説明

臭素の製造方法

【課題】臭化水素を酸素で酸化して、臭素を良好な収率で製造する方法を提供する。
【解決手段】金属ルテニウム及びルテニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する触媒の存在下に、臭化水素を酸素により酸化することにより、臭素を製造する。前記触媒は、金属ルテニウム及びルテニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が担体に担持されてなる触媒であることが好ましい。前記担体は、酸化チタン、アルミナ及び酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臭素の製造方法に関するものである。臭素は、例えば、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテル等の難燃剤の製造原料として有用である。
【背景技術】
【0002】
臭化水素を酸素で酸化して臭素を製造する方法として、例えば、特許文献1には、Cuの酸化物、ハロゲン化物、及び/又は酸化ハロゲン化物を触媒として用い、前記酸化を行う方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−525395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の方法では、臭素の収率の点で必ずしも満足できないことがあった。そこで、本発明の目的は、臭化水素を酸素で酸化して、臭素を良好な収率で製造することができる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、前記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(1)金属ルテニウム及びルテニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する触媒の存在下に、臭化水素を酸素により酸化する臭素の製造方法。
(2)前記触媒が、金属ルテニウム及びルテニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が担体に担持されてなる触媒である前記(1)に記載の製造方法。
(3)前記担体が、酸化チタン、アルミナ及び酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する前記(2)に記載の製造方法。
(4)前記ルテニウム化合物が、酸化ルテニウムである前記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、臭化水素を酸素で酸化して、臭素を良好な収率で製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明においては、金属ルテニウム及びルテニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する触媒の存在下に、臭化水素を酸素により酸化する。
【0009】
本発明で使用される触媒は、金属ルテニウム及びルテニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種(以下、「ルテニウム成分」と称することがある)を含有する触媒である。前記の金属ルテニウムとは、金属単体のルテニウムをいう。前記ルテニウム化合物としては、例えば、RuO、RuO、Ru、Ruの如き酸化物、RuO(OH)、Ru(OH)、Ru(OH)の如きオキシ水酸化物又は水酸化物;RuCl、RuBrの如きハロゲン化物、KRuCl、KRuClの如きハロゲノ酸塩、KRuOの如きオキソ酸塩、RuOCl、RuOCl、RuOClの如きオキシハロゲン化物、K[RuCl(HO)]、[RuCl(HO)]Cl、K[RuOCl10]、Cs[RuOCl]の如きハロゲノ錯体、[Ru(NHO]Cl、[Ru(NHCl]Cl、[Ru(NH]Cl、[Ru(NH]Cl、[Ru(NH]Brの如きアンミン錯体、Ru(CO)、Ru(CO)12の如きカルボニル錯体、[RuO(OCOCH(HO)]OCOCH、[Ru(OCOR)]Cl(R=炭素数1〜3のアルキル基)の如きカルボキシラト錯体、K[RuCl(NO)]、[Ru(NH(NO)]Cl、[Ru(OH)(NH(NO)](NO、[Ru(NO)](NOの如きニトロシル錯体、ホスフィン錯体、アミン錯体、アセチルアセトナト錯体、酸化ルテニウムと他の酸化物との複合酸化物等が挙げられる。前記複合酸化物における他の酸化物としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、アルミナ、シリカ、酸化バナジウム、酸化ホウ素、酸化クロム、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化タングステン等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上が前記複合酸化物に含まれてもよい。尚、ルテニウム化合物としては、その水和物であってもよいし、また、2種以上のルテニウム化合物の混合物であってもよい。ルテニウム化合物としては、中でも、酸化物が好ましい。酸化物の中でも、二酸化ルテニウム(RuO)が好ましく、その酸化数は、通常+4であるが、他の酸化数のルテニウムないし他の形態の酸化ルテニウムが含まれていてもよい。また、反応条件によっては、触媒において、金属ルテニウムが反応後に酸化ルテニウムになることや、ルテニウム化合物が金属ルテニウムになることがある。
【0010】
ルテニウム成分を含有する触媒として、金属ルテニウムやルテニウム化合物のそれ自体を使用してもよいが、高価な金属ルテニウムやルテニウム化合物の使用量を削減するために、ルテニウム成分が担体に担持されてなる触媒を使用することが好ましい。担体としては、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、ゼオライト、シリカ、シリカアルミナ、酸化バナジウム、ケイソウ土、酸化チタンと他の酸化物との複合酸化物、酸化ジルコニウムと他の酸化物との複合酸化物、アルミナと他の酸化物との複合酸化物、金属硫酸塩等が挙げられ、必要に応じてこれらの2種以上を用いることもできる。中でも、酸化チタン、アルミナ及び酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する担体が好ましい。
【0011】
前記担体は、粉末状やゾル状の担体を混練、成形し、次いで焼成したものを用いることができる。焼成した担体は、公知の方法に基づいて調製することができ、例えば、粉末状の担体やゾル状の担体を、有機バインダー等の成形助剤及び水と混練し、ヌードル状に押出成形した後、乾燥、破砕して成形体を得、次いで得られた成形体を空気等の酸化性ガス雰囲気下で焼成することで調製できる。
【0012】
前記担体に酸化チタンが含まれる場合、酸化チタンとしては、ルチル型酸化チタン(ルチル型の結晶構造を有する酸化チタン)、アナターゼ型酸化チタン(アナターゼ型の結晶構造を有する酸化チタン)、又は非晶質の酸化チタンからなるものであってもよいし、これらの混合物からなるものであってもよい。
【0013】
前記担体にアルミナが含まれる場合、アルミナとしては、α−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、δ−アルミナ、β−アルミナ、非晶質アルミナ、ベーマイト等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。中でも、α−アルミナが好ましい。
【0014】
担体にルテニウム成分を担持する方法としては、担体をルテニウム成分を含む溶液と接触処理する方法が挙げられる。接触処理において、処理時の温度は、通常0〜100℃、好ましくは0〜50℃であり、処理時の圧力は通常0.1〜1MPa、好ましくは大気圧である。また、かかる接触処理は、空気雰囲気下や、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化酸素の如き不活性ガス雰囲気下で行うことができ、この際、水蒸気を含んでいてもよい。
【0015】
接触処理としては、含浸、浸漬等が挙げられる。前記溶液と接触処理する方法として、(A)ルテニウム成分を含む溶液を担体に含浸させる方法や、(B)担体をルテニウム成分を含む溶液に浸漬させて、ルテニウム成分を吸着させる方法等が挙げられるが、前記(A)の方法が好ましい。
【0016】
前記溶液の調製に使用される溶媒としては、水が好ましい。水としては、蒸留水、イオン交換水、超純水などの純度の高い水が好ましい。使用する水に不純物が多く含まれると、かかる不純物が触媒に付着して、触媒の活性を低下させる場合がある。水の使用量は、前記溶液に含まれるルテニウム成分1モルに対して、通常1.5〜8000モル、好ましくは3〜2500モル、より好ましくは7〜1500モルである。
【0017】
担体にルテニウム成分を担持した後、乾燥し、その後、焼成するのが好ましい。かかる乾燥方法としては、従来公知の方法を採用することができ、その温度は、通常、室温から100℃程度であり、その圧力は、通常0.001〜1MPa、好ましくは大気圧である。かかる乾燥は、空気雰囲気下や、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化酸素の如き不活性ガス雰囲気下で行うことができ、この際、水蒸気を含んでいてもよい。取り扱いの観点から、上記不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
【0018】
前記焼成は、酸化性ガス、還元性ガス又は不活性ガス雰囲気下で行うことができ、これらのガス雰囲気下を組み合わせて多段階で行ってもよい。酸化性ガスとは、酸化性物質を含むガスであり、例えば酸素含有ガス等が挙げられ、その酸素濃度としては、通常、1〜30容量%程度である。この酸素源としては、通常、空気や純酸素が用いられ、必要に応じて不活性ガスや水蒸気で希釈される。酸化性ガスは、中でも、空気が好ましい。また、焼成温度は、通常、100〜1000℃、好ましくは200〜450℃である。酸化性ガス雰囲気下で焼成を行うことにより、担持されたルテニウム成分は酸化ルテニウムに変換され得る。
【0019】
前記還元性ガスとは、還元性物質を含むガスであり、例えば水素含有ガス、一酸化炭素含有ガス、炭化水素含有ガス等が挙げられる。その濃度としては、通常、1〜30容量%程度であり、例えば、不活性ガスや水蒸気で濃度調整される。還元性ガスは、中でも、水素含有ガス、一酸化炭素含有ガスが好ましい。また、焼成温度は、通常、100〜1000℃、好ましくは200〜500℃である。還元性ガス雰囲気下で焼成を行うことにより、担持されたルテニウム成分は金属ルテニウムに変換され得る。
【0020】
前記不活性ガスとしては、例えば窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられ、必要に応じて水蒸気で希釈される。不活性ガスは、中でも、窒素、二酸化炭素が好ましい。また、焼成温度は、通常、100〜1000℃、好ましくは200〜600℃である。
【0021】
ルテニウム成分が担体に担持されてなる触媒において、担体に対する金属ルテニウム及びルテニウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の含有割合(ルテニウム成分/担体)は、重量比として、通常0.1/99.9〜20/80、好ましくは0.5/99.5〜15/85、より好ましくは0.5/99.5〜5/95であり、この範囲になるように、担体にルテニウム成分を担持する際のルテニウム成分と担体との使用割合が適宜調整される。担体に担持されたルテニウム成分があまり少ないと触媒活性が十分でないことがあり、あまり多いとコスト的に不利となる。
【0022】
ルテニウム成分を含有する触媒には、ルテニウム成分の他に、パラジウム、銅化合物、クロム化合物、バナジウム化合物、アルカリ金属化合物、稀土類化合物、マンガン化合物、アルカリ土類化合物等の他成分が含まれていてもよい。他成分の含有量は、担体及び他成分の総量に対して、通常0.1〜10重量%である。
【0023】
ルテニウム成分を含有する触媒の形状は、球形粒状、円柱形ペレット状、押出形状、リング形状、ハニカム状あるいは成型後に粉砕分級した適度の大きさの顆粒状等で用いられる。この際、触媒の直径としては5mm以下が好ましい。触媒の直径が大きすぎると、臭化水素の転化率が低くなることがある。触媒の直径の下限は特に制限はないが、過度に小さくなると、触媒層での圧力損失が大きくなるため、通常は0.5mm以上のものが用いられる。なお、ここでいう触媒の直径とは、球形粒状では球の直径、円柱形ペレット状では円形断面の直径、その他の形状では断面の最大直径を意味する。
【0024】
本発明における、ルテニウム成分を含有する触媒は、上述の方法により製造されたものであってもよいし、市販のものであってもよい。
【0025】
かかるルテニウム成分を含有する触媒の存在下に、臭化水素を酸素により酸化することにより、臭化水素を効率的に製造することができる。
【0026】
原料である臭化水素としては、水素と臭素との反応により生成する臭化水素や、臭素化合物の熱分解反応や燃焼反応により生成する臭化水素や、アルカン、芳香族化合物等の有機化合物の臭素による臭素化反応、臭素化炭化水素の加水分解反応、臭素化炭化水素のアミノ化反応、臭化アルキルと芳香族化合物のフリーデルクラフツアルキル化反応、臭化アシルと芳香族化合物のフリーデルクラフツアシル化反応、臭素化有機化合物のカップリング反応等により副生する臭化水素や、臭化水素の臭素への酸化反応やアルケンの臭化水素による臭素化反応等から回収される臭化水素等を使用することができる。また、これらの臭化水素を使用する場合、臭化水素とともに回収されうる未反応原料や反応生成物との混合物として使用してもよい。また、臭化水素として、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、水蒸気等のガスにより希釈された、臭化水素を含有するガスを使用してもよい。
【0027】
酸素としては、酸素含有ガスを使用することができ、酸素含有ガスとしては、純酸素や、純酸素を窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、水蒸気等のガスで希釈したものや、空気を使用することができる。純酸素は、空気の圧力スイング法や深冷分離等の通常の工業的な方法によって得ることができる。
【0028】
反応方式としては、流動床、固定床、移動床等の反応方式が採用可能であり、断熱方式又は熱交換方式の固定床反応器が好ましい。断熱方式の固定床反応器を用いる場合には、単管式固定床反応器、多管式固定床反応器のいずれも使用することができるが、単管式固定床反応器を好ましく使用することができる。熱交換方式の固定床反応器を用いる場合には、単管式固定床反応器、多管式固定床反応器のいずれも使用することができるが、多管式固定床反応器を好ましく使用することができる。
【0029】
この酸化反応は平衡反応であり、あまり高温で行うと平衡転化率が下がるため、比較的低温で行うのが好ましく、反応温度は、通常50〜500℃、好ましくは100〜450℃であり、より好ましくは300〜450℃である。また、反応圧力は、通常0.1〜5MPa程度である。臭化水素に対する酸素の理論モル量は1/4モルであるが、通常、この理論量の0.1〜10倍の酸素が使用される。また、臭化水素の供給速度は、触媒1Lあたりのガス供給速度(L/h;0℃、0.1MPa換算)、すなわちGHSVで表して、通常10〜20000h−1程度である。
【0030】
尚、ルテニウム成分を含有する触媒を使用する際、チタニア、アルミナ、ジルコニア、シリカ等で希釈して使用することもできる。
【実施例】
【0031】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。例中、ガスの供給速度(ml/min)は、特記ない限り、0℃、0.1MPaの換算値である。
【0032】
実施例1
(担持酸化ルテニウム触媒の調製)
酸化チタン50重量部〔堺化学(株)製のSTR−60R、100%ルチル型〕、α−アルミナ100重量部〔住友化学(株)製のAES−12〕、チタニアゾル13.2重量部〔堺化学(株)製のCSB、チタニア含有量38重量%〕、及びメチルセルロース2重量部〔信越化学(株)製のメトローズ65SH−4000〕を混合し、次いで純水を加えて混練した。この混合物を直径3.0mmφの円柱状に押出し、乾燥した後、長さ4〜6mm程度に破砕した。得られた成型体を空気中、800℃で3時間焼成し、酸化チタンとα−アルミナの混合物からなる担体を得た。得られた担体100重量部に、塩化ルテニウム水和物〔NEケムキャット(株)製のRuCl・nHO、Ru含有量40.0重量%〕3.88重量部を純水22重量部に溶解して調製した水溶液を含浸させ、空気雰囲気下、室温で乾燥した。得られた乾燥物を、空気流通下、250℃〜280℃で2時間焼成し、酸化ルテニウムの含有量が2.0重量%である青灰色の担持酸化ルテニウムを得た。
【0033】
(触媒の活性評価)
上記で得られた担持酸化ルテニウム1.0gを直径2mmのα−アルミナ球〔ニッカトー(株)製のSSA995〕12gで希釈し石英製反応管(内径12mm)に充填した。この中に、臭化水素ガスを80ml/min(0.21mol/h)、及び酸素ガスを40ml/min(0.11mol/h)の速度で常圧下に供給し、触媒層の最も温度の高い部分(ホットスポット)が323℃となるように加熱して反応を行った。反応開始1.4時間後の時点で、反応管出口のガスを30重量%ヨウ化カリウム水溶液に流通させることによりサンプリングを20分間行い、ヨウ素滴定法により臭素の生成量を測定し、臭素の生成速度(mol/h)を求めた。この臭素の生成速度と上記の臭化水素の供給速度から、下式より臭化水素の転化率を計算し、表1に示した。
【0034】
臭化水素の転化率(%)=〔臭素の生成速度(mol/h)×2÷臭化水素の供給速度(mol/h)〕×100
【0035】
実施例2
(担持酸化ルテニウム触媒の調製)
実施例1と同様の方法で担持酸化ルテニウムを得た。
【0036】
(触媒の活性評価)
(触媒の活性評価)において触媒の最も温度の高い部分(ホットスポット)が157℃となるようにし、反応開始1.0時間の時点でサンプリングを行った以外は、実施例1と同様の方法で、担持酸化ルテニウムの活性評価を行った。結果を表1に示した。
【0037】
実施例3
(担持酸化ルテニウム触媒の調製)
実施例1と同様の方法で担持酸化ルテニウムを得た。
【0038】
(触媒の活性評価)
(触媒の活性評価)において触媒の最も温度の高い部分(ホットスポット)が206℃となるようにし、反応開始1.0時間の時点でサンプリングを行った以外は、実施例1と同様の方法で、担持酸化ルテニウムの活性評価を行った。結果を表1に示した。
【0039】
比較例1
(担持酸化銅触媒の調製)
特開2008-155199号公報に記載の方法に基づき、チタニア粉末〔昭和タイタニウム(株)製のF−1R、ルチル型チタニア比率93%〕100重量部と有機バインダー2重量部〔ユケン工業(株)製のYB−152A〕とを混合し、次いで純水29重量部、チタニアゾル〔堺化学(株)製のCSB、チタニア含有量40重量%〕12.5重量部を加えて混練した。この混合物を直径3.0mmφのヌードル状に押出し、60℃で2時間乾燥した後、長さ3〜5mm程度に破砕した。得られた成形体を、空気中で室温から600℃まで1.7時間かけて昇温した後、同温度で3時間保持し、酸化チタンからなる担体を得た。この担体10.00gに、塩化銅(II)二水和物〔和光純薬工業(株)製のCuCl・2HO、Cu含有量37重量%〕2.38gを純水2.28gに溶解して調製した水溶液を含浸させ、空気雰囲気下、室温で乾燥した。得られた固体13.04gを、空気流通下、室温から250℃まで1.1時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成し、酸化銅の含有量が10重量%である茶色の担持酸化銅11.66gを得た。
【0040】
(触媒の活性評価)
(触媒の活性評価)において、担持酸化ルテニウムに代えて上記で得られた担持酸化銅を使用し、触媒の最も温度の高い部分(ホットスポット)が331℃となるようにし、反応開始1.3時間の時点でサンプリングを行った以外は、実施例1と同様の方法で、担持酸化銅の活性評価を行った。結果を表1に示した。
【0041】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ルテニウム及びルテニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する触媒の存在下に、臭化水素を酸素により酸化する臭素の製造方法。
【請求項2】
前記触媒が、金属ルテニウム及びルテニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が担体に担持されてなる触媒である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記担体が、酸化チタン、アルミナ及び酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ルテニウム化合物が、酸化ルテニウムである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。

【公開番号】特開2012−200700(P2012−200700A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69447(P2011−69447)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】