説明

良好な長期使用特性を有する難燃性ポリウレタンフォームの製造法

本発明は、A1)充填剤含有ポリエーテルポリオール(成分A1.1)(充填剤はジ−又はポリ−イソシアネートとイソシアネート反応性水素原子含有化合物との反応生成物である)及び任意にイソシアネート反応性水素原子を含有する分子量400〜18000の付加的化合物(成分A1.2)、A2)任意にイソシアネート反応性水素原子を含有する分子量62〜399の化合物、A3)水及び/又は物理的発泡剤、A4)赤燐、A5)任意に補助剤及び添加剤、例えばa)触媒、b)界面活性添加剤、c)反応遅延剤、気泡調整剤、顔料、着色剤、成分A4以外の難燃剤、老化及び天候の影響に対する安定剤、可塑剤、静真菌及び静菌作用を有する物質、充填剤及び離型剤から成る群から選択される1以上の添加剤等、及びBジ−又はポリ−イソシアネートからの難燃性ポリウレタンフォーム材料、好ましくは難燃性ポリウレタン軟質フォーム材料の製造法に関し、ポリ燐酸アンモニウムを用いず、得られるポリウレタンフォームは優れた耐老化性並びに高難燃性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、難燃性ポリウレタンフォーム、特に難燃性軟質ポリウレタンフォームの製造法であって、得られる難燃性ポリウレタンフォームが良好な長期使用特性を有する製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
JP−A10−147623は、赤燐とポリ燐酸アンモニウムとの組合せならびに任意に膨張性黒鉛を含有する、ハロゲン不含難燃剤含有軟質ポリウレタンフォームを開示する。得られる軟質ポリウレタンフォームは、不満足な耐老化性ならびに不充分な難燃性を示すという工業的欠点を有する。
【0003】
優れた耐老化性および高レベルの難燃性をいずれも有する難燃性ポリウレタンフォームを提供することが強く要請されており、即ち、特に、英国標準5852、第2章、Crib Vによる難燃要件が充足されるべきであり、高水準の圧縮永久ひずみ値が得られるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−147623号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、意外にも、難燃性ポリウレタンフォーム、好ましくは難燃性軟質ポリウレタンフォームを、下記の成分から製造する方法によって達成される:
A1 充填剤含有ポリエーテルポリオール(成分A1.1)、ここで、該充填剤は、ジ−またはポリ−イソシアネートと、イソシアネート反応性水素原子を含有する化合物との反応生成物であり、および
任意に、イソシアネート反応性水素原子を含有し、400〜18,000の分子量を有する付加的化合物(成分A1.2)、
A2 任意に、イソシアネート反応性水素原子を含有し、62〜399の分子量を有する化合物、
A3 水および/または物理的発泡剤、
A4 赤燐、
A5 任意に、補助剤および添加剤、例えば
a)触媒、
b)界面活性添加剤、
c)反応遅延剤、気泡調整剤、顔料、着色剤、成分A4以外の難燃剤、老化および天候の影響に対する安定剤、可塑剤、静真菌および静菌作用を有する物質、充填剤および離型剤から成る群から選択される1以上の添加剤、および
B ジ−またはポリ−イソシアネート、
ここで、ポリ燐酸アンモニウムは使用しない。
【0006】
従って、本発明の方法は、特に、ポリ燐酸アンモニウムを難燃剤として使用しない点でJP−A10−147623と異なる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、特に、
成分A:
A1 100重量部の、1以上の充填剤含有ポリエーテルポリオール(成分A1.1)、ここで、充填剤は、ジ−またはポリ−イソシアネートと、イソシアネート反応性水素原子含有化合物との反応生成物であり、または
A1.1 充填剤含有ポリエーテルポリオール(成分A1.1)、ここで、該充填剤は、ジ−またはポリ−イソシアネートと、イソシアネート反応性水素原子含有化合物との反応生成物であり、および
A1.2 イソシアネート反応性水素原子を含有し、400〜18,000の分子量を有する更なる化合物
の混合物、
A2 0〜10重量部、好ましくは0〜2重量部(成分A1に基づく)の、イソシアネート反応性水素原子を含有し、62〜399の分子量を有する化合物;
A3 0.5〜25重量部、好ましくは2〜5重量部(成分A1に基づく)の水および/または物理的発泡剤、
A4 1〜9重量部、好ましくは2〜7重量部、特に好ましくは3〜6重量部(成分A1の合計に基づく)の赤燐、
A5 0〜15重量部、好ましくは0.1〜4重量部(成分A1に基づく)の補助剤および添加剤、例えば
a)各種触媒、
b)界面活性添加剤、
c)反応遅延剤、気泡調整剤、顔料、着色剤、成分A4以外の難燃剤、老化および天候の作用に対する安定剤、可塑剤、静真菌および静菌作用を有する物質、充填剤および離型から成る群から選択される1以上の添加剤等、および
成分B:
B ジ−またはポリ−イソシアネート
から、ポリウレタンフォーム、好ましくは軟質ポリウレタンフォームを製造し、
ここで、ポリ燐酸アンモニウムを使用せず、
該製造を、50〜250、好ましくは70〜150、特に好ましくは95〜125の指数で行なう方法を提供する。
【0008】
従って、本出願に示される成分A2〜A5の重量部は、100重量部の成分A1の重量部に関する。
【0009】
本発明の好ましい実施形態では、メラミンは、本発明の方法に使用しない。本発明の特に好ましい実施形態では、メラミンおよび/または膨張性黒鉛は、使用しない。本発明の最も好ましい実施形態では、更なる難燃剤は、赤燐以外に本発明の方法において使用しない。
【0010】
イソシアネートに基づくフォームの製造はそれ自体で既知であり、例えば下記に記載される:DE−A1694142、DE−A1694215およびDE−A1720768、ならびにKunststoff−Handbuch、第VII巻、Polyurethane、ViewegおよびHoechtlein編集、Carl Hanser Verlag、Munich 1966、および該書籍の新版、G.Oertel編集、Carl Hanser Verlag Munich、Vienna 1993。
【0011】
それらは、ウレタンおよび/またはウレトジオンおよび/またはウレアおよび/またはカルボジイミド基を主に含有するフォームである。本発明に従う使用は、好ましくは、ポリウレタンおよびポリイソシアヌレートフォームの製造においてなされる。
【0012】
以下にさらに詳しく記載する成分を、イソシアネート系フォームの製造に使用することができる。
【0013】
成分A1
成分A1.1による出発成分は、充填剤含有ポリエーテルポリオールであり、該充填剤は、ジ−またはポリ−イソシアネートと、イソシアネート反応性水素原子を含有する化合物との反応生成物である。
【0014】
本発明による方法のために、成分A1.1に従う充填剤含有ポリエーテルポリオールは、好ましくは下記の充填構造を有する:
A1.1.1 ポリオール成分A1.2の存在下でのジアミンとジイソシアネートとの反応により得られるポリウレア分散体(PHD分散体)、および/または
A1.1.2 ポリオール成分A1.2中における、アルカノールアミンとジイソシアネートとの反応により得られるウレタン基含有分散体(PIPAポリオール)。
【0015】
成分A.1.1.1(PHD分散体)の充填剤含有ポリエーテルポリオールは、例えば、成分A1.2に従うポリオール、好ましくはポリエーテルポリオール中での、イソシアネートまたはイソシアネート混合物とジアミンおよび/またはヒドラジンとの現場重合により製造する。PHD分散体は、好ましくは、ポリエーテルポリオール、好ましくは3官能性スターター(例えばグリセロールおよび/またはトリメチロールプロパン等)のアルコキシル化により製造されるポリエーテルポリオール中での、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)75〜85wt%および2,6−トルエンジイソシアネート(2,6−TDI)15〜25wt%を含むイソシアネート混合物と、ジアミンおよび/またはヒドラジンとの反応により製造する。PHD分散体の製造法は、例えばUS4,089,835およびUS4,260,530に記載される。
【0016】
成分A1.1.2に従う充填剤含有ポリエーテルポリオールは、好ましくは、PIPA(アルカノールアミンによるポリイソシアネート重付加)変性ポリエーテルポリオールであり、該ポリエーテルポリオールは、2.5〜4の官能価、500〜18,000の分子量を有する。
【0017】
成分A1.2に従う出発成分は、少なくとも2個のイソシアネート反応性水素原子を含有し、通常400〜18,000の分子量を有する化合物である。アミノ基、チオ基またはカルボキシル基を含有する化合物の他に、これらは、好ましくは、ヒドロキシル基、特に2〜8個のヒドロキシル基を含有する化合物、特に分子量1000〜6000、好ましくは2000〜6000を有するそのような化合物、例えば、少なくとも2個、通常2〜8個、好ましくは2〜6個のヒドロキシル基を含有するポリエーテルおよびポリエステル、ならびにポリカーボネートおよびポリエステルアミドであると理解すべきであり、これら自体、均質および気泡ポリウレタンの製造に関して既知であり、例えばEP−A0007502、第8〜15頁に記載される。本発明によれば、少なくとも2個のヒドロキシル基を含有するポリエーテルポリオールが好ましい。ポリエーテルポリオールは、アルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドまたはそれらの混合物)の、スターター、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトールおよび/またはスクロースへの付加により好ましく製造し、2〜8、好ましくは2.5〜6、特に好ましくは2.5〜4の官能価が得られる。
【0018】
成分A1は、オレフィン性不飽和モノマー(例えばスチレンおよび/またはアクリロニトリル)をポリエーテルポリオール(例えば成分A1.2に従うポリエーテルポリオール等)にグラフトすることにより得られる分散体を含む充填構造を有する充填ポリエーテルポリオール(SANポリオール)を、成分A1.3として含有することもでき、これらは、A1.1およびA1.2を含有するポリオール成分A1に基づく充填剤含有量が5wt%まで、好ましくは2wt%までの充填剤(成分A1.3から得られる)となる量で使用する。好ましい実施形態では、オレフィン性不飽和モノマー、例えばスチレンおよび/またはアクリロニトリル等をポリオール成分A1.2にグラフトすることによって得られる分散体を含む充填構造を有する充填ポリエーテルポリオール(SANポリオール)(成分A1.3)を、本発明による方法に使用しない。
【0019】
好ましい実施形態では、成分A1.1およびA1.2を、A1.1:A1.2=100:0〜20:80の重量比、特に好ましくはA1.1:A1.2=100:0〜60:40の重量比で、成分Aとして使用する。最も好ましくは、成分A1.1のみを成分Aとして使用する(即ち、成分A1.2に従う出発成分を、製造法に使用しないのが最も好ましい)。
【0020】
A1.1.1、A1.1.2および任意にA1.2を含有するポリオール成分A1に基づく充填剤含有量は、好ましくは2〜30wt%、特に好ましくは5〜25wt%、最も好ましくは15〜22wt%の、充填PHDおよび/またはPIPAである。充填分散体A1.1は、一般に、10〜40wt%の充填剤含有量で製造されるので、これを考慮に入れるべきである。例えば、20wt%の成分A1.1の充填剤含有量ならびに75重量部のA1.1および25重量部のA1.2の場合、ポリオール成分A1に基づいて15wt%の充填剤含有量が得られる。
【0021】
成分A2
少なくとも2個のイソシアネート反応性水素原子を含有し、32〜399の分子量を有する化合物が、成分A2として任意に使用される。これらは、ヒドロキシル基および/またはアミノ基および/またはチオール基および/またはカルボキシル基を含有する化合物、好ましくは、ヒドロキシル基および/またはアミノ基を含有する化合物であるものと理解すべきであり、それらは連鎖延長剤または架橋剤として働く。これらの化合物は、通常2〜8個、好ましくは2〜4個のイソシアネート反応性水素原子を含有する。例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ソルビトールおよび/またはグリセロールは、成分A2として使用することができる。成分A2の化合物の他の例は、EP−A0007502、第16〜17頁に記載される。
【0022】
成分A3
水および/または物理的発泡剤を成分A3として使用する。物理的発泡剤として、例えば、二酸化炭素および/または容易揮発性有機物質、例えばジクロロメタン等を用いる。
【0023】
成分A4
成分A4は赤燐である。
【0024】
赤燐は、好ましくは、液体に分散した固体の形態で本発明による方法に使用する。それに適した液体(本発明の範囲内において、これらは融点が25℃未満の物質であるものと理解される)は、一方で、イソシアネート反応性基、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ヒマシ油を含有する液体、他方で、イソシアネート反応性基を含有しないが、赤燐の良好な分散およびフォームへのさらなる処理の両方を可能にすることにより区別される液体を包含する。後者の例は、例えば、フェノールアルキルスルホン酸エステル(商品名、例えばMesamoll(登録商標)、Lanxess AG、レーフェルクーゼン)、アジピン酸ポリエステル(商品名、例えばUltramoll(登録商標)、Lanxess AG、レーフェルクーゼン)、またはフタル酸エステル、例えば、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジブチルである。
【0025】
成分A5
成分A5として、必要に応じて、補助剤および添加剤、例えば
a)触媒(活性剤)、
b)表面活性添加剤(界面活性剤)、例えば乳化剤および気泡安定剤等、
c)反応遅延剤(例えば、酸反応性物質、例えば塩酸または有機酸ハロゲン化物)、気泡調整剤(例えばパラフィンまたは脂肪アルコールまたはジメチルポリシロキサン)、顔料、着色剤、成分A4以外の難燃剤(例えば燐酸トリクレシル)、老化および天候の影響に対する安定剤、可塑剤、静真菌および静菌作用を有する物質、充填剤(例えば、硫酸バリウム、珪藻土、カーボンブラックまたは沈降炭酸カルシウム)および離型剤から成る群から選択される1つまたはそれ以上の添加剤等
を用いる。
【0026】
任意に併用されるこれらの補助剤および添加剤は、例えば、EP−A0000389、第18〜21頁に記載される。本発明によって任意に併用される補助剤および添加剤の他の例、ならびにそのような補助剤および添加剤の使用の方法および作用の様式についての詳細は、Kunststoff−Handbuch、第VII巻、G.Oertel編集、Carl−Hanser−Verlag、ミュンヘン、第3版、1993年、例えば第104〜127頁に記載される。
【0027】
触媒として、下記の物質を好ましく使用する:脂肪族第3級アミン(例えばトリメチルアミン、テトラメチルブタンジアミン、3−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N−イソプロパノールアミン)、脂環式第3級アミン(例えば1,4−ジアザ(2,2,2)ビシクロオクタン)、脂肪族アミノエーテル(例えばビスジメチルアミノエチルエーテル)、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール、およびN,N,N−トリメチル−N−ヒドロキシエチル−ビスアミノエチルエーテル)、脂環式アミノエーテル(例えばN−エチルモルホリン)、脂肪族アミジン、脂環式アミジン、尿素、および尿素の誘導体(例えばアミノアルキル尿素、例えばEP−A 0176013参照、特に(3−ジメチルアミノプロピルアミン)尿素)。
【0028】
カルボン酸の錫(II)塩を、触媒として使用することもでき、基礎となるカルボン酸は、いずれの場合にも、好ましくは2〜20個の炭素原子を有する。特に好ましいのは、2−エチルヘキサン酸の錫(II)塩(即ち、錫(II)2−エチルヘキサノエート)、2−ブチルオクタン酸の錫(II)塩、2−ヘキシルデカン酸の錫(II)塩、ネオデカン酸の錫(II)塩、オレイン酸の錫(II)塩、リシノール酸の錫(II)塩、およびジラウリン酸錫(II)である。錫(IV)化合物、例えば、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジクロリド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエートまたはジオクチル錫ジアセテートを、触媒として使用することもできる。
【0029】
前記の全ての触媒は、当然、混合物の形態で使用することができる。
【0030】
成分B
成分Bとして、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族および複素環式ポリイソシアネートが使用され、それらは、例えばW.SiefkenによってJustus Liebigs Annalen der Chemie、562、第75〜136頁に記載されており、例えば式(I):
Q(NCO) (I)
〔式中、
n=2〜4、好ましくは2〜3、および
Qは、2〜18個、好ましくは6〜10個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、4〜15個、好ましくは6〜13個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、または8〜15個、好ましくは8〜13個の炭素原子を有する芳香脂肪族炭化水素基を表わす〕
で示される化合物である。
【0031】
これらは、例えば、EP−A0007502、第7〜8頁に記載されているポリイソシアネートである。特に好ましいのは、一般に、工業的に容易に得られるポリイソシアネート、例えば2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートならびにこれらの異性体の任意混合物(「TDI」)、アニリン−ホルムアルデヒド縮合および次のホスゲン化により製造されるポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(「粗MDI」)、およびカルボジイミド基、ウレタン基、アロファネート基、イソシアヌレート基、ウレア基またはビウレット基を含有するポリイソシアネート(「変性ポリイソシアネート」)、特に、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネートまたは4,4’−および/または2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートから誘導される変性ポリイソシアネートである。2,4−および2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−および2,4’−および2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(「多核MDI」)から成る群から選択される少なくとも1つの化合物を、成分Bとして好ましく使用する。
【0032】
ポリウレタンフォーム製造法の実施
ポリウレタンフォームは、種々のスラブストックフォーム製造法によるか、または金型において製造することができる。本発明による方法を実施するために、反応成分を、それ自体既知のワンショット法、プレポリマー法またはセミプレポリマー法によって反応させ、好ましくは、US2764565に記載されているような機械的装置を使用して行なわれる。本発明にも適当な処理装置の詳細は、ViewegおよびHoechtlen(編集者):Kunststoff−Handbuch、第VII巻、Carl−Hanser−Verlag、ミュンヘン、1966年、第121〜205頁に記載される。
【0033】
フォーム製造において、本発明によって、発泡を密閉金型中で行なうこともできる。従って、反応混合物が金型に導入される。好適な金型材料は、金属、例えばアルミニウムまたはプラスチック、例えばエポキシ樹脂である。発泡性反応混合物が金型中で膨張し、成形体を形成する。金型における発泡は、成形品がその表面に気泡構造を有するように行うことができる。しかし、該発泡を、成形品が圧縮スキンおよび気泡質コアを有するように行うこともできる。本発明によれば、これに関して下記のように行なうこともできる:生じるフォームが金型をちょうど満たすのに充分な発泡性反応混合物を、金型に導入する。しかし、金型内をフォームで満たすのに必要であるより多い発泡性反応混合物を、金型に導入することもできる。後者の場合、操作は、それに応じて、いわゆる「過装填」で行なわれる;そのような方法は、例えばUS3178490およびUS3182104から既知である。
【0034】
金型における発泡の場合、それ自体既知の「外部離型剤」、例えばシリコーン油が併用されることが多い。しかし、例えばDE−OS2121670およびDE−OS2307589に開示されるように、いわゆる「内部離型剤」を、任意に外部離型剤と混合して使用することもできる。
【0035】
ポリウレタンフォームは、好ましくは、スラブストック発泡またはそれ自体既知のツインベルトコンベア法(例えば、「Kunststoffhandbuch」、第VII巻、Carl Hanser Verlag、ミュンヘン ウィーン、第3版、1993年、第148頁参照)により製造される。
【0036】
本発明による方法は、10kgm−3〜200kgm−3、特に好ましくは15kgm−3〜80kgm−3の見掛密度(単位体積当たり質量とも称される)を有する軟質ポリウレタンフォームの製造に好ましく使用する。
【実施例】
【0037】
成分A1:
A1−1 28mgKOH/gのOH価および0.5wt%の含水量を有し、主に第1級OH基を有する83wt%プロピレンオキシドおよび17wt%エチレンオキシドならびにスターターとしてのトリメチロールプロパンを含むポリエーテルポリオール中の、トルエンジイソシアネート(Desmodur(登録商標)T 80、BayerMaterialScience AG、レーフェルクーゼン、ドイツ)およびヒドラジンの20%分散体のPHD充填ポリオール
A1−2 31mgKOH/gのOH価を有し、主に第1級OH基を有する、スターターとしてのグリセロールおよび83wt%プロピレンオキシドおよび17wt%エチレンオキシドの、60wt%アクリロニトリルおよび40wt%スチレンがグラフトされたポリオールの25%分散体のSAN充填ポリオール
成分A2: ジエタノールアミン(BASF SE、ルートウィヒスハーフェン、ドイツ)
成分A3: 水
成分A4: 赤燐: Exolit(登録商標)RP 6520、ヒマシ油中の赤燐の分散体(Clariant Produkte (Germany) GmbH、50351 ヒュールス)
成分A5:
A5−1 ジプロピレングリコール(67wt%)中の1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(33 wt.%)(Dabco(登録商標)33 LV、Air Products、ハンブルグ、ドイツ)
A5−2 2−エチルヘキサン酸の錫(II)塩(Addocat(登録商標)SO、Rheinchemie、マンハイム、ドイツ)
A5−3 ポリエーテルシロキサン基剤気泡安定剤Tegostab(登録商標)B 8681(Evonik Goldschmidt GmbH、ドイツ)
A5−4 膨張黒鉛Expofoil PX 99(Georg Huh GmbH、65396 ヴァルフ)
A5−5 メラミン(BASF SE、ルートウィヒスハーフェン、ドイツ)
A5−6 ポリ燐酸アンモニウム(Exolite(登録商標)AP 422、Clariant Produkte (Germany) GmbH、50351 ヒュールス)
A5−7 水酸化カルシウム
成分B: 48wt%のNCO含有量を有する、80:20の重量比の2,4−および2,6−TDIの混合物
【0038】
ポリウレタンフォームの製造
ポリウレタンフォームの製造に一般的な処理条件下に、出発成分を、スラブストックフォーミングによってワンショット法で処理する。処理の指数(成分Aに対して使用される成分Bの量を与える)が表1に示されている。指数(イソシアネート指数)は、イソシアネート基(NCO)の理論量、即ち計算量に対する実際に使用されたイソシアネートの量のパーセンテージを与える:
指数=[(使用されたイソシアネートの量):(計算されたイソシアネートの量)]・100 (II)
【0039】
単位面積当たり質量は、DIN EN ISO 845に従って測定した。
【0040】
圧縮荷重撓み(CLD 40%)は、DIN EN ISO 3386-1−98に従って、40%変形、第4サイクルにおいて測定した。
【0041】
引張強さおよび破断点伸びは、DIN EN ISO 1798に従って測定した。
【0042】
圧縮永久ひずみ(CS 90%)は、DIN EN ISO 1856−2000に従って、90%変形において測定した。
【0043】
クリブ5: 英国標準5852、第5章、Crib 5に従う可燃性試験。
【0044】
【表1】

【0045】
表1に示される結果は、本発明の実施例2〜5に記載したフォームだけが、英国標準5852、第5章、Crib 5による必要条件を満たし、良好な長期特性を有することを示す。
【0046】
【表2】

【0047】
表2に示される結果は、ポリ燐酸アンモニウムを併用して、良好な長期特性を得られず、英国標準5852、第5章、Crib 5による必要条件を満たすことができないことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃性ポリウレタンフォームの製造方法であって、難燃性ポリウレタンフォームを、
A1 充填剤含有ポリエーテルポリオール(成分A1.1)、ここで、該充填剤は、ジ−またはポリ−イソシアネートと、イソシアネート反応性水素原子を含有する化合物との反応生成物であり、
A3 水および/または物理的発泡剤、
A4 赤燐、および
B ジ−またはポリ−イソシアネート
から製造する、ポリ燐酸アンモニウムを使用しない、前記方法。
【請求項2】
難燃性ポリウレタンフォームを、
成分A:
A1 100重量部の、1以上の充填剤含有ポリエーテルポリオール(成分A1.1)、ここで、該充填剤は、ジ−またはポリ−イソシアネートと、イソシアネート反応性水素原子を含有する化合物との反応生成物であり、または
A1.1 充填剤含有ポリエーテルポリオール、ここで、該充填剤は、ジ−またはポリ−イソシアネートと、イソシアネート反応性水素原子を含有する化合物との反応生成物であり、および
A1.2 イソシアネート反応性水素原子を含有し、400〜18,000の分子量を有する、更なる化合物
の混合物、
A2 0〜10重量部(成分A1に基づく)の、イソシアネート反応性水素原子を含有し、62〜399の分子量を有する化合物、
A3 0.5〜25重量部(成分A1に基づく)の水および/または物理的発泡剤、
A4 1〜9重量部(成分A1に基づく)の赤燐、
A5 0〜15重量部(成分A1に基づく)の補助剤および添加剤、例えば
a)触媒、
b)表面活性添加剤、
c)反応遅延剤、気泡調整剤、顔料、着色剤、成分A4以外の難燃剤、老化および天候の影響に対する安定剤、可塑剤、静真菌および静菌作用を有する物質、充填剤および離型剤下記から成る群から選択される1以上の添加剤等、および
成分B:
B ジ−またはポリ−イソシアネート
から製造し、
ポリ燐酸アンモニウムを使用せず、
該製造を50〜250の指数で行う、請求項1に記載の難燃性ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項3】
メラミンを用いない、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
膨張黒鉛を用いない、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
適当なモノマー、例えばスチレンおよび/またはアクリロニトリル等をポリエーテルポリオールにグラフトすることによって得られる分散体の充填構造を含有するポリエーテルポリオール(SANポリオール)を用いない、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
成分A1.1は、
A1.1.1 ポリオール成分A1.2の存在下でのジアミンとジイソシアネートとの反応により得られるポリウレア分散体(PHD分散体)、および/または
A1.1.2 ポリオール成分A1.2中におけるアルカノールアミンとジイソシアネートとの反応により得られるウレタン基含有分散体(PIPAポリオール)
の充填構造を有するポリエーテルポリオールである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
成分A1.1およびA1.2を、A1.1:A1.2=100:0〜20:80の重量比で成分Aとして用いる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
成分A1.1のみを、成分Aとして用いる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
赤燐を、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ヒマシ油、フェノールアルキルスルホン酸エステル、アジピン酸ポリエステルおよびフタル酸エステルから成る群から選択される少なくとも1つの液体に分散した固体の形態で、成分A4として用いる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法により得られるポリウレタンフォーム。

【公表番号】特表2012−532237(P2012−532237A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518813(P2012−518813)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004110
【国際公開番号】WO2011/003590
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】