説明

自走式一人乗用型種いも植付機

【課題】種いもの蒔き付け作業のみを直接手で行うだけでよく、畝立、施肥、覆土等も行えて、種いもの植え付けに必要な作業を連続して一貫処理でき、走行の安定性と直進性を確保し易く、蒔き付け作業に専念できて、労力的負担の軽減と植え付け能率の向上を達成でき、コンパクトで安価なものにする。
【解決手段】車体2に走行体7をクローラ式にして設置し、車体2の前部に走行駆動用エンジン9とトランスミッション10を設置して、車体2の中央付近より後部に種いも蒔付用開口部6を設け、車体2の左右中央付近に畝立用培土器26を支持して、種いも蒔付用開口部6に臨ませて設置し、車体2の中央部に放出管20付き肥料タンク21を設置して、肥料放出管20の口を畝立用培土器26の近くに配置し、車体2の後部に運転席31を設置し、更に後部に車体2の左右中央付近で支持する覆土器32を設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種の根菜類、球根類等の種いもを植え付ける自走式一人乗用型種いも植付機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の根菜類、球根類等を食用或いは観賞用の作物として栽培している。これ等の球根菜類ではいずれも地中にある根、茎、葉等に養分が蓄えられ、そこが球状又は塊状に生長する。それ故、球状又は塊状部分を地中から掘り上げて収穫する。又、栽培のためには地中から掘り上げた球状又は塊状部分を種いもとして再度植え付ける必要がある。そして、栽培面積が広い場合等には労力負担の軽減と植え付け効率の向上を考慮して、種いも植え付け用の機械を使用する。
【0003】
このような球根菜類用種いもの植付機は通常トラクター牽引式にし、その車輪を設けた本体枠に、種いも植え付け用の溝を形成し、その溝に沿って土を盛る畝立用培土器、蒔き付けた種いもに土を被せる覆土器等を備え付け、更に種いもの補給路を形成するため、植え付け用の種いもを収容するすくいホッパー、すくい上げた種いもを搬送するスプーンベルト、搬送されてきた種いもを溝に蒔き付ける投入筒等を設置して用いている。又、球根菜類用種いもの植え付けを行なえる自走式一人乗用型農作業機として、走行用駆動車輪を有する車体に運転席を設置し、その車体の運転席の前側に車体を構成する部材で仕切って広く成形した農作業用開口部を設け、更にその農作業用開口部の前側に走行車輪を有する足乗せ部材付き方向舵を設置し、その足乗せ部材を農作業用開口部内に臨ませたものが提示されている。
【特許文献1】特許第2678353号
【特許文献2】特許第2542331号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、球根菜類用種いも植付機を牽引式にすると、トラクターと連結して使用しなければならず、全体が大型化する。しかも、乗用型トラクターは高価である。この点歩行型トラクターは安価であるが乗用できず、走行の直進性を保つためには絶えずハンドル操作をする必要があり、植え付けに必要な労力的負担が大きい。
【0005】
又、このような植付機で植え付ける種いもの形状は種々であり、大きさも異なっている。それ故、すくい筒の内部に2個以上の種いもが落下して横並びに入り込み、時にはきつく挟まってしまい、スプーンですくい上げられなくなり、ベルトが回らなくなることがある。尤も、丸形状の種いもは問題が少ないが、じゃがいものように1つの種いもを2つ以上に切断して用いる場合に問題が発生し易い。その際、植付機を止めてベルトを反対方向に少し回してスプーンを下方に移動し、棒の先で突く等してすくい筒の内部から種いもを取り除かなければならない。なお、棒の先で突いたりすると当然種いもは傷つくし、すくい筒の内部にきつく挟まったものをたとえスプーンがすくい上げたとしても無理な力が加わるため、種いもに傷が付き易い。
【0006】
一方、自走式一人乗用型農作業機では運転席に腰掛け、足を足乗せ部材に乗せ、その足で方向舵を操作して舵取りしながら走行させる。そして、前側に広く開いている車体の農作業用開口部を通して両足の間から直接手で種いもを蒔き付け、更に覆土をして植え付けを行うので、牽引式の植付機のように補給路に種いもがきつく挟まって植え付けが行えなくなることや種いもに傷を付けることがない。しかも、製品が安価なため、中規模農家で老人が一人で農作業に従事しなければならないような現在の農業状況にも対応できる。
【0007】
しかし、蒔き付けや覆土以外の植え付けに必要な畝立、施肥等の作業は別個に行なわなければならない。しかも、種いもの蒔き付け、覆土の作業をしながら、足で方向舵を操作して舵取りすることによって走行の直進性を保たなければならないので、特に不整地では植え付け時の労力的負担が大きい。
【0008】
本発明はこのような従来の問題点に着目してなされたものであり、種いもの蒔き付け作業のみを直接手で行うだけでよく、畝立、施肥、覆土等も行えて、種いもの植え付けに必要な作業を連続して一貫処理でき、走行の安定性と直進性を確保し易く、蒔き付け作業に専念できて、労力的負担の軽減と植え付け能率の向上を達成できる、コンパクトで安価な自走式一人乗用型種いも植付機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明による自走式一人乗用型種いも植付機は車体に、走行駆動用エンジンと、走行体と、その走行駆動用エンジンから走行体に駆動力を伝えるトランスミッションを設置し、種いも蒔付用開口部を設け、更にその車体の種いも蒔付用開口部の付近に運転席を設ける。
【0010】
そして、上記車体の左右外側近傍に走行体をクローラ式にして夫々設置し、その車体の前部に走行駆動用エンジンとトランスミッションを設置して、その車体の中央付近より後部に亘って上下に貫通する広い種いも蒔付用開口部を設け、その車体の左右中央付近で畝立用培土器を支持して、その畝立用培土器を種いも蒔付用開口部に臨ませて設置し、その車体の中央部に放出管付きの肥料タンクを設置して、その肥料放出管の口を畝立用培土器の近くに配置し、その車体の後部に運転席を設置し、更にその後部に車体の左右中央付近で支持する覆土器を設置する。
【0011】
又、上記車体の種いも蒔付用開口部の左右縁部付近に、畝立用培土器で起された土石が左右クローラ式走行体へ侵入するのを防止する土石侵入防止部材を夫々設置すると好ましくなる。
【0012】
又、上記車体の種いも蒔付用開口部付近に、走行駆動用エンジンの出力を調節するエンジン出力調節レバーと、その走行駆動用エンジンからトランスミッションへ伝える駆動力の入り切りの単独操作、及びその駆動力の入り切りと肥料タンクの吐出口の開閉との連動操作の一方を選択できる主クラッチレバーと、そのトランスミッションから左右クローラ式走行体に伝える駆動力を正逆回転方向に切り替える前後進切替レバーと、そのトランスミッションから左右の各クローラ式走行体への駆動力の伝達を夫々入り切り操作する左右サイドクラッチレバーと、植え付け用種いもを置く種いも置台を設置するとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の自走式一人乗用型種いも植付機は、車体の左右外側近傍に走行体をクローラ式にして夫々設置し、その車体の前部に走行駆動用エンジンとトランスミッションを設置して、車体の後部に運転席を設置することにより、その運転席に作業者が腰掛けると、車体の前後で重量バランスを取ることができ、車体の左右外側近傍にクローラ式走行体が夫々配置されているので、走行の安定性と直進性を確保することができる。このため、一度植付機の走行方向を設定すると、走行途中で手による走行方向の修正操作をあまり必要とせず、開口部を通じて行う種いもの蒔き付け作業に専念できる。
【0014】
又、種いも蒔き付け作業のみを直接手で行うだけでよく、その蒔き付け直前に培土器で畝立をし、放出管付き肥料タンクからその畝付近に肥料を施し、蒔き付けた種いもに覆土器で覆土をすることにより、種いもの植え付けに必要な作業を連続して一貫処理できる。それ故、労力的負担を軽減できて、植え付け能率を向上できる。しかも、植付機をコンパクトにして取り扱い易く、安価にできる。
【0015】
そして、車体の種いも蒔付用開口部の左右縁部付近に、土石侵入防止部材を夫々設置することにより、その種いも蒔付用開口部に臨む畝立用培土器で起された土石が左右クローラ式走行体へ侵入するのを防止できるので、円滑な走行を行える。
【0016】
又、車体の種いも蒔付用開口部付近に、エンジン出力調節レバー、主クラッチレバー、前後進切替レバー、左右サイドクラッチレバー、種いも置台を設置することにより、必要なレバーを簡単に操作できて、植付機の走行、停止と走行方向の選択を適宜決定し、種いも置台から種いもを手に取って開口部を通じ畝の溝内へ簡単に蒔き付けできる。しかも、主クラッチレバーの操作によって、種いも蒔き付け時に肥料タンクから肥料を施し、走行方向転回時にその施肥を停止できるため、好都合となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付の図1、2を参照して、本発明の実施の最良形態を説明する。
図1は本発明を適用した自走式一人乗用型種いも植付機の概略平面図、図2はその概略斜視図である。この自走式一人乗用型種いも植付機はその車体2として、前後に長い長方形状の枠を上側に配置して主枠3にし、その主枠3の下側に重なるように走行体支持枠4を配置して一体に結合し、更にそれ等の枠3、4に対し桟や補助枠を結合して概略箱形状の骨格を形成して用いる。しかも、その車体2には中央より後部に亘る部分に、主枠3の左右枠部材3b、3dと、それ等の下側に夫々平行に配設された走行体支持枠4の左右枠部材に掛け渡して結合した中央桟5と、主枠3の後枠部材3cとで仕切った上下に貫通する広い開口部6を設けておく。すると、その開口部6を通じて種いもの蒔き付けを行うことができる。
【0018】
このような車体2に対し、その左右外側近傍に走行体7(7a、7b)をクローラ式にし、その各クローラ式走行体7の長さを車体2を構成する主枠3の長さとほぼ等しくし、その主枠3の前側に少し突出するようにして主枠3に沿わせて夫々設置する。そして、車体2の前部上に燃料タンク8付きの走行駆動用エンジン9を設置し、そのエンジン9の近傍前側の少し下方にトランスミッション10を設置する。その際、例えば走行駆動用エンジン9に3馬力のガソリンエンジンを用い、トランスミッション10に前進2段、後進1段の速度切替、前後進切替を行えるものを用いる。
【0019】
すると、エンジン9で発生した回転動力をプーリ11、12、Vベルト13等を介してトランスミッション10に伝えて、主枠3の前枠部材3aの下方に配設した左右のクローラ式走行体7の前回動軸14に伝達でき、更にその前回動軸14の両端部に備え付けられているベルト駆動用前輪15(15a、15b)によって、左右のクローラベルト16(16a、16b)に夫々伝達できる。そして、後回動軸は左右の各軸17(17a、17b)に分けて、主枠3の後枠部材3c寄りの下方近くに配設し、その両軸17に備え付けたベルト支持用後輪18(18a、18b)によって、左右のクローラベルト16を夫々支える。しかし、後回動軸17には駆動力は伝達されない。なお、19(19a、…19d)は前後輪15、18間に配設したベルト支持用の補助輪である。
【0020】
又、車体2の中央桟5より少し前側の中央部上に放出管20付きの肥料タンク21を設置する。この放出管20付きの肥料タンク21として、最上部に肥料投入用の広い開口を有し、その開口を開閉する上蓋22を備え、内部を肥料収容部にし、下部周壁を順次下方に行く程狭めて最下部付近に吐出口を設けたものを用いる。そして、その最下部に吐出口の開度を調節する吐出口開度調節バルブ23を備え、更に肥料放出管24を連結する。この吐出口開度調節バルブ23は最下部の壁部に設けた雌ねじに螺合する雄ねじの外端部に、ハンドル25を備え付け、その雄ねじの内端部に、タンク21の吐出口より小さな吐出穴付き調節板を、タンク21の吐出口を仕切るように配置して固着したハンドル付き開度設定部25と、その調節板の下側に重なり、その吐出穴を全部閉鎖するように常時スプリングから付勢力を受けるスライド式蓋板とから構成する。
【0021】
又、車体2の例えば中央桟5の左右中央付近に畝立用培土器26を支持して、その培土器26を種いも蒔付用開口部6に臨ませて設置する。この畝立用培土器26として、両前端を閉じて結合し、両後端を開いた2枚の板体からなるV形状犂27と、その犂27の前端部内側に下部を結合し、それより上側に複数例えば4個の止め穴を配設した溝深さ調節棒28との結合体を用いる。
【0022】
又、その畝立用培土器26の装着脱と支持位置を変えられる支持装置29として、中央桟5の左右中央付近に、溝深さ調節棒28が嵌まる垂直貫通穴と、その溝深さ調節棒28に設けた任意の止め穴に嵌まるハンドル付きねじ30を備えた箱形体を設置する。なお、犂27の両板体の下端を水平にし、溝深さ調節棒28を垂直に配置する。
【0023】
このようにして、溝深さ調節棒28の支持位置を左右クローラ式走行体7の前後中央より少し後方に配置すると、車体2により犂27が引き摺られるので、畝立を円滑に行える。そして、その犂27の前端付近を除く大部分を種いも蒔付用開口部6の前部空間領域内に臨ませると、その中央部空間領域の左右中央付近に良好な畝立を行える。又、その犂27の例えば左後端付近に肥料放出管20の口を配置しておくと、順次形成される畝の盛り土内に肥料を良く混入させて施すことができる。
【0024】
又、車体2の後部中央付近に運転席31を設け、その運転席31を種いも蒔付用開口部6に臨ませる。又、車体2の後部例えばその後部端を形成する主枠3の後枠部材3cの左右中央付近に、畝の盛り土をならして、溝に蒔き付けた種いもに土を被せる覆土器32を取り付ける。この覆土器32として、両前端を大きく開き、両後端を結合した2枚の板体からなるV形状ならし33と、そのならし33の後端部内側に下部を結合し、それより上側に複数例えば3個の止め穴を配設したならし位置調節棒34との結合体を用いる。
【0025】
又、その覆土器32の装着脱と支持位置を変えられる支持装置35として、主枠3の後枠部材3cの左右中央付近に、ならし位置調節棒34が嵌まる垂直貫通穴と、そのならし位置調節棒34に設けた任意の止め穴に嵌まるハンドル付きねじ36を備えた箱形体を設置する。そして、ならし33の両板体の下端を前端側より後端側が少し上がるように傾斜させ、ならし位置調節棒34を垂直に配置する。すると、ならしの途中で走行の障害となる石がでて、ごみの塊等ができても両板体の後端部が前端部より上がってくぐり易くなっているので、それ等がならし33の中央部に集まり、後方に抜けて行く。なお、走行体支持枠4には後枠部材に相当するものを設けない。
【0026】
又、車体2の種いも蒔付用開口部6の付近に、走行駆動用エンジン9の出力を調節するエンジン出力調節レバー37、その走行駆動用エンジン9からトランスミッション10へ伝える駆動力の入り切りの単独操作、及びその駆動力の入り切りと肥料タンク21の吐出口の開閉との連動操作の一方を選択できる主クラッチレバー38、そのトランスミッション10から左右クローラ式走行体7に伝える駆動力の正逆回転方向を切り替える前後進切替レバー39、そのトランスミッション10から左右の各クローラ式走行体7への駆動力の伝達を夫々入り切り操作する左右サイドクラッチレバー40、41等の各操作レバーを設置する。
【0027】
その際、使用頻度の高い操作用レバーを運転席31の近くに設置するため、エンジン出力調節レバー37と主クラッチレバー38は種いも蒔付用開口部6を形成する左右縁部(主枠3の左右枠部材3b、3dの一部)の運転席31近くの内側に夫々配設し、左右サイドクラッチレバー40、41はその左右縁部の運転席31近くの外側に夫々配設する。しかし、前後進切替レバー39はその右縁部の中央桟5近くの内側に設置する。
【0028】
そして、エンジン出力調節レバー37と走行駆動用エンジン9との間、主クラッチレバー38とVベルト13を張ったり、緩めたりするクラッチテンション42との間、及び肥料タンク21の吐出口開度調節バルブ23のスライド式蓋板との間、左右サイドクラッチレバー40、41とトランスミッション10との間を夫々ワイヤーで接続する。しかし、前後進切替レバー39とトランスミッション10との間はロッドで接続する。すると、運転席31に腰掛けた作業者は必要なレバーを簡単に操作できて、植付機1の走行、停止と走行方向の選択、施肥等を適宜行える。
【0029】
又、種いも蒔付用開口部6の左右縁部の前部付近から外側に向けて、種いもを収容したコンテナ等を乗せる種いも置台43(43a、43b)を夫々水平方向に大きく長方形状に張り出し、その左縁部付近又は右縁部付近を少し立ち上げて設ける。又、その左右縁部に対応する下側に配置した走行体支持枠4の左右枠部材の中央部付近から内側に向けて、作業者の足を乗せる足置台44(44a、44b)を夫々水平方向に小さく長方形状に張り出して夫々設ける。又、その走行体支持枠4の左右枠部材の内側に、畝立用培土器26で起された土や石、ごみ等が左右クローラ式走行体7へ侵入するのを防止するため、土石侵入防止部材45(45a、45b)として、例えば長方形状板材をその板面が垂直方向となるようにして夫々配設する。
【0030】
このような自走式一人乗用型種いも植付機1は作業者が乗車して、種いもの蒔き付け作業のみを直接手で行うだけでよく、その蒔き付け直前に培土器26で畝立をし、放出管20付き肥料タンク21からその畝付近に肥料を施し、蒔き付けた種いもに覆土器32で覆土をすることにより、種いもの植え付けに必要な作業を連続して一貫処理できる。しかも、例えば植付機1の寸法が左右クローラ式走行体7を設置した車体2の主要部分の長さが2m、幅が0.7m、全重量が250kgとコンパクトにでき、製品の価格も安くなる。
【0031】
種いも例えばじゃがいもを植え付ける場合、作業者が乗車して運転し、畑の端に植付機1を置いた後、植え付け作業を開始する。その際、作業者は運転席31に腰掛け、両足を足置台44に夫々乗せる。すると、前側に広く開いている車体2の蒔付用開口部6を通して両足の間から直接手でじゃがいもの蒔き付けを行える体勢になる。しかも、作業者が車体の後部に設けた運転席31に腰掛けると、車体2の前部に燃料タンク8付き走行駆動用エンジン9とトランスミッション10等が設置されているので、車体2の前後で重量バランスを取ることができ、車体2の左右外側近傍にクローラ式走行体7が配置されているので、走行の安定性と直進性を確保することができる。
【0032】
そして、車体2の種いも蒔付用開口部6の左右縁部付近に、土石侵入防止部材45を配設しておくと、走行時に畝立用培土器26で起された土や石、ごみが左右クローラ式走行体7へ侵入せずに円滑な走行を行える。しかも、一度植付機1の走行方向を設定すると、走行途中で手による走行方向の修正操作をあまり必要としない。それ故、両方の手が空くので、左右の種いも置台43から種いもを自在に手に取って開口部6を通じて畝の溝内へ簡単に蒔き付けできて、種いもの蒔き付け作業に専念できる。
【0033】
このような植え付け走行時には、主クラッチレバー38をその切替用ガイド部材46の走行駆動用エンジン9からトランスミッション10に伝える駆動力の入り切りと、肥料タンク21の吐出口開閉との連動操作を行なえる一方の細長い案内穴の最奥部まで移動して置く。すると、走行駆動用エンジン9からトランスミッション10へ駆動力が伝わって走行でき、更に肥料タンク21に備えた吐出口開度調節バルブ23の蓋板をスプリングの付勢力に抗して引くことによって、先に調節して肥料タンク21の吐出口に臨む調節板の穴の大きさが設定されている吐出穴を開いて、肥料タンク21から畝に肥料を施すことができる。
【0034】
そして、種いもの蒔き付けを行いながら、畑の他端部に達したら植え付けを続けるため、植付機1を左又は右方向に転回しなければならない。そこで、先ず主クラッチレバー38を切替用ガイド部材46のニュートラルの位置に戻すと、走行駆動用エンジン9からトランスミッション10に伝わる駆動力が切れ、施肥が停止する。次に、左又は右のサイドクラッチレバー40、41を引き、左又は右クローラ式走行体7の回転を止めた後、主クラッチレバー38を他方の細長い案内穴の最奥部まで移動する。すると、植付機1を左又は右方向に回転できるので、植え付けの走行方向を設定した後、左又は右のサイドクラッチレバー40、41を戻すと、同様にして植え付けを行える。それ故、植付機1に乗車して、じゃがいもの植え付けを行うと、労力的負担を軽減できて、植え付け能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明を適用した自走式一人乗用型種いも植付機の概略平面図である。
【図2】同自走式一人乗用型種いも植付機の概略斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
1…自走式一人乗用型種いも植付機 2…車体 3…主枠 4…走行体支持枠 5…中央桟 6…種いも蒔付用開口部 7…クローラ式走行体 8…燃料タンク 9…走行駆動用エンジン 10…トランスミッション 11、12…プーリ 13…Vベルト 14、17…前後回動軸 15、18…ベルト駆動用前後輪 16…クローラベルト 20…肥料放出管 21…肥料タンク 23…吐出口開度調節バルブ 25…ハンドル付き開度設定部 26…畝立用培土器 27…犂 29、35…支持装置 31…運転席 32…覆土器 33…ならし 37…エンジン出力調節レバー 38…主クラッチレバー 39…前後進切替レバー 40、41…左右サイドクラッチレバー 42…クラッチテンション 43…種いも置台 44…足置台 45…土石侵入防止部材 46…切替ガイド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に、走行駆動用エンジンと、走行体と、その走行駆動用エンジンから走行体に駆動力を伝えるトランスミッションを設置し、種いも蒔付用開口部を設け、更にその車体の種いも蒔付用開口部の付近に運転席を設けた自走式一人乗用型種いも植付機であって、上記車体の左右外側近傍に走行体をクローラ式にして夫々設置し、その車体の前部に走行駆動用エンジンとトランスミッションを設置して、その車体の中央付近より後部に亘って上下方向に貫通する広い種いも蒔付用開口部を設け、その車体の左右中央付近に畝立用培土器を支持して、その畝立用培土器を種いも蒔付用開口部に臨ませて設置し、その車体の中央部に放出管付きの肥料タンクを設置して、その肥料放出管の口を畝立用培土器の近くに配置し、その車体の後部に運転席を設置し、更にその後部に車体の左右中央付近で支持する覆土器を設置することを特徴とする自走式一人乗用型種いも植付機。
【請求項2】
車体の種いも蒔付用開口部の左右縁部付近に、畝立用培土器で起された土石が左右クローラ式走行体へ侵入するのを防止する土石侵入防止部材を夫々設置することを特徴とする請求項1記載の自走式一人乗用型種いも植付機。
【請求項3】
車体の種いも蒔付用開口部付近に、走行駆動用エンジンの出力を調節するエンジン出力調節レバーと、その走行駆動用エンジンからトランスミッションへ伝える駆動力の入り切りの単独操作、及びその駆動力の入り切りと肥料タンクの吐出口の開閉との連動操作の一方を選択できる主クラッチレバーと、そのトランスミッションから左右クローラ式走行体に伝える駆動力を正逆回転方向に切り替える前後進切替レバーと、そのトランスミッションから左右の各クローラ式走行体への駆動力の伝達を夫々入り切り操作する左右サイドクラッチレバーと、植え付け用種いもを置く種いも置台を設置することを特徴とする請求項1又は2記載の自走式一人乗用型種いも植付機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−6147(P2006−6147A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185358(P2004−185358)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(504243006)
【Fターム(参考)】