブロードバンドワイヤレスの恩恵を全世界の民に提供することを目的とするものである。
【0008】
本発明は、地球上の月が見える場所から物理的に離れた月が見える別の場所への情報通信手段を提供する方法として、地球から月へ及び月から地球へと、月という自然衛星を介した無線通信システムであり、その構成は、月面には大規模情報蓄積装置及び送受信用無線装置、月面から見た地球の大きさをビームスポット径とする超高利得送受信用アンテナ、月面中継基地局施設への給電設備として、太陽光発電設備と蓄電設備の組み合わせ等による給電設備を設け、地球から月を見た際に地球の自転と月の自転の関係から、常に月の表側が地球を向いているという自然法則を利用する事により、情報伝送に月が見えるまでの時間差があることを許容することで、地球上の至る所から、おなじ月をみてる、地球上の別の場所に対して、大容量無線情報通信手段の提供を可能とする、月という自然衛星を介した非実時間同期型無線情報伝送装置システムの構成をしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、地球上の送受信無線情報伝送装置システムは小型なものにすることができ、世界中でより多くの民が手軽に生活の道具として使えるインターネット接続環境の補助回線として、大容量無線情報伝送装置システムの利用が出来る。また、ハードウェアとしての情報道路として、この種の装置が普及することで、ソフトウェアとして真のIT革命を続けている、YouTube、ニコニコ動画、twitter、にちゃんねる、Google等の人と人を直接結びつけることが全世界中で可能となることで、新情報共有概念が人々の間に生まれることにより、世界平和の実現に貢献することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の自然衛星を介した非実時間同期型無線情報伝送装置システムは、図1に示されるように、物理的に離れた地球上の場所A1と地球上の場所B2への無線情報伝送手段として、地球上から月へ及び月から地球上への無線情報伝送を行う。
【0011】
月面上情報伝送用中継基地局3として、大規模情報蓄積装置4、送受信用無線装置5、月面から見た地球の大きさをビームスポット径とする超高利得送受信用アンテナ6、各施設への給電設備7を備える。
【0012】
大規模情報蓄積装置4としては、月面上において、太陽からの直接光を受けづらい日陰となる部分に設置、若しくは地中に建設することで、熱による装置の損耗を避ける。蓄積する記録媒体としては、既に地球でのデーターセンターにて運用実績がある大容量HDD(Hard Disk Drive:回転式磁気記憶装置)、高速SSD(Solid State Drive:半導体記憶素子使用記憶装置)等を用いて構成する。
【0013】
送受信用無線装置5としては、月面上において、太陽からの直接光を受けづらい日陰となる部分に設置、若しくは地中に建設することで、熱による装置の損耗を避ける。そして、無線装置としては地球と月の間で大容量情報伝送を実現するために、未使用周波数帯が豊富な準ミリ波・ミリ波・テラヘルツ波を利用する。周波数が高くなればそれだけ遠距離無線情報伝送に不利になるが、後述する広大な月面上を利用する超高利得送受信用アンテナ6でビームを絞る事と、大規模な給電設備7により実現が可能である。更に、月面上の中継基地局が巨大になる事で、地球上の送受信設備は小型にすることが可能で、世界的な普及が可能となる。
【0014】
月面から見た地球の大きさをビームスポット径とする超高利得送受信用アンテナ6としては、月面上の広大な未使用土地を有効活用し、大規模なアンテナを設置することが出来る。また、未使用周波数帯が豊富な準ミリ波・ミリ波・テラヘルツ波を利用する効果として、波長換算時により巨大な構造と電気的にすることが出来るため、超高利得送受信アンテナが実現できる。常に地球方向へ向けたビームスポットを形成するために、複数のアンテナによるアレーアンテナにより適宜メインビーム方向を制御可能とする。使用するアンテナとしては、月面上とはいえ温度変化が激しい厳しい環境であることから、いくつかある種類のアンテナの中でも全て金属で実現が可能な熱に弱い誘電体を使用しない中空導波管スロットアレーアンテナによる構成が最適である。
【0015】
各施設への給電設備7としては、月面上の広大な土地を利用しての太陽光発電設備8と蓄電装置9を設けて構成する。太陽熱発電等の他の発電方法等も可能である。
【0016】
月面上の情報伝送用中継基地局3の建設場所は、地球上から月を見た際に地球の自転と月の自転の関係から、常に月面の表側が地球に向いているという自然現象を利用することから、月面上の地球に正対する表側面とする。
【0017】
あえて実時間での情報伝送に拘らないことにより、無線情報伝送が送信から受信までの完了するまでに、月が地球上から見えるまでの時間差があることを許容する非実時間伝送装置システムとする。
【0018】
この発想の転換により、必ずしもリアルタイムで通信を行わなければならない場合に対する有利な点として、地球上の至る所から、おなじ月をみてる、地球上の複数地点間に大容量無線情報伝送装置システムを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
上述の発明は、大容量無線情報伝送装置システムとして利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる自然衛星を介した非実時間同期型無線情報伝送装置システムの構成を示す外観図である。
【符号の説明】
1・・・地球上の場所A
2・・・地球上の場所B
3・・・月面上情報伝送用中継基地局
4・・・大規模情報蓄積装置
5・・・送受信用無線装置
6・・・月面から見た地球の大きさをビームスポット径とする超高利得送受信用アンテナ
7・・・給電設備
8・・・太陽光発電設備
9・・・蓄電装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地球上の月が見える場所から物理的に離れた月が見える別の場所への情報通信手段を提供する方法として、地球から月へ及び月から地球へと、月という自然衛星を介した無線通信システムであり、その構成は、月面には大規模情報蓄積装置及び送受信用無線装置、月面から見た地球の大きさをビームスポット径とする超高利得送受信用アンテナ、月面中継基地局施設への給電設備として、太陽光発電設備と蓄電設備の組み合わせ等による給電設備を設け、地球から月を見た際に地球の自転と月の自転の関係から、常に月の表側が地球を向いているという自然法則を利用する事により、情報伝送に月が見えるまでの時間差があることを許容することで、地球上の至る所から、おなじ月をみてる、地球上の別の場所に対して、大容量無線情報通信手段の提供を可能とする、月という自然衛星を介した非実時間同期型無線情報伝送装置システム。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−114887(P2012−114887A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274065(P2010−274065)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(507187547)
【Fターム(参考)】