説明

良好な絶縁性を有する硬質フォーム

約0.5重量%(フォーム形成材料の全重量に基づく)より多くの水と約12重量%(フォーム形成材料の全重量に基づく)より少ないHFC−245faからなる発泡剤の存在下、ポリイソシアネートとイソシアネート反応性物質を反応させることによって、良好な絶縁性を有する硬質フォームを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,1,1,3,3−ペンタ−フルオロプロパンを用いてより経済的に製造し得る、良好な絶縁特性(kファクターで測定される)を備えた硬質フォーム、特に、ポリウレタン/ポリウレアフォームの製造方法、および、この方法によって製造されるフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
硬質ポリウレタンフォームおよびその製造方法は既知である。そのようなフォームは、典型的には、イソシアネートとイソシアネート反応性化合物(例えばポリオール)を発泡剤の存在下で反応させることによって製造される。
【0003】
発泡剤のなかで、廃止されまたは廃止の過程にあるクロロフルオロ炭素(CFC)および水素含有のクロロフルオロ炭素(HCFC)に代わるものと考えられるのは、「HFC」と称される水素含有のフルオロ炭素である。1,1,1,3,3−ペンタ−フルオロプロパン(HFC−245fa)および1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)は、廃止されつつある一般的な1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)の最も有望なHFC代替品であると考えられる。
【0004】
しかし、これらのHFC発泡剤は、それぞれその不都合を有している。HFC−245faは、良好なkファクターを備えたフォームを生じさせ、また、取り扱いは容易であるが、高価であり、かつ、その高い分子量のため他の発泡剤より大量にこれを使用する必要がある。HFC−134aは、HFC−245faより安価であって、HFC−245faよりも低い分子量を有する。その結果、HFC−134aは、HFC−245faより少量で使用することができる。しかし、その低沸点(−26℃)のため、HFC−134aは取り扱いが困難であって、低いフォーム密度を得るためにはより高水準の水を要することが多い。この高水準の水およびHFC−134aのより高い熱伝導率の結果、HFC−134aで発泡したフォームは、HFC−245faで作製したフォームより高いkファクター(即ち、より低い絶縁値)を有する。
【0005】
個々の発泡剤が直面する課題を最小限とするために採られてきた1つの取り組みは、2以上の発泡剤を組み合わせ、最適なフォーム特性を達成するように発泡剤の相対量を選択して使用することである。そのような発泡剤混合物は、例えば、米国特許第6,080,799号および第6,384,275号に開示されている。
【0006】
しかし、そのような混合物を使用すると、加工の問題が生じ、また追加的な工場の設備と空間が必要となる。
【0007】
従って、1つのHFC発泡剤だけを使用して、優れた熱的絶縁性を有する硬質ポリウレタン/ウレアフォームを製造する経済的な方法を開発すれば有利であろう。
【0008】
HFC−245faは既知の発泡剤である。米国特許第5,883,142号は、イソシアネート反応性成分の全重量に基づき約24.6重量%の量のHFC−245faによって作製した、0.1447〜0.1850BTUインチ/hr・ft2 °Fのkファクターを有するフォームを開示する。米国特許第6,086,788号は、イソシアネート反応性成分の全重量に基づき23.3重量%のHFC−245faとイソシアネート反応性成分の全重量に基づき0.33重量%の水によって作製したフォームを開示し、製造されたフォームは0.150BTUインチ/hr・ft2 °Fの初期kファクターを有する。
【0009】
米国特許第5,883,142号および第6,086,788号に開示されたようなフォームのkファクターは、殆どの家庭電化製品用の絶縁用途には許容されない。従って、これらの特許に開示された量より少ないHFC−245faを使用すると、もっと許容されないkファクターを有するフォームが生じるものと思われる。さらに、より少ないHFC−245faの使用は、フォーム密度に悪影響を及ぼすことになる。より少ない量のHFC−245faで製造されるフォームの密度を維持するために水を添加し得るが、このためにイソシアネート反応性成分の粘度がより高くなり、より高水準で水の使用によってピークフォーム温度がより高くなり、より高いNCO/OH比を使用することが必要となる。また、大量の水を使用すると、より高い尿素と二酸化炭素の含量を有するフォームとなり、少なくともいくつかのフォームの物理特性に悪影響を及ぼすおそれもある。より多くの水と低減した水準のHFC−245faを使用することによって直面する問題は、Doergeらの「低減した水準のHFC−245faによる家庭電化製品用フォーム」(2000年APIポリウレタン会議の会報、第445〜452頁)に議論されている。
【0010】
従って、フォームを生成させる製造方法を大きく変えることを要さずに、フォームの最適な物理特性が最少のコストで得られる、フォーム生成系および方法を開発すれば、有利であろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、HFC−245faによって発泡した、kファクターによって測定される良好な絶縁性を有する硬質ポリウレタン/ポリウレアフォームの経済的な製造方法を提供することである。
【0012】
本発明の目的は、また、低減した水準のHFC−245faによって製造される、家庭電化製品における使用のための要求を充足する絶縁性を有する硬質ポリウレタンフォームを提供することでもある。
【0013】
本発明の別の目的は、kファクターによって測定される、家庭電化製品産業で一般に使用されるより高水準のHFC−245fa発泡剤を用いて製造された硬質フォームと比較して有利な熱伝導率を有する硬質ポリウレタン/ウレアフォームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これらの目的および当業者にとって明らかであろう他の目的は、有機イソシアネートと、イソシアネート反応性化合物とを、0.5重量%(フォーム形成材料の全重量に基づく)より多い水と、12重量%(フォーム形成材料の全重量に基づく)より少ないHFC−245faを含有する発泡剤組成物の存在下で反応させることによって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、水および低減した水準のHFC−245faを含有するポリウレタン/ウレアフォーム形成性反応混合物、低減された量の発泡剤HFC−245faを使用する硬質ポリウレタンフォームの製造方法、および、より高水準のHFC245faを発泡剤として用いて製造したフォームに匹敵するkファクターによって測定される熱伝導率を有する硬質ポリウレタンフォームに関する。ここで用いた「より高水準のHFC−245faを発泡剤として用いて製造したフォームに匹敵するkファクターk」とは、約0.140BTUインチ/hr・ft2 °F以下、好ましくは0.135BTUインチ/hr・ft2 °F以下のkファクター(75°F)を意味する。
【0016】
本発明の発泡剤組成物は、0.5重量%(フォーム形成材料の全重量に基づく)より多い、好ましくは約0.5〜1.0重量%、最も好ましくは約0.5〜0.9重量%の水と、12重量%より少ない、好ましくは約9.0〜12.0重量%、最も好ましくは約9.5〜11.5重量%(フォーム形成材料の全重量に基づく)のHFC−245faを含んでなる。
【0017】
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)は、当業者において既知であり、市販されている。
【0018】
硬質ポリウレタン/ウレアフォームは、ポリイソシアネートとイソシアネート反応性化合物を当業者に既知の方法に従って反応させることによって、製造される。既知のあらゆる有機ポリイソシアネートを、本発明において使用してよい。適当なポリイソシアネートには、芳香族、脂肪族および脂環式ポリイソシアネート、並びにそれらの組み合わせが含まれる。こうした種類の代表例としては、ジイソシアネート、例えばm−またはp−フェニレンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジ−イソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネートの異性体、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、1−メチルフェニル−2,4−フェニルジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−メトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネートおよび3,3’−ジメチルジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート;トリイソシアネート、例えばトルエン−2,4,6−トリイソシアネートなど、およびポリイソシアネート、例えば4,4’−ジメチル−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートなど、並びに様々なポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートが挙げられる。
【0019】
粗製ポリイソシアネートもポリウレタンの製造に使用することができ、例えば、トルエンジアミンの混合物のホスゲン処理によって得られる粗製トルエンジイソシアネート、または、粗製ジフェニルメタンジアミンのホスゲン処理によって得られる粗製ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0020】
硬質ポリウレタンの製造に特に好ましいものは、メチレン架橋したポリフェニルポリイソシアネートならびにメチレン架橋したポリフェニルポリイソシアネートのプレポリマーであり、これらは、1分子あたり約1.8〜約3.5、好ましくは約2.0〜約3.1、最も好ましくは約2.5〜3.0のイソシアネート部分の平均官能価、ならびに、約28〜約34重量%、好ましくは約28〜約32重量%のNCO基含量を有する。ポリウレタンを架橋する能力のゆえに、上記イソシアネートは好適である。イソシアネート指数(イソシアネート当量の活性水素含有基当量に対する比)は、有利には約0.9〜約3.0、好ましくは約1.0〜約2.0、最も好ましくは約1.0〜約1.5である。
【0021】
既知の任意のイソシアネート反応性有機化合物を、本発明によるフォームを製造するために使用してよい。平均して、少なくとも2個、好ましくは約3〜約5個、最も好ましくは約3.5〜約4.5個のイソシアネート反応性水素原子を含有し、および、約200〜約650(好ましくは約350〜約500)mgKOH/gのヒドロキシル(OH)価を有するポリオールまたはポリオール混合物は、本発明の実施において有用な、特に好適なイソシアネート反応性化合物である。適当な官能価およびヒドロキシル価を有するポリオールは、活性水素を含有する適当な開始剤とアルキレンオキシドを反応させることによって製造し得る。適当な開始剤は、少なくとも2個の活性水素を含有する開始剤、または、活性水素のモル平均が少なくとも2、好ましくは約3〜約8、より好ましくは約4〜約6の開始剤混合物である。活性水素は、周知のツェレウィチノフ試験で観察される該水素として定義される。(See Kohler, Journal of the American Chemical Society、第3181頁、第49巻、1927)。そのような活性水素含有基の代表例には、−OH基、−COOH基、−SH基および−NHR基(式中、RはHまたはアルキル基である)、またはアリール芳香族基などが含まれる。
【0022】
適当な脂肪族開始剤の例としては、ペンタエリスリトール、炭水化物化合物、例えば乳糖、α−メチルグルコシド、α−ヒドロキシエチルグルコシド、ヘキシトール、ヘプチトール、ソルビトール、ブドウ糖、マンニトール、スクロースなど、エチレンジアミンおよびアルカノールアミンが挙げられる。少なくとも4個の活性水素を含有する適当な芳香族開始剤の例としては、芳香族アミン、例えばトルエンジアミンの異性体、特にオルト−トルエンジアミン、およびメタンジフェニルアミン、フェノールとホルムアルデヒドの反応生成物、およびフェノールとホルムアルデヒドおよびジアルカノールアミンとの反応生成物(例えば米国特許第3,297,597号;第4,137,265号および第4,383,102号に開示されたもの)が挙げられる。上記に挙げた開始剤と組み合わせて使用し得る他の適当な開始剤には、水、グリコール、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、およびジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、アミノエチルピペラジンなどが含まれる。高官能価で、高分子量のポリオールを製造するための特に好適な開始剤には、スクロース、ソルビトール、α−メチルグルコシド、トルエンジアミン、およびエチレンジアミンが含まれ、これらは、単独で、もしくは他の開始剤、例えばグリセリン、グリコールまたは水と組み合わせて使用し得る。
【0023】
ポリオールは、Wurtz、The Encyclopaedia of Chemical Technology、第7巻、第257〜266頁、Interscience Publishers Inc.(1951年)および米国特許第1,922,459号に教示された方法など、当該分野に既知の方法によって製造し得る。例えば、ポリオールは、オキシアルキル化触媒の存在下で、開始剤とアルキレンオキシドを反応させることによって製造し得る。所望により、幅広い種類のオキシアルキル化触媒を用いて、開始剤とアルキレンオキシドの間の反応を促進させることができる。適当な触媒には、米国特許第3,393,243号および第4,595,743号に記載された触媒が含まれる。しかし、触媒として、アルカリ金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム)などの塩基性化合物、またはトリメチルアミンなどの第3級アミンを使用するのが好ましい。反応は、約60℃〜約160℃の温度で通常行われ、約200〜約650、好ましくは約300〜約550、最も好ましくは約350〜約500の範囲のヒドロキシル価を有するポリオールが得られるように、アルキレンオキシドの開始剤に対する比を用いて反応を進行させる。約200〜約650のヒドロキシル価の範囲は、約280〜約86の当量範囲に相当する。
【0024】
ヒドロキシル価が650より高いポリオールを、本発明の方法における任意成分として用いてよい。650より大きい、好ましくは700より大きいOH価を有する脂肪族アミン系ポリオールは、任意成分として特に有用である。
【0025】
ポリオールの製造において使用し得るアルキレンオキシドは、任意のエポキシドまたはα,β−オキシランを含み、それらは置換されていないか、もしくは、ポリオールを製造する間に出くわす条件下で化学反応しない不活性基で置換されている。適当なアルキレンオキシドの例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−または2,3−ブチレンオキシド、ヘキサンオキシドの種々の異性体、スチレンオキシド、エピクロロヒドリン、エポキシクロロヘキサン、エポキシクロロペンタンなどが挙げられる。エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよびそれらの混合物は、性能、入手可能性およびコストに基づいて最も好適であり、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはそれらの混合物は最も好適である。アルキレンオキシドの組み合わせによってポリオールを製造する際には、ポリオールのアルキレンオキシド鎖中でオキシアルキレン単位のランダム分布を与える完全混合物としてアルキレンオキシドを反応させてよく、または、ポリオールのオキシアルキレン鎖中でブロック分布を与えるように、段階的な方法でこれを反応させてもよい。
【0026】
本発明の実施においてポリオール開始剤として有用なポリアミンは、あらゆる既知の方法によって製造し得る。例えば、トルエンジアミン(TDA)の製造におけると同様に、硝酸による芳香族炭化水素のニトロ化後の還元、または、アンモニアとエポキシドを反応させてアルカノールアミン(例えばエタノールアミン)を得ること、または、アルデヒドと芳香族アミン(例えばアニリン)と縮合反応させてメチレン架橋ポリフェニルポリアミン(高分子メチレンジアニリン、別名MDAとして既知)を生成させることによる。
【0027】
適当な任意のポリオールには、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリヒドロキシ末端化アセタール樹脂、ヒドロキシ末端化アミンおよびポリアミンが含まれる。これらおよび他の適当な材料の具体例は、米国特許第4,394,491号に、さらに十分に記載されている。約2〜約6個の活性水素を有するとともに、約50〜約800、好ましくは約100〜約650、より好ましくは約200〜約550のヒドロキシル価を有するものは、硬質フォームを製造するのに最適である。そのようなポリオールの例としては、Terate(Invista Corporationから市販)およびMultranol(Bayer MaterialScienceから市販)の製品名で市販されているものが挙げられる。
【0028】
本発明のポリウレタンを製造するのに有用な他の成分には、界面活性剤、触媒、顔料、着色剤、充填剤、抗酸化剤、難燃剤、安定剤などが含まれる。
【0029】
ポリイソシアネート系フォームを製造する際、一般に、発泡性反応混合物が剛性を得るまでこれを安定化させるために少量の界面活性剤を用いることは有利である。そのような界面活性剤は、液体または固体の有機ケイ素化合物を有利に含む。それ程好適ではない他の界面活性剤には、長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル、長鎖アルキル酸硫酸エステルの第3級アミンまたはアルカノールアミン塩、アルキルスルホン酸エステル、およびアルキルアリールスルホン酸が含まれる。そのような界面活性剤は、破壊から、および、大きく不均一な気泡が形成されることから、発泡性反応混合物を安定化するのに十分な量で用いられる。通常は、フォーム形成性組成物100重量部あたり約0.2〜約2.5部の界面活性剤が、この目的では十分である。
【0030】
本発明によるフォームを製造するために、一以上の触媒を用いることは有利である。任意の適当なウレタン触媒を用いてよく、それには任意の既知の第3級アミン化合物または有機金属化合物が含まれる。適当な第3級アミン触媒の例としては、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラ−メチルエチレンジアミン、1−メチル−4−ジメチル−アミノエチル−ピペラジン、3−メトキシ−N−ジメチル−プロピルアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノール−アミン、N−ココモルホリン、N,N−ジメチル−N’,N’−ジメチルイソプロピル−プロピレンジアミン、N,N−ジエチル−3−ジエチルアミノプロピルアミンおよびジメチルベンジルアミンが挙げられる。適当な有機金属触媒の例としては、有機水銀、有機鉛、有機鉄(organoferric)および有機錫触媒が挙げられ、有機錫触媒が好適である。適当な有機錫触媒としては、カルボン酸のスズ塩、例えばジブチル錫ジ−2−エチルヘキサノエートおよびジブチル錫ジラウレートが挙げられる。塩化第一スズなどの金属塩も、ウレタン反応のための触媒として機能し得る。ポリイソシアネートの三量化触媒、例えばアルカリ金属アルコキシドまたはカルボキシレートも、必要に応じて、用いてよい。そのような触媒は、ポリイソシアネートの反応速度を適度に増加させる量で用いられる。典型的な量は、フォーム形成性組成物100重量部あたり触媒約0.01〜約2部である。
【0031】
上述した成分は、硬質ポリウレタンおよびポリウレタン変性イソシアヌレートフォームを製造するために用い得る。本発明の硬質フォームは、一段階法において全ての成分を一緒に一度に反応させることによって製造することができ、もしくは、所謂「準プレポリマー」法によってフォームを製造することができる。設備を用いて発泡を行うワン・ショット法では、活性水素含有化合物、触媒、界面活性剤、発泡剤、および必要に応じ添加剤を別々にミキシングヘッドへ導入し、そこで、これらをポリイソシアネートと配合してポリウレタン形成性混合物を得ることができる。適当な容器中へまたは必要に応じて型に、その混合物を注入または射出してよい。ミキシングヘッドへの限られた数の成分ラインを有する設備を使用するために、ポリイソシアネートを除く全成分のプレミックスを有利に使用することができる。これによって、ポリウレタン形成性混合物を製造する際の反応成分の計量および混合が平易となる。
【0032】
また、所謂「準プレポリマー」法によってフォームを製造してもよい。この方法では、ポリオール成分の一部を、触媒を存在させずに、約10%〜約30%の遊離イソシアネート基がプレポリマー中に存在するような比率で、ポリイソシアネート成分と反応させる。フォームを製造するためには、ポリオールの残存部分をプレポリマーに添加し、成分を一緒に、触媒および他の適切な添加剤(例えば発泡剤、界面活性剤など)の存在下で反応させる。他の添加剤は、イソシアネートプレポリマーまたは残存ポリオールまたはその両方に、成分を混合する前に添加して、硬質ポリウレタンフォームを製造してもよい。
【0033】
本発明のフォームは、より高水準のHFC−245faを発泡剤として使用して製造された硬質ポリウレタン/ウレアフォームのものに匹敵するkファクターに特徴付けられる。より具体的には、本発明によって製造されるフォームは、通常、75°Fでのkファクターが0.140BTUインチ/hr・ft °Fより小さく、好ましくは0.135BTUインチ/hr・ft °F以下、最も好ましくは、約0.133BTUインチ/hr・ft °F以下である。
【0034】
本発明のポリウレタンフォームは、広範囲の用途において有用である。よって、本発明によれば、硬質家庭電化製品用フォームを製造し得るだけでなく、スプレー絶縁、硬質断熱板ストック、積層品、並びに他の多くの種類の硬質フォームも容易に製造し得る。
【0035】
以下の実施例は、本発明の説明として示すものである。実施例における全ての部数およびパーセントは、特に指摘しなければ、重量部および重量%である。
【実施例】
【0036】
実施例において、以下の原料を使用した。
ポリオールA:スクロース/プロピレングリコール/水/エチレンオキシド/プロピレンオキシド付加物(官能価約5.2およびOH価約470mgKOH/gを有する)
ポリオールB:o−トルエンジアミン/エチレンオキシド/プロピレンオキシド付加物(官能価4およびOH価約390mgKOH/gを有する)
ポリオールC:Stepanpol PS−2502A、芳香族ポリエステルポリオール(官能価2およびOH価約240を有し、Stepan Companyから市販されている)
界面活性剤:シリコーン界面活性剤(Air Products and Chemicals Inc.からDabco DC−5357の表記で市販されている)
触媒A:第3級アミン触媒(Rhein Chemie CorporationからDesmorapid PVの名称で市販されている)
触媒B:特有のアミン臭を有する強塩基性で琥珀褐色の液体(Air ProductsからPolycat 41の表記で市販されている)
触媒C:オクタン酸カリウム触媒溶液(Air Products and Chemicals, Inc.からDabco K15の名称で市販)
HFC−245fa:1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン
ISO:NCO基含量が約30.5%の変性ポリマーMDI(Bayer MaterialScienceからMondur 1515の名称で市販)
【0037】
実施例1〜8
ポリオールA、ポリオールB、ポリオールC、界面活性剤、触媒A、触媒B、触媒C、水およびHFC−245faを、表1に示した量で混合した。次いで、この混合物を、HK100高圧発泡機のHennecke MQ−12−2混合ヘッド(mixhead)で、表1に示した量のISOと混合した。次に、発泡性混合物を、寸法が200×20×5cm(約79×8×2インチ)の120 °Fのアルミニウム製型中に射出し、発泡および硬化させた。フォームの特性を表1に記録する。
【0038】
【表1】

【0039】
表中に示されたデータから明らかなように、本発明の発泡剤組成物で作製したフォームは、より高水準のHFC245faとより低水準の水で発泡させたフォームに匹敵するkファクターを有していた。本発明に従って製造したフォームについて、高価な発泡剤HFC−245faをより少量用いて、意外にも良好なkファクターが得られた。
【0040】
本発明は、例示目的のために上記のように詳細に記載したが、その詳細は単にその目的のためだけであって、クレームによって限定され得ること以外は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当該分野における熟練者によって変更が成され得るものと解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質フォームの製造方法であって、
a)有機イソシアネートと、
b)イソシアネート反応性化合物を、
c)下記を含む発泡剤
(1)フォーム形成材料の全重量に基づき約0.5重量%より多くの水と、
(2)フォーム形成材料の全重量に基づき約12重量%より少ないHFC−245fa
の存在下で反応させることを含んでなり、0.140BTUインチ/hr・ft °Fより小さなkファクターを有する硬質ポリウレタン/ウレアフォームを製造する、方法。
【請求項2】
硬質フォームの製造方法であって、
a)有機イソシアネートと、
b)イソシアネート反応性化合物を、
c)下記を含む発泡剤
(1)フォーム形成材料の全重量に基づき約0.5〜約1.0重量%の水と、
(2)フォーム形成材料の全重量に基づき約9〜約12重量%のHFC−245fa
の存在下で反応させることを含んでなり、約135BTUインチ/hr・ft °F以下のkファクターを有する硬質ポリウレタン/ウレアフォームを製造する、方法。
【請求項3】
発泡剤c)は、
(1)フォーム形成材料の全重量に基づき0.5〜0.9重量%の水と、
(2)フォーム形成材料の全重量に基づき9.5〜11.5重量%のHFC−245fa
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
イソシアネートa)は、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートまたはポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートプレポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
イソシアネート反応性化合物b)は、約200〜約650mgKOH/gのヒドロキシル価を有するポリオールまたはポリオール混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法によって製造された硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項7】
請求項2に記載の方法によって製造された硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項8】
a)有機イソシアネートと、
b)イソシアネート反応性化合物と、
c)下記を含む発泡剤
(1)フォーム形成材料の全重量に基づき約0.5重量%より多くの水と、
(2)フォーム形成材料の全重量に基づき12重量%より少ないHFC−245fa
を含んでなる、フォーム形成性反応混合物。
【請求項9】
a)有機イソシアネートと、
b)イソシアネート反応性化合物と、
c)下記を含む発泡剤
(1)フォーム形成材料の全重量に基づき約0.5〜約1.0重量%の水と、
(2)フォーム形成材料の全重量に基づき約9〜12重量%のHFC−245fa
を含んでなる、フォーム形成性反応混合物。

【公表番号】特表2008−517098(P2008−517098A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536920(P2007−536920)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/036942
【国際公開番号】WO2006/044604
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【Fターム(参考)】