説明

色分割光学素子及び前記色分割光学素子を使用した光学システム

第1透過性湾曲外面、第2透過性湾曲外面、及び内面を有する第1プリズムを含む、色分割光学素子を開示する。色分割光学素子は、さらに第1透過性湾曲外面、第2側面、及び内面を有する第2プリズムも含む。第1プリズムの内面と第2プリズムの内面との間には、ダイクロイック素子が配置されている。第1プリズムの第1透過性湾曲外面は、第1の方向に沿って第2プリズムの第1透過性湾曲外面とほぼ対向配置され、第1プリズムの第2透過性湾曲外面は、第2の方向に沿って第2プリズムの第2側面とほぼ対向配置された、色分割光学素子を備える。また、このような色分割光学素子を使用した光学システムも開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は色分割光学素子に関する。より詳細には、本開示は少なくとも2つの異なる方向に光を屈折させ得る色分割光学素子に関する。また本開示は、色分割光学素子を含む、画像表示システムなどの光学システムにも関する。
【背景技術】
【0002】
光学システムは普及しており、光源(又は複数の光源)と光学素子系とを含むことが多い。代表的な画像表示システムは、照明光源からの光線が、画像形成装置又は所望の投射画像を含む撮影装置を反射するように置かれている照明光源を組み込む。ある一般的な種類のイメージャは反射型液晶(LCoS)装置などの偏光回転型画像形成装置であり、前記装置は入射光線の偏光を回転させることによって機能する。より詳細には、反射偏光回転イメージャでは、偏光光線は、最も暗い状態のために実質的に変更されていない偏光によって反射されるか、又は所望のグレースケールを提供するために回転されるそれらの偏光によって反射される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
いくつかの画像表示システムにおいて、光源または光源アセンブリから発した光ビームは、異なる方向に進行する2つ以上のビームに分割され、それらがさらに下流で再合成される場合またはされない場合がある。他のタイプの光学システムにおいて、異なる光源または光源アセンブリから発した光ビームは、最初は異なる方向に進行し得るとともに、さらに下流で再合成される場合またはされない場合がある。このような多方向光学システムは、通常は比較的複雑であり、多くの様々な光学素子を含む。折返しミラーを共通使用して光路を折返すことにより大型の複雑な光学システムの設置面積を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、第1透過性湾曲外面、第2透過性湾曲外面、及び内面を有する第1プリズムと、第1透過性湾曲外面、第2側面、及び内面を有する第2プリズムとを含む、色分割光学素子に関する。第1プリズムの内面と第2プリズムの内面との間には、ダイクロイック素子が配置されている。第1プリズムの第1透過性湾曲外面は、第1の方向に沿って第2プリズムの第1透過性湾曲外面とほぼ対向配置され、第1プリズムの第2透過性湾曲外面は、第2の方向に沿って第2プリズムの第2側面とほぼ対向配置されている。
【0005】
また本開示は、第1及び第2の色を含む光源と共に使用するための、色分割光学素子を含む光学システムに関する。色分割素子は、第1透過性湾曲外面、第2透過性湾曲外面、及び内面を有する第1プリズムと、第1透過性湾曲外面、第2側面、及び内面を有する第2プリズムとを含む。第1プリズムの内面と第2プリズムの内面との間にはダイクロイック素子が配置されている。第1プリズムの第1透過性湾曲外面は、第1の方向に沿って第2プリズムの第1透過性湾曲外面とほぼ対向配置され、第1プリズムの第2透過性湾曲外面は、第2の方向に沿って第2プリズムの第2側面とほぼ対向配置されている。
【0006】
この代表的な実施例では、第1プリズムの第1透過性湾曲外面は光入射面であり、第2プリズムの第1透過性湾曲外面は第2の光射出面であり、第1プリズムの第2透過性湾曲外面は第1の光射出面である。第1照明ターゲットは第1の光射出面からの光を受けるよう配置され、第2照明ターゲットは第2の光射出面からの光を受けるよう配置されている。
【0007】
さらに本開示は、第1、第2及び第3の色を含む光源と、第3の色の光から第1及び第2の色の光を分割するよう構成されたダイクロイックスプリッタと、色分割光学素子とを含む光学システムに関する。色分割光学素子は、第1透過性湾曲外面、第2透過性湾曲外面、及び内面を有する第1プリズムと、第1透過性湾曲外面、第2側面、及び内面を有する第2プリズムとを含む。第1プリズムの内面と第2プリズムの内面との間には、ダイクロイック素子が配置されている。第1プリズムの第1透過性湾曲外面は、第1の方向に沿って第2プリズムの第1透過性湾曲外面とほぼ対向配置され、第1プリズムの第2透過性湾曲外面は、第2の方向に沿って第2プリズムの第2側面とほぼ対向配置されている。
【0008】
この代表的な実施例では、色分割光学素子は、第1透過性湾曲外面が第1及び第2の色を含む光を受け、さらにダイクロイック素子が第1の色の光を第2プリズムの第1透過性湾曲外面に向けて透過させ、第2の色の光を第1プリズムの第2透過性湾曲外面に向けて反射するように構成及び配置されている。第1照明ターゲットは、第2プリズムの第1透過性湾曲外面を透過した第1の色の光を受けるよう配置され、第2照明ターゲットは、第1プリズムの第2透過性湾曲外面を透過した第2の色の光を受けるよう配置されている。第3照明ターゲットは、ダイクロイックスプリッタから第3の色の光を受けるように配置されている。
【0009】
本発明の色分割光学素子及びこのような色分割光学素子を含む光学システムのこれらおよび他の態様は、図面とともに以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本開示の代表的な実施形態は、2つ又はそれ以上のイメージャを備えた画像表示システムなどの、光が2方向以上に進行する多方向光学システムに使用するのに好適である。
【0011】
図1は、本開示に従って構成された代表的な色分割光学素子50の概略的断面図を示す。色分割光学素子50は、第1プリズム40及び第2プリズム30を含む。色分割光学素子50のコンポーネント40及び30を「プリズム」と呼ぶが、この用語は単に分かりやすくするためだけに使用されるもので、本開示はプリズム状、ほぼプリズム状、及びプリズム状の形状から外れたコンポーネント40及び30の形体も包含する。プリズム40及び30は、任意の好適な材料から製造可能であり、これには好ましくはガラス、プラスチック、又はその他好適な透明材料などの、非散乱性で光学的に透明な材料が挙げられる。プリズム40及び30は継ぎ目のないモノリシックの構造であり、その構造は特定物質の透過を最大化するのに役立つ。
【0012】
第1プリズム40は、第1透過性湾曲外面42、第2透過性湾曲外面44、及び内面46を有する。第2プリズム30は、第1透過性湾曲外面32、第2側面34(外面であってもなくてもよい)、及び内面36を有する。光学素子が使用される外気に露出している場合、又は比較的薄いコーティング又はフィルムが施されているがプリズム又はレンズなどの別の厚い屈折要素とは接触していない場合に、側面は「外面」と呼ばれる。側面は、少なくとも1つの偏光方向の光の、少なくともかなりの量を透過するよう構成された場合に「透過性」と呼ばれる。好ましくは各透過性側面は、特定の偏光特性を有する垂直な入射角で少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも90%の光を透過する。ある代表的な実施形態では、1以上の透過性側面がすべての偏光方向の光の少なくともかなりの量を透過させる。
【0013】
第2プリズム30の第2側面34は、平面でもよいし、湾曲していてもよい。本開示の一般的な実施形態では、第2側面34は、非光学的な表面(大量の光を受けるよう意図されていない表面)であり、ある代表的な実施形態では取り付け構造を含むことがある。取り付け構造は、つまみ、突起、フランジ、留め金などの凹部及び/又は突出部を含み得る。代替的又は追加的に、取り付け構造は、色分割光学素子の別の側面上、例えば、図1のほぼ前面又は背面上に配置されてもよい。
【0014】
各透過性湾曲外面42、44、及び32は、特有の曲率によって特徴付けられてもよい。本開示の目的では、湾曲面は頂部から谷部までの差が30λより大きい表面輪郭を有する表面であり、ここでのλは約550nmである。本開示の代表的な実施形態は、頂部から谷部までの差が60λ以上、又は、頂部から谷部までの差が120λ以上の表面輪郭を有する1以上の湾曲面を通常は含む。1以上の湾曲は、特定の用途に望ましいように、球面状の湾曲、非球面状の湾曲、又は円筒状の湾曲であってもよい。本開示の一般的な実施形態では、1以上の透過性湾曲外面はゼロ以外の光学的パワーを有する。
【0015】
ある代表的な実施形態では、第1プリズム40の第2透過性湾曲外面44は、第2プリズム30の第1透過性湾曲外面32とほぼ同じ曲率を有する。ある代表的な実施形態では、第1プリズム44の第1透過性湾曲外面42は凹状であり、第1プリズム40の第2透過性湾曲外面46及び第2プリズム30の第1透過性湾曲外面32は共に凸状である。別の代表的な実施形態では、第1プリズム44の第1透過性湾曲外面42は凸状である。所望により、1以上の透過性湾曲外面は、フレネル溝、回折溝、又はプリズム構造などのミクロ構造を含む。
【0016】
図1に示される代表的な実施形態では、第1プリズム40の第1透過性湾曲外面42は、第1の方向(1)に沿って第2プリズム30の第1透過性湾曲外面32とほぼ対向配置され、第1プリズム40の第2透過性湾曲外面44は、第2の方向(2)に沿って第2プリズムの第2側面34とほぼ対向配置されている。ある代表的な実施形態では、第1の方向(1)は第2の方向(2)と約90°の角度を成す。すなわち、第1の方向は、第2の方向とほぼ直交する。別の代表的な実施形態では、第1の方向(1)は第2の方向(2)とその他の好適な鋭角又は鈍角を成してもよい。
【0017】
色分割光学素子50は、さらに第1プリズム40の内面46と第2プリズム30の内面36との間に配置されたダイクロイック素子20を含む。代表的な色分割光学素子50のダイクロイック素子20は、色分割光学素子50の対角線に沿って配置されることは、当業者には容易に理解されよう。好適なダイクロイック素子には、特定の波長バンド内の光を透過し、異なる波長バンド内の光を反射する任意の光学素子が含まれる。ある代表的なダイクロイック素子は、一体型に真空付着、押し出し、又は積層可能な誘電体フィルムの多層積み重ね体を含む。
【0018】
図1に示される代表的な実施形態において、透過性湾曲外面42は光の入射面であってもよい。透過性湾曲外面42に入射して透過される光(a、b)は、例えば第1の色(a)と第2の色(b)など、少なくとも2色の異なる色の光を含む。広帯域の色分割素子では、「色」という用語は、該当するスペクトルバンドの波長範囲の中間の波長を表すように使用される。例えば、600〜700nmのバンドは「赤色」光、585〜600nmのバンドは「橙色」光、560〜585nmのバンドは「黄色」光、490〜560nmのバンドは「緑色」光、400〜490nmのバンドは「青色」光と呼ばれることがある。曲率の種類(凹状又は凸状など)によって、透過性湾曲外面42は光(a、b)を集束又は拡散し、集束又は拡散された光は、ほぼ第1の方向(1)に沿ってダイクロイック素子20に向って第1プリズム40内に進行する。
【0019】
ダイクロイック素子20は、第2の色(b)を有する光の少なくともかなりの部分を第1プリズム40の第2透過性湾曲外面44に向けて反射する。その結果、第2の色(b)の光は、ほぼ第2の方向(2)に沿って第1プリズム40内に進行する。ダイクロイック素子20は、第2の色(b)を有する光のほぼすべてを反射することが好ましい。ある代表的な構成では、第1プリズム40の第2透過性湾曲外面44は第2の光射出面である。曲率の種類(凹状又は凸状など)によって、透過性湾曲外面44は、光(b)が色分割光学素子50から射出される際に光(b)を集束又は拡散する。ダイクロイック素子20を透過した光には、第1の色(a)の光に加えて第2の色(b)の漏れた光が含まれるが、これらの光はほぼ第1の方向(1)に沿って、第1透過性湾曲外面32に向けて第2プリズム30内に進行する。第2の色(b)の漏れた光は、少量であることが好ましい。ある代表的な構成では、第2プリズム30の第1透過性湾曲外面32は、第1の光射出面である。側面32の曲率の種類(凹状又は凸状など)によって、透過性湾曲外面32は、光(a)が色分割光学素子50から射出される際に光(a)を集束又は拡散する。
【0020】
ある代表的な実施形態では、1以上の透過性湾曲外面44及び32は、第1の色(a)又は第2の色(b)などの特定の色に対して優先的に構成されてもよい。本開示において、用語「優先的に構成される」とは、この用語が指す光学素子の任意の特徴を包含し、透過性または収差補正などの性能をかなり改善し得る。例えば、外面32及び44の少なくとも1つの曲率を、これらの外面を透過した光の色に合わせて調整してもよく、それによって色の収差を低減することができる。優先的な構成の別の例には、透過性湾曲外面44及び32の一方又は両方に色別コーティングを施すことが挙げられる。ある代表的な実施形態では、表面32には第1の色(a)の光に対する反射防止コーティングが施され、表面44には第2の色(b)の光に対する反射防止コーティングが施される。
【0021】
本開示の代表的な色分割素子は、1以上の透過性湾曲外面上に配置された偏光フィルム(図示なし)をさらに含むことができる。図1に示される色分割素子50では、透過性湾曲外面32、透過性湾曲外面44、及び透過性湾曲外面42上のいずれか1つ、又は2つ、あるいはすべてに偏光フィルムを配置してもよい。任意の好適な偏光フィルムが使用可能であり、線状反射偏光子などの反射偏光子、例えば連続相とその連続相中に配置された分散相を含む多層反射偏光フィルム及び拡散反射偏光子、環状反射偏光子、例えばコレステリック反射偏光子、並びに吸収偏光子が含まれるが、これらに限定されない。
【0022】
図2は、本開示により構成された色分割光学素子150を組み込んだ代表的な光学システム100を概略的に示している。例示の色分割光学素子150は、例示の色分割光学素子50と構造的に同じであり、第1及び第2透過性湾曲外面142及び144を有する第1プリズム140と、第1透過性湾曲外面132を有する第2プリズム130と、第1及び第2プリズム140及び130間に配置されたダイクロイック素子120とを含む。代表的な光学システム100は、3イメージャ投影システムの一部であってもよい。このような投影システムは、多色画像を形成するよう組み合わされる3原色(赤、緑、青など)の画像を形成するため、反射型液晶(LCoS)などの反射偏光回転イメージャと共に使用可能である。特定の用途に合うように、別の色の光源と共に使用するための光学システムも本開示の範囲内である。
【0023】
図2に示す代表的な光学システム100は、任意の好適な照明光源(図示なし)と共に使用可能である。光源は、広帯域の光源あるいは1つ又は複数の光源アセンブリであることが好ましい。本開示と共に使用するのに好適な光源には、一般に投影用途に使用される高圧水銀アーク灯などのアーク灯、LED、又はLEDを備えた光源アセンブリが挙げられる。ある代表的な実施形態では、照明光源は1つ又は複数のレーザーを含んでいてもよい。代表的な実施形態では、光源は第1及び第2の色を含む光を提供し得る。このような代表的な光学システムでは、第1プリズム140の第1透過性湾曲外面142(光の入射面)が、第1及び第2の色を含む光を受けて、第1の方向(1)に沿ってダイクロイック素子120に向けて透過されると、ダイクロイック素子120が、第1の色の光を、第1の方向(1)に沿って第2プリズム130の第1透過性湾曲外面132(第1の光射出面)に向けて透過させ、第2の色の光を、第2の方向(2)に沿って第1プリズム140の第2透過性湾曲外面144(第2の光射出面)に向けて反射するように、色分割光学素子150が配置され得る。第1の方向及び第2の方向は互いに約90°の角度を成し得るが、その他の角度も本開示の範囲内である。光学システム100は、第2プリズム130の第1透過性湾曲外面132を透過した第1の色の光を受けるよう配置された第1照明ターゲット128、及びダイクロイック素子120に反射されて第1プリズム140の第2透過性湾曲外面144を透過された第2の色の光を受けるよう配置された第2照明ターゲット118をさらに含む。
【0024】
ある代表的な実施形態では、光学システム100の色分割素子150は、第2プリズム130の第1透過性湾曲外面132が、第1の色の光に対して優先的に構成されるように配置されてもよい。追加的又は代替的に、第1プリズム140の第2透過性湾曲外面144は、上述したように第2の色の光に対して優先的に構成されてもよい。例えば、第2プリズム130の第1透過性湾曲外面132は、第1の色用の反射防止コーティングなどの色別コーティングを含むことができる。追加的又は代替的に、第1プリズム140の第2透過性湾曲外面144は、第2の色用の反射防止コーティングなどの色別コーティングを含むことができる。
【0025】
第1及び第2照明ターゲット128及び118の一方又は両方は、LCoSなどの反射偏光回転イメージャであってもよい。このような代表的な実施形態では、最終的に照明ターゲット128及び118にそれぞれ入射する光を事前に偏光するため、光学システム100に偏光ビームスプリッタ129及び119を含んでいてもよい。偏光ビームスプリッタ129及び119の一方又は両方は、偏光ビームスプリッタによって反射された光がそれぞれの偏光回転イメージャに入射されるよう配置され得る。
【0026】
ある代表的な実施形態では、光学システム100は、第1、第2及び第3の色を含む広帯域の光源(図示なし)を備えていてもよい。第1、第2及び第3の色は、特定の場合には、赤、緑、及び青に相当してもよい。光学システム100は、積分器102をさらに備えることができる。積分器は、光をより均一な状態で照明ターゲットに供給可能なように、通過光を均質化するよう一般には働く。現在既知の積分器には、フライアイ積分器及びミラートンネルが備えられ、ミラートンネルは、例えば矩形トンネル、固体又は中空トンネル、及び固体ガラスで構成された細長いトンネルなどである。積分器は、屈折光学素子104の前に配置されてもよい。
【0027】
光学システム100は、さらにダイクロイックスプリッタ110を備えていてもよい。ある代表的な実施形態では、ダイクロイックスプリッタは、第3の色の光から第1及び第2の色の光を分割するよう配置されている。図2に示す代表的な実施形態では、ダイクロイックスプリッタ110は、第1及び第2の色の光を反射し、第3の色の光を透過するよう配置されている。この代表的な光学システム100は、ダイクロイックスプリッタ110から第1及び第2の色の光を受け、その光を色分割素子150の第1プリズム140の第1透過性湾曲外面142に向けて反射するよう配置されたミラー114をさらに備えていてもよい。ダイクロイックスプリッタ110とミラー114との間に、1つ又は複数の屈折光学素子112を配置してもよい。
【0028】
光学システム100は、さらにダイクロイックスプリッタ110から第3の色の光を受けるよう配置された反射偏光回転イメージャなどの、第3照明ターゲット108を備えていてもよい。偏光回転イメージャを使用する代表的な実施形態では、最終的に照明ターゲット108に入射する光を事前に偏光するために、光学システム100に偏光ビームスプリッタ109を備えていてもよい。偏光ビームスプリッタ109は、偏光ビームスプリッタ109によって反射された第3の色の光が偏光回転イメージャ108に入射するよう配置され得る。ダイクロイックスプリッタ110と照明ターゲット108との間に、1つ又は複数の屈折光学素子106を設けてもよい。例えば図2に示すように、より小型の光学システムを製造するため、1以上の屈折素子106の端部を切り取ってもよい。
【0029】
ある代表的な実施形態では、イメージャ108、118、及び128によって調節された光は、相互ダイクロイック合成器214を使用して合成され得る。合成されたビームは、次に投影レンズ218によって集束され、スクリーン(図示なし)に、あるいはさらに加工される場合は別の光学素子又は装置に送達される。
【0030】
投影用途の照明システムなど、代表的な光学システムは、赤、緑、青色の照明を使用した場合、図2に示される光学システムの数学的モデル化に基づく以下のパラメータで構成され得る。より詳細には、このようなモデル化された光学システムは、3イメージャLCoSによるプロジェクタにおいて照明システムとして使用され得る。LCoS(イメージャ)のサイズは、有効なF値2.3を有する8.717×15.566mm(0.7インチ)であってもよい。モデル化されたデータの小数値は単に説明のために示すもので、本開示の範囲を限定するものでないことは理解されるであろう。
【0031】
モデル化された光学システムでは、合成された赤、緑、青の光が約3.63×6.48mmの透明な開口及び約25mmの長さを有する中空の積分器102で均質化される。均質化された光は、次にレンズ104で平行化され、赤/シアンのダイクロイックスプリッタ110でスペクトルの赤と青/緑のコンポーネントに分割される。赤色光が横断する代表的なモデル化システムの部分のその他のパラメータを表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
表2は、ダイクロイックスプリッタ110で反射される位置以降の、青色及び緑色光のみが横断する代表的なモデル化システムの部分のパラメータを示す。
【0034】
【表2】

【0035】
表2から分かるように、モデル化された代表的な光学システムは、凸状の湾曲外面142、144、及び132を有するポリカーボネート製の色分割光学素子を含む。この代表的な色分割素子では、外面144、132の曲率は同じ球面状の曲率であり、外面142の湾曲は非球面状である。
【0036】
本開示の色分割素子の代表的な実施形態は、例えば屈折光学素子を追加する必要性を減らしたり無くしたりすることにより、小型の光学システムの製造に使用することができる。湾曲外面(例えば湾曲光入射外面、第1湾曲光射出外面及び第2湾曲光射出外面など)は、第1及び第2の方向に沿って色分割光学素子内に進行する光を集束するためにすべて使用され得る。屈折光学素子の追加の必要性を減らすことにより、本開示の代表的な実施形態を使用した光学システムは、組み立てや配列がより容易になり、より堅牢に製造可能である。
【0037】
特定の例示的実施形態を参照して本開示の色分割光学素子及びそのような光学素子を用いた光学システムを説明したが、当業者には本発明の趣旨と範囲とから逸脱することなく変更および変形をなし得ることが理解されるであろう。例えば、色分割光学素子の形状、サイズ、及び材料は用途により異なり得る。本明細書で図示及び説明した要素に加えて、本開示に従って構成された光学システムは、特定用途に望ましい場合には、追加の屈折光学素子、反射光学素子、ダイクロイック光学素子、並びにその他の光学素子及び非光学素子を含むことができる。さらに、赤、緑、及び青色の照明を参照して本開示の例示的実施形態を説明したが、本開示の範囲から逸脱することなく記載の色に代えて又は追加して他のタイプ及び数の色が用いられ得る。
【0038】
本発明が関連する当業者が本発明の作製および使用方法をより容易に理解するために、その例示的実施形態を図面を参照して詳細に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本開示に従って構成された、代表的な色分割光学素子の概略的断面図。
【図2】本開示に従って構成された、代表的な色分割光学素子を組み込んだ画像表示システムなどの代表的な光学システムのエレメントを概略的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1透過性湾曲外面、第2透過性湾曲外面、及び内面を有する第1プリズムと、
第1透過性湾曲外面、第2側面、及び内面を有する第2プリズムと、
前記第1プリズムの内面と前記第2プリズムの内面との間に配置されたダイクロイック素子とを含み、
前記第1プリズムの第1透過性湾曲外面は、第1の方向に沿って前記第2プリズムの第1透過性湾曲外面とほぼ対向配置され、前記第1プリズムの第2透過性湾曲外面は、第2の方向に沿って前記第2プリズムの第2側面とほぼ対向配置されている色分割光学素子。
【請求項2】
前記第1プリズムの第2透過性湾曲外面が、前記第2プリズムの第1透過性湾曲外面とほぼ同じ曲率を有する、請求項1に記載の色分割光学素子。
【請求項3】
前記第1プリズムの第1透過性湾曲外面、前記第1プリズムの第2透過性湾曲外面、及び前記第2プリズムの第1透過性湾曲外面が凸状である、請求項1に記載の色分割光学素子。
【請求項4】
前記第1の方向が前記第2の方向に対して約90°の角度を成す、請求項1に記載の色分割光学素子。
【請求項5】
前記第2プリズムの第1透過性湾曲外面及び前記第1プリズムの第2透過性湾曲外面の少なくとも1つに色別コーティングが施されている、請求項1に記載の色分割光学素子。
【請求項6】
前記第2プリズムの第1透過性湾曲外面及び前記第1プリズムの第2透過性湾曲外面の少なくとも1つに偏光フィルムが施されている、請求項1に記載の色分割光学素子。
【請求項7】
前記透過性湾曲外面の少なくとも1つにミクロ構造が含まれる、請求項1に記載の色分割光学素子。
【請求項8】
第1及び第2の色を含む光源と共に使用するための光学システムであって、
第1透過性湾曲外面、第2透過性湾曲外面、及び内面を有する第1プリズムと、第1透過性湾曲外面、第2側面、及び内面を有する第2プリズムと、前記第1プリズムの内面と前記第2プリズムの内面との間に配置されたダイクロイック素子とを含み、前記第1プリズムの第1透過性湾曲外面は、第1の方向に沿って前記第2プリズムの第1透過性湾曲外面とほぼ対向配置され、前記第1プリズムの第2透過性湾曲外面は、第2の方向に沿って前記第2プリズムの第2側面とほぼ対向配置された、色分割光学素子を備え、
前記第1プリズムの第1透過性湾曲外面は光入射面であり、前記第1プリズムの第2透過性湾曲外面は第2の光射出面であり、前記第2プリズムの第1透過性湾曲外面は光入射面であり、
さらに、前記色分割光学素子の第1の光射出面から光を受けるように配置された第1照明ターゲットと、
前記色分割光学素子の第2の光射出面から光を受けるように配置された第2照明ターゲットとを備えた光学システム。
【請求項9】
前記第1の方向が前記第2の方向に対して約90°の角度を成す、請求項8に記載の光学システム。
【請求項10】
前記第2プリズムの第1透過性湾曲外面及び前記第1プリズムの第2透過性湾曲外面の少なくとも1つが第1又は第2の色の光に対して優先的に構成される、請求項8に記載の光学システム。
【請求項11】
前記第2プリズムの第1透過性湾曲外面及び前記第1プリズムの第2透過性湾曲外面の少なくとも1つに色別コーティングが施されている、請求項8に記載の光学システム。
【請求項12】
前記第1及び第2照明ターゲットの少なくとも1つが偏光回転イメージャを含む、請求項8に記載の光学システム。
【請求項13】
前記第1及び第2照明ターゲットの少なくとも1つが偏光回転イメージャ及び偏光ビームスプリッタを含み、前記偏光ビームスプリッタによって反射された光が前記偏光回転イメージャに入射するよう配置されている、請求項8に記載の光学システム。
【請求項14】
第1、第2及び第3の色を含む光源と、
前記第1及び第2の色の光を前記第3の色の光から分割するよう構成されたダイクロイックスプリッタと、
第1透過性湾曲外面、第2透過性湾曲外面、及び内面を有する第1プリズムと、第1透過性湾曲外面、第2側面、及び内面を有する第2プリズムと、前記第1プリズムの内面と前記第2プリズムの内面との間に配置されたダイクロイック素子とを含み、前記第1プリズムの第1透過性湾曲外面は、第1の方向に沿って前記第2プリズムの第1透過性湾曲外面とほぼ対向配置され、前記第1プリズムの第2透過性湾曲外面は、第2の方向に沿って前記第2プリズムの第2側面とほぼ対向配置された、色分割光学素子とを備え、
前記色分割光学素子は、前記第1透過性湾曲外面が第1及び第2の色を含む光を受けて、さらに前記ダイクロイック素子が第1の色の光を第2プリズムの第1透過性湾曲外面に向けて透過させ、第2の色の光を第1プリズムの第2透過性湾曲外面に向けて反射するように構成され、
さらに、前記第2プリズムの第1透過性湾曲外面を透過した第1の色の光を受けるように配置された第1照明ターゲットと、
前記第1プリズムの第2透過性湾曲外面を透過した第2の色の光を受けるように配置された第2照明ターゲットと、
前記ダイクロイックスプリッタから第3の色の光を受けるように配置された第3照明ターゲットとを備えた光学システム。
【請求項15】
前記ダイクロイックスプリッタは、前記第1及び第2の色の光を反射し、前記第3の色の光を透過させるものであり、
さらに、前記ダイクロイックスプリッタから前記第1及び第2の色の光を受けて、前記色分割素子の第1プリズムの第1透過性湾曲外面に向けて反射するよう配置されたミラーを備えた、請求項14に記載の光学システム。
【請求項16】
前記ダイクロイックスプリッタと前記第3照明ターゲットとの間に配置された屈折光学素子をさらに備えた、請求項15に記載の光学システム。
【請求項17】
前記ダイクロイックスプリッタと前記ミラーとの間に配置された屈折光学素子をさらに備えた、請求項16に記載の光学システム。
【請求項18】
前記第1、第2及び第3照明ターゲットの少なくとも1つが偏光回転イメージャを含む、請求項14に記載の光学システム。
【請求項19】
前記第1、第2及び第3照明ターゲットの少なくとも1つが偏光回転イメージャ及び偏光ビームスプリッタを含み、前記偏光ビームスプリッタによって反射された光が、前記偏光回転イメージャに入射するよう配置されている、請求項14に記載の光学システム。
【請求項20】
前記光源と前記ダイクロイックスプリッタとの間に配置された積分器をさらに備えた、請求項14に記載の光学システム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−516214(P2009−516214A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540113(P2008−540113)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/043274
【国際公開番号】WO2007/058820
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】