説明

船推進機

【課題】推進機本体の操舵に関する異常を判定できる船推進機を提供する。
【解決手段】船推進機10は、船外機本体28と、船外機本体28を操舵するための操舵部12と、操舵部12の操舵角を検出する操舵角センサ18と、船外機本体28の実舵角を検出するための回動センサ92と、ECU16とを含む。ECU16は、操舵角に基づく目標舵角と基準目標舵角とに基づいて目標舵角の変化量を算出し、実舵角と基準実舵角とに基づいて実舵角の変化量を算出し、目標舵角の変化量と実舵角の変化量とのずれ量を取得する。そして、ECU16は、ずれ量と第1閾値との比較結果に基づいて船外機本体28の操舵に関する異常を判定する。基準目標舵角および基準実舵角は、ずれ量と第2閾値との比較結果に基づいて設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、船推進機に関し、より特定的には、船体に対して推進機本体を左右方向に揺動させるための電動モータを有する船推進機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば特許文献1に開示されているように、電動モータによって船外機(推進機本体)を船体に対して左右方向に揺動させることによって船体を操舵することが知られている。
【0003】
特許文献1の技術では、ステアリングホイールの回転角度等を用いて目標舵角を設定する。そして、船外機の実舵角と目標舵角との角度差に基づいて電動モータの駆動量を設定し、設定した駆動量に応じて電動モータを駆動する。これによって船外機が船体に対して左右方向に揺動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−199189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、電動モータの劣化等の異常のために実舵角を適切に変化させることができなくなっていれば、目標舵角と実舵角とのずれが大きくなってしまう。すなわち、推進機本体の操舵に関して異常が生じていれば、ユーザによる操作と船体の挙動変化とのずれが大きくなってしまう。特許文献1では、この点について何ら考慮しておらず、船外機の操舵に関する異常を判定することについては何ら開示も示唆もされていない。
それゆえにこの発明の主たる目的は、推進機本体の操舵に関する異常を判定できる船推進機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の船推進機は、船体を推進するための船推進機であって、推進機本体と、船体に対して推進機本体を左右方向に揺動可能に取り付けるためのブラケット部と、推進機本体を左右方向に揺動させるための駆動部と、推進機本体を操舵するための操舵部と、操舵部への操作量に関する操作情報を検出する操作情報検出部と、推進機本体の実舵角を検出する実舵角検出部と、操作情報に基づく推進機本体の目標舵角と基準目標舵角とに基づいて目標舵角の変化量を算出する第1算出部と、実舵角と基準実舵角とに基づいて実舵角の変化量を算出する第2算出部と、目標舵角の変化量と実舵角の変化量とのずれ量を取得するずれ量取得部と、ずれ量と第1閾値との比較結果に基づいて推進機本体の操舵に関する異常を判定する判定部とを備える。
【0007】
請求項2に記載の船推進機は、請求項1に記載の船推進機において、ずれ量と第2閾値との比較結果に基づいて基準目標舵角および基準実舵角を設定する基準舵角設定部をさらに含むことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の船推進機は、請求項1に記載の船推進機において、ブラケット部は、船体に対して推進機本体をさらに上下方向に揺動可能に設けられ、船体の速度に関する速度情報を検出する速度情報検出部と、推進機本体のトリム角を検出するトリム角検出部と、速度情報とトリム角との少なくともいずれか一方に基づいて第1閾値を設定する閾値設定部とをさらに含むことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の船推進機は、請求項1に記載の船推進機において、操舵部の操作範囲を設定する操作範囲設定部と、操作範囲に基づいて第1閾値を設定する閾値設定部とをさらに含むことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の船推進機は、請求項1に記載の船推進機において、舵角比を設定する舵角比設定部と、舵角比に基づいて第1閾値を設定する閾値設定部とをさらに含むことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の船推進機は、請求項1に記載の船推進機において、駆動部は電動モータを含み、当該船推進機は、電動モータに供給される電力に関する電力情報を検出する電力情報検出部と、電力情報に基づいて第1閾値を設定する閾値設定部とをさらに含むことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の船推進機は、請求項1に記載の船推進機において、当該船推進機に含まれる推進機本体の数に基づいて第1閾値を設定する閾値設定部をさらに含むことを特徴とする。
【0013】
なお、『舵角比』とは操舵部の操舵角に対する実舵角の比をいう。
【0014】
請求項1に記載の船推進機では、推進機本体の目標舵角から基準目標舵角を減算して目標舵角の変化量を算出し、実舵角から基準実舵角を減算して実舵角の変化量を算出する。そして、目標舵角の変化量と実舵角の変化量との差をずれ量として取得し、当該ずれ量と第1閾値とを比較する。当該ずれ量が第1閾値より小さければ、推進機本体の操舵が正常に行われていると判定し、一方、当該ずれ量が第1閾値以上であれば、推進機本体の操舵に異常があると判定する。このようにずれ量と第1閾値とを比較することによって推進機本体の操舵に関する異常を容易に判定できる。
【0015】
推進機本体の操舵を継続すると、時間の経過と共に目標舵角の絶対値と実舵角の絶対値との差が累積的に大きくなるおそれがあり、この場合には、基準目標舵角と基準実舵角とを適宜更新していくことが望ましい。請求項2に記載の船推進機では、たとえば操舵を停止して実舵角が目標舵角に近づき、ずれ量(目標舵角の変化量と実舵角の変化量との差)が第2閾値よりも小さくなったときの目標舵角および実舵角を、それぞれ基準目標舵角および基準実舵角として用いる。このようにして基準目標舵角および基準実舵角を適宜更新することによって、目標舵角の変化量および実舵角の変化量、ひいては両変化量のずれ量をより精度よく算出できる。特に、あて舵を行う場合に有効となる。
【0016】
通常、船体の速度(船速)が小さいほど、実舵角の変化に対する船体の挙動変化は小さくなる(回頭が鈍くなる)ので、船体の向きを迅速に変化させようとすればユーザによる操舵部の操作が速くなる。すると、目標舵角の増加が早くなる。このため、適切に操舵できる状態であっても目標舵角の変化量と実舵角の変化量とのずれ量(転舵の遅れ)は、船速が小さいほど大きくなると考えられる。また、通常、船速が小さい場合には大きな推進力を得るためにトリム角が小さく設定される。したがって、トリム角が小さいほど船速が小さく目標舵角の変化量と実舵角の変化量とのずれ量が大きくなると考えられる。請求項3に記載の船推進機では、第1閾値を船体の速度に関する速度情報および推進機本体のトリム角の少なくともいずれか一方に基づいて設定する。これによって、推進機本体の操舵に関する異常を船体の走行(航行)状態に応じて適切に判定できる。
【0017】
船速が小さいほど実舵角の変化に対する船の挙動変化は小さくなるので、船速が小さい場合は操舵部への少しの操作で実舵角を大きく変化させることが望まれる。このことから、船速が小さい場合は操舵部の操作範囲を小さくすることが一般に知られている。この場合、操作範囲が小さいほど船速が小さく目標舵角の変化量と実舵角の変化量とのずれ量が大きくなると考えられる。請求項4に記載の船推進機では、操舵部の操作範囲が小さければ船速が小さいものとして第1閾値を大きく設定する。これによって、推進機本体の操舵に関する異常を船体の走行状態に応じて適切に判定できる。
【0018】
また、船速が小さい場合は操舵部への少しの操作量で実舵角を大きく変化させるために舵角比を大きく設定することも一般に知られている。この場合、舵角比が大きいほど船速が小さく目標舵角の変化量と実舵角の変化量との角度差が大きくなると考えられる。請求項5に記載の船推進機では、舵角比が大きければ船速が小さいものとして第1閾値を大きく設定する。これによって、推進機本体の操舵に関する異常を船体の走行状態に応じて適切に判定できる。
【0019】
船体に搭載されている電源の性能は船体毎に様々である。このため、電源から船推進機以外の機器への電力供給量が大きくなれば船推進機への電力供給量が小さくなるおそれがあり、目標舵角の変化量と実舵角の変化量とのずれ量が大きくなるおそれがある。請求項6に記載の船推進機では、電力情報が小さければ第1閾値を大きく設定する。これによって、推進機本体の操舵に関する異常を船体に搭載されている電源の性能にかかわらず適切に判定できる。
【0020】
船推進機に含まれる推進機本体の数が多いと推力が大きいので、より機敏な小回りがきく。すなわち、推進機本体の数が多いと、一つ一つの推進機本体の舵を大きく切らなくても全体として推力が大きいため、少し舵を切ればユーザの思う挙動に近い挙動を達成することができる。一方、推進機本体の数が少ないと、推力が小さいので、機敏な動きができず、各推進機本体の舵を大きく切って方向転換等が必要となる。しかし、舵を大きく切ると、舵の遅れ量すなわち目標舵角の変化量と実舵角の変化量とのずれ量が大きくなる。請求項7に記載の船推進機では、当該船推進機に含まれる推進機本体の数が少ないほど第1閾値を大きく設定する。これによって、推進機本体の操舵に関する異常を推進機本体の数にかかわらず適切に判定できる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、推進機本体の操舵に関する異常を判定できる船推進機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施形態の船推進機が搭載された船の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す船推進機の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す船外機の全体構成を示す側面図である。
【図4】図1に示す船外機のスイベルブラケットの構成を説明するための斜視図である。
【図5】図1に示す船外機のスイベルブラケットの構成を説明するための側面図である。
【図6】図1に示す船外機のスイベルブラケットの構成を説明するための平面図である。
【図7】この発明の一実施形態における操舵に関する動作の一例を示すフロー図である。
【図8】第1閾値設定処理の一例を示すフロー図である。
【図9】エンジン回転数およびトリム角と第1閾値との関係を示すグラフである。
【図10】第1閾値設定処理の他の例を示すフロー図である。
【図11】操舵部の操作範囲と実舵角との関係を示すグラフである。
【図12】操舵部の操作範囲と第1閾値との関係を示すグラフである。
【図13】第1閾値設定処理のその他の例を示すフロー図である。
【図14】舵角比と第1閾値との関係を示すグラフである。
【図15】第1閾値設定処理のその他の例を示すフロー図である。
【図16】電動モータへの供給電圧と第1閾値との関係を示すグラフである。
【図17】第1閾値設定処理のさらにその他の例を示すフロー図である。
【図18】船外機本体の数と第1閾値との関係を示すグラフである。
【図19】エンジン回転数と第1閾値との関係を示すグラフである。
【図20】トリム角と第1閾値との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。
ここでは、この発明の一実施形態の船推進機10を船1に設置した場合について説明する。図中、FWDは、船1の前進方向を示している。
【0024】
図2をも参照して、船1は、船体2と船体2に設けられた船推進機10とを含む。
【0025】
船推進機10は、船外機本体28(後述)を操舵するために船体2内に設けられる操舵部12と、船体2を前進または後進させる操作を行うために操舵部12の近傍に設けられるコントロールレバー部14と、船推進機10の動作を制御するためのECU(電子制御ユニット)16と、操舵部12の回転操作による操舵角を検出する操舵角センサ18と、操舵部12に反力を与えるために操舵部12に連結される反力モータ20と、船1の走行状態を検出するための走行状態検出部22と、船1を推進するために船体2の船尾板3に取り付けられる2機の船外機24とを含む。走行状態検出部22は、速度センサ22a、トリム角センサ22b、ヨーレートセンサ22c、姿勢センサ22d、横加速度センサ22e、エンジン状態センサ22fおよび外力センサ22gを含む。速度センサ22aは、たとえばGPSを利用して船1の速度(船速)を検出する。トリム角センサ22bは、たとえばトリムシリンダの駆動量を検出して船外機本体28のトリム角を検出する。ヨーレートセンサ22cは船1の旋回状態を検出する。姿勢センサ22dは、たとえばジャイロを用いて船1のロール角やピッチ角などの船1の姿勢を検出する。横加速度センサ22eは船1の旋回時の遠心力を検出する。エンジン状態センサ22fは、スロットル開度やエンジン回転数を検出する。外力センサ22gは、たとえば船外機本体28に設けた荷重センサによって船外機本体28に加えられる外力を検出する。これらの構成要素は、主としてLANケーブル26によって相互に電気的に接続されている。
【0026】
ついで、船外機24について説明する。
船外機24は、舵を有さず船外機24自体で舵を切るように構成されている。
【0027】
図3を参照して、船外機24は、船外機本体28とスイベルブラケット30とチルトブラケット32とを含む。
【0028】
船外機本体28は、上側から順にカウリング部34、ケース部36およびプロペラ38を含む。船外機24は、船外機本体28を左右方向に揺動させることによって、プロペラ38の向きを変え、プロペラ38の推力で船体2の方向を変える。
【0029】
カウリング部34には、エンジン40、およびエンジン40に電気的に接続されるECU42(図1参照)などが収納されている。
【0030】
スイベルブラケット30は、ブラケット下部44とブラケット上部46とを含む。
【0031】
ブラケット下部44は船外機本体28の上下方向(Z方向)に沿って中空筒状に設けられ、ブラケット下部44にはスイベル軸48が回動自在に挿入される。したがって、スイベル軸48は船外機本体28の上下方向(Z方向)に延びるように設けられる。スイベル軸48の上端部50が連結部52を介して船外機本体28に連結される。これによって、船外機本体28が、スイベルブラケット30ひいては船体2に対してスイベル軸48を中心として相対的に左右方向(図1の矢印X1方向および矢印X2方向)に揺動可能に取り付けられる。
【0032】
スイベルブラケット30を挟むように一対のチルトブラケット32が設けられ、一対のチルトブラケット32は船体2の後ろ側に設けられた船尾板3に固定される。スイベルブラケット30および一対のチルトブラケット32にはチルト軸54が挿通される。チルト軸54はスイベル軸48と直角をなす方向であって、船体2の幅方向(図1の矢印X1方向および矢印X2方向)に延びるように設けられる。これによって、スイベルブラケット30ひいては船外機本体28はチルト軸54を中心として船体2に対して相対的に上下方向(Z方向)に揺動可能となる。すなわち、船外機本体28は、チルトシリンダ(図示せず)によってチルト軸54廻りに揺動可能であり、上陸時などにほぼ水平方向まで回転して引き上げられる。また、船外機本体28は、トリムシリンダ(図示せず)によってチルト軸54廻りに揺動可能である。そして、航行中に船外機本体28のトリム角を調整してプロペラ38の推力方向を鉛直面内で上下に回動させて調整することができる。ここでは、スイベル軸48と船底とが直角のときトリム角を『0°』とする。そして、『トリム角が大きくなる』とは、プロペラ38が船尾板3から離れるように船外機本体28を揺動させることを意味するものとする。
【0033】
ついで、図4〜図6をも参照して、スイベルブラケット30について説明する。
ブラケット上部46は、ブラケット下部44の上端部に設けられ、前方(矢印FWD方向)に突出するように構成される。ブラケット上部46は、上面開口の略箱状に形成され、側方から見て、前方に向かうにつれて次第に高さ方向が大きくなる一対の側壁部56,58と、一対の側壁部56,58の前部を連結する前壁部60とを有する。ブラケット下部44に挿入されているスイベル軸48の上端部50は、ブラケット上部46に突出している。
【0034】
ブラケット上部46には、電動モータ62とロッククラッチ64と伝達機構66の大部分とが収納される。
【0035】
伝達機構66は、電動モータ62の駆動力を船外機本体28に伝達するものであり、ギヤ部68と、ギヤ部68に接続されるボールネジ70と、ボールネジ70上を移動可能にボールネジ70に係合されるボールナット72と、ボールナット72とスイベル軸48とを連結する伝達プレート74と、スイベル軸48と、連結部52とを含む。
【0036】
電動モータ62は、そのモータ軸76が船体2の幅方向(矢印X1方向および矢印X2方向)に延びるように、スイベルブラケット30内の前壁部60近傍かつ側壁部56側に設けられ、船外機本体28を揺動させるための駆動力を発生する。電動モータ62は、ドライバ78と電気的に接続されている。ドライバ78は、ユーザが操舵部12を操舵した際にLANケーブル26を介して送信される信号に基づいて、電動モータ62の駆動を制御する。具体的には、ドライバ78は、操舵部12が時計回り方向(矢印A1方向:図1参照)に回転された場合にモータ軸76が矢印A2方向に回転するように電動モータ62を制御し、一方、操舵部12が反時計回り方向(矢印B1方向:図1参照)に回転された場合にモータ軸76が矢印B2方向に回転するように電動モータ62を制御する。
【0037】
ロッククラッチ64は、電動モータ62のモータ軸76と同軸上に配置され、モータ軸76とギヤ部68とを連結し、電動モータ62による駆動力をスイベル軸48ひいては船外機本体28側に伝達する。しかし、ロッククラッチ64は、船外機本体28側から伝達される外力(反力)を電動モータ62側に伝達せず、当該外力による船外機本体28の左右方向の揺動を防止するロック機能を有する。ロッククラッチ64は、逆入力遮断クラッチであり、たとえばNTN株式会社製の「トルクダイオード(登録商標)」などが用いられる。これによって、モータ軸76が回転したとき、モータ軸76の回転をロッククラッチ64に接続されたギヤ部68に伝達することができる。その一方、航行中などにおいて、船外機本体28に左右方向に揺動する力が付与され、それに伴ってギヤ部68に回転力が付与されても、ロッククラッチ64がギヤ部68の回転を阻止しロックする。すなわち、航行中、水から受ける反力などが船外機本体28に対して左右方向に付与される場合であっても、ロッククラッチ64が機能するので、操舵方向を維持するために電動モータ62を駆動させる必要はない。このように簡素な構成のロッククラッチ64によって、電動モータ62を常時駆動させる必要がなくなる。
【0038】
ギヤ部68は、減速ギヤとして機能し、図5および図6に示すように、3つの平歯車80,82および84を含み、側壁部58の開口部86に設けられる。平歯車80は、ロッククラッチ64の下流側(側壁部58側)から突出する軸部材88と接続されており、軸部材88とともに回転する。平歯車82は、平歯車80と噛合されるとともに平歯車84にも噛合されている。すなわち、平歯車82は、平歯車80の回転を平歯車84に伝達する中間ギヤの機能を果たす。平歯車84は、ボールネジ70と接続されており、ボールネジ70と一体的に回転する。
【0039】
ボールナット72は、ボールネジ70の回転に伴ってボールネジ70の軸方向(矢印X1方向および矢印X2方向)に移動する。具体的には、モータ軸76が矢印A2方向に回転するのに伴って、ギヤ部68を介してボールネジ70が矢印A3方向に回転し、ボールナット72は側壁部58方向(矢印X2方向)に移動する。その一方、モータ軸76が矢印B2方向に回転するのに伴って、ギヤ部68を介してボールネジ70が矢印B3方向に回転し、ボールナット72は側壁部56方向(矢印X1方向)に移動する。
【0040】
伝達プレート74は、ボールナット72に接続されるとともにスイベル軸48に係合されている。これによって、伝達プレート74は、ボールナット72が矢印X1方向または矢印X2方向に移動するのに伴って、スイベル軸48を中心に揺動することができる。それによってスイベル軸48を回動させ船外機本体28を揺動させることができる。船外機本体28は、ボールナット72が側壁部58方向(矢印X2方向)に移動すると矢印X1方向に舵きりされ、一方、ボールナット72が側壁部56方向(矢印X1方向)に移動すると矢印X2方向に舵きりされる。
【0041】
また、伝達プレート74の側壁部56側近傍には、回動軸90を有しその回動角度を検出する回動センサ92が設けられている。回動センサ92は、リンク部材94を介して伝達プレート74に接続されている。リンク部材94は、伝達プレート74がスイベル軸48を中心に揺動すると、それに伴って移動する。リンク部材94の移動に伴って、回動センサ92の回動軸90が回動する。回動センサ92によって検出された回動軸90の回動角度に基づいて、ECU16が伝達プレート74の揺動角度ひいては船外機本体28の実舵角を算出する。
【0042】
このようなブラケット上部46の側壁部56にはプレート部材96が取り付けられ、側壁部58には開口部86を覆うようにプレート部材98が取り付けられる。また、ブラケット上部46の上面には、図5に示すように、開口全面を覆うことが可能なカバー部材100が取り付けられる。これによって、ブラケット上部46の内部を密閉できる。
【0043】
図2に戻って、このような船推進機10において、ECU16はCPUおよびメモリを含み、メモリには図7、図8、図10、図13、図15および図17に示す動作を実行するためのプログラムや図9、図11、図12、図14、図16、図18〜図20に示す情報を有するマップ等が格納されている。
【0044】
ECU16には、操舵角センサ18から操舵部12の操舵角を示す信号、コントロールレバー部14からコントロール信号、回動センサ92からの回動角度を示す信号、走行状態検出部22の各センサからセンサ信号が与えられる。
【0045】
ECU16は、操舵角や外力状態に応じた目標トルクを算出して反力モータ20に与え、反力モータ20はその目標トルクに応じた反力トルクを操舵部12に出力する。これによって、ユーザは、操舵部12を操作したときの重い感じや軽い感じ等の運転感覚を得ることができる。
【0046】
また、ECU16は、ユーザが操舵部12を回転した際の目標舵角を示す信号をスイベルブラケット30内のドライバ78に伝達して船外機本体28の操舵を制御する。さらに、ECU16は、ユーザがコントロールレバー部14を操作した際の信号を船外機本体28内のECU42に伝達し、エンジン40の出力を制御する。プロペラ38は、エンジン40の駆動に伴って回転する。
【0047】
この実施形態では、船外機本体28が推進機本体に相当する。ブラケット部はスイベルブラケット30およびチルトブラケット32を含む。操作情報検出部は操舵角センサ18を含み、実舵角検出部は回動センサ92およびECU16を含み、速度情報検出部はエンジン状態センサ22fを含み、トリム角検出部はトリム角センサ22bを含み、電力情報検出部はドライバ78およびECU16を含む。また、ECU16が第1算出部、第2算出部、ずれ量取得部、判定部、基準舵角設定部、閾値設定部、操作範囲設定部および舵角比設定部として機能する。
【0048】
このような船舶推進機10を備える船1の動作例について、図7〜図20を参照して説明する。
図7を参照して、操舵に関する動作について説明する。
【0049】
まず、操舵角センサ18が操舵部12の操舵角を検出し(ステップS1)、ECU16はその操舵角に基づいて目標舵角θtを算出する(ステップS3)。そして、回動センサ92が回動軸90の回動角度を検出し、ECU16はその回動角度に基づいて船外機本体28の実舵角θpを検出する(ステップS5)。
【0050】
ステップS5の後、ECU16は、ステップS3で算出した目標舵角θtから基準目標舵角θtbを減算することによって目標舵角の変化量δθtを算出する(ステップS7)。また、ECU16は、ステップS5で検出した実舵角θpから基準実舵角θpbを減算することによって実舵角の変化量δθpを算出する(ステップS9)。基準目標舵角θtbおよび基準実舵角θpbはそれぞれ、1回目の図7の動作では初期値(たとえば0°)に設定され、後述するように必要に応じて更新される。
【0051】
ステップS9の後、ECU16は、変化量δθtから変化量δθpを減算することによってずれ量δθを算出する(ステップS11)。そして、ECU16は、操舵部12の操作の有無を判定する(ステップS13)。操舵部12の操作の有無は、たとえば操舵角センサ18からの出力に基づいて判定できる。操舵部12の操作がなければ、ECU16は、ずれ量δθが第2閾値(たとえば0.3°)よりも小さいか否かを判定する(ステップS15)。ずれ量δθが第2閾値よりも小さければ、ECU16は、ステップS3で算出した目標舵角θtを基準目標舵角θtbに設定し(ステップS17)、ステップS5で検出した実舵角θpを基準実舵角θpbに設定する(ステップS19)。すなわち、基準目標舵角θtbを今回算出した目標舵角θtに更新し、基準実舵角θpbを今回検出した実舵角θpに更新する。そして、ステップS21に進む。ステップS13において操舵部12の操作があるときや、ステップS15においてずれ量δθが第2閾値以上のときにもステップS21に進む。
【0052】
ステップS21においてECU16は第1閾値設定処理を行い、そして、ずれ量δθが設定された第1閾値よりも小さいか否かを判定する(ステップS23)。ずれ量δθが第1閾値よりも小さければ、ECU16は、船外機本体28の操舵に関する異常がないと判定し、ステップS3で算出した目標舵角θtとステップS5で検出した実舵角θpとの角度差を算出し、当該角度差に基づいて目標電流を算出する(ステップS25)。そして、算出した目標電流を電動モータ62に通電するための指示をECU16がドライバ78に与えることによって、電動モータ62に通電される(ステップS27)。すると、電動モータ62の駆動力が、伝達機構66を介して船外機本体28に伝達されて船外機本体28が転舵され(ステップS29)、終了する。一方、ステップS23でずれ量δθが第1閾値以上であれば、ECU16は、船外機本体28の操舵に関する異常があると判定し、電動モータ62が駆動しないように電流指令値をゼロに設定し(ステップS31)、終了する。このような図7に示す動作は、たとえば5msecのインターバルで繰り返し行われる。
【0053】
ついで、図8を参照して、図7のステップS21における第1閾値設定処理の一例について説明する。
まず、エンジン状態センサ22fがエンジン40の回転数を検出するとともにトリム角センサ22bが船外機本体28のトリム角を検出する(ステップS51)。そして、ECU16は、たとえば図9に示す情報を有するマップを参照して、検出された回転数およびトリム角に基づいて第1閾値を設定し(ステップS53)、図7のステップS23に進む。
【0054】
通常、船速が小さいほど、実舵角の変化に対する船体2の挙動変化は小さくなるので、船体2の向きを迅速に変化させようとすればユーザによる操舵部12の操作が速くなる。このことから、目標舵角と実舵角との角度差は、船速が小さいほど大きくなると考えられる。また、通常、船速が小さい場合には大きな推進力を得るためにトリム角が小さく設定される。したがって、トリム角が小さいほど船速が小さく目標舵角の変化量と実舵角の変化量とのずれ量が大きくなると考えられる。これに対応して、ステップS53で用いられるマップでは、速度情報であるエンジン40の回転数が大きいほど第1閾値が小さくなっており、トリム角が小さいほど第1閾値が大きくなっている(図9参照)。
【0055】
このような船推進機10によれば、目標舵角の変化量δθtと実舵角の変化量δθpとのずれ量δθを取得しこれと第1閾値とを比較することによって、船外機本体28の操舵に関する異常を容易に判定できる。
【0056】
ずれ量δθが第2閾値よりも小さければ、今回取得した目標舵角θtと今回検出した実舵角θpとを、それぞれ次回以降の基準目標舵角θtbおよび基準実舵角θpbとして用いる。船外機本体28の操舵を継続すると、目標舵角の絶対値と実舵角の絶対値との差が累積的に大きくなるおそれがあるが、このようにして基準目標舵角θtbおよび基準実舵角θpbを適宜更新することによって、目標舵角の変化量δθtと実舵角の変化量δθp、ひいては両変化量のずれ量δθをより精度よく算出できる。特に、あて舵を行う場合に有効となる。
【0057】
第1閾値をエンジン40の回転数および船外機本体28のトリム角に基づいて設定することによって、船外機本体28の操舵に関する異常を船体の走行状態に応じて適切に判定できる。
【0058】
ついで、図10を参照して、図7のステップS21における第1閾値設定処理の他の例について説明する。
上述のように船速が小さければ実舵角の変化に対する船体2の挙動変化が小さくなるので、船速が小さい場合は、操舵部12の操作範囲(全回転角:ロック・トゥ・ロック)を小さくして、少しの操作で実舵角を大きく変化させることが一般に行われている。これによって、船速が小さくても迅速に船体2の向きを変えることができる。
【0059】
図10の第1閾値設定処理は、船速に応じて操舵部12の操作範囲を変化させる場合に行われる。たとえば図11に示すように、操作範囲は、船速が40km/h以上であれば実線R1で示すように±720°に設定され、船速が10km/h以下であれば一点鎖線R2で示すように±360°に設定され、その間の船速では徐々に変化される。すなわち、ロック・トゥ・ロックは、船速が40km/h以上であれば4回転に設定され、船速が10km/h以下であれば2回転に設定され、その間の船速では徐々に変化される。操舵部12のこのような操作範囲の設定はECU16によって行われ、その設定値はECU16のメモリに格納される。
【0060】
なお、図11において、横軸の『+』は操舵部12を矢印A1方向(図1参照)に回転させることを意味し、横軸の『−』は操舵部12を矢印B1方向(図1参照)に回転させることを意味する。また、図11において、縦軸の『+』は船外機本体28を矢印X1方向(図1参照)に舵きりすることを意味し、縦軸の『−』は船外機本体28を矢印X2方向(図1参照)に舵きりすることを意味する。
【0061】
図10の第1閾値設定処理では、まず、ECU16によって操舵部12の操作範囲の設定値が検出される(ステップS51a)。そして、ECU16は、たとえば図12に示す情報を有するマップを参照して、検出した操作範囲に基づいて第1閾値を設定する(ステップS53a)。上述のように船速が小さいほど操作範囲が小さく設定されるので、操作範囲が小さいほど船速が小さいと考えられる。ひいては、操作範囲が小さいほど目標舵角と実舵角との角度差が大きくなると考えられる。これに対応して、ステップS51aで用いられるマップでは、操作範囲が小さいほど第1閾値が大きくなっている(図12参照)。
【0062】
このように操舵部12の操作範囲に基づいて第1閾値を設定することによっても、船外機本体28の操舵に関する異常を船体2の走行状態に応じて適切に判定できる。
【0063】
ついで、図13を参照して、図7のステップS21における第1閾値設定処理のその他の例について説明する。
上述のように船速が小さければ実舵角の変化に対する船体2の挙動変化が小さくなるので、船速が小さい場合は、舵角比(操舵部12の操舵角に対する実舵角の比)を大きくして、少しの操作で実舵角を大きく変化させることが一般に行われている。これによって、船速が小さくても迅速に船体2の向きを変えることができる。
【0064】
図13の第1閾値設定処理は、船速に応じて舵角比を変化させる場合に行われる。たとえば図11に示すように、舵角比は、船速が40km/h以上であれば実線R1で示すように1/24(=30/720)に設定され、船速が10km/h以下であれば一点鎖線R2で示すように1/12(=30/360)に設定され、その間の船速では徐々に変化される。操舵部12のこのような舵角比の設定はECU16によって行われ、その設定値はECU16のメモリに格納される。
【0065】
図13の第1閾値設定処理では、まず、ECU16によって舵角比の設定値が検出される(ステップS51b)。そして、ECU16は、たとえば図14に示す情報を有するマップを参照して、検出した舵角比に基づいて第1閾値を設定する(ステップS53b)。上述のように、船速が小さいほど舵角比が大きく設定されるので、舵角比が大きいほど船速が小さいと考えられる。ひいては、舵角比が大きいほど目標舵角と実舵角との角度差が大きくなると考えられる。これに対応して、ステップS53bで用いられるマップでは、舵角比が大きいほど第1閾値が大きくなっている(図14参照)。
【0066】
このように舵角比に基づいて第1閾値を設定することによっても、船外機本体28の操舵に関する異常を船体2の走行状態に応じて適切に判定できる。
【0067】
なお、図11に曲線状の破線R3で示すように、舵角比を操舵角に応じて変更するようにしてもよい。この場合には、操舵角に応じて舵角比を設定し、図14を参照して、その舵角比に対応する第1閾値を設定すればよい。
【0068】
ついで、図15を参照して、図7のステップS21における第1閾値設定処理のその他の例について説明する。
図15の第1閾値設定処理では、電動モータ62への供給電圧に基づいて第1閾値が設定される。
【0069】
まず、電動モータ62への供給電圧がドライバ78を介してECU16によって検出される(ステップS51c)。そして、ECU16は、たとえば図16に示す情報を有するマップを参照して、検出した供給電圧に基づいて第1閾値を設定する(ステップS53c)。船体2に搭載されている二次電池等の電源の性能は船体2毎に様々であるので、電動モータ62以外の機器への供給電圧によって電動モータ62への供給電圧が小さくなるおそれがある。電動モータ62への供給電圧が小さければ電動モータ62を適切に駆動できずに実舵角を目標舵角にできないおそれがあり、目標舵角と実舵角と角度差が大きくなるおそれがある。これに対応して、ステップS53cで用いられるマップでは、供給電圧が小さいほど第1閾値が大きくなっている(図16参照)。
【0070】
このように第1閾値を設定することによって、船外機本体28の操舵に関する異常を船体2に搭載されている電源の性能にかかわらず適切に判定できる。
【0071】
ついで、図17を参照して、図7のステップS21における第1閾値設定処理のさらにその他の例について説明する。
図17の第1閾値設定処理では、船推進機10に含まれる船外機本体28の数に基づいて第1閾値が設定される。
【0072】
まず、船推進機10に含まれる船外機本体28の数がECU16によって検出される(ステップS51d)。そして、ECU16は、たとえば図18に示す情報を有するマップを参照して、検出した船外機本体28の数に基づいて第1閾値を設定する(ステップS53d)。船推進機10に含まれる船外機本体28の数が多いと推力が大きいので、より機敏な小回りがきく。すなわち、船外機本体28の数が多いと、一つ一つの船外機本体28の舵を大きく切らなくても全体として推力が大きいため、少し舵を切ればユーザの思う挙動に近い挙動を達成することができる。一方、船外機本体28の数が少ないと、推力が小さいので、機敏な動きができず、各船外機本体28の舵を大きく切って方向転換等が必要となる。しかし、舵を大きく切ると、舵の遅れ量すなわち目標舵角の変化量δθtと実舵角の変化量δθpとのずれ量δθが大きくなる。これに対応して、ステップS53dで用いられるマップでは、船外機本体28の数が少ないほど第1閾値が大きくなっている(図18参照)。
【0073】
このように第1閾値を設定することによって、船外機本体28の操舵に関する異常を船外機本体28の数にかかわらず適切に判定できる。
【0074】
なお、図8に示す第1閾値設定処理では、エンジン40の回転数および船外機本体28のトリム角に基づいて第1閾値を設定する場合について説明したが、回転数およびトリム角のいずれか一方に基づいて第1閾値を設定してもよい。エンジン40の回転数のみに基づいて第1閾値を設定する場合、図19に示す情報を有するマップを用いればよい。上述のようにエンジン40の回転数が小さいほど船速が小さく目標舵角と実舵角との角度差が大きくなると考えられるので、図19では回転数が小さいほど第1閾値が大きくなっている。また、トリム角のみに基づいて第1閾値を設定する場合、図20に示す情報を有するマップを用いればよい。上述のようにトリム角が小さいほど船速が小さく目標舵角と実舵角との角度差が大きくなると考えられるので、図20ではトリム角が小さいほど第1閾値が大きくなっている。
【0075】
このように、エンジン40の回転数および船外機本体28のいずれか一方に基づいて第1閾値を設定しても、船外機本体28の操舵に関する異常を船体2の走行状態に応じて適切に判定できる。
【0076】
なお、操舵部12の操作に関する操作情報は操舵角に限定されず、操作速度であってもよい。船体2の速度に関する速度情報はエンジン40の回転数に限定されず、速度センサ22aによって検出される船速であってもよい。電動モータ62に供給される電力に関する電力情報は供給電力に限定されず、バッテリ電圧や発電電流であってもよい。
【0077】
推進機本体(船外機本体28)を揺動させるための駆動部は、電動モータ62に限定されずシリンダ等であってもよい。
【0078】
上述の実施形態では、2機の船外機24を船1に設置した場合について説明したが、この発明はこれに限定されない。この発明は、船に船外機を1機のみ設置した場合や3機以上設置した場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0079】
1 船
2 船体
10 船推進機
12 操舵部
14 コントロールレバー部
16,42 ECU
18 操舵角センサ
22 走行状態検出部
22b トリム角センサ
22f エンジン状態センサ
24 船外機
28 船外機本体
30 スイベルブラケット
32 チルトブラケット
38 プロペラ
40 エンジン
48 スイベル軸
62 電動モータ
78 ドライバ
92 回動センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体を推進するための船推進機であって、
推進機本体と、
前記船体に対して前記推進機本体を左右方向に揺動可能に取り付けるためのブラケット部と、
前記推進機本体を左右方向に揺動させるための駆動部と、
前記推進機本体を操舵するための操舵部と、
前記操舵部への操作量に関する操作情報を検出する操作情報検出部と、
前記推進機本体の実舵角を検出する実舵角検出部と、
前記操作情報に基づく前記推進機本体の目標舵角と基準目標舵角とに基づいて目標舵角の変化量を算出する第1算出部と、
前記実舵角と基準実舵角とに基づいて実舵角の変化量を算出する第2算出部と、
前記目標舵角の変化量と前記実舵角の変化量とのずれ量を取得するずれ量取得部と、
前記ずれ量と第1閾値との比較結果に基づいて前記推進機本体の操舵に関する異常を判定する判定部とを備える、船推進機。
【請求項2】
前記ずれ量と第2閾値との比較結果に基づいて前記基準目標舵角および前記基準実舵角を設定する基準舵角設定部をさらに含む、請求項1に記載の船推進機。
【請求項3】
前記ブラケット部は、前記船体に対して前記推進機本体をさらに上下方向に揺動可能に設けられ、
前記船体の速度に関する速度情報を検出する速度情報検出部と、
前記推進機本体のトリム角を検出するトリム角検出部と、
前記速度情報と前記トリム角との少なくともいずれか一方に基づいて前記第1閾値を設定する閾値設定部とをさらに含む、請求項1に記載の船推進機。
【請求項4】
前記操舵部の操作範囲を設定する操作範囲設定部と、
前記操作範囲に基づいて前記第1閾値を設定する閾値設定部とをさらに含む、請求項1に記載の船推進機。
【請求項5】
舵角比を設定する舵角比設定部と、
前記舵角比に基づいて前記第1閾値を設定する閾値設定部とをさらに含む、請求項1に記載の船推進機。
【請求項6】
前記駆動部は電動モータを含み、
当該船推進機は、前記電動モータに供給される電力に関する電力情報を検出する電力情報検出部と、前記電力情報に基づいて前記第1閾値を設定する閾値設定部とをさらに含む、請求項1に記載の船推進機。
【請求項7】
当該船推進機に含まれる前記推進機本体の数に基づいて前記第1閾値を設定する閾値設定部をさらに含む、請求項1に記載の船推進機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−16502(P2011−16502A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164128(P2009−164128)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)