自転車のギアシフト部に用いられる制御ケーブル用の作動装置
【課題】ニュートラル位置への制御レバーの復帰を単純な方法で行なう、自転車のギアシフト部に用いられる制御ケーブル用作動装置の提供。
【解決手段】ギアシフト用のレバー131と、制御ケーブルKを巻くボビン112と共に角度方向に可動な内歯クラウン114と、ラチェット機構140と、レバー131をニュートラル位置に戻す弾性手段133とを備える。ラチェット機構140は、2つのロッカーアーム141,142を含む。ポインタがロッカーアーム141,142のカム形状部と係合している状態では、ロッカーアーム141,142の歯領域147,148はクラウン114から離れており、ポインタがカム形状部から外れると、その歯領域147,148が押圧手段161によって押圧されて内歯クラウン114と係合するように構成されている。
【解決手段】ギアシフト用のレバー131と、制御ケーブルKを巻くボビン112と共に角度方向に可動な内歯クラウン114と、ラチェット機構140と、レバー131をニュートラル位置に戻す弾性手段133とを備える。ラチェット機構140は、2つのロッカーアーム141,142を含む。ポインタがロッカーアーム141,142のカム形状部と係合している状態では、ロッカーアーム141,142の歯領域147,148はクラウン114から離れており、ポインタがカム形状部から外れると、その歯領域147,148が押圧手段161によって押圧されて内歯クラウン114と係合するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車のギアシフト部に用いられる制御ケーブル用の作動装置に関し、特に、競走用自転車のハンドルバーの前方に向いた端部に装着するのに適した、いわゆるバーエンド型の作動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、自転車には、後輪ハブに固定接続されたチェーンセットに対するリアディレイラ(後輪側の変速機)が設けられている。チェーンセットは、互いに異なる直径および歯数を有する同軸の一組のギア歯車(ピニオン)からなる。
【0003】
典型的に、自転車には、一対のペダルによって回転を生じるボトムブラケットアセンブリのピンと結合したクランクセットに対するフロントディレイラ(前輪側の変速機)も設けられている。クランクセットは、互いに異なる直径および歯数を有する一組のギア歯車[歯付きクラウン(toothed crown)]からなる。
【0004】
いずれにせよ、ディレイラは、チェーンセットとクランクセットとの間で閉ループ状に延設された伝動チェーンに係合し、互いに異なる直径および歯数を有するギア歯車間でチェーンを変位させることによって様々な変速比を得る。
【0005】
具体的に説明すると、「ダウンシフト」という用語は、大径のギア歯車から小径のギア歯車にチェーンが変位することを指し、「アップシフト」という用語は、小径のギア歯車から大径のギア歯車にチェーンが変位することを指す。これと関連してフロントディレイラの場合、ダウンシフトは低い変速比への移行に相当し、アップシフトは高い変速比への移行に相当する。リアディレイラの場合にはその逆で、ダウンシフトは高い変速比への移行に相当し、アップシフトは低い変速比への移行に相当する。
【0006】
上記のようなディレイラの2方向の移動は、運転者が容易に作動できるように装着された作動装置によって実行される。いわゆるバーエンド型の装置の場合にはハンドルバーの端部に装着される。
【0007】
従来、フロントディレイラ用の作動装置はハンドルバーの左側のハンドグリップに設置され、リアディレイラ用の作動装置の場合はその逆で、右側のハンドグリップに設置される。
【0008】
具体的に説明すると、機械式のギアシフト部の場合、各ディレイラは、非伸長性のケーブル(通常はシースで被覆されており、一般的にボーデンケーブル(Bowden cable)と称される)によって加えられる牽引運動により、ギア歯車間において第1の方向に変位する。それとは反対の第2の方向には、ケーブルの牽引が解除されることおよび/またはディレイラに設けられたばねの弾性復帰作用によって変位する。
【0009】
通常、ケーブルの牽引が解除されることおよび/または復帰ばねによって引き起こされる変位はダウンシフト方向である。それとは逆に、制御ケーブルの牽引動作によって引き起こされる変位は、チェーンが小径の歯車から大径の歯車に変位するアップシフト方向である。
【0010】
上記のような作動装置では、制御ケーブルが回転体(rotor element)に巻き取られることによって制御ケーブルの牽引が生じ、制御ケーブルが回転体から巻き出されることによって制御ケーブルの解除が生じる。この回転体は一般的にケーブル巻きボビン(cable-winding bobbin)と称され、その回転は運転者が適切な制御レバーによって制御することができる。ハンドルバーの端部に2つの制御レバーを用いると複雑になるので、とても実用的でない。異なるタイプの作動装置では2つの制御レバーをハンドルバーの様々な部分に配置している。したがって、ハンドルバーの端部に制御レバーを配置する構成では、単一のレバーによる制御が必然的に要求される。
【0011】
いずれにせよ、作動装置は、様々な比、すなわち、ギアシフトの様々なギア歯車によって要求されるディレイラの多様な位置に対応する数多くの所定の角度位置に確実にボビンを回転停止させなければならない。この機能は、作動装置の固定されたケーシングとボビンとの間で可変動作する、いわゆるインデクサ(indexer)によってもたらされる。インデクサには、当該技術分野において数多くの種類のものが存在する。
【0012】
ごく一般的ないわゆるバーエンド型の装置の場合、単一のレバーが、ケーブル巻きボビンに実質上直接的に作動する。インデキシング手段(indexing means)によって決定されるケーブル巻きボビンの各角度位置に、制御レバーの角度位置が正確に対応する。
【0013】
前述のような競走用の製品では、細部にまでこだわって良好な空気力学的作用を追及した研究により、ギアシフト後にレバーが中央のニュートラルな位置に復帰する制御装置が開発された。事実、特許文献1には、ニュートラルな位置に復帰する装置が記載されている。しかし、この装置には極めて複雑な復帰手段が使われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1837275号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の基礎となる課題は、ニュートラルな位置への制御レバーの復帰が単純な方法でなされる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以上を踏まえて、本発明は、請求項1に記載された作動装置に関する。好ましい構成は、従属請求項に記載されている。
【0017】
詳細には、自転車のギアシフト部に用いられる制御ケーブル用の作動装置は、
−自転車のハンドルバーの端部に取付けるように構成されたケーシングと、
−前記ケーシング内で当該作動装置の主軸(A)を中心として角度方向に可動である、
前記制御ケーブルを巻くボビンと、
−前記ボビンに作用することにより、前記ボビンを当該作動装置の前記主軸(A)を中心として第1および第2の角度方向に回転させる駆動機構と、
−前記ボビンを所定の角度位置に解除自在に保持するインデキシング手段と、
を備え、前記駆動機構が、
−当該作動装置の前記主軸(A)を中心として前記ケーシングに対して角度方向に可動であり、ニュートラルな位置から前記第1の角度方向または前記第2の角度方向に動かされることでダウンシフトまたはアップシフトをもたらすレバーと、
−回転不能に前記ボビンに取り付けられ、前記ケーシング内で前記ボビンと共に角度方向に可動な、内歯クラウンと、
−前記レバーと前記内歯クラウンとの間のラチェット機構と、
を含む、制御ケーブル用の作動装置において、
当該作動装置が、さらに、前記レバーと前記ケーシングとの間で作用し、前記レバーを前記ニュートラルな位置に戻す弾性手段を備え、
前記ラチェット機構が、
−当該作動装置の前記主軸(A)に平行であり且つ互いに平行な2つのピボット軸に沿って前記レバーにヒンジ接続された、2つの対向する第1および第2のロッカーアームであって、それぞれ、第1の端部から第2の端部にわたって延びており、それぞれ、当該作動装置の前記主軸(A)の周りを囲む弓なり形状であり、前記第1のロッカーアームの前記第1の端部が前記第2のロッカーアームの前記第1の端部の近傍にあり、前記第1のロッカーアームの前記第2の端部が前記第2のロッカーアームの前記第2の端部の方向に向いた対向する2つのロッカーアームと、
−前記ロッカーアームのそれぞれの前記第2の端部の外側に、前記第2端部に近接して形成され、前記内歯クラウンの歯と係合するのに適した歯プロファイルを有する歯領域であって、当該作動装置の前記主軸(A)に沿って前記クラウンの軸方向位置に対応する軸方向位置に位置している歯領域と、
−前記ロッカーアームのそれぞれに、前記第1の端部の内側で、前記第1端部に近接して形成されたカムプロファイルと、
−前記ロッカーアームのそれぞれを、前記ロッカーアームの前記第2の端部が当該作動装置の前記主軸(A)から互いに遠ざかる方向に、そのピボット軸周りに押圧する押圧手段と、
−前記ケーシングに対して静止しており、当該作動装置の前記主軸(A)からみて径方向外方に向いており、前記ロッカーアームの少なくとも一方とその前記カムプロファイルで係合するポインタと、を有し、
前記カムプロファイルが、
−前記ポインタがロッカーアームのカムプロファイルと係合している状態では、そのロッカーアームの前記歯領域が前記内歯クラウンから離れており、
−前記ポインタがロッカーアームの前記カム形状部から外れると、そのロッカーアームの前記歯領域が、前記押圧手段によって押圧されて前記内歯クラウンと係合するように構成されていることを特徴とする。
【0018】
この作動装置は、ギアシフト後にレバーがニュートラルな位置に復帰できるという所望の動作を可能にする。事実、前記レバーと前記ボビン(または回転不能に前記ボビンに取付けられた前記内歯クラウン)とを直接、接続固定する代わりに、前記レバーと前記ボビンとの間に、ギアシフト実行時を除き、前記レバーを前記内歯クラウンから外れた状態に維持するラチェット機構が設けられている。この時、ギアシフトがアップシフトおよびダウンシフトのどちらであるかに応じて、一方または他方の角度方向へのレバーの動きにより、前記2つのロッカーアームの一方または他方は、その歯領域が前記内歯クラウンと係合するまで移動する。このようにして、前記レバーの角度方向運動が前記内歯クラウンおよび前記ケーブル巻きボビンに伝達される。運転者による前記レバーの作動が終了すると、前記ケーブル巻きボビンおよび前記内歯クラウンは、到達した位置に前記インデキシング手段によって保持される。一方、前記レバーは、前記ラチェット機構に邪魔されることなく、前記弾性手段の作用によって前記ニュートラル位置に復帰する。
【0019】
好ましくは、前記押圧手段は、前記2つのロッカーアームの前記第2の端部間で圧縮されたばね(spring)である。事実、前記2つのロッカーアームは相対する方向に動作するので、これら2つのロッカーアームの間にばねを適切に設けるだけで、各ロッカーアームに対し所望の押圧(thrust)を生成することができる。よって、各ロッカーアームごとにばねを設ける必要がなくなる。
【0020】
好ましくは、前記ポインタは、前記ニュートラルな位置において、前記ロッカーアームの両方の前記カムプロファイルの第1の部分と係合する。このように前記ポインタが両方の前記カムプロファイルと係合していると、確実に2つの前記歯領域のどちらも前記内歯クラウンに係合しないので、前記弾性手段の作用によって得られる前記ニュートラルな位置を安定して維持することができる。
【0021】
好ましくは、前記弾性手段は、前記レバーをそのニュートラルな角度位置に位置するように前記ケーシングと前記レバーとの間で作用するばねを有する。このようなばねは、前記ケーシング内で当該作動装置の前記主軸(A)と同軸上になるようにして、一端が前記ケーシングに他端が前記レバーに接続固定された、単純なリング状のトーションスプリングであってもよい。
【0022】
好ましくは、前記ロッカーアームのそれぞれは、前記レバーに形成されたそれぞれのピン、前記ロッカーアームに形成されたそれぞれのピン、または構造的に独立したそれぞれのピンによって前記レバーにヒンジ接続されている。
【0023】
好ましくは、前記ロッカーアームのそれぞれの前記ピボット軸は、当該ロッカーアームの前記第2の端部よりも前記第1の端部に近い。前記ピボット軸と前記ロッカーアームの前記第2の端部に近接している前記歯領域との距離を最大限に設定することにより、前記歯領域と前記内歯クラウンとが係合した際に、前記ロッカーアームの前記歯領域の全ての歯の押圧方向を実質的に同一とすることができる。これにより、前記歯領域のどの歯もほぼ均等に押圧に寄与するので、前記歯領域の寸法設定が効率よく行える。これは、競走用自転車に使用される作動装置ができる限り軽量化されなければならない点を踏まえると重要である。
【0024】
好ましくは、前記歯領域の前記歯プロファイルと前記内歯クラウンの歯プロファイルとは、前記内歯クラウンが動かない状態で前記歯領域が前記レバーと共にニュートラルな角度位置に復帰する際に1つの歯ずつスナップして外れるように構成されている。
【0025】
より詳細には、前記歯領域の前記歯プロファイルは、前記ロッカーアームの前記第2の端部の方向に向いた押圧側と、前記押圧側が向く方向と反対方向に向いた解放側とを有する歯を備えており、当該作動装置の前記主軸(A)に沿った断面視で、前記押圧側の接線であり当該作動装置の外側に延びる半直線と、前記押圧側から前記ロッカーアームの前記ピボット軸に向かって延びる半直線とが90°以上の角度を形成するように、前記押圧側の向きが設定されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明にかかる作動装置を示す斜視図である。
【図2】図1の作動装置を示す分解斜視図である。
【図3】図1の作動装置を示す分解斜視図である。
【図4】図1の作動装置の一部を示す斜視図である。
【図5】図1の作動装置の他の一部を示す斜視図である。
【図6】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図7】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図8】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図9】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図10】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図11】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図12】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図13】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図14】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図15】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図16】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図17】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図18】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図19】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置を部分破断した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照しながら行う好ましい実施形態についての以下の説明から明らかになる。
【0028】
図面には、競走用自転車の前輪のギアシフト部(図示せず)の制御ケーブルK用の作動装置100が示されている。具体的に図1を参照すると、作動装置100はいわゆるバーエンド型の装置であり、競走用自転車(特に、タイムトライアルレース用に特殊設計された自転車)に使用される種類の自転車ハンドルバーの、左側の端部MSに装着される。このようなハンドルバーの端部MSは自転車の前方運動方向に対して前方を向く。
【0029】
作動装置100はケーシング101を備える。ケーシング101は、ハンドルバーの端部MSのほぼ前方に延びるように既知の方法で当該ハンドルバーMに固定される。ケーシング101は、軸Aに沿って延在する2つのねじ体102,103によって互いに接続固定されたボディ110とカバー120とを含む。軸Aは、後の説明でより明らかになるが、作動装置100の部品を形成する構成要素群の主要な基準軸である。「軸方向」、「径方向」、「円周方向」、「直径の…」などといった方向等の表現は、全てこの基準軸を基準とする。同様に、径方向に「外方」は軸Aから遠ざかり、径方向に「内方」は軸Aに向かっていると理解されたい。また、図3および図6〜17のように作動装置100をみた際、軸A周りに2つの相対する角度方向は、時計方向を第1の方向104、反時計方向を第2の方向105として定義する。
【0030】
ケーシング101内には、ケーシング101のボディ110に固定される中央ピン111が存在する。中央ピン111は軸Aに沿って延在する。
【0031】
この中央ピン111に、ケーブル巻きボビン112が回転可能に嵌着される。ケーブル巻きボビン112に、作動対象である制御ケーブルKが固定され巻かれる。ボビン112は、インデキシングアセンブリ(indexing assembly)113によってケーシング101に連結される。このインデキシングアセンブリ113は、ギアシフトの選択された比に応じて、ボビン112をケーシング101に対して所定の角度位置に保持する。このようなアセンブリは実質的に公知なので、本発明の一部をなさない。よって、インデキシングアセンブリ113については詳述しない。
【0032】
ボビン112とは軸方向の反対側から中央ピン111に嵌着されるカウンターピン114により、ケーシング101内のボビン112の回動自在な組付けが完成する。
【0033】
ケーシング101内には、ケーシング101のカバー120に固定される中央タング121も存在する。中央タング121は、軸Aに沿って延在する。この中央タング121には、環状体122が回転不能に嵌着固定される。
【0034】
作動装置100は、さらに、全体が符号130で示される、ダウンシフトまたはアップシフトを得るための駆動機構を備える。この駆動機構130は、ボビン112に作用することにより、軸Aを中心として角度方向104又は105に当該ボビン112を回転させる。
【0035】
駆動機構130は、回転不能にボビン112に取り付けられる内歯クラウン(internally toothed crown)114を含む。さらに、駆動機構130は、運転者が作動することのできるレバー131を含む。このレバー131は、ケーシング101に対して、軸Aを中心としてニュートラルな位置から角度方向104,105に可動である(図1、図4、図5、図6、図12および図18に示す)。レバー131は、環状体122側で中央タング121に嵌着されるブッシュ132と、レバー131とケーシング101との間で作用し、レバー131をそのニュートラルな角度位置に保持する弾性手段(特には、ばね133)とにより、回転可能に支持されている。
【0036】
駆動機構は、さらに、レバー131と内歯クラウン114との間にラチェット機構140を含む。
【0037】
ラチェット機構140は、ピボット軸B,Cに沿って設けられた2つのピン134,135によってレバー131の一方の側にヒンジ接続された、2つの互いに対向する対称同一的なロッカーアーム141,142を有する。ピボット軸B,Cは、互いに平行であり且つ作動装置100の主軸Aに対して平行である。各ロッカーアーム141,142は、第1の端部143,144から第2の端部145,146にわたって延びており、軸Aの周りを囲む弓なり形状である。第1のロッカーアーム141の第1の端部143は第2のロッカーアーム142の第1の端部144の近傍にある。一方、第1のロッカーアーム141の第2の端部145は第2のロッカーアーム142の第2の端部146の方向に向いており、軸Aに沿ってほぼ接線方向に互いに離間している。
【0038】
各ロッカーアーム141,142において、ロッカーアーム141,142の外側に、第2の端部145,146に近接して、それぞれ歯領域(toothed sector)147と歯領域148が形成されている。歯領域147,148は、内歯クラウン114の歯と係合するのに適した歯のプロファイルを有する。内歯クラウン114およびロッカーアーム141,142は、軸Aに沿ってほぼ同じ軸方向位置に位置する。したがって、内歯クラウン114は、歯領域147,148の前に配置される。
【0039】
さらに、各ロッカーアーム141,142において、第1の端部143,144に隣接して、ロッカーアーム141、142の内側に、カムプロファイル151とカムプロファイル152がそれぞれ形成されている。カムプロファイル151、152は、軸Aを中心として実質的に円周方向に延びる主要部分153,154を有する。さらに、主要部分153,154よりもロッカーアーム141,142の第1の端部143,144側に隣接して、大きく傾斜した短い第1の部分155,156が設けられている。
【0040】
カムプロファイル151、152は、後で詳述する動作ステップにおいて、環状体122の外側の突部から形成され、軸Aに対して平行に延びるポインタ160と接触して係合する。ポインタ160は、ケーシング101に対して静止(stationary)しており、軸Aからみて径方向外方に向いている。
【0041】
ラチェット機構140は、さらに、ロッカーアーム141,142の第2の端部145,146同士が軸Aから遠ざかるようにプッシュする方向に、各ロッカーアーム141,142をそれらのピボット軸B,C周りに押圧する押圧手段161を有する。好ましくは、押圧手段161は、ロッカーアーム141,142の第2の端部145,146間で圧縮されたばね(スプリング)である。
【0042】
各カムプロファイル151,152は、
−ポインタ160がロッカーアーム141,142のカムプロファイル151,152と係合しているとき、そのロッカーアームの歯領域147,148が内歯クラウン114から離れており、
−ポインタ160がロッカーアーム141,142のカムプロファイル151,152から外れると、そのロッカーアームの歯領域147,148が、押圧手段161によって押圧されて内歯クラウン114に係合するように構成されている。
【0043】
ロッカーアーム141,142の第1の端部143,144は互いに近傍にあるので、ポインタ160は、少なくとも一方のロッカーアーム141,142とそのカムプロファイル151,152で常に係合する。レバー131がニュートラルな位置にあるとき、ポインタ160は、両方のロッカーアーム141,142のカムプロファイル151,152の第1の部分155,156と係合している。
【0044】
ロッカーアーム141,142は、各々のピボット軸B,Cがロッカーアームの第2の端部145,146よりも第1の端部143,144に近いように成形及び寸法決めされている。
【0045】
歯領域147,148の歯のプロファイルと内歯クラウン114の歯のプロファイルとは、内歯クラウン114が動かない状態で歯領域147,148がレバー131と共にニュートラルな位置に復帰する際に1つの歯ずつスナップして外れる(promote the snap disengagement)ように構成されている。
【0046】
より詳細には、歯領域147,148の歯のプロファイルは、ロッカーアーム141,142の第2の端部145,146の方向に向いた押圧側157a,158aと、それとは反対の方向に向いた解放側157b、158bとを含む歯157,158を備える。軸Aに沿った断面視で、押圧側157a,158aの接線であり作動装置100の外側に延びる半直線D1と、当該押圧側157a,158aからロッカーアーム141,142のピボット軸B,Cに向かって延びる半直線D2とが90°以上の角度αを形成するように、押圧側157a,158aの向きが設定されている。
【0047】
作動装置100の動作を、特に図6〜図18を参照しながら説明する。なお、内歯クラウン114の全角度方向の運動は、ケーブル巻きボビン112の同一角度方向の運動に対応し、すなわち、ギアシフト運動に対応する。
【0048】
図6に、レバー131のニュートラルな位置を示す。このニュートラルな位置は、ギアシフト部がある比に維持された非ギアシフト状態に相当する。既述したように、この位置では、ポインタ160が両方のロッカーアーム141,142のカムプロファイル151,152の第1の部分155,156と係合している。歯領域147,148は内歯クラウン114と係合していない。
【0049】
この位置から、運転者がレバー131を方向105に動かす。図7に示すように、レバー131がごく僅かな角度方向運動を行うだけで、ポインタ160はロッカーアーム142のカム形状部152から外れる。これにより、ロッカーアーム142は、押圧手段161によって歯領域148が内歯クラウン114へと押圧される。
【0050】
図8および図9に示すように、レバー131の動き進むと、歯領域148が内歯クラウン114に係合した状態で、内歯クラウンはレバー131と共に角度方向に移動する。この移動は、所望のギアシフトに対応する角度位置に達するまで、運転者によって続けられる。事実、レバー131を少しの角度だけ動かして、一段のギアシフト(ただちに1段上または下の比に移行)を実行したり、あるいは、より大きな角度で動かして、多段のギアシフト(2段、3段またはさらにその上)を実行したりすることができる。
【0051】
このようにして所望の角度位置に達すると、運転者はレバー131への押圧を止め、そのまま離す。内歯クラウン114はインデキシングアセンブリ113によって到達した角度位置で維持されたままであるが、離されたレバー131はばね133の作用によってニュートラルな位置に復帰しようとする(図10)。つまり、レバー131は角度方向104に動き始める。歯158およびロッカーアーム142の形状により、そしてポインタ160とカムプロファイル152との非係合により、ロッカーアーム142は(押圧手段161の弾性応力を上回って)ピボット軸Cを中心として半時計方向に回転する。これにより、歯領域148が内歯クラウン114から外れる(図11)。実際には、レバー131がニュートラルな位置に復帰するまで(図12)、歯領域148は内歯クラウンの歯に接しつつそれらの歯を1つずつ乗り越える。
【0052】
最終的に一段または多段のギアシフトの実行が終わると、レバー131はニュートラルな位置に復帰する。これにより、同一または反対方向へのさらなるギアシフトが可能な状態になる。図13〜図18は、図7〜図12のギアシフトを反対方向に実行した様子を示す図である。対称的な動作なので、そのステップについては詳述しない。
【0053】
当然ながら、添付の特許請求の範囲が規定する保護範囲を逸脱することなく前述の内容に様々な変更や変形を施すことも可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車のギアシフト部に用いられる制御ケーブル用の作動装置に関し、特に、競走用自転車のハンドルバーの前方に向いた端部に装着するのに適した、いわゆるバーエンド型の作動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、自転車には、後輪ハブに固定接続されたチェーンセットに対するリアディレイラ(後輪側の変速機)が設けられている。チェーンセットは、互いに異なる直径および歯数を有する同軸の一組のギア歯車(ピニオン)からなる。
【0003】
典型的に、自転車には、一対のペダルによって回転を生じるボトムブラケットアセンブリのピンと結合したクランクセットに対するフロントディレイラ(前輪側の変速機)も設けられている。クランクセットは、互いに異なる直径および歯数を有する一組のギア歯車[歯付きクラウン(toothed crown)]からなる。
【0004】
いずれにせよ、ディレイラは、チェーンセットとクランクセットとの間で閉ループ状に延設された伝動チェーンに係合し、互いに異なる直径および歯数を有するギア歯車間でチェーンを変位させることによって様々な変速比を得る。
【0005】
具体的に説明すると、「ダウンシフト」という用語は、大径のギア歯車から小径のギア歯車にチェーンが変位することを指し、「アップシフト」という用語は、小径のギア歯車から大径のギア歯車にチェーンが変位することを指す。これと関連してフロントディレイラの場合、ダウンシフトは低い変速比への移行に相当し、アップシフトは高い変速比への移行に相当する。リアディレイラの場合にはその逆で、ダウンシフトは高い変速比への移行に相当し、アップシフトは低い変速比への移行に相当する。
【0006】
上記のようなディレイラの2方向の移動は、運転者が容易に作動できるように装着された作動装置によって実行される。いわゆるバーエンド型の装置の場合にはハンドルバーの端部に装着される。
【0007】
従来、フロントディレイラ用の作動装置はハンドルバーの左側のハンドグリップに設置され、リアディレイラ用の作動装置の場合はその逆で、右側のハンドグリップに設置される。
【0008】
具体的に説明すると、機械式のギアシフト部の場合、各ディレイラは、非伸長性のケーブル(通常はシースで被覆されており、一般的にボーデンケーブル(Bowden cable)と称される)によって加えられる牽引運動により、ギア歯車間において第1の方向に変位する。それとは反対の第2の方向には、ケーブルの牽引が解除されることおよび/またはディレイラに設けられたばねの弾性復帰作用によって変位する。
【0009】
通常、ケーブルの牽引が解除されることおよび/または復帰ばねによって引き起こされる変位はダウンシフト方向である。それとは逆に、制御ケーブルの牽引動作によって引き起こされる変位は、チェーンが小径の歯車から大径の歯車に変位するアップシフト方向である。
【0010】
上記のような作動装置では、制御ケーブルが回転体(rotor element)に巻き取られることによって制御ケーブルの牽引が生じ、制御ケーブルが回転体から巻き出されることによって制御ケーブルの解除が生じる。この回転体は一般的にケーブル巻きボビン(cable-winding bobbin)と称され、その回転は運転者が適切な制御レバーによって制御することができる。ハンドルバーの端部に2つの制御レバーを用いると複雑になるので、とても実用的でない。異なるタイプの作動装置では2つの制御レバーをハンドルバーの様々な部分に配置している。したがって、ハンドルバーの端部に制御レバーを配置する構成では、単一のレバーによる制御が必然的に要求される。
【0011】
いずれにせよ、作動装置は、様々な比、すなわち、ギアシフトの様々なギア歯車によって要求されるディレイラの多様な位置に対応する数多くの所定の角度位置に確実にボビンを回転停止させなければならない。この機能は、作動装置の固定されたケーシングとボビンとの間で可変動作する、いわゆるインデクサ(indexer)によってもたらされる。インデクサには、当該技術分野において数多くの種類のものが存在する。
【0012】
ごく一般的ないわゆるバーエンド型の装置の場合、単一のレバーが、ケーブル巻きボビンに実質上直接的に作動する。インデキシング手段(indexing means)によって決定されるケーブル巻きボビンの各角度位置に、制御レバーの角度位置が正確に対応する。
【0013】
前述のような競走用の製品では、細部にまでこだわって良好な空気力学的作用を追及した研究により、ギアシフト後にレバーが中央のニュートラルな位置に復帰する制御装置が開発された。事実、特許文献1には、ニュートラルな位置に復帰する装置が記載されている。しかし、この装置には極めて複雑な復帰手段が使われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1837275号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の基礎となる課題は、ニュートラルな位置への制御レバーの復帰が単純な方法でなされる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以上を踏まえて、本発明は、請求項1に記載された作動装置に関する。好ましい構成は、従属請求項に記載されている。
【0017】
詳細には、自転車のギアシフト部に用いられる制御ケーブル用の作動装置は、
−自転車のハンドルバーの端部に取付けるように構成されたケーシングと、
−前記ケーシング内で当該作動装置の主軸(A)を中心として角度方向に可動である、
前記制御ケーブルを巻くボビンと、
−前記ボビンに作用することにより、前記ボビンを当該作動装置の前記主軸(A)を中心として第1および第2の角度方向に回転させる駆動機構と、
−前記ボビンを所定の角度位置に解除自在に保持するインデキシング手段と、
を備え、前記駆動機構が、
−当該作動装置の前記主軸(A)を中心として前記ケーシングに対して角度方向に可動であり、ニュートラルな位置から前記第1の角度方向または前記第2の角度方向に動かされることでダウンシフトまたはアップシフトをもたらすレバーと、
−回転不能に前記ボビンに取り付けられ、前記ケーシング内で前記ボビンと共に角度方向に可動な、内歯クラウンと、
−前記レバーと前記内歯クラウンとの間のラチェット機構と、
を含む、制御ケーブル用の作動装置において、
当該作動装置が、さらに、前記レバーと前記ケーシングとの間で作用し、前記レバーを前記ニュートラルな位置に戻す弾性手段を備え、
前記ラチェット機構が、
−当該作動装置の前記主軸(A)に平行であり且つ互いに平行な2つのピボット軸に沿って前記レバーにヒンジ接続された、2つの対向する第1および第2のロッカーアームであって、それぞれ、第1の端部から第2の端部にわたって延びており、それぞれ、当該作動装置の前記主軸(A)の周りを囲む弓なり形状であり、前記第1のロッカーアームの前記第1の端部が前記第2のロッカーアームの前記第1の端部の近傍にあり、前記第1のロッカーアームの前記第2の端部が前記第2のロッカーアームの前記第2の端部の方向に向いた対向する2つのロッカーアームと、
−前記ロッカーアームのそれぞれの前記第2の端部の外側に、前記第2端部に近接して形成され、前記内歯クラウンの歯と係合するのに適した歯プロファイルを有する歯領域であって、当該作動装置の前記主軸(A)に沿って前記クラウンの軸方向位置に対応する軸方向位置に位置している歯領域と、
−前記ロッカーアームのそれぞれに、前記第1の端部の内側で、前記第1端部に近接して形成されたカムプロファイルと、
−前記ロッカーアームのそれぞれを、前記ロッカーアームの前記第2の端部が当該作動装置の前記主軸(A)から互いに遠ざかる方向に、そのピボット軸周りに押圧する押圧手段と、
−前記ケーシングに対して静止しており、当該作動装置の前記主軸(A)からみて径方向外方に向いており、前記ロッカーアームの少なくとも一方とその前記カムプロファイルで係合するポインタと、を有し、
前記カムプロファイルが、
−前記ポインタがロッカーアームのカムプロファイルと係合している状態では、そのロッカーアームの前記歯領域が前記内歯クラウンから離れており、
−前記ポインタがロッカーアームの前記カム形状部から外れると、そのロッカーアームの前記歯領域が、前記押圧手段によって押圧されて前記内歯クラウンと係合するように構成されていることを特徴とする。
【0018】
この作動装置は、ギアシフト後にレバーがニュートラルな位置に復帰できるという所望の動作を可能にする。事実、前記レバーと前記ボビン(または回転不能に前記ボビンに取付けられた前記内歯クラウン)とを直接、接続固定する代わりに、前記レバーと前記ボビンとの間に、ギアシフト実行時を除き、前記レバーを前記内歯クラウンから外れた状態に維持するラチェット機構が設けられている。この時、ギアシフトがアップシフトおよびダウンシフトのどちらであるかに応じて、一方または他方の角度方向へのレバーの動きにより、前記2つのロッカーアームの一方または他方は、その歯領域が前記内歯クラウンと係合するまで移動する。このようにして、前記レバーの角度方向運動が前記内歯クラウンおよび前記ケーブル巻きボビンに伝達される。運転者による前記レバーの作動が終了すると、前記ケーブル巻きボビンおよび前記内歯クラウンは、到達した位置に前記インデキシング手段によって保持される。一方、前記レバーは、前記ラチェット機構に邪魔されることなく、前記弾性手段の作用によって前記ニュートラル位置に復帰する。
【0019】
好ましくは、前記押圧手段は、前記2つのロッカーアームの前記第2の端部間で圧縮されたばね(spring)である。事実、前記2つのロッカーアームは相対する方向に動作するので、これら2つのロッカーアームの間にばねを適切に設けるだけで、各ロッカーアームに対し所望の押圧(thrust)を生成することができる。よって、各ロッカーアームごとにばねを設ける必要がなくなる。
【0020】
好ましくは、前記ポインタは、前記ニュートラルな位置において、前記ロッカーアームの両方の前記カムプロファイルの第1の部分と係合する。このように前記ポインタが両方の前記カムプロファイルと係合していると、確実に2つの前記歯領域のどちらも前記内歯クラウンに係合しないので、前記弾性手段の作用によって得られる前記ニュートラルな位置を安定して維持することができる。
【0021】
好ましくは、前記弾性手段は、前記レバーをそのニュートラルな角度位置に位置するように前記ケーシングと前記レバーとの間で作用するばねを有する。このようなばねは、前記ケーシング内で当該作動装置の前記主軸(A)と同軸上になるようにして、一端が前記ケーシングに他端が前記レバーに接続固定された、単純なリング状のトーションスプリングであってもよい。
【0022】
好ましくは、前記ロッカーアームのそれぞれは、前記レバーに形成されたそれぞれのピン、前記ロッカーアームに形成されたそれぞれのピン、または構造的に独立したそれぞれのピンによって前記レバーにヒンジ接続されている。
【0023】
好ましくは、前記ロッカーアームのそれぞれの前記ピボット軸は、当該ロッカーアームの前記第2の端部よりも前記第1の端部に近い。前記ピボット軸と前記ロッカーアームの前記第2の端部に近接している前記歯領域との距離を最大限に設定することにより、前記歯領域と前記内歯クラウンとが係合した際に、前記ロッカーアームの前記歯領域の全ての歯の押圧方向を実質的に同一とすることができる。これにより、前記歯領域のどの歯もほぼ均等に押圧に寄与するので、前記歯領域の寸法設定が効率よく行える。これは、競走用自転車に使用される作動装置ができる限り軽量化されなければならない点を踏まえると重要である。
【0024】
好ましくは、前記歯領域の前記歯プロファイルと前記内歯クラウンの歯プロファイルとは、前記内歯クラウンが動かない状態で前記歯領域が前記レバーと共にニュートラルな角度位置に復帰する際に1つの歯ずつスナップして外れるように構成されている。
【0025】
より詳細には、前記歯領域の前記歯プロファイルは、前記ロッカーアームの前記第2の端部の方向に向いた押圧側と、前記押圧側が向く方向と反対方向に向いた解放側とを有する歯を備えており、当該作動装置の前記主軸(A)に沿った断面視で、前記押圧側の接線であり当該作動装置の外側に延びる半直線と、前記押圧側から前記ロッカーアームの前記ピボット軸に向かって延びる半直線とが90°以上の角度を形成するように、前記押圧側の向きが設定されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明にかかる作動装置を示す斜視図である。
【図2】図1の作動装置を示す分解斜視図である。
【図3】図1の作動装置を示す分解斜視図である。
【図4】図1の作動装置の一部を示す斜視図である。
【図5】図1の作動装置の他の一部を示す斜視図である。
【図6】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図7】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図8】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図9】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図10】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図11】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図12】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図13】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図14】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図15】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図16】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図17】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図18】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置の動作中の位置を簡略的に示した図である。
【図19】作動装置の主軸に対して垂直な平面視で同作動装置を部分破断した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照しながら行う好ましい実施形態についての以下の説明から明らかになる。
【0028】
図面には、競走用自転車の前輪のギアシフト部(図示せず)の制御ケーブルK用の作動装置100が示されている。具体的に図1を参照すると、作動装置100はいわゆるバーエンド型の装置であり、競走用自転車(特に、タイムトライアルレース用に特殊設計された自転車)に使用される種類の自転車ハンドルバーの、左側の端部MSに装着される。このようなハンドルバーの端部MSは自転車の前方運動方向に対して前方を向く。
【0029】
作動装置100はケーシング101を備える。ケーシング101は、ハンドルバーの端部MSのほぼ前方に延びるように既知の方法で当該ハンドルバーMに固定される。ケーシング101は、軸Aに沿って延在する2つのねじ体102,103によって互いに接続固定されたボディ110とカバー120とを含む。軸Aは、後の説明でより明らかになるが、作動装置100の部品を形成する構成要素群の主要な基準軸である。「軸方向」、「径方向」、「円周方向」、「直径の…」などといった方向等の表現は、全てこの基準軸を基準とする。同様に、径方向に「外方」は軸Aから遠ざかり、径方向に「内方」は軸Aに向かっていると理解されたい。また、図3および図6〜17のように作動装置100をみた際、軸A周りに2つの相対する角度方向は、時計方向を第1の方向104、反時計方向を第2の方向105として定義する。
【0030】
ケーシング101内には、ケーシング101のボディ110に固定される中央ピン111が存在する。中央ピン111は軸Aに沿って延在する。
【0031】
この中央ピン111に、ケーブル巻きボビン112が回転可能に嵌着される。ケーブル巻きボビン112に、作動対象である制御ケーブルKが固定され巻かれる。ボビン112は、インデキシングアセンブリ(indexing assembly)113によってケーシング101に連結される。このインデキシングアセンブリ113は、ギアシフトの選択された比に応じて、ボビン112をケーシング101に対して所定の角度位置に保持する。このようなアセンブリは実質的に公知なので、本発明の一部をなさない。よって、インデキシングアセンブリ113については詳述しない。
【0032】
ボビン112とは軸方向の反対側から中央ピン111に嵌着されるカウンターピン114により、ケーシング101内のボビン112の回動自在な組付けが完成する。
【0033】
ケーシング101内には、ケーシング101のカバー120に固定される中央タング121も存在する。中央タング121は、軸Aに沿って延在する。この中央タング121には、環状体122が回転不能に嵌着固定される。
【0034】
作動装置100は、さらに、全体が符号130で示される、ダウンシフトまたはアップシフトを得るための駆動機構を備える。この駆動機構130は、ボビン112に作用することにより、軸Aを中心として角度方向104又は105に当該ボビン112を回転させる。
【0035】
駆動機構130は、回転不能にボビン112に取り付けられる内歯クラウン(internally toothed crown)114を含む。さらに、駆動機構130は、運転者が作動することのできるレバー131を含む。このレバー131は、ケーシング101に対して、軸Aを中心としてニュートラルな位置から角度方向104,105に可動である(図1、図4、図5、図6、図12および図18に示す)。レバー131は、環状体122側で中央タング121に嵌着されるブッシュ132と、レバー131とケーシング101との間で作用し、レバー131をそのニュートラルな角度位置に保持する弾性手段(特には、ばね133)とにより、回転可能に支持されている。
【0036】
駆動機構は、さらに、レバー131と内歯クラウン114との間にラチェット機構140を含む。
【0037】
ラチェット機構140は、ピボット軸B,Cに沿って設けられた2つのピン134,135によってレバー131の一方の側にヒンジ接続された、2つの互いに対向する対称同一的なロッカーアーム141,142を有する。ピボット軸B,Cは、互いに平行であり且つ作動装置100の主軸Aに対して平行である。各ロッカーアーム141,142は、第1の端部143,144から第2の端部145,146にわたって延びており、軸Aの周りを囲む弓なり形状である。第1のロッカーアーム141の第1の端部143は第2のロッカーアーム142の第1の端部144の近傍にある。一方、第1のロッカーアーム141の第2の端部145は第2のロッカーアーム142の第2の端部146の方向に向いており、軸Aに沿ってほぼ接線方向に互いに離間している。
【0038】
各ロッカーアーム141,142において、ロッカーアーム141,142の外側に、第2の端部145,146に近接して、それぞれ歯領域(toothed sector)147と歯領域148が形成されている。歯領域147,148は、内歯クラウン114の歯と係合するのに適した歯のプロファイルを有する。内歯クラウン114およびロッカーアーム141,142は、軸Aに沿ってほぼ同じ軸方向位置に位置する。したがって、内歯クラウン114は、歯領域147,148の前に配置される。
【0039】
さらに、各ロッカーアーム141,142において、第1の端部143,144に隣接して、ロッカーアーム141、142の内側に、カムプロファイル151とカムプロファイル152がそれぞれ形成されている。カムプロファイル151、152は、軸Aを中心として実質的に円周方向に延びる主要部分153,154を有する。さらに、主要部分153,154よりもロッカーアーム141,142の第1の端部143,144側に隣接して、大きく傾斜した短い第1の部分155,156が設けられている。
【0040】
カムプロファイル151、152は、後で詳述する動作ステップにおいて、環状体122の外側の突部から形成され、軸Aに対して平行に延びるポインタ160と接触して係合する。ポインタ160は、ケーシング101に対して静止(stationary)しており、軸Aからみて径方向外方に向いている。
【0041】
ラチェット機構140は、さらに、ロッカーアーム141,142の第2の端部145,146同士が軸Aから遠ざかるようにプッシュする方向に、各ロッカーアーム141,142をそれらのピボット軸B,C周りに押圧する押圧手段161を有する。好ましくは、押圧手段161は、ロッカーアーム141,142の第2の端部145,146間で圧縮されたばね(スプリング)である。
【0042】
各カムプロファイル151,152は、
−ポインタ160がロッカーアーム141,142のカムプロファイル151,152と係合しているとき、そのロッカーアームの歯領域147,148が内歯クラウン114から離れており、
−ポインタ160がロッカーアーム141,142のカムプロファイル151,152から外れると、そのロッカーアームの歯領域147,148が、押圧手段161によって押圧されて内歯クラウン114に係合するように構成されている。
【0043】
ロッカーアーム141,142の第1の端部143,144は互いに近傍にあるので、ポインタ160は、少なくとも一方のロッカーアーム141,142とそのカムプロファイル151,152で常に係合する。レバー131がニュートラルな位置にあるとき、ポインタ160は、両方のロッカーアーム141,142のカムプロファイル151,152の第1の部分155,156と係合している。
【0044】
ロッカーアーム141,142は、各々のピボット軸B,Cがロッカーアームの第2の端部145,146よりも第1の端部143,144に近いように成形及び寸法決めされている。
【0045】
歯領域147,148の歯のプロファイルと内歯クラウン114の歯のプロファイルとは、内歯クラウン114が動かない状態で歯領域147,148がレバー131と共にニュートラルな位置に復帰する際に1つの歯ずつスナップして外れる(promote the snap disengagement)ように構成されている。
【0046】
より詳細には、歯領域147,148の歯のプロファイルは、ロッカーアーム141,142の第2の端部145,146の方向に向いた押圧側157a,158aと、それとは反対の方向に向いた解放側157b、158bとを含む歯157,158を備える。軸Aに沿った断面視で、押圧側157a,158aの接線であり作動装置100の外側に延びる半直線D1と、当該押圧側157a,158aからロッカーアーム141,142のピボット軸B,Cに向かって延びる半直線D2とが90°以上の角度αを形成するように、押圧側157a,158aの向きが設定されている。
【0047】
作動装置100の動作を、特に図6〜図18を参照しながら説明する。なお、内歯クラウン114の全角度方向の運動は、ケーブル巻きボビン112の同一角度方向の運動に対応し、すなわち、ギアシフト運動に対応する。
【0048】
図6に、レバー131のニュートラルな位置を示す。このニュートラルな位置は、ギアシフト部がある比に維持された非ギアシフト状態に相当する。既述したように、この位置では、ポインタ160が両方のロッカーアーム141,142のカムプロファイル151,152の第1の部分155,156と係合している。歯領域147,148は内歯クラウン114と係合していない。
【0049】
この位置から、運転者がレバー131を方向105に動かす。図7に示すように、レバー131がごく僅かな角度方向運動を行うだけで、ポインタ160はロッカーアーム142のカム形状部152から外れる。これにより、ロッカーアーム142は、押圧手段161によって歯領域148が内歯クラウン114へと押圧される。
【0050】
図8および図9に示すように、レバー131の動き進むと、歯領域148が内歯クラウン114に係合した状態で、内歯クラウンはレバー131と共に角度方向に移動する。この移動は、所望のギアシフトに対応する角度位置に達するまで、運転者によって続けられる。事実、レバー131を少しの角度だけ動かして、一段のギアシフト(ただちに1段上または下の比に移行)を実行したり、あるいは、より大きな角度で動かして、多段のギアシフト(2段、3段またはさらにその上)を実行したりすることができる。
【0051】
このようにして所望の角度位置に達すると、運転者はレバー131への押圧を止め、そのまま離す。内歯クラウン114はインデキシングアセンブリ113によって到達した角度位置で維持されたままであるが、離されたレバー131はばね133の作用によってニュートラルな位置に復帰しようとする(図10)。つまり、レバー131は角度方向104に動き始める。歯158およびロッカーアーム142の形状により、そしてポインタ160とカムプロファイル152との非係合により、ロッカーアーム142は(押圧手段161の弾性応力を上回って)ピボット軸Cを中心として半時計方向に回転する。これにより、歯領域148が内歯クラウン114から外れる(図11)。実際には、レバー131がニュートラルな位置に復帰するまで(図12)、歯領域148は内歯クラウンの歯に接しつつそれらの歯を1つずつ乗り越える。
【0052】
最終的に一段または多段のギアシフトの実行が終わると、レバー131はニュートラルな位置に復帰する。これにより、同一または反対方向へのさらなるギアシフトが可能な状態になる。図13〜図18は、図7〜図12のギアシフトを反対方向に実行した様子を示す図である。対称的な動作なので、そのステップについては詳述しない。
【0053】
当然ながら、添付の特許請求の範囲が規定する保護範囲を逸脱することなく前述の内容に様々な変更や変形を施すことも可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のギアシフト部に用いられる制御ケーブル(K)用の作動装置(100)であって、
−自転車のハンドルバーの端部(MS)に取付けるように構成されたケーシング(101)と、
−前記ケーシング(101)内で当該作動装置(100)の主軸(A)を中心として角度方向に可動である、前記制御ケーブル(K)を巻くボビン(112)と、
−前記ボビン(112)に作用することにより、前記ボビン(112)を当該作動装置(100)の前記主軸(A)を中心として第1および第2の角度方向(104,105)に回転させる駆動機構(130)と、
−前記ボビン(112)を所定の角度位置に解除自在に保持するインデキシング手段(113)と、を備え、
前記駆動機構(130)が、
−当該作動装置(100)の前記主軸(A)を中心として前記ケーシング(101)に対して角度方向に可動であり、ニュートラルな位置から前記第1の角度方向(104)または前記第2の角度方向(105)に動かされることでダウンシフトまたはアップシフトをもたらすレバー(131)と、
−回転不能に前記ボビン(112)に取り付けられ、前記ケーシング(101)内で前記ボビン(112)と共に角度方向に可動な、内歯クラウン(114)と、
−前記レバー(131)と前記内歯クラウン(114)との間のラチェット機構(140)と、
を含む、制御ケーブル用の作動装置において、
当該作動装置(100)が、さらに、前記レバー(131)と前記ケーシング(101)との間で作用し、前記レバー(131)を前記ニュートラルな位置に戻す弾性手段(133)を備え、
前記ラチェット機構(140)が、
−当該作動装置(100)の前記主軸(A)に平行であり且つ互いに平行な2つのピボット軸(B,C)に沿って前記レバー(131)にヒンジ接続された、2つの互いに対向する第1および第2のロッカーアーム(141,142)であって、それぞれ、第1の端部(143,144)から第2の端部(145,146)にわたって延びており、それぞれ、当該作動装置(100)の前記主軸(A)の周りを囲む弓なり形状であり、前記第1のロッカーアーム(141)の前記第1の端部(143)が前記第2のロッカーアーム(142)の前記第1の端部(144)の近傍にあり、前記第1のロッカーアーム(141)の前記第2の端部(145)が前記第2のロッカーアーム(142)の前記第2の端部(146)の方向に向いた2つの対向するロッカーアーム(141,142)と、
−前記ロッカーアーム(141,142)のそれぞれの前記第2の端部(145,146)の外側に、前記第2端部に近接して形成され、前記内歯クラウン(114)の歯と係合するのに適した歯プロファイルを有する歯領域(147,148)であって、当該作動装置(100)の前記主軸(A)に沿って前記クラウン(114)の軸方向位置に対応する軸方向位置に位置している歯領域(147,148)と、
−前記ロッカーアーム(141,142)のそれぞれに、前記第1の端部(143,144)の内側で、前記第1端部に近接して形成されたカムプロファイル(151,152)と、
−前記ロッカーアーム(141,142)のそれぞれを、前記ロッカーアーム(141,142)の前記第2の端部(145,146)が当該作動装置(100)の前記主軸(A)から互いに遠ざかる方向に、そのピボット軸(B,C)周りに押圧する押圧手段(161)と、
−前記ケーシング(101)に対して静止しており、当該作動装置(100)の前記主軸(A)からみて径方向外方に向いており、前記ロッカーアーム(141,142)の少なくとも一方とその前記カムプロファイル(151,152)で係合するポインタ(160)と、を有し、
前記カムプロファイル(151,152)が、
−前記ポインタ(160)がロッカーアーム(141,142)のカムプロファイル(151,152)と係合している状態では、そのロッカーアーム(141,142)の前記歯領域(147,148)が前記内歯クラウン(114)から離れており、
−前記ポインタ(160)がロッカーアーム(141,142)の前記カムプロファイル(151,152)から外れると、そのロッカーアーム(141,142)の前記歯領域(147,148)が、前記押圧手段(161)によって押圧されて前記内歯クラウン(114)と係合するように構成されている、ことを特徴とする、制御ケーブル用の作動装置。
【請求項2】
請求項1において、前記押圧手段(161)が、前記2つのロッカーアーム(141,142)の前記第2の端部(145,146)間で圧縮されたばねである、制御ケーブル用の作動装置。
【請求項3】
請求項1において、前記ポインタ(160)が、前記ニュートラルな位置において、前記ロッカーアーム(141,142)の両方の前記カムプロファイル(151,152)の第1の部分(155,156)と係合する、制御ケーブル用の作動装置。
【請求項4】
請求項3において、前記弾性手段が、前記レバー(131)をそのニュートラルな角度位置に位置するように前記ケーシング(101)と前記レバー(131)との間で作用するばね(133)を有する、制御ケーブル用の作動装置。
【請求項5】
請求項1において、前記ロッカーアーム(141,142)のそれぞれが、対応するピン(134,135)によって前記レバー(131)にヒンジ接続されている、制御ケーブル用の作動装置。
【請求項6】
請求項1において、前記ロッカーアーム(141,142)のそれぞれの前記ピボット軸(B,C)が、当該ロッカーアーム(141,142)の前記第2の端部(145,146)よりも前記第1の端部(143,144)に近い、制御ケーブル用の作動装置。
【請求項7】
請求項1において、前記歯領域(147,148)の前記歯プロファイルと前記内歯クラウン(114)の歯プロファイルとは、前記内歯クラウン(114)が動かない状態で前記歯領域(147,148)が前記レバー(131)と共にニュートラルな角度位置に復帰する際に1つの歯ずつスナップして外れるように構成されている、制御ケーブル用の作動装置。
【請求項8】
請求項7において、前記歯領域(147,148)の前記歯プロファイルが、前記ロッカーアーム(141,142)の前記第2の端部(145,146)の方向に向いた押圧側(157a,158a)と、前記押圧側(157a、158a)が向く方向と反対方向に向いた解放側(157b、158b)とを有する歯(157,158)を備え、当該作動装置(100)の前記主軸(A)に沿った断面視で、前記押圧側(157a,158a)の接線であり当該作動装置(100)の外側に延びる半直線(D1)と、前記押圧側(157a,158a)から前記ロッカーアーム(141,142)の前記ピボット軸(B,C)に向かって延びる半直線(D2)とが、90°以上の角度(α)を形成するように、前記押圧側(157a,158a)の向きが設定されている、制御ケーブル用の作動装置。
【請求項1】
自転車のギアシフト部に用いられる制御ケーブル(K)用の作動装置(100)であって、
−自転車のハンドルバーの端部(MS)に取付けるように構成されたケーシング(101)と、
−前記ケーシング(101)内で当該作動装置(100)の主軸(A)を中心として角度方向に可動である、前記制御ケーブル(K)を巻くボビン(112)と、
−前記ボビン(112)に作用することにより、前記ボビン(112)を当該作動装置(100)の前記主軸(A)を中心として第1および第2の角度方向(104,105)に回転させる駆動機構(130)と、
−前記ボビン(112)を所定の角度位置に解除自在に保持するインデキシング手段(113)と、を備え、
前記駆動機構(130)が、
−当該作動装置(100)の前記主軸(A)を中心として前記ケーシング(101)に対して角度方向に可動であり、ニュートラルな位置から前記第1の角度方向(104)または前記第2の角度方向(105)に動かされることでダウンシフトまたはアップシフトをもたらすレバー(131)と、
−回転不能に前記ボビン(112)に取り付けられ、前記ケーシング(101)内で前記ボビン(112)と共に角度方向に可動な、内歯クラウン(114)と、
−前記レバー(131)と前記内歯クラウン(114)との間のラチェット機構(140)と、
を含む、制御ケーブル用の作動装置において、
当該作動装置(100)が、さらに、前記レバー(131)と前記ケーシング(101)との間で作用し、前記レバー(131)を前記ニュートラルな位置に戻す弾性手段(133)を備え、
前記ラチェット機構(140)が、
−当該作動装置(100)の前記主軸(A)に平行であり且つ互いに平行な2つのピボット軸(B,C)に沿って前記レバー(131)にヒンジ接続された、2つの互いに対向する第1および第2のロッカーアーム(141,142)であって、それぞれ、第1の端部(143,144)から第2の端部(145,146)にわたって延びており、それぞれ、当該作動装置(100)の前記主軸(A)の周りを囲む弓なり形状であり、前記第1のロッカーアーム(141)の前記第1の端部(143)が前記第2のロッカーアーム(142)の前記第1の端部(144)の近傍にあり、前記第1のロッカーアーム(141)の前記第2の端部(145)が前記第2のロッカーアーム(142)の前記第2の端部(146)の方向に向いた2つの対向するロッカーアーム(141,142)と、
−前記ロッカーアーム(141,142)のそれぞれの前記第2の端部(145,146)の外側に、前記第2端部に近接して形成され、前記内歯クラウン(114)の歯と係合するのに適した歯プロファイルを有する歯領域(147,148)であって、当該作動装置(100)の前記主軸(A)に沿って前記クラウン(114)の軸方向位置に対応する軸方向位置に位置している歯領域(147,148)と、
−前記ロッカーアーム(141,142)のそれぞれに、前記第1の端部(143,144)の内側で、前記第1端部に近接して形成されたカムプロファイル(151,152)と、
−前記ロッカーアーム(141,142)のそれぞれを、前記ロッカーアーム(141,142)の前記第2の端部(145,146)が当該作動装置(100)の前記主軸(A)から互いに遠ざかる方向に、そのピボット軸(B,C)周りに押圧する押圧手段(161)と、
−前記ケーシング(101)に対して静止しており、当該作動装置(100)の前記主軸(A)からみて径方向外方に向いており、前記ロッカーアーム(141,142)の少なくとも一方とその前記カムプロファイル(151,152)で係合するポインタ(160)と、を有し、
前記カムプロファイル(151,152)が、
−前記ポインタ(160)がロッカーアーム(141,142)のカムプロファイル(151,152)と係合している状態では、そのロッカーアーム(141,142)の前記歯領域(147,148)が前記内歯クラウン(114)から離れており、
−前記ポインタ(160)がロッカーアーム(141,142)の前記カムプロファイル(151,152)から外れると、そのロッカーアーム(141,142)の前記歯領域(147,148)が、前記押圧手段(161)によって押圧されて前記内歯クラウン(114)と係合するように構成されている、ことを特徴とする、制御ケーブル用の作動装置。
【請求項2】
請求項1において、前記押圧手段(161)が、前記2つのロッカーアーム(141,142)の前記第2の端部(145,146)間で圧縮されたばねである、制御ケーブル用の作動装置。
【請求項3】
請求項1において、前記ポインタ(160)が、前記ニュートラルな位置において、前記ロッカーアーム(141,142)の両方の前記カムプロファイル(151,152)の第1の部分(155,156)と係合する、制御ケーブル用の作動装置。
【請求項4】
請求項3において、前記弾性手段が、前記レバー(131)をそのニュートラルな角度位置に位置するように前記ケーシング(101)と前記レバー(131)との間で作用するばね(133)を有する、制御ケーブル用の作動装置。
【請求項5】
請求項1において、前記ロッカーアーム(141,142)のそれぞれが、対応するピン(134,135)によって前記レバー(131)にヒンジ接続されている、制御ケーブル用の作動装置。
【請求項6】
請求項1において、前記ロッカーアーム(141,142)のそれぞれの前記ピボット軸(B,C)が、当該ロッカーアーム(141,142)の前記第2の端部(145,146)よりも前記第1の端部(143,144)に近い、制御ケーブル用の作動装置。
【請求項7】
請求項1において、前記歯領域(147,148)の前記歯プロファイルと前記内歯クラウン(114)の歯プロファイルとは、前記内歯クラウン(114)が動かない状態で前記歯領域(147,148)が前記レバー(131)と共にニュートラルな角度位置に復帰する際に1つの歯ずつスナップして外れるように構成されている、制御ケーブル用の作動装置。
【請求項8】
請求項7において、前記歯領域(147,148)の前記歯プロファイルが、前記ロッカーアーム(141,142)の前記第2の端部(145,146)の方向に向いた押圧側(157a,158a)と、前記押圧側(157a、158a)が向く方向と反対方向に向いた解放側(157b、158b)とを有する歯(157,158)を備え、当該作動装置(100)の前記主軸(A)に沿った断面視で、前記押圧側(157a,158a)の接線であり当該作動装置(100)の外側に延びる半直線(D1)と、前記押圧側(157a,158a)から前記ロッカーアーム(141,142)の前記ピボット軸(B,C)に向かって延びる半直線(D2)とが、90°以上の角度(α)を形成するように、前記押圧側(157a,158a)の向きが設定されている、制御ケーブル用の作動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−116473(P2012−116473A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−264425(P2011−264425)
【出願日】平成23年12月2日(2011.12.2)
【出願人】(592072182)カンパニョーロ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (94)
【氏名又は名称原語表記】CAMPAGNOLO SOCIETA A RESPONSABILITA LIMITATA
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−264425(P2011−264425)
【出願日】平成23年12月2日(2011.12.2)
【出願人】(592072182)カンパニョーロ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (94)
【氏名又は名称原語表記】CAMPAGNOLO SOCIETA A RESPONSABILITA LIMITATA
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