説明

船舶設計支援システム

【課題】設計に着手してから完成するまでの所要時間が短縮される船舶設計支援システム及び造船を提供する。
【解決手段】船舶設計支援システム1は、船殻構造の3Dモデルとしての船殻構造モデルと機器装置の3Dモデルとしての機器装置モデルとを含む全体配置モデルを記述する全体配置モデルデータ23を記憶する記憶手段20と、建造すべき船舶の船型を表す最終線図データ30に基づいて全体配置モデルを変更するモデル作成・変更手段13とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は造船に関し、特に船舶の設計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶の設計では、個船毎に船型、構造、艤装を検討する積み上げ設計が行われている。船型設計においては、設計者が設計した船型の性能を評価し、その評価結果に基づいて設計者が再度設計を行うことを繰り返して最終的な船型を決定しているため、多大な時間を要している。したがって、最終的な船型が決定されてから構造設計及び艤装設計に着手すると、設計リードタイム、すなわち設計に着手してから完成するまでの所要時間、が非常に長くなる。最終的な船型が決定される前に構造設計及び艤装設計に着手すると、設計のリードタイムは短縮されるが、最終的な船型が決定された後に構造設計及び艤装設計をやり直すこととなるため設計品質が低下するおそれがある。
【0003】
特許文献1は、流体力学的性能に優れた船舶の設計を容易にするための船舶設計装置を開示している。
【0004】
また、近年では、新製品を開発する際、その外見、内部構造、及び動作の検討にデジタルモックアップが利用されている。特許文献2及び3は、デジタルモックアップに関連する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−9858号公報
【特許文献2】特開2004−118266号公報
【特許文献3】特開2006−221534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、設計に着手してから完成するまでの所要時間が短縮される船舶設計支援システム及び造船方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、(発明を実施するための形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0008】
本発明による船舶設計支援システム(1)は、船殻構造の3Dモデルとしての船殻構造モデルと機器装置の3Dモデルとしての機器装置モデルとを含む全体配置モデルを記述する全体配置モデルデータ(23)を記憶する記憶手段(20)と、建造すべき船舶の船型を表す最終線図データ(30)に基づいて前記全体配置モデルを変更するモデル作成・変更手段(13)とを具備する。
【0009】
上記船舶設計支援システムによれば、全体配置設計と船型設計とを並行して進めることが可能であるため、設計に着手してから完成するまでの所要時間が短縮される。
【0010】
前記船殻構造モデルは、外板の3Dモデルとしての外板モデル(81、84、86)と、隔壁、大骨、支柱、デッキ又は二重底の3Dモデルとしての強度部材モデル(82、83、85、87、88、89)とを含む。前記モデル作成・変更手段は、前記最終線図データに基づいて前記外板モデルを変形させ、前記強度部材モデルを前記外板モデルの変形に追従するように変形させる。
【0011】
前記強度部材モデルは、前記隔壁又は前記デッキの3Dモデルとしての第1強度部材モデル(82、83、87)を含む。前記モデル作成・変更手段は、前記第1強度部材モデルの部分であって変形後の前記外板モデルから外側にはみ出す部分を除去する。
【0012】
前記強度部材モデルは、前記外板に沿って延びるフレームの3Dモデルとしての第2強度部材モデル(85)を含む。前記モデル作成・変更手段は、前記第2強度部材モデルが変形後の前記外板モデルに沿って延びるように前記第2強度部材モデルを変形する。
【0013】
上記船舶設計支援システムは、オペレータによって操作される入力手段(11)を更に具備する。前記モデル作成・変更手段は、前記入力手段に対する操作に基づいて、前記建造すべき船舶の第1区画(60)の3Dモデルの候補として、区画モデルライブラリ(41)から第1区画モデル(61)を選択し、船型を表す初期線図データ(21)と区画の配置を示す初期全体配置データ(22)とに基づいて、前記全体配置モデルが前記第1区画モデルを含むように前記全体配置モデルを作成する。前記第1区画モデルは、船殻構造の3Dモデルとしての第1区画船殻構造モデルと、機器装置の3Dモデルとしての第1区画機器装置モデルとを含む。前記船殻構造モデルは前記第1区画船殻構造モデルを含む。前記機器装置モデルは前記第1区画機器装置モデルを含む。
【0014】
上記船舶設計支援システムは、オペレータによって操作される入力手段(11)を更に具備する。前記モデル作成・変更手段は、前記入力手段に対する操作に基づいて、前記建造すべき船舶の第1区画(50)の3Dモデルの候補として、区画モデルライブラリ(41)から第1区画モデル(51)を選択し、前記入力手段に対する操作に基づいて、機器装置モデルライブラリ(43)から機器装置の3Dモデルとしての第2区画機器装置モデル(76、77)を選択し、前記入力手段に対する操作に基づいて、船殻構造の3Dモデルとしての第2区画船殻構造モデルを作成し、前記入力手段に対する操作に基づいて、前記建造すべき船舶の第2区画(60)の3Dモデルの候補として、前記第2区画船殻構造モデル及び前記第2区画機器装置モデルを含む第2区画モデルを作成し、船型を表す初期線図データと区画の配置を表す初期全体配置データとに基づいて、前記全体配置モデルが前記第1区画モデル及び前記第2区画モデルを含むように前記全体配置モデルを作成する。前記第1区画モデルは、機器装置の3Dモデルとしての第1区画機器装置モデルを含む。前記船殻構造モデルは前記第2区画船殻構造モデルを含む。前記機器装置モデルは前記第1区画機器装置モデル及び前記第2区画機器装置モデルを含む。
【0015】
上記船舶設計支援システムは、前記第2区画モデルを前記区画モデルライブラリに登録するモデル登録手段(18)を更に具備する。
【0016】
上記船舶設計支援システムは、前記第2区画モデルの作成過程を登録したテンプレート(24)を作成するテンプレート作成手段(16)を更に具備する。
【0017】
上記船舶設計支援システムは、前記全体配置モデルに基づいて、前記建造すべき船舶の推進性能、船体強度、船体振動、重量、重心位置、溶接長、船首波浪衝撃又は縦強度としての検討項目を計算する検討項目計算手段(14)と、前記検討項目を表示する表示手段(12)と、オペレータによって操作される入力手段(11)とを更に具備する。前記モデル作成・変更手段は、前記入力手段に対する操作に基づいて、前記全体配置モデルを変更する。
【0018】
上記船舶設計支援システムは、前記全体配置モデルに基づいて、前記建造すべき船舶のコストを計算するコスト計算手段(15)と、前記コストを表示する表示手段(12)とを更に具備する。
【0019】
上記船舶設計支援システムは、前記最終線図データに基づいて変更された後の前記全体配置モデルに基づいて船舶の図面の二次元データを生成する二次元データ生成部(17)と、前記二次元データが表す図面を出力する出力手段(12)とを更に具備する。
【0020】
本発明による造船方法は、船殻構造の3Dモデルとしての船殻構造モデルと機器装置の3Dモデルとしての機器装置モデルとを含む全体配置モデルを作成するステップ(S10)と、建造すべき船舶の船型を表す最終線図データ(30)に基づいて前記全体配置モデルを変更するステップ(S50)と、前記最終線図データに基づいて変更された前記全体配置モデルに基づいて前記船舶を製造するステップ(S60)とを具備する。
【0021】
前記最終線図データの完成前に前記全体配置モデルを作成する前記ステップを開始する。
【0022】
本発明による船舶設計支援プログラム(6)は、船殻構造の3Dモデルとしての船殻構造モデルと機器装置の3Dモデルとしての機器装置モデルとを含む全体配置モデルを記述する全体配置モデルデータ(23)を記憶することと、建造すべき船舶の船型を表す最終線図データ(30)に基づいて前記全体配置モデルを変更することと、をコンピュータ(1)に実行させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、設計に着手してから完成するまでの所要時間が短縮される船舶設計支援システム及び造船方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る船舶設計支援システムの装置構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る船舶設計支援システム及びデータサーバの機能ブロック図である。
【図3】図3は、区画モデルライブラリに登録された区画モデルを示す。
【図4】図4は、強度部材モデルライブラリに登録された隔壁モデルを示す。
【図5】図5は、強度部材モデルライブラリに登録された大骨モデル及び支柱モデルを示す。
【図6】図6は、機器装置モデルライブラリに登録された機器装置モデルを示す。
【図7】図7は、第1の実施形態に係る造船方法のフローチャートである。
【図8】図8は、初期全体配置データの概念図である。
【図9】図9は、機器装置モデルを組み合わせて作成される推進・軸系モジュールを示す。
【図10】図10は、船体線図の差し替えによる船殻構造モデルの変形処理の一の例の概念図である。
【図11】図11は、船体線図の差し替えによる船殻構造モデルの変形処理の他の例の概念図である。
【図12】図12は、船体線図の差し替えによる機器装置モデルの配置変更処理を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付図面を参照して、本発明による船舶設計支援システム及び造船方法を実施するための形態を以下に説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る船舶設計支援システム1を説明する。船舶設計支援システム1は、演算処理装置2と、記憶装置3と、入力装置4と、表示装置5とを備えたコンピュータである。演算処理装置2は、例えばCPUである。記憶装置3は、例えば、半導体記憶装置のような主記憶装置と、ハードディスク装置のような補助記憶装置とを含む。入力装置4は、例えば、キーボード及びマウスを含む。表示装置5は、例えば、液晶ディスプレイである。船舶設計支援システム1は船舶設計支援プログラム6をインストールする。船舶設計支援プログラム6はコンピュータに読み取り可能な記録媒体(例えばCD−ROM)に記録された状態で提供されてもよく、ネットワークを介して提供されてもよい。
【0027】
図2を参照して、船舶設計支援プログラム6が実行されると、船舶設計支援システム1は、入力部11、表示部12、モデル作成・変更部13、検討項目計算部14、コスト計算部15、テンプレート作成部16、二次元データ生成部17、モデル登録部18、及び記憶部20を実現する。モデル作成・変更部13は、デジタルモックアップ(DMU)を作成・変更する。DMUは、三次元CAD(Computer Aided Design)ツールを用いて作成される三次元モデル(3Dモデル)である。シミュレーションソフトウェアを用いてDMUとしてモデル化されている製品(例えば、船舶全体、船舶に搭載される機器装置、船舶の船殻構造、又は、船殻構造を構成する強度部材)の外見、内部構成、動作などを比較・検討することが可能である。記憶部20は、後述するように、初期線図データ21、初期全体配置データ22、全体配置モデルデータ23、テンプレート24、及び最終線図データ30を記憶する。船舶設計支援システム1はデータサーバ40に接続される。
【0028】
データサーバ40は、区画モデルライブラリ41、強度部材モデルライブラリ42、機器装置モデルライブラリ43、及びコスト計算基礎データ44を記憶している。区画モデルライブラリ41、強度部材モデルライブラリ42、機器装置モデルライブラリ43、及びコスト計算基礎データ44は、船舶設計支援システム1とデータサーバ40に接続される他の船舶設計支援システム(不図示)との間で共有される。データを共有しない場合、区画モデルライブラリ41、強度部材モデルライブラリ42、機器装置モデルライブラリ43、及びコスト計算基礎データ44は、記憶部20に記憶されてもよい。
【0029】
図3を参照して、区画モデルライブラリ41は、救命設備モデル51、救命設備モデル52、機関室モデル61、及び機関室モデル62を含む複数の区画モデルを登録している。すなわち、データサーバ40は、複数の区画モデルのデータを記憶している。区画モデルは、建造実績船の区画のDMU、又は、過去に作成されたDMUである。例えば、救命設備モデル51及び機関室モデル61は一の建造実績船の救命設備区画及び機関室区画のDMUであり、救命設備モデル52及び機関室モデル62は他の建造実績船の救命設備区画及び機関室区画のDMUである。救命設備モデル51は、救命艇及びその昇降装置のDMUとしての機器装置モデルと、船殻構造のDMUとしての船殻構造モデルを含む。機関室モデル61は、エンジン及びその周辺機器のDMUとしての機器装置モデルと、船殻構造のDMUとしての船殻構造モデルを含む。区画モデルは、機器装置モデルのみを含む場合、機器装置モデル及び船殻構造モデルを含む場合、船殻構造モデルのみを含む場合がある。
【0030】
図4を参照して、強度部材モデルライブラリ42は、複数の強度部材モデルとして、複数の隔壁モデルを登録している。すなわち、データサーバ40は、複数の隔壁モデルのデータを記憶している。複数の隔壁モデルは、建造実績船の船殻構造を構成する隔壁のDMUである。複数の隔壁モデルは隔壁モデル70〜72を含む。隔壁モデル70は縦通隔壁のDMUである。隔壁モデル71は横置隔壁のDMUである。隔壁モデル72は部分隔壁のDMUである。
【0031】
図5を参照して、強度部材モデルライブラリ42は、複数の強度部材モデルとして、複数の大骨モデル及び支柱モデルを登録している。すなわち、データサーバ40は、複数の大骨モデル及び支柱モデルのデータを記憶している。複数の大骨モデル及び支柱モデルは、建造実績船の船殻構造を構成する大骨及び支柱のDMUである。複数の大骨モデル及び支柱モデルは大骨モデル73、大骨モデル74、及び支柱モデル75を含む。大骨モデル73はビームのDMUである。大骨モデル74はフレームのDMUである。支柱モデル75は支柱のDMUである。
【0032】
強度部材モデルライブラリ42は、強度部材モデルとして、デッキ及び外板のDMUを登録していてもよい。
【0033】
図6を参照して、機器装置モデルライブラリ43は、複数の機器装置モデルを登録している。すなわち、データサーバ40は、複数の機器装置モデルのデータを記憶している。機器装置モデルは、実績ある汎用機器装置のDMUである。
【0034】
コスト計算基礎データ44は、機器装置のコスト、鋼材単位重量当たりのコスト、単位溶接長当たりのコストなどの建造すべき船舶のコストを計算するための基礎データを含む。
【0035】
船舶設計支援システム1は、本実施形態に係る造船方法に用いられる。
【0036】
図7を参照して、本実施形態に係る造船方法は、全体配置モデル作成ステップS10と、設計評価ステップS20と、合否判定ステップS30と、全体配置モデル変更ステップS40と、最終線図はめ込みステップS50と、船舶製造ステップS60とを備える。全体配置モデル作成ステップS10において、船殻構造のDMUとしての船殻構造モデルと機器装置のDMUとしての機器装置モデルとを含む全体配置モデルを作成する。設計評価ステップS20において、全体配置モデルに基づいて設計を評価する。合否判定ステップS30において、設計評価ステップS20の結果に基づいて合否を判定する。不合格と判定された場合、全体配置モデル変更ステップS40において、全体配置モデルを変更する。合否判定ステップS30において合格と判定されるまで、ステップS20、S30、及びS40を繰り返す。合否判定ステップS30において、合格と判定された場合、最終線図はめ込みステップS50において、別途設計された最終線図に基づいて全体配置モデルを変更する。船舶製造ステップS60において、ステップS50で変更された全体配置モデルに基づいて船舶を製造する。
【0037】
以下、フェリーを設計・製造する例を用いてステップS10〜S60を詳細に説明する。ただし、本実施形態に係る船舶設計支援システム1及び造船方法は、貨物船や客船を含む様々な船舶の設計・製造に利用可能である。
【0038】
(ステップS10)
全体配置モデル作成ステップS10を説明する。記憶部20は、外部から提供された初期線図データ21及び初期全体配置データ22を記憶する。初期線図データ21は、過去に設計された標準船型又は建造実績船の船型を表す。初期全体配置データ22は区画の配置を示す。
【0039】
図8を参照して、初期全体配置データ22は、救命設備区画50及び機関室区画60を含む複数の区画の配置を示している。尚、図8中のRoRo(Roll−on/Roll−off)区画は、自動車を自走で搭載/揚陸するための車両デッキ及びランプを備えている。尚、タンク、外艤品、パイプ、ダクト、及び電線は、分散して配置されるため、初期全体配置データ22によって配置が特定されていない。
【0040】
モデル作成・変更部13は、オペレータ(例えば、設計者)による入力部11に対する操作に基づいて、区画モデルライブラリ41から区画のDMUの候補として区画モデルを選択する。例えば、モデル作成・変更部13は、救命設備区画50のDMUの候補として救命設備モデル51を選択し、機関室区画60のDMUの候補として機関室モデル61を選択する。
【0041】
モデル作成・変更部13は、オペレータによる入力部11に対する操作に基づいて、タンク、外艤品、パイプ、ダクト、及び電線のDMUとしての機器装置モデルを機器装置モデルライブラリ43から選択し、選択された機器装置モデルを配置する。ここで、モデル作成・変更部13は、オペレータによる入力部11に対する操作に基づいて、タンク、外艤品、パイプ、ダクト、及び電線のDMUとしての機器装置モデルを新たに作成してもよい。
【0042】
モデル作成・変更部13は、初期線図データ21及び初期全体配置データ22に基づいて、救命設備モデル51、機関室モデル61、及び、タンク、外艤品、パイプ、ダクト、及び電線の機器装置モデルを含むように全体配置モデルを作成する。その結果、全体配置モデルの機器装置モデルは、救命設備モデル51の機器装置モデル、機関室モデル61の機器装置モデル、並びに、タンク、外艤品、パイプ、ダクト、及び電線の機器装置モデルを含み、全体配置モデルの船殻構造モデルは、機関室モデル61の船殻構造モデルを含む。記憶部21は、全体配置モデルを記述する全体配置モデルデータ23を記憶する。尚、全体配置モデルを作成する際、モデル作成・変更部13は、機関室モデル61のような区画モデルに含まれる船殻構造モデルを初期線図データ21に基づいて変形させる。
【0043】
区画モデルライブラリ41に適当な区画モデルがない場合、新たな区画モデルを作成し、作成された区画モデルを区画のDMUの候補として用いてもよい。例えば、モデル作成・変更部13は、オペレータによる入力部11に対する操作に基づいて、区画モデルライブラリ41に登録された区画モデルのパラメータを変更することで区画モデルを作成する。パラメータは、船体主要目、艤装数、甲板面積などである。この場合、区画モデルを容易に作成することができる。
【0044】
また、区画モデルライブラリ41に適当な区画モデルがない場合、区画モデルライブラリ41に登録された区画モデルを用いずに新たな区画モデルを作成してもよい。例えば、 区画モデルライブラリ41に適当な機関室区画モデルがない場合、機関室区画60のDMUの候補として機関室モデル61を選択するかわりに、機関室区画モデルを新たに作成して作成された機関室区画モデルを機関室区画60のDMUの候補として用いる。
【0045】
図9を参照してこの場合の処理を説明する。モデル作成・変更部13は、オペレータによる入力部11に対する操作に基づいて、機器装置モデルライブラリ43からエンジン及びその周辺機器のDMUとしての機器装置モデル77及び76を選択する。モデル作成・変更部13は、オペレータによる入力部11に対する操作に基づいて、機器装置モデル77及び76を含む推進・軸系モジュール78を作成する。モデル作成・変更部13は、オペレータによる入力部11に対する操作に基づいて、船殻構造のDMUとしての船殻構造モデルを作成する。モデル作成・変更部13は、強度部材モデルライブラリ42から強度部材モデルを選択し、選択された強度部材モデルを含むように船殻構造モデルを作成してもよい。或いは、モデル作成・変更部13は、強度部材モデルを作成し、作成された強度部材モデルを含むように船殻構造モデルを作成してもよい。モデル作成・変更部13は、オペレータによる入力部11に対する操作に基づいて、推進・軸系モジュール78及び作成された船殻構造モデルを含むように機関室区画モデルを作成する。
【0046】
この場合、テンプレート作成部16は、推進・軸系モジュール78又は機関室区画モデルの作成過程(作成手順)を登録したテンプレート24を作成する。テンプレート24には、推進・軸系モジュール78又は機関室区画モデルの作成過程に関連して、経験知や形式知などのノウハウが登録されることが好ましい。記憶部20はテンプレート24を記憶する。モデル作成・変更部13は、新たな推進・軸系モジュール又は機関室区画モデルを作成する際にテンプレート24を用いることで、新たな推進・軸系モジュール又は機関室区画モデルを容易に作成することができる。尚、テンプレート24をデータサーバ40に保存すれば、他の船舶設計支援システム(不図示)もテンプレート24を利用できる。
【0047】
この場合、モデル登録部18は、作成された機関室区画モデルを区画モデルライブラリ41に登録する。すなわち、作成された機関室区画モデルのデータがデータサーバ40に記憶される。したがって、今回作成された機関室区画モデルを次回以降に船舶を設計するときに利用することができる。
【0048】
(ステップS20)
設計評価ステップS20を説明する。検討項目計算部14は、全体配置モデルに基づいて、建造すべき船舶の推進性能、船体強度、船体振動、重量、重心位置、溶接長、船首波浪衝撃、縦強度などの検討項目を計算する。コスト計算部15は、全体配置モデル及びコスト計算基礎データ44に基づいて、建造すべき船舶のコストを計算する。表示部12は、全体配置モデル、検討項目、及びコストを表示する。オペレータ(設計者)は、表示部12に表示された全体配置モデル、検討項目、及びコストに基づいて、顧客ニーズの観点、公的基準の観点、造船会社の内部基準の観点などから設計を評価する。
【0049】
(ステップS30)
合否判定ステップS30を説明する。オペレータ(設計者)は、設計評価ステップS20の結果に基づいて合否を判定する。
【0050】
(ステップS40)
全体配置モデル変更ステップS40を説明する。モデル作成・変更部13は、オペレータ(設計者)による入力部11に対する操作に基づいて、全体配置モデルを変更する。例えば、モデル作成・変更部13は、検討項目が目標値となるように、全体配置モデルに含まれる機器装置モデルを移動して重心位置を変更したり、全体配置モデルに含まれる機器装置モデルを別の機器装置モデルと交換したり、強度部材モデルの削除、位置変更、追加などを行って全体配置モデルの船殻構造モデルを変更したりする。
【0051】
ステップS20〜S40を繰り返すことで、顧客ニーズに合わせて全体配置モデルの完成度を高めることが可能であり、設計品質が向上する。したがって、顧客ニーズに合わせたマス・カスタマイゼーション設計が実現される。
【0052】
(ステップS50)
最終線図はめ込みステップS50を説明する。記憶部20は、外部から提供された最終線図データ30を記憶する。最終線図データ30は、建造すべき船舶の船型を表す。最終線図データ30は、例えば、特許文献1(特開2004−9858号公報)に記載の船舶設計装置を用いて生成される。モデル作成・変更部13は、最終線図データ30に基づいて全体配置モデルを自動的に変更する。変更後の全体配置モデルを記述するように全体配置モデルデータ23が更新されて保存される。
【0053】
図10を参照して、最終線図はめ込みステップS50を説明する。ここでは、全体配置モデルの船殻構造モデルが外板モデル81、デッキモデル82、及び横置隔壁モデル83を含む複数の強度部材モデルから構成される例について説明する。外板モデル81、デッキモデル82、及び横置隔壁モデル83は、それぞれ、外板、デッキ、及び横置隔壁のDMUである。ここで、デッキモデル82がモデル化しているデッキ及び横置隔壁モデル83がモデル化している横置隔壁は、外板モデル81がモデル化している外板に溶接される。モデル作成・変更部13は、最終線図データ30に基づいて外板モデル81を自動的に変形させ、デッキモデル82及び横置隔壁モデル83を外板モデル81の変形に追従するように自動的に変形する。例えば、モデル作成・変更部13は、デッキモデル82及び横置隔壁モデル83の部分であって変形後の外板モデル81から外側にはみ出す部分を除去する。尚、変形後の外板モデル81とデッキモデル82との間、及び、変形後の外板モデル81と横置隔壁モデル83との間に隙間が生じる場合、デッキモデル82及び横置隔壁モデル83を変形後の外板モデル81に接するまで延長する。
【0054】
図11を参照して、最終線図はめ込みステップS50を説明する。ここでは、全体配置モデルの船殻構造モデルが外板モデル84及びフレームモデル85を含む複数の強度部材モデルから構成される例について説明する。外板モデル84及びフレームモデル85は、それぞれ、外板及びフレームのDMUである。ここで、フレームモデル85がモデル化しているフレームは、外板モデル84がモデル化している外板に溶接される。フレームモデル85は外板モデル84に沿って鉛直面内で延びている。モデル作成・変更部13は、最終線図データ30に基づいて外板モデル84を自動的に変形させ、フレームモデル85を外板モデル84の変形に追従するように自動的に変形する。例えば、モデル作成・変更部13は、フレームモデル85が変形後の外板モデル84に沿って前述の鉛直面内で延びるようにフレームモデル85を変形する。
【0055】
最終線図はめ込みステップS50において、全体配置モデルの船殻構造モデルに含まれる縦通隔壁モデル、部分隔壁モデル、大骨モデル(ビームモデル)、支柱モデルを外板モデルの変形に追従するように自動的に変形させてもよい。
【0056】
モデル作成・変更部13は、変形後の船殻構造モデルに基づいて機器装置モデルの配置を自動的に変更してもよく、変更しなくてもよい。オペレータの入力部11に対する操作に基づいて、機器装置モデルの配置の自動変更を実行するかを設定できることが好ましい。
【0057】
図12を参照して、変形後の船殻構造モデルに基づいて機器装置モデルの配置を自動的に変更する処理を説明する。ここでは、全体配置モデルの船殻構造モデルが外板モデル86、デッキモデル87、フレームモデル88、及び二重底モデル89を含む複数の強度部材モデルから構成され、全体配置モデルが機器装置モデルとして主機モデル91及びポンプモデル92を含む場合を説明する。外板モデル86、デッキモデル87、フレームモデル88、二重底モデル89、主機モデル91、及びポンプモデル92は、それぞれ、外板、デッキ、フレーム、二重底、主機、及びポンプのDMUである。ここで、デッキモデル87がモデル化しているデッキ、フレームモデル88がモデル化しているフレーム、二重底モデル89がモデル化している二重底は、外板モデル86がモデル化している外板に溶接される。主機モデル91及びポンプモデル92は二重底モデル89上に配置される。ポンプモデル92の位置における二重底モデル89の船幅方向の幅がBで示され、船体舷側とポンプモデル92との船幅方向の距離がCで示され、ポンプモデル92と主機モデル91との船幅方向の距離がDで示されている。距離Cは、船体舷側とポンプモデル92との相対位置に対応する。距離Dは、主機モデル91とポンプモデル92との相対位置に対応する。
【0058】
モデル作成・変更部13は、オペレータ(設計者)による入力部11に対する操作に基づいて、船殻構造モデルの変形に追従して配置を自動変更する機器装置モデルを指定する。以下、主機モデル91が指定されず、ポンプモデル92が指定された場合を説明する。
【0059】
モデル作成・変更部13は、オペレータ(設計者)による入力部11に対する操作に基づいて、ポンプモデル92の配置変更規則を設定する。記憶部20は配置変更規則を記憶する。例えば、距離D及び幅Bの関係を下記式:
D=k・B+r
で設定する。距離Dが幅Bの1次式で表される。ここで、最終線図データ30に基づいて船殻構造モデルを自動変形する前の距離D及び幅Bの値をそれぞれD1及びB1とすると、k及びrは下記式:
D1=k・B1+r
を満足する実定数である。
【0060】
モデル作成・変更部13は、最終線図データ30に基づいて外板モデル86を自動的に変形させ、デッキモデル87、フレームモデル88、及び二重底モデル89を外板モデル86の変形に追従するように自動的に変形させる。その結果、幅Bの値がB2に変化する。
【0061】
モデル作成・変更部13は、距離Dが値D2となるようにポンプモデル92の配置を変更する。値D2は下記式:
D2=k・B2+r
で表される
【0062】
他の例として、ポンプモデル92の配置変更規則が下記式:
C=m・B+s
で与えられる場合を説明する。距離Cが幅Bの1次式で表される。ここで、最終線図データ30に基づいて船殻構造モデルを自動変形する前の距離C及び幅Bの値をそれぞれC1及びB1とすると、m及びsは下記式:
C1=m・B1+s
を満足する実定数である。ここで、実定数mはゼロ(距離Cの値を実定数sに固定)でもよい。
【0063】
この場合、モデル作成・変更部13は、距離Cが値C2となるようにポンプモデル92の配置を変更する。値C2は下記式:
C2=m・B2+s
で表される。尚、距離Cが実定数sで固定されていてもよい。
【0064】
更に他の例として、ポンプモデル92の配置変更規則が下記式:
C+D=n・B+t
C/D=u
で与えられる場合を説明する。こで、最終線図データ30に基づいて船殻構造モデルを自動変形する前の距離C、距離D、及び幅Bの値をそれぞれC1、D1及びB1とすると、n、t、及びuは下記式:
C1+D1=n・B+t
C1/D1=u
を満足する実定数である。
【0065】
この場合、モデル作成・変更部13は、距離Cが値C2、距離Dが値D2となるようにポンプモデル92の配置を変更する。値C2及び値D2は下記式:
C2+D2=n・B+t
C2/D2=u
で表される。
【0066】
以上、最終線図データ30に基づいて船殻構造モデルを変形させた際における幅Bの変化に基づいて機器装置モデルの配置を変更する例を説明した。最終線図データ30に基づいて船殻構造モデルを変形させた際における幅B以外の船体の代表長さの変化に基づいて機器装置モデルの配置を変更してもよい。
【0067】
(ステップS60)
船舶製造ステップS60を説明する。最終線図はめ込みステップS50の結果として得られた全体配置モデルに基づいて船舶を製造する。ここで、二次元データ生成部17は、全体配置モデルに基づいて製造すべき船舶の図面の二次元データを生成する。例えば、二次元データは船首部係船甲板区画の平面図を表す。二次元データは記憶部20に保存され、二次元データが表す図面が表示部12によって表示され又は図示されないプリンタによって印刷される。二次元データ生成部17により、3Dモデルとしての全体配置モデルから図面の二次元データを自動的に生成することができる。
【0068】
尚、船舶設計支援システム1が二次元データを生成しないで全体配置モデルデータ23を外部に出力し、外部に出力された全体配置モデルデータ23に基づいて船舶を製造してもよい。
【0069】
本実施形態によれば、全体配置モデルの完成度を上げてから最終線図データ30に基づいて全体配置モデルを変更しているため、全体配置モデルを生成してその完成度を上げるためのステップS10〜S40と並行して最終線図データ30を生成することが可能である。ステップS20〜S40と並行して最終線図データ30を生成するとは、例えば、最終線図データ30の完成前に全体配置モデル作成ステップS10を開始することである。したがって、設計に着手してから完成するまでの所要時間が短縮される。
【0070】
更に、過去に作成されたDMUや建造実績船のDMUが登録されたライブラリ41〜43を利用して設計を行うため、設計に着手してから完成するまでの所要時間が短縮される。
【0071】
また、全体配置モデルの作成・変更を容易に行うことができ、変更前後の全体配置モデルを表示部12に表示して確認できるため、船舶設計支援システム1は顧客に対するプレゼンテーションにも好適である。
【0072】
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態に様々な変更を行うことが可能である。
【0073】
例えば、ステップS10において区画モデルを作成した場合、モデル登録部18は、ステップS30において合格と判定された後に、その区画モデルを区画モデルライブラリ41に登録することが好ましい。この場合、ステップS30において合格と判定されるまでステップS20〜S40が繰り返されて完成度が高められた状態の区画モデルが登録される。
【0074】
また、区画モデルライブラリ41の区画モデル、強度部材モデルライブラリ42の強度部材モデル、及び、機器装置モデルライブラリ43の機器装置モデルは、それぞれ、船舶の大きさに基づいて複数のグループに分類されていることが好ましい。オペレータは、建造すべき船舶の大きさに対応するグループから適切なモデルを迅速に選択することができる。更に、オペレータが入力部11を操作して建造すべき船舶の大きさを指定した場合、表示部12は指定された大きさに対応するグループのみを表示することが好ましい。
【符号の説明】
【0075】
1…船舶設計支援システム
2…演算処理装置
3…記憶装置
4…入力装置
5…表示装置
6…船舶設計支援プログラム
11…入力部
12…表示部
13…モデル作成・変更部
14…検討項目計算部
15…コスト計算部
16…テンプレート作成部
17…二次元データ生成部
18…モデル登録部
20…記憶部
21…初期線図データ
22…初期全体配置データ
23…全体配置モデルデータ
24…テンプレート
30…最終線図データ
40…データサーバ
41…区画モデルライブラリ
42…強度部材モデルライブラリ
43…機器装置モデルライブラリ
44…コスト計算基礎データ
50…救命設備区画
51、52…救命設備モデル
60…機関室区画
61、62…機関室モデル
70〜72…隔壁モデル
73、74…大骨モデル
75…支柱モデル
76、77…機器装置モデル
78…推進・軸系モジュール
81、84、86…外板モデル
82、87…デッキモデル
83…横置隔壁モデル
85、88…フレームモデル
89…二重底モデル
91…主機モデル
92…ポンプモデル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船殻構造の3Dモデルとしての船殻構造モデルと機器装置の3Dモデルとしての機器装置モデルとを含む全体配置モデルを記述する全体配置モデルデータを記憶する記憶手段と、
建造すべき船舶の船型を表す最終線図データに基づいて前記全体配置モデルを変更するモデル作成・変更手段と
を具備する
船舶設計支援システム。
【請求項2】
前記船殻構造モデルは、
外板の3Dモデルとしての外板モデルと、
隔壁、大骨、支柱、デッキ又は二重底の3Dモデルとしての強度部材モデルと
を含み、
前記モデル作成・変更手段は、前記最終線図データに基づいて前記外板モデルを変形させ、前記強度部材モデルを前記外板モデルの変形に追従するように変形させる
請求項1の船舶設計支援システム。
【請求項3】
前記強度部材モデルは、前記隔壁又は前記デッキの3Dモデルとしての第1強度部材モデルを含み、
前記モデル作成・変更手段は、前記第1強度部材モデルの部分であって変形後の前記外板モデルから外側にはみ出す部分を除去する
請求項2の船舶設計支援システム。
【請求項4】
前記強度部材モデルは、前記外板に沿って延びるフレームの3Dモデルとしての第2強度部材モデルを含み、
前記モデル作成・変更手段は、前記第2強度部材モデルが変形後の前記外板モデルに沿って延びるように前記第2強度部材モデルを変形する
請求項2又は3の船舶設計支援システム。
【請求項5】
オペレータによって操作される入力手段を更に具備し、
前記モデル作成・変更手段は、
前記入力手段に対する操作に基づいて、前記建造すべき船舶の第1区画の3Dモデルの候補として、区画モデルライブラリから第1区画モデルを選択し、
船型を表す初期線図データと区画の配置を示す初期全体配置データとに基づいて、前記全体配置モデルが前記第1区画モデルを含むように前記全体配置モデルを作成し、
前記第1区画モデルは、
船殻構造の3Dモデルとしての第1区画船殻構造モデルと、
機器装置の3Dモデルとしての第1区画機器装置モデルと
を含み、
前記船殻構造モデルは前記第1区画船殻構造モデルを含み、
前記機器装置モデルは前記第1区画機器装置モデルを含む
請求項1乃至4のいずれかに記載の船舶設計支援システム。
【請求項6】
オペレータによって操作される入力手段を更に具備し、
前記モデル作成・変更手段は、
前記入力手段に対する操作に基づいて、前記建造すべき船舶の第1区画の3Dモデルの候補として、区画モデルライブラリから第1区画モデルを選択し、
前記入力手段に対する操作に基づいて、機器装置モデルライブラリから機器装置の3Dモデルとしての第2区画機器装置モデルを選択し、
前記入力手段に対する操作に基づいて、船殻構造の3Dモデルとしての第2区画船殻構造モデルを作成し、
前記入力手段に対する操作に基づいて、前記建造すべき船舶の第2区画の3Dモデルの候補として、前記第2区画船殻構造モデル及び前記第2区画機器装置モデルを含む第2区画モデルを作成し、
船型を表す初期線図データと区画の配置を示す初期全体配置データとに基づいて、前記全体配置モデルが前記第1区画モデル及び前記第2区画モデルを含むように前記全体配置モデルを作成し、
前記第1区画モデルは、機器装置の3Dモデルとしての第1区画機器装置モデルを含み、
前記船殻構造モデルは前記第2区画船殻構造モデルを含み、
前記機器装置モデルは前記第1区画機器装置モデル及び前記第2区画機器装置モデルを含む
請求項1乃至4のいずれかに記載の船舶設計支援システム。
【請求項7】
前記第2区画モデルを前記区画モデルライブラリに登録するモデル登録手段を更に具備する
請求項6の船舶設計支援システム。
【請求項8】
前記第2区画モデルの作成過程を登録したテンプレートを作成するテンプレート作成手段を更に具備する
請求項6又は7の船舶設計支援システム。
【請求項9】
前記全体配置モデルに基づいて、前記建造すべき船舶の推進性能、船体強度、船体振動、重量、重心位置、溶接長、船首波浪衝撃又は縦強度としての検討項目を計算する検討項目計算手段と、
前記検討項目を表示する表示手段と、
オペレータによって操作される入力手段と
を更に具備し、
前記モデル作成・変更手段は、前記入力手段に対する操作に基づいて、前記全体配置モデルを変更する
請求項1乃至4のいずれかに記載の船舶設計支援システム。
【請求項10】
前記全体配置モデルに基づいて、前記建造すべき船舶のコストを計算するコスト計算手段と、
前記コストを表示する表示手段と
を更に具備する
請求項1乃至4のいずれかに記載の船舶設計支援システム。
【請求項11】
前記最終線図データに基づいて変更された後の前記全体配置モデルに基づいて船舶の図面の二次元データを生成する二次元データ生成部と、
前記二次元データが表す図面を出力する出力手段と
を更に具備する
請求項1乃至10のいずれかに記載の船舶設計支援システム。
【請求項12】
船殻構造の3Dモデルとしての船殻構造モデルと機器装置の3Dモデルとしての機器装置モデルとを含む全体配置モデルを作成するステップと、
建造すべき船舶の船型を表す最終線図データに基づいて前記全体配置モデルを変更するステップと、
前記最終線図データに基づいて変更された前記全体配置モデルに基づいて前記船舶を製造するステップと
を具備する
造船方法。
【請求項13】
前記最終線図データの完成前に前記全体配置モデルを作成する前記ステップを開始する
請求項12の造船方法。
【請求項14】
船殻構造の3Dモデルとしての船殻構造モデルと機器装置の3Dモデルとしての機器装置モデルとを含む全体配置モデルを記述する全体配置モデルデータを記憶することと、
建造すべき船舶の船型を表す最終線図データに基づいて前記全体配置モデルを変更することと
をコンピュータに実行させる
船舶設計支援プログラム。
【請求項15】
請求項1乃至11のいずれかに記載の船舶設計支援システムを用いて設計、建造された船舶。
【請求項16】
請求項12又は13の造船方法により建造された船舶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−76680(P2012−76680A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225695(P2010−225695)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】