説明

舗装用ブロック及び太陽光発電システム

【課題】歩行者等の荷重が太陽光発電素子に加わり難い舗装用ブロック及び前記舗装用ブロックを備えた太陽光発電システムを提供する。
【解決手段】舗装用ブロック10Aは、舗装用ブロック本体1と、舗装用ブロック本体1の上面に互いに間隔を空けて設置された複数の保護部材2,2と、隣り合う保護部材2,2の間において、舗装用ブロック本体1の上面に設置され、太陽光を受光して発電する太陽光発電素子3と、を備える。保護部材2の上面2aは、太陽光発電素子3の上面3aよりも上に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装用ブロック及び太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化問題や化石燃料の枯渇問題への関心の高まりから、発電時に二酸化炭素が発生せず、太陽光という半永久的なエネルギーを利用する太陽光発電が注目されている。太陽光発電は様々な場所で用いられており、例えば、特許文献1には、歩道、公園の広場及び園路等の舗装面を形成する舗装用ブロックに、太陽光発電素子を設置した発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−118887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記特許文献1に記載の発明では、太陽光発電素子の上面が、舗装用ブロックの上面から露呈しているとともに、舗装用ブロックの上面と面一になっているため、舗装用ブロック上を通行する歩行者や自転車等が太陽光発電素子に接触して、歩行者等の荷重が太陽光発電素子に加わり易く、太陽光発電素子に損傷を与える虞があった。
【0005】
本発明は、このような観点から創案されたものであり、歩行者等の荷重が太陽光発電素子に加わり難い舗装用ブロックを提供することを課題とする。
また、前記舗装用ブロックを備えた太陽光発電システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る舗装用ブロックは、舗装用ブロック本体と、前記舗装用ブロック本体の上面に互いに間隔を空けて設置された複数の保護部材と、隣り合う前記保護部材の間において、前記舗装用ブロック本体の上面に設置され、太陽光を受光して発電する太陽光発電素子と、を備えた舗装用ブロックであって、前記保護部材の上面は、前記太陽光発電素子の上面よりも上に位置することを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、太陽光発電素子が隣り合う保護部材の間に設置されるとともに、保護部材の上面が太陽光発電素子の上面よりも上に位置することによって、歩行者等が太陽光発電素子よりも保護部材に接触し易くなるため、歩行者等の荷重が保護部材に加わり易くなり、太陽光発電素子に加わり難くなる。
【0008】
また、前記太陽光発電素子が発電した電力を、隣接配置される他の舗装用ブロックに伝達するための電力伝達端子をさらに備え、前記電力伝達端子は、前記舗装用ブロック本体の一方の側面に正極が設置され、前記一方の側面と反対側の側面に負極が設置されているように構成するのが好ましい。
【0009】
かかる構成によれば、複数の舗装用ブロックを敷設するときに、発電した電力を回収するための電力線を、各舗装用ブロックに夫々接続する必要がないため、使用する電力線の数を低減して、設置スペースの縮小化を図ることができる。
【0010】
また、前記太陽光発電素子の上面に設置され、太陽光を透過する材料で形成された被覆部材をさらに備え、前記保護部材の上面は、前記被覆部材の上面よりも上に位置するように構成するのが好ましい。
【0011】
かかる構成によれば、雨、塵埃等から太陽光発電素子を保護しつつ、太陽光発電素子に太陽光を受光させることができる。また、歩行者等が太陽光発電素子に接触し難くなる。
【0012】
本発明に係る太陽光発電システムは、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の舗装用ブロックを複数並設して構成された太陽電池ユニットと、前記太陽電池ユニットの前記太陽光発電素子が発電した直流電力を交流電力に変換し、負荷及び/又は商用電力系統に供給する変換手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、太陽光発電素子を備えた舗装用ブロックを複数並設して、太陽電池ユニットを構成することによって、歩道等を有効活用した太陽光発電を実現することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、歩行者等の荷重が太陽光発電素子に加わり難い舗装用ブロック及び前記舗装用ブロックを備えた太陽光発電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る舗装用ブロックを備えた太陽光発電システムの概略構成図である。
【図2】実施形態に係る舗装用ブロックの斜視図である。
【図3】実施形態に係る舗装用ブロックの側面図である。
【図4】図1のX−X線断面図である。
【図5】変形例に係る舗装用ブロックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
なお、本実施形態では、本発明の舗装用ブロックを、歩道に適用する場合について説明するが、舗装用ブロックの使用目的を限定するものではない。
【0017】
図1は本発明の実施形態に係る舗装用ブロックを備えた太陽光発電システムの概略構成図である。
図1に示すように、太陽光発電システムPSは、太陽電池ユニット10と、変換手段20と、蓄電手段30と、分電盤40と、負荷50と、商用電力系統60と、電力線70a−70iと、逆流防止ダイオード80と、を主に備えている。
なお、歩道Sは、太陽電池ユニット10と、横方向(歩道Sの幅方向)に互いに間隔を空けて配置された複数の縁石C,Cと、から主に構成されている。
【0018】
太陽電池ユニット10は、太陽光を受光して発電する機能を有する。太陽電池ユニット10は、複数の舗装用ブロック10A,10Aを、縦横方向に並設して構成されている。太陽電池ユニット10の舗装用ブロック10Aは、縦方向(歩道Sの長さ方向)の同一列ごとに直列接続されており、各列の端部に位置する舗装用ブロック10Aには、電力線70a−70dが夫々接続されている。複数の電力線70a−70dは、図示しない接続箱によって、一本の電力線70eにまとめられている。舗装用ブロック10Aの詳細な構成は、後記する。
【0019】
変換手段20は、太陽電池ユニット10が発電した直流電力を交流電力に変換し、負荷50や商用電力系統60に供給する機能を有する。変換手段20は、例えば、パワーコンディショナやインバータ等で構成されており、電力線70a−70eを介して太陽電池ユニット10に接続している。
【0020】
蓄電手段30は、発電した電力を蓄電する機能を有する。蓄電手段30に蓄電された電力は、夜間や商用電力系統60が停電した場合等に使用される。蓄電手段30は、例えば、電気二重層コンデンサや二次電池等で構成されており、電力線70a−70fを介して太陽電池ユニット10に接続している。
【0021】
分電盤40は、変換手段20と商用電力系統60との結節点になるとともに、発電した電力や商用電力系統60から送電されてきた電力を、負荷50(例えば、屋内外の電気機器等)に分配する機能を有する。分電盤40は、電力線70g−70iを介して、変換手段20、負荷50及び商用電力系統60に夫々接続している。
【0022】
逆流防止ダイオード80は、変換手段20に送られた電力や蓄電手段30に蓄電された電力が、太陽電池ユニット10に逆流するのを防止する機能を有する。逆流防止ダイオード80は、太陽電池ユニット10と、変換手段20及び蓄電手段30との間に設置されている。なお、太陽光発電システムPSの適所には、太陽電池ユニット10から送られてくる電圧が蓄電手段30の許容電圧を超えたときに、蓄電を遮断する過電圧保護回路が設置されてもよいし、蓄電電圧を常時一定に保持する電圧安定化回路が設置されてもよい。
【0023】
図2は実施形態に係る舗装用ブロックの斜視図であり、図3は実施形態に係る舗装用ブロックの側面図であり、図4は図1のX−X線断面図である。
図2に示すように、舗装用ブロック10Aは、舗装用ブロック本体1と、舗装用ブロック本体1の上面に互いに間隔を空けて設置された複数の保護部材2,2と、隣り合う保護部材2,2の間において舗装用ブロック本体1の上面に設置された複数の太陽光発電素子3,3と、太陽光発電素子3の上面3aに沿って設置された複数の被覆部材4,4と、舗装用ブロック本体1の両側面に設置された電力伝達端子5(図4参照)と、を主に備えている。
【0024】
舗装用ブロック本体1は、保護部材2や太陽光発電素子3等を支持するためのコンクリート製の部材である。本実施形態の舗装用ブロック本体1は、平面視矩形状を呈するが、例えば、平面視正方形状、平行四辺形状、菱形状、三角形状等に形成されてもよい。
【0025】
保護部材2は、歩行者や自転車等の荷重が太陽光発電素子3に加わるのを防止するためのコンクリート製の部材である。保護部材2は、壁状を呈しており、舗装用ブロック本体1の長手方向(一方向)に沿って、等しい間隔を空けて設置されている。保護部材2の上面2aは、図3に示すように、太陽光発電素子3の上面3aや被覆部材4の上面4aよりも上に位置している。なお、隣り合う保護部材2,2の間隔G(図3参照)は、適宜設定してよく、例えば10mm〜100mmの範囲内に設定されることが好ましく、より好ましくは50mm以下に設定されるとよい。また、保護部材2の数や幅寸法等は、適宜設定してよいし、保護部材2は、舗装用ブロック本体1と一体又は別体で構成されてもよい。
【0026】
太陽光発電素子3は、太陽光を受光して発電する部材である。太陽光発電素子3は、その光電変換層が、例えば、シリコン系半導体層、化合物系半導体層又は有機系半導体層等からなる公知の太陽光発電素子の中から適宜選択して用いることができる。太陽光発電素子3と保護部材2とは、舗装用ブロック本体1の長手方向に沿って、交互に設置されている。
【0027】
被覆部材4は、雨や塵埃等から太陽光発電素子3を保護するとともに、歩行者や自転車等が太陽光発電素子3に接触するのを防止するための部材である。被覆部材4は、例えば、ガラス、強化ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂等の太陽光を透過する材料で形成されている。
【0028】
電力伝達端子5は、隣接配置される他の舗装用ブロック10Aに、電力を伝達するための部材である。電力伝達端子5は、図2及び図4に示すように、舗装用ブロック本体1の短手方向両側面に設置されており、一方の側面には正極5aが設置され、一方の側面と反対側の側面には負極5bが設置されている。電力伝達端子5は、導線6を介して、太陽光発電素子3に接続している。また、縦方向の同一列の舗装用ブロック10A,10Aは、電力伝達端子5,5同士が接触するように並設されている。
【0029】
本発明の実施形態に係る舗装用ブロック10Aは、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、図1乃至図4を参照して、本実施形態に係る舗装用ブロック10Aを備えた太陽光発電システムPSの動作について説明する。
【0030】
まず、太陽電池ユニット10が太陽光を受光すると、各舗装用ブロック10Aの太陽光発電素子3から電力が発生する。そうすると、発生した電力が、導線6及び電力伝達端子5を介して、隣接配置された他の舗装用ブロック10Aに伝達される(図1及び図4参照)。本実施形態では、発生した電力が、縦方向(図1の白抜き矢印で示す方向)に伝達されていく。
【0031】
そして、発生した電力の一部は、電力線70a−70fを介して、蓄電手段30に蓄電される。蓄電手段30に蓄電された電力は、例えば、夜間に、歩道Sに沿って設置された街路灯等に供給される。
また、発生した電力の一部は、電力線70a−70e,70gを介して、変換手段20及び分電盤40に送られた後に、電力線70hを介して負荷50に供給される。なお、余剰電力は、商用電力系統60を介して、電力会社に売電されてもよい。
【0032】
以上説明した本実施形態に係る舗装用ブロック10Aによれば、太陽光発電素子3が隣り合う保護部材2,2の間に設置されるとともに、保護部材2の上面2aが太陽光発電素子3の上面3a及び被覆部材4の上面4aよりも上に位置することによって、歩行者や自転車等が太陽光発電素子3及び被覆部材4よりも保護部材2に接触し易くなるため、歩行者等の荷重が保護部材2に加わり易くなり、太陽光発電素子3に加わり難くなる。
【0033】
また、太陽光発電素子3が発電した電力を、隣接配置される他の舗装用ブロック10Aに伝達するための電力伝達端子5を備えることによって、発電した電力を回収するための電力線を、各舗装用ブロック10Aに夫々接続する必要がないため、使用する電力線の数を低減して、設置スペースの縮小化を図ることができる。
【0034】
また、太陽光を透過する材料で形成された被覆部材4が、太陽光発電素子3の上面3aに設置されることによって、雨、塵埃等から太陽光発電素子3を保護しつつ、太陽光発電素子3に太陽光を受光させることができる。また、歩行者等が太陽光発電素子3に接触し難くなる。
【0035】
さらに、本実施形態に係る舗装用ブロック10Aを備えた太陽光発電システムPSによれば、複数の舗装用ブロック10A,10Aから構成される歩道Sを有効活用した太陽光発電を実現することができる。
【0036】
以上、本発明について、好適な実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
本実施形態では、本発明の舗装用ブロック10Aを歩道Sに適用したが、これに限定されるものではなく、例えば、通路、道路、公園の広場及び園路等に適用してもよい。
【0037】
また、本実施形態の舗装用ブロック10Aは、縦方向の同一列ごとに直列接続したが、これに限定されるものではなく、例えば、横方向の同一列ごとに直列接続してもよい。この場合には、電力伝達端子5は、舗装用ブロック本体1の長手方向両側面に設置される。
【0038】
また、本実施形態の保護部材2、太陽光発電素子3及び被覆部材4は、縦方向に平行となるように延在しているが、これに限定されるものではなく、縦方向に交差(直交)するように延在してもよい。
【0039】
また、本実施形態では、保護部材2は、舗装用ブロック本体1の短手方向に沿って形成されているが、これに限定されることなく、例えば、図5に示すような格子状に形成されてもよい。すなわち、保護部材2は、舗装用ブロック本体1の短手方向に沿って延在する複数の第一保護部21,21と、当該第一保護部21,21に交差(直交)し舗装用ブロック本体1の長手方向に沿って延在する第二保護部22,22と、から構成されてもよい。かかる構成によると、歩行者の足や自転車の車輪等が、隣り合う第一保護部21,21との間に入り込むのを防止できるため、歩行者等の荷重が太陽光発電素子3に一層加わり難くなる。なお、隣り合う第一保護部21,21の間隔、隣り合う第二保護部22,22の間隔、第一保護部21及び第二保護部22の数や幅寸法等は、適宜設定してよい。
【0040】
また、本実施形態では、複数の太陽光発電素子3を設置したが、これに限定されるものではなく、互いに間隔を空けて設置された一対の保護部材2,2の間に、単一の太陽光発電素子3を設置する構成であってもよい。
【0041】
また、本実施形態では、被覆部材4を設置したが、これに限定されるものではなく、被覆部材4を省略してもよい。
【0042】
また、本実施形態に係る舗装用ブロック10Aを備えた太陽光発電システムPSは、蓄電手段30を備えているが、これに限定されるものではなく、蓄電手段30を省略してもよい。
【符号の説明】
【0043】
PS 太陽光発電システム
10 太陽電池ユニット
10A 舗装用ブロック
1 舗装用ブロック本体
2 保護部材
2a 上面
3 太陽光発電素子
3a 上面
4 被覆部材
4a 上面
5 電力伝達端子
5a 正極
5b 負極
6 導線
20 変換手段
30 蓄電手段
40 分電盤
50 負荷
60 商用電力系統
70a−70i 電力線
80 逆流防止ダイオード
S 歩道
C 縁石
G 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装用ブロック本体と、
前記舗装用ブロック本体の上面に互いに間隔を空けて設置された複数の保護部材と、
隣り合う前記保護部材の間において、前記舗装用ブロック本体の上面に設置され、太陽光を受光して発電する太陽光発電素子と、
を備えた舗装用ブロックであって、
前記保護部材の上面は、前記太陽光発電素子の上面よりも上に位置することを特徴とする舗装用ブロック。
【請求項2】
前記太陽光発電素子が発電した電力を、隣接配置される他の舗装用ブロックに伝達するための電力伝達端子をさらに備え、
前記電力伝達端子は、前記舗装用ブロック本体の一方の側面に正極が設置され、前記一方の側面と反対側の側面に負極が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の舗装用ブロック。
【請求項3】
前記太陽光発電素子の上面に設置され、太陽光を透過する材料で形成された被覆部材をさらに備え、
前記保護部材の上面は、前記被覆部材の上面よりも上に位置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の舗装用ブロック。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の舗装用ブロックを複数並設して構成された太陽電池ユニットと、
前記太陽電池ユニットの前記太陽光発電素子が発電した直流電力を交流電力に変換し、負荷及び/又は商用電力系統に供給する変換手段と、を備えたことを特徴とする太陽光発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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