船舶
【課題】船尾における係船作業時に、船尾方向に展張する係船索と、船幅方向に展張する係船索が同じ甲板上に展張されて、係船作業員が係船索に挟まれた領域で作業するのを回避できて、係船作業の安全性をより高めることができ、しかも、船体の前後方向の船尾長さを短くできる船舶を提供する。
【解決手段】船尾において、上甲板2より上に係船用甲板3を設け、船尾方向に係船索を展張する船尾方向係船機11と、船幅方向に係船索22を展張する船幅方向係船機12とを、前記上甲板2と前記係船用甲板3に別々に配置する。
【解決手段】船尾において、上甲板2より上に係船用甲板3を設け、船尾方向に係船索を展張する船尾方向係船機11と、船幅方向に係船索22を展張する船幅方向係船機12とを、前記上甲板2と前記係船用甲板3に別々に配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船尾における係船作業時に、船尾方向に展張する係船索と、船幅方向に展張する係船索が同じ甲板上に展張されて、係船作業員が係船索に挟まれた領域で作業するのを回避できて、係船作業の安全性をより高めることができ、しかも、船体の前後方向の船尾長さを短くできる船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、船舶は港湾に入港して岸壁に係船索等で係船された後に荷役作業を行う。この係船作業に際しては、船首側と船尾側の両方で、係船索を一対の係船金物の間から岸壁側のピット(係留柱)または係船金物に渡して係船索の先端をピットで係止して、この係船索を係船機(係船装置)の係船ドラム(ホーサードラム)で巻き取り、係船作業を行っている。そのため、船首側と船尾側に係船機を幾つか備えている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この船尾部においては、図11及び図12に示すように、船舶1の船尾方向の係船索21を展張する船尾方向係船機11と、船幅方向の係船索22を展張する船幅方向係船機12が、同じ上甲板2に配置されている。この図12に示すような場合に係船作業者A、B、Cは、船尾方向と船幅方向にほぼ同時に係船索21、22を張り出す作業を行う。この時に、船尾方向の係船索21を扱う船尾方向係船機11を操作する係船作業者Aが居る範囲R(クロスハッチング部分)は、係船機11、12の配置の関係で、船尾方向に展張する係船索21と船幅方向に展張する係船索22に挟まれてしまう。
【0004】
従って、船尾方向係船機11を操作する係船作業者Aは、船幅方向に展張する係船索22の動向に注意しながら、船尾方向係船機11を操作する必要がある。また、船幅方向係船機12を操作する係船作業員Bは、船尾方向係船機11を操作する係船作業者Aの動向に注意しながら、船幅方向係船機12を操作する必要がある。
【0005】
従来技術では、係船作業者Aと船幅方向の係船索22とがある程度の距離以内に近接して危険が生じないように、また、係船作業員Aに危険性を感じさせないように、船尾方向係船機11と船幅方向係船機12との間の船尾方向の距離を十分に大きく取って配置している。そのため、図9に示す船尾長さLsが長くなるという問題がある。
【0006】
また、一方で、船尾における上部構造物6より後の上甲板2の長さともいうべき船尾長さLsは、上甲板2より下の舵取機室4の長さやアフトピークタンク5の長さから決まることは少なく、主に船尾の上甲板2における係船機11、12等の配置から決まることが多い。特に係船機の台数が多い場合や船尾甲板に設置する甲板機器が多い場合には、船尾長さLsが長くなる傾向にある。
【0007】
この船尾長さLsを短くできると、貨物倉の容積、あるいは、載荷重量(DW)を維持したまま、船長を短くすることができる。この船長が短くなると、入港可能な港湾の範囲が広がり、船舶の汎用性が増す等、大きなメリットがある。そのため、船尾長さの短縮は大きな効果を奏することができる。従って、係船作業員Aの安全性と操作性を確保すると共に、船尾長さを短くすることも重要な課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−145194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、船尾における係船作業時に、船尾方向に展張する係船索と、船幅方向に展張する係船索が同じ甲板上に展張されて、係船作業員が係船索に挟まれた領域で作業するのを回避できて、係船作業の安全性をより高めることができ、しかも、船体の前後方向の船尾長さを短くできる船舶を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための本発明の船舶は、船尾において、上甲板より上に係船用甲板を設け、船尾方向に係船索を展張する船尾方向係船機と、船幅方向に係船索を展張する船幅方向係船機とを、前記上甲板と前記係船用甲板に別々に配置して構成される。
【0011】
つまり、従来技術では同じ上甲板に平面的に係船機を左右前後に配置していたのを、本発明では、増設甲板を設けることで上甲板と係船用甲板の2階建てとし、係船機を垂直方向に配置することにより、係船作業員が係船索に挟まれた領域で作業するのを回避して、係船作業の安全性をより高めることができる。
【0012】
また、船尾方向係船機と船幅方向係船機の配置が立体的になるので、両者の船体前後方向の距離の制約が無くなり、船尾長さを短くすることができる。その上、船尾長さの短縮と共に、船尾構造物の重量を軽減できるので、船舶全体として船長や登録長さを短くすることができ、また、重量を軽減できる。更に、係船機及びその他の甲板機器の台数が多い場合には、増設した係船用甲板を比較的大きく取ることにより、船尾長さを短くしたまま対応できる。
【0013】
上記の船舶において、前記係船用甲板の幅を同じ前後位置の前記上甲板の幅よりも狭くして前記上甲板の内側に収まるように小さく形成すると共に、前記係船用甲板の船尾側の端を船尾端よりも内側にして形成すると、係船用甲板の大きさが必要最小限になり、係船用甲板の増設による重量増加を減少でき、船尾長さの短縮による重量軽減効果を大きくすることができる。
【0014】
上記の船舶において、前記船尾方向係船機を前記上甲板に、前記船幅方向係船機を前記係船用甲板にそれぞれ配置すると共に、前記係船用甲板の舷側の端部を含む部分に水平面から15度以上65度以下の傾斜を持つ傾斜部を設けて構成すると、船幅方向の係船索を容易に岸壁側に導くことができるようになる。なお、この場合は、2階建ての下の上甲板に設置されている係船機は船尾方向係船機として使用し、上の係船用甲板に設置されている係船機は船幅方向係船機として使用する。なお、傾斜角度を15度より小さくすると、水平に近くて傾斜部を設ける効果が少なく、65度より大きくすると垂直に近くて傾斜部を設ける効果が少ない。
【0015】
上記の船舶において、前記係船用甲板をライフボードの支持台と共用すると、ライフボードの支持が容易となる。
【0016】
上記の船舶において、前記係船用甲板に重量軽減用の軽め孔を設けて構成すると、係船機と係船作業者にとって必要最小限の箇所のみに甲板がある構造とすることができ、著しく軽量化することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の船舶によれば、船尾における係船作業時に、船尾方向に展張する係船索と、船幅方向に展張する係船索が同じ甲板上に展張されて、係船作業員が係船索に挟まれた領域で作業するのを回避できて、係船作業の安全性をより高めることができ、しかも、船体の前後方向の船尾長さを短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態の船舶における係船機の配置を示す側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】係船用甲板に軽め孔を形成した場合の平面図である。
【図4】係船用甲板の幅を同じ前後位置の上甲板と同じに形成した場合の横断面図である。
【図5】係船用甲板の幅を同じ前後位置の上甲板より狭く形成した場合の横断面図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】係船用甲板の幅を同じ前後位置の上甲板の幅と同じに形成すると共に、傾斜甲板を設けた場合の横断面図である。
【図8】図7の平面図である。
【図9】係船用甲板の幅を上甲板より狭く形成すると共に、傾斜甲板を設けた場合の横断面図である。
【図10】図9の平面図である。
【図11】従来技術の船舶における係船機の配置を示す側面図である。
【図12】図11の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明に係る実施の形態の船舶について図1〜図8を参照しながら説明する。なお、本発明は船尾部における係船機等の配置に関するものであるので、船首部の係船機や係船機の配置は従来技術を適用するため、ここでは説明を省略する。
【0020】
この実施の形態の船舶1は、港湾に入港して荷役作業を行う前に、岸壁に係船索21、22等で係船される。この係船作業に際しては、船首側と船尾側の両方で、図1及び図2に示すように、係船索21、22を一対の係船金物、一例としてフェアリーダー23の間から岸壁30側のピット(係留柱)または係船金物31に渡して係船索21、22の先端をピットまたは係船金物31で係止して、この係船索21、22を係船機(係船装置)11、12の係船ドラム11a、12aで巻き取り、係船作業を行っている。このために、船首側と船尾側に係船機を備えて構成される。
【0021】
この実施の形態の船舶1では、図1及び図2に示すように、船尾において、上甲板2より上に係船用甲板3を設け、船尾方向に係船索21を展張する船尾方向係船機11と、船幅方向に係船索22を展張する船幅方向係船機12とを、上甲板2と係船用甲板3に別々に配置する。なお、図1〜8では、船尾方向係船機11を2台、上甲板2に配置し、船幅方向係船機12を1台若しくは複数台、係船用甲板3に配置している。
【0022】
この船舶1の係船作業の際に、上甲板2上の2台の船尾方向係船機11からスターンライン(船尾索)用として船尾方向の係船索21を展張し、係船用甲板3上の船幅方向係船機12から後方ブレストライン用又は後方スプリングライン(図示しない)として、船幅方向の係船索22を展張する。
【0023】
なお、船首部においては、特に図示しないが、船舶1の船首方向の係船索を展張するヘッドライン(船首索)、船幅方向の係船索を展張する前方ブレストライン、なお、大型船の場合には、船首方向に係船索を展張する前方スプリングラインが展張される。
【0024】
係船作業で用いられる係船機11、12はムアリングウィンチとも呼ばれ、ホーサーやロープ等の係船索21、22を巻き込むための係船ドラム11a、12aがモータで駆動されるようになっており、係船ドラム11a、12aの両端にワーピングエンドが付いていることが多い。
【0025】
また、上甲板2の船尾の端部と係船用甲板3の舷側の端部に、係船索21、22の摩耗を軽減するために、種々の係船金物が採用される。一例としては、ローラ付きのローラーフェアリーダー等のフェアリーダー23が設けられており、係船索21、22を岸壁30側に送り出す時に、ここを通して送り出す。このフェアリーダー23は上下又は下にあるローラが係船索21、22の移動に合わせて回転して擦り切れるのを防止する。なお、上下左右の井桁状にローラを設けたユニバーサルフェアリーダー等もある
次に本発明の係船用甲板3について説明する。この係船用甲板3は、構造支柱を円柱でブラケット支持する構成、トラス構造、ラーメン構造等で建造することができる。また、支柱は円柱に代えてアングル鋼を用いる構造でもよい。なお、フリーフォールライフボート(自由降下進水式救命艇)40が船尾配置されている場合には、一部ライフボートダビットの支持サポート(ライフボート支持台)としても共用利用してもよい。この係船用甲板3は、軽量化するため、係船作業者と必要最小限の箇所のみとする構造とすることが好ましい。
【0026】
そして、図3に示すように、係船用甲板3に重量軽減用の軽め孔3aを設けて構成すると、係船機22と係船作業者にとって必要最小限の箇所のみに甲板がある構造にすることができる。なお、この軽め孔3aの周囲には囲いを設けて転落を防止する。
【0027】
図4に示すように、係船用甲板3の幅を同じ前後位置の上甲板2の幅と同じにする構成よりも、図5に示すように、この係船用甲板3の幅を同じ前後位置の上甲板2の幅よりも狭くして上甲板2の内側に収まるように小さく形成することが好ましい。これにより、係船用甲板3の重量を軽減できると共に、船幅方向に展張する係船索22の係船金物、一例としてフェアリーダー23と岸壁30側のピットまたは係船金物31との間の傾斜を穏やかにすることができ、係船作業を容易にすることができると共に、係船索22の先端がピット31から抜け難くすることができる。
【0028】
更に、図6に示すように、係船用甲板3の船尾側の端を船尾端よりも内側にして形成することが好ましい。この構成により、係船用甲板3の大きさをより必要最小限にすることができる。
【0029】
上記の係留用甲板3に軽め孔3aを設けたり、係船用甲板3の幅を同じ前後位置の上甲板2の幅よりも小さくしたり、係船用甲板3の後端を船の後端よりも船首側に形成したり、これらの構成を組み合わせたりすることにより、係船用甲板3の増設による重量増加を減少できる。
【0030】
また、図7及び図8に示すように、2階建ての下の上甲板2に設置されている係船機は船尾方向係船機21として使用し、上の係船用甲板3に設置されている係船機は船幅方向係船機22として使用する場合に、係船用甲板3の舷側の端部を含む部分に水平面から15度以上65度以下の傾斜を持つ傾斜部3bを設けて構成することが好ましい。つまり、2階建て構造で係船索22が出る最終端は通常の場合、水平構造とするが、係船索22を岸壁側に導きやすくするため15度から65度の任意の範囲にて角度を付ける傾斜型甲板とすることが好ましい。
【0031】
また、図9及び図10に示すように、同じ前後位置で上甲板2より幅の狭い係船用甲板3の舷側の端部を含む部分に、水平面から15度以上65度以下の傾斜を持つ傾斜部3bを設けて構成することが好ましい。
【0032】
これらの構成により、傾斜部3bの端部に設けた係船金物、一例としてフェアリーダー23と岸壁30側のピットまたは係留金物31との間の傾斜をより穏やかにすることができ、係船作業をより容易にすることができると共に、係船索22の先端がピットまたは係留金物31から抜け難くすることができる。なお、傾斜角度を15度より小さくすると、水平に近くて傾斜部を設ける効果が少なく、65度より大きくすると垂直に近くて傾斜部を設ける効果が少ない。
【0033】
上記の構成の船舶1によれば、従来技術では同じ上甲板に平面的に係船機を左右前後に配置していたのを、本発明では、係船用甲板3という増設甲板を設けることで上甲板2と係船用甲板3の2階建てとし、係船機11、12を垂直方向に配置することにより、係船作業員が係船索21、22に挟まれた領域で作業するのを回避して、係船作業の安全性をより高めることができる。また、係船作業者以外の人間がこの場所にアクセスする場合にも安全性を確保でき、船尾部へのアクセスにおける安全性の確保ができる。
【0034】
更に、2階建ての係船用甲板3により、係船機の増設が可能となり、また、甲板機械を搭載する甲板としても使用できるので、係船作業以外の他の作業をする上での広さの確保ができ、船尾部における作業用領域を広く確保ができる。また、2階建て配置となるため、下の上甲板2に配置されている係船機等の一連の装置が直接風雨に曝さることを防止できるので、耐久性の面からも好ましい状態となる。また、従来方式に比べて相対的に船尾側に係船機、係船金物の一連の装置を配置できるようになるため、係船力への寄与が大きくなり、係船及び係船作業におけるメリットが大きくなる。その上、フリーフォールライフボート40を装備する場合にも、図1及び図2に示すように配置することができるというメリットがある。
【0035】
そして、船尾方向係船機11と船幅方向係船機22の配置が立体的になるので、両者の船体前後方向の距離の制約が無くなり、船尾長さLsを短くすることができる。言い換えれば、係船作業に関する装置の配置に関しての余剰長さLrが生じる。
【0036】
この船尾長さLsの短縮と共に、船尾構造の重量を軽減できるので、船舶全体として船長や登録長さを短くすることができ、また、重量を軽減できる。更に、係船機及びその他の甲板機器の台数が多い場合には、増設した係船用甲板3を比較的大きく取ることにより、船尾長さLsを短くしたまま対応できる。
【0037】
その結果、船長が短くなるので、船体重量を軽減でき建造費を安価にでき、ひいては省エネルギー、CO2削減効果を得ることが可能で、造船所にとってのメリットが生じると共に、長さを短くすることで、従来の船舶よりも、同じ馬力であれば速度が速くなり、同じ速度であれば推進に必要な馬力が小さくなる。その上、多くの港に入港可能な港湾が増加すると共に、船長に依存する入港料が安価となり、また、船長の割合に比べて載荷重量が増加するので輸送効率が良くなる。これらの船主側にとってのメリットが生じる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の船舶は、船尾における係船作業時に、船尾方向に展張する係船索と、船幅方向に展張する係船索が同じ甲板上に展張されて、係船作業員が係船索に挟まれた領域で作業するのを回避できて、係船作業の安全性をより高めることができ、しかも、船体の前後方向の船尾長さを短くできるので、多くの船舶に利用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 船舶
2 上甲板
3 係船用甲板
4 舵取機室
5 アフトピークタンク
11 船尾方向係船機
11a、12a 係船用ドラム
12 船幅方向係船機
21 船尾方向の係船索
22 船幅方向の係船索
23 係船金物
30 岸壁
31 ビット(係留柱)または係留金物
40 フリーフォールライフボート(自由降下進水式救命艇)
A、B、C 係船作業者
Lr 余剰長さ
Ls 船尾長さ
R 作業領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、船尾における係船作業時に、船尾方向に展張する係船索と、船幅方向に展張する係船索が同じ甲板上に展張されて、係船作業員が係船索に挟まれた領域で作業するのを回避できて、係船作業の安全性をより高めることができ、しかも、船体の前後方向の船尾長さを短くできる船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、船舶は港湾に入港して岸壁に係船索等で係船された後に荷役作業を行う。この係船作業に際しては、船首側と船尾側の両方で、係船索を一対の係船金物の間から岸壁側のピット(係留柱)または係船金物に渡して係船索の先端をピットで係止して、この係船索を係船機(係船装置)の係船ドラム(ホーサードラム)で巻き取り、係船作業を行っている。そのため、船首側と船尾側に係船機を幾つか備えている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この船尾部においては、図11及び図12に示すように、船舶1の船尾方向の係船索21を展張する船尾方向係船機11と、船幅方向の係船索22を展張する船幅方向係船機12が、同じ上甲板2に配置されている。この図12に示すような場合に係船作業者A、B、Cは、船尾方向と船幅方向にほぼ同時に係船索21、22を張り出す作業を行う。この時に、船尾方向の係船索21を扱う船尾方向係船機11を操作する係船作業者Aが居る範囲R(クロスハッチング部分)は、係船機11、12の配置の関係で、船尾方向に展張する係船索21と船幅方向に展張する係船索22に挟まれてしまう。
【0004】
従って、船尾方向係船機11を操作する係船作業者Aは、船幅方向に展張する係船索22の動向に注意しながら、船尾方向係船機11を操作する必要がある。また、船幅方向係船機12を操作する係船作業員Bは、船尾方向係船機11を操作する係船作業者Aの動向に注意しながら、船幅方向係船機12を操作する必要がある。
【0005】
従来技術では、係船作業者Aと船幅方向の係船索22とがある程度の距離以内に近接して危険が生じないように、また、係船作業員Aに危険性を感じさせないように、船尾方向係船機11と船幅方向係船機12との間の船尾方向の距離を十分に大きく取って配置している。そのため、図9に示す船尾長さLsが長くなるという問題がある。
【0006】
また、一方で、船尾における上部構造物6より後の上甲板2の長さともいうべき船尾長さLsは、上甲板2より下の舵取機室4の長さやアフトピークタンク5の長さから決まることは少なく、主に船尾の上甲板2における係船機11、12等の配置から決まることが多い。特に係船機の台数が多い場合や船尾甲板に設置する甲板機器が多い場合には、船尾長さLsが長くなる傾向にある。
【0007】
この船尾長さLsを短くできると、貨物倉の容積、あるいは、載荷重量(DW)を維持したまま、船長を短くすることができる。この船長が短くなると、入港可能な港湾の範囲が広がり、船舶の汎用性が増す等、大きなメリットがある。そのため、船尾長さの短縮は大きな効果を奏することができる。従って、係船作業員Aの安全性と操作性を確保すると共に、船尾長さを短くすることも重要な課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−145194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、船尾における係船作業時に、船尾方向に展張する係船索と、船幅方向に展張する係船索が同じ甲板上に展張されて、係船作業員が係船索に挟まれた領域で作業するのを回避できて、係船作業の安全性をより高めることができ、しかも、船体の前後方向の船尾長さを短くできる船舶を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための本発明の船舶は、船尾において、上甲板より上に係船用甲板を設け、船尾方向に係船索を展張する船尾方向係船機と、船幅方向に係船索を展張する船幅方向係船機とを、前記上甲板と前記係船用甲板に別々に配置して構成される。
【0011】
つまり、従来技術では同じ上甲板に平面的に係船機を左右前後に配置していたのを、本発明では、増設甲板を設けることで上甲板と係船用甲板の2階建てとし、係船機を垂直方向に配置することにより、係船作業員が係船索に挟まれた領域で作業するのを回避して、係船作業の安全性をより高めることができる。
【0012】
また、船尾方向係船機と船幅方向係船機の配置が立体的になるので、両者の船体前後方向の距離の制約が無くなり、船尾長さを短くすることができる。その上、船尾長さの短縮と共に、船尾構造物の重量を軽減できるので、船舶全体として船長や登録長さを短くすることができ、また、重量を軽減できる。更に、係船機及びその他の甲板機器の台数が多い場合には、増設した係船用甲板を比較的大きく取ることにより、船尾長さを短くしたまま対応できる。
【0013】
上記の船舶において、前記係船用甲板の幅を同じ前後位置の前記上甲板の幅よりも狭くして前記上甲板の内側に収まるように小さく形成すると共に、前記係船用甲板の船尾側の端を船尾端よりも内側にして形成すると、係船用甲板の大きさが必要最小限になり、係船用甲板の増設による重量増加を減少でき、船尾長さの短縮による重量軽減効果を大きくすることができる。
【0014】
上記の船舶において、前記船尾方向係船機を前記上甲板に、前記船幅方向係船機を前記係船用甲板にそれぞれ配置すると共に、前記係船用甲板の舷側の端部を含む部分に水平面から15度以上65度以下の傾斜を持つ傾斜部を設けて構成すると、船幅方向の係船索を容易に岸壁側に導くことができるようになる。なお、この場合は、2階建ての下の上甲板に設置されている係船機は船尾方向係船機として使用し、上の係船用甲板に設置されている係船機は船幅方向係船機として使用する。なお、傾斜角度を15度より小さくすると、水平に近くて傾斜部を設ける効果が少なく、65度より大きくすると垂直に近くて傾斜部を設ける効果が少ない。
【0015】
上記の船舶において、前記係船用甲板をライフボードの支持台と共用すると、ライフボードの支持が容易となる。
【0016】
上記の船舶において、前記係船用甲板に重量軽減用の軽め孔を設けて構成すると、係船機と係船作業者にとって必要最小限の箇所のみに甲板がある構造とすることができ、著しく軽量化することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の船舶によれば、船尾における係船作業時に、船尾方向に展張する係船索と、船幅方向に展張する係船索が同じ甲板上に展張されて、係船作業員が係船索に挟まれた領域で作業するのを回避できて、係船作業の安全性をより高めることができ、しかも、船体の前後方向の船尾長さを短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態の船舶における係船機の配置を示す側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】係船用甲板に軽め孔を形成した場合の平面図である。
【図4】係船用甲板の幅を同じ前後位置の上甲板と同じに形成した場合の横断面図である。
【図5】係船用甲板の幅を同じ前後位置の上甲板より狭く形成した場合の横断面図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】係船用甲板の幅を同じ前後位置の上甲板の幅と同じに形成すると共に、傾斜甲板を設けた場合の横断面図である。
【図8】図7の平面図である。
【図9】係船用甲板の幅を上甲板より狭く形成すると共に、傾斜甲板を設けた場合の横断面図である。
【図10】図9の平面図である。
【図11】従来技術の船舶における係船機の配置を示す側面図である。
【図12】図11の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明に係る実施の形態の船舶について図1〜図8を参照しながら説明する。なお、本発明は船尾部における係船機等の配置に関するものであるので、船首部の係船機や係船機の配置は従来技術を適用するため、ここでは説明を省略する。
【0020】
この実施の形態の船舶1は、港湾に入港して荷役作業を行う前に、岸壁に係船索21、22等で係船される。この係船作業に際しては、船首側と船尾側の両方で、図1及び図2に示すように、係船索21、22を一対の係船金物、一例としてフェアリーダー23の間から岸壁30側のピット(係留柱)または係船金物31に渡して係船索21、22の先端をピットまたは係船金物31で係止して、この係船索21、22を係船機(係船装置)11、12の係船ドラム11a、12aで巻き取り、係船作業を行っている。このために、船首側と船尾側に係船機を備えて構成される。
【0021】
この実施の形態の船舶1では、図1及び図2に示すように、船尾において、上甲板2より上に係船用甲板3を設け、船尾方向に係船索21を展張する船尾方向係船機11と、船幅方向に係船索22を展張する船幅方向係船機12とを、上甲板2と係船用甲板3に別々に配置する。なお、図1〜8では、船尾方向係船機11を2台、上甲板2に配置し、船幅方向係船機12を1台若しくは複数台、係船用甲板3に配置している。
【0022】
この船舶1の係船作業の際に、上甲板2上の2台の船尾方向係船機11からスターンライン(船尾索)用として船尾方向の係船索21を展張し、係船用甲板3上の船幅方向係船機12から後方ブレストライン用又は後方スプリングライン(図示しない)として、船幅方向の係船索22を展張する。
【0023】
なお、船首部においては、特に図示しないが、船舶1の船首方向の係船索を展張するヘッドライン(船首索)、船幅方向の係船索を展張する前方ブレストライン、なお、大型船の場合には、船首方向に係船索を展張する前方スプリングラインが展張される。
【0024】
係船作業で用いられる係船機11、12はムアリングウィンチとも呼ばれ、ホーサーやロープ等の係船索21、22を巻き込むための係船ドラム11a、12aがモータで駆動されるようになっており、係船ドラム11a、12aの両端にワーピングエンドが付いていることが多い。
【0025】
また、上甲板2の船尾の端部と係船用甲板3の舷側の端部に、係船索21、22の摩耗を軽減するために、種々の係船金物が採用される。一例としては、ローラ付きのローラーフェアリーダー等のフェアリーダー23が設けられており、係船索21、22を岸壁30側に送り出す時に、ここを通して送り出す。このフェアリーダー23は上下又は下にあるローラが係船索21、22の移動に合わせて回転して擦り切れるのを防止する。なお、上下左右の井桁状にローラを設けたユニバーサルフェアリーダー等もある
次に本発明の係船用甲板3について説明する。この係船用甲板3は、構造支柱を円柱でブラケット支持する構成、トラス構造、ラーメン構造等で建造することができる。また、支柱は円柱に代えてアングル鋼を用いる構造でもよい。なお、フリーフォールライフボート(自由降下進水式救命艇)40が船尾配置されている場合には、一部ライフボートダビットの支持サポート(ライフボート支持台)としても共用利用してもよい。この係船用甲板3は、軽量化するため、係船作業者と必要最小限の箇所のみとする構造とすることが好ましい。
【0026】
そして、図3に示すように、係船用甲板3に重量軽減用の軽め孔3aを設けて構成すると、係船機22と係船作業者にとって必要最小限の箇所のみに甲板がある構造にすることができる。なお、この軽め孔3aの周囲には囲いを設けて転落を防止する。
【0027】
図4に示すように、係船用甲板3の幅を同じ前後位置の上甲板2の幅と同じにする構成よりも、図5に示すように、この係船用甲板3の幅を同じ前後位置の上甲板2の幅よりも狭くして上甲板2の内側に収まるように小さく形成することが好ましい。これにより、係船用甲板3の重量を軽減できると共に、船幅方向に展張する係船索22の係船金物、一例としてフェアリーダー23と岸壁30側のピットまたは係船金物31との間の傾斜を穏やかにすることができ、係船作業を容易にすることができると共に、係船索22の先端がピット31から抜け難くすることができる。
【0028】
更に、図6に示すように、係船用甲板3の船尾側の端を船尾端よりも内側にして形成することが好ましい。この構成により、係船用甲板3の大きさをより必要最小限にすることができる。
【0029】
上記の係留用甲板3に軽め孔3aを設けたり、係船用甲板3の幅を同じ前後位置の上甲板2の幅よりも小さくしたり、係船用甲板3の後端を船の後端よりも船首側に形成したり、これらの構成を組み合わせたりすることにより、係船用甲板3の増設による重量増加を減少できる。
【0030】
また、図7及び図8に示すように、2階建ての下の上甲板2に設置されている係船機は船尾方向係船機21として使用し、上の係船用甲板3に設置されている係船機は船幅方向係船機22として使用する場合に、係船用甲板3の舷側の端部を含む部分に水平面から15度以上65度以下の傾斜を持つ傾斜部3bを設けて構成することが好ましい。つまり、2階建て構造で係船索22が出る最終端は通常の場合、水平構造とするが、係船索22を岸壁側に導きやすくするため15度から65度の任意の範囲にて角度を付ける傾斜型甲板とすることが好ましい。
【0031】
また、図9及び図10に示すように、同じ前後位置で上甲板2より幅の狭い係船用甲板3の舷側の端部を含む部分に、水平面から15度以上65度以下の傾斜を持つ傾斜部3bを設けて構成することが好ましい。
【0032】
これらの構成により、傾斜部3bの端部に設けた係船金物、一例としてフェアリーダー23と岸壁30側のピットまたは係留金物31との間の傾斜をより穏やかにすることができ、係船作業をより容易にすることができると共に、係船索22の先端がピットまたは係留金物31から抜け難くすることができる。なお、傾斜角度を15度より小さくすると、水平に近くて傾斜部を設ける効果が少なく、65度より大きくすると垂直に近くて傾斜部を設ける効果が少ない。
【0033】
上記の構成の船舶1によれば、従来技術では同じ上甲板に平面的に係船機を左右前後に配置していたのを、本発明では、係船用甲板3という増設甲板を設けることで上甲板2と係船用甲板3の2階建てとし、係船機11、12を垂直方向に配置することにより、係船作業員が係船索21、22に挟まれた領域で作業するのを回避して、係船作業の安全性をより高めることができる。また、係船作業者以外の人間がこの場所にアクセスする場合にも安全性を確保でき、船尾部へのアクセスにおける安全性の確保ができる。
【0034】
更に、2階建ての係船用甲板3により、係船機の増設が可能となり、また、甲板機械を搭載する甲板としても使用できるので、係船作業以外の他の作業をする上での広さの確保ができ、船尾部における作業用領域を広く確保ができる。また、2階建て配置となるため、下の上甲板2に配置されている係船機等の一連の装置が直接風雨に曝さることを防止できるので、耐久性の面からも好ましい状態となる。また、従来方式に比べて相対的に船尾側に係船機、係船金物の一連の装置を配置できるようになるため、係船力への寄与が大きくなり、係船及び係船作業におけるメリットが大きくなる。その上、フリーフォールライフボート40を装備する場合にも、図1及び図2に示すように配置することができるというメリットがある。
【0035】
そして、船尾方向係船機11と船幅方向係船機22の配置が立体的になるので、両者の船体前後方向の距離の制約が無くなり、船尾長さLsを短くすることができる。言い換えれば、係船作業に関する装置の配置に関しての余剰長さLrが生じる。
【0036】
この船尾長さLsの短縮と共に、船尾構造の重量を軽減できるので、船舶全体として船長や登録長さを短くすることができ、また、重量を軽減できる。更に、係船機及びその他の甲板機器の台数が多い場合には、増設した係船用甲板3を比較的大きく取ることにより、船尾長さLsを短くしたまま対応できる。
【0037】
その結果、船長が短くなるので、船体重量を軽減でき建造費を安価にでき、ひいては省エネルギー、CO2削減効果を得ることが可能で、造船所にとってのメリットが生じると共に、長さを短くすることで、従来の船舶よりも、同じ馬力であれば速度が速くなり、同じ速度であれば推進に必要な馬力が小さくなる。その上、多くの港に入港可能な港湾が増加すると共に、船長に依存する入港料が安価となり、また、船長の割合に比べて載荷重量が増加するので輸送効率が良くなる。これらの船主側にとってのメリットが生じる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の船舶は、船尾における係船作業時に、船尾方向に展張する係船索と、船幅方向に展張する係船索が同じ甲板上に展張されて、係船作業員が係船索に挟まれた領域で作業するのを回避できて、係船作業の安全性をより高めることができ、しかも、船体の前後方向の船尾長さを短くできるので、多くの船舶に利用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 船舶
2 上甲板
3 係船用甲板
4 舵取機室
5 アフトピークタンク
11 船尾方向係船機
11a、12a 係船用ドラム
12 船幅方向係船機
21 船尾方向の係船索
22 船幅方向の係船索
23 係船金物
30 岸壁
31 ビット(係留柱)または係留金物
40 フリーフォールライフボート(自由降下進水式救命艇)
A、B、C 係船作業者
Lr 余剰長さ
Ls 船尾長さ
R 作業領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船尾において、上甲板より上に係船用甲板を設け、船尾方向に係船索を展張する船尾方向係船機と、船幅方向に係船索を展張する船幅方向係船機とを、前記上甲板と前記係船用甲板に別々に配置した船舶。
【請求項2】
前記係船用甲板の幅を同じ前後位置の前記上甲板の幅よりも狭くして前記上甲板の内側に収まるように小さく形成すると共に、前記係船用甲板の船尾側の端を船尾端よりも内側にして形成したことを特徴とする請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記船尾方向係船機を前記上甲板に、前記船幅方向係船機を前記係船用甲板にそれぞれ配置すると共に、前記係船用甲板の舷側の端部を含む部分に水平面から15度以上65度以下の傾斜を持つ傾斜部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の船舶。
【請求項4】
前記係船用甲板をライフボードの支持台と共用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項5】
前記係船用甲板に重量軽減用の軽め孔を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項1】
船尾において、上甲板より上に係船用甲板を設け、船尾方向に係船索を展張する船尾方向係船機と、船幅方向に係船索を展張する船幅方向係船機とを、前記上甲板と前記係船用甲板に別々に配置した船舶。
【請求項2】
前記係船用甲板の幅を同じ前後位置の前記上甲板の幅よりも狭くして前記上甲板の内側に収まるように小さく形成すると共に、前記係船用甲板の船尾側の端を船尾端よりも内側にして形成したことを特徴とする請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記船尾方向係船機を前記上甲板に、前記船幅方向係船機を前記係船用甲板にそれぞれ配置すると共に、前記係船用甲板の舷側の端部を含む部分に水平面から15度以上65度以下の傾斜を持つ傾斜部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の船舶。
【請求項4】
前記係船用甲板をライフボードの支持台と共用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項5】
前記係船用甲板に重量軽減用の軽め孔を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の船舶。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−86522(P2013−86522A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225651(P2011−225651)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
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