説明

自走式掃除機およびそのプログラム

【課題】ユーザまたは周辺の住戸の人に対して騒音を気にすることなく掃除を行うことができる自走式掃除機を提供することを目的とする。
【解決手段】自律走行させるための車輪(自律走行手段)102と、ゴミを吸引するための吸引手段103と、吸引手段103の吸引力を制御する吸引制御手段109と、住戸の入口または複数の住戸の集合玄関に設けられた入退出を検出することで人の在不在を管理する人在不在管理手段201との間で通信を行う通信手段106とを備え、通信手段106を介して取得する人在不在管理手段201が管理する住戸毎の人の在不在情報をもとに、人の不在が多いほど吸引制御手段109で吸引手段103の吸引力を通常時より高くするものである。これによって、ユーザまたは周辺の住戸の人に対して騒音を気にすることなく掃除を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間の介助なしに自立して走行する自走式掃除機およびそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自走式掃除機として、掃除を行う自走式掃除機本体と、特定周波数の電波を発信する発信機とを有するものが知られている。そして、自走式掃除機本体は、自律走行させるための自律走行手段と、吸引ファンを回転させ、自走式掃除機本体内部にゴミを吸引する吸引手段と、自走式掃除機本体と一体化されていない前記発信機が発する特定周波数の電波を受信する受信手段とを備えている。ここで、ユーザが設置した前記発信機からの電波を前記受信手段で受信すると、前記吸引手段の動作モードを通常モードに比べて前記吸引ファンの回転数を下げた静音モード動作させると共に、前記自律走行手段で走行速度を低速にするものである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−211498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、掃除を行っている最中に発せられる騒音を気にして、走行する住戸周辺に人が存在するときに静音モードで掃除を行わせたい場合は、掃除を開始させるまでにユーザ自身が走行する住戸周辺に人が存在するかどうかの確認を行い、その後、走行する住戸周辺に人が存在すると判断した時、発信機の携帯、または自走式掃除機本体に対して常に発信機の電波が届くような設置位置の決定、発信機の設置という作業を行わなければならず、ユーザに対して多くの手間を煩わしてしまうという課題を有していた。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ユーザの手を煩わすことなく走行する住戸または周辺の住戸毎に人の在不在情報を取得し、その情報をもとに人が不在の住戸が多いほど吸引力を高くすることで、ユーザまたは周辺の住戸の人に対して騒音を気にすることなく掃除を行うことができる自走式掃除機およびそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の自走式掃除機およびそのプログラムは、自律走行させるための自律走行手段と、ゴミを吸引するための吸引手段と、前記吸引手段の吸引力を制御する吸引制御手段と、住戸の入口または複数の住戸の集合玄関に設けられた入退出を検出することで人の在不在を管理する人在不在管理手段との間で通信を行う通信手段とを備え、前記通信手段を介して取得する前記人在不在管理手段が管理する住戸毎の人の在不在情報をもとに、人の不在が多いほど前記吸引制御手段で前記吸引手段の吸引力を通常時より高くするものである。
【0006】
これによって、ユーザの手を煩わすことなく走行する住戸または周辺の住戸毎に人の在不在情報を取得し、その情報をもとに人が不在の住戸が多いほど吸引力を高くすることで、ユーザまたは周辺の住戸の人に対して騒音を気にすることなく掃除を行うことができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の自走式掃除機およびそのプログラムは、ユーザまたは周辺の住戸の人に対して騒音を気にすることなく掃除を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、自律走行させるための自律走行手段と、ゴミを吸引するための吸引手段と、前記吸引手段の吸引力を制御する吸引制御手段と、住戸の入口または複数の住戸の集合玄関に設けられた入退出を検出することで人の在不在を管理する人在不在管理手段との間で通信を行う通信手段とを備え、前記通信手段を介して取得する前記人在不在管理手段が管理する住戸毎の人の在不在情報をもとに、人の不在が多いほど前記吸引制御手段で前記吸引手段の吸引力を通常時より高くする自走式掃除機とすることにより、ユーザの手を煩わすことなく走行する住戸または周辺の住戸毎に人の在不在情報を取得し、その情報をもとに人が不在の住戸が多いほど吸引力を高くすることで、ユーザまたは周辺の住戸の人に対して騒音を気にすることなく掃除を行うことができる。
【0009】
第2の発明は、特に、第1の発明において、走行する住戸の位置と複数の住戸の配置を記憶する住戸配置記憶手段と、通信手段を介して人在不在管理手段より取得する人の在不在情報から前記住戸配置記憶手段に記憶された住戸配置をもとに所定範囲の住戸の情報を抽出する人在不在情報抽出手段とを備え、吸引制御手段は前記人在不在情報抽出手段で抽出された人在不在情報において人の不在が多いほど前記吸引手段の吸引力を通常時より高くすることにより、騒音を気にする必要がない遠い住戸の人の在不在情報に影響を受けることなく、騒音を気にする必要がある周辺の住戸における人の在不在情報のみで吸引力の決定を行うことができる。
【0010】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、走行する住戸の位置と複数の住戸の配置を記憶する住戸配置記憶手段と、通信手段を介して人在不在管理手段より取得する住戸毎の人の在不在情報において前記住戸配置記憶手段に記憶される住戸の配置をもとに走行する住戸に近い住戸の情報ほど重みを大きくするような重み付け行う重み付け手段と、前記重み付け手段が重み付けした結果を合算する重み付け合算手段と、前記重み付け合算手段の結果より、人の不在の度合いを判定し不在度合いが高いほど高いレベルづけを行う不在レベル判定手段とを備え、吸引制御手段は前記不在レベル判定手段のレベルが高いほど吸引手段の吸引力を高くすることにより、走行する住戸との距離に応じて情報の重要度を決定することができるため、騒音を気にする必要がある周辺の住戸における人の在不在情報のみで吸引力の決定を行うことができる。
【0011】
第4の発明は、特に、第3の発明において、時刻を計時する計時手段と、予め決められた時間帯毎に通信手段を介して人在不在管理手段より取得する住戸毎の人の在不在情報に重み付けを行う重み付け手段の重み付け係数を記憶する重み付け係数記憶手段とを備え、重み付け手段は前記計時手段による時刻をもとに前記重み付け係数記憶手段に記憶された重み係数から重み付けを決定することにより、夜や早朝などの静かな時間帯は重み付け係数を小さくして走行する住戸もしくは周辺の住戸の人が不在でも吸引力を高くしにくくすることで、周辺に対して騒音を気にすることなく掃除を行うことができる。
【0012】
第5の発明は、特に、第3または第4の発明において、重み付け設定手段を備え、前記重み付け設定手段は掃除を行う住戸周辺の環境に応じて重み付け係数記憶手段の重み付け係数の設定・変更を行うことにより、ユーザは重み付け係数を設定・変更することで一住戸当たりの人数や住戸間距離など、個々の周辺住戸の状況に合った掃除方法で掃除を行わせることができる。
【0013】
第6の発明は、特に、第3〜第5のいずれか1つの発明において、掃除の開始を決定する掃除開始決定手段と、日時や曜日を管理するカレンダー手段と、不在レベル判定手段が判定する人の不在度合いのレベルを前記カレンダー手段による曜日と時間帯毎に記憶する不在レベル記憶手段とを備え、前記掃除開始決定手段は各々の曜日において前記不在レベル記憶手段に記憶される不在レベルが最も高い時間帯に掃除開始の決定を行うことにより、ユーザの手を煩わすことなく走行する住戸周辺に対して最も騒音を気にすることのない時間帯に掃除を行うことができる。
【0014】
第7の発明は、コンピュータに第1〜6の発明のいずれか1項記載の自走式掃除機の少なくとも一部の機能を実行させるためのプログラムとした。プログラムであるので、電気・情報機器、コンピュータ、サーバーなどのハードリソースを協働させて自走式掃除機の少なくとも一部を容易に実現することができる。また、記録媒体に記録したり通信回線を用いてプログラムを配信したりすることで、プログラムの配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるのもではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1〜図4は、本発明の実施の形態1における自走式掃除機およびそのプログラムを示すものである。
【0017】
図1に示すように、掃除を行う自走式掃除機本体101と、各住戸における人の在不在を管理する人在不在管理手段201を有する。
【0018】
自走式掃除機本体101は、走行するための自律走行手段である車輪102と、ゴミを吸引する吸引手段103と、障害物を検出する超音波センサ104と、ユーザが住む複合住宅の住戸配置と走行する住戸の位置を記憶する住戸配置記憶手段105と、人在不在管理手段201と通信を行う通信手段106と、住戸配置記憶手段105が記憶する住戸配置と走行する住戸の位置をもとに通信手段106を介して取得する住戸毎の人の在不在情報(本実施の形態における、人の在不在情報は人が存在するとき0、存在しないとき1とする)から走行する住戸とその周辺の人の在不在情報を抽出する人在不在情報抽出手段107(本実施の形態では、走行する住戸と、走行する住戸の左右2つ隣までの住戸と、走行する住戸の上下1つの住戸との計7つの住戸における人の在不在情報を抽出)と、車輪102と吸引手段103を制御する制御手段110と、時間を計測する計時手段111とを備えている。
【0019】
制御手段110は、超音波センサ104が検出する障害物の情報をもとに車輪102の制御を行う走行制御手段108(本実施の形態では、超音波センサ104で障害物を検出するまで直進走行し、障害物を検出すると任意の方向に回転し、その後再び直進走行する)と、人在不在情報抽出手段107で抽出された人の在不在情報において吸引力を決定し、決定した吸引力をもとに吸引手段103の制御を行う吸引制御手段109(本実施の形態では、吸引力を3段階とし、抽出された情報における人の不在の割合が0%以上30%未満のとき吸引力「小」、30%以上70%未満のとき吸引力「中」、70%以上のとき吸引力「大」とする)で構成される。
【0020】
また、人在不在管理手段201は、各住戸の入口または複数の住戸の集合玄関に設置された人の入退室を検出する入退室センサ11、12、…、76と、入退室センサ11〜76と通信を行う第1の通信手段202と、第1の通信手段202を介して入退室センサ11〜76から取得する入退室情報をもとに人の在不在を管理する人在不在管理部203と、自走式掃除機本体101の通信手段106と通信を行う第2の通信手段204とを備えている。
【0021】
図2において、各枠内の番号は各住戸の部屋番号(入退室センサ)、301は走行する住戸、302a〜302fは人在不在情報抽出手段107で人の在不在情報が抽出される周辺住戸を示す。
【0022】
以上のように構成された自走式掃除機の動作、作用について、図1〜図4を用いて説明する。
【0023】
まず、はじめに電源が投入されると、図4に示すように、吸引力が「小」となるように吸引制御手段109で吸引手段103を制御することで吸引を開始、走行制御手段108で車輪102を制御することで走行を開始することにより掃除を開始する。と同時に、計時手段111で掃除時間のカウントを開始する(STEP201〜202)。
【0024】
掃除中は、通信手段106を介して人在不在管理手段201より各住戸の人の在不在情報を取得する(STEP203)。
【0025】
ここで、人在不在管理手段201における動作は、順次、第1の通信手段202を介して入退室センサ11〜76から各住戸における人の入退室情報を取得し、図3に示すように、取得した入退室情報をもとに人在不在管理部203で各住戸における人の在不在判定を行う(STEP101、102)。
【0026】
そして、その後、第2の通信手段204を介して自走式掃除機本体101の通信手段106へ人在不在管理部203が判定した各住戸の人の在不在情報を送信する(STEP103)。
【0027】
自走式掃除機本体101は、通信手段106で人在不在管理手段201から各住戸の人の在不在情報を取得すると、人在不在情報抽出手段107で住戸配置記憶手段105に記憶された走行する住戸と複合住宅の住宅配置をもとに、取得した人の在不在情報から走行する住戸とその周辺の住戸の情報を抽出する(本実施の形態では、図2における301と302a〜302fにおける住戸の人の在不在情報を抽出する)(STEP204)。
【0028】
人の在不在情報を抽出後は、吸引制御手段109で人の在不在情報から人の不在の割合を算出し、その割合から吸引力を決定した後、吸引手段103が決定した吸引力となるように吸引力の制御を行う(STEP205、206)。
【0029】
また、走行制御手段108は、超音波センサ104で検出される障害物の情報をもとに車輪102の制御を行うことで、走行方向と速度の制御を行う(STEP207、208)。
【0030】
これらSTEP203〜STEP208までの動作を、予め決められた時間(本実施の形態では、時間を30分とする)を経過するまで繰り返し行い、予め決められた掃除時間が経過すると吸引制御手段109により吸引手段103を停止、また、走行制御手段108により車輪102を停止することで掃除を終了する(STEP209、210)。
【0031】
なお、本実施の形態では、各住戸の玄関に設けた入退室センサ11〜76により人の入退室を検出し、その情報をもとに人在不在管理部203で住戸毎の人の在不在を管理したが、複合住宅の玄関に入退室検出手段または個人認証手段を設け、その情報をもとに人在不在管理部203で住戸毎の人の在不在を管理してもかまわない。
【0032】
また、本実施の形態では、人の在不在情報をもとに走行制御手段108で走行速度を制御しなかったが、吸引制御手段109で吸引手段103の吸引力を上げたときに走行制御手段109で走行速度を上げてもかまわない。
【0033】
また、本実施の形態では、人の在不在の割合をもとに吸引制御手段109で吸引手段103の吸引力を決定したが、人の在不在の数をもとに吸引力を決定してもかまわない。
【0034】
また、本実施の形態では、吸引制御手段109が決定する吸引力を3段階としたが、2段階以下もしくは4段階以上でもかまわない。
【0035】
また、本実施の形態では、人在不在管理部203は、順次、入退室センサ11〜76から情報を取得し、人の在不在を判定し、その結果を第2の通信手段204で送信したが、入退室センサ11〜76からの情報をすべて判定した後、その結果を送信してもかまわない。
【0036】
以上のように、本実施の形態においては、通信手段106を介して取得する人在不在管理手段201が管理する住戸毎の人の在不在情報をもとに、人の不在が多いほど吸引制御手段109で吸引手段103の吸引力を通常時より高くするため、ユーザの手を煩わすことなく走行する住戸または周辺住戸毎の人の在不在情報を取得し、その情報をもとに人が不在の住戸が多いほど吸引力を高くすることで、ユーザまたは周辺の住戸の人に対して騒音を気にすることなく掃除を行うことができる。
【0037】
また、本実施の形態において、吸引制御手段109は、人在不在情報抽出手段107で抽出された人在不在情報において人の不在が多いほど吸引手段103の吸引力を通常時より高くするため、騒音を気にする必要がない遠い住戸の人の在不在情報に影響を受けることなく、騒音を気にする必要がある周辺住戸の人の在不在情報のみで吸引力の決定を行うことができる。
【0038】
(実施の形態2)
図5〜図8は、本発明の実施の形態2における自走式掃除機およびそのプログラムを示すものである。実施の形態1と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0039】
本実施の形態においては、図5に示すように、自走式掃除機本体101は、人在不在情報抽出手段107が抽出する人の在不在情報に重み付けを行う重み付け手段112と、重み付け手段112が重み付けした人の在不在情報を合算する重み付け合算手段113と、重み付け合算手段113の結果より人の不在の度合いを判定し不在度合いが高いほど高いレベルづけを行う不在レベル判定手段114(本実施の形態では、合算された重み付け係数が0以上0.4未満のときレベル1、0.4以上0.8未満のときレベル2、0.8以上のときレベル3と判定する)と、重み付け手段112が重み付けを行うための重み付け係数を記憶する重み付け係数記憶手段115と、重み付け係数記憶手段115が記憶する重み付け係数の設定を行う重み付け設定手段116と、日時・曜日を管理するカレンダー手段117と、カレンダー手段117が管理する曜日・時間毎に不在レベル判定手段114が判定する不在レベルを記憶する不在レベル記憶手段118(本実施の形態では、1分毎の不在レベルを曜日・時間毎に4週間分を記憶する)と、カレンダー手段117をもとに各々の曜日において不在レベル記憶手段118に記憶される不在レベルの合計が最も大きい時間帯に掃除開始の決定を行う掃除開始決定手段119とを備えている。他の構成は実施の形態1と同一である。
【0040】
また、図6において、各枠内の数値は、走行する住戸を図2における走行する住戸301、周辺の住戸を図2における住戸302a〜302fとするとき、重み付け係数記憶手段115が走行する住戸と周辺の住戸に対して時間帯毎に記憶する重み付け係数であり、行は時間帯毎の重み付け係数、列は住戸毎の重み付け係数を示す。
【0041】
以上のように構成された自走式掃除機について、以下その動作、作用を図3、図5〜図8を用いて説明する。
【0042】
まず、電源が投入されると、図7に示すように、重み付け設定手段116で重み付け手段112の重み付け係数を設定し、設定した重み付け係数を重み付け係数記憶手段115に記憶する。ここで、重み付け設定手段116で重み付け設定が行われなかったときは、重み付け係数記憶手段115が予め記憶しているデフォルト値を設定値とする(本実施の形態では、図6のような重み付け係数が設定され、重み付け係数記憶手段115に記憶する)(STEP301、302)。
【0043】
重み付け係数設定後は、通信手段106を介して人在不在管理手段201より人の在不在情報の取得し、取得した情報をもとに重み付けと、人の不在レベルの判定と記憶を行う(STEP303)。
【0044】
ここで、人の在不在を判定する人在不在管理手段201の動作は、実施の形態1と同様な動作を行う(本実施の形態における動作の流れは図3と同様)。
【0045】
また、自走式掃除機本体101が人の在不在情報を取得し、取得した情報をもとに重み付けし、人の不在レベルの判定と記憶を行う動作の流れを図8に示す。まず、はじめに、カレンダー手段117で曜日・時間の確認を行い、通信手段106を介して人在不在管理手段201より住戸毎の人の在不在情報を取得し、取得した情報をもとに人在不在情報抽出手段107で走行する住戸と周辺の住戸の情報を抽出する(STEP401〜STEP403)。
【0046】
抽出された情報は、重み付け手段112によりカレンダー手段117で管理されている時間をもとに重み付け係数記憶手段115に記憶された重み付け係数で重み付けを行い、重み付けされた結果は重み付け合算手段113で合算される(STEP404、405)。
【0047】
重み付け合算手段113で合算された結果は、不在レベル判定手段114により不在度が高いほどレベルが高くなるようなレベル判定が行われ、判定されたレベルは不在レベル記憶手段118に記憶される(STEP406、407)。
【0048】
不在レベルが記憶後は、図7に戻り、カレンダー手段117で管理される曜日・時間をもとに、掃除開始決定手段119で該当曜日の時間帯毎に不在レベルの合計を行い、該当時間帯の不在レベルの合計が最も大きいかどうか判定する。もし、合計値が最も大きいときは掃除開始と決定し、最も大きくないときは再びSTEP303の動作を行う(STEP304)。
【0049】
掃除開始決定手段119により掃除開始が決定されると、不在レベル判定手段114が判定した不在レベルをもとに吸引制御手段109で吸引力を決定する(本実施の形態では、掃除開始直前に不在レベル判定手段114で判定された不在レベルが1のとき吸引力「小」、不在レベルが2のとき吸引力「中」、不在レベルが3のとき吸引力「大」とする)(STEP305)。
【0050】
吸引制御手段109による吸引力が決定された後は、決定された吸引力となるように吸引制御手段109で吸引手段103を制御することで吸引を開始、走行制御手段108で車輪102を制御することで走行を開始することにより掃除を開始すると同時に、カレンダー手段117で掃除時間のカウントを開始する(STEP306、307)。
【0051】
掃除中は、吸引制御手段109は、STEP305で決定した吸引力となるように吸引手段103を制御し、また、走行制御手段108は、超音波センサ104で検出される障害物の情報をもとに車輪102の制御を行うことで、走行方向と速度の制御を行う(STEP308〜STEP310)。
【0052】
これらSTEP308〜STEP310までの動作を、予め決められた時間(本実施の形態では、時間を30分とする)経過するまで繰り返し行い、予め決められた掃除時間が経過すると吸引制御手段109により吸引手段103を停止、また、走行制御手段108により車輪102を停止することで掃除を終了し、再びSTEP304、305を行う(STEP311、312)。
【0053】
なお、本実施の形態では、人在不在情報抽出手段107で抽出された情報のみに重み付けを行ったが、情報の抽出をせずに重み付けを行ってもかまわない。ただし、騒音を気にする必要がない遠い住戸に対する重み付け係数は0.0とする。
【0054】
また、本実施の形態では、不在レベル判定手段114による不在度合いの判定を3段階としたが、2段階以下もしくは4段階以上でもかまわない。
【0055】
また、本実施の形態では、掃除開始前に不在レベルをもとに吸引制御手段109が決定した吸引力で掃除を行ったが、掃除中に人在不在管理手段201より人在不在情報を取得し、それをもとに吸引制御手段109が吸引力を決定し、吸引手段103を制御してもかまわない。
【0056】
また、本実施の形態において、吸引制御手段109は、前記不在レベル判定手段114のレベルが高いほど吸引手段103の吸引力を高くするため、走行する住戸との距離に応じて情報の重要度を決定することができるため、騒音を気にする必要がある周辺住戸の人の在不在情報のみで吸引力の決定を行うことができる。
【0057】
また、本実施の形態において、重み付け手段112は、カレンダー手段117による時刻をもとに重み付け係数記憶手段115に記憶された重み係数から重み付けを決定するため、夜や早朝などの静かな時間帯は重み付け係数を小さくすることにより、走行する住戸もしくは周辺の住戸の人が不在でも吸引力を高くしにくくし、周辺に対して騒音を気にすることなく掃除を行うことができる。
【0058】
また、本実施の形態において、重み付け設定手段116は、掃除を行う住戸周辺の環境に応じて重み付け係数記憶手段115の重み付け係数の設定・変更を行うため、ユーザは重み付け係数を設定・変更することで一住戸当たりの人数や住戸間距離などの個々の周辺住戸状況に合わせた掃除方法で掃除を行わせることができる。
【0059】
また、本実施の形態において、掃除開始決定手段119は、各々の曜日において不在レベル記憶手段118に記憶される不在レベルが最も高い時間帯に掃除開始の決定を行うため、ユーザの手を煩わすことなく走行する住戸周辺に対して最も騒音を気にすることのない時間帯に掃除を行うことができる。
【0060】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3における自走式掃除機のプログラムについて、図1、図5を用いて説明する。
【0061】
本実施の形態は、実施の形態1、2に示した自走式掃除機における機能の少なくとも一部をコンピュータに実行させるためのプログラムとした。すなわち、自走式掃除機本体101の人在不在情報抽出手段107、制御手段110、重み付け手段112、重み付け合算手段113、不在レベル判定手段114、カレンダー手段117、掃除開始決定手段119、人在不在管理手段201は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバーなどのハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施するものである。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したり、インターネットなどの通信回線を用いて配信したりすることで、新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明にかかる自走式掃除機およびそのプログラムは、ユーザまたは周辺の住戸の人に対して騒音を気にすることなく掃除を行うことができるので、ネットワークを介した機器連携システムなどの用途にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態1における自走式掃除機のブロック図
【図2】同自走式掃除機のユーザが住む複合住宅の住戸配置図
【図3】同自走式掃除機における人在不在管理手段の動作流れを示すフローチャート
【図4】同自走式掃除機の動作流れを示すフローチャート
【図5】本発明の実施の形態2における自走式掃除機のブロック図
【図6】同自走式掃除機が記憶する重み係数を示す図
【図7】同自走式掃除機の動作流れを示すフローチャート
【図8】同自走式掃除機の人在不在情報取得から不在レベルを記憶するまでの動作流れを示すフローチャート
【符号の説明】
【0064】
102 車輪(自律走行手段)
103 吸引手段
105 住戸配置記憶手段
106 通信手段
107 人在不在情報抽出手段
109 吸引制御手段
112 重み付け手段
113 重み付け合算手段
114 不在レベル判定手段
115 重み付け係数記憶手段
116 重み付け設定手段
117 カレンダー手段
118 不在レベル記憶手段
119 掃除開始決定手段
201 人在不在管理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行させるための自律走行手段と、ゴミを吸引するための吸引手段と、前記吸引手段の吸引力を制御する吸引制御手段と、住戸の入口または複数の住戸の集合玄関に設けられた入退出を検出することで人の在不在を管理する人在不在管理手段との間で通信を行う通信手段とを備え、前記通信手段を介して取得する前記人在不在管理手段が管理する住戸毎の人の在不在情報をもとに、人の不在が多いほど前記吸引制御手段で前記吸引手段の吸引力を通常時より高くする自走式掃除機。
【請求項2】
走行する住戸の位置と複数の住戸の配置を記憶する住戸配置記憶手段と、通信手段を介して人在不在管理手段より取得する人の在不在情報から前記住戸配置記憶手段に記憶された住戸配置をもとに所定範囲の住戸の情報を抽出する人在不在情報抽出手段とを備え、吸引制御手段は前記人在不在情報抽出手段で抽出された人在不在情報において人の不在が多いほど前記吸引手段の吸引力を通常時より高くする請求項1に記載の自走式掃除機。
【請求項3】
走行する住戸の位置と複数の住戸の配置を記憶する住戸配置記憶手段と、通信手段を介して人在不在管理手段より取得する住戸毎の人の在不在情報において前記住戸配置記憶手段に記憶される住戸の配置をもとに走行する住戸に近い住戸の情報ほど重みを大きくするような重み付け行う重み付け手段と、前記重み付け手段が重み付けした結果を合算する重み付け合算手段と、前記重み付け合算手段の結果より、人の不在の度合いを判定し不在度合いが高いほど高いレベルづけを行う不在レベル判定手段とを備え、吸引制御手段は前記不在レベル判定手段のレベルが高いほど吸引手段の吸引力を高くする請求項1または2に記載の自走式掃除機。
【請求項4】
時刻を計時する計時手段と、予め決められた時間帯毎に通信手段を介して人在不在管理手段より取得する住戸毎の人の在不在情報に重み付けを行う重み付け手段の重み付け係数を記憶する重み付け係数記憶手段とを備え、重み付け手段は前記計時手段による時刻をもとに前記重み付け係数記憶手段に記憶された重み係数から重み付けを決定する請求項3に記載の自走式掃除機。
【請求項5】
重み付け設定手段を備え、前記重み付け設定手段は掃除を行う住戸周辺の環境に応じて重み付け係数記憶手段の重み付け係数の設定・変更を行う請求項3または4に記載の自走式掃除機。
【請求項6】
掃除の開始を決定する掃除開始決定手段と、日時や曜日を管理するカレンダー手段と、不在レベル判定手段が判定する人の不在度合いのレベルを前記カレンダー手段による曜日と時間帯毎に記憶する不在レベル記憶手段とを備え、前記掃除開始決定手段は各々の曜日において前記不在レベル記憶手段に記憶される不在レベルが最も高い時間帯に掃除開始の決定を行う請求項3〜5のいずれか1項に記載の自走式掃除機。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の自走式掃除機における機能の少なくとも一部をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−159609(P2007−159609A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−355845(P2005−355845)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】