説明

色変換定義修正装置および色変換定義修正プログラム

【課題】色変換定義が本来有する非線形性の喪失を抑えた修正を行える色変換定義修正装置と色変換定義修正プログラムとを提供する。
【解決手段】2つの色空間の間の色変換を定義した、一方の色空間上で規則的に並んだ複数の格子点と、それら複数の格子点それぞれに色変換を介して対応した他方の色空間上の複数の対応点とで構成された色変換定義を構成する複数の対応点のうち、格子点の規則的な並びに対する対応点の並びが所定の局所的な不連続状態となっている対応点を探索する探索部420と、探索部420による探索で見つかった対応点に置き換わる新たな対応点を、その見つかった対応点を除く他の対応点と、それら他の対応点が対応する格子点との対応関係に基づいて算出して、その見つかった対応点と置換する算出部440とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1色空間と第2色空間との間の色変換を定義した色変換定義を修正する色変換定義修正装置、およびコンピュータをそのような色変換定義修正装置として動作させる色変換定義修正プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、記録された画像を読み取って画像データを得るカラースキャナや、固体撮像素子上に被写体の画像を結像して読み取ることにより画像データを得るDSC(デジタルスチルカメラ)等、何らかの原稿を入力して画像データを得る、様々なタイプの入力デバイスが知られている。これらの入力デバイスでは、例えばR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の3色の成分値の組合せで画像の色が表現された画像データが得られる。このとき、この画像データにおける各成分値に対応する座標軸を有する色空間(例えば、RGB色空間)は、その画像データを得た入力デバイスに依存したものとなる。
【0003】
また、画像データに基づいて画像を出力する出力デバイスについても、例えば、印画紙上をレーザ光で露光してその印画紙を現像することにより印画紙上に画像を記録する写真プリンタ、電子写真方式やインクジェット方式等で用紙上に画像を記録するプリンタ、輪転機を回して多量の印刷物を作成する印刷機、画像データに基づいて表示画面上に画像を表示するCRTディスプレイやプラズマディスプレイ等の画像表示装置等、様々なタイプの出力デバイスが知られている。これらの出力デバイスは、例えばRGB3色の成分値の組合せや、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(墨)の4色の成分値の組合せで画像の色が表現された画像データに基づいて、画像が色を含めて出力される。この出力デバイスで扱われる画像データにおける各成分値に対応する座標軸を有する色空間(例えば、RGB色空間やCMYK色空間)は、その画像データに基いて画像を出力する出力デバイスに依存したものとなる。
【0004】
一般に、入力デバイスと出力デバイスとでは、取り扱われる画像データに対応する色空間が相互に異なっている。このため、例えば、入力デバイスと出力デバイスとの双方が、RGB3色の成分値の組合せで画像の色が表現された画像データを扱う装置であったとしても、入力デバイスで得られた画像データをそのまま用いて出力デバイスで画像を出力したときに、入力デバイスで入力される元になった画像の色と出力デバイスで出力された画像の色とは一般には一致しない。従って、入力デバイスで原稿を読み取って画像データを得、その画像データを基にして、出力デバイスで原稿を再現しようとしたとき、入力デバイスで得られた画像データをそのまま出力デバイスに送るのではなく、その間で画像データを変換する必要がある。ここでは画像の色に着目した変換を行なっており、この画像データの変換を色変換と称する。また、この色変換前後の画像データの相互関係を定義するLUT(ルックアップテーブル)等のことを色変換定義と称する。
【0005】
例えば、ある入力デバイスで得られた、RGB色空間で色を表現した画像データが表わす画像を、CMYK4色の色材で色を表現する出力デバイスで出力させる際には、入力デバイスに依存したRGB色空間と、出力デバイスに依存したCMYK色空間との間の色変換を定義した色変換定義が用いられる。そしてこの色変換定義を用いた色変換によって、RGB色空間で色を表現した画像データが、CMYK色空間で色を表現した画像データに変換される。
【0006】
ここで、通常、このような色変換は、概念的には、例えばLab色空間やXYZ色空間等といったデバイスに非依存の共通色空間を介して行われる。そのため、上記の色変換定義も、概念的には、入力デバイスに依存した色空間(入力色空間)と共通色空間との間の色変換を定義した入力側の色変換定義と、出力デバイスに依存した色空間(出力色空間)と共通色空間との間の色変換を定義した出力側の色変換定義とが結合されたものとなる。
【0007】
ところで、入力色空間や出力色空間といったデバイス依存の色空間(デバイス色空間)と共通色空間との間の色変換を定義した色変換定義は、一般的には、デバイス色空間上で規則的に並ぶ複数の格子点について、色変換を介して共通色空間上で各格子点に対応する複数の対応点を求めることで作成される。
【0008】
一般に、このような色変換定義の作成に当たっては、複数の格子点のうちの一部を代表点として、各代表点の座標で色が表現された複数のカラーパッチが用意され、各カラーパッチに対する測色によって、Lab値やXYZ値といった測色値が取得される。この測色値は、Lab色空間やXYZ色空間といった共通色空間の座標に相当しており、その座標は、デバイス色空間上の代表点に、色変換を介して対応する対応点の座標に相当する。次に、代表点以外の格子点に対応する対応点が、上記の代表点に対応した対応点に基いて算出される。これにより、デバイス色空間上の全格子点について、共通色空間上における対応点が求められ、各格子点と各対応点との組によって色変換を定義した色変換定義が作成される。また、共通色空間について作成された色変換定義を結合することで、互いに異なるデバイス色空間の間の色変換を定義した色変換定義が作成される。
【0009】
ここで、このような色変換定義では、変換元の色空間上での格子点の規則的な並びに対して、変換先の色空間における対応点の並びが連続的であることが好ましい。そのような好ましい色変換定義によれば、階調や色の不自然なとびが無い好ましい色変換を行うことができる。しかし、実際には、色変換定義の作成時に行われるカラーパッチに対する測色における測色誤差等の影響で、対応点の並びの連続性が損なわれた色変換定義が作成されてしまうことがしばしばある。そこで、このような色変換定義に対して、各対応点を周辺の対応点を使って均して修正する技術が提案されている(例えば、特許文献1および2参照。)。
【特許文献1】特開2001−144981号公報
【特許文献2】特開2003−348365号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの特許文献に示されている修正によると、色変換定義における対応点の並びは、格子点の規則的な並びに対して線形な並びに近づくこととなる。しかしながら、実際に作成される色変換定義における対応点の並びは、デバイスが有する非線形な装置特性が反映された非線形な並びであることが多い。ところが、上記の修正によると、測色誤差等に起因する連続性の乱れだけでなく、色変換定義が本来有する非線形性まで除かれてしまう恐れがある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑み、色変換定義が本来有する非線形性の喪失を抑えた修正を行える色変換定義修正装置と、コンピュータをそのような色変換定義修正装置として動作させる色変換定義修正プログラムとを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する本発明の色変換定義修正装置は、第1色空間と第2色空間との間の色変換を定義した、その第1色空間上で規則的に並んだ複数の格子点と、それら複数の格子点それぞれに上記色変換を介して対応したその第2色空間上の複数の対応点とで構成された色変換定義を構成する複数の対応点のうち、上記格子点の規則的な並びに対する上記対応点の並びが所定の局所的な不連続状態となっている対応点を探索する探索部と、
上記探索部による探索で見つかった対応点に置き換わる新たな対応点を、その見つかった対応点を除く他の対応点と、それら他の対応点が対応する格子点との対応関係に基づいて算出して、その見つかった対応点と置換する対応点置換部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
色変換定義作成時の測色誤差等に起因する不具合は、その色変換定義における、格子点の規則的な並びに対する対応点の並びの局所的な不連続状態となって現れる。本発明の色変換定義修正装置によれば、そのような局所的な不連続状態となっている対応点が探索され、その探索された対応点のみを対象とした置換処理によって色変換定義が修正される。その結果、探索された対応点以外の対応点の並びにおける、色変換定義が本来有する非線形性は修正後もそのまま維持され、色変換定義作成時の測色誤差等といった不具合に起因する局所的な不連続状態のみが除去されることとなる。つまり、本発明の色変換定義修正装置によれば、色変換定義が本来有する非線形性の喪失を抑えた修正を行うことができる。
【0014】
ここで、本発明の色変換定義修正装置において、「色変換定義を構成する複数の格子点の規則的な並びに対する複数の対応点の並びが所定の全体的な連続状態を満たすまで、上記探索部による探索と上記対応点置換部による置換とを反復させる反復部を備えた」という形態は好ましい形態である。
【0015】
この好ましい形態の色変換定義修正装置によれば、色変換定義が本来有する非線形性を維持したまま修正を繰り返して、上記の局所的な不連続状態が一層除かれた色変換定義を得ることができる。
【0016】
また、本発明の色変換定義修正装置において、「上記対応点置換部が、上記探索部による探索で見つかった対応点に置き換わる新たな対応点を算出するに当たり、格子点の規則的な並びに対する対応点の並び方を記述したラプラス方程式を、その見つかった対応点を除く他の対応点と、それら他の対応点が対応する格子点との対応関係を境界条件として局所的に解くことで算出するものである」という形態は好ましい形態である。
【0017】
この好ましい形態の色変換定義修正装置によれば、物理量の場における平衡条件を表したラプラス方程式を、上記探索部で探索された対応点について局所的に解くことによって、その対応点が周囲の対応点と滑らかに繋がるように算出されるので、その対応点における局所的な不連続状態が良好に除かれることとなる。
【0018】
また、本発明の色変換定義修正装置において、「上記対応点置換部が、上記探索部による探索で見つかった対応点に置き換わる新たな対応点を算出するに当たり、格子点の並びに対する対応点の並びの非線形性を反映して算出するものである」という形態も好ましい形態である。
【0019】
この好ましい形態の色変換定義修正装置によれば、色変換定義が本来有している非線形性が反映された精密な修正を行うことができる。
【0020】
また、上記目的を達成する本発明の色変換定義修正プログラムは、コンピュータに組み込まれ、そのコンピュータ上に、
第1色空間と第2色空間との間の色変換を定義した、その第1色空間上で規則的に並んだ複数の格子点と、それら複数の格子点それぞれに上記色変換を介して対応したその第2色空間上の複数の対応点とで構成された色変換定義を構成する複数の対応点のうち、上記格子点の規則的な並びに対する上記対応点の並びが所定の局所的な不連続状態となっている対応点を探索する探索部と、
上記探索部による探索で見つかった対応点に置き換わる新たな対応点を、その見つかった対応点を除く他の対応点と、それら他の対応点が対応する格子点との対応関係に基づいて算出して、その見つかった対応点と置換する対応点置換部とを構築することを特徴とする。
【0021】
この本発明の色変換定義修正プログラムによれば、色変換定義が本来有する非線形性の喪失を抑えた修正を行える上述の色変換定義修正装置を容易に実現することができる。
【0022】
なお、本発明にいう色変換定義修正プログラムについては、ここではその基本形態のみを示すのにとどめるが、これは単に重複を避けるためであり、本発明にいう色変換定義修正プログラムには、上記の基本形態のみではなく、前述した色変換定義修正装置の各形態に対応する各種の形態が含まれる。
【0023】
さらに、本発明の色変換定義修正プログラムがコンピュータ上に構築する探索部などといった要素は、1つの要素が1つのプログラム部品によって構築されるものであってもよく、1つの要素が複数のプログラム部品によって構築されるものであってもよく、複数の要素が1つのプログラム部品によって構築されるものであってもよい。また、これらの要素は、そのような作用を自分自身で実行するものとして構築されてもよく、あるいは、コンピュータに組み込まれている他のプログラムやプログラム部品に指示を与えて実行するものとして構築されてもよい。
【発明の効果】
【0024】
以上、説明したように、本発明によれば、色変換定義が本来有する非線形性の喪失を抑えた修正を行える色変換定義修正装置と、コンピュータをそのような色変換定義修正装置として動作させる色変換定義修正プログラムとを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態が適用される印刷システムの全体構成図である。
【0027】
この図1に示す印刷システム1は、CMYK4色のプロセス色のインク、およびプロセス色以外のR色とG色との2色の特色のインクが使用できる印刷機30を備えており、原稿画像11を元に編集された印刷用の画像を印刷機30で用紙上に印刷して印刷物31を作成するものである。
【0028】
ここで、この印刷システム1では、印刷に特色のインクを用いるか否かが、パーソナルコンピュータ100に対するユーザ操作によって選択できるようになっている。
【0029】
カラースキャナ10では、原稿画像11が読み取られて、その読み取られた原稿画像11を表わす色分解画像データが生成される。この色分解画像データは、パーソナルコンピュータ100に入力される。パーソナルコンピュータ100では、入力された色分解画像データに基づく電子的な集版がユーザによって行なわれて印刷用の元画像が編集される。ここで、パーソナルコンピュータ100での編集は、RGB3色で色を表示するカラーモニタ上で行われ、その編集によって、RGB3色で色が表現された印刷用の元画像を表わす画像データ(以下、RGB画像データと呼ぶ)が生成される。
【0030】
ここで、このパーソナルコンピュータ100は、上記のRGB画像データを、特色を除いたCMYK4色で画像の色を表現した画像データ(以下、CMYK画像データと呼ぶ)や、特色を含めたCMYKRG6色で画像の色を表現した画像データ(以下、CMYKRG画像データと呼ぶ)に変換する色変換装置として動作する機能を有している。パーソナルコンピュータ100におけるこの機能により、印刷用の元画像を表わすRGB画像データはCMYK画像データやCMYKRG画像データに変換される。
【0031】
さらに、このパーソナルコンピュータ100は、いわゆるRIP(Raster Image Processor)として動作する機能も備えており、この機能により、CMYK画像データやCMYKRG画像データが、網点で画像を構成した網点画像を表した網点画像データに変換される。この網点画像データへの変換は、CMYK4色あるいはCMYKRG6色それぞれについて行なわれ、これら各色の版の網点画像データが作成される。
【0032】
これらの網点画像データはフィルムプリンタ20に入力され、そのフィルムプリンタ20では、入力された網点画像データに対応した各版の印刷用フィルム原版が作成される。この印刷用フィルム原版からは各版の刷版が作成され、それらの刷版が印刷機30に装着される。そして、各版の刷版にその版に対応した色のインクが塗布され、その塗布されたインクが印刷用の用紙上に転移される。その転移が、各版について行なわれて印刷物31が形成される。
【0033】
ここで、上記のRGB画像データとCMYK画像データとの間の色変換では、RGB3色で色を表現するRGB色空間と、CMYK4色で色表現するCMYKRG色空間との間の色変換を定義した色変換定義が用いられ、RGB画像データとCMYKRG画像データとの間の色変換では、RGB3色で色を表現するRGB色空間と、CMYKRG6色で色表現するCMYKRG色空間との間の色変換を定義した色変換定義が用いられる。パーソナルコンピュータ100は、このような2種類の色変換定義を作成する色変換定義作成装置として動作する機能も有している。
【0034】
本実施形態では、色変換定義作成装置で作成された色変換定義が、上記の色変換装置において使用されて色変換が実行される。また、その色変換定義の作成の際には、その作成に先立って、パーソナルコンピュータ100は、複数のカラーパッチが配列されたカラーチャート32を表したチャートデータをフィルムプリンタ20に出力する。そして、そのチャートデータに従ってカラーチャート32が印刷され、そのカラーチャート32を構成するカラーパッチの色が分光測色計40によって測色される。分光測色計40による測色結果は、パーソナルコンピュータ100に入力され色変換定義の作成に用いられる。
【0035】
ところで、このような測色結果には、色変換定義に、色変換における階調や色の不自然なとび等を引き起こす不連続状態を生じさせるような誤差が含まれることがしばしばある。そこで、この印刷システム1では、一旦作成された色変換定義のこのような不連続状態が修正され、その修正済みの色変換定義を用いた色変換が行われるようになっている。そして、パーソナルコンピュータ100は、色変換定義に対する修正を行う、本発明の色変換定義修正装置の一実施形態である色変換定義修正装置として動作する機能を有している。
【0036】
図2は、色変換装置、色変換定義作成装置、および色変換定義修正装置の関係を示すブロック図である。
【0037】
この図2には、RGB画像データとCMYK画像データとの間の色変換や、RGB画像データとCMYKRG画像データとの間の色変換を実行する色変換装置200と、それら2種類の色変換それぞれで使用される色変換定義を作成する色変換定義作成装置300と、それらの色変換定義を修正する色変換定義修正装置400とが模式的に示されている。
【0038】
ここで、上記のRGB色空間は、図1のカラースキャナ10に依存しており、またCMYK色空間やCMYKRG色空間は、フィルムプリンタ20および印刷機30の双方に依存している。このため、色変換装置200では、カラースキャナ10、フィルムプリンタ20、および印刷機30に依存しない共通色空間の一例であるLab色空間を介した色変換が行われる。この色変換では、RGB画像データは、概念的には、一旦、Lab色空間で色が表現されたLab画像データに変換され、その後に、CMYK画像データやCMYKRG画像データに変換される。このため、RGB色空間とCMYK色空間というデバイス色空間同士の間の色変換に使われる色変換定義(デバイスリンクプロファイル)250は、図2に示すように、RGB色空間とLab色空間との間の色変換を定義した入力プロファイル251と、Lab色空間とCMYK色空間との間の色変換を定義した出力プロファイル252とが結合されたものとなる。同様に、RGB色空間とCMYKRG色空間との間の色変換に使われるデバイスリンクプロファイル260は、入力プロファイル251と、Lab色空間とCMYKRG色空間との間の色変換を定義した出力プロファイル262とが結合されたものとなる。
【0039】
色変換定義作成装置300では、図1に示す分光測色計40でカラーチャート32が測色されて得られた測色値と、カラーチャート32がカラースキャナ10で読み取られて得られた色分解画像データとを使って入力プロファイル251が作成される。また、その測色値と、カラーチャート32を表わすチャートデータとを使って出力プロファイル252,262が作成される。さらに、そのように作成された入力プロファイル251と出力プロファイル252,262とが相互に結合されてデバイスリンクプロファイル250,260が作成される。これらのプロファイルの作成方法は公知の技術であるので、その作成方法についての詳細な説明は省略する。
【0040】
ここで、入力プロファイル251や出力プロファイル252,262には、それらのプロファイルの作成に使われた測色値における誤差(測色誤差)に起因する、色変換における階調や色の不自然なとび等を引き起こす不連続状態が生じている可能性がある。その結果、それらのプロファイルに基づいて作成されたデバイスリンクプロファイル250,260にも、そのような不連続状態が含まれている可能性がある。さらに、デバイスリンクプロファイル250,260の作成時に行われるプロファイルの結合は、プロファイルにこのような不連続状態を生じさせるような結合誤差を伴うことがしばしばある。そのため、デバイスリンクプロファイル250,260には、測色誤差に起因する不連続状態だけでなく、プロファイルの結合時の結合誤差に起因する不連続状態が生じている可能性もある。
【0041】
色変換定義修正装置400は、これら各種類のプロファイルにおける不連続状態を除去する修正を行うものである。ここで、その修正対象のプロファイルの種類は、不図示の操作画面に対するユーザ操作によって、色変換定義修正装置400に指定される。
【0042】
本実施形態では、入力プロファイルのみ、出力プロファイルのみ、デバイスリンクプロファイルのみ、入力プロファイルと出力プロファイルとの両方、入力プロファイルと出力プロファイルとデバイスリンクプロファイルとの全てという5つの指定パターンによる修正対象の指定が可能となっている。
【0043】
修正対象として入力プロファイルのみが指定された場合には、色変換定義修正装置400が、色変換定義作成装置300で作成された入力プロファイル251を修正し、色変換定義作成装置300は、その修正済みの入力プロファイル251と出力プロファイル252,262とを結合してデバイスリンクプロファイル250,260を作成して色変換装置200に渡す。
【0044】
出力プロファイルのみが指定された場合には、色変換定義修正装置400が、色変換定義作成装置300で作成された出力プロファイル252,262を修正し、色変換定義作成装置300は、入力プロファイル251と修正済みの出力プロファイル252,262とを結合してデバイスリンクプロファイル250,260を作成して色変換装置200に渡す。
【0045】
デバイスリンクプロファイルのみが指定された場合には、色変換定義作成装置300でデバイスリンクプロファイル250,260が完成した段階で、色変換定義修正装置400がそのデバイスリンクプロファイル250,260を修正して色変換装置200に渡す。
【0046】
入力プロファイルと出力プロファイルとの両方が指定された場合には、色変換定義作成装置300が、色変換定義作成装置300で作成されたこれら2種類のプロファイルそれぞれを修正し、色変換定義作成装置300は、修正済みの入力プロファイル251と修正済みの出力プロファイル252,262とを結合してデバイスリンクプロファイル250,260を作成して色変換装置200に渡す。
【0047】
入力プロファイルと出力プロファイルとデバイスリンクプロファイルとの全てが指定された場合には、まず、色変換定義作成装置300が、入力プロファイル251と出力プロファイル252,262とを修正し、色変換定義作成装置300が、修正済みの入力プロファイル251と修正済みの出力プロファイル252,262とを結合してデバイスリンクプロファイル250,260を作成する。さらに、その作成されたデバイスリンクプロファイル250,260を、色変換定義作成装置300が修正して色変換装置200に渡す。
【0048】
本実施形態では、このような修正と作成とを経て最終的に色変換装置200に渡されたデバイスリンクプロファイル250,260用いた色変換が、色変換装置200で実行される。ここで、色変換定義修正装置400が、本発明の色変換定義修正装置の一実施形態に相当し、入力プロファイル251、出力プロファイル252,262、およびデバイスリンクプロファイル250,260が、いずれも本発明にいう色変換定義の一例に相当する。
【0049】
以下、色変換定義修正装置400についての説明を行う。
【0050】
この色変換定義修正装置400は、図1に示すパーソナルコンピュータ100が、後述する本発明の色変換定義修正プログラムの一実施形態に従って動作することによって実現される。
【0051】
図3は、図1のパーソナルコンピュータ100の外観斜視図、図4はそのハードウェア構成図である。
【0052】
この図3に示すパーソナルコンピュータ100は、外観構成上、本体装置110、その本体装置110からの指示に応じて表示画面120a上に画像を表示する画像表示装置120、本体装置110に、キー操作に応じた各種の情報を入力するキーボード130、および、表示画面120a上の任意の位置を指定することにより、その位置に表示された、例えばアイコンなどに応じた指示を入力するマウス140を備えている。この本体装置110は、外観上、フレキシブルディスク(以下、FDと省略する)を装填するためのFD装填口110a、およびCD−ROMを装填するためのCD−ROM装填口110bを有する。
【0053】
本体装置110の内部には、図4に示すように、各種プログラムを実行するCPU111、ハードディスク装置113に格納されたプログラムが読み出されCPU111での実行のために展開される主メモリ112、各種プログラムやデータなどが保存されたハードディスク装置113、FD510をアクセスするFDドライバ114、CD−ROM520が装填され、その装填されたCD−ROM520をアクセスするCD−ROMドライバ115、図1のカラースキャナ10やフィルムプリンタ20に接続されこれらの機器とデータのやり取りを行なうI/Oインタフェース116が内蔵されており、これらの各種要素と、さらに図3にも示す画像表示装置120、キーボード130、マウス140は、バス150を介して相互に接続されている。
【0054】
本実施形態では、図3に示すCD−ROM520に、このパーソナルコンピュータ100を、本発明の色変換定義修正装置の一実施形態である色変換定義修正装置400として動作させる、本発明の色変換定義修正プログラムの一実施形態が記憶される。そして、そのCD−ROM520がCD−ROMドライバ115に装填されると、そのCD−ROM520に記憶されたプログラムがこのパーソナルコンピュータ100にアップロードされてハードディスク装置113に書き込まれる。これにより、パーソナルコンピュータ100は色変換定義修正装置として動作する。
【0055】
以下、この本発明の色変換定義修正プログラムの一実施形態について説明する。
【0056】
図5は、本発明の色変換定義修正プログラムの一実施形態を示す模式図である。
【0057】
この図5には、本発明の色変換定義修正プログラムの一実施形態である色変換定義修正プログラム600が記憶されたCD−ROM520が模式的に示されている。
【0058】
この色変換定義修正プログラム600は、コンピュータ100を本発明の色変換定義修正装置の一実施形態として動作させるものであり、定義取得部610と、探索部620と、非線形性算出部630と、算出部640と、反復部650とを有する。この色変換定義修正プログラム600の各要素の詳細については後述する。
【0059】
図6は、図2に1つのブロックで示した、本発明の色変換定義修正装置の一実施形態を示すブロック図である。
【0060】
この図6に示す、本発明の色変換定義修正装置の一実施形態である色変換定義修正装置400は、図5の色変換定義修正プログラム600が図1のコンピュータ100にインストールされて実行されることによって構成されるものであり、定義取得部410と、探索部420と、非線形性算出部430と、算出部440と、反復部450とを備えている。
【0061】
図5の色変換定義修正プログラム600が、図1のコンピュータ100にインストールされると、その色変換定義修正プログラム600の定義取得部610、探索部620、非線形性算出部630、算出部640、および反復部650は、それぞれ図6に示す色変換定義修正装置400の定義取得部410、探索部420、非線形性算出部430、算出部440、および反復部450を構築する。ここで、これら色変換定義修正装置400の各要素は、コンピュータのハードウェアとそのコンピュータで実行されるOSやアプリケーションプログラムとの組合せで構成されているのに対し、図5の色変換定義修正プログラム600の各要素は、アプリケーションプログラムのみによって構成されている。
【0062】
また、この色変換定義修正装置400における探索部420および反復部450は、それぞれ本発明の色変換定義修正装置における探索部および反復部の各一例に相当する。さらに、この色変換定義修正装置400における非線形性算出部430と算出部440とを合わせたものが、本発明の色変換定義修正装置における対応点置換部の一例に相当する。
【0063】
以下、この図6に示す色変換定義修正装置400の各要素を説明することによって、図5に示す色変換定義修正プログラム600の各要素の詳細も併せて説明する。
【0064】
尚、以下の説明では、上記の図1から図3に示した要素については、特に図番を断らずに参照する。
【0065】
ところで一般的に、2つの色空間の間の色変換を定義した色変換定義では、一方の色空間上で規則的に並ぶ複数の格子点と、各格子点に色変換を介して対応する、他方の色空間上の複数の対応点とで色変換が定義されている。ここで、この色変換定義が定義する色変換が、階調や色の不自然なとびが無い好ましい色変換となるためには、格子点の規則的な並びに対して対応点の並びが連続的であることが好ましい。しかし、実際には、色変換定義の作成時に行われるカラーパッチに対する測色における測色誤差等の影響で、色変換定義における対応点の並びが局所的に不連続状態になっていることがしばしばある。図6に示す色変換定義修正装置400は、修正対象の色変換定義である上記の各プロファイルにおいて、格子点の規則的な並びに対して対応点の並びが局所的に不連続状態となっている箇所を探索し、その箇所の不連続状態を除去するものである。
【0066】
まず、定義取得部410において、上述したように修正対象として指定されたプロファイルが取得される。
【0067】
さらに、この定義取得部410では、取得したプロファイルが上記の入力プロファイル251あるいは出力プロファイル252,262であった場合、プロファイルにおけるLab色空間の座標が、計算上取り扱い易いXYZ色空間の座標に換算される。
【0068】
以下、修正対象として出力プロファイル252,262のみ、特に、CMYK色空間とLab色空間との間の色変換を定義した出力プロファイル252のみが指定されたことを前提として説明する。この場合、定義取得部410では、出力プロファイル252が、CMYK色空間とXYZ色空間との間の色変換を定義した出力プロファイルに換算される。ここで、以下の説明では、この換算済みの出力プロファイルについて、換算前の出力プロファイル252とは特に区別せずに同じ符号「252」を付して記述する。
【0069】
定義取得部410で、出力プロファイル252の取得と換算が行われると、次に、探索部420において、その出力プロファイル252を構成する複数の対応点それぞれに対する次のような判定によって、格子点の規則的な並びに対する対応点の並びが局所的に不連続状態となっている対応点が探索される。
【0070】
探索部420は、出力プロファイル252を構成する複数の対応点それぞれについて、各対応点が、その対応点に対応する格子点を直近で囲む複数の包囲格子点それぞれに対応する複数の対応点で形成される範囲から所定以上に離れていないか否かを、以下に説明する式に基づいて判定する。
【0071】
上記の出力プロファイル252における、判定対象の対応点のX座標を「X(P)」とし、その判定対象の対応点に対応する格子点を「P」、その格子点を囲む複数の包囲格子点のうち、その格子点をCMYK色空間のK軸方向に直近で挟む2つの格子点を、それぞれ「PK−1」,「PK+1」とする。また、それら2つの格子点それぞれに対応する2つの対応点それぞれのX座標を「X(PK−1)」、「X(PK+1)」とすると、判定対象の対応点に対する、K軸方向かつX座標についての判定式は次式のようになる。
【0072】
【数1】

【0073】
【数2】

【0074】
探索部420は、これら2式のうちのどちらかが満たされた場合に、判定対象の対応点が、格子点のK軸方向の並びに対応する対応点の連続的な並びからX軸方向に逸脱していると判定する。ここで、(1)式および(2)式における閾値「aXK」は、K軸方向かつX座標についての逸脱判定の緩和量であり、その閾値が「0」のときが最も厳しい判定となる。本実施形態では、閾値「aXK」は、デフォルトでは「0」となっており、不図示の操作画面を介したユーザ操作によって適宜に変更可能となっている。
【0075】
図7は、K軸方向かつX座標についての判定の一例を示す図である。
【0076】
この図7に示すグラフG1では、横軸に格子点のK値(網パーセント)が示され、縦軸に対応点のX座標が示されている。
【0077】
この図7に示すグラフG1には、所定のCMY3値を有しK軸方向に並ぶ6個の格子点それぞれに対応する6個の対応点それぞれのX座標(図中の黒色のひし形点)がプロットされている。
【0078】
この図7の例では、6個の格子点のK軸方向への規則的な並びに対して、6個の対応点のX軸方向の並びが、「60%」のK値を有する格子点に対応する対応点の周辺において不連続状態となっている。その結果、「40%」のK値に対応する対応点P1のX座標が上記の(1)式を満たし、「60%」のK値に対応する対応点P2のX座標が上記の(2)式を満たすこととなる。探索部420は、上記の(1)式および(2)式に基づいて、色変換定義における各対応点について、格子点のK軸方向の規則的な並びに対するX軸方向の並びが乱れていないか否かを判定する。
【0079】
探索部420は、上記の出力プロファイル252については、上記の(1)式および(2)式と同形の判定式を、これら2つの式を含めて、CMYKの4軸とXYZの3座標との組合せの数と同じ24個用いる。そして、それら24個の判定式からなる判定式セットによって、各対応点について、格子点のCMYK4軸それぞれの方向の規則的な並びに対するXYZ3軸それぞれの方向の並びが乱れていないか否かを判定する。探索部420は、判定式セットをなす判定式のうち1つでも満たされる式がある場合の対応点を、並びが局所的な不連続状態になっている対応点であると判断する。
【0080】
ここで、本実施形態では、探索部420は、出力プロファイル252に適用される上記の判定式セットの他に、特色の使用に対応した出力プロファイル262に適用される判定式セットや、入力プロファイル251に適用される判定式セットや、デバイスリンクプロファイル250,260に適用される判定式セットを有している。そして、探索部420は、修正対象のプロファイルの種類に応じてこれらの判定式セットを使い分けて探索を行う。
【0081】
探索部420では、以上に説明したように並びが局所的な不連続状態になっている対応点が探索される。そして、算出部440において、その探索された対応点に置き換わる新たな対応点が算出され、その算出された対応点が、その探索された対応点と置換される。ここで、この算出は、探索された対応点に対応する格子点を囲む複数の包囲格子点それぞれと、各包囲格子点に対応する複数の対応点との対応関係に基づいて行われる。
【0082】
本実施形態では、この対応点の算出が、格子点の規則的な並びに対する対応点の並び方を記述したラプラス方程式を、この算出対象の対応点について局所的に解くことで行われる。また、ラプラス方程式を局所的に解くに当たっては、探索された対応点に対応する格子点を囲む複数の包囲格子点それぞれと、各包囲格子点に対応する複数の対応点との対応関係が境界条件に使われる。
【0083】
以下、このラプラス方程式の解法について説明する。
【0084】
まず、出力プロファイル252における任意の格子点を「Q」、その格子点を囲む複数の包囲格子点のうち、その格子点をCMYK色空間のC軸方向に直近で挟む2つの格子点をそれぞれ「QC−1」,「QC+1」とし、M軸方向に直近で挟む2つの格子点をそれぞれ「QM−1」,「QM+1」とし、Y軸方向に直近で挟む2つの格子点をそれぞれ「QY−1」,「QY+1」とし、K軸方向に直近で挟む2つの格子点をそれぞれ「QK−1」,「QK+1」とする。さらに、対応点のX座標、Y座標、Z座標それぞれは、格子点に対する各関数として表現可能であり、それらの関数を「U」で代表させて表記すると、上記の9個の格子点それぞれに対応する9個の対応点のXYZ座標は、それぞれ「U(Q)」、「U(QC−1)」、「U(QC+1)」、「U(QM−1)」、「U(QM+1)」、「U(QY−1)」、「U(QY+1)」、「U(QK−1)」、「U(QK+1)」というように表わされる。これらの記号を用いて、ラプラス方程式を差分形式で表現すると次式のようになる。
【0085】
【数3】

【0086】
本来、この(3)式を、全格子点について、ガウス・ザイデル法等といった反復法による解法で解くことでラプラス方程式は解かれる。ただし、求めたい対応点は、探索された対応点に置き換わる対応点のみであるので、ここでは、(3)式を、その探索された対応点に対応する格子点についてのみ解くことでラプラス方程式が局所的に解かれることとなる。
【0087】
ここで、上記の(3)式で記述されるラプラス方程式は、格子点の並びと対応点の並びとの線形な対応関係を記述したものである。ところで、印刷システムやプリンタ等といった出力デバイスは、いわゆるドットゲイン等に起因した非線形な出力特性を持っていることがある。上述したように、図2に示す色変換定義作成装置300では、出力プロファイル252が、図1の印刷システム1で出力されたカラーチャート32について得られた測色値を使って作成される。このため、出力プロファイル252は、印刷システム1における非線形な出力特性が反映され、格子点の並びと対応点の並びとが非線形な対応関係となっている可能性がある。
【0088】
本実施形態では、図6の非線形算出部430において、定義取得部410で取得された出力プロファイル252が有している非線形性が算出され、算出部440では、ラプラス方程式がその非線形性を加味して解かれる。ここで、上記の(3)式は、修正対象の格子点と、その格子点を囲む8個の包囲格子点とが均等な格子間隔で並んでいることを前提とした式である。本実施形態では、ラプラス方程式に対する非線形性の加味は、この(3)式を、形式的に格子間隔が不均等であるとして変形し、出力プロファイル252が有している非線形性を不均等な格子間隔に置き換えることで行われる。以下に、不均等な格子間隔に対応した変形式を示す。
【0089】
【数4】

【0090】
ここで、この(4)式における「HC−1」と「H」それぞれは、算出対象の対応点に対応する格子点と、その格子点をC軸方向に挟む2つの包囲格子点それぞれとの格子間隔を表わす。同様に、「HM−1」と「H」それぞれは、算出対象の対応点に対応する格子点と、その格子点をM軸方向に挟む2つの包囲格子点それぞれとの格子間隔を表わし、「HY−1」と「H」それぞれは、算出対象の対応点に対応する格子点と、その格子点をY軸方向に挟む2つの包囲格子点それぞれとの格子間隔を表わし、「HK−1」と「H」それぞれは、算出対象の対応点に対応する格子点と、その格子点をK軸方向に挟む2つの包囲格子点それぞれとの格子間隔を表わす。
【0091】
本実施形態では、出力プロファイル252が有する非線形性がこれらの格子間隔に置き換えられることでその非線形性がラプラス方程式に加味される。
【0092】
この非線形性は、図6の非線形性算出部430によって求められる。
【0093】
この非線形性算出部430では、出力プロファイル252における複数の格子点のうちのCMYK各軸上の格子点と、その格子点に対応する対応点が有するXYZ3つの座標値それぞれとの対応関係の中で、XYZ値の変動幅が最も大きい対応関係に基づいて、その出力プロファイル252が有するCMYK各軸方向の非線形性が求められる。例えば、K軸上の格子点の並びに対しては、一般的に、対応点のY座標の変動幅が最も大きくなる。この場合、非線形性算出部430は、K軸方向の非線形性を、K軸上の格子点とY座標との対応関係に基づいて算出する。同様に、非線形性算出部430は、各軸方向の非線形性を、各軸上の格子点と、XYZ3つの座標値の中から適宜に選択した座標値との対応関係に基づいて算出する。
【0094】
以下、この非線形性の算出の詳細について、K軸方向の非線形性を、K軸上の格子点とY座標との対応関係に基づいて算出する場合を例に挙げて説明する。
【0095】
図8は、出力プロファイル252におけるK軸方向の非線形性の一例を示す図である。
【0096】
この出力プロファイル252では、CMYK各軸上に、0%から100%までの間の20%刻みの座標成分を有する6個の格子点が存在している。図8には、K軸上の6個の格子点と、各格子点に対応する6個の対応点それぞれのY座標との対応関係を表わす曲線Lが記載されたグラフG2が示されている。このグラフG2では、横軸にK値(網パーセント)が示され、縦軸に対応点のY座標が示されている。
【0097】
出力プロファイル252が線形なプロファイルである場合には、両者間の対応関係は点線で描かれた直線L’が示すように線形となる。しかし、実際には、上述したように印刷システム1(図1参照)におけるドットゲイン等により、両者間の対応関係は実線で描かれた曲線Lが示すように非線形となる。
【0098】
図6の非線形算出部430では、修正対象の格子点についてのK各軸方向の非線形性が、次のように求められる。
【0099】
例えば、算出対象の対応点に対応する格子点のK値が「40%」であるとする。この場合、非線形算出部430は、図8に示すようにK軸上の6個の格子点のうちの、「20%」のK値を有する格子点と「40%」のK値を有する格子点と「60%」のK値を有する格子点との3つの格子点それぞれに対応する3つの対応点それぞれが有するY座標を、出力プロファイル252から抽出する。ただし、これら3つの対応点のうちの幾つかが、上記の探索部によって探索された置き換え対象の対応点となっている場合には、それらの対応点のY座標は使われずに、必要なY座標が、K軸上のその他の格子点に対応する対応点のY座標を使った補間計算によって求められる。次に、「40%」のK値に対応するY座標と「20%」のK値に対応するY座標との差「y1」と、「40%」のK値に対応するY座標と「60%」のK値に対応するY座標との差「y2」とが算出される。これら2つの差は、曲線Lが示すような非線形性のために互いに異なる値となる。
【0100】
非線形算出部430では、このような計算が、CMYK各軸方向について行われ、各軸方向毎に求められた座標値についての2つの差が、修正対象の格子点についての各軸方向の非線形性を表わす値として、図6の非線形算出部430から算出部440に渡される。
【0101】
算出部440では、各軸方向毎に求められた座標値についての2つの差が、算出対象の対応点に対応する格子点と、その格子点を各軸方向に挟む2つの包囲格子点それぞれとの不均等な格子間隔として、上記の(4)式に代入される。例えば、図8を参照して説明した例で求められたK軸方向についてのY座標の2つの差「y1」,「y2」それぞれは、上記の(4)式における、K軸方向に挟む2つの包囲格子点それぞれについての格子間隔「HK−1」,「H」として代入されることとなる。このような代入が、CMYK各軸方向について行われると、その代入済みの(4)式によって、算出対象の対応点のX座標、Y座標、およびZ座標が算出される。
【0102】
算出部440では、以上説明したような算出が、探索部420で探索された対応点の全てについて行われる。また、各対応点の算出の度に、非線形性算出部430による非線形性の算出が行われる。
【0103】
ここで、上記の(4)式は、CMYK色空間とXYZ色空間との間の色変換を定義した出力プロファイル252に適用される式である。本実施形態では、特色の使用に対応した出力プロファイル262には、上記の(4)式に、特色に対応した項が追加された別式が適用される。また、RGB色空間とXYZ色空間との間の色変換を定義した入力プロファイル251には、(4)式と基本的には同形で、RGB3色に対応した項からなる別式が適用される。
【0104】
このように、本実施形態では、出力プロファイル252,262および入力プロファイル251には、(4)式を一例とした、非線形性が加味されたラプラス方程式が適用される。これは、これらのプロファイルでは、対応点がXYZ色空間上の点であり、色空間におけるある軸方向の格子点の並びに対する対応点の並びの非線形性を、XYZ3つの座標値のうちの1つの座標値の変化で捉え、その座標値の変化で表わされた非線形性を、他の座標値についても共通に適用できるからである。
【0105】
一方、RGB色空間とCMYK色空間との間の色変換やRGB色空間とCMYKRG色空間との間の色変換を定義したデバイスリンクプロファイル250,260では、RGB色空間上の格子点の並びに対するCMYK色空間やCMYKRG色空間上の対応点の並びの非線形性を、上記のような1種類のパラメータで統一的に捉えることが困難である。そこで、デバイスリンクプロファイル250,260については、(3)式を一例として挙げた線形なラプラス方程式が適用される。
【0106】
算出部440において対応点の算出と置換えが一通り終了すると、次に、反復部450において、その置換え済みの出力プロファイルについて、複数の格子点の規則的な並びに対する複数の対応点の並びの全体的な連続状態が次式によって算出される。
【0107】
【数5】

【0108】
この(5)式は、任意の格子点に対応する対応点と、その格子点を囲む8個の包囲格子点それぞれに対応する8個の対応点の平均との差を全格子点について計算して総和を求める式である。本実施形態では、この差の総和が、出力プロファイルの全体的な連続状態を示すものとして扱われる。
【0109】
反復部450は、以上に説明した、探索部420による探索と、算出部450による対応点の算出と置換えを、次の反復停止条件が満足されるまで反復させる。本実施形態では、反復部450は、修正前の出力プロファイル250,260について上記の差の総和を求めておく。そして、反復部450は、1回の修正後の差の総和が、修正前の差の総和の半値よりも小さくなるまで反復を続けさせる。
【0110】
反復部450において、この反復停止条件が満足されると反復が停止され、その反復が停止された時点での出力プロファイルに対して、XYZ色空間からLab色空間への座標変換が施されて、修正済みの出力プロファイルとして、図2示す色変換定義作成装置300に渡される。上述したように、色変換定義作成装置300では、その修正済みの出力プロファイルを使ってデバイスリンクプロファイルを作成して色変換装置200に渡す。
【0111】
図9は、出力プロファイル252が図7に示す局所的な不連続性を有していた場合、その局所的な不連続性が、修正済みの出力プロファイルにおいて除かれている様子を示す図である。
【0112】
尚、以下では、XYZ色空間からLab色空間への座標変換が施される前の出力プロファイル252を、修正後の出力プロファイルと呼んで説明を続ける。
【0113】
このグラフG3では、図7に示すグラフG1と同様に、横軸に格子点のK値が示され、縦軸に対応点のX座標が示されている。
【0114】
この図9に示すグラフG3には、所定のCMY3値を有しK軸方向に並ぶ6個の格子点について、図7にも示した修正前の出力プロファイル252における6個の対応点それぞれのX座標(図中の黒色のひし形点)と、修正済みの出力プロファイルにおける6個の対応点それぞれのX座標(図中の白色の三角点)とがプロットされている。さらに、このグラフG3には、上記の修正前の出力プロファイル252に、各対応点を周辺の対応点を使って均す処理を全体対応点について行うという従来の修正方法が施された場合の、上記の6個の格子点それぞれに対応する6個の対応点それぞれのX座標(図中の白色の四角点)もプロットされている。
【0115】
この図9から分かるように、従来の方法では、格子点の並びに対する対応点の並びは全体的に連続状態となるが、その対応点の並びは全体的に動いてしまい、修正後の出力プロファイルにおける対応点の並びは、修正前の出力プロファイル252における対応点の元々の並びとは傾向が全く異なった、図中に点線で示すように線形な傾向の並びとなってしまっている。一方、本実施形態の色変換定義修正装置400によれば、探索部420によって探索された、局所的な不連続状態となっている対応点(図7および図9の例では、P1およびP2の2点)だけが修正されて修正点P1’,P2’が得られる。その結果、修正後の出力プロファイルにおける対応点の並びは、修正前の出力プロファイル252における対応点の並びにおける全体的な傾向が維持されて、その傾向から外れている局所的な不連続状態が除かれた、図中に実線で示す並びになる。
【0116】
また、この色変換定義修正装置400によれば、このような局所的な不連続状態についての修正には、図8を参照して説明したように、修正前の出力プロファイル252における対応点の並びにおける全体的な傾向(非線形性)が以下に再度説明するように反映される。
【0117】
図10は、対応点の局所的な修正に、修正前の出力プロファイル252における対応点の並びにおける全体的な傾向(非線形性)が反映される様子を示す図である。
【0118】
このグラフG4でも、図7や図9に示すグラフと同様に、横軸に格子点のK値が示され、縦軸に対応点のX座標が示されている。
【0119】
この図10に示すグラフG4には、所定のCMY3値を有しK軸方向に並ぶ6個の格子点について、図7や図9にも示した修正前の出力プロファイル252における対応点のX座標(図中の黒色のひし形点)と、図9にも示した修正済みの出力プロファイルにおける対応点のX座標(図中の白色の三角点)とに加えて、対応点の修正に上記の全体的な傾向(非線形性)を反映させなかった場合の対応点のX座標(図中の×点)がプロットされている。
【0120】
この図10から分かるように、局所的な不連続状態となっている対応点(図7、図9、および図10の例では、P1およびP2の2点)に対する修正点は、非線形性が反映される本実施形態の場合には、図9にも示したように実線で結ばれた修正点P1’,P2’となる。一方、非線形性が反映されない場合の修正点は、それらの修正点P1’,P2’よりも、X座標が、「20%」のK値に対応する対応点P3と「80%」のK値に対応する対応点P4とを結ぶ図中の二点鎖線L3−4に近い、2つの修正点P1”,P2”となる。これら2つの修正点P1”,P2”は、非線形性が反映された場合の修正点P1’,P2’よりも、修正前の出力プロファイル252における対応点の元々の非線形な並びに対してX座標が若干遠い。
【0121】
上述したように、本実施形態の色変換定義修正装置400では、入力プロファイル251や出力プロファイル252,262等といった共通色空間に対応している色変換定義については、局所的な修正にその色変換定義における対応点の並びの全体的な傾向(非線形性)が反映されて精密な修正が実行される。一方、デバイスリンクプロファイル250,260については、局所的な修正は、線形な修正となる。このため、修正の精密さという点では、デバイスリンクプロファイル250,260に対する修正は、入力プロファイル251や出力プロファイル252,262に対する修正に比べて若干劣ることとなる。しかし、たとえ、局所的な修正が線形であっても、その修正箇所以外の対応点の並びの全体的な傾向はそのまま維持されるので、色変換定義における全対応点を均して対応点の並びの全体的な傾向を変えてしまう従来の修正方法に比べれば好ましい修正結果が得られる。
【0122】
図11は、RGB色空間とCMYKRG色空間との間の色変換を定義したデバイスリンクプロファイル260に対する修正結果の一例を、格子点のB軸方向の並びに対する対応点のM値で示した図であり、図12は、その修正結果の一例を、格子点のB軸方向の並びに対する対応点のK値で示した図である。尚、これらの図では、格子点のB軸方向の並びが、「0」から「32」までの格子番号で示され、対応点のM値およびK値は「0」から「255」までの数値で示されている。
【0123】
図11のグラフG5では、横軸に、B軸方向に並ぶ格子点の格子番号が示され、縦軸に、対応点のM値が示されており、図12のグラフG6では、横軸に、B軸方向に並ぶ格子点の格子番号が示され、縦軸に、対応点のK値が示されている。
【0124】
図11および図12それぞれに示すグラフG5,G6には、所定のRG2値を有しB軸方向に並ぶ複数の格子点について、修正前のデバイスリンクプロファイル260における対応点のM値およびK値(図中の黒色のひし形点)と、本実施形態の色変換定義修正装置400による修正後のデバイスリンクプロファイルにおける対応点のM値およびK値(図中の白色の三角点)と、対応点の並びの全体的な傾向を変えてしまう従来の修正方法による修正後のデバイスリンクプロファイルにおける対応点のM値およびK値(図中の白色の四角点)とがプロットされている。
【0125】
図11のグラフG5からは、対応点の、M値についての並びが局所的な不連続状態となっている部分A1に対して、色変換定義修正装置400によってその不連続状態が良好に除かれることが分かる。また、図12のグラフG6からは、対応点の、K値についての並びの傾向が大きく非線形となっている部分A2に対して、色変換定義修正装置400による修正ではその傾向が良好に維持されているのに対し、従来の修正方法による修正では、この傾向が損なわれて全体的に対応点の並びの傾向が線形に近づいてしまっていることが分かる。
【0126】
以上、説明したように、本実施形態の色変換定義修正装置400によれば、色変換定義が本来有する非線形性の喪失を抑えた修正を行うことができる。
【0127】
尚、上記では、本発明の色変換定義修正装置の一実施形態として、カラースキャナ10と、2色の特色を用いた印刷を行なう印刷機30とを備えた印刷システム1に対応した入力プルファイル251や出力プロファイル252,262やデバイスリンクプロファイル250,260を修正する色変換定義修正装置400を例示したが、本発明はこれに限るものではない。本発明の色変換定義修正装置は、カラープリントを行うプリンタやカラー画像を表示するカラーモニタ等といった印刷機以外の出力デバイスに対応した出力プロファイルやデバイスリンクプロファイルを修正するものであっても良く、あるいは、被写体を撮影して画像データを得るDSC(デジタルスチルカメラ)等といった入力デバイスに対応した入力プロファイルやデバイスリンクプロファイルを修正するものであっても良い。
【0128】
また、上記では、本発明の色変換定義修正装置の一実施形態として、まず、共通色空間としてXYZ色空間を用い、その後に、XYZ色空間とLab色空間との間の座標換算を行って、最終的に、共通色空間としてLab色空間を用いた入力プロファイル251や出力プロファイル252,262を得る色変換定義修正装置400を例示したが、本発明はこれに限るものではない。本発明の色変換定義修正装置は、共通色空間として始めからLab色空間を用いて出力プロファイルを修正するものであっても良く、あるいは、上記のような座標換算は行わず、共通色空間としてXYZ色空間を用いた出力プロファイルを修正して、そのような出力プロファイルに対応した装置やシステムに引き渡すもの等であっても良い。
【0129】
また、上記では、本発明にいう対応点置換部の一例として、修正対象の色変換定義のうち入力プロファイル251と出力プロファイル252,262についてはそれらのプロファイルが本来有している非線形性を算出する非線形性算出部430と、その算出された非線形性を反映して置換用の新たな対応点を算出する算出部440とを合わせたものを例示したが、本発明はこれに限るものではなく、本発明の対応点置換部は、修正対象の色変換定義について、必ず線形な算出方法で新たな対応点を算出することで修正を行うもの等であっても良い。
【0130】
また、上記では、本発明にいう反復部の一例として、修正中の色変換定義における、任意の格子点に対応する対応点と、その格子点を囲む8個の包囲格子点それぞれに対応する8個の対応点の平均との差の総和が、修正前の差の総和の半値よりも小さくなるまで反復を続けさせる反復部450を例示したが、本発明はこれに限るものではない。本発明の反復部は、例えば、上記の修正中の差の総和が、1回前に算出された差の総和から所定程度以上変化しなくなるまで反復を続けさせるものや、あるいは、反復回数が所定回数に達するまで反復を続けさせるもの等であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の一実施形態が適用される印刷システムの全体構成図である。
【図2】色変換装置、色変換定義作成装置、および色変換定義修正装置の関係を示すブロック図である。
【図3】図1のパーソナルコンピュータ100の外観斜視図である。
【図4】図1のパーソナルコンピュータ100のハードウェア構成図である。
【図5】本発明の色変換定義修正プログラムの一実施形態を示す模式図である。
【図6】図2に1つのブロックで示した、本発明の色変換定義修正装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図7】K軸方向かつX座標についての判定の一例を示す図である。
【図8】出力プロファイル252におけるK軸方向の非線形性の一例を示す図である。
【図9】出力プロファイル252が図7に示す局所的な不連続性を有していた場合、その局所的な不連続性が、修正済みの出力プロファイルにおいて除かれている様子を示す図である。
【図10】対応点の局所的な修正に、修正前の出力プロファイル252における対応点の並びにおける全体的な傾向(非線形性)が反映される様子を示す図である。
【図11】RGB色空間とCMYKRG色空間との間の色変換を定義したデバイスリンクプロファイル260に対する修正結果の一例を、格子点のB軸方向の並びに対する対応点のM値で示した図である。
【図12】RGB色空間とCMYKRG色空間との間の色変換を定義したデバイスリンクプロファイル260に対する修正結果の一例を、格子点のB軸方向の並びに対する対応点のM値で示した図である。
【符号の説明】
【0132】
1 印刷システム
10 カラースキャナ
11 原稿画像
20 フィルムプリンタ
30 印刷機
31 印刷物
32 カラーチャート
40 分光測色計
100 パーソナルコンピュータ
110 本体装置
110a FD装填口
110b CD−ROM装填口
111 CPU
112 主メモリ
113 ハードディスク装置
114 FDドライバ
115 CD−ROMドライバ
116 I/Oインタフェース
120 画像表示装置
120a 表示画面
130 キーボード
140 マウス
150 バス
200 色変換装置
250,260 デバイスリンクプロファイル
251 入力プロファイル
252,262 出力プロファイル
300 色変換定義作成装置
400 色変換定義修正装置
410 定義取得部
420 探索部
430 非線形性算出部
440 算出部
450 反復部
510 FD
520 CD−ROM
600 色変換定義修正プログラム
610 定義取得部
620 探索部
630 非線形性算出部
640 算出部
650 反復部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1色空間と第2色空間との間の色変換を定義した、該第1色空間上で規則的に並んだ複数の格子点と、それら複数の格子点それぞれに前記色変換を介して対応した該第2色空間上の複数の対応点とで構成された色変換定義を構成する複数の対応点のうち、前記格子点の規則的な並びに対する前記対応点の並びが所定の局所的な不連続状態となっている対応点を探索する探索部と、
前記探索部による探索で見つかった対応点に置き換わる新たな対応点を、その見つかった対応点を除く他の対応点と、それら他の対応点が対応する格子点との対応関係に基づいて算出して、その見つかった対応点と置換する対応点置換部とを備えたことを特徴とする色変換定義修正装置。
【請求項2】
色変換定義を構成する複数の格子点の規則的な並びに対する複数の対応点の並びが所定の全体的な連続状態を満たすまで、前記探索部による探索と前記対応点置換部による置換とを反復させる反復部を備えたことを特徴とする請求項1記載の色変換定義修正装置。
【請求項3】
前記対応点置換部が、前記探索部による探索で見つかった対応点に置き換わる新たな対応点を算出するに当たり、格子点の規則的な並びに対する対応点の並び方を記述したラプラス方程式を、その見つかった対応点を除く他の対応点と、それら他の対応点が対応する格子点との対応関係を境界条件として局所的に解くことで算出するものであることを特徴とする請求項1記載の色変換定義修正装置。
【請求項4】
前記対応点置換部が、前記探索部による探索で見つかった対応点に置き換わる新たな対応点を算出するに当たり、格子点の並びに対する対応点の並びの非線形性を反映して算出するものであることを特徴とする請求項1記載の色変換定義修正装置。
【請求項5】
コンピュータに組み込まれ、該コンピュータ上に、
第1色空間と第2色空間との間の色変換を定義した、該第1色空間上で規則的に並んだ複数の格子点と、それら複数の格子点それぞれに前記色変換を介して対応した該第2色空間上の複数の対応点とで構成された色変換定義を構成する複数の対応点のうち、前記格子点の規則的な並びに対する前記対応点の並びが所定の局所的な不連続状態となっている対応点を探索する探索部と、
前記探索部による探索で見つかった対応点に置き換わる新たな対応点を、その見つかった対応点を除く他の対応点と、それら他の対応点が対応する格子点との対応関係に基づいて算出して、その見つかった対応点と置換する対応点置換部とを構築することを特徴とする色変換定義修正プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−11034(P2008−11034A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−177923(P2006−177923)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】