説明

舵角比可変操舵装置

【課題】いわゆるコリオリ運動歯車を利用して、騒音や振動を低減すると共に低コスト化を図ることができる舵角比可変操舵装置を提供する。
【解決手段】舵角比可変操舵装置を構成する減速機19は、アッパステアリングシャフト2に固定的に配置された第1歯車191と、ロアステアリングシャフト4に回転拘束された第4歯車192と、モータ軸143に連結され外周側に傾斜外周面193b1が形成された傾斜軸193と、傾斜外周面193b1に回転可能に支持されると共に、第1歯車191に噛合する第2歯車と第4歯車192に噛合する第3歯車とを有する揺動歯車194の外輪歯車部194cとを備える。さらに、アッパステアリングシャフト2に一体的に結合されたハウジング13に対して第4歯車192に揺動歯車194側への軸方向力を付与する軸方向押圧スプリング195を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舵角比可変操舵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
舵角比可変操舵装置は、アッパステアリングシャフトの操舵角に対するロアステアリングホイールの転舵角の舵角比を可変することができる。この舵角比可変操舵装置は、舵角比可変用モータと減速機とを備えている。そして、この減速機は、例えば、遊星歯車機構からなる減速機や波動歯車機構からなる減速機などが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、遊星歯車機構や波動歯車機構などからなる減速機は、歯車間に径方向のガタが生じるため、歯当たり音やこすれ音などを発生し、騒音や振動の原因となっている。また、歯車の加工精度や面粗度を向上させることにより、上記問題は低減することができるが、コストアップにつながる。
【0004】
ところで、減速機としては、遊星歯車機構や波動歯車機構の他に、いわゆるコリオリ運動歯車を利用した減速機が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第3189627号公報
【特許文献2】特開平11−315892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、いわゆるコリオリ運動歯車を利用して、騒音や振動を低減すると共に低コスト化を図ることができる舵角比可変操舵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の舵角比可変操舵装置は、ステアリングホイールに連結され前記ステアリングホイールの操舵角を伝達するアッパステアリングシャフトと、前記アッパステアリングシャフトと略同軸上に配置され前記アッパステアリングシャフトに対してモータ出力軸を相対回転可能な舵角比可変モータと、前記モータ出力軸に連結され前記モータ出力軸のモータ回転角を低減した転舵角を出力する減速機と、前記減速機から出力される前記転舵角を転舵輪側に伝達するロアステアリングシャフトと、を備え、前記操舵角に対する前記転舵角の舵角比を可変する装置である。
【0007】
そして、本発明の舵角比可変操舵装置の特徴的事項は、前記減速機は、前記アッパステアリングシャフトに回転拘束され端面に歯数n1の第1歯が形成された第1歯車と、前記ロアステアリングシャフトに回転拘束され前記第1歯車の前記端面に対向する端面に歯数n4の第4歯が形成された第4歯車と、前記モータ出力軸に固定され前記モータ出力軸の回転軸に対して所定角度傾斜した傾斜回転軸を軸心とする傾斜面が外周側に形成された傾斜軸と、前記第1歯車と前記第4歯車との間であって前記傾斜面に回転可能に軸支され、前記第1歯車に噛合し歯数n2の第2歯が端面に形成された第2歯車と前記第4歯車に噛合し歯数n3の第3歯が端面に形成された第3歯車を有し、前記第1歯車及び前記第2歯車の各ピッチ円を通る第1共通球面の中心点と前記第3歯車及び前記第4歯車の各ピッチ円を通る第2共通球面の中心点とが一致する揺動歯車と、を備えることである。
【発明の効果】
【0008】
このように本発明の舵角比可変操舵装置によれば、いわゆるコリオリ運動歯車を利用することにより、径方向のガタをなくすことができる。これにより、騒音や振動の発生を低減することができる。さらに、上記構成により、歯車の加工精度や面粗度をさらに向上させることによりガタの低減を図ることなく、径方向のガタはなくすことができる。つまり、低コスト化を図ることができる。
【0009】
なお、コリオリ運動歯車とは、上述した本発明の舵角比可変操舵装置の減速機を構成する部材のうち、少なくとも第1歯車と第4歯車と傾斜軸と揺動歯車とから構成される歯車を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
【0011】
本発明の舵角比可変操舵装置は、上述したように、アッパステアリングシャフトと、ハウジングと、舵角比可変モータと、減速機と、ロアステアリングシャフトとを備える。さらに、上述したように、減速機は、第1歯車と、第4歯車と、傾斜軸と、揺動歯車とを備える。
【0012】
(1)軸方向力付与部材
本発明の舵角比可変操舵装置は、さらに、前記アッパステアリングシャフト又は前記ロアステアリングシャフト若しくは前記アッパステアリングシャフト又は前記ロアステアリングシャフトに固定的に配置されたハウジングに対して少なくとも前記第1歯車及び前記第4歯車の一方に前記揺動歯車側への軸方向力を付与する軸方向力付与部材を備えるようにするとよい。このように、第1歯車又は第4歯車を揺動歯車側に押圧する軸方向力付与部材は、第1歯車及び第2歯車の軸方向の隙間、並びに、第3歯車及び第4歯車の軸方向の隙間が狭くなるように作用している。その結果、軸方向の隙間(ガタ)をより減少させることができる。従って、騒音や振動の発生をより低減することができる。
【0013】
ここで、この前記軸方向力付与部材は、アッパステアリングシャフト又はアッパステアリングシャフトに固定的に配置されたハウジングに対して第1歯車に揺動歯車側への軸方向力を付与する部材、アッパステアリングシャフト又はアッパステアリングシャフトに固定的に配置されたハウジングに対して第4歯車に揺動歯車側への軸方向力を付与する部材、ロアステアリングシャフト又はロアステアリングシャフトに固定的に配置されたハウジングに対して第1歯車に揺動歯車側への軸方向力を付与する部材、又は、ロアステアリングシャフト又はロアステアリングシャフトに固定的に配置されたハウジングに対して第4歯車に揺動歯車側への軸方向力を付与する部材の中から選択された1以上の部材である。ここで、ハウジングとは、舵角比可変モータ及び減速機を収納する部材である。そして、このハウジングは、アッパステアリングシャフトに固定的に配置される場合、ロアステアリングシャフトに固定的に配置される場合、車体などに固定的に配置されアッパステアリングシャフト及びロアステアリングシャフトに相対回転可能に配置される場合などがある。
【0014】
なお、前記軸方向力付与部材が、アッパステアリングシャフト又はアッパステアリングシャフトに固定的に配置されたハウジングに対して第1歯車に揺動歯車側への軸方向力を付与する部材である場合には、第1歯車がアッパステアリングシャフト又は当該ハウジングに回転拘束されつつ、アッパステアリングシャフト又は当該ハウジングに対して軸方向移動可能に配置される必要がある。また、軸方向力付与部材が、アッパステアリングシャフト又はアッパステアリングシャフトに固定的に配置されたハウジングに対して第4歯車に揺動歯車側への軸方向力を付与する部材である場合には、第4歯車がアッパステアリングシャフト又は当該ハウジングに対して軸方向移動可能に配置される必要がある。また、軸方向力付与部材が、ロアステアリングシャフト又はロアステアリングシャフトに固定的に配置されたハウジングに対して第1歯車に揺動歯車側への軸方向力を付与する部材である場合には、第1歯車がロアステアリングシャフト又は当該ハウジングに対して軸方向移動可能に配置される必要がある。また、軸方向力付与部材が、ロアステアリングシャフト又はロアステアリングシャフトに固定的に配置されたハウジングに対して第4歯車に揺動歯車側への軸方向力を付与する部材である場合には、第4歯車がロアステアリングシャフト又はハウジングに回転拘束されつつ、ロアステアリングシャフト又は当該ハウジングに対して軸方向移動可能に配置される必要がある。
【0015】
また、前記軸方向力付与部材は、軸方向一端側が前記アッパステアリングシャフト又は前記ロアステアリングシャフト若しくは前記ハウジングを押圧し、軸方向他端側が前記第1歯車又は前記第4歯車を押圧するスプリングとしてもよい。例えば、スプリングからなる軸方向力付与部材は、アッパステアリングシャフト又はアッパステアリングシャフトに固定的に配置されたハウジングと第1歯車とを押圧する場合には、第1歯車の第1歯が形成されている面とは反対側に配置されているアッパステアリングシャフト又は当該ハウジングの端面と、第1歯車の第1歯が形成されている面とは反対側の面との間に配置される。また、スプリングからなる軸方向力付与部材は、アッパステアリングシャフト又はアッパステアリングシャフトに固定的に配置されたハウジングと第4歯車とを押圧する場合には、第4歯車の第4歯が形成されている面とは反対側に配置されているアッパステアリングシャフト又は当該ハウジングの端面と、第4歯車の第4歯が形成されている面とは反対側の面との間に配置される。また、スプリングからなる軸方向力付与部材は、ロアステアリングシャフト又はロアステアリングシャフトに固定的に配置されたハウジングと第1歯車とを押圧する場合には、第1歯車の第1歯が形成されている面とは反対側に配置されているロアステアリングシャフト又は当該ハウジングの端面と、第1歯車の第1歯が形成されている面とは反対側の面との間に配置される。また、スプリングからなる軸方向力付与部材は、ロアステアリングシャフト又はロアステアリングシャフトに固定的に配置されたハウジングと第4歯車とを押圧する場合には、第4歯車の第4歯が形成されている面とは反対側に配置されているロアステアリングシャフト又は当該ハウジングの端面と、第4歯車の第4歯が形成されている面とは反対側の面との間に配置される。
【0016】
このように、軸方向力付与部材をこのようなスプリングとすることにより、確実に、容易に、かつ安価に第1歯車又は第4歯車を揺動歯車側に押圧することができる。なお、スプリングとしては、例えば、皿バネやウェーブワッシャなどを用いることができる。また、スプリングのバネ力により軸方向力を適宜調整することができる。
【0017】
また、前記軸方向力付与部材は、前記アッパステアリングシャフト又は前記ロアステアリングシャフト若しくは前記ハウジングに軸方向移動可能に螺合されると共に、一端側が前記第1歯車又は前記第4歯車を押圧する螺合部材としてもよい。これにより、容易にかつ確実に第1歯車又は第4歯車を揺動歯車側に押圧することができる。なお、軸方向力の調整は、螺合部材の軸方向位置を調整することにより達成できる。ここで、螺合部材の軸方向位置の調整は非常に容易であるので、第1歯車又は第4歯車に付与する軸方向力の調整が非常に容易に行うことができる。
【0018】
また、前記軸方向力付与部材は、前記アッパステアリングシャフト又は前記アッパステアリングシャフトに固定的に配置された前記ハウジングに固定された外輪及び内輪の何れか一方と前記第4歯車に固定された外輪及び内輪の何れか他方とを有し少なくとも一方向の軸方向荷重を負荷可能な軸受と、前記アッパステアリングシャフト又は前記ハウジングに対して前記軸受の前記外輪を前記第4歯車側に押圧して前記アッパステアリングシャフト又は前記ハウジングに対して前記第4歯車に前記揺動歯車側への軸方向力を付与する押圧部材と、を有するようにしてもよい。ここで、第4歯車はアッパステアリングシャフト又はアッパステアリングシャフトに固定的に配置されたハウジングに対して相対的に回転する部材である。従って、第4歯車はアッパステアリングシャフト又は当該ハウジングに対して回転可能に支持されるように径方向荷重を負荷可能な軸受(ラジアル軸受)を配置する場合がある。そして、この軸受に軸方向の予圧を付与可能なアンギュラ玉軸受や円すいころ軸受などを用いると共に、軸受へ付与可能な予圧を利用してアッパステアリングシャフト又は当該ハウジングに対して第4歯車を揺動歯車側に押圧するようにする。つまり、軸方向荷重を負荷可能な軸受を利用することにより、アッパステアリングシャフト又は当該ハウジングに対して第4歯車を回転可能に軸支することができると共に、確実に第4歯車を揺動歯車側へ押圧することができる。なお、軸受を押圧する押圧部材は、上述した、スプリング又は螺合部材を用いることができる。
【0019】
(2)その他
また、本発明の舵角比可変操舵装置は、さらに、前記モータ出力軸の外周面に係合すると共に前記傾斜軸の内周面に係合する係合部材を備えるようにしてもよい。これにより、モータ出力軸と傾斜軸とが一体的に回転可能とすることができる。
【0020】
この場合、例えば、前記モータ出力軸の前記外周面の径方向形状及び前記係合部材の径方向形状と、前記傾斜軸の前記内周面の径方向形状及び前記係合部材の径方向形状との少なくとも一方は、非円形形状からなるようにするとよい。例えば、十字型や多角形などとするとよい。これにより、より確実にモータ出力軸と傾斜軸とが一体的に回転可能とすることができる。
【0021】
また、前記傾斜軸は、前記モータ出力軸に一体形成されるようにしてもよい。これにより、モータ出力軸と傾斜軸とが一体的に回転可能にすることができることはもとより、部品点数を削減することができ、低コスト化を図ることができる。
【0022】
また、本発明の舵角比可変操舵装置は、上述したように、アッパステアリングシャフトと、舵角比可変モータと、減速機と、ロアステアリングシャフトとを備えるとしたが、これに加えて、スパイラルケーブル、ロック装置などを備えるようにしてもよい。スパイラルケーブルは、例えば舵角比可変モータのアッパステアリングシャフト側に配置されており、舵角比可変モータのステータが車体に対して回転した場合であっても舵角比可変モータへ電力及び信号の供給を可能とするためのケーブルである。ロック装置は、アッパステアリングシャフト又はアッパステアリングシャフトに固定的に配置されたハウジングと舵角比可変モータのモータ出力軸とを連結する装置である。すなわち、ロック装置は、アッパステアリングシャフトとロアステアリングシャフトとを一体的に回転させる装置である。
【実施例】
【0023】
次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
【0024】
(1)車両用動力操舵装置の全体構成
まず、車両用動力操舵装置の全体構成について図1を参照して説明する。図1は、車両用動力操舵装置の全体構成を示す図である。図1に示すように、車両用動力操舵装置は、主として、ステアリングホイール1と、アッパステアリングシャフト2と、舵角比可変ユニット3と、ロアステアリングシャフト4と、電動パワーステアリング装置5とから構成される。ここで、本発明の舵角比可変操舵装置は、アッパステアリングシャフト2と、舵角比可変ユニット3と、ロアステアリングシャフト4とから構成される装置である。
【0025】
アッパステアリングシャフト2は、ステアリングホイール1に連結され、運転者によるステアリングホイール1の操舵角を伝達するシャフトである。舵角比可変ユニット3は、アッパステアリングシャフト2の下端側に略同軸上に連結されると共に、ロアステアリングシャフト4の上端側に連結されている。そして、舵角比可変ユニット3は、アッパステアリングシャフト2の操舵角に対するロアステアリングシャフト4の転舵角である舵角比を可変するモータ(図2に示す)14を含むユニットである。この舵角比可変ユニット3の詳細は、後述する。なお、ロアステアリングシャフト4の上端側の外周側に外周スプラインが形成され、舵角比可変ユニット3のうちロアステアリングシャフト4に係合する部分の内周側には、ロアステアリングシャフト4の外周スプラインに係合して回転拘束可能な内周スプラインが形成されている。
【0026】
電動パワーステアリング装置5は、ラックピニオン式の電動パワーステアリング装置である。すなわち、ロアステアリングシャフト4の下端側にピニオン(図示せず)が形成され、当該ピニオンがラック(図示せず)に噛合している。そして、電動パワーステアリング装置5を構成するアシスト電動機により、車輪(転舵輪)を転舵させる補助操舵力を発生させる。
【0027】
(2)舵角比可変ユニット3の詳細構成
舵角比可変ユニット3について図2を参照して説明する。図2は、舵角比可変ユニット3の軸方向断面図を示す。図2に示すように、舵角比可変ユニット3は、第1ハウジング11と、第2ハウジング12と、第3ハウジング13と、モータ(舵角比可変モータ)14と、ロック装置15と、角度センサ16と、スパイラルケーブル17と、ゴムカップリング18と、減速機19とから構成される。
【0028】
(2.1)ハウジング11〜13
第1ハウジング11は、中央に軸孔が形成された略円筒カップ状からなり、底面の外側、すなわち上端面外側(図2の左側)がアッパステアリングシャフト2に一体的に結合されている。第2ハウジング12は、略円筒状からなり、第1ハウジング11の開口側(図2の右側)の内周面に一体的に連結されている。この第2ハウジング12のロアステアリングシャフト4側(図2の右側)の内周面には、雌ねじが形成されている。第3ハウジング13は、中央に軸孔が形成された略円盤状からなり、第2ハウジング12に形成された雌ねじに螺合可能な雄ねじが外周面に形成されている。そして、第3ハウジング13は、第2ハウジング12に形成された雌ねじに螺合している。
【0029】
(2.2)モータ14
モータ14は、第1ハウジング11及び第2ハウジング12内のうち軸方向のほぼ中央に配置されている。すなわち、モータ14は、第2ハウジング12のアッパステアリングシャフト2側半分(図2の左側半分)に配置されている。このモータ14は、モータハウジング141と、ステータ142と、モータ軸(モータ出力軸)143とから構成される。
【0030】
ここで、モータハウジング141は、モータハウジング本体141aとモータエンドプレート141bとからなる。モータハウジング本体141aは、中央に軸孔が形成された略円筒カップ状からなり、外周端が第2ハウジング12に固定されている。そして、モータエンドプレート141bは、中央に軸孔が形成された略円盤状からなる。このモータエンドプレート141bは、モータハウジング本体141aのアッパステアリングシャフト2側の開口部を塞ぐように、第1ハウジング11に固定されている。
【0031】
ステータ142は、積層された円盤形状の珪素鋼板に巻線142aが巻回されてなり、モータハウジング本体141aの内周面に固定されている。モータ軸143は、モータ軸本体143aとモータ軸本体143aの外周面に固定されたマグネット143bとからなる。モータ軸本体143aは、モータハウジング本体141a及びモータエンドプレート141bの中央の軸孔に配置された深溝玉軸受により支承され、各ハウジング11〜13及びステータ142に対して同軸上に相対回転可能とされている。このモータ軸本体143aのロアステアリングシャフト4側の端部は、モータハウジング本体141aに支持された深溝玉軸受のロアステアリングシャフト4側の延在している。そして、このモータ軸本体143aのロアステアリングシャフト4側の端部の径方向断面形状は、略十字型に形成されている。また、モータ軸143のマグネット143bは、モータ軸本体143aの外周面のうちステータ142に対向する位置に配置されている。
【0032】
なお、モータ14は、ロアステアリングシャフト4の転舵角が、アッパステアリングシャフト2の操舵角等に応じて算出されたロアステアリングシャフト4の転舵目標角になるように角度制御される。
【0033】
(2.3)ロック装置15
ロック装置15は、ロックホルダ151と、ロックレバー152とを有する。ロックホルダ151は、モータ軸本体143aのアッパステアリングシャフト2側の端部に固定されており、外周面にロック歯(図示せず)が形成されている。ロックレバー152は、第1ハウジング11に固定された支持軸(図示せず)を中心に揺動可能であって、一端側にロックホルダ151のロック歯に噛合可能なレバー爪(図示せず)が形成されている。そして、ロックレバー152のレバー爪がロックホルダ151のロック歯に噛合している場合には、第1ハウジング11とモータ軸143とが一体的に回転されるロック状態となる。一方、ロックレバー152のレバー爪がロックホルダ151のロック歯に噛合していない場合には、第1ハウジング11とモータ軸143とは相対的に回転可能なロック解除状態となる。すなわち、ロック装置15は、ロック状態とロック解除状態との切替動作を行っている。
【0034】
(2.4)角度センサ16
角度センサ16は、モータ軸本体143aの外周側であって、モータエンドプレート141bに支持されている深溝玉軸受とロック装置15の間に配置されている。この角度センサ16は、モータ軸143の回転角度を検出する。
【0035】
(2.5)スパイラルケーブル17
スパイラルケーブル17は、筐体171と、内筒172と、フレキシブルフラットケーブル173とを有している。筐体171は、略円筒形状からなり、車体(図示せず)に固定されている。内筒172は、第1ハウジング11の外周側に固定されると共に、筐体171の内側に筐体171に対して相対回転可能に配置されている。フレキシブルフラットケーブル173は、複数のリード線が絶縁被覆されており、筐体171と内筒172との間に配置されている。このフレキシブルフラットケーブル173は、一端側が内筒172に接続されている。そして、フレキシブルフラットケーブル173の一端側に接続されたリード線は、内筒172から延出され、モータ14のステータ142の巻線142a及び角度センサ16等に接続されている。また、フレキシブルフラットケーブル173は、他端側が筐体171に接続されている。そして、フレキシブルフラットケーブル173の他端側に接続されたリード線は、筐体171から延出され、ECU(図示せず)等に接続される。すなわち、スパイラルケーブル17は、モータ14などが車体に対して回転した場合であってもモータ14などへ電力及び信号の供給を可能とするためのケーブルである。
【0036】
(2.6)ゴムカップリング18
ゴムカップリング18は、ゴム製からなり、径方向断面形状が略十字型からなるリング状に形成されている。このゴムカップリング18は、内周側がモータ軸本体143aのロアステアリングシャフト4側の端部に圧入嵌合し、外周側が後述する減速機19の傾斜軸193の内周側に圧入嵌合している。すなわち、ゴムカップリング18は、モータ軸本体143aと傾斜軸193との径方向のガタをなくすように、かつ、一体的に回転可能に係合させている。
【0037】
(2.7)減速機19
減速機19は、いわゆるコリオリ運動歯車機構を利用している。以下に、減速機19の概略構成及び詳細構成について説明した後に、減速機19の動作について説明する。なお、本実施例における減速機19の減速機構は、例えば、特開平11−315892号公報などに記載されているいわゆるコリオリ運動歯車機構からなる減速機と実質的にほぼ同一原理を利用している。
【0038】
(a)減速機19の概略構成
減速機19は、第2ハウジング12内のうちモータ14のロアステアリングシャフト4側に配置されている。そして、減速機19は、一方側がモータ軸143に連結され、他方側がロアステアリングシャフト4に連結されている。そして、減速機19は、入力されるモータ軸143の回転角(モータ回転角)を低減させた転舵角をロアステアリングシャフト4に出力している。
【0039】
この減速機19は、第2ハウジング12に固定された第1歯車191と、ロアステアリングシャフト4に回転拘束するように係合された第4歯車192と、モータ軸143に一体的に連結された傾斜軸193と、第1歯車191及び第4歯車192に噛合可能な歯車を有し、傾斜軸193の傾斜外周面(傾斜面)を相対回転可能に配置された揺動歯車194と、第3ハウジング13に対して第4歯車192を揺動歯車194側へ押圧する軸方向押圧スプリング(軸方向力付与部材、押圧部材)195とから構成される。
【0040】
(b)減速機19の詳細構成
次に、減速機19を構成する各部について図2〜図4を参照して詳細に説明する。なお、図3は、第4歯車192の軸方向断面図を示す。図4は、傾斜軸193の軸方向断面図を示す。
【0041】
(b1)第1歯車191
第1歯車191は、第1歯車本体191aと、複数の第1コロ歯車(第1歯)191bとから構成される。第1歯車本体191aは、中央に軸孔が形成された略円盤状からなり、一方端面(図2の右側面)に径方向溝(図示せず)がn1個形成されている。そして、この第1歯車本体191aは、径方向溝がロアステアリングシャフト4側を向くように、第2ハウジング12の内周側のうちのモータ14側に固定されている。また、第1歯車本体191aの内周面には、後述する傾斜軸193の外周面に支持された深溝玉軸受の外輪が嵌合されている。第1コロ歯車191bは、第1歯車本体191aの径方向溝に径方向回りに回転可能に支持されている。つまり、第1歯車191は、歯数n1のコロ歯車を形成する歯車である。
【0042】
(b2)第4歯車192
第4歯車192については、図2及び図3を参照して説明する。第4歯車192は、全体としては、中央に軸孔が形成された略円盤状からなる。詳細には、第4歯車192は、ロアシャフト係合部192aと、内径支持部192bと、アンギュラ玉軸受当たり部192cと、第4コロ歯車(第4歯)192dとから構成される。ロアシャフト係合部192aは、中心に軸孔が形成された円盤状からなる。このロアシャフト係合部192aは、具体的には、ロアステアリングシャフト4の上端側外周に形成された外周スプラインに係合可能な内周スプライン192eが形成されている。さらに、ロアシャフト係合部192aの外周面には、第2ハウジング12の内周面に支持されたアンギュラ玉軸受の内輪が嵌合されている。なお、第2ハウジング12の内周面に支持されたアンギュラ玉軸受は、接触角(玉中心から軸心に向かう方向ベクトルに対する玉中心からローラと内輪とが接触する位置に向かう方向ベクトルへのなす角度)がアッパステアリングシャフト2側へ90度未満の所定角度となるように配置されている。
【0043】
内径支持部192bは、中央に軸孔が形成された略円盤状からなる。この内径支持部192bは、ロアシャフト係合部192aの内径よりも大きな内径からなり、ロアシャフト係合部192aの外径よりも大きく第2ハウジング12の内径よりも僅かに小さな外径からなる。そして、この内径支持部192bは、ロアシャフト係合部192aのアッパステアリングシャフト2側の端面外周側に一体的に結合されている。さらに、内径支持部192bは、一方端面(図2及び図3の左側面)に径方向溝(図示せず)がn4個形成されている。また、内径支持部192bの内周面には、後述する傾斜部193の外周面に支持された深溝玉軸受の外輪が嵌合されている。
【0044】
アンギュラ玉軸受当たり部192cは、ロアシャフト係合部192aの外周側であって、内径支持部192bのロアステアリングシャフト4側の端面に、第2ハウジング12の内周面に支持されたアンギュラ玉軸受の内輪の端面が当接している。第4コロ歯車192dは、内径支持部192bの径方向溝に径方向回りに回転可能に支持されている。
【0045】
つまり、第4歯車192は、歯数n4のコロ歯車を形成する歯車である。さらに、第4歯車192は、第4コロ歯車192dがアッパステアリングシャフト2側を向くように、ロアステアリングシャフト4に回転拘束されるように固定されている。つまり、第4歯車192の第4コロ歯車192dが第1歯車191の第1コロ歯車191bが対向するように、第4歯車192が配置されている。
【0046】
(b3)傾斜軸193
傾斜軸193については、図2及び図4を参照して説明する。傾斜軸193は、全体としては、中央に軸孔が形成された略円筒形状からなる。詳細には、傾斜軸193は、モータ連結部193aと、揺動歯車支持部193bと、第4歯車支持部193cとから構成される。
【0047】
モータ連結部193aは、中央にゴムカップリング18が圧入嵌合可能な十字孔193dが形成された略円盤状からなる。すなわち、モータ連結部193aは、ゴムカップリング18を介して、モータ軸143の回転が伝達される。そして、このモータ連結部193aの外周面には、第1歯車191の内周面に支持された深溝玉軸受の内輪が嵌合されている。すなわち、傾斜軸193は、第1歯車191に対して相対回転可能とされている。
【0048】
揺動歯車支持部193bは、中央に軸孔が形成された略円盤状からなり、モータ連結部193aのロアステアリングシャフト4側に一体的に結合されている。この揺動歯車支持部193bの外径は、モータ連結部193aの外径よりも大きく、第1歯車本体191aの内径よりも小さく形成されている。さらに、この揺動歯車支持部193bの外周側は、傾斜軸193の回転軸X1に対して所定角度θだけ傾斜した回転軸X2を軸心とする傾斜外周面(傾斜面)193b1が形成されている。なお、この傾斜外周面193b1には、後述する揺動歯車194の内輪が圧入嵌合される。さらに、揺動歯車支持部193bの傾斜外周面193b1のアッパステアリングシャフト2側には、揺動歯車194の内輪の当たり部193b2が外周側に突出形成されている。
【0049】
第4歯車支持部193cは、中央に軸孔が形成された略円筒状からなり、揺動歯車支持部193bのロアステアリングシャフト4側に一体的に結合されている。この第4歯車支持部193cの外周面には、第4歯車192の内径支持部192bの内周面に支持された深溝玉軸受の内輪が嵌合される。すなわち、傾斜軸193は、第4歯車192に対して相対的に回転可能とされている。
【0050】
(b4)揺動歯車194
揺動歯車194については図2を参照して説明する。揺動歯車194は、内輪部194aと、複数のローラ194bと、外輪歯車部194cとから構成される。内輪部194aは、略円筒形状からなり、内周側が傾斜軸193の揺動歯車支持部193bの傾斜外周面193b1に圧入嵌合される。さらに、内輪部194aのアッパステアリングシャフト2側の端面は、傾斜軸193の揺動歯車支持部193bの当たり部193b2に当接している。さらに、内輪部194aの外周面には、略円弧形状の周方向溝(図示せず)が形成されている。
【0051】
ローラ194bは、球状からなり、内輪部194aの周方向溝に転動可能に配置されている。外輪歯車部(第2歯車、第3歯車)194cは、略円筒形状からなり、内周面にはローラ194bが転動可能な略円弧形状の周方向溝(図示せず)が形成されている。そして、この外輪歯車部194cは、内輪部194aの外周側にローラ194bを介して配置されている。すなわち、外輪歯車部194cは、内輪部194aに対して回転軸X2(図4に示す)回りに回転可能とされている。
【0052】
さらに、外輪歯車部194cの両端面には、歯車が形成されている。具体的には、外輪歯車部194cのアッパステアリングシャフト2側の端面には、歯数n2の第2歯車(第2歯)が形成されている。この第2歯車の一部分(図2の上方側部分)は、第1歯車191の第1コロ歯車191bに噛合可能とされている。また、外輪歯車部194cのロアステアリングシャフト4側の端面には、歯数n3の第3歯車(第3歯)が形成されている。この第3歯車の一部分(図2の下方側部分)は、第4歯車192の第4コロ歯車192dに噛合可能とされている。
【0053】
(b5)軸方向押圧スプリング195
軸方向押圧スプリング195は、第2ハウジング12の内径より僅かに小さな外径からなり、第2ハウジング12の内周面に支持されたアンギュラ玉軸受の内輪よりも大きな内径からなる皿バネからなる。そして、この軸方向押圧スプリング195は、軸方向一端側が第3ハウジング13のアッパステアリングシャフト2側の端面の最外側に当接し、軸方向他端側が第2ハウジング12の内周面に支持されたアンギュラ玉軸受の外輪のロアステアリングシャフト4側に当接している。すなわち、軸方向押圧スプリング195は、第3ハウジング13に対してアンギュラ玉軸受の外輪をアッパステアリングシャフト2側へ押圧している。その結果、アンギュラ玉軸受の内輪がアッパステアリングシャフト2側へ押圧される。さらに、アンギュラ玉軸受の内輪は、第4歯車192のアンギュラ玉軸受当たり部192cに当接しているため、第4歯車192をアッパステアリングシャフト2側へ押圧する。つまり、軸方向押圧スプリング195は、第3ハウジング13に対して第4歯車192をアッパステアリングシャフト2側、すなわち、揺動歯車194側へ押圧している。
【0054】
(b6)第1歯車191、第4歯車192、及び、揺動歯車194の位置関係
ここで、第1歯車191、第4歯車192、及び、揺動歯車194の位置関係について、図5を参照してさらに詳述する。図5は、第1歯車191、第4歯車192、及び、揺動歯車194の位置関係について説明する図であり、図2の軸方向断面図に相当する図である。
【0055】
図5に示すように、第1歯車191の第1コロ歯車191bのピッチ円及び揺動歯車194の第2歯車のピッチ円を通る第1球面(第1共通球面)の中心はO1となる。さらに、第4歯車192の第4コロ歯車192dのピッチ円及び揺動歯車194の第3歯車のピッチ円を通る第2球面(第2共通球面)の中心もO1となる。つまり、第1球面の中心と第2球面の中心とが一致するように、第1歯車191、第4歯車192、及び、揺動歯車194が形成かつ配置される。
【0056】
(c)減速機19の動作
次に、上述した構成からなる減速機19の動作について説明する。ここで、減速機19の動作の説明の容易化のために、各ハウジング11〜13が固定され、モータ軸143がハウジング11〜13に対して回転する場合について説明する。
【0057】
まず、減速機19には、ハウジング11〜13に対して回転するモータ軸143の回転が入力される。ハウジング11〜13に対してモータ軸143が回転すると、モータ軸143に一体的に連結された傾斜軸193が一体的に回転する。このとき、傾斜軸193の揺動歯車支持部193bは、首を振るような動作をする。ここで、第1歯車191は第2ハウジング12に固定されているので、傾斜軸193は第2ハウジング12に対して回転することになる。
【0058】
そして、傾斜軸193が回転することにより揺動歯車支持部193bが首を振るような動作をすると、揺動歯車支持部193bの傾斜外周面193b1に回転可能に支持されている揺動歯車194の外輪歯車部194cが、あたかも停止寸前のこまのように首振り運動をする。この揺動歯車194の外輪歯車部194cの動作をコリオリ運動という。
【0059】
そして、揺動歯車194の外輪歯車部194cがコリオリ運動をすることにより、揺動歯車194の第2歯車を第1コロ歯車191bに、かつ、揺動歯車194の第3歯車を第4コロ歯車192dにそれぞれ噛合わせていく。そうすると、第1コロ歯車191bの歯数n1と揺動歯車194の外輪歯車部194cの第2歯車の歯数n2との歯数差に相当する分だけ、第1歯車191に対して揺動歯車194の外輪歯車部194cが回転する。さらに、第4コロ歯車194dの歯数n4と揺動歯車194の外輪歯車部194cの第3歯車の歯数n3との歯数差に相当する分だけ、揺動歯車194の外輪歯車部194cに対して第4歯車192が回転する。
【0060】
例えば、第1歯車191の歯数n1を100、揺動歯車194の外輪歯車部194cの第2歯車の歯数n2を101とした場合であって、モータ軸143が正方向に1回転した場合には、揺動歯車194の外輪歯車部194cはモータ軸143に対して1/100だけ正回転する。また、第1歯車191の歯数n1を100、揺動歯車194の外輪歯車部194cの第2歯車の歯数n2を99とした場合であって、モータ軸143が正方向に1回転した場合には、揺動歯車194の外輪歯車部194cはモータ軸143に対して1/100だけ逆回転する。
【0061】
また、例えば、揺動歯車194の外輪歯車部194cの第3歯車の歯数n3を100、第4歯車192の歯数n4を101とした場合であって、モータ軸143が正方向に1回転した場合には、第4歯車192はモータ軸143に対して1/100だけ正回転する。また、揺動歯車194の外輪歯車部194cの第3歯車の歯数n3を100、第4歯車192の歯数n4を99とした場合であって、モータ軸143が正方向に1回転した場合には、第4歯車192はモータ軸143に対して1/100だけ逆回転する。
【0062】
つまり、モータ軸143が1回転した場合にロアステアリングシャフト4の回転数である減速比Rは、数1のようになる。つまり、例えば、各歯数が100歯程度の場合には、約2%の減速比となる。
【0063】
【数1】

【0064】
なお、軸方向押圧スプリング195により、第3ハウジング13に対して第4歯車192が揺動歯車194側へ押圧されているので、第1歯車191と揺動歯車194の外輪歯車部194cの第2歯車との噛み合い、及び、第4歯車192と揺動歯車194の外輪歯車部194cの第2歯車との噛み合いが非常に良好にすることができる。つまり、軸方向押圧スプリング195により軸方向のガタを小さくすることができる。その結果、歯車の噛合いガタによる騒音や振動を大きく低減することができる。
【0065】
(3)その他
上記実施例においては、軸方向押圧スプリング195は、第3ハウジング13に対してアンギュラ玉軸受の外輪をアッパステアリングシャフト2側に押圧するように配置したが、これに限られるものではない。例えば、軸方向押圧スプリング195は、第3ハウジング13と第4歯車192との軸方向間に配置し、第3ハウジング13に対して直接的に第4歯車192を揺動歯車194側へ押圧するようにしてもよい。また、軸方向押圧スプリング195は、ロアステアリングシャフト4と第4歯車192との軸方向間に配置し、ロアステアリングシャフト4に対して第4歯車192を直接的に押圧するようにしてもよい。また、軸方向押圧スプリング195は、第2ハウジング12と第1歯車191との軸方向間に配置し、第2ハウジング12に対して第1歯車191を揺動歯車194側へ押圧するようにしてもよい。
【0066】
また、軸方向力付与部材として軸方向押圧スプリング195を用いるのではなく、第3ハウジング13そのものを軸方向力付与部材とすることもできる。具体的には、第3ハウジング13のアッパステアリングシャフト2側の端面をアンギュラ玉軸受の外輪のロアステアリングシャフト4側の端面を揺動歯車194側に押圧するようにしてもよい。また、第3ハウジング13のアッパステアリングシャフト2側の端面を第4歯車192のロアステアリングシャフト4側の端面に直接的に揺動歯車194側に押圧するようにしてもよい。
【0067】
また、第3ハウジング13の内周面と第4歯車192の外周面との間には、アンギュラ玉軸受を配置したが、これに限られるものではない。この軸受は、軸方向加重を負荷可能な軸受であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】車両用動力操舵装置の全体構成を示す図である。
【図2】舵角比可変ユニット3の軸方向断面図を示す。
【図3】第4歯車192の軸方向断面図を示す。
【図4】傾斜軸193の軸方向断面図を示す。
【図5】第1歯車191、第4歯車192、及び、揺動歯車194の位置関係について説明する図である。
【符号の説明】
【0069】
1:ステアリングホイール、 2:アッパステアリングシャフト、 3:舵角比可変ユニット、 4:ロアステアリングシャフト、 5:電動パワーステアリング装置、 11:第1ハウジング、 12:第2ハウジング、 13:第3ハウジング、 14:モータ(舵角比可変モータ)、 15:ロック装置、 16:角度センサ、 17:スパイラルケーブル、 18:ゴムカップリング、 19:減速機、 141:モータハウジング、 142:ステータ、 143:モータ軸(モータ出力軸)、 151:ロックホルダ、 152:ロックレバー、 171:筐体、 172:内筒、 173:フレキシブルフラットケーブル、 191:第1歯車、 192:第4歯車、 193:傾斜軸、 194:揺動歯車、 195:軸方向押圧スプリング(軸方向力付与部材、押圧部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールに連結され前記ステアリングホイールの操舵角を伝達するアッパステアリングシャフトと、
前記アッパステアリングシャフトと略同軸上に配置され前記アッパステアリングシャフトに対してモータ出力軸を相対回転可能な舵角比可変モータと、
前記モータ出力軸に連結され前記モータ出力軸のモータ回転角を低減した転舵角を出力する減速機と、
前記減速機から出力される前記転舵角を転舵輪側に伝達するロアステアリングシャフトと、
を備え、
前記操舵角に対する前記転舵角の舵角比を可変する舵角比可変操舵装置において、
前記減速機は、
前記アッパステアリングシャフトに回転拘束され端面に歯数n1の第1歯が形成された第1歯車と、
前記ロアステアリングシャフトに回転拘束され前記第1歯車の前記端面に対向する端面に歯数n4の第4歯が形成された第4歯車と、
前記モータ出力軸に固定され前記モータ出力軸の回転軸に対して所定角度傾斜した傾斜回転軸を軸心とする傾斜面が外周側に形成された傾斜軸と、
前記第1歯車と前記第4歯車との間であって前記傾斜面に回転可能に軸支され、前記第1歯車に噛合し歯数n2の第2歯が端面に形成された第2歯車と前記第4歯車に噛合し歯数n3の第3歯が端面に形成された第3歯車を有し、前記第1歯車及び前記第2歯車の各ピッチ円を通る第1共通球面の中心点と前記第3歯車及び前記第4歯車の各ピッチ円を通る第2共通球面の中心点とが一致する揺動歯車と、
を備えることを特徴とする舵角比可変操舵装置。
【請求項2】
さらに、前記アッパステアリングシャフト又は前記ロアステアリングシャフト若しくは前記アッパステアリングシャフト又は前記ロアステアリングシャフトに固定的に配置されたハウジングに対して少なくとも前記第1歯車及び前記第4歯車の一方に前記揺動歯車側への軸方向力を付与する軸方向力付与部材を備えることを特徴とする請求項1記載の舵角比可変操舵装置。
【請求項3】
前記軸方向力付与部材は、軸方向一端側が前記アッパステアリングシャフト又は前記ロアステアリングシャフト若しくは前記ハウジングを押圧し、軸方向他端側が前記第1歯車又は前記第4歯車を押圧するスプリングであることを特徴とする請求項2記載の舵角比可変操舵装置。
【請求項4】
前記軸方向力付与部材は、前記アッパステアリングシャフト又は前記ロアステアリングシャフト若しくは前記ハウジングに軸方向移動可能に螺合されると共に、一端側が前記第1歯車又は前記第4歯車を押圧する螺合部材であることを特徴とする請求項2記載の舵角比可変操舵装置。
【請求項5】
前記軸方向力付与部材は、
前記アッパステアリングシャフト又は前記アッパステアリングシャフトに固定的に配置された前記ハウジングに固定された外輪及び内輪の何れか一方と前記第4歯車に固定された外輪及び内輪の何れか他方とを有し少なくとも一方向の軸方向荷重を負荷可能な軸受と、
前記アッパステアリングシャフト又は前記ハウジングに対して前記軸受の前記外輪を前記第4歯車側に押圧して前記アッパステアリングシャフト又は前記ハウジングに対して前記第4歯車に前記揺動歯車側への軸方向力を付与する押圧部材と、
を有することを特徴とする請求項2記載の舵角比可変操舵装置。
【請求項6】
さらに、前記モータ出力軸の外周面に係合すると共に前記傾斜軸の内周面に係合する係合部材を備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の舵角比可変操舵装置。
【請求項7】
前記傾斜軸は、前記モータ出力軸に一体形成されることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の舵角比可変操舵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−82718(P2006−82718A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−270065(P2004−270065)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(000003470)豊田工機株式会社 (198)
【Fターム(参考)】