説明

船舶の操船方法

【課題】船舶が横移動するように容易に調整することができる船舶の操船方法を提供する。
【解決手段】アウトドライブ装置2を作動させるジョイスティックレバー20と、船舶が左舷方向又は右舷方向に横移動している状態であることを確認したときに操作するキャリブレーションボタン21と、アウトドライブ装置2、ジョイスティックレバー20及びキャリブレーションボタン21が接続される制御装置4と、を用い、船舶が左舷方向又は右舷方向に横移動するようにジョイスティックレバー20を操作してアウトドライブ装置2を作動させ、船舶が左舷方向又は右舷方向に横移動している状態であることを確認したときにキャリブレーションボタン21を操作し、キャリブレーションボタン21が操作された時点におけるアウトドライブ装置2の回動角度を制御装置4によって推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の操船方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、左右舷方向に回動可能な左右一対のアウトドライブ装置を具備し、アウトドライブ装置の推進力によって航行する船舶が公知となっている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の船舶は、一方のアウトドライブ装置が正転するとともに、他方のアウトドライブ装置が逆転することにより、一対のアウトドライブ装置の推進力によって横移動するように構成されている。
【0003】
そして、このような船舶において、船舶を旋回させることなく横移動させるためには、左舷側のアウトドライブ装置の推進力と右舷側のアウトドライブ装置の推進力との合力(以下「総推進力」という。)を船舶の重心に作用させる必要がある。総推進力を船舶の重心に作用させるためには、左舷側のアウトドライブ装置及び右舷側のアウトドライブ装置をそれぞれ回動させることにより、左舷側のアウトドライブ装置の推進力の方向と右舷側のアウトドライブ装置の推進力の方向との交点を船舶の重心に一致させる必要がある。左舷側のアウトドライブ装置の推進力の方向と右舷側のアウトドライブ装置の推進力の方向との交点が船舶の重心に一致しない場合、総推進力が船舶の重心に作用しないため、船舶が横移動せずに旋回することになる。
【0004】
また、このような船舶において、船舶を斜航させることなく横移動させるためには、船舶を横移動させたい方向に総推進力を作用させる必要がある。船舶を横移動させたい方向に総推進力に作用させるためには、左舷側のアウトドライブ装置の推進力と右舷側のアウトドライブ装置の推進力とを同じにする必要がある。左舷側のアウトドライブ装置の推進力と右舷側のアウトドライブ装置の推進力とが同じでない場合、総推進力が船舶を横移動させたい方向に作用しないため、船舶が横移動せずに斜航することになる。
【0005】
ここで、船舶の重心は、個々の船舶によって異なるため、左舷側のアウトドライブ装置の推進力の方向と右舷側のアウトドライブ装置の推進力の方向との交点が船舶の重心に一致するときのアウトドライブ装置の回動角度(以下「基準舵角度」という。)は、個々の船舶に応じて設定する必要がある。また、アウトドライブ装置は、その回転数が同じであっても正転している場合と逆転している場合とでは、回転によって発生する推進力が異なるため、左舷側のアウトドライブ装置の推進力と右舷側のアウトドライブ装置の推進力とが同じになるときの左舷側のアウトドライブ装置の回転数と右舷側のアウトドライブ装置の回転数との比(以下「基準推進力比」という。)は、個々の船舶に応じて設定する必要がある。さらに、基準舵角度及び基準推進力比は、船舶の船体の形状や重量等の影響を複雑に受けるため、実際に船舶を航行させて設定する必要があるところ、船舶が横移動するように容易に調整することができる技術が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−285486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、船舶が横移動するように容易に調整することができる船舶の操船方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上のとおりであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
すなわち、請求項1においては、左右舷方向に回動可能な左右一対のアウトドライブ装置を具備し、前記アウトドライブ装置の推進力によって航行する船舶の操船方法であって、前記アウトドライブ装置を作動させる操作手段と、前記船舶が左舷方向又は右舷方向に横移動している状態であることを確認したときに操作する確認手段と、前記アウトドライブ装置、前記操作手段及び前記確認手段が接続される制御装置と、を用い、前記船舶が左舷方向又は右舷方向に横移動するように前記操作手段を操作して前記アウトドライブ装置を作動させ、前記船舶が左舷方向又は右舷方向に横移動している状態であることを確認したときに確認手段を操作し、前記確認手段が操作された時点における前記アウトドライブ装置の回動角度を前記制御装置によって推定するものである。
【0010】
請求項2においては、前記一方のアウトドライブ装置の回転数を検出する第一の回転数センサと、前記他方のアウトドライブ装置の回転数を検出する第二の回転数センサと、前記第一及び前記第二の回転数センサが接続される前記制御装置と、を用い、前記確認手段が操作された時点における前記一方のアウトドライブ装置の回転数と前記他方のアウトドライブ装置の回転数との比を前記制御装置によって推定するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、操作手段及び確認手段を操作するだけで、船舶が横移動するときの基準舵角度が設定される。これにより、船舶が横移動するように容易に調整することができる。
【0013】
請求項2においては、操作手段及び確認手段を操作するだけで、船舶が横移動するときの基準推進力比が設定される。これにより、船舶が横移動するように容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】操船装置を示す図。
【図2】船舶及び操船装置を示す図。
【図3】アウトドライブ装置を示す側面断面図。
【図4】ジョイスティックレバーを示す斜視図。
【図5】船舶の操船方法の制御フローを示す図。
【図6】(a)旋回状態における船舶の挙動を示す図。(b)旋回状態から横移動状態になったときの船舶の挙動を示す図。
【図7】(a)斜航状態における船舶の挙動を示す図。(b)斜航状態から横移動状態になったときの船舶の挙動を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について図面に基づき説明する。
【0016】
先ず、操船装置1の全体構成について、図1から図4により説明する。
【0017】
操船装置1は、アウトドライブ装置2を二台備えた、いわゆる二軸(二基)推進方式のものである。操船装置1は、アウトドライブ装置2、油圧シリンダ3及び制御装置4等で構成される。
【0018】
アウトドライブ装置2において、入力軸5の一端部は、ユニバーサルジョイント6を介してエンジン7の図示しない出力軸と動力伝達可能に連結される。エンジン7と入力軸5との間には、メインクラッチ23が介設される。エンジン7から入力軸5への動力伝達は、メインクラッチ23によって入・切(接・断)される。また、入力軸5の他端部は、切換クラッチ8を介して駆動軸9の上端部と動力伝達可能に連結される。駆動軸9の回転方向は、切換クラッチ8によって切り換えられる。また、駆動軸9の下端部は、出力軸10の一端部と動力伝達可能に連結される。出力軸10の他端部には、プロペラ11が設けられる。
【0019】
また、アウトドライブ装置2は、ジンバルリング12を介して船体13に左右舷方向に回動可能に軸支される。ジンバルリング12には、操舵アーム14の一端部が連結される。なお、アウトドライブ装置2の回動角度は、例えば、左舷方向に30度、右舷方向に30度、合計60度とされる。
【0020】
油圧シリンダ3において、シリンダスリーブ15内には、ピストン16が摺動可能に設けられる。ピストン16には、ロッド17の一端部が連結される。ロッド17の他端部には、操舵アーム14の他端部が連結される。なお、図示しない作動油タンク内の作動油がシリンダスリーブ15に送油されることにより、ピストン16が摺動する。
【0021】
制御装置4には、アウトドライブ装置2(プロペラ11)の回転数を検出する回転数センサ19、油圧シリンダ3のピストン16の位置(摺動位置)を検出する位置センサ18、油圧シリンダ3への作動油の送油方向を変更する電磁弁25、エンジン7の回転数を変更するスロットルアクチュエータ27、ジョイスティックレバー20、キャリブレーションボタン21、操作ハンドル24及びアクセルレバー26が接続される。また、制御装置4には、基準舵角度及び基準推進力比が記憶される。
【0022】
ジョイスティックレバー20は、X軸、Y軸及びZ軸回りに回転自在に構成される。つまり、ジョイスティックレバー20は、X軸(左右)方向及びY軸(前後)方向に傾倒可能に構成されるとともに、Z軸回りに捩り可能に構成される。なお、ジョイスティックレバー20は、操作しない時には上下方向となるように中立位置に付勢される。
【0023】
このような構成により、エンジン7の動力がメインクラッチ23、ユニバーサルジョイント6、入力軸5、切換クラッチ8、駆動軸9、出力軸10に伝達されることにより、プロペラ11が回転する。こうして、プロペラ11が回転することにより、アウトドライブ装置2の推進力が発生する。
【0024】
そして、制御装置4は、ジョイスティックレバー20の操作方向に応じて切換クラッチ8を介して駆動軸9の回転方向を切り換える。駆動軸9の回転方向が切り換えられることにより、船舶22の前後進が切り換わる。
【0025】
また、制御装置4は、ジョイスティックレバー20の操作量(倒し量、捩り量)に応じてスロットルアクチュエータ27を介してエンジン7の図示しないスロットルの開度を変更する。前記スロットル開度が変更されることにより、エンジン回転数が変更されるため、アウトドライブ装置2の推進力が変更される。なお、同様にアクセルレバー26の操作量に応じてエンジン7の回転数が変更される。つまり、一方のアクセルレバー26が操作されることにより、左舷側のエンジン7の回転数が変更されるとともに、他方のアクセルレバー26が操作されることにより、右舷側のエンジン7の回転数が変更される。
【0026】
さらに、制御装置4は、ジョイスティックレバー20の操作量(倒し量、捩り量)に応じて、電磁弁25を介して油圧シリンダ3のピストン16を摺動させる。ピストン16が摺動することにより、ロッド17及び操舵アーム14を介してアウトドライブ装置2が回動される。つまり、アウトドライブ装置2の回動角度(舵角度)が変更される。なお、同様に操作ハンドル24の操作量に応じてアウトドライブ装置2が回動される。
【0027】
次に、操船装置1を用いた船舶22の操船方法(船舶22が横移動するように調整する操船方法)について、図4から図7により説明する。なお、図6及び図7において、白塗り矢印は、船舶22の移動方向を示し、黒塗り矢印は、アウトドライブ装置2の推進力の方向を示す。
【0028】
ここで、図4に示すジョイスティックレバー20を操作することにより、船舶22がジョイスティックレバー20の操作方向に移動することになるが、ジョイスティックレバー20の操作方向と船舶22の移動方向との関係について簡単に説明する。例えば、ジョイスティックレバー20がY軸(+)方向に倒された場合には、船舶22が船首方向に前進し、ジョイスティックレバー20がY軸(−)方向に倒された場合には、船舶22が船尾方向に後進し、ジョイスティックレバー20がX軸(+)方向に倒された場合には、船舶22が左舷方向に横移動し、ジョイスティックレバー20がX軸(−)方向に倒された場合には、船舶22が右舷方向に横移動し、ジョイスティックレバー20がZ軸(+)方向に捩られた場合には、船舶22が右舷方向(平面視にて時計回り)に旋回し、ジョイスティックレバー20がZ軸(−)方向に捩られた場合には、船舶22が左舷方向(平面視にて反時計回り)に旋回することになる。なお、以下では一例として、船舶22を左舷方向に横移動させる場合について説明する。
【0029】
図5に示すように、ステップS1において、ジョイスティックレバー20をX軸(+)方向に倒すように操作する。
【0030】
ここで、ジョイスティックレバー20をX軸(+)方向に倒すように操作しても、船舶22が左舷方向に横移動しない場合、例えば、船舶22が旋回したり(図6(a)参照)、船舶22が斜航したり(図7(a)参照)した場合は、さらに、ジョイスティックレバー20を操作して、ジョイスティックレバー20の倒し量及び捩り量を変更することにより、船舶22が左舷方向に横移動するように調整する。
【0031】
図6及び図7に示すように、左右一対のアウトドライブ装置2・2のうち、左舷側のアウトドライブ装置2の推進力の方向は、船尾方向に対して左舷側斜め方向であるとともに、右舷側のアウトドライブ装置2の推進力の方向は、船首方向に対して左舷側斜め方向である。つまり、左舷側のアウトドライブ装置2の推進力の方向は、後進側であるとともに、右舷側のアウトドライブ装置2の推進力の方向は、前進側である。ここで、左舷側のアウトドライブ装置2の推進力をT、右舷側のアウトドライブ装置2の推進力をT、総推進力をTとすると、総推進力Tは、左舷側のアウトドライブ装置2の推進力の方向と右舷側のアウトドライブ装置2の推進力の方向との交点に作用することになる。なお、総推進力Tとは、左舷側のアウトドライブ装置2の推進力と右舷側のアウトドライブ装置2の推進力との合力のことをいう。
【0032】
図6(a)に示すように、左舷側のアウトドライブ装置2の推進力の方向と右舷側のアウトドライブ装置2の推進力の方向との交点が船舶22の重心Gに一致していない場合、総推進力Tが船舶22の重心Gに作用しない。このため、総推進力Tによるモーメントが船舶22の重心G周りに発生することから、船舶22が右舷方向(平面視にて時計回り)に旋回することになる。
【0033】
この場合、ジョイスティックレバー20をZ軸(−)方向に捩り操作して、左舷側のアウトドライブ装置2の回動角度α及び右舷側のアウトドライブ装置2の回動角度αを変更する。なお、船舶22が左舷方向(平面視にて反時計回り)に旋回した場合は、ジョイスティックレバー20をZ軸(+)方向に捩り操作する。これにより、図6(b)に示すように、左舷側のアウトドライブ装置2の推進力の方向と右舷側のアウトドライブ装置2の推進力の方向との交点が船舶22の重心Gに一致して、総推進力Tが船舶22の重心Gに作用すると、船舶22が左舷方向に横移動する。
【0034】
また、図7(a)に示すように、左舷側のアウトドライブ装置2の推進力と右舷側のアウトドライブ装置2の推進力とが同じでない場合、総推進力Tが船舶22を横移動させたい方向に作用しないため、船舶22が斜航することになる。例えば、左舷側のアウトドライブ装置2の推進力が右舷側のアウトドライブ装置2の推進力よりも小さい場合には、船舶22が船首方向に対して左舷側斜め方向に航行することになる。なお、プロペラ11では、その回転数が同じであっても正転している場合と逆転している場合とでは、回転によって発生する推進力が異なる。例えば、同じ回転数であれば正転時の方が逆転時よりも推進力が大きい。
【0035】
この場合、ジョイスティックレバー20をX軸(+)方向の倒し量は同じままY軸(−)方向に傾倒操作して、左舷側のアウトドライブ装置2(プロペラ11)の回転数又は右舷側のアウトドライブ装置2(プロペラ11)の回転数を変更する。なお、船舶22が船尾方向に対して左舷側斜め方向に航行した場合は、ジョイスティックレバー20をX軸(+)方向の倒し量は同じままY軸(+)方向に傾倒操作する。これにより、図7(b)に示すように、左舷側のアウトドライブ装置2の推進力と右舷側のアウトドライブ装置2の推進力とが同じになって、総推進力Tが船舶22を横移動させたい方向に作用すると、船舶22が左舷方向に横移動する。
【0036】
そして、図5に戻って、船舶22が左舷方向に横移動している状態であることを確認することができれば(ステップS2、YES)、キャリブレーションボタン21を押下する(ステップS3)。なお、船舶22が左舷方向に横移動している状態であることを確認することができなければ(ステップS2、NO)、ステップS1の手順を繰り返す。
【0037】
ステップS4において、制御装置4は、キャリブレーションボタン21が押下された時点における左舷側の位置センサ18及び右舷側の位置センサ18の検出値を読み込む。そして、制御装置4は、左舷側の位置センサ18の検出値に基づいて、左舷側のアウトドライブ装置2の回動角度αを把握するとともに、右舷側の位置センサ18の検出値に基づいて、右舷側のアウトドライブ装置2の回動角度αを把握する。
【0038】
ステップS5において、制御装置4は、キャリブレーションボタン21が押下された時点における基準舵角度(アウトドライブ装置2の回動角度)を推定する。例えば、基準舵角度は、左舷側のアウトドライブ装置2の回動角度αと右舷側のアウトドライブ装置2の回動角度αとの平均値である。なお、基準舵角度とは、左舷側のアウトドライブ装置2の推進力の方向と右舷側のアウトドライブ装置2の推進力の方向との交点が船舶22の重心に一致するときのアウトドライブ装置2の回動角度のことをいう。
【0039】
ステップS6において、制御装置4は、キャリブレーションボタン21が押下された時点における左舷側の回転数センサ19及び右舷側の回転数センサ19の検出値を読み込む。そして、制御装置4は、左舷側の回転数センサ19の検出値に基づいて、左舷側のアウトドライブ装置2の回転数を把握するとともに、右舷側の回転数センサ19の検出値に基づいて、右舷側のアウトドライブ装置2の回転数を把握する。
【0040】
ステップS7において、制御装置4は、キャリブレーションボタン21が押下された時点における基準推進力比を推定する。例えば、基準推進力比は、後進側となる方のアウトドライブ装置2の回転数を前進側となる方のアウトドライブ装置2の回転数で除した値である。本実施形態では、左舷側のアウトドライブ装置2の回転数を右舷側のアウトドライブ装置2の回転数で除した値である。なお、基準推進力比とは、左舷側のアウトドライブ装置2の推進力と右舷側のアウトドライブ装置2の推進力とが同じになるときの左舷側のアウトドライブ装置2の回転数と右舷側のアウトドライブ装置2の回転数との比のことをいう。また、基準推進力比は、前進側となる方のアウトドライブ装置の回転数を後進側となる方のアウトドライブ装置の回転数で除した値としてもよい。
【0041】
ステップS8において、制御装置4に記憶されている基準舵角度及び基準推進力比が更新される。これにより、船舶22を左舷方向に横移動させるための調整が完了する。なお、船舶22を右舷方向に横移動させるための調整も同様に行われる。
【0042】
以上のように、左右舷方向に回動可能な左右一対のアウトドライブ装置2を具備し、アウトドライブ装置2の推進力によって航行する船舶22の操船方法であって、アウトドライブ装置2を作動させる操作手段であるジョイスティックレバー20と、船舶22が左舷方向又は右舷方向に横移動している状態であることを確認したときに操作する確認手段であるキャリブレーションボタン21と、アウトドライブ装置2、ジョイスティックレバー20及びキャリブレーションボタン21が接続される制御装置4と、を用い、船舶22が左舷方向又は右舷方向に横移動するようにジョイスティックレバー20を操作してアウトドライブ装置2を作動させ、船舶22が左舷方向又は右舷方向に横移動している状態であることを確認したときにキャリブレーションボタン21を操作し、キャリブレーションボタン21が操作された時点におけるアウトドライブ装置2の回動角度(基準舵角度)を制御装置4によって推定する。
【0043】
このような構成により、ジョイスティックレバー20及びキャリブレーションボタン21を操作するだけで、船舶22が横移動するときの基準舵角度が設定される。これにより、船舶22が横移動するように容易に調整することができる。
【0044】
そして、一方のアウトドライブ装置2の回転数を検出する第一の回転数センサ19と、他方のアウトドライブ装置2の回転数を検出する第二の回転数センサ19と、第一及び第二の回転数センサ19が接続される制御装置4と、を用い、キャリブレーションボタン21が操作された時点における一方のアウトドライブ装置2の回転数と他方のアウトドライブ装置2の回転数との比を制御装置4によって推定する。
【0045】
このような構成により、ジョイスティックレバー20及びキャリブレーションボタン21を操作するだけで、船舶22が横移動するときの基準推進力比が設定される。これにより、船舶22が横移動するように容易に調整することができる。
【0046】
なお、本発明に係る操作手段は、本実施形態に係るジョイスティックレバー20に限定されるものではない。例えば、本発明に係る操作手段は、十字方向に傾倒可能なレバーや複数のレバー、ハンドルであってもよい。
【0047】
また、本発明に係る確認手段は、本実施形態に係るキャリブレーションボタン21に限定されるものではない。例えば、本発明に係る確認手段は、レバーであってもよい。
【符号の説明】
【0048】
2 アウトドライブ装置
4 制御装置
19 回転数センサ
20 ジョイスティックレバー(操作手段)
21 キャリブレーションボタン(確認手段)
22 船舶

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右舷方向に回動可能な左右一対のアウトドライブ装置を具備し、前記アウトドライブ装置の推進力によって航行する船舶の操船方法であって、
前記アウトドライブ装置を作動させる操作手段と、
前記船舶が左舷方向又は右舷方向に横移動している状態であることを確認したときに操作する確認手段と、
前記アウトドライブ装置、前記操作手段及び前記確認手段が接続される制御装置と、を用い、
前記船舶が左舷方向又は右舷方向に横移動するように前記操作手段を操作して前記アウトドライブ装置を作動させ、
前記船舶が左舷方向又は右舷方向に横移動している状態であることを確認したときに確認手段を操作し、
前記確認手段が操作された時点における前記アウトドライブ装置の回動角度を前記制御装置によって推定する船舶の操船方法。
【請求項2】
前記一方のアウトドライブ装置の回転数を検出する第一の回転数センサと、
前記他方のアウトドライブ装置の回転数を検出する第二の回転数センサと、
前記第一及び前記第二の回転数センサが接続される前記制御装置と、を用い、
前記確認手段が操作された時点における前記一方のアウトドライブ装置の回転数と前記他方のアウトドライブ装置の回転数との比を前記制御装置によって推定する請求項1に記載の船舶の操船方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−10400(P2013−10400A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143538(P2011−143538)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)