説明

航空機軌道に関連する気象データの選択

【課題】FMSが受信可能な限られた数の点の気象データから、航空機の軌道付近の気象プロファイルを詳細に表示することによって、FMSの飛行予測を向上させる。
【解決手段】地上システムにおいて航空機軌道を受信し、気象データベースから軌道に沿った温度データおよび風データの両方を含む軌道サブセットを形成、これから、航空機軌道に沿った気象データ点(202)を形成し、これから気象予測データ点のサブセット、具体的には温度データ点の一意サブセット(206)を形成し、対応する気象データ点をFMSに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機軌道についての気象情報を飛行管理システム(FMS)に提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の多くの航空機において、航空機の飛行経路に沿った航路定点の気象データを考慮して、到着予定時間や航空機の飛行中の燃料燃焼を判断することができる。例えば、飛行管理システム(FMS)は、航空機の飛行中に通信システムを介して地上局からFMSにアップロードされた、またはパイロットにより入力された風向、風速、および温度データを考慮することができる。使用可能な気象データの量が多く、航空機の飛行経路に沿った、または飛行経路近くの複数の点を含むことができるが、この大量のデータをリアルタイムで使用するには実用上の制限がある。例えば、FMSは、気象データを入力可能なデータ点の数が限定され得る。通常、飛行経路データは、出発点、終点、およびおそらくは1または2、3の途中航路定点としてFMSに提供される。このようなデータの制限があるため、データに基づくFMS予測の精度が限定されるおそれがある。別の実用上の制限は、データを航空機に送信するのに比較的高い費用がかかることである。これは、現在、航空機空地データ通信システム(ACARS)等の、登録制の専用通信システムによる送信により行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0198433号明細書
【発明の概要】
【0004】
一実施形態において、航空機軌道についての気象情報を飛行管理システム(FMS)に提供する方法は、a)航空機軌道を受信するステップと、b)気象データベースから受信した軌道に沿った温度データおよび風データの両方を含む気象データ点を選択して、気象データ点の軌道サブセットを形成するステップと、c)気象データ点の軌道サブセットから基準温度プロファイルを生成するステップと、d)軌道サブセットから温度データの一意サブセットを選択して、気象データ点の温度サブセットを定義するステップと、e)航空機軌道に沿った温度プロファイルを温度サブセットから生成するステップと、f)温度プロファイルを基準温度プロファイルと比較するステップと、g)比較が所定の閾値を満たすまでd〜fを繰り返すステップと、h)所定の閾値を満たす温度データの一意サブセットに対応する軌道サブセットから、気象データ点を識別するステップと、i)識別された気象データ点をFMSに送信するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、航空機の飛行経路を実行するための航空機軌道の概略的なグラフである。
【図2】図2は、本発明の実施形態による方法のフローチャートである。
【図3】図3は、図2のフローチャートによる、例示的な温度データ、基準温度プロファイル、選択された温度データの一意サブセット、および温度データの一意サブセットから生成された温度プロファイルのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
航空機の飛行経路は、一般に、上昇、巡航、および下降を含む。離陸から着陸までの全飛行経路に関連して説明するが、本発明は、最初の飛行経路に対する飛行中の更新を含む、全飛行経路のすべてまたはいずれの部分にも適用可能である。本記述の目的で、全飛行経路の例を使用する。
【0007】
最新の航空機は、飛行経路軌道10を生成し、かつ飛行経路軌道10に沿って航空機を飛行させるための飛行管理システム(FMS)を備える。FMSは、航空会社のオペレーションセンタ(AOC)またはパイロットから受信可能なもののすべてであるコマンド、航路定点データ、および気象データ等の追加情報に基づいて、航空機の飛行経路軌道10を自動的に生成することができる。このような情報を、通信リンクを使用して航空機に送信することができる。通信リンクは、限定されないが、パケット無線機および衛星アップリンクを含む種々の通信機構とすることができる。非限定的な例として、航空機空地データ通信システム(ACARS)は、航空機と地上局との間で無線または衛星を介してメッセージを送信するためのデジタルデータリンクシステムである。パイロットが情報を入力してもよい。
【0008】
図1は、航空機軌道10の形の航空機用飛行経路の概略図である。軌道は、出発空港等の軌道出発点12から始まり、目的地空港等の軌道終点14で終わる。出発点12と終点14との間の移動には、上昇段階16、巡航段階18、および下降段階20があり、これらはすべて軌道10に含まれる。
【0009】
上昇、巡航、および下降段階は、通常、データ点としてFMSに入力される。本記述の目的で、データ点という用語は、航路定点、途中航路定点、および高度を含むあらゆる種類のデータ点を含むことができ、特定の地理的位置に限定されない。例えば、データ点は、単に高度としてもよく、または経度および緯度等の任意の座標系で表すことのできる特定の地理的位置としてもよい。非限定的な例として、データ点を3次元または4次元とすることができ、航空機軌道10の4次元記述によって、航空機が任意の所与の時点で3次元空間のどこに位置するかを定義する。各データ点は、温度データおよび風データを含み得る気象データ等の関連情報を含むことができる。
【0010】
上昇については、上昇最上部22の高度Aに対応するデータ点を入力することができ、巡航については、途中航路定点Bを入力することができ、下降については、下降最上部24からの種々の高度を入力することができる。離陸後、航空機は、通常、上昇最上部22まで上昇段階16のままであり、その後、巡航段階18中は途中航路定点をたどって下降最上部24に至り、そこで下降段階20を開始する。上昇段階16および下降段階20の高度Aは、航空機が、これらの段階中にこのような高度に至る軌道10を達成しているという意味では、航路定点である。途中航路定点Bは、航空機の軌道10に沿った地上航行援助装置(Navaids)の位置に基づいて選択することができる。巡航段階18中、特に、航空機がその高度を変えてジェット気流等の卓越風の影響を利用または最小にする大陸横断飛行では、高度がいくらか変化し得、燃料の燃焼時により高い高度まで上昇し、または乱気流を避けることが理解できよう。
【0011】
擬似航路定点P等の追加のデータ点も軌道10に含むことができる。これらのデータ点は、軌道10のパラメータに関連した何らかの目的で作成された人工基準点で、地上航行援助装置に限定されるものではない。これらのデータ点は、軌道についての既定のデータ点が設定される前または後に定義することができる。擬似航路定点は、緯度および経度による方法、または軌道に沿った航路定点等の、現在の軌道に沿った特定距離による方法等の種々の方法で定義することができる。
【0012】
気象データは、データ点のいずれかについて入力することができる。このような気象データにより、FMS飛行予測が向上する。気象データは、リアルタイムの気象データまたは予測された気象データを含み得る気象データベースから得ることができる。このような気象データベースは、ある気象に関連する現象(例えば風速、風向、温度等)に関する情報や、視界(例えば霧、曇り等)、降水(雨、ひょう、雪、氷晶雨等)、その他の気象情報に関連するデータを含むことができる。軌道計算の際に、空気温度と風とを正確に考慮して、予測された軌道に航空機が確実に一致するようにしなければならないため、気象データベースは、局所的な空域の3次元リアルタイム温度モデルおよび風モデルと、4次元予測データとを含むことができる。気象データベースは、特定の緯度、経度、および高度に基づく、このようなリアルタイムの、または予測された気象データを記憶することができる。
【0013】
通常、軌道上の所望のデータ点に対応する気象データベースのデータ点からの気象データを使用することが最も正確であるが、データベースですべての緯度、経度および高度を考慮できるわけではない。米国やヨーロッパの陸上の点については、より細かい解像度の気象データがあり得るが、例えば、大西洋上の点については、2km毎の気象データとなり、解像度が低くなる。気象データベースの各データ点は、必ずしも軌道10上にあるわけではない。気象データベースが軌道上のデータ点に対応するデータ点を有していないとき、使用可能な気象データを補間して、軌道上にある気象データを得ることができ、補間された気象データをFMSに入力することができる。あるいは、軌道上のデータ点について最も近い気象データ点からの気象データをFMSに入力することができる。
【0014】
航空機の軌道付近の気象プロファイルを詳細に表示することによって、より正確なFMS予測が行われ、航空機燃料の使用や到着時間についての推定が向上するため、正確な気象データを有することが重要である。気象プロファイルを作成するのに使用される気象データが最新であるほど、気象プロファイルがより正確になる。
【0015】
しかし、気象データベースのすべての関連する気象データを、地上局からFMSに送信する能力は、FMS自体により制限され得る。これは、FMSが通常、気象データが入力され最終的に軌道予測に使用され得る飛行軌道上のデータ点の数を限定するためである。例えば、FMSでは、途中航路定点と、上昇および/または下降の際の限られた数の高度においてのみ、気象データを挿入することができる。多くのFMSでは、気象データベースが軌道についての何百もの関連データ点を有し得るのに対して、許容されるデータ点の総数が10未満である。したがって、FMSが受信可能な限られた数のデータ点を有するため、正確な気象データを提供することは課題となり得る。
【0016】
さらに、気象データの適時性は限られている。これは、地上から航空機への通信リンクでは、航空機の飛行軌道に関連する広範囲な気象データを送信するのに使用可能な帯域幅が限られていることがあるため、かつ、いずれの場合にも、大量のデジタルデータを航空機に通信するのには費用がかかり得るためである。最新のシステムは登録制であり、データ送信に比較的高い関連料金がかかる。非限定的な例として、現在、ACARSで送信される1文字または1バイト当たりに料金がかかる。したがって、最新の気象データをFMSに通信する費用にも、実用上の制限がある。最新の気象データがないと、飛行時間が長くなったときに、より大きな問題となる。
【0017】
FMSによる最も正確な軌道予測は、飛行経路軌道10に沿った使用可能な気象データをすべて使用した予測であろう。しかし、FMSに入力可能なデータ点についての制限、データをリアルタイムで航空機に送信する費用、および飛行計画に沿った実際の気象データの欠如により、FMSで使用される正確な気象データや気象データのリアルタイム更新に、実用上の限定が加えられる。後述する方法は、削減した気象データ点をFMSに提供することにより、これらの実用上の限定に関連した制限に対処している。これらの気象データ点は、重要な気象属性を保持し、このような情報に基づきFMSがその飛行予測を向上させることができるようにする。
【0018】
本発明の方法の実施形態は、削減した気象データ点を決定し、FMSに送信する。より具体的には、本実施形態は、全体として、軌道に沿った気象データ点を選択して、軌道サブセットを形成するステップ、軌道サブセットから温度データの一意サブセットを選択するステップ、温度サブセットから温度プロファイルを生成するステップ、温度プロファイルを軌道サブセットと比較するステップ、一意温度サブセットの選択を繰り返すステップ、温度プロファイルを生成して、比較が所定の閾値を満たすまで、温度プロファイルを軌道サブセットと比較し、その後、所定の閾値を満たす温度データの一意サブセットに対応する気象データ点を識別して、これらの気象データ点をFMSに送信するステップとして説明することができる。
【0019】
本発明の実施形態によれば、図2は、航空機軌道用の気象データ点の削減サブセットをFMSに提供する方法100を示す。図示された一連のステップは例示の目的でのみなされたものであり、いかなる形でも方法100を限定するものではない。異なる論理的順序でステップを進めることができ、あるいは、本発明を逸脱することなく、追加のステップまたは介在するステップを含み得ることが理解されるからである。このような方法100、または方法100の一部を地上のシステムで実施してもよいこと、関連する出力を、通信リンクを介して航空機のFMSに送信してもよいことが考えられる。
【0020】
方法100は、102で予測された航空機軌道を受信するステップから始まる。これは、軌道を定義する出発点および終点ならびに航路定点を受信するステップを含むことができる。軌道を、航空機でFMSにより予測して、地上システムにダウンリンクすることができ、または別の地上ベースの軌道予測システムにより生成することができる。
【0021】
104で、軌道を処理し、受信した軌道に沿った気象データ点を気象データベース全体から選択して、気象データ点の軌道サブセットを形成する。基本的には、軌道に沿ったデータ点について、気象予測データベースを検索する。これは、軌道の航路定点に関連した気象データ点の選択を含むことができる。気象予測データは、使用される3次元または4次元軌道に対応する軌道の領域内の、3次元または4次元フォーマットとすべきである。このように、気象予測データ点を、気象予測データベースから受信した軌道に沿って抽出して、気象予測データ点の軌道サブセットを形成することができる。このような気象データ点の軌道サブセットは、FMSが使用可能であろう気象データよりも多くの気象データを含み、すなわち、軌道サブセットのデータ点は、途中航路定点および/または高度よりも多くの点を含む。
【0022】
システムは、軌道に沿った気象データを、気象データベースまたは気象プロバイダから得る。気象データベースは、システムの一部である場合、気象データベースを通してアクセス可能な気象サーバに位置することができる。気象プロバイダは、軌道に沿った3次元または4次元の気象更新用のものである。気象データ点が軌道から所定の地理的距離にあれば、気象データ点は軌道に沿っていると考えることができる。非限定的な例として、特定の軌道について抽出された気象データ点は、軌道の位置から2〜5キロメートル以内とすることができる。データ点に関連する気象データがない場合、2つの最も近い気象データ点間の補間を使用することができる。したがって、軌道気象データ点は、航空機軌道上にある気象データ点と、補間された気象予測データ点のみを含むことができる。気象データ点は、関連する気象データのある空間位置を含むことができる。気象データは、風速、風向、空気温度、湿度、大気圧のデータ要素の少なくとも1つを含むことができる。
【0023】
106で、気象データ点の軌道サブセットから温度データを抽出して、軌道サブセットから基準軌道温度プロファイルを生成する。基準軌道温度プロファイルを生成するステップは、データ点の軌道サブセットの温度データを曲線適合するステップを含むことができる。どのような適切な曲線適合方法を使用してもよい。
【0024】
108で、温度データ点の一意サブセットを、気象データ点の軌道サブセットから選択して、軌道気象データ点の温度サブセットを定義する。すなわち、システムは、これらの軌道気象データ点から温度データの一意サブセットを抽出して、温度サブセットを形成する。温度データ点の一意サブセットを選択するステップは、FMSに入力可能なデータ点の数以下の温度データ点の数を選択するステップを含むことができる。
【0025】
110で、温度データ点の一意サブセットから、航空機軌道に沿って温度プロファイルを生成することができる。温度プロファイルを生成するステップは、温度データ点の一意サブセットを曲線適合するステップを含むことができる。どのような適切な曲線適合方法を使用してもよい。方法100は、112に進み、温度プロファイルを106で生成された基準温度プロファイルと比較する。比較は、温度プロファイルと基準軌道温度プロファイルとの誤差または残差を判定するステップを含むことができる。
【0026】
114で、比較が所定の閾値を満たすか否かを判定する。閾値を「満たす」という用語は、本明細書では、差が閾値以下である等、差が所定の閾値を満たすことを意味するために使用される。このような判定を容易に変更して、正負の比較または真偽の比較により満たされるようにしてもよいことを理解されたい。閾値は実験的に決定することができ、ユーザが近似プロファイルに合わせて所定の閾値を細かく調整して、必要に合わせることができると考えられる。例えば、より短距離の飛行では、長距離飛行の場合ほど長時間、誤差が伝えられることがないため、より大きな誤差があることが許容できる。
【0027】
比較が閾値を満たさない場合、方法100は108に戻り、温度データの最新の一意サブセットを選択して、最新の温度サブセットを定義し、110で温度データの最新の一意サブセットから最新の温度プロファイルを生成し、112で最新の温度プロファイルを基準軌道温度プロファイルと比較し、比較が所定の閾値を満たすか否かを再び判定する。比較が閾値を満たすまで、これらのステップを繰り返す。あるいは、閾値を満たす比較の代わりに、温度データのすべての一意サブセットが評価され、他の適切な終了基準が満たされるまで、ステップを繰り返してもよいことが考えられる。
【0028】
比較により温度プロファイルと基準温度プロファイルとの誤差を判定する場合、所定の閾値を満たすことは、判定された誤差が所定量未満であることを含み得ると考えられる。あるいは、所定の閾値を満たすことは、誤差が最小の一意サブセットを見つけることを含み得る。このような温度データ点の一意サブセットを見つけることは、サブセットの1点を別の点に置き換えること、または追加の温度データ点を一意サブセットに加えることを含み得る。所定の閾値よりも小さい、誤差が最小の一意温度サブセットが見つかるまで、一意温度サブセットをこのように変更することができると考えられる。
【0029】
サブセットの他の点からの最小の距離等の制約を考慮することができる。また、前記方法は、種々のユーザ制約を考慮することができ、所与の一連のユーザ制約に対して、温度データ点の一意サブセットを最適化する。非限定的な例として、FMSに送信可能なデータ点の最大数を定義するデータ点閾値を、ユーザにより設定することができる。非限定的な例として、FMSシステムは、5つの気象データ点の所定のデータ点閾値を有することができ、したがって、データ点閾値は、温度データ点のサブセットのデータ点の量を限定するように、ユーザにより設定することができる。ユーザは、FMSが費用の理由で受け入れることのできるデータ点の量よりも少ない限度を設定することができる。
【0030】
比較により閾値が満たされると、方法は116に進み、所定の閾値を満たす温度データ点の一意サブセットに対応する気象データ点を軌道気象データサブセットから識別する。すなわち、温度データ点の一意サブセットに対応する風速、風向、空気温度、湿度、および/または大気圧のデータ要素を含み得る、関連する気象データをもつ空間位置のある気象データ点が識別される。
【0031】
118で、識別された気象データ点をFMSに出力することができる。情報を再フォーマットして、ユーザが必要とするフォーマットにすることができ、このような再フォーマットされた情報を118で出力することができると考えられる。例えば、方法100で使用される内部計算は、気象位置座標として移動距離を使用することができるが、情報を受信するFMSは、特定の緯度/経度位置での気象入力を必要とし得る。したがって、方法100は、FMSに適したフォーマットで情報を出力するために、データ表示間の変換を行うことを含み得ると考えられる。
【0032】
飛行の少なくとも1段階(上昇16、巡航18、および下降20)について、識別された気象データ点を計算することができ、軌道全体について識別された気象データ点を同時に演算するか、各段階を個別に演算することができると考えられる。ステップ104〜118は地上局で実行され、118で、航空機に搭載されたFMSに通信リンクを介して無線送信されると考えられる。航空機の飛行中または着陸中に、識別された気象データ点を航空機に送信することができると考えられる。したがって、FMSに送信されるデータは、航空機の飛行中に直面する気象を最もよく表す、限られた気象データを含むことができる。
【0033】
非限定的な例として、図3は、気象データ点の軌道サブセットからの温度データ202と、軌道サブセットから生成された基準軌道温度プロファイル204とをグラフで示す。温度データ点の一意サブセット206と、温度サブセット206から生成された温度プロファイル208も示される。理解できるように、温度プロファイル208と基準軌道温度プロファイル204との残差が所定の閾値を満たすまで、温度データ点の異なる一意サブセット206を選択することができる。
【0034】
前述した実施形態は、広範囲にわたる気象情報を処理し、FMSに提供されるように設定された削減したデータを演算する。本発明は、多くのFMSが、このデータを記憶するように使用可能な限定されたメモリを有し、軌道予測の際に使用される限られた数の要素のみを受信可能であることを考慮に入れる。このような識別された気象データ点により、FMSは、航空機の飛行中に直面する気象についての削減した気象情報に基づき、より正確な軌道を作成することができる。
【0035】
本記述は、例を使用して最良の形態を含む本発明を開示し、かつ任意の装置またはシステムの製造および使用、ならびに任意の組み込まれた方法の実施を含む本発明を当業者が実施できるようにするものである。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲により定義され、当業者が想到する他の例を含んでいてもよい。このような他の例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造的要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言と実質的な差のない等価な構造的要素を含む場合に、特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0036】
10 飛行経路軌道
12 出発点
14 終点
16 上昇段階
18 巡航段階
20 下降段階
22 上昇最上部
24 下降最上部
100 方法
202 温度データ
204 基準軌道温度プロファイル
206 一意サブセット
208 温度プロファイル
A 高度
B 途中航路定点
P 擬似航路定点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機軌道についての気象情報を飛行管理システム(FMS)に提供する方法であって、
a)航空機軌道を受信するステップと、
b)気象データベースから受信した軌道に沿った温度データおよび風データの両方を含む気象データ点を選択して、気象データ点の軌道サブセットを形成するステップと、
c)前記気象データ点の軌道サブセットから基準軌道温度プロファイルを生成するステップと、
d)前記軌道サブセットから温度データの一意サブセットを選択して、前記気象データ点の温度サブセットを定義するステップと、
e)前記航空機軌道に沿った温度プロファイルを前記温度サブセットから生成するステップと、
f)前記温度プロファイルを前記基準軌道温度プロファイルと比較するステップと、
g)比較が所定の閾値を満たすまでd〜fを繰り返すステップと、
h)前記所定の閾値を満たす温度データの前記一意サブセットに対応する前記軌道サブセットから、前記気象データ点を識別するステップと、
i)前記識別された気象データ点をFMSに送信するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記航空機軌道を受信するステップが、前記軌道を定義する航路定点を受信するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記気象データ点を選択するステップが、前記航路定点に関連する気象データ点を抽出するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記基準軌道温度プロファイルを生成するステップが、気象データ点の前記軌道サブセットの前記温度データを曲線適合するステップを含む、請求項1乃至3記載の方法。
【請求項5】
前記温度プロファイルを生成するステップが、前記温度サブセットを曲線適合するステップを含む、請求項1乃至4記載の方法。
【請求項6】
前記比較が、前記基準軌道温度プロファイルと前記温度プロファイルとの誤差を判定するステップを含む、請求項1乃至5記載の方法。
【請求項7】
前記所定の閾値を満たすことが、判定された誤差が所定量未満であることを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記所定の閾値を満たすことが、誤差が最小の一意サブセットを見つけることを含む、請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記温度データの一意サブセットを選択するステップは、前記FMSに入力可能なデータ点の数以下の温度データの数を選択するステップを含む、請求項1乃至8記載の方法。
【請求項10】
前記航空機軌道が複数の段階を含み、前記識別された気象データ点が、前記段階の少なくとも1つについて設けられる、請求項1乃至9記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−32143(P2013−32143A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−146202(P2012−146202)
【出願日】平成24年6月29日(2012.6.29)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)