説明

舗装構造体

【課題】
嵌合溝を有するペイバーでも、排水性が悪かったり、排水性が良くてもかみ合わせ部がカチカチ音がして快適性に欠けるような舗装構造体しか無かった。
【解決手段】
本発明は、嵌合溝を有する、多数のペイバーで構成される舗装構造体の、嵌入される嵌合溝の溝および溝とその周辺の間にコーキング材などの柔軟な物質を介在させ、施工性が良くて、表面が平滑で、排水性が良くて、弾性がある舗装構造体にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は舗装構造体に関し、道路の歩車道、公園や駅前などの広場、ビル、マンションなどのアプローチを舗装するのに敷設され、施工性に優れていることは勿論、表面の平滑性や強度的にも優れ、雨降りの時の排水性にも優れた舗装構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人通りの多いところや、景観性を重視するような場所では、あらかじめ砕石などの骨材をランマーなどで突き固め、その上に砂を敷きならして平滑にした上にコンクリート製のブロックで製作されたペイバーなどを敷設していた。そしてペイバーの廻りには2ミリから5ミリ程度の隙間を構成して、その目地に砂を落としこんで、ペイバー同士が当接して割れないように工夫をしていた。
【0003】
また、ペイバーに微細な空隙を作り、透水性を持たせるなどの工夫をしていたが、ペイバーを敷設後表面から目地砂を入れる時、どうしても微細な空隙の中に砂が入ってしまい、敷設後すぐに透水性能が大幅に落ちてしまうと言う欠点があった。
【0004】
更には近年、舗装の表面を平滑にするため、ペイバーの側面に噛み合わせ構造を持たせ、施工時に半ブロックずらして施工することで、ペイバー同士が水平に噛み合って、施工が簡単に出来るし、平滑性が大幅にアップした舗装構造体が数多く施工されている。
【0005】
特許文献1では、舗装用のペイバーと同様、その側面の一方に凹部を設け、他方の側面には凸部を設けた、噛み合わせ構造を有し、裏面には溝を有するペイバーであり、敷設には先ず、路盤には砕石を敷設した後に、比較的厚くセメントモルタルを塗布し、セメントモルタルが硬化しない内に、水たまりのできる多数の溝を持った路盤材コンクリートブロックの下部を密封して道路路盤を構成し、その道路路盤の上に無数の穴をあけたプラスチック製の不織布を敷設した上に、前記かみ合わせ構造を有するペイバーを半分ずらして敷設した構造の保水性道路の構造がある。
【0006】
特許文献2では、舗道に使用され、振動低減となる滑り止め用の多数の平行溝をペイバーの上面に設けたペイバー本体の対向する一方の側面に突条部が突設され、他方の側面には、隣接するペイバー本体の前記突条部が嵌入される嵌合溝が設けられた噛み合わせ構造を有し、施工時に前記突条部と前記嵌合溝とによる噛み合わせ構造を半ブロックずらして敷設される舗設される舗設用ペイバーであってペイバー本体上面の複数の平行溝と、隣接する舗設用ペイバーとの間の目地の幅寸法が略等しくなされ、目地部分でのがたつきや振動を軽減させるものがあった。そして、突条部および突条部が嵌合される嵌合溝の断面形状は、略台形をなし、噛み合わせ時には、突条部の上面傾斜面および下面傾斜面と、嵌合溝の内面傾斜面とが相互に面接触する。なお、隣接するペイバー本体の間の目地には、目地砂が充填されるとある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4143558号広報
【特許文献2】特許第3469203号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする課題で、特許文献1に記載の上記ペイバーでは、降雨時に水を極力ペイバーの下部に設けた穴開けのブロックの中に溜める必要があるため、目地砂を使うことを避けている構造となっている。しかしながら、敷き砂や目地砂を使わずに施工すると、欠点として、ペイバーの上を歩くとカチカチと言う音がするのである。この音を気にされない人もいるが、当然気になる人もいるのである。又カチカチと音が鳴るのはペイバー同士が当接している証拠で、当然欠けが発生する。
【0009】
前述のように、透水性能を持たせたペイバーでは、目地砂を入れるためにペイバーの表面に砂を撒いた時点で、透水用の穴が微細であるので目詰まりが直ぐに発生して透水性が無くなるし、ペイバーとペイバーの間に入れた目地砂も上面からの荷重を頻繁に受けていると砂が微粒化して殆んど透水しなくなってしまうと言う欠点があった。
【発明の概要】
【0010】
このように解決しようとする課題は、舗装構造体の施工が簡単で、敷設後その舗装路面の表面が平滑であり、降雨時には排水性が抜群に良くて長期にわたって水たまりも出来ないのは勿論のこと、経年後に基礎の路盤が弱くなっても不同沈下が生じにくいし、歩行時にクッション性があり疲れないと言う、理想的な舗装構造体を提供するための発明である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1では、多数のペイバーで構成される舗装構造体の、個々のペイバー本体の対向する一対の側面の略中央に突条部が突設され、他方の側面の略中央には嵌入される嵌合溝が設けられた嵌合式舗装構造体において、突条部と嵌入される嵌合溝および嵌合溝とその周辺の間にコーキング材などの柔軟な物質を介在させてなる舗装構造体とした。
【0012】
請求項2では、多数のペイバーで構成される舗装構造体の、個々のペイバー本体の対向する一対の側面の略中央に突条部が突設され、他方の側面の略中央には嵌入される嵌合溝が設けられた嵌合式舗装構造体において、縦、横の目地の間にコーキング材などの柔軟な物質を介在させてなる舗装構造体とした。
【0013】
請求項3では、多数のペイバーで構成される舗装構造体の、個々のペイバー本体の対向する一対の側面の略中央に突条部が突設され、他方の側面の略中央には嵌入される嵌合溝が設けられた嵌合式舗装構造体において、縦、横の目地の間に、略鉛直で縦筋条になるように複数個、コーキング材などの柔軟な物質を介在させてなる舗装構造体とした。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、隣接してブロック本体の対向する一方の側面に設けた突条部の上面および下面と、他方の側面に設けた嵌合溝内の上面および下面との間に生じた隙間にコーキング材を介在させることにより、嵌合溝内の上面および下面と、この嵌合溝内に嵌合される突条部の上面および下面との間に生ずる隙間に起因するガタツキを、コーキング材の弾性力により防止できるし、集中荷重がかかっても荷重を分散させることができる。
【0015】
突条部と嵌入される嵌合溝および嵌合溝とその周辺の間にのみ、コーキング材などの弾性のある物質を介在させることにしたのは、もう一方の側は突き合わせのみで、3ミリメートルから7ミリメートルと隙間を大きく開けて、大雨の時ここから瞬時に雨を基礎路盤に排水したいからである。
【0016】
また、嵌合溝のような噛み合わせ構造にのみ、コーキング材などの弾性のある物質を介在させたのは、一番当接面が多く欠けが発生しやすいし、嵌合のような構造でないと、介在物が長年の使用でずれたり外れたりしてしまうからである。
【0017】
嵌合の形状は、台形や半円形など色々と既にあるが、新たにV形や波形などでも良く、限定するものではない。
【0018】
噛み合わせの無い側の突き合わせ側の隙間は、3ミリメートルから7ミリメートル位がころ合いで、この範囲に限定はしないが、雨水をこの溝から排水させるには3ミリメートル以上が適当であるし、7ミリメートル以上になるとハイヒールのカカトが入り込む恐れがあって好ましくないが、敷設される場所によってはこのような条件が必要でない場所もあり、限定されるものではない。また噛み合わせの無い側の目地に多少コーキング材などの弾性のある物質が回り込んでも差しつけえないし、請求項2のように場所によっては、全周にコーキング材などの物質を構成させても良い。
【0019】
ペイバーの厚みは通常は60ミリメートル厚の物が数多く使用されているが、80ミリメートル厚であっても、それ以上の厚みであっても何ら差し支えるものではない。
【0020】
ぺイバーを敷設するための基礎の路盤は、アスファルトの上に不陸調整用の砂を敷設してあったり、砕石を固めた上に砂を敷設してあったり、それらに不織布を必要に応じて介在させても、別のものとの組み合わせてあっても何ら差し支えるものではない。
【0021】
又、ぺイバーに透水性能を持たせた製品が数多く敷設されているが、ペイバーの上から歩行者や自転車などによる荷重がかかった時ペイバー同士が当接して角が欠けることが良くあるので、ペイバーとペイバーの間に砂目地を入れるのが一般的な施工法である。ところが、最近ペイバーに透水性を持たせる要求が多く、透水性を持たせるために構成した細かい空隙が、砂目地を入れた時ふさがれてしまう。透水性能を持たせたペイバーも砂目地を入れる施工法では、透水性を維持することは最初から困難なのである。
【0022】
請求項2では、請求項1では噛み合わせ部のみに柔軟な物質を介在させることにしたが、水の排水性よりもペイバー同士が当接して角が欠けるのを防ぐことに重点を置くような現場、例えば歩行者が数多く通行したり、車両等が走行するような場所では、側面となる面の全ての空間にコーキング材などの柔軟な物質を介在させてなる舗装構造体が良いとした。 突条部と嵌入される嵌合溝の噛み合わせ面に介在させた部分とそうでない部分が一体となっているので、先に述べた脱落などの現象は多少は少なくなるのである。
【0023】
そして舗装面全体として透水性を持たせる方法として、縁石の近くなど荷重が余りかからないような部分で、コーキング材などの柔軟な物質を介在させないで敷設するようにすれば、全体として排水性も確保できるので、バランスのとれた敷設構造体となる。
【0024】
請求項3は、請求項1では噛み合わせ部のみに柔軟な物質を介在させることにしたが、水の排水性よりもペイバー同士が当接して角が欠けるのを防ぐことに重点を置くような現場、例えば歩行者が数多く通行したり、車両等が走行するような場所では、請求項2以外に、側面となる面の全ての間に鉛直で帯状に複数個、コーキング材などの柔軟な物質を介在させてなる舗装構造体も良いとした。
【0025】
鉛直で帯状に複数個、コーキング材などの柔軟な物質を介在させてなる舗装構造体とすることで、基礎路盤に対して水の排水性をあまり落さずに、噛み合わせ部の部分に緩衝効果が充分に期待できる舗装構造体となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の舗装構造体の敷設状態の斜視図である。
【図2】通常の舗装構造体の敷設状態の断面図。
【図3】本発明の舗装構造体の敷設状態の断面図。
【図4】本発明の一般的な嵌合状態の部分拡大断面図。
【図5】本発明の嵌合状態の事例1の部分拡大断面図。
【図6】本発明の嵌合状態の事例2の部分拡大断面図。
【図7】本発明の嵌合状態に鉛直にコーキング材などの柔軟な物質を介在させた敷 設状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に従って本発明を実施するための形態につき、詳細に説明する。
【0028】
図1の舗装構造体に使用されるペイバー1の敷設状態の斜視図において、本実施形体は、ペイバー本体突条部2と嵌合溝3を噛み合わせる時に、ペイバー1の突条部2と他方の側面に設けた嵌合溝3との間に生じた隙間にコーキング材9を介在させることにより、この嵌合溝内に嵌合される突条部2との間に生ずる隙間に起因するガタツキをコーキング材の弾性力により、当接による欠けを防止できるし、集中荷重がかかっても荷重を分散させることが出来る。4は横目地、5は縦目地である。
【0029】
図2の舗装構造体の敷設状態の断面図おいては、施工時に、路面を一定の深さまで切削した路床の上に砂利、または砕石8を敷き詰め、ランマーなどで突き固めたこの路盤基礎の上に例えば不織布7のような透水シート部材を敷設し、この路盤層の上部に砂層を配置してサンドクッション6とし、そのサンドクッション6の上に透水性ペイバーを敷設することにより、使用数年を経たり、降雨量が多くなると、透水性ペイバーを支持しているサンドクッション6の砂が流出したり、大きな荷重が透水性ペイバーに加わることにより、透水ペイバーは不同沈下し、透水性ペイバー相互の上面には、段差や不陸を生じてしまうこととは異なり、本実施形態では、透水性のシート部材を通じて下面の路盤基礎材には雨水は均一に分散して速やかに浸透するため、構造堅牢な仕上がりになる。
【0030】
図3の通常の舗装構造体に使用されるペイバー1の敷設状態の断面図おいては、隣接してペイバーを敷設するのに際して前記突条部2を前記嵌合溝3内に噛み合わせとの間に生じた隙間に、コーキング材などの弾性のある物質を介在させたり、更にはゴムまたは合成樹脂のような弾性素材により形成された緩衝部材を介在させ、前記緩衝部材はU字状をなして前記突条部2や嵌合溝に嵌着される構成となしていてもよい。 この際、使用されるゴムとしては、例えばシリコンゴム、天然ゴム、クロロピレンゴムがあり、また、合成樹脂としては、例えばポリオレフィン樹脂が挙げられるが、これらは例示であり、これに限定されるものではない。
【0031】
図4の本発明の嵌合状態の拡大断面図おいて、突条部2や嵌合溝3の形状は色々と考えられるが、隙間が殆んどないようにしようとしても、製作や施工時の遊びが必要であり、どうしても隙間が存在するので、その隙間に緩衝材を挿入するとカチカチと音が鳴ったり、ペイバー同士が当接することが無くなるのである。
【0032】
図5の本発明のその他事例1の嵌合状態の拡大断面図において、略V字形の形状は、舗装表面からの荷重に対して強く受け止められるが、舗装路面の傾斜への対応がやりにくい。しかし隙間に緩衝材を挿入する本発明を利用すると、隙間を楽に埋められるので、当接したり欠けたりするのを無くすことができるのである。
【0033】
図6の本発明のその他事例2の嵌合状態の拡大断面図おいて、勘合部の形状を略波形とすると、接触面積が大幅に上げることができるのでよいが、これも舗装路面の傾斜に対しての対応力に欠ける。舗装表面の傾斜に対して出来る隙間に、緩衝材を挿入する本発明を利用すると、隙間を楽に埋められるので、当接して欠けたりすることを無くすことができるのである。
【0034】
図7の本発明の嵌合状態に鉛直で帯状にコーキング材12などの柔軟な物質を介在させた敷設状態の断面図にあるように、鉛直で帯状に複数個、コーキング材などの柔軟な物質を介在させてなる舗装構造体とすることで、基礎路盤に対して水の排水性をほとんど落さずに、噛み合わせ部の部分に緩衝効果が充分に期待できる舗装構造体となる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、ペイバー本体の対向する辺の一方の側面に設けた突条部と、他方の側面に設けた嵌合溝とよりなる噛み合わせが良くて、施工性に優れていることは勿論、ペイバー相互の上面の平滑度が充分であり、また、施工現場毎にペイバー相互間の目地間隙も均一であり、敷設後にも雨水などにより路盤基礎が弱くなって不同沈下することが少なく、排水性が良いにもかかわらず、長期にわたり構造堅牢な仕上がりになるので、多用途に使用できる。
【符号の説明】
【0036】
1 ペイバー
2 突条部
3 嵌合溝
4 横目地
5 縦目地
6 目地砂
7 不織布
8 砕石
9 コーキング材
10 V形嵌合
11 波形嵌合
12 帯状コーキング材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のペイバーで構成される舗装構造体の、個々のペイバー本体の対向する一対の側面の略中央に突条部が突設され、他方の側面の略中央には嵌入される嵌合溝が設けられた嵌合式舗装構造体において、突条部と嵌入される嵌合溝および嵌合溝とその周辺の間にコーキング材などの柔軟な物質を介在させてなる舗装構造体。
【請求項2】
多数のペイバーで構成される舗装構造体の、個々のペイバー本体の対向する一対の側面の略中央に突条部が突設され、他方の側面の略中央には嵌入される嵌合溝が設けられた嵌合式舗装構造体において、縦、横の目地の間にコーキング材などの柔軟な物質を介在させてなる舗装構造体。
【請求項3】
多数のペイバーで構成される舗装構造体の、個々のペイバー本体の対向する一対の側面の略中央に突条部が突設され、他方の側面の略中央には嵌入される嵌合溝が設けられた嵌合式舗装構造体において、縦、横の目地の間に、略鉛直で帯状に複数個、コーキング材などの柔軟な物質を介在させてなる舗装構造体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−177231(P2012−177231A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39652(P2011−39652)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(503373377)ワンダー技研有限会社 (24)
【Fターム(参考)】