説明

芯鞘型ポリエステル繊維

【課題】 除電性に優れ、かつ深色化可能でブラックフォーマル用途にも好適なポリエステル繊維を提供する。

【解決手段】 芯成分が導電性カーボンブラックを15重量%以上40重量%以下含有する熱可塑性ポリマー、鞘成分が平均一次粒子径が0.02μm以上0.1μm以下のコロイダルシリカを0.4重量%以上5重量%以下、および導電性カーボンブラックを15重量%以上40重量%以下含有する熱可塑性ポリマーを導電性カーボンブラックの含有比率として0.2重量%以上1.0重量%以下含むポリエステルであり、鞘成分比率が繊維横断面における面積比率として70%以上95%以下であり、単糸繊度が4デシテックス以上であることを特徴とする芯鞘型ポリエステル繊維とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除電性に優れ、かつ深色化可能でブラックフォーマル用途にも好適なポリエステル繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりポリエステル繊維は、強度、耐薬品性、耐熱性などに優れるため、衣料用途、産業資材用途などに幅広く使用されてきた。しかし天然繊維に比べ疎水性であることから、低温低湿度下で静電気起因の電撃による着用不快感、あるいはブラックフォーマル用途に用いた場合には大気中の塵や埃を付着し、美観を損ないやすいという問題を惹起するものであった。そこでこれまでにもブラックフォーマル用途においては、黒発色性向上と共に、制電剤付与、天然繊維との複合フィラメント化、あるいは原糸自体の制電性向上などが鋭意検討され種々提案されている。
【0003】
制電性繊維としては、例えば特開昭61−160476号公報に、親水性ポリマーであるポリアルキレングリコールをポリエステルに練り込んだ繊維が提案されており、また特開平4−146268号公報には、非ランダム共重合型ポリオキシエチレン系ポリエーテルを混合した繊維が提案されている。しかしこれらの制電性繊維では、欧州北部などのように特に低湿度の地域では、静電気起因の不快な電撃を防止することが難しく、導電性繊維レベルの高度な除電性能が要求された。
【0004】
導電性繊維としては、導電性粒子、特に導電性カーボンブラックを含有した繊維、繊維表面に金属メッキして導電性を付与せんとしたもの、スチール繊維などが各種提案されている。
【0005】
一方、ブラックフォーマル用途として黒発色性を向上させた繊維としては、例えば繊維表面に特定サイズの微細凹凸を有した繊維が提案されており、コロイダルシリカ等の不活性微粒子を練り込んで製糸した後の任意の工程で繊維表面をアルカリ水溶液等で溶解浸食させた後に染色することにより得られる。
【0006】
また、原着糸と呼ばれる、繊維にカーボンブラックなどの黒色物質を混入した原糸、更には前述の微細凹凸と原着の組み合わせ、即ち芯鞘型複合繊維の芯成分に原着ポリマー、鞘成分にコロイダルシリカ等の不活性微粒子を含むポリマーを配し、製糸した後の任意の工程で繊維表面をアルカリ水溶液等で溶解浸食させた後に染色することで黒発色性を高めた繊維も提案されている(特許文献1)。この繊維は従来ポリエステル繊維を極濃黒色に染色する時の課題、すなわち繊維の中心まで染料が到達せず、いわゆるリング染色と呼ばれる繊維の表面だけ染まり、中心部は染まらずに白色となるため、繊維の内部からの散乱光のため、反射光量が多くなり、黒色の発色性が著しく低くなるという問題を解決せんとするものである。これは通常、黒色などの濃色染料は染料堅牢性から、高分子量(分子量:500〜700モル)の染料を用いるため、繊維内部への浸透、拡散が図れないためである。したがって、鞘成分比率を高くし、芯成分比率を低くすると、本来の目的であるリング染色による黒発色性低下の問題を解決するのが困難であった。
【0007】
またこれらの黒発色繊維は、いずれも必要特性である高度な除電性を満足するものではなかった。
【0008】
これに対し、前述の導電性カーボンブラックと微細凹凸を組み合わせれば、除電性に加え、黒発色性も同時に高めることができると考えられたが、繊維に除電性を付与できるだけの導電性カーボンブラックの添加量とした場合に、紡糸、延伸などの各工程で、糸切れ多発などにより、操業性が悪化するという問題や、アルカリ水溶液等で処理する際の導電性カーボンブラックの溶出により処理機が汚れやすく、また糸物性が低下しやすいという問題を有しており、これまで実現しておらず、また鞘比率を高くし、芯成分を低くする必要があるため、前述特許文献1で解決しようとした課題、すなわちリング染色による黒発色性低下という問題に対する改善効果は低下せざるを得なかった。
【特許文献1】特開2002−138372号公報(第1頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、除電性に優れ、更に深色化可能でブラックフォーマル用途にも好適なポリエステル繊維を目標とするものであり、上記従来技術では実現していない。本発明では芯鞘型複合繊維の、芯成分に導電性カーボンブラックを含有させることによる黒発色と除電性、鞘成分にコロイダルシリカおよび導電性カーボンブラックを含有させ、アルカリ処理時に繊維表面に微細凹凸を発現させることによる黒発色性向上を可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するため次の構成を有する。即ち、芯成分が導電性カーボンブラックを15重量%以上40重量%以下含有する熱可塑性ポリマー、鞘成分が平均一次粒子径が0.02μm以上0.1μm以下のコロイダルシリカを0.4重量%以上5重量%以下、および導電性カーボンブラックを15重量%以上40重量%以下含有する熱可塑性ポリマーを導電性カーボンブラックの含有比率として0.2重量%以上1.0重量%以下含むポリエステルであり、鞘成分比率が繊維横断面における面積比率として70%以上95%以下であり、単糸繊度が4デシテックス以上であることを特徴とする芯鞘型ポリエステル繊維である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、除電性に優れ、かつ深色化可能でブラックフォーマル用途にも好適な芯鞘型ポリエステル繊維を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の芯鞘型ポリエステル繊維は、芯成分に導電性カーボンブラックを含む。

導電性カーボンブラックとは、繊維、樹脂、ゴム等に少量の充填で高い導電性を発現するものを、通常の汎用のカーボンブラックと特別に区別して呼ぶもののことであり、アセチレン法によるアセチレンブラック、ファーネス法によるファーネスブラック、シェル法のガス化炉による特殊カーボンブラックがよく知られている。
【0013】
効果的に導電性を付与するカーボンブラックは次のような特性を備えていることが望ましいといわれている。すなわち、(1)ストラクチャーが高度に発達していること、(2)比表面積が大きいこと、(3)一次粒子径が小さいこと、(4)結晶構造が発達していること、(5)π電子を捕捉する不純物が少ないこと、である。また、導電性カーボンブラックを含有する樹脂を繊維等に賦形する際には、混練等の物理的刺激を極力少なくし、ストラクチャーの破壊を防止する配慮が必要である。
導電性カーボンブラックは、10-3〜102Ω・cmの固有電気抵抗を有するものがよい。カーボンブラックは完全に粒子分散している場合は一般に導電性が不良であり、ストラクチャーと呼ばれる連鎖構造をとると導電性が向上して導電性カーボンブラックと呼ばれるものとなる。従って、導電性カーボンブラックによって、繊維を導電化するに当たっては、繊維内で導電性カーボンブラックの連鎖を長くするために、ストラクチャーを破壊しないことが肝要であると共に、繊維に含有させる導電性カーボンブラックの量も重要である。
【0014】
導電性カーボンブラックの含有量は、15重量%以上40重量%以下、好ましくは20重量%以上35重量%以下である。導電性カーボンブラックの含有量が15重量%未満では、十分な除電性は発揮されず、40重量%を超えると、ポリマーの流動性が低下して製糸性が悪くなりやすいので好ましくない。
【0015】
芯成分において、導電性カーボンブラックを含有させるために用いる熱可塑性ポリマーとしては、導電性カーボンブラックおよび鞘成分ポリマーとの相溶性等を考慮し、適宜選択することができるが、ポリエステル系熱可塑性ポリマー、ポリアミド系熱可塑性ポリマーを用いるのが、複合安定性および製糸安定性の点で好ましい。
【0016】
鞘成分は平均一次粒子径が0.02μm以上0.1μm以下のコロイダルシリカを0.4重量%以上5重量%以下、および導電性カーボンブラックを15重量%以上40重量%以下含有する熱可塑性ポリマーを導電性カーボンブラックの含有比率として0.2重量%以上1.0重量%以下含むポリエステルである。
【0017】
本発明におけるコロイダルシリカとは、ケイ素酸化物を主成分とし、単粒子状で存在する微粒子が水または単価のアルコール類またはジオール類またはこれらの混合物を分散媒としてコロイドとして存在するもののことを言う。
【0018】
コロイダルシリカの平均一次粒子径は0.02μm以上0.10μm以下、好ましくは0.04μm以上0.08μm以下である。コロイダルシリカの平均一次粒子径0.02μm未満では、コロイダルシリカ粒子が凝集しやすく、安定した製糸を行うのに支障を来しやすいので好ましくない。平均一次粒子径が0.10μmを越えると、アルカリ処理後に形成される繊維表面のボイドサイズが大きくなり、繊維表面反射光を十分に抑制できず、十分な深色化効果が得られないばかりか、繊維強度も著しく低下しやすいので好ましくない。更にコロイダルシリカ微粒子が大きすぎると、ガイド類の摩耗が起こりやすく、糸質の安定性が損なわれたり、工業生産上の問題も発生しやすい。
【0019】
コロイダルシリカの含有量は0.4重量%以上5重量%以下、好ましくは0.5重量%以上3重量%以下である。含有量0.4重量%未満では繊維表面の微細凹凸の数が少なくなり黒発色性を向上できず、含有量5重量%を超えると安定した製糸を行うのに支障を来しやすいので好ましくない。
【0020】
鞘成分の導電性カーボンブラックを15重量%以上40重量%以下含有する熱可塑性ポリマーを導電性カーボンブラックの含有比率として0.2重量%以上1.0重量%以下である。
【0021】
本発明では導電性カーボンブラックを鞘成分に特定量含有させることにより、リング染色による黒発色性低下を緩和できるだけでなく、導電性カーボンブラックが制電助剤として効果的に働き、導電性を向上させることができることを見出した。
【0022】
導電性カーボンブラックの含有量は、15重量%以上40重量%以下、好ましくは20重量%以上35重量%以下である。導電性カーボンブラックの含有量が15重量%未満では、十分な除電性は発揮されず、40重量%を超えると、ポリマーの流動性が低下して製糸性が悪くなりやすいので好ましくない。
【0023】
導電性カーボンブラックを含有する熱可塑性ポリマーの鞘成分での含有比率は、導電性カーボンブラックの含有比率として、0.2重量%以上1.0重量%以下、好ましくは0.4重量%以上0.8重量%以下である。導電性カーボンブラックの含有比率が0.2重量%未満だと、導電性向上効果が得られにくく、1.0重量%を越えると、製糸性が極端に悪化しやすいので好ましくない。
【0024】
導電性カーボンブラックを含有する熱可塑性ポリマーを鞘成分に含有させる方法としては、鞘成分のベースポリマーであるコロイダルシリカ含有ポリエステルのチップと導電性カーボンブラックを含有する熱可塑性ポリマーのチップを溶融前あるいは溶融後に混合する方法などを適宜採用することができる。
【0025】
導電性カーボンブラックを芯成分に多量に含有させることに加え、鞘成分に少量含有させることにより、鞘成分の導電性カーボンブラックが制電助剤として効果的に働き、導電性を向上させることができる。更に鞘成分に少量含有させた導電性カーボンブラックによりリング染色による黒発色性低下を低減させる効果も発現する。
【0026】
コロイダルシリカを含有するポリエステルの主成分であるポリエステルは、特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート・テレフタレート等を適宜使用することができる。なかでも機械的性質、成形性等のバランスを考慮すれば、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0027】
コロイダルシリカをポリマー中に添加する方法としては、コロイダルシリカをエチレングリコールによく分散させたスラリーで添加する方法が好ましい。スラリーの添加時期はポリエステルのエステル化あるいはエステル交換反応、重縮合反応のいずれの時期でも良く適宜選択可能である。
【0028】
また鞘成分のポリエステルにポリアルキレングリコールを適量共重合させることも可能である。共重合比率は1.0重量%以上4重量%以下であることが深色性を向上できる点、および耐光性、耐熱性低下を抑制できる点で好ましい。ポリアルキレングリコールの数平均分子量は400以上5000以下であることが、発色性、耐光性の点で好ましい。
【0029】
鞘成分比率は繊維横断面の面積比率として70%以上95%以下、好ましくは60%以上95%以下である。鞘成分比率は糸断面の拡大観察し面積を測定することにより求めることができる。芯鞘の界面が不明瞭な場合には、芯成分と鞘成分の染着性の違いを利用し、染色後の糸断面を拡大観察するなどの方法を適宜行う。鞘成分比率が70%以上とすることにより、アルカリ処理時に鞘割れにより芯成分の溶出を抑制することができる。鞘成分比率が95重量%以下にすることにより、除電性低下を抑制することができる。
【0030】
単糸繊度は4デシテックス以上、好ましくは5デシテックス以上である。単糸繊度4デシテックス未満では製糸安定性を満足することが難しい上、除電性が低下しやすく、またアルカリ処理時に芯成分が溶出しやすい。
【0031】
芯鞘型複合ポリエステル繊維の製造方法としては、公知の方法を適用することができ、芯成分、鞘成分それぞれ別々に溶融したものを芯鞘型複合繊維用口金パックに導入し、吐出、繊維化すれば良い。
【0032】
本発明の芯鞘型ポリエステル複合繊維は、繊維表面の侵食処理により、表面に幅が0.05μm以上1.0μm以下、好ましくは0.1μm以上0.8μm以下の微細凹凸を発現させることができる。微細凹凸の幅は、電子顕微鏡を用いて撮影した繊維側面の拡大写真から凹部の寸法を測定し、繊維軸と直角方向の長さを代表値として表す。微細凹凸の幅が0.05μm以上であれば、染色した際の深色性と鮮明性を向上させることができる。微細凹凸の幅が1.0μm以下であれば、可視光線の表面反射を抑え、深色化効果を向上させることができる。
【0033】
繊維表面に微細凹凸を発現させる方法としては、アルカリ減量処理を採用することができ、減量率は微細凹凸のサイズや繊維強度、布帛の風合いのバランスを鑑み、適宜調整することができるが、減量率は好ましくは5重量%以上25重量%以下、更に好ましくは10重量%以上20重量%以下である。減量率を5重量%以上25%以下にすることにより、では、深色化効果を付与するのに適切なサイズの微細凹凸を繊維表面に発現させることができる。
【0034】
微細凹凸の発現した繊維からなる布帛は、次いで染色加工を行うことにより、良好な深色性を発現し、特に黒色に染色した場合に、芯成分による黒色化および除電性向上も加えて、更に鞘成分に少量添加した導電性カーボンブラックの制電助剤効果およびリング染色抑制効果を加え、ブラックフォーマルに好適な素材となる。
【実施例】
【0035】
以下本発明を実施例により、更に詳細に説明する。なお実施例中の各特性値は次の方法によって求めた。
[測定方法]
(1)除電性(繊維断面比抵抗値(Ω・cm))
フィラメント糸を束ねて約2000デニールとし、弱アニオン系洗剤を用い、十分に精錬して油剤などを除いた後、20℃、43%RHの状態で24時間放置後、その両端の抵抗を測定することによって比抵抗(Ω・cm)を求めた。本測定方法において比抵抗が500×10(Ω・cm)以下を合格レベルと判断した。
(2)黒発色性
実施例および比較例に記載の筒編み、アルカリ減量および染色した布帛に対し、測色計(ミノルタ社製CM−3700D)によりL値を3回測定し、平均値を求めた。本測定方法においてL値が12以下であれば良好な黒発色性を有すると言える。
(3)紡糸操業性
紡糸中の糸切れ回数から判断し、特優:○○、優:○、良:△、不良:×、の4段階評価した。
(4)微細凹凸の幅の測定方法
実施例および比較例に記載の筒編み、アルカリ減量および染色した布帛から、走査型電子顕微鏡により繊維側面の拡大写真を撮影し、繊維軸と直角方向の凹部の寸法について、凹部10個をランダムに選択して測定し、その平均を微細凹凸の幅とした。
【0036】

実施例1
A.コロイダルシリカ含有ポリエステルの製造
ジメチルテレフタル酸100重量部と、平均一次粒子径0.04μmのコロイダルシリカを濃度で10重量%含有し十分に撹拌したエチレングリコールスラリー75重量部、反応触媒として酢酸マグネシウム0.05重量部および酸化アンチモン0.04部をエステル交換缶に仕込み、窒素雰囲気下で150℃から250℃に徐々に加熱し、生成するメタノールを抽出しつつエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチルを0.05重量部添加し、次いで徐々に減圧しつつ280℃まで昇温して2時間重合し、コロイダルシリカ含有ポリエステルを得た。シリカ含有量は生成ポリエステルに対して1.0重量%であった。
B.芯鞘複合糸の製造
導電性カーボンブラックを15重量%含有したナイロン6を芯成分とし、コロイダルシリカ1.0重量%含有ポリエステルと導電性カーボンブラックを15重量%含有したナイロン6を96.7:3.3の重量比率(導電性カーボンブラック含有比率0.5重量%)でチップ混合したものを鞘成分とし、鞘成分比率が繊維横断面の面積比率にして70%となるように溶融紡糸し、更に3.0倍に延伸熱処理し、25デシテックス/5フィラメント(単糸繊度5デシテックス)の芯鞘複合糸を得た。
C.特性評価
得られた芯鞘複合糸をFAX編機にて筒編みにし、3%水酸化ナトリウム水溶液で60分間処理して減量率20%の編物とした。次いで同編物をDiaix Black BG-FS(三菱化成社製、分散染料)15%owf水分散液により、浴比1:30、130℃で60分間染色した。
【0037】
得られた製品の性能(繊維断面比抵抗値、微細凹凸の幅、L値および製糸安定性)を表1に示した。
【0038】

実施例2
芯成分に導電性カーボンブラックを20重量%含有したナイロン6を使用する以外は実施例1と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
【0039】
実施例3
芯成分に導電性カーボンブラックを40重量%含有したナイロン6を使用する以外は実施例1と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
【0040】
比較例1
芯成分に導電性カーボンブラックを10重量%含有したナイロン6を使用する以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
【0041】
比較例2
芯成分に導電性カーボンブラックを50重量%含有したナイロン6を使用する以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
【0042】
実施例4
鞘成分の導電性カーボンブラック含有量を0.2重量%とする以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
【0043】
実施例5
鞘成分の導電性カーボンブラック含有量を1.0重量%とする以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
【0044】
比較例3
鞘成分の導電性カーボンブラック含有量を0.1重量%とする以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
【0045】
比較例4
鞘成分の導電性カーボンブラック含有量を1.3重量%とする以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
【0046】
実施例6
コロイダルシリカの平均一次粒子径を0.02μmとする以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
【0047】
実施例7
コロイダルシリカの平均一次粒子径を0.1μmとする以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
【0048】
比較例5
コロイダルシリカの平均一次粒子径を0.01μmとする以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
【0049】
比較例6
コロイダルシリカの平均一次粒子径を0.2μmとする以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
【0050】
実施例8
コロイダルシリカの含有率を0.4重量%にした以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
【0051】
実施例9
コロイダルシリカの含有率を5重量%にした以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
【0052】
比較例7
コロイダルシリカの含有率を0.2重量%にした以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
【0053】
比較例8
コロイダルシリカの含有率を6重量%にした以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
【0054】
実施例10
鞘成分比率が繊維横断面における面積比率として95%となるように紡糸する以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
【0055】
比較例9
鞘成分比率が繊維横断面における面積比率として60%となるように紡糸する以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
【0056】
比較例10
鞘成分比率が繊維横断面における面積比率として98%となるように紡糸する以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
【0057】
実施例11
単糸繊度が4デシテックスとなるように20デシテックス/5フィラメントの糸を紡糸する以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
【0058】
比較例11
単糸繊度が3デシテックスとなるように15デシテックス/5フィラメントの糸を紡糸する以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
比較例12
導電性カーボンブラックのかわりに汎用のカーボンブラックを用いる以外は実施例1と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
【0059】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯成分が導電性カーボンブラックを15重量%以上40重量%以下含有する熱可塑性ポリマー、鞘成分が平均一次粒子径が0.02μm以上0.1μm以下のコロイダルシリカを0.4重量%以上5重量%以下、および導電性カーボンブラックを15重量%以上40重量%以下含有する熱可塑性ポリマーを導電性カーボンブラックの含有比率として0.2重量%以上1.0重量%以下含むポリエステルであり、鞘成分比率が繊維横断面における面積比率として70%以上95%以下であり、単糸繊度が4デシテックス以上であることを特徴とする芯鞘型ポリエステル繊維。
【請求項2】
繊維表面に幅が0.05μm以上1.0μm以下の微細凹凸を有することを特徴とする請求項1に記載の芯鞘型ポリエステル繊維。

【公開番号】特開2006−249625(P2006−249625A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70520(P2005−70520)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】