説明

自立生活運動支援用車椅子

【課題】要介護者の下肢の運動機能維持回復支援を具備した車椅子を提供する。
【解決手段】車椅子の座席前部に利用者が立位となって立ち、座席を利用した各種の運動や体操が立体位を支持し転倒を防ぐために構成した座席上部の上枠部によって守られ、枠内で安全に運動の行える構造とした。上枠部は座席左右の主フレームによって支持した支柱フレームにより支持される構造とする。利用者は前側方の支柱や上枠の一部を掴み無理する事なく懸垂動作で立ち上がり座席前の床面において上枠の一部を手摺として使い歩行の訓練や下肢を使った生活移動や全身のリハビリや筋トレを介助者に頼る事なく行える。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は人を介助移動する車椅子において、下肢の運動や体操やリハビリが自力でも実施出来る軽便な自立生活支援用車椅子技術と、自立生活に不安を覚える高齢者や障害者の生活移動や運動を具体的に補助・支援・介助しうる歩行運動・回復体操機能を有する車椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、老化や病気によって低下した身体の機能を回復し健康長寿の生活を保持するには毎日の運動・体操を無理なく継続することが有効なことが医学的に知られている。然しながら現実には自立生活の保持や健康回復に役立つこれら健康福祉機器の開発は困難とされこの問題は改革・改善する事が出来ないままに歴史が推移している。
【0003】
特に従来の車椅子は下肢の運動や歩行・運動が出来ず、介助者を必要とし、自立生活延伸と健康の保持回復に必要な自力での生活移動や運動・体操等が出来ない問題があり、にも拘らず改善される事もなく今に到っている。このような実態は自立生活や運動支援に有効な車椅子のなかった事が最大の因である。自立生活の継続を望む多くの高齢者や障害者が下肢や歩行運動の出来ない車椅子利用の生活を余儀なくされている現状にあって、結果として下肢の機能を廃用退化で短期に歩行不能化へと進行させ、介助者の必要な寝たきの惨めな要介護者生活が早まり、医療・介護保険費など社会保障費に頼る自立生活諦めの暗い生活が一般高齢者の社会的常識とまでになっている。
【0004】
本発明は歩行補助機能と介助移動機能と座位や立位による運動・体操の実践機能とを有し特に介助者がいなくても自分の意志で体位を支え生活移動(立位でも座位でも)や全身の運動・筋トレ・ストレッチ等が座席部や保護枠を利用して行え、更に利用者が片麻痺障害でもリハビリにも使い易く構成された機器機能と要介護者化の予防に有効な技術を提示する事にある。特に高齢者や障害者の介助者負担を軽減し、要介護者化予防のために居宅での生活移動や健康保持運動に使い易いように簡便で軽量に構成した自立生活支援用車椅子を提示し高齢者・障害者等の福祉と生活の質の向上と社会経済を活性化する事に資するものである。
【0005】
【特許文献1】特許台3644926号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これら車椅子の欠点とされている課題を解決するため、本発明は高齢者や障害者が自立に不安を覚え、歩行補助車や車椅子を利用している場合においても利用者がこれらの機器を利用し安全に移動や運動・体操の目的が座位でも立位でも介助者がいなくても自分の意志で行え特に何時でも行える立ち上がり健康法と疲れたら何時でも休みながらでも行える座席利用による運動方法と、安全性を高め使い易く構成した新しい上部運動枠の機能を提示する事にある。
【0007】
上記目的を達するために、一番目の発明では、人の移動や運搬を手動や電動などによって行う車椅子において、利用者が車椅子を利用して歩行や運動をするときには車椅子に歩行機能をもたすべく、車椅子の座席や車輪を支持する為に座席周りに延在するフレームを下部主フレームとし、下部主フレームの座席前域と上部を利用者の運動域とすべく、身体を支持保護するための枠部を上枠部として形成し、利用者の座席からの立ち上がり動作を上枠部や支持柱部を握り・掴まることで自力による立ち上がり動作を補佐し、更に利用者が保護枠内の運動域での繰り返し立ち上がり運動や体操を安全に行う事や自在なこれらの運動懸垂運動行為によって座位の臀部圧迫緩和による局部血流の悪化防止を図り、全身機能の退化、特に全身への血流促進を図り得る事により自立生活を活性化することにある。
【0008】
二番目の発明では一番目の発明における作用効果を既存の車椅子において実施し得るように座席前に位置付けする運動域の体位保護枠部を着脱可能な構造として車椅子に装着し、枠部の加重作用によって枠下部を接床させて枠部の安定化を図る事を自在とし、運動の実施には先ず左右の上枠部支持パイプに掴まって身体を起し、次に腕を伸ばして上枠部を掴み腕の懸垂力を利用して脚・腰に無理を掛ける事少なく立位の運動を行い歩行時には座席を起して運動空間を広げ、枠部を浮かしての移動を自在とし、上部枠の高さを利用者に合わせて調整しうる構造である。
【0009】
三番目の発明は、既存の車椅子において、座席部支持枠より利用者の立位の身体を保護し立位の健康保持・回復のための体操や運動を補助する上体保護枠部を着脱自在な付加部品として構成し主枠左右の前後車軸間に付加部品として装着する事とし、従来車椅子の利用者でも自力による下肢や全身の運動が座席前域において行う事を可能とし、保護枠内の出入りを容易とすべく上枠前部を反転開口式や片支持持ち上げ開閉式に構成している。この上部枠を利用した懸垂運動によって上体の運動と座位で生ずる褥瘡の発症を予防し、自立生活延伸と要介護者化予防の目的と健康回復の作用効果を抜本的に改革するものであり、高齢者や障害者の生活改善と、強いては医療・介護保険給付費増大による国家国民負担を軽減する事にある。
【0010】
以下、図示した実施例を参照して本発明を詳細に説明する。図1に本発明の生活運動用車椅子の一つの実施例を側面図で示し、図2に図1に示した実施例を上から見た平面図で示し、図3に別の上枠部着脱方式の実施例を側面図で示す。なお以下の説明においては説明の都合上、図1の左方向を「前方」と称し、図1の右方向を「後方」と称し、図1の上方向を「上部」と称し、図1の下方向を「下部」と称し、図2の左右方向を「側方」と称する。なお図2において「上方」は上方向であり、「下方」は下方向である。
図3は別の実施例を示す。
【0011】
図1に示したように本実施例の車椅子は利用者を包囲するように延在する左右の主フレーム1を具備する。主フレーム1は上部に上部フレーム2と、補助フレーム3と、上部フレーム2と補助フレーム3とこれを連結するための二重パイプ構造の縦フレーム4と左右の主フレームを結合しコの字あるいはU字形主枠(以下同)を形成するための結合フレーム5を有する。
【0012】
上方フレーム2は車椅子の後方領域から両側前方域にむかって延び、コの字状に作られ、その中間域は主フレーム1により支持された二重の縦フレーム4の内部パイプ10によって支持されその前方枠部2’は可動継手部で反転開口のできる構造である。上方フレーム2は丸形中空パイプ6によって構成される。上方フレーム2はプラスチック材7で被覆されている。中空パイプで構成した保護枠Aの支持部の前部分は中空パイプを二重同軸可動状に接続した可動継手部Bが設けられ保護枠フレームAの一部である前方の枠部Cを持ち上げて入り口部とし、下ろして枠端D部をE部に重ね合わせる事で体位の全方向を囲成状に保護し、かつ利用者が片手でも保護枠内の出入りを容易とした構造である。
【0013】
一方、左右の主フレーム1は上方フレーム2と略同様に歩行運動用車椅子の後部領域から両側前方向に向かって延びる略コ字形をしているがその前後部は左右ともに下向きに曲げられそれぞれF1・F2・G1・G2の車輪が取り付けられ後部座席側部には手動用車輪H1・H2が配備されている。左右主フレームの後部8・9は結合用フレーム5によって接合されている。
【0014】
上下枠連結用フレーム4は主フレーム1と補助フレーム3に固定された外管とその内部に滑動を可能としたパイプ10とによる二重構造であり、内部パイプ上端部は上方フレーム2に固定され、利用者の姿勢に応じた枠部高さの調整を可能とし外側フレームには二重パイプフレームのストッパーI・Jが設けられフレーム2の高さを調整する仕組みである。
【0015】
本実施例の立ち上がり歩行運動用車椅子は従来の車椅子とは異なり、利用者が何時でも自分の足・脚を使って立ち上がり歩行や下肢の運動が可能なように座位においても利用者が何時でも腕を使ってフレームの一部に掴まり足腰に無理する事無く懸垂運動で立ち上がる事や各種の運動体操が介助者に頼る事少なく実践できる機能を有している、この機能は利用者の歩行機能の退化を先ず車椅子より立ち上がる機能回復より始め、次いで下肢の運動や歩行の訓練によって歩行不能化を予防し、高齢者や障害者の自立生活期間保持延伸の願望を具体的に合理的に支援しうる機能を車椅子において構成すべく開発した技術である。また座席を構成する座席部は座面の開閉構成を自在とし(座面の中弛みを防ぎ、通気性の改善で蒸れを防ぐ)などで褥瘡を防ぎ、居宅における歩行訓練運動や生活移動やリハビリ等の体操が介助者負担少なく使えるように軽量簡便な生活支援用福祉機器としている。
【0016】
本実施例図3の車椅子にはその移動を制動するための通常のタイヤ部制動装置N部を具備する。図1に示す歩行補助用車椅子の制動装置についても手動用車輪Hに一般に使われているタイヤブレーキが使われる。
【0017】
次に、上述した歩行運動支援用車椅子の利点を以下に列挙する。
【0018】
上述した歩行運動用車椅子においては歩行補助用車椅子を利用使用する人(以下、利用者)は上方フレーム2、補助フレーム3、および連結フレーム4により囲まれた空間内に立ち、上方フレームに身体を預けるようにして、或いは上方フレームに手を掛けるようにして歩行運動用車椅子を利用し、歩行することができる。このように歩行運動用車椅子を利用して歩行するときには後部の開閉式着座部分Xを縦状態に起こせば歩行運動空間が広く確保される、この場合には足乗せ部10・11も鉛直状に位置付けする。すなわちこの車椅子を利用して歩行移動や運動を行うときには利用者の脚が歩行のために動く領域(以下、脚可動領域)から着座部分をはずすことで利用者は座席部分Xに邪魔されることなく歩行することができる。また利用者が歩行訓練中に疲れたり、座席を利用した運動や休息したいときには座席部分Xを水平状態にする事で直ちに座席部を構成する事が出来る。
【0019】
開閉式着座部Xは座位で休息をとる用途以外に次のように利用することができる。例えば椅子を利用して行える各種の筋トレ・ストレッチや立ち上がり屈伸の予備運動や生活移動が座位でも下肢の運動と共に保護枠内で安全に自由・自在に行えることにある。
【0020】
従来の車椅子は下肢の運動が出来ないために自立の生活移動や健康保持の運動機器としては認められず、また歩行器も介助者なしでは使えない不便性を有する事から高齢者や障害者の生活支援用福祉機器として認められず歴史のみが経過してきた。この間に多くの高齢者らが如何に自立的生活の継続や運動による健康保持を望んでも体力の低下した身体を支え毎日の生活移動(トイレ・食事の移動)や健康保持・回復に必要な運動体操(筋トレ・ストレッチ・ウオーキング)などが介助者に頼るしかなく経済的負担が増えるので知識・経験を有する多くの高齢者がまだ自立生活の可能な人生後期の生活を、改善されない車椅子の利用を余儀なくされて歩行機能を失い要介護者化を早めた悲しい生活文化が何百年も繰り返されている。この事は人類・世界の大きな損失である。車椅子の歴史は古く昔より歩けない人の移動や物の運搬に多く便利に使われて来た。然しながら弱くなった身体を支え体力や健康を保持し少しでも回復させる為の運動や筋力の退化を防ぐ為の体操などが自分の意志で行え、1人でも生活移動と共に運動の行える車椅子機能と一体化した自立生活運動支援用機器は現存していない実状である。
【0021】
車椅子を使っていても立ち上がりたい場合に、直ぐ目の前の掴み易い位置に身体を支えられる枠部や手摺部があれば安心して立ち上がる勇気と意欲希望が生ずる。立ち上がりや屈伸の運動だけでも寝たきりの予防と自立の生活に多いに活かされる。また立ち上がり運動を繰り返すだけでも内臓器が働き下肢筋力の退化も予防されます。自らの足で立ち上がる行為の可否が寝たきり防止の原点である。更に本発明による上体位を支持しうる枠部は転倒を予防し安心安全に歩行訓練の支援を行う重要な役割を果たす特記すべき特徴である。
【0022】
現用の車椅子は進行方向前部が開放された運搬車的設計であり、この車椅子を利用する総ての人が降車時に目前に手掛かり部がなければ不安を覚えます、従って車椅子からの降車時における利用者の安心・安全を図るためにも本発明のごとく立位で枠部をしっかり掴み床面を踏まえ立ち上がるのみでも身体には大きな下肢の運動になる。更に体位保護枠部は移動手摺部の役割を果たす事から利用者はこれに掴まり屈伸の運動や歩行の訓練等が安心して行えるので従来車椅子の欠点とされていた下肢や全身運動欠如の大きな問題が抜本的に改善される事になる。このように本発明になる福祉機器は利用者の利便性を向上すると共に自立健康生活延伸と要介護度進行予防に役立ち自立の基本とも言える立ち上がり機能維持、回復に非常に重要な基本技術である。
【0023】
特に上枠部は座位の利用者が何時でも枠に掴まり懸垂運動が出来るので利用者の臀部と座面部との接圧条件が緩和されるので血流阻害や蒸れの防止に役立ち上肢の運動と共に褥瘡の発生や進行予防に有効に作用する。また上体位保護枠部の出入りは、左右支持部の前枠部の支持金物部を利用して前枠部を反転する事や持ち上げる事で片麻痺障害者でも出入りを容易とする事が出来ます。また上体位保護枠部を図3の如く着脱構造とし既存の車椅子に装着する事でこれまで車椅子が改善・解決することの出来なかった下肢の運動や歩行運動が着脱自在に付加される保護枠によって改革される事になる。
【0024】
本機器のフレーム材料として鉄パイプとコの字形プレス鋼板が使われるが鉄以外のプラスチック材料を使用することも出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例の側面図である。
【図2】図1に示した実施例を上から見た平面図である。
【図3】別に示した実施例の側面図である。
【符合の説明】
【0026】
1…下部主フレーム
2…上部フレーム
3…補助フレーム
4…縦フレーム
5…結合フレーム
6…丸中空パイプ
7…プラスチック被覆
8…右主フレーム後部
9…左主フレーム後部
10…縦フレーム4内の上枠支持パイプ
A…上部保護枠
B…可動継手部
C…上枠前部
D…開閉枠端部
E…枠端受部
F…前車輪
G…後車輪
H…大車輪
I…二重パイプ止めネジ
J…二重パイプ止めネジ
K…座席部
L…足乗せ台部
M…床面
L…定乗せ部
O…加重接床部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主枠フレームに座席と車輪を具備した車椅子において、利用者が座席から手を伸ばし枠部の一部を手摺状に掴み懸垂的動作によって座席前部に立ち上がり、下肢の屈伸や足踏み等の運動や体操が座席の前部床面において出来るよう、予め座席の前方上側部に利用者の立ち上がり動作を支援する為の上枠部支持用縦フレームを主枠フレームより立ち上げそのフレームに立位の上体を支持保護する為のアーム部や移動体位を保護し得る水平枠部を構成し、利用者がこのアーム部や枠部に手を掛け上肢の力を利用して立体位の安定を図り、立ち上がりや全身の運動や体操を座席部前域と体位保護枠内において実行し、立位や座席を利用した健康保持と回復の運動を自力で実践しうる上体支持枠部付き自立運動生活支援用車椅子。
【請求項2】
手動や他の動力によって利用者の移動や、介助者が人を移動させうることのできる通常の車椅子において、利用者が座席前の床面に立ち運動体操を容易とするため、座席から腕を伸ばし前側方に手摺状に構成した運動枠の一部を掴み、体重を運動枠に加える事により通常は床面より浮いている運動枠の基部を腕による加重によって接床し運動枠部の安定を図る事とし、腕の加重を解除した時には運動枠の基部が床面より浮き状態となり移動に支障なきよう運動枠部と車椅子本体との接合バランスを図りたる構造とし、利用者が上体保護枠部を握る加重によって杖以上に転倒を防ぎ、運動枠フレームは上から見て運動体操の場を囲みうる枠構成とし、その上部枠部支持フレーム部は内管と外管の二重による伸張構造として利用者の体位に合わせて高さのレベルを変えうる構造とし、上枠支持フレーム部を、主枠に着脱可能に構成した請求項1の運動体操支援機能を有する自立運動生活支援用車椅子。
【請求項3】
車椅子利用者が上枠部を利用し座席前の域において歩行の訓練やリハビリの運動や体操が行ない得るよう構成した車椅子において、座席前域で利用者が立ち上がりや下肢の運動や体操が安全に行へるように、上体部を支持保護し自立の生活移動や運動・体操支援機能を高めた体位保護上枠部を主フレームにより支持する着脱構成とし、主車椅子フレームの前域部に利用者の立位運動保護枠部を構成した請求項1と2の車椅子において、水平状上枠の前枠部を後ろ方向に反転させる事や持ち上げることによって前部を開放状として枠内への出入りを容易とし上枠を利用した懸垂動作が何時でも自在に行える運動用上枠部付じりつ運動生活支援用車椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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