説明

航空機の着陸装置

航空機に取り付けるバネ入り部と、スライダ及び少なくとも1つの車輪を担持する車軸を含む非バネ入り部とを有し、前記車輪は歯付きリングギアを有する、衝撃吸収主脚と、前記主脚の前記バネ入り部または前記非バネ入り部の外部に取り付けられ、少なくとも1つのモータと前記車輪の前記歯付きリングに噛み合う駆動ピニオンとを有する、伝動装置と、前記伝動装置を持ち上げて前記歯付きリングギアと駆動係合したり、当該駆動係合を解除したりし、かつ地上走行運転中に前記着陸装置が撓むので、前記駆動係合を維持するためのアクチュエータとを有する、航空機着陸装置を開示する。また、航空機着陸装置の動作方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の着陸装置であって、衝撃を吸収するための主脚を有し、前記主脚は、航空機に取り付けるバネ入り部と、スライダ及び少なくとも1つの車輪を担持する車軸とを備えた非バネ入り部とを含む、航空機着陸装置に関する。特に、本発明は、航空機が地上にある間に車輪を回転させるための駆動部に関する。さらに、本発明は、着陸装置を動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大部分の航空機は、自らの主エンジンによる推進力を使って地上走行する。地上走行速度は比較的低速であるので、エンジンは低い出力で駆動しなくてはならない。このことは、このような低い前進速度では推進効率が低くなるので、比較的大量の燃料が消費されることを意味する。このことは、空港周辺の局所的な大気汚染と騒音公害の増大につながる。エンジンを低出力で駆動するときであっても、過度な地上走行速度にならないようにするために、車輪にブレーキをかけることが概して必要であり、このことにより、特に、ブレーキは離陸前に冷たくなる傾向があるので、ブレーキの磨耗の程度が激しくなる。また、民間航空機は、主エンジンを用いて後進させることは許されていない点にも留意すべきである。
【0003】
近年では、航空機が地上にある間、車輪を駆動させるための、いくつかの自律地上走行システムが提案されている。自律地上走行システムのいずれの利点も、地上走行システムの余計な質量を伴って飛行する航空機の航空業者にとっては燃料費を考慮しなくてはならない。このことは、装備されるシステムの質量を絶対的に小さくすることが唯一現実的な解決方法である、ということを意味する。近年の自律地上走行システムへの関心は、駆動モータを着陸装置の車輪軸に装備することに集中してきた。こうした提案のシステムには、いくつかの潜在的な欠点がある。
【0004】
ブレーキは航空機の主着陸装置の車輪内に装備されるから、その部位が非常に密集するので、駆動モータを主着陸装置の車輪軸に装備するのが困難である。したがって、提案されているこれらのシステムの開発は、概して前脚着陸装置に限られてきた。前脚着陸装置には、地上走行運転中に垂直荷重が少し(航空機の重量の約5%)しかかからないので、車輪を駆動するときの車輪と走行面との間の静止摩擦問題を招くことになる。これは、特に、航空機の重心が後部寄りにあるときや、地表が濡れていたり凍結していたりして滑りやすいときに該当する。
【0005】
大部分の着陸装置は、航空機に取り付けるバネ入り部と、車輪を担持する非バネ入り部とを備えた、衝撃吸収主脚を有している。車輪軸(すなわち、着陸装置の非バネ入り部)に取り付けられるいかなる駆動システムも、着陸装置の非バネ入り部の質量を増加させる。着陸装置の非バネ入り部の質量の増加は、着陸装置及び航空機の構造にとって高い荷重を誘発するので、動的応答の観点から好ましくない。これらの荷重の増加を支持するためには、着陸装置及び/または航空機の構造を著しく強化する必要がある。さらに、着陸装置の非バネ入り構成要素は、バネ入り部分と比べて極めて高い振動荷重と加速度荷重とを受ける。たとえば、バネ入り部の加速度は約3.5Gから5Gであり、一方で非バネ入り部の加速度は約50Gから60Gである。よって、非バネ入り部に固定して取り付けられる駆動システムは、きわめて堅牢であることが求められる。これは、質量の最適化解決法にはなりそうもない。
【0006】
さらに、車輪軸と同軸に設けられるいかなる駆動システムも、取り外しが容易ではない。このことはメンテナンスの目的上重要視されるが、それだけでなく、地上走行がほとんどの時間を占めるような短距離範囲での航空機運用にとっては、自律地上走行システムは軽量でなければ利点が見出せないということを研究により確かめた。それゆえ、航空機を長距離運用する場合でも経済性を最適化できるようにするためには、自律地上走行システム装置の大部分を迅速に航空機に装着、または取り外しできることが望ましい。これは、車輪軸と同軸に据え付けられる駆動システムにとっては一般に不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許3,762,670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1には、航空機が地上にある間に車輪を駆動するために、着陸装置の車輪のタイヤ周辺と摩擦駆動係合するように配置された一対のドラム部材を備えた、着陸装置の車輪駆動システムが開示されている。このドラム部材は、回転軸上に取付けられ、この回転軸にギア機構を介してモータが接続される。これらの部分の重量のほとんどは、着陸装置の主脚のバネ入り部で支持される。この文献では、従来の車軸が取り付けられる車輪駆動システムの幾つかの欠点に対処しているものの、航空機を動かすのに必要なタイヤのローラー圧力は、タイヤの表面が容認できないほどに高いダメージを受けるとみなされる。これに加えて、ドラム部材を担持する軸は、屈曲するような高い荷重がかかるため、大型化する必要があるか、さもなければ金属疲労することになる。よって、このような設計も、実用化に必要な質量の最適化解決法にはなりそうもない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様にて提供される航空機着陸装置は、航空機に取り付けるバネ入り部と、スライダ及び少なくとも1つの車輪を担持する車軸を含む非バネ入り部とを有し、車輪は歯付きリングギアを有する、衝撃吸収主脚と、当該主脚の前記バネ入り部または前記非バネ入り部の外部に取り付けられ、少なくとも1つのモータと車輪の歯付きリングギアに噛み合う駆動ピニオンとを有する、伝動装置と、当該伝動装置を持ち上げて歯付きリングギアと駆動係合させたり、当該駆動係合を解除したりし、かつ地上走行運転中に前記着陸装置が撓むので、駆動係合を維持するアクチュエータとを有する。
【0010】
本発明の別の態様では、第1の態様における航空機着陸装置の動作方法が提供され、この動作方法は、モータに動力を供給して車輪を回転させるステップと、着陸装置が地上走行運転中に撓むので、歯付きリングを介して伝動装置を車輪に係合させるステップとを有する。
【0011】
本発明は、航空機と着陸装置の基本構造(駆動車輪を有さない従来の着陸装置を備えた航空機)に与える影響が少ない、質量最適化解決方法の可能性を提供し得るという点で有利である。本発明の着陸装置は、伝動装置も外部に取り付けるので、従来の着陸装置をほとんど変更せずにすむ。車輪の歯付きリングと噛み合い係合する駆動ピニオンを用いることで、車輪のタイヤを損傷することなく、確実な駆動係合が確保され、駆動トルクの伝達経路が最適化される。着陸時に車輪に非常に高い加速度がかかる場合には、アクチュエータを用いて伝動装置を車輪から離脱させる必要がある。地上荷重に応じて着陸装置はいくらか撓むので、アクチュエータがこの動作中に駆動係合を維持できることが重要である。
【0012】
好ましくは、伝動装置は、主脚に着脱自在に取り付ける。従って、伝動装置は、メンテナンスのために、及び/または、伝動装置を用いることが航空機の巡航にその重量ペナルティのために経済的でなくなるような長距離運用に航空機を用いる場合に取り外すことができる。
【0013】
着陸装置は、さらに、主脚のバネ入り部または非バネ入り部に枢動可能に取り付けられる関節機構を有し、この関節機構は、アクチュエータに接続されて伝動装置を支持する。
【0014】
関節機構の枢動軸は、前記主脚に対して傾くように構成することができる。これは、たとえば、伝動装置を支持する主脚の取付け位置に球面軸受けまたはフレキシブル軸受けを用いて達成することができる。これにより、タイヤの撓みや地表の凹凸に起因して車輪の回転軸が鉛直面に対しロールするので、駆動係合を確実に維持することができる。
【0015】
歯付きリングと駆動ピニオンは、関連する整合追従子面を有する。これらの追従子の表面は、アクチュエータが駆動ピニオンを歯付きリングと噛み合い係合するように押し付けたときに一体となり、2つのギアの方向を互いに相対的に制御するように作用する。これも、駆動係合を維持できるようにするのに役立つ。
【0016】
駆動ピニオンは、等速ジョイントを有してもよい。このことによっても、駆動係合は確実に維持される。
【0017】
駆動ピニオンと歯付きリングは、密閉環境内に設けてもよい。これには、ギアの耐久寿命に影響を及ぼす周囲環境瓦礫などからの汚染に対して保護する。たとえば、ブラシタイプのシール、または、柔軟で、できればPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)タイプのランニングシールを用いることができる。
【0018】
着陸装置は、少なくとも2つの駆動可能な車輪を有するとよい。その場合、車輪はそれぞれ歯付きリングギアを備え、伝動装置はそれぞれ歯付きリングの1つに噛み合う2つの駆動ピニオンを備えるとよい。伝動装置は、それぞれ駆動ピニオンの1つを駆動する2つのモータを有するとよい。代わりに、伝動装置はモータと駆動ピニオンとの間に接続される差動駆動手段を有してもよい。
【0019】
歯付きリングは、車輪ハブの外径に配置することができる。歯付きリングは、ハブと一体化してもよいし、取り付けてもよい。
【0020】
モータは、電動モータとすることができる。代わりに、油圧モータとし、たとえば、ラジアル・ピストン型のものとすることができる。
【0021】
伝動装置は、歯付き駆動ベルトを有することができる。これにより、軽量かつ小型のギア手段が提供される。
【0022】
歯付きリングは、好ましくは、駆動ピニオンより大きい直径を有し、ギア比を増大させるトルクを生成するとよい。こうして大径のハブを用いることで、質量の最適化解決法を達成できる。
【0023】
伝動装置は主脚のバネ入り部の外部に取り付けることができ、アクチュエータは、地上走行運転中に主脚のバネ入り部及び非バネ入り部が互いに相対的に動くので、駆動ピニオンと歯付きリングとの駆動係合を維持するように適合させる。これは、着陸装置の非バネ入り部の質量が基本構造の着陸装置とほとんど代わらないので、特に有利である。
【0024】
代わりに、伝動装置を主脚の非バネ入り部に取り付けることができる。たとえば、伝動装置は、スライダ及び/または車軸に取り付けることができる。ボギー付きの着陸装置の場合には、伝動装置を追加的にまたは代替的に、ボギーに取り付けることができる。着陸装置の非バネ入り部の質量は伝動装置を取り付けることで増加するが、伝動装置は、たとえば、適合する取付け手段を設けることにより、着陸装置の非バネ入り部が受ける高い振動と加速度から部分的に隔離することができる。
【0025】
航空機に組み込む場合に、着陸装置は、伝動装置に動力を供給するとともに伝動装置の動作を制御するための動力供給制御システムとともに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の実施形態における着陸装置を示す図である。
【図2】伝動装置を示す図である。
【図3】図2の伝動装置の分解図を示す図である。
【図4】着陸装置に装備される伝道装置の部分分解図を、明確化のために一方のタイヤを省いた状態で示す図である。
【図5】第2の実施形態における伝動装置を示す図である。
【図6】着陸装置に装着された第3の実施形態における伝動装置を、明確化のために一方のタイヤを省いた状態で示す図である。
【図7】図6の伝動装置の分解図を示す図である。
【図8a)】第4の実施形態における伝動装置を示す図である。
【図8b)】第5の実施形態における伝動装置を示す図である。
【図9a)】第6の実施形態における着陸装置の背面図を模式的に示す図である。
【図9b)】第6の実施形態における着陸装置の側面を、伝動装置に係合させた状態で模式的に示す図である。
【図9c)】第6の実施形態における着陸装置の側面を、伝動装置を離脱させた状態で模式的に示す図である。
【図10】リングギアが径方向内向きの歯を有する、第6の実施形態の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、第1の実施形態における着陸装置1を示す。着陸装置1は衝撃を吸収する伸縮自在の主脚2を有し、この主脚2は、上部の伸縮部2a(メイン・フィッティング)と下部の伸縮部2b(スライダ)とを有する。上部の伸縮部2aは、不図示の上端部にて航空機の残りの部分に取り付けられる。下部の伸縮部2bは、主脚2の両側に1つずつの一対の車輪を担持する車輪軸を支持する。車輪3a、3bは、主脚2に対し共通の車輪軸4の周りを回転するように取り付けられる。上部の伸縮部2aは、主脚内側部の衝撃吸収コンポーネント上に配置され、それゆえ以下では、「バネ入り部」(sprung part)と称される。下部伸縮部2bは、衝撃吸収コンポーネントの下に配置され、それゆえ以下では、便宜的に、「非バネ入り部」(un-sprung part)と称する。
【0029】
車輪3a、3bは、それぞれ、ハブ6a、6bにより支持されるタイヤ5a、5bを有する。歯付きリングギア7a、7bは、各ハブ6a、6bの外径に取り付けられる(図4も参照)。リングギア7a、7bの歯は、径方向外向きに向いている。着陸装置1は、さらに、主脚2におけるバネ入り部2aの外側に取り付けられる伝動装置8を有する。伝動装置8は、関節機構9により支持される(図2参照)。関節機構9は、第1のアーム10aと第2のアーム10bを有するエルボークランク10を有する。エルボークランク10のアーム10a、10bは、ヒンジ点11の両側に鈍角で設けられる。ヒンジ点11は、主脚2のバネ入り部2aに取り付けられるクレビス形ブラケット12に枢動可能に受け止められる。エルボークランク10の第1のアーム10aは、その遠位端13にて線形アクチュエータ14の一端に枢動可能に接続される。アクチュエータ14の他の端部は、ヒンジ点11上の主脚2のバネ入り部2aに取り付けられるクレビス形ブラケット15に、枢動可能に受け止められる。
【0030】
エルボークランク10の第2のアーム10bは伝動装置8を支持する。これを、図2、3を参照して詳細に説明する。第1の実施形態における伝動装置8は、対称に配置される2つの独立した動力伝達装置を有する。各動力伝達装置は、大径の駆動ギア17に固定される、ラジアル・ピストン式の油圧モータ16を有する。各モータ16は、それぞれ同軸のスプライン18上に受け止められるステータ部分を有し、同軸のスプライン18はクランク10によって支持される取付けブラケット19の両側に配置される。従って、モータ16のステータ部分は、取付けブラケット19に対して回転するように固定され、一方で、モータ16のロータ部分は、その大径ギア17に固定される。大径ギア17は、小径ギア20と噛み合い係合する。小径ギア20はピニオン軸21に支持される。ピニオン軸21は、クランク10から延在しているラグ22により軸受で支持される。各ピニオン軸21には、それぞれの小径ギア20と一緒に回転するように固定される駆動ピニオン23及び駆動ピニオン追従子24とが支持される。
【0031】
図4は、タイヤ5aを省いて歯付きリング7aが露出した状態の、着陸装置1の部分分解図を示す。各歯付きリング7a、7bに近接して、それぞれ歯付きリング追従子25がある。
【0032】
次に、車輪3a、3bを駆動して回転させる伝動装置8の動作について、説明する。アクチュエータ14は、伝動装置8の駆動ピニオン23を上下させて歯付きリング7a、7bと噛合い係合させたり外したりするのに用いられる。アクチュエータ14は、線形タイプのアクチュエータであり、従って、アクチュエータ14の収縮は、アクチュエータ取付けブラケット15とクランク10の遠位端13との距離を縮め、クランク10をそのピボット点11の周りに回動させ、これにより、図1に示すように、伝動装置8を反時計回りに円弧に沿って持ち上げる。アクチュエータ14が収縮すると、駆動ピニオン23は車輪ハブ6a、6bの歯付きリング7a、7bとの噛合い係合から外れて持ち上げられる。車輪3a、3bから伝動装置8を離脱させれば、着陸装置1を従来の離着陸のための態様で動作させることができる。重要なのは、伝動装置8を車輪3a、3bから離脱させる際には、伝動装置8を歯付きリング7a、7bから十分に離して持ち上げて、着陸時に、車輪3a、3bを担持している主脚2の非バネ入り部2bが、歯付きリング7a、7bが伝動装置8に衝撃を与えることなく、主脚2のバネ入り部2a内の十分な行程路に沿ってはまり込むようにすることである。
【0033】
航空機が地上にあるときは、アクチュエータ14を伸長させ、駆動ピニオン23が歯付きリング7a、7bと噛合い係合するまで伝動装置8を時計回りに円弧に沿って動かすことができる。伝動装置8が車輪3a、3bと歯付きリング7a、7bを介して係合したら、モータ16を付勢して、車輪3a、3bを軸4の周りに回転駆動させ、これにより、航空機も地上で走らせることができる。伝動装置8は、航空機の主エンジンを用いずに、車輪3a、3bに航空機を地上で走行させるのに十分な駆動トルクを与えることができる。2つの車輪3a、3bはそれぞれ独立した動力伝達装置を伝動装置8内に備えているので、車輪3a、3bは異なる速度で回転することができ、このことは、たとえば航空機が地上で方向転換するときに有利である。駆動ピニオン23の直径は、歯付きリング7a、7bの直径よりはるかに小さく、これは、駆動モータ16と歯付きリング7a、7bとのギア比を増大させる顕著なトルクを生成する。
【0034】
駆動ピニオン23と歯付きリング7a、7bとを確実に噛み合い係合させるには、アクチュエータ14を伸長させて、伝動装置8を歯付きリング7a、7bに押し当てる。このことは、航空機が地上走行している間に、着陸装置1を介しての地上荷重によって衝撃吸収主脚2がいくらか撓んで、バネ入り部2a内で非バネ入り部2bを相対的に動かすことになるから、重要である。この相対的な動きは、おおよそ50mm程度である。
【0035】
駆動ピニオン23の過度の磨耗を防ぎ、かつ、駆動ピニオン23と歯付きリング7a、7bとの正確なアライメントを確保するために、追従機構が採用される。前述したように、伝動装置8は、各駆動ピニオン23の直ぐ外側の各ピニオン軸21に駆動ピニオン追従子24を有する。駆動ピニオン追従子24は、駆動ピニオン23の外径より少しだけ大きい外径を有するとともに、駆動ピニオン追従子24は、滑らかな外面を有する。駆動ピニオン追従子24は、同じく滑らかな外面を有する歯付きリング追従子25に向かって当接する。歯付きリング追従子25は、歯付きリング7a、7bの外径より多少小さい直径を有し、歯付きリング7a、7bの直ぐ外側に配置される。駆動ピニオン23が歯付きリング7a、7bと噛合い係合すると、駆動ピニオン追従子24の滑らかな外面は、歯付きリング追従子25の滑らかな外面と摺動係合し、駆動ピニオン追従子24の内縁は、歯付きリング7a、7bの外縁に当接する。従って、追従子24、25は、駆動ピニオン23と歯付きリング7a、7bとの横方向、及び半径方向の良好なアライメントを確保することができる。
【0036】
タイヤ5a、5bの撓みは、地表面の局所的な凹凸とともに、車輪の回転軸4を、横垂直面内で傾かせる(すなわち、ロールさせる)。伝動装置8とリングギア7a、7bとの間の駆動係合は、このような比較的小さい角度に対する動き、たとえば、約±12度以内の動きには反応しにくい。追従子対24、25を用いた追従機構は、伝動装置8を軸4と一緒にロールさせることができる場合にだけ、このローリング動作に適応させることができる。関節機構9の取付け点11は、伝動装置8が車輪軸4とともにロールすることができるように、取付けブラケット12内における球面軸受け、またはフレキシブル軸受けにより受け止められる。関節機構9はアクチュエータ14に接続されることにより、アクチュエータも主脚2上の取付けブラケット15における球面軸受けまたはフレキシブル軸受けに取り付けられる。
【0037】
球面軸受けは、追従機構と相俟って一緒に作動して、伝動装置8をアクチュエータ14により歯付きリング7a、7b上に押し当てる際に、車輪3a、3bにかかる撓み荷重のもとで伝動装置8と車輪との確実な駆動結合を維持できるようにする。駆動ピニオン23は、随意、駆動係合の維持に役立つ等速ジョイントを備えてもよい。
【0038】
伝動装置8、関節機構9及びアクチュエータ14は、取付けブラケット12、15により主脚2に取り付けられる。取付けブラケット12、15は、伝動装置8、関節機構9及びアクチュエータ14を主脚2から取り外せるようにする解放機構を有する。これらの要素が取り外されると、着陸装置1の質量は、従来の着陸装置と同等となる。このことは、次の理由から有益である。航空機の地上での滞在時間が多くを占める短距離運用に航空機を用いる場合にのみ、車輪3a、3bの駆動に伝動装置8を用いるのが経済的であるが、長距離運用には、駆動コンポーネントを取り外すのがよい。
【0039】
図には示していないが、駆動ピニオン23と歯付きリング7a、7bは、その耐久寿命に影響を及ぼすような周辺の瓦礫類から保護するために、密閉された環境内に配置するのがよい。単純な密閉装置は、駆動ピニオン23と歯付きリング7a、7bの対の周りに閉鎖シュラウドを一緒に形成するように、各駆動要素それぞれの周りに開放シュラウドを有する。シュラウドの2つの部分は、たとえば、ブラシタイプのシール、または、柔軟で、できればPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)タイプのランニングシールで封止することができる。他の封止装置の使用も可能である。
【0040】
着陸装置1は、航空機を空港の搭乗ゲート周辺、及び地上走行運用で前進または後進させるのに用いることができる。従って、航空機は、空港の牽引車や航空機の主エンジンを用いることなく、地上で動かすことができる。航空機を地上で動かすのに航空機エンジンの使用をなくすか、または減らすことにより、騒音や汚染の低減、エンジン稼働時間の短縮、地上走行時にエンジンが瓦礫類を吸引したときの異物によるエンジン損傷の機会の低減、及び燃料燃焼の低減などといった幾つかの環境上または経済上の利点がある。それに加えて、空港の牽引車を依頼しなくて済むので、遅延を減らし、空港での安全性を向上させることができる。
【0041】
伝動装置8のモータ16及びアクチュエータ14は航空機の既存のシステムに接続してもよいし、専用のシステムに接続してもよい。伝動装置8を車輪3a、3bと駆動係合させたり、これらを離脱させたりする動作は、航空機のコックピットからか、または地上の乗り物から遠隔的に制御するか、航空管制官がたとえばサテライトリンクを用いて制御することができる。
【0042】
上述の第1の実施形態では、伝動装置8は一対の油圧モータ16を備えていたが、これに代わって他の種々のタイプの伝動装置も着陸装置1に用いることができる。本発明の第2〜第5実施形態について、図5〜8を参照して説明するが、第1の実施形態と同様の部分には同様の符号が付される。
【0043】
図5は、第2の実施形態における伝動装置30を示す。この伝動装置30は、図1に示した着陸装置1の伝動装置8の代わりに設けることができる。伝動装置30は、伝動装置8と同じ駆動ピニオン23と駆動ピニオン追従子24を有する。よって、伝動装置30は、第1の実施形態の伝動装置8と同様に動作することができる。伝動装置30は、差動ドライブ33に接続された大径ギア32を駆動する単一の油圧モータ31を有するという点で、伝動装置8と異なる。差動ドライブ33の出力は、駆動ピニオン23の一つと駆動ピニオン追従子24の一つとをそれぞれ回転するように担持する独立したピニオン駆動軸34、35に接続される。
【0044】
図6は、着陸装置1の伝動装置8の代わりに用いることができる、第3の実施形態の伝動装置を示す。図6では、タイヤ5aは、明確化のために省いてある。伝動装置40は、第1の実施形態の伝動装置8のものと同一の一対の駆動ピニオン23と、これに対応する駆動ピニオン追従子24とを有する。よって、伝動装置40は伝動装置8と同様に用いられる。
【0045】
ここで、伝動装置40について、その分解図を示す図7を参照しつつ詳細に説明する。第1、第2の実施形態の伝動装置が一つ以上の油圧モータを備えるのに対し、伝動装置40は一対の電動モータ41を有する。各モータ41は、第1減速段を形成すべく、大径の歯付きギア43に軽量の歯付き駆動ベルト44を介して接続される小径の歯付きギア42に出力する。大径ギア43は、ギア軸45に取り付けられ、ギア軸45は、駆動ピニオン23と駆動ピニオン追従子24を担持する駆動軸47に出力する第2減速段46を駆動する。電動モータは、高速運転するにつれてトルク及び出力密度がともに改善されるため、伝動装置40に2つの減速段を設けて、航空機の地上運転にふさわしいレベルに速度を下げ、トルクを増大させることができる。第1減速段での比較的低いトルクとゆるやかな速度には、とりわけ軽量コンパクトな設計を可能にする歯付き駆動ベルト44を用いるのが好適である。第2減速段46は、ケーシング48内の密閉された潤滑環境内で動作する。大径の歯付きリング7a、7bより比較的小さい駆動ピニオン23は、伝動装置40の質量最適化を損なうことなく、電動モータ41の使用を可能にする最終減速段を提供する。図7に見て取れるように、伝動装置40は、2つの駆動ピニオン23を第1の実施形態の油圧式伝動装置8と同様に駆動する2つの独立した動力伝達装置を有する。
【0046】
図8a、8bは、第4及び第5の実施形態における、さらに2つの代替的な伝動装置50、60をそれぞれ示す。伝動装置50、60は、着陸装置1の第1の実施形態での伝動装置8の代わりに、同じように用いることができる。伝動装置50は簡易な一段減速ギア52を駆動する一対の電動モータ51を備える。モータ51は、モータ41と比べて遅い出力速度で動作するので、出力密度の点では幾分難がある。しかしながら、簡易なギア配置は比較的軽量である。伝動装置50の全体的なサイズは伝動装置40より幾分大きく、着陸装置によってはその適用が制限されるかもしれない。
【0047】
伝動装置60は、第3の実施形態のモータ41と同様の電動モータ61を有する。これらは、駆動ピニオン23に出力する衛星ギアを含む二段のギア装置62を駆動する。伝動装置60は、伝動装置50と比較してよりコンパクトな構成になるが、二段ギア装置62により重量が増加する。
【0048】
上述の実施形態では、伝動装置は、衝撃を吸収する主脚のバネ入り部に取り付けられる。図9は、伝動装置が車輪軸の外部に取り付けられる、第6実施形態の着陸装置101を示す。図9a)は、伝動装置を係合させた背面図、図9b)は側面図、そして図9c)は伝動装置を離脱させた側面図を示す。
【0049】
着陸装置101は、上述の着陸装置1と共通の多くの特徴を共有しているので、以下では相違点についてのみ説明する。
【0050】
着陸装置101は、上部伸縮部102a(メインフィッティング)と下部伸縮部102b(スライダ)を、その間のトルクリンク102dと一緒に有する伸縮自在の衝撃吸収主脚102を備える。下部伸縮部102bは、主脚102の両側に1つずつの一対の車輪103(明確化のため車輪103bだけが図9に示される)を担持する車軸102cを支持する。車輪は、主脚102に対し共通の車輪軸104を中心として回転するように取り付けられる。
【0051】
車輪103bは、ハブ106bに支持されるタイヤ105bを有する。もう1つの車輪(図示されない)も、同様の構造を有する。歯付きリングギア107bは、各車輪のハブ106bの外径に取り付けられる。リングギアの歯は、径方向外向きに向いている。
【0052】
着陸装置101は、軸102cの外部に取り付けられる伝動装置108を有する。伝動装置108は、追加的に、または代替的に、スライダ、または着陸装置101の非バネ入り部102bの他の任意のコンポーネントに取り付けることができる。
【0053】
図9に示す伝動装置108は、上述の第1〜第5の実施形態の伝動装置のいずれでもよい。伝動装置108の駆動ピニオン123の1つを図9に見ることができる。
【0054】
伝動装置108は、軸102cから関節機構109により支持される。関節機構109は、支持ブラケット110、112、取付けブラケット119、及び線形アクチュエータ114を有する。支持ブラケット110は、軸102cから延伸してヒンジ点111を有する。取付けブラケット119は、ヒンジ点111に枢動可能に接続される。アクチュエータ114は、その一端が車軸102cから延在している支持ブラケット112に枢動可能に接続され、他端が取付けブラケット119の遠位端113に枢動可能に接続される。取付けブラケット119は、伝動装置108を支持する。
【0055】
ここで、車輪を回転駆動させる伝動装置108の動作について説明する。アクチュエータ114は、伝動装置108の各駆動ピニオン123を上げたり、下げたりして、それぞれ歯付きリングギア107bと噛合い係合させたり噛合い係合を解除させたりするために用いられる。
【0056】
アクチュエータ114は線形タイプのものであり、アクチュエータ114が伸長することで、支持ブラケット112と取付けブラケット119の遠位端113との距離が長くなり、これにより、取付けブラケット119がピボット点111を中心に回転して、伝動装置108は(図9c)に示すように)反時計回りに円弧内で持ち上げられる。アクチュエータ114が伸長するとき、各駆動ピニオン123は車輪ハブ106bの歯付きリングギア107bとの噛合い係合が解除されて持ち上げられる。伝動装置108が車輪から離脱されることで、着陸装置101は従来の離着陸態様で動作することができる。
【0057】
航空機が地上にある際には、アクチュエータ114を引込めることで、駆動ピニオン123が歯付きリングギア107bと噛合い係合するまで、伝動装置108を(図9b)に示すように)時計回りに円弧内で動かすことができる。伝動装置108が歯付きリングギア107bを介して車輪と係合することで、伝動装置108のモータを付勢して、車輪103を軸104の周りに回転させるように駆動することができ、これにより航空機を地上で走らせることができる。伝動装置108は、航空機の主エンジンを用いることなく航空機を地上で走らせるように、十分な駆動トルクを車輪に供給することができる。2つの車輪103は、独立した動力伝達装置を伝動装置108に有するので、2つの車輪103は異なる速度で回転できる。このことは、たとえば航空機を地上で向きを変える(ステアリングする)際に有利である。駆動ピニオン123の直径は歯付きリング107bの直径よりはるかに小さく、これは、駆動モータと歯付きリング107bとの間の、ギア比を増大させる顕著なトルクを発生する。
【0058】
駆動ピニオン123と歯付きリング107bとを確実に噛合い係合させるには、アクチュエータ114を引込めて伝動装置108を歯付きリング107bに押し当てる。このことは、航空機が地上走行している間の、着陸装置101を介しての地上荷重が、着陸装置の構造をいくらか撓ませるので、重要である。
【0059】
上述した第1の実施形態と同様に、駆動ピニオン123の過度な磨耗を防止し、駆動ピニオン123と歯付きリング107bとの正確なアライメントを確保するために、追従機構が採用される。伝動装置108は、各駆動ピニオン123の直ぐ外側の各ピニオン軸に駆動ピニオン追従子を有する。この駆動ピニオン追従子は、第1乃至第5の実施形態につき前述した駆動ピニオン追従子24と同じであり、同じように動作する。
【0060】
タイヤの撓みも、地表面の局所的な凸凹と同様に、車輪の回転軸104を横垂直面内で傾かせる(すなわちロールさせる)。伝動装置108とリングギア107bとの間の駆動係合は、このような比較的小さい角度(たとえば、約±12度以内)に対する動きには反応しにくい。追従機構は、伝動装置108を軸104と一緒にロールさせることができる場合にだけ、このローリング動作に適応させることができる。関節機構109のヒンジ点111は、伝動装置108が車輪軸104とともにロールできるように、支持ブラケット110及び/または取付けブラケット119における球面軸受けまたはフレキシブル軸受けにて受け止められる。関節機構109は、アクチュエータ114に接続されているので、アクチュエータの各端部も、支持ブラケット112及び取付けブラケット119における球面軸受けまたはフレキシブル軸受けにて受け止められる。
【0061】
球面軸受けは、追従機構と相俟って一緒に作動して、伝動装置108をアクチュエータ114により歯付きリング107bに押し当てた際に、着陸装置の構造にかかる撓み荷重のもとで伝動装置108と車輪103との確実な駆動係合を維持できるようにする。駆動ピニオン123は、随意、駆動係合の維持に役立つ等速ジョイントを有してもよい。
【0062】
伝動装置108とアクチュエータ114は、軸102cに取付けられ、そして、これらの取付け構造は、伝動装置108及びアクチュエータ114fを軸102cから取り外すことができる釈放機構を有してもよい。これらの構成要素が取り外されると、着陸装置101の質量は従来の着陸装置と同等になる。このことは、次の理由から有益である。航空機の地上での滞在時間が多くを占める短距離運用に航空機を用いるような場合にのみ、車輪103の駆動に伝動装置108を用いるのが経済的であるが、長距離運用には、駆動コンポーネントを取り外すのがよい。
【0063】
図には示していないが、駆動ピニオン123と歯付きリング107bは、その耐久寿命に影響を及ぼす周辺の瓦礫類から保護するために、密閉環境内に配置するのがよい。単純な密閉装置は、駆動ピニオン123と歯付きリング107bの対の周りに閉鎖シュラウドを一緒に形成するように、各駆動要素それぞれの周りに開放シュラウドを有する。シュラウドの2つの部分は、たとえば、ブラシタイプのシール、または、柔軟で、できればPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)タイプのランニングシールで封止することができる。他の封止装置の使用も可能である。
【0064】
着陸装置101、及び特にその伝動装置の使用は、上述の第1〜第5の実施形態において説明されるとおりである。
【0065】
この第6の実施形態は、リングギアの歯が径方向内向きに向き、伝動装置のピニオンがリングギアの直径の内側からリングギアに係合するように持ち上げられるように変更することができる。図10は、このように変更した第6の実施形態を示し、ここでは、同様の部位を指すために用いられた同様の符号に、プライム記号を付してある。図9と図10の相違は、図10ではリングギア107a’及び107b’が径方向内向きの歯を有することと、アクチュエータの伸長(図10には示されないが)が伝動装置108’の係合に対応し、アクチュエータの引込みが伝動装置108’の離脱に対応することである。このような変更は、伝動装置の空間的制約により、比較的大径の車輪ハブに限られる。
【0066】
上述の実施形態では、着陸装置は2つの車輪を有するが、1つの車輪や、ボギーに多数の車輪対を有する着陸装置にも、本発明は適用可能である。着陸装置が多数の車輪を有する場合には、そのうちの1つ以上を駆動車輪とすることができる。
【0067】
本発明は、前脚着陸装置または主脚着陸装置のどちらにも適用できるが、車輪と地面の間の高い静止摩擦力のために、主脚着陸装置に用いることが好ましい。
【0068】
本発明を1つ以上の好適な実施形態につき説明したが、添付の請求項にて規定される本発明の範囲から逸脱しない範囲で、種々の変形や修正が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機に取り付けるバネ入り部と、スライダ及び少なくとも1つの車輪を担持する車軸を含む非バネ入り部とを有し、前記車輪は歯付きリングギアを有する、衝撃吸収主脚と、
前記主脚の前記バネ入り部または前記非バネ入り部の外部に取り付けられ、少なくとも1つのモータと前記車輪の前記歯付きリングギアに噛み合う駆動ピニオンとを有する、伝動装置と、
前記伝動装置を持ち上げて前記歯付きリングギアと駆動係合させたり、当該駆動係合を解除したりし、かつ、地上走行運転中に前記着陸装置が撓むので前記駆動係合を維持するためのアクチュエータと
を有する航空機着陸装置。
【請求項2】
前記伝動装置は着脱自在に取り付けられる、請求項1に記載の航空機着陸装置。
【請求項3】
前記主脚の前記バネ入り部または前記非バネ入り部に回動可能に取り付けられる関節機構をさらに有し、当該関節機構は前記アクチュエータに接続されて前記伝動装置を支持する、請求項1または2に記載の航空機着陸装置。
【請求項4】
前記関節機構の枢動軸は、前記主脚に対して傾くように構成される、請求項3に記載の航空機着陸装置。
【請求項5】
前記歯付きリングギア及び前記駆動ピニオンは、関連する整合追従子面を有する、請求項1乃至4のいずれかに記載の航空機着陸装置。
【請求項6】
前記駆動ピニオンは、等速ジョイントを有する、請求項1乃至5のいずれかに記載の航空機着陸装置。
【請求項7】
前記駆動ピニオン及び歯付きリングは、環境的に密閉される、請求項1乃至6のいずれかに記載の航空機着陸装置。
【請求項8】
少なくとも2つの前記駆動可能な車輪を有し、
前記車輪は、それぞれ歯付きリングギアを有するとともに、前記伝動装置は、それぞれ前記歯付きリングの1つに噛み合う2つの駆動ピニオンを有する、請求項1乃至7のいずれかに記載の航空機着陸装置。
【請求項9】
前記伝動装置は、それぞれ前記駆動ピニオンの1つを駆動する2つのモータを有する、請求項8に記載の航空機着陸装置。
【請求項10】
前記伝動装置は、前記各モータと前記駆動ピニオンとの間に接続される差動駆動部を有する、請求項8に記載の航空機着陸装置。
【請求項11】
前記歯付きリングは、前記車輪ハブの外径に配置される、請求項1乃至10のいずれかに記載の航空機着陸装置。
【請求項12】
前記歯付きリングは、径方向内向きまたは外向きの歯を有する、請求項1乃至11のいずれかに記載の航空機着陸装置。
【請求項13】
前記モータは、油圧または電動モータである、請求項1乃至12のいずれかに記載の航空機着陸装置。
【請求項14】
前記伝動装置は歯付き駆動ベルトを有する、請求項1乃至13のいずれかに記載の航空機着陸装置。
【請求項15】
前記歯付きリングは、前記駆動ピニオンより大きい直径を有し、ギア比を増大させるトルクを生成する、請求項1乃至14のいずれかに記載の航空機着陸装置。
【請求項16】
前記伝動装置は、前記主脚の前記バネ入り部の外部に取り付けられ、
前記アクチュエータは、前記地上走行運転中に前記主脚の前記バネ入り部及び非バネ入り部が互いに相対的に動くので、前記駆動ピニオンと前記歯付きリングとの前記駆動係合を維持するように適合される、請求項1乃至15のいずれかに記載の航空機着陸装置。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれかに記載の着陸装置と、前記伝動装置に動力を供給するとともに前記伝動装置の動作を制御する動力供給制御システムとを有する航空機。
【請求項18】
前記モータに動力を供給して前記車輪を回転させるステップと、
前記着陸装置が地上走行運転中に撓むので、前記歯付きリングを介して前記伝動装置を前記車輪に係合させるステップと、
を有する請求項1乃至17のいずれかに記載の航空機の着陸装置動作方法。
【請求項19】
前記伝動装置を前記車輪から離脱するステップをさらに有する、請求項18に記載の航空機着陸装置の動作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−503070(P2013−503070A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525968(P2012−525968)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061343
【国際公開番号】WO2011/023505
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(510286488)エアバス オペレーションズ リミテッド (30)
【氏名又は名称原語表記】AIRBUS OPERATIONS LIMITED