説明

航空機用コンテナ

【課題】航空機用コンテナに積載した受託手荷物の中から、未搭乗客の受託手荷物を積載した航空機用コンテナを特定し、特定した該航空機用コンテナから前記未搭乗客の受託手荷物を確実且つ容易に除外することが可能となる航空機用コンテナを提供する。
【解決手段】旅客の搭乗に関する情報が書き込まれたRFIDが付された受託手荷物を積載し、航空機の貨物室に搭載する航空機用コンテナであって、 前記航空機用コンテナが、積載する前記受託手荷物に付された前記RFIDの情報の読取認識が可能なRFIDリーダの読取認識アンテナを有し、外部から該航空機用コンテナに積載された受託手荷物の情報を検出可能な構成であることを特徴とする航空機用コンテナである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は航空機用コンテナに関し、詳しくはRFIDを用いた航空手荷物管理システムに適用可能な航空機用コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
飛行機の客室に持ち込まれる持込手荷物ではなく貨物室に搭載される受託手荷物(本明細書では手荷物と言うこともある。)は、搭乗手続場所(チェックインカウンタ)にて搭乗手続を行った際、搭乗券と共に発行されるバゲージタグが持ち手等に取り付けられた後、バゲッジ・ハンドリング・システム(BHS)を通り、荷物搭載作業場所(メイクアップエリア)で航空機用コンテナ(以下、単にコンテナということもある。)へ積載される。
【0003】
荷物搭載作業場所(メイクアップエリア)にて航空機用コンテナに積載され、航空機の貨物室に搭載される受託手荷物は、搭乗手続きは行ったが当該航空機に実際に搭乗しなかった旅客(以下、未搭乗客ということもある。)がいた場合には時限爆弾テロ等の危険性を回避するために、搭乗確認のできなかった当該旅客の受託手荷物は航空機に搭載することなく必ず除外しなければならない。
【0004】
この搭乗確認のできなかった旅客の受託手荷物の確認及び除外は、日本の国際空港等では、航空機用コンテナ毎に用意した台紙に、積載した受託手荷物のバゲージタグの半券を貼り付け、バゲージタグに付されたバーコードを読取認識することで、該当する受託手荷物を特定することで行われている。
【0005】
該当する受託手荷物を特定するには、どの旅客の受託手荷物が、どの航空機用コンテナに搭載されたかを確認判別できるか否かが重要であるため、航空機用コンテナに積載される全ての受託手荷物の位置確認を行う必要があり、バーコードを利用した読取認識による確認では、台紙へのバゲージタグの半券の貼り付けによる確認では作業効率が低く改善の必要があった。
【0006】
特許文献1には、ICカードやICタグ等の記憶媒体を搭乗者と受託手荷物夫々に付帯させておく構成によって、未搭乗客の受託手荷物を監視するシステムが記載されている。
【0007】
しかしこの技術では、未搭乗客の確認が取れても、この未搭乗客の受託手荷物を積載したコンテナの特定が困難であるため、除外が困難であり、著しく手間がかかるという問題点を有している。
【0008】
一方、特許文献2には、非接触カードに登録済みの旅客情報と一致しない受託手荷物は貨物室に搭載しないように処理し、到着空港においては全ての受託手荷物が貨物室から搬出されたことが確認された旅客だけを搭乗機から降りられるように処置した旅客と受託手荷物の出入管理方法が記載されている。
【0009】
しかしこの技術では、搭乗手続きさえ済めば受託手荷物はコンテナに積載されて航空機の貨物室へ搭載されてしまい、次の確認は到着空港に到着してから行われるため、未搭乗客がいた場合でも該未搭乗客の受託手荷物を搭載したまま航空機を離陸させてしまうことになり、危険性を回避することができないという問題点を有している。
【0010】
また、近年、IATA(International Air Transport Association)が中心となり、受託手荷物のソーティング等に関するバーコード代替技術としてRFIDの利用を進めていることから、本出願人もバーコード代替技術であるRFIDを利用した技術を先に提案しており、当該技術について更に研究を続けた結果、本発明に至ったものである。
【0011】
【特許文献1】特開2001−306659号公報
【特許文献2】特開平06−318277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで本発明の課題は、航空機用コンテナに積載した受託手荷物の中から、未搭乗客の受託手荷物を積載した航空機用コンテナを特定し、特定した該航空機用コンテナから前記未搭乗客の受託手荷物を確実且つ容易に除外することが可能となる航空機用コンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決する本発明は下記構成を有する。
【0014】
1.旅客の搭乗に関する情報が書き込まれたRFIDが付された受託手荷物を積載し、航空機の貨物室に搭載する航空機用コンテナであって、
前記航空機用コンテナが、積載する前記受託手荷物に付された前記RFIDの情報の読取認識が可能なRFIDリーダの読取認識アンテナを有し、外部から該航空機用コンテナに積載された受託手荷物の情報を検出可能な構成であることを特徴とする航空機用コンテナ。
【0015】
2.前記RFIDリーダが、旅客情報及び/又は受託手荷物情報を管理する情報管理部と無線を介して接続可能な構成であることを特徴とする上記1に記載の航空機用コンテナ。
【0016】
3.前記RFIDリーダの読取認識アンテナが、前記航空機用コンテナ1つに対して2個以上配設されており、該航空機用コンテナ内の特定の受託手荷物の積載位置を検出可能な構成であることを特徴とする上記1又は2に記載の航空機用コンテナ。
【0017】
4.前記航空機用コンテナに積載した受託手荷物の中から、特定の旅客の受託手荷物を積載した航空機用コンテナを特定する構成であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の航空機用コンテナ。
【0018】
5.前記特定の旅客が、搭乗確認のできなかった旅客であることを特徴とする上記4に記載の航空機用コンテナ。
【0019】
6.前記航空機用コンテナに積載した受託手荷物の中から、特定の旅客の受託手荷物を積載した航空機用コンテナを特定すると共に該航空機用コンテナ内での前記特定の旅客の受託手荷物の積載位置を検出する構成であることを特徴とする上記3に記載の航空機用コンテナ。
【0020】
7.特定の航空機に搭乗する旅客のリストの表示が可能であり、
前記リストに、航空会社名や便名の如き前記特定の航空機に関する情報の表示、搭乗確認のできない未搭乗客の表示と、受託手荷物を委託した旅客の表示と、前記航空機用コンテナに積載する受託手荷物の積載情報の入力及び表示と、受託手荷物を積載した前記航空機用コンテナのコンテナ番号の如きコンテナ情報の入力及び表示、
とが可能な構成である受託手荷物管理装置
と組合せて用いられることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の航空機用コンテナ。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に示す発明によれば、航空機用コンテナに積載する受託手荷物に付されたRFIDの読取認識が可能となるRFIDリーダの読取認識アンテナを有し、外部から該航空機用コンテナに積載された受託手荷物の情報を検出可能な構成を有することにより、航空機用コンテナに積載した受託手荷物の所在等の外部からの情報管理が可能となる。特に、航空機用コンテナは外部からの電波を遮断し易い金属製で形成されているため、RFIDの読取認識アンテナを有することにより、受託手荷物に付されたRFIDを容易に読取認識することができる。しかも、金属製の航空機用コンテナの内部では電波が反射することにより隅々まで電波が照射することになるので、読取認識がより容易となる。
従って、航空機用コンテナに積載した受託手荷物の中から、未搭乗客の如き特定の旅客の受託手荷物を積載した航空機用コンテナを複数の航空機用コンテナ群の中から該複数の航空機コンテナを開封して中身を調べることなく外部から特定することができるので、前記特定の旅客の受託手荷物を航空機用コンテナから航空機搭載前に確実且つ容易に除外することが可能となる。
【0022】
請求項2に示す発明によれば、RFIDリーダによって読取認識した航空機用コンテナに積載した受託手荷物の情報を、旅客情報及び/又は受託手荷物情報と紐付けて管理することが可能となる。
【0023】
請求項3に示す発明によれば、特定する受託手荷物の航空機用コンテナ内の積載位置を検出可能なことにより、特定した航空機用コンテナのどの位置に積載されているかが容易に判るため、当該受託手荷物を極めて容易且つ迅速に除外することが可能となる。
【0024】
請求項4に示す発明によれば、特定の旅客の受託手荷物を積載した航空機用コンテナを複数の航空機用コンテナ群の中から特定することができることにより、前記特定の旅客の受託手荷物を航空機用コンテナから航空機搭載前に確実且つ容易に除外することが可能となる。
【0025】
請求項5に示す発明によれば、受託手荷物を特定する際の特定する旅客を未搭乗客とすることにより、時限爆弾テロ等の危険を未然に回避することが可能となる。
【0026】
請求項6に示す発明によれば、特定の旅客の受託手荷物を積載した航空機用コンテナを複数の航空機用コンテナ群の中から特定することができ、更に、特定した航空機用コンテナのどの位置に積載されているかまで判ることにより、前記特定の旅客の受託手荷物を航空機用コンテナから航空機搭載前に確実且つ容易に、しかも迅速に除外することが可能となる。
【0027】
請求項7に示す発明によれば、旅客リストの表示から、未搭乗客がいるか否かの確認、受託手荷物を委託した旅客の確認、受託手荷物が航空機用コンテナに積載されたか否かの確認及び積載された場合にどの航空機用コンテナに積載されたかの情報を得ることができる。従って、受託手荷物の積載作業等の各作業と並行して確認作業を継続していくことで、途中経過情報は勿論のこと、積載作業終了時には最終的な受託手荷物の積載確認と未搭乗客の確認を行うことができるので、未搭乗客の受託手荷物を特定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係る航空機用コンテナについて実施例に基づき詳説する。
【0029】
図1は本発明に係る航空機用コンテナの一実施例及び使用例を示す概略構成図、図2は受託手荷物の積載位置を特定する構成の一実施例を示す概略説明図、図3は特定した受託手荷物の積載位置を表示する画面の一実施例を示す図、図4は受託手荷物の積載位置を特定する構成の他の実施例を示す概略説明図、図5は特定した受託手荷物の積載位置を表示する画面の他の実施例を示す図である。
【0030】
図1に示すように、本発明に係る航空機用コンテナ1は、旅客の搭乗に関する情報が書き込まれたRFID20が付された受託手荷物2を積載し、航空機の貨物室3に搭載するものであり、積載する受託手荷物2に付されたRFID20の情報の読取認識が可能なRFIDリーダの読取認識アンテナ10を有する構成である。
【0031】
航空機用コンテナ1は、航空機のメーカーや機種、運行する航空会社に応じた仕様を有することが多く、航空機内部の限られた貨物室3の搭載スペースの関係から1辺が1〜2m程度、長くても6m程度の大きさを有するアルミニウム等の金属製躯体で形成されたものが一般的であり、本発明に用いる航空機用コンテナ1についても一般的に用いられている公知公用のものを用いることができる。1機の航空機に搭載される航空機用コンテナ1の数は、図1ではNo.A〜No.Cの3個の航空機用コンテナ1・1・1を示しているが、本発明が適用される態様はこれに限定されないことは云うまでもなく、航空機の大きさ、貨物室の大きさ、国際線であるか国内線であるか等の様々な条件によって異なるが、数個〜十数個が搭載される。
【0032】
RFIDリーダの読取認識アンテナ10は、1つの航空機用コンテナ1に対して2個以上配設されていることが好ましく、配設する位置は航空機用コンテナ1の内部の4つの壁面、天井面、床面のいずれであってもよく、配設数が1個の場合は天井面であることが好ましく、2個の場合は対向する面である天井面と床面、又は相対する2枚の壁面であることがこのましく、3個の場合は天井面と相対する2枚の壁面であることが好ましい。
【0033】
読取認識アンテナ10は、1つの航空機用コンテナ1に対して1個配設されていれば、特定すべき受託手荷物2がどの航空機用コンテナ1に積載されているかを検出することが可能となる。
【0034】
また、読取認識アンテナ10は、図2に示すよう1つの航空機用コンテナ1に対して2個配設(相対する2枚の壁面1A・1Bに配設)すれば、2個の読取認識アンテナ10・10による受信タイミングとその差から、各読取認識アンテナ10・10とRFID20との間の距離とその距離の差により生ずるそれら受信信号の受信タイミングとそのずれから相対的な位置を検出することができるので、読取認識したRFID20が付された受託手荷物2の航空機用コンテナ1内における位置を検出することができる。図3は、特定した受託手荷物2がどの航空機用コンテナ1に積載されているかを示す(図3の例では、コンテナNo.Bに積載されている)と共に、積載した航空機用コンテナ1での平面視における積載位置を示す表示例である。
【0035】
更に、RFIDの読取認識アンテナ10を3個配設(相対する2枚の壁面1A・1Bと天井面1Cに配設)すれば、2個の場合では概略的な平面位置の特定が可能であるのに対して、3次元的な位置も認識することができるようになるので、読取認識したRFID20の付された受託手荷物2の航空機用コンテナ1内におけるより正確な積載位置を検出することができる。図4は、特定した受託手荷物2がどの航空機用コンテナ1に積載されているかを示す(図4の例では、コンテナNo.Bに積載されている)と共に、積載した航空機用コンテナ1での平面視における積載位置と高さ位置を示す表示例である。
【0036】
1つの航空機用コンテナ1に配設するRFIDの読取認識アンテナ10の数は、上記の1〜3個に限定されず、4個以上であってもよい。また、読取認識率を向上させる等のために、どの航空機用コンテナ1に積載されているかを特定するのみの態様、平面位置での特定のみの態様、平面位置及び高さ位置での特定の態様のいずれであっても、夫々、1個、2個、3個の配設に限らず、2個以上、3個以上、4個以上の配設であってもよい。
【0037】
尚、図2及び図4では、特定すべき受託手荷物2の積載位置の説明を明瞭化するために航空機用コンテナ1に積載されている受託手荷物2は1個のみの状態で他の受託手荷物を省略して示しているが、実際の運用では航空機用コンテナ1には多数の受託手荷物2・2・・・が積載されることになり、かかる多数の受託手荷物2・2・・・の中から特定すべき受託手荷物2の積載位置を検出することとなる。
【0038】
RFIDリーダの読取認識アンテナ10としては、公知公用のRFIDリーダの読取認識アンテナを用いることができる。航空機用コンテナ1内に配設した読取認識アンテナ10は、Ether Line等の回線11を介して航空機用コンテナ1の外部に露出する無線Etherアンテナ等の無線手段12によって外部に接続される。
【0039】
RFIDリーダの読取認識アンテナ10が接続される外部の構成としては、旅客情報や受託手荷物情報を管理するサーバの如き情報管理部4が挙げられる。該情報管理部4はEther Line等の回線41を介して無線Etherアンテナ等の無線手段42によって前記航空機用コンテナ1の無線手段12に接続され、かかる接続によって受託手荷物2に付したRFID20の情報と旅客情報及び/又は受託手荷物情報とを紐付けることが可能となる。この紐付けによって、特定の旅客の受託手荷物2が、複数の航空機用コンテナ1のどれに積載しているかを特定することができる。更に、上記したように1つの航空機用コンテナ1に2個又は3個以上の読取認識アンテナ10を配設した態様では、どの航空機用コンテナ1に積載したかだけでなく、積載した航空機用コンテナ1における積載位置まで特定することができる。
【0040】
情報管理部4は、一般的な空港で稼働している既存の航空手荷物管理システムの航空手荷物管理コンピュータと実質的に同義であり、かかるシステムと連携させることによって、受託手荷物2の航空機用コンテナ1への積載状態まで管理することが可能となる。そして、航空手荷物管理コンピュータは、空港(航空会社・各飛行機・その他)を管理制御する管理コンピュータに通信回線で接続されることで、空港内における様々な管理・制御と共に一元的に管理することも可能となる。
【0041】
RFIDの読取認識アンテナ10によって検出した情報、即ち、特定の受託手荷物2の積載情報は情報管理部4に有線又は無線を介して接続されるパソコンやPDA等の端末装置40の画面表示等によって確認することができる。尚、特定の受託手荷物2を積載した航空機用コンテナ2からより速やかに除外するために、パソコンやPDA等の端末装置40の画面表示以外に、航空機用コンテナ2の外部に赤色灯等の発光手段等の表示手段を配設することで、画面表示を見ていない作業者等にも特定した受託手荷物2を積載した航空機用コンテナ1がどれであるかを即時判別できるようにすることもできる。
【0042】
本発明によって検出される特定の受託手荷物2とは、搭乗確認のできなかった未搭乗客の受託手荷物2や、搬送ミス等によって相違する航空機に搭載される航空機用コンテナ1に積載されてしまう等した受託手荷物2等であり、前者の場合では、未搭乗客の受託手荷物2を速やかに除外することで時限爆弾テロ等の危険性を回避することができ、後者の場合では、速やかに正しい航空機用コンテナ1に積み替えることができる。
【0043】
次に、本発明に用いられるRFID20について説明する。RFID20は、「RFID」という呼び方の他、「無線ICチップ」、「無線チップ」、「非接触ICチップ」、「ICタグ」、「無線タグ」、「RFIDタグ」、「非接触ICカード」など様々な呼び方がある。本発明はいずれのものであってもよい。
【0044】
RFIDとは、Radio Frequency-Identification(無線利用による移動体の自動認識)の略で、非接触で通信を行い、内部に搭載されたICチップのデジタル情報のやり取りを通して、物品管理や自動識別を行う通信方法である。RFIDシステムは、情報の記録先である「非接触データキャリア」と、非接触データキャリアから情報を読み取ったり書き込んだりするリーダライター(アンテナ+コントローラー)から構成される。
【0045】
RFID技術を用いた非接触ICカードは、国内外の多くのメーカーにより製品化されている。
【0046】
本発明では、片面電極に限らず両面電極の構造を有するものであってもよく、具体的には、ICを搭載した日立社製「ミューチップ」、凸版印刷社製「T−ジャンクション」、YRP・ユビキタスネットワークワーキング研究所と東大阪村研究室及びルネサンステクノロジが共同開発した「eトロン/16−AE45X」等が挙げられる。
【0047】
例えば、上記「ミューチップ」は0.4ミリ角の大きさのROMチップで、このサイズに2.45GHzの高周波アナログ回路と128ビットのROMを集積しており、厚さは0.06ミリしかないものである。
【0048】
このミューチップは、より小さくすることを追求したため機能面では限定され、一般の無線ICチップが書換可能なRAM方式であるのに対し、読み出し専用のROM方式である。本発明では、ROM方式、RAM方式のいずれも採用することができるが、RAM方式が好ましい。即ち、ROM方式のチップの場合、ROMチップを足し加える必要があるが、RAMチップの場合、1個で足りる。
【0049】
尚、IATAでは、採用周波数帯をUHF帯(860〜960MHz)、通信プロトコルをISO18000−6C(EPC Gen.2)の規格が採用される見通しであり、本発明で用いるRFIDもこの規格に準拠したものを用いることが好ましい。
【0050】
受託手荷物2へのRFID20の付し方としては、受託手荷物2の持ち手等に取付けられるバゲージタグに配設することが好ましいが、バゲージタグとは別体で取付けてもよい。
【0051】
次に、上記説明した航空機用コンテナ1と好ましく組み合わされることで該航空機用コンテナ1に積載した受託手荷物2を管理する受託手荷物管理装置の一例について説明する。
【0052】
本発明に好ましく用いられる受託手荷物管理装置は、RFIDリーダの読取認識アンテナ10が接続される外部の構成である情報管理部4と接続して受託手荷物2を管理するものであり、パソコンやPDA等の端末装置40の表示画面に示される各種の情報によって、特定の航空機の航空会社や便名、旅客リスト、旅客の搭乗確認、旅客毎の受託手荷物の有無及び個数、受託手荷物の積載確認、積載した航空機用コンテナNo.を管理すると共に積載作業場所やその近傍等で管理・確認するものである。
【0053】
図6は本発明に好ましく用いられる受託手荷物管理装置の画面表示の一実施例を示す図であり、表の上欄には航空会社名や便名等の特定の航空機に関する情報が表示され、表中には、左欄より、「旅客名」欄は特定の航空機に搭乗する旅客(搭乗手続きの済んだ旅客)のリスト表示、「搭乗確認」欄はリスト中の旅客が実際に当該航空機に搭乗したか否かの確認の表示、「受託手荷物(個)」欄は持込手荷物ではない手荷物を委託したか否かの表示(個数で表示)、「積載確認」欄は委託された受託手荷物を当該航空機の貨物室に搭載する航空機用コンテナに積載済みであるか未だであるかの表示、「コンテナNo.」欄は当該航空機の貨物室に搭載される複数の航空機用コンテナのどのコンテナに搭載されているかの表示、の各表示がなされている。尚、表示項目は上記に限定されず、受託手荷物の色・形・大きさ等の特徴、航空機の出発時刻、積載完了期限時刻等の他の項目を付加してもよい。
【0054】
表の各項目は、情報管理部4を介して、「航空会社名」、「便名」、「旅客名」、「搭乗確認」及び「受託手荷物」の各項目は、空港(航空会社・各飛行機・その他)を管理制御する管理コンピュータからの情報に基き自動ないしは手動で入力されることで表示される。また、「積載確認」及び「コンテナNo.」の両項目は、航空機用コンテナ1に積載する際に積載作業者(積載の確認等を行う管理者等を含む積載に従事する者)が手動で入力してもよいが、積載によって受託手荷物2が航空機用コンテナ1内部に入った時点でRFIDリーダの読取認識アンテナ10に読取認識されるので、この読取認識によって自動的に入力されることで表示される構成が好ましい。
【0055】
以上、本発明に係る航空機用コンテナについて実施例に基づき説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の範囲内において他の様々な態様を採ることもできる。例えば、本発明は航空機に搭載される航空機用コンテナに限定されず、船舶用コンテナや貨物列車用コンテナにも適用することができる。また、検出・管理する受託手荷物も航空機の受託手荷物に限定されず、客船や客車等の手荷物や、船舶や貨車等の貨物にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る航空機用コンテナの一実施例及び使用例を示す概略構成図
【図2】受託手荷物の積載位置を特定する構成の一実施例を示す概略説明図
【図3】特定した受託手荷物の積載位置を表示する画面の一実施例を示す図
【図4】受託手荷物の積載位置を特定する構成の他の実施例を示す概略説明図
【図5】特定した受託手荷物の積載位置を表示する画面の他の実施例を示す図
【図6】本発明に好ましく用いられる受託手荷物管理装置の画面表示の一実施例を示す図
【符号の説明】
【0057】
1 航空機用コンテナ
10 読取認識アンテナ
11 回線
12 無線手段
2 受託手荷物
20 RFID
3 航空機の貨物室
4 情報管理部
40 端末装置
41 回線
42 無線手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旅客の搭乗に関する情報が書き込まれたRFIDが付された受託手荷物を積載し、航空機の貨物室に搭載する航空機用コンテナであって、
前記航空機用コンテナが、積載する前記受託手荷物に付された前記RFIDの情報の読取認識が可能なRFIDリーダの読取認識アンテナを有し、外部から該航空機用コンテナに積載された受託手荷物の情報を検出可能な構成であることを特徴とする航空機用コンテナ。
【請求項2】
前記RFIDリーダが、旅客情報及び/又は受託手荷物情報を管理する情報管理部と無線を介して接続可能な構成であることを特徴とする請求項1に記載の航空機用コンテナ。
【請求項3】
前記RFIDリーダの読取認識アンテナが、前記航空機用コンテナ1つに対して2個以上配設されており、該航空機用コンテナ内の特定の受託手荷物の積載位置を検出可能な構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の航空機用コンテナ。
【請求項4】
前記航空機用コンテナに積載した受託手荷物の中から、特定の旅客の受託手荷物を積載した航空機用コンテナを特定する構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の航空機用コンテナ。
【請求項5】
前記特定の旅客が、搭乗確認のできなかった旅客であることを特徴とする請求項4に記載の航空機用コンテナ。
【請求項6】
前記航空機用コンテナに積載した受託手荷物の中から、特定の旅客の受託手荷物を積載した航空機用コンテナを特定すると共に該航空機用コンテナ内での前記特定の旅客の受託手荷物の積載位置を検出する構成であることを特徴とする請求項3に記載の航空機用コンテナ。
【請求項7】
特定の航空機に搭乗する旅客のリストの表示が可能であり、
前記リストに、航空会社名や便名の如き前記特定の航空機に関する情報の表示、搭乗確認のできない未搭乗客の表示と、受託手荷物を委託した旅客の表示と、前記航空機用コンテナに積載する受託手荷物の積載情報の入力及び表示と、受託手荷物を積載した前記航空機用コンテナのコンテナ番号の如きコンテナ情報の入力及び表示、
とが可能な構成である受託手荷物管理装置
と組合せて用いられることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の航空機用コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−105731(P2008−105731A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−292059(P2006−292059)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(505304757)学校法人田村学園 (3)
【Fターム(参考)】