説明

自立式簡易構築体

【課題】 簡単に組立て、収納ができ、デザイン性に優れた簡易温室などに利用可能な自立式簡易構築体を提供する。
【解決手段】 複数の傘骨120を、その一端を棒軸状の軸部110に支持させて放射状に配置するとともに、当該傘骨120にビニルシートのような透明なシート状物からなる天幕部160を備え、、傘状に開閉可能となった傘状部100を作製する。当該傘状部100を、台座310を有する支持部300の軸支部320に支持させる。さらに、傘状部100の周囲には、ビニルシートのような透明なシート状物からなる横幕部200を吊り下げ、本発明に係る自立式簡易構築体Aを提供する。当該自立式簡易構築体は、簡易温室として利用できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自立式簡易構築体に関する。具体的には、外部と遮断された空間を容易に確保し、例えば寒風から植物を保護する簡易温室に利用したり、屋外の簡易更衣室に利用できる自立式簡易構築体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から簡易温室として、パイプ状のフレームが、例えば家状に組立てられ、当該組立てられたフレームの全体を覆うように、透明なビニール製のカバーが備えられたものが知られている。当該フレームには、棚が数段に設けられ、当該棚上には植木鉢を置ける。また、カバーの前面に設けられた開切部から人が出入りしたり、植木鉢を出し入れできる。
【0003】この簡易温室にあっては、比較的簡単な構造であって、組立てはビス止め等により容易にできる。このため、マンションのベランダ等に手軽に設置することができ、冬の木枯しや霜、雪などから植物を簡易に保護できる。
【0004】しかしながら、春から夏になると外気温が適度に上昇し、温室が不要になる。このため、カバーをフレームから取り外し、温室内を開放する必要があるが、フレームからカバーを取り外すのは非常に面倒であり、カバーを取り外した際には、フレームが露出された状態になるため、見た目に悪印象を与える結果となっていた。
【0005】また、フレームを分解して収納することも考えられるが、フレームを分解するのは比較的面倒なものである。そして、冬になれば再び組立てる必要があり、毎年毎年、組立てや分解を繰り返すには不便なものであった。
【0006】本発明は叙上の従来例の欠点に鑑みてなされたものであり、簡単に組立て、収納ができ、デザイン性に優れた簡易温室などに利用可能な自立式簡易構築体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の自立式簡易構築体は、傘状に開閉可能となった傘状部と、前記軸部を支える支持部と、前記傘状部の周囲に吊り下げ可能な横幕部とを有しており、前記傘状部は、軸部と、当該軸部に片端を支持され放射状に配置された複数の傘骨と、当該傘骨に備えられた天幕部とを有している。
【0008】また、請求項2記載の自立式簡易構築体は、前記天幕部及び前記横幕部は、透明であることを特徴としている。
【0009】また、請求項3記載の自立式簡易構築体は、少なくとも前記横幕部は、不透明であることを特徴としている。
【0010】さらに、請求項4記載の自立式簡易構築体の横幕部の裾部には、重りが着脱可能に取り付けられている。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施の形態である自立式簡易構築体Aの概略斜視図、図2は、当該自立式簡易構築体Aの傘状部100の一部を示す部分拡大図、図3は、当該自立式簡易構築体Aの横幕部200の取付方法を示す部分拡大図、図4は、横幕部200の別な取付方法を示す部分拡大図、図5は、当該自立式簡易構築体Aの支持部300を示す断面図、図6は、本発明の別な実施の形態である自立式簡易構築体Bの概略斜視図、図7は、当該自立式簡易構築体Bの支持部300を示す断面図、図8は、本発明のさらに別な実施の形態である自立式簡易構築体Cの概略斜視図、図9は、当該自立式簡易構築体Cの裾部250を示す概略斜視図、図10R>0は、当該自立式簡易構築体Cの使用方法を示す説明図である。以下、各図に従って、本発明について詳細に説明する。
【0012】図1に示す自立式簡易構築体Aは、温室として用いられるものであって、傘状に開閉可能になった傘状部100と、当該傘状部100を支える支持部300と、前記傘状部100の周囲に吊り下げられた横幕部200とを備えている。前記傘状部100は、自立式簡易構築体Aのいわゆる屋根の部分を構成するものであって、軸部110と軸部110に支持され、放射状に配置された複数の傘骨120と当該傘骨120に備えられた天幕部160とを有している。
【0013】傘骨120は、放射状に等間隔に複数本配置され、各傘骨120の一端は軸部110の先端付近に支持されている。また、各傘骨120の途中には枝骨121が備えられている。当該枝骨121の一端は、折り畳み可能に傘骨120に備えられ、枝骨121の他端は、軸部110に上下にスライド可能に設けられた筒状の操作部130に固定されている。また、各傘骨120の他端は、上方に曲折されており、横幕部200を吊り下げ容易に設計されている。
【0014】軸部110は棒軸状をしており、傘骨120や天幕部160並びに横幕部200をしっかりと支えられる程度の強度を有している。当該軸部110の長さや傘骨120の長さは、用いられる目的に応じて自由に設計変更可能である。
【0015】天幕部160は、例えばビニルシートなど、透明でかつ柔軟なシート状物から作製されており、放射状に配置された傘骨120に固定されている。また、図2に示すように、傘骨120の先端には、危険防止のために、先が丸くなった露先122が備えられるとともに、天幕部160の端が当該露先122に固定される。
【0016】操作部130は、傘状部100を開いたり閉じたりするためのものであって、操作部130の側面には、溝状の開口131が開設されている。一方、軸部110には、軸部110方向に押し込み可能になった薄板状の固定部111が突設されている。当該固定部111は、バネ等により軸部110外側方向に付勢されており、前記開口131に嵌められ、図1に示すように傘状部100を開いた状態に保持できる。また、当該固定部111を押し込み、操作部130を下方に引き降ろすことにより、傘状部100を閉じることができる。
【0017】このように、当該傘状部100は、いわゆる雨傘や日傘とほぼ同様な構造をしており、傘状部100を自由に閉じたり開いたりできる。
【0018】支持部300は、上記傘状部100を支持するためのものであって、ベランダや地面に設置される台座310と傘状部100の軸部110を支持する軸支部320を備えている。台座310は、平面視略円形をした丘状に形成されている。軸支部320は、台座310の中央に設けられる。当該軸支部320には、上記軸部110を挿入するための開口321が開設され、当該軸支部320の側部には、挿入された軸部110を固定するための固定ネジ330が設けられている。
【0019】横幕部200は、当該自立式簡易構築体Aの側面を構成するものであって、天幕部160と同様に、ビニルシートなど、透明でかつ柔軟なシート状物から作製されている。当該横幕部200は、傘状部100の周囲を取り囲むようにして設けられており、その左右両端は、自立式簡易構築体Aの前面において、一部がわずかに重なり合う程度に設けられる。この重なり合った部分から、自由に手や植木鉢を出し入れしたり、あるいは内部に出入りできる。
【0020】この横幕部200はその上端部を、例えば図3に示すように、いわゆるマッカンのような吊下部材210を用いて、曲折された傘骨120の先端に、吊り下げられる。この吊下部材210は、横幕部200を両側から挟み込み、把持できる構造のものであれば特に限定されるものではなく、横幕部200に吊下部材210に取り付けられた環状の吊下部211を、曲折された傘骨120の先端に引っ掛けることができればよい。
【0021】また、図4に示すように、横幕部200の上端部に孔201を開設し、当該孔201を傘骨120の先端に引っ掛けるようにして、横幕部200を吊り下げることもできる。このとき、補強のために、孔201の周囲に金属製の取付リング202を設けるのが好ましい。
【0022】また、横幕部200の裾部250には重り230が備えられている。当該重り230は、横幕部200が裾部250が、風により舞上がらないようにするためのものであって、例えば、ビニールホースや鉄棒のような比較的質量のある棒軸物を円環状に加工したものを用いることができる。横幕部200の裾部250には、横幕部200の下端部を丸めるようにして形成された円筒状の取付部240が設けられており、重り230は当該取付部240の中に収納される。この重り230は、横幕部200の取付部240の中に予め収納した状態でもよく、また、組立て後に収納するようにしてもよい。
【0023】さらに、傘状部100の各傘骨120と各傘骨120との間には、横幕部200と傘状部100との隙間を覆う覆い部140が備えられている。当該覆い部140も、ビニルシートのように透明な材質のシート状物から作製されており、図2に示すようにその上端が接着や縫い合わせなどにより、天幕部160に備えられる。この覆い部140は、天幕部160と一体に作製することができる。
【0024】この自立式簡易構築体Aにおいて、春になり外気温が上昇すれば、横幕部200を傘状部100から取り外すことにより、側面を開放できる。また、自立式簡易構築体Aを分解収納する場合には、傘状部100の周囲に吊り下げられた横幕部200を取り外した後、操作部130の固定部111を押し込み、傘状部100を閉じる。その後、固定ネジ330を緩めて、軸部110を軸支部320から引き抜き、コンパクトに収納できる。さらに、横幕部200もシート状物であり、重り230の回りに巻き込んだり、折り畳むことにより小さく収納できる。特に、市販されているいわゆるビニール傘を転用することができ、安価に提供できる。
【0025】このように、本発明に係る自立式簡易構築体Aにあっては、気温が高くなり、横幕部200を取り除いた状態では、あたかも傘を開いた状態になり、美観を損ねることが少ない。また、収納した際もコンパクトで、収納場所を取ることもない。さらに、パラソルのようにして傘状部100を閉じることができるので、簡単に分解、組立てを行なえる。
【0026】また、傘状部100の各傘骨120と傘骨120の間の天幕部160には、覆い部140が備えられているので、傘状部100と天幕部160との間の隙間が閉じられ、寒風が自立式簡易構築体A内に吹き込まず、構築体内温度の低下を防げる。もちろん、この覆い部140を天幕部160の上に折り返し、傘状部100と天幕部160との間の隙間を開放して、構築体内温度の調整も行なえる。
【0027】次に、図6に示す自立式簡易構築体Bにあっては、図7に示すように台座310は、傘状部100を開いた際の大きさとほぼ同じ大きさに作製されている。この自立式簡易構築体Bにあっては、台座310が大きく、自立式簡易構築体Bを安定に設置できるとともに、当該台座310上に、植木鉢用の棚を設置でき、より便利な温室にできる。また、台座310の周囲に横幕部200を位置させることができ、台座310と横幕部200の間の隙間が小さくなる。このため、冬の間、地面からの冷えが伝わりにくく、より温室効果を高められるという利点もある。
【0028】また、上記各実施の形態においては、簡易温室として用いた場合について説明したが、本発明の自立式簡易構築体には種々の使用態様が考えられる。図8に示す自立式簡易構築体Cは、キャンプ場や海水浴場等で、簡易更衣室や日焼けを防止するための簡易シェルターとして用いられるものである。
【0029】当該自立式簡易構築体Cは、上記した自立式簡易構築体A、Bとほぼ同じ構造をしており、少なくとも人が一人、中に入って更衣できる程度の幅や高さに設計され、天幕部160及び横幕部200は、不透明なシート状物から作製されている点で異なっている。また、横幕部200の裾部250には、図9に示すように重り230を取り付けるための円筒状の取付部240が設けられている。当該重り230には、砂や水を入れた、いわゆるペットボトルが用いられており、取付部240は当該ペットボトルを挿入可能に作製されている。
【0030】また、自立式簡易構築体Cの横幕部200は、その左右両端からそれぞれ、所定の長さ分を除いて、露先122までの高さよりもやや長く、具体的には概ね20cm程度長く設計され、前記取付部240は、この長くなった裾部250に設けられる。
【0031】従って、横幕部200を傘状部100に取り付ける際には、裾部250を内部に折り込んだ状態で設置され、横幕部200の裾部250が舞い上がるのを防ぐことができる。また、図10に示すように、横幕部200の左右両端を折り返すようにして、部分的に横幕部200の取付箇所を移動させ、出入口260を設けることができる。このため、横幕部200は、露先122と露先122の間隔に対応した長さ分だけ折り返すようにするのが好ましく、この折り返す部分の長さ分だけ、具体的には、傘状部100の大きさにより異なるが、50cm程度を除き、裾部250を設けるのが好都合である。従って、移動させた 幕部200には、裾部250は設けられておらず、裾部250に邪魔されることなく、出入口260を設けることができる。
【0032】当該自立式簡易構築体Cにあっても、簡単に横幕部200を取り外しでき、また、傘状部100を閉じることによりコンパクトに収納することができる。さらに、軸部110を台座310から取り外すことにより、持ち運びが容易にできる。このとき、軸部110を2本ないし3本の構成部品を繋ぎ合わせるようにすれば、よりコンパクトにでき、持ち運びがより容易になる。
【0033】また、ピーチパラソルのように、傘状部100を大きく作製することすれば、自立式簡易構築体Cの中に、簡易いすや簡易テーブルなどを持ち込んで、食事ができる。この時、横幕部200を半透明や透明なシート状物から作製されたものと交換することにより、自立式簡易構築体C内の採光がよくなり、また、ファッショナブルな横幕部200とすることにより、デザイン的により優れたものを提供できる。
【0034】このように本発明に係る自立式簡易構築体にあっては、外部と遮断された空間を容易に得ることができ、組立て、収納も容易である。従って、天幕部160や横幕部200の仕様を変えることにより、簡易温室として利用したり、簡易更衣室或いは日焼けを防止するための簡易シェルターとして利用することができる。
【0035】
【発明の効果】本発明の自立式簡易構築体は、傘状に開閉可能となった傘状部と、前記軸部を支える支持部と、前記傘状部の周囲に吊り下げ可能な横幕部とを具備し、前記傘状部は、軸部と、当該軸部に片端を支持され放射状に配置された複数の傘骨と、当該傘骨に備えられた天幕部をとを有しているので、簡単な構造で、外部と遮断された空間を得ることができる。特に、傘状部に吊り下げた横幕部を取り外し、あたかも傘を閉じるかの如く、簡単に収納することができる。また、横幕部を取り外した際には、ピーチパラソルを開いているかのように見えるので、外観的にも見劣りがしない。もちろん、傘を開くようにして取扱えるので、簡単に組立てることもできる。
【0036】当該自立式簡易構築体にあっては、例えば、天幕部及び前記横幕部を、透明なものとすることにより、簡易温室として利用することができる。
【0037】また、例えば、少なくとも横幕部を、不透明なものとすることにより、外部からの視線を遮断し、屋外で使用する簡易更衣室として利用することができる。
【0038】さらに、横幕部の裾部に重りを着脱可能に取り付けることにより、多少の風が吹いても横幕部がめくれあがることがなく、しかも収納時に重りを横幕部から取り外せるので軽量コンパクトに収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である自立式簡易構築体の概略斜視図である。
【図2】同上の自立式簡易構築体の傘状部の一部を示す部分拡大図である。
【図3】同上の自立式簡易構築体の横幕部の取付方法を示す部分拡大図である。
【図4】同上の自立式簡易構築体の横幕部の別な取付方法を示す部分拡大図である。
【図5】同上の自立式簡易構築体の支持部を示す断面図である。
【図6】本発明の別な実施の形態である自立式簡易構築体の概略斜視図である。
【図7】同上の自立式簡易構築体の支持部を示す断面図である。
【図8】本発明のさらに別な実施の形態である自立式簡易構築体の概略斜視図である。
【図9】同上の自立式簡易構築体の裾部を示す概略斜視図である。
【図10】同上の自立式簡易構築体の使用方法を示す説明図である。
【符号の説明】
100 傘状部
110 軸部
120 傘骨
122 露先
130 操作部
140 覆い部
160 天幕部
200 横幕部
210 吊下部材
260 出入口
300 支持部
310 台座
320 軸支部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 傘状に開閉可能となった傘状部と、前記軸部を支える支持部と、前記傘状部の周囲に吊り下げ可能な横幕部とを具備しており、前記傘状部は、軸部と、当該軸部に片端を支持され放射状に配置された複数の傘骨と、当該傘骨に備えられた天幕部とを有していることを特徴とする自立式簡易構築体。
【請求項2】 前記天幕部及び前記横幕部は、透明であることを特徴とする請求項1記載の自立式簡易構築体。
【請求項3】 少なくとも前記横幕部は、不透明であることを特徴とする請求項1記載の自立式簡易構築体。
【請求項4】 前記横幕部の裾部には、重りが着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の自立式簡易構築体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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