説明

船体

【課題】本発明は船体、特に氷域航行に適する船体を提供する。
【解決手段】本発明が開示した船体は、その最小喫水線と最大喫水線との間において、船の四分の一の幅の箇所の接線と船の中心線とによって形成される角の大きさが20度〜26度の間である。これにより、氷域を航行する際に船体が受ける抵抗力及び船舶主機関が必要とする推進力を極めて小さく抑えることができ、かつ、船体の排水量を確保することができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船体に関し、特に氷域航行に適する船体に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶は、氷域を航行する場合、その抵抗力が普通の水域より明らかに大きくなり、氷域を航行するため、FSICR(Finnish Swedish Ice Class Rules)の規則を満足しなければならず、その主機関が必要とする推進力は、非氷域航行の場合に必要な推進力より大きく、かつトン数が高い船舶ほど、必要とする推進力が大きくなる。
【0003】
例えば、50000積載重量トン数レベルの油送船の場合、通常非氷域航行の場合に必要な推進力は約10000〜11000kWであるが、FSICRの規則を満足するのに必要な推進力は約20000 kWである。一般的な場合、船舶の非氷域航行の時間は、氷域航行の時間よりはるかに多いため、FSICRの規則を満足する船舶は、ほとんどの非氷域航行の時間内において経済性が悪い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の不足点を解決し、氷域航行の抵抗力を減少し、FSICRの規則を満足するとともに、船舶主機関の推進力を低下させて、船舶が航行する際の経済性を高める船体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の船体は、その最小喫水線と最大喫水線との間のすべての喫水線の左右両側の四分の一の幅の箇所の水切り角の大きさが20度〜26度の間である。
【0006】
船舶は、氷域を航行する際に、その前方に航路を開けるための砕氷船があるので、その航行に対する主な抵抗力は、砕氷船が航路を開ける際に形成された砕氷による抵抗力である。船舶は、前方に向かって航行する際、それらの砕氷は、主に船体の左右両側の四分の一乃至二分の一の幅の位置に作用するため、船体の左右両側の四分の一の幅の箇所の水切り角の大きさを小さくすれば、船体が受ける抵抗力を大幅に減少させることができ、船舶の主機関が必要とする推進力を減少させることができる。
【0007】
しかし、水切り角の大きさは、小さすぎであってもいけない。もし小さすぎれば、船体の排水量に影響してしまう。従って、水切り角の大きさを20度〜26度の間に制限することによって、船舶の排水量が確保できるとともに、船舶がFSICRの規則を満足するのに必要な推進力を極めて低く抑えることができる。シミュレーション試験により、FSICRの規則を満足するため、本発明に係る船体を採用した船舶が氷域を航行する際に、その主機関の推進力は、普通の船体を採用した船舶の主機関の推進力の約55%〜60%であることが明らかになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
[実施例1]
前記船体は、その最小喫水線2と最大喫水線1との間のすべての喫水線の左右両側の四分の一の幅の箇所の水切り角3の大きさが20度〜26度の間である。
【0009】
[実施例2]
前記船体は、その最小喫水線2と最大喫水線1との間のすべての喫水線の左右両側の四分の一の幅の箇所の水切り角3の大きさがそれぞれ異なり、かつその最小喫水線2の四分の一の幅の箇所の水切り角3の大きさが26度であり、その最大喫水線1の四分の一の幅の箇所の水切り角3の大きさが20度である。
【0010】
[実施例3]
前記船体は、その最小喫水線2の左右両側の幅の四分の一の箇所の水切り角3の大きさが26度であり、その最大喫水線1の左右両側の四分の一の幅の箇所の水切り角3の大きさが20度である。
【0011】
[実施例4]
前記船体は、その最小喫水線2と最大喫水線1との間のすべての喫水線の左右両側の四分の一の幅の箇所の水切り角3の大きさが20.5度〜23.5度の間である。
【0012】
[実施例5]
前記船体は、その最小喫水線2の左右両側の幅の四分の一の箇所の水切り角3の大きさが23.5度であり、その最大喫水線1の左右両側の四分の一の幅の箇所の水切り角3の大きさが20.5度である。
【0013】
[実施例6]
前記船体は、その最小喫水線2と最大喫水線1との間のすべての喫水線の左右両側の四分の一の幅の箇所の水切り角3の大きさがそれぞれ異なり、かつその最小喫水線2の四分の一の幅の箇所の水切り角3の大きさが23.5度であり、その最大喫水線1の四分の一の幅の箇所の水切り角3の大きさが20.5度である。
【0014】
[実施例7]
前記船体は、その最小喫水線2の左右両側の幅の四分の一の箇所の水切り角3の大きさが25.5度であり、その最大喫水線1の左右両側の幅の四分の一の箇所の水切り角3の大きさが25.5度である。
【0015】
[実施例8]
前記船体は、その最小喫水線2と最大喫水線1との間のすべての喫水線の左右両側の四分の一の幅の箇所の水切り角3の大きさがそれぞれ等しく、25.5度である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】船体の側面を示す模式図である。
【図2】船体の喫水線の水切り角を示す模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体の最小喫水線(2)と最大喫水線(1)との間のすべての喫水線の左右両側の四分の一の幅の箇所の水切り角(3)の大きさは、20度〜26度の間であることを特徴とする船体。
【請求項2】
船体の最小喫水線(2)と最大喫水線(1)との間のすべての喫水線の左右両側の四分の一の幅の箇所の水切り角(3)は、その大きさがそれぞれ異なり、かつ20度〜26度の間であることを特徴とする請求項1に記載の船体。
【請求項3】
船体の最小喫水線(2)と最大喫水線(1)との間のすべての喫水線の左右両側の四分の一の幅の箇所の水切り角(3)は、その大きさがそれぞれ等しく、かつ20度〜26度の間であることを特徴とする請求項1に記載の船体。
【請求項4】
船体の最小喫水線(2)の左右両側の四分の一の幅の箇所の水切り角(3)の大きさは23.5度であり、船体の最大喫水線(3)の左右両側の四分の一の幅の箇所の水切り角(3)の大きさは20.5度であることを特徴とする請求項1に記載の船体。
【請求項5】
船体の最小喫水線(2)の左右両側の四分の一の幅の箇所の水切り角(3)の大きさは25.5度であり、船体の最大喫水線(1)の左右両側の四分の一の幅の箇所の水切り角(3)の大きさは25.5度であることを特徴とする請求項1に記載の船体。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−521685(P2008−521685A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543680(P2007−543680)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【国際出願番号】PCT/CN2005/001917
【国際公開番号】WO2006/069515
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(507184409)広州広船国際股▲ふん▼有限公司 (1)