説明

芳香族アミン系の多孔質材料の改善品

本発明は、
(a1)少なくとも一種の多官能性イソシアネートと、
(a2)少なくとも一種の、一般式Iの多官能性置換芳香族アミン(a2−s):
【化1】


とを含む多孔質材料であって、R1とR2は、同一であっても異なっていてもよく、水素と直鎖又は分岐鎖の1〜6個の炭素原子をもつアルキル基から独立して選ばれ、置換基Q1〜Q5とQ1’〜Q5’のすべては、同一であっても異なっていてもよく、水素と第1級アミノ基、直鎖又は分岐鎖の1〜12個の炭素原子をもつアルキル基から独立して選ばれ、Q1とQ3とQ5の少なくとも一つと、Q1’とQ3’とQ5’の少なくとも一つが第1級アミノ基であり、該化合物が、該芳香族環に結合している少なくとも一個の第1級アミノ基に対してα位に少なくとも一個の直鎖又は分岐鎖の1〜12個の炭素原子をもつアルキル基をもっているものに関する。
本発明はまた、多孔質材料の製造方法、このようにして得られる多孔質材料、および該多孔質材料の絶縁材料としての利用、また真空絶縁パネル中での利用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
(a1)少なくとも一種の多官能性イソシアネートと、
(a2)少なくとも一種の、一般式Iの多官能性置換芳香族アミン(a2−s)と、
【0002】
【化1】

【0003】
必要なら、少なくとも一種の、一般式Iのアミン(a2−s)とは異なる他の多官能性アミンで、多官能性脂肪族アミン(a2−a)と多官能性芳香族アミン(a2−u)とからなる群から選ばれるものとを反応した形で含む多孔質材料に関する。
【0004】
なお式中、R1とR2は、同一であっても異なっていてもよく、水素と直鎖又は分岐鎖の1〜6個の炭素原子をもつアルキル基から独立して選ばれ、置換基Q1〜Q5とQ1’〜Q5’のすべては、同一であっても異なっていてもよく、水素と第1級アミノ基、直鎖又は分岐鎖の1〜12個の炭素原子をもつアルキル基(アルキル基は他の官能基を持っていてもよい)から独立して選ばれる。
【0005】
ただし、
−一般式Iの化合物が、少なくとも2個の第一級アミノ基をもち、Q1とQ3とQ5のうち少なくとも一つが第1級アミノ基であり、Q1’とQ3’とQ5’のうち少なくとも一つが第1級アミノ基であり、
−Q2とQ4、Q2’、Q4’は、一般式Iの化合物が、必要なら他の官能基を持っていてもよい少なくとも一種の直鎖又は分岐鎖の1〜12個の炭素原子をもつアルキル基を、芳香族環に結合している少なくとも一つの第1級アミノ基のα位置に持つように選択される。
【0006】
本発明はまた、多孔質材料の製造方法、このようにして得られる多孔質材料、この多孔質材料の絶縁材料としての、また真空絶縁パネル中での利用に関する。
【背景技術】
【0007】
理論的に考えて、孔径の範囲が数ミクロン以下であり気孔率が少なくとも70%と高い多孔質材料、例えばポリマー発泡体は、特に優れた断熱材である。
【0008】
このような小さな平均孔径をもつ多孔質材料は、例えば有機キセロゲルとして存在できる。「キセロゲル」は、文献中でまったく同じように使われていない。一般に、キセロゲルは、ゾルゲル法で生産された多孔質材料であって、その中の液相が、ゲルから液相の臨界温度未満で臨界圧力未満(「亜臨界条件」)で乾燥により除かれたものをさすと理解されている。これ対して、ゲルからの液相の除去が超臨界条件下で行われる場合、そのゲルは、通常エアロゲルと呼ばれる。
【0009】
ゾルゲル法では、反応性の有機ゲル前駆体からまずゾルが形成され、次いでこのゾルを架橋反応によりゲル化してゲルを形成する。このゲルから多孔質材料を得る、例えばキセロゲルを得るためには、その液体を除く必要がある。この工程を、以下単純のために乾燥と呼ぶ。
【0010】
WO95/02009には、真空絶縁の分野での利用が特に好ましいイソシアネート系キセロゲルが開示されている。この文献には、さらにゾルゲル法によるキセロゲルの製造方法であって、特に既知の芳香族ポリイソシアネートと非反応性溶媒とが使用されている方法が開示されている。脂肪族または芳香族のポリアミンまたはポリオールが、他の活性水素原子を持つ化合物として用いられている。この文献に開示されている実施例には、ポリイソシアネートがジアミノジエチルトルエンと反応させられる例が含まれる。開示されているキセロゲルの平均孔径は、一般に50μmの領域である。ある実施例では、10μmの平均孔径が報告されている。
【0011】
WO2008/138978には、30〜90重量%の少なくとも一種の多官能性イソシアネートと10〜70重量%の少なくとも一種の多官能性の芳香族アミンとを含み、その体積加重平均孔径が5ミクロン以下であるキセロゲルが開示されている。
【0012】
しかし、既知のポリウレア系多孔質材料の材料性能、特に機械的安定性は、すべての用途で満足できるものではない。また、これらの元となる製剤は乾燥により収縮し、気孔率が減少して密度が上昇する。
【0013】
イソシアネートとアミン系製剤の以前から知られている問題は、混合不良である。混合不良は、イソシアネートとアミン基の間の反応が高速であるために起こり、完全混合のずっと前にゲル化反応が進行する。混合不良の結果、不均一で不満足な材料性能をもつ多孔質材料が得られる。したがって、混合不良の減少を抑えるための概念が一般に必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】WO95/02009
【特許文献2】WO2008/138978
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は上記の欠点を避けることである。特に、上記の欠点がない、あるいは上記の欠点が少ない多孔質材料を提供する必要がある。従来の技術と比較すると、この多孔質材料は同等な気孔率で小さな密度を持つ必要がある。この多孔質材料はまた、真空範囲を超える圧力でも、特に約1mbar〜約100mbarの範囲の圧力でも低い熱電導度をもっている必要がある。これは真空パネル中で経時的に圧力が上昇するためである。この多孔質材料は、同時に、高い気孔率と低い密度を持ち、また十分に高い機械的安定性を持つ必要がある。
【0016】
最後に、混合不良と、このために引き起こされるイソシアネートとアミンの反応でできる多孔質材料中の材料構造と材料性能における不均一を避ける必要がある
【課題を解決するための手段】
【0017】
このため、本発明者らは、本発明の多孔質材料と本発明の多孔質材料の製造方法を見出した。
【0018】
好ましい実施様態を、以下の請求項と明細書で説明する。好ましい実施様態の組合せも本発明の範囲に含まれる。
【0019】
好ましい本発明の多孔質材料の構成成分を以下詳細に説明する。
【0020】
多官能性イソシアネート(a1)を、以下では成分(a1)と総称する。また、多官能性アミン(a2)を、以下では成分(a2)と総称する。上記のモノマー成分が、多孔質材料中で反応した形で存在していることは、当分野の熟練者に自明であろう。
【0021】
本発明の目的において、化合物の官能価は1分子当りの反応性基の数をいう。モノマー状の構成単位(a1)の場合、官能価は1分子当りのイソシアネート基の数である。モノマー状の構成単位(a2)の場合、官能価は1分子当りの反応性アミノ基の数である。多官能性化合物の官能価は少なくとも2である。
【0022】
成分(a1)または(a2)として異なる官能価をもつ化合物の混合物を使用する場合、これらの成分の官能価は、いずれの場合も、個々の化合物の官能価の数加重平均である。多官能性の化合物は1分子あたり少なくとも2種の上記の官能基をもつ。
【0023】
本発明の多孔質材料は、好ましくは、20〜80重量%の成分(a1)と20〜80重量%の成分(a2)を含む。なお、成分(a1)と(a2)の重量%の合計が100重量%である。本発明の多孔質材料は、特に好ましくは、25〜75重量%の成分(a1)と25〜75重量%の成分(a2)を含み、特に35〜65重量%の成分(a1)と35〜65重量%の成分(a2)を含む。
【0024】
成分(a1)
本発明によれば、この多孔質材料が、成分(a1)として少なくとも一種の多官能性イソシアネートを反応した形で含む。
【0025】
可能な多官能性イソシアネートは、芳香族、脂肪族、脂環式及び/又は芳香脂肪族イソシアネートである。このような多官能性イソシアネートは公知であるか、公知の方法で製造可能である。これらの多官能性イソシアネートは、特に混合物としても使用可能であり、この場合には、成分(a1)がいろいろな多官能性イソシアネートを含むこととなる。モノマー構成単位(a1)として使用可能な多官能性イソシアネートは、モノマー成分の分子あたり二個のイソシアネート基を持つ(以下、ジイソシアネートとよぶ)か、二個を越えるイソシアネート基をもつ。
【0026】
特に有用なイソシアネートは、ジフェニルメタン2,2’−、2,4’−及び/又は4,4’−ジイソシアネート(MDI)や、ナフチレン1,5−ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネート(TDI)、3,3−ジメチルビフェニルジイソシアネート、1,2−ジフェニルエタンジイソシアネート及び/又はp−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ペプタメチレン及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、2−エチルブチレン1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、ブチレン1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−3,3、5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4−及び/又は1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1.4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキサン2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’−、2,4’−及び/又は2,2’−ジイソシアネートである。
【0027】
多官能性イソシアネート(a1)としては、芳香族イソシアネートが好ましい。成分(a1)の多官能性イソシアネートとして特に好ましいのは、以下の実施様態である。
【0028】
i)トリレンジイソシアネート(TDI)系の多官能性イソシアネート、特に2,4−TDIまたは2,6−TDI、または2,4−TDIと2,6−TDIの混合物;
ii)ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)系の多官能性イソシアネート、特に2,2’−MDlまたは2,4’−MDIまたは4,4’−MDIまたはオリゴマー状MDI(ポリフェニルポリメチレンイソシアネートとも呼ぶ)、または上記のジフェニルメタンジイソシアネートの二つまたは三つの混合物、またはMDIの製造の際に得られる粗製MDI、または少なくとも一種のオリゴマー状MDIと少なくとも一種の上記低分子量MDI誘導体の混合物;
iii)実施様態i)の少なくとも一種の芳香族イソシアネートと実施様態ii)の少なくとも一種の芳香族イソシアネートの混合物。
【0029】
多官能性イソシアネートとして特に好ましいのは、オリゴマー状ジフェニルメタンジイソシアネートである。オリゴマー状ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、オリゴマー状MDIと称す)は、単独のオリゴマー状縮合生成物または複数のオリゴマー状縮合生成物の混合物であり、したがってジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の誘導体である。これらの多官能性イソシアネートは、好ましくはモノマー状の芳香族ジイソシアネートとオリゴマー状MDIの混合物からなっていてもよい。
【0030】
オリゴマー状MDIは、一個以上のMDIの多環状縮合生成物であって、官能価が2より大きなもの、特に3または4または5であるものを含む。オリゴマー状MDIは公知であり、しばしばポリフェニルポリメチレンイソシアネートまたはポリマー状MDIとよばれる。オリゴマー状MDIは、通常異なる官能価をもつMDI系イソシアネートの混合物からなる。オリゴマー状MDIは、通常モノマー状MDIと混合して用いられる。
【0031】
オリゴマー状MDIを含むイソシアネートの(平均)官能価は、約2.2〜約5の範囲で変動し、特に2.4〜3.5、特に2.5〜3の範囲で変動する。このような異なる官能価をもつMDI系多官能性イソシアネートの混合物の一つが、特に、MDIの製造の際に得られる粗製MDIである。
【0032】
MDI系の多官能性イソシアネートや、複数の多官能性イソシアネートの混合物は公知であり、例えば、エラストグラン社からルプラナート(R)という商品名で販売されている。
【0033】
成分(a1)の官能価は、好ましくは少なくとも2であり、特に少なくとも2.2、特に好ましくは少なくとも2.5である。成分(a1)の官能価は、好ましくは2.2〜4であり、特に好ましくは2.5〜3である。
【0034】
成分(a1)のイソシアネート基含量は、好ましくは5〜10mmol/gであり、特に6〜9mmol/g、特に好ましくは7〜8.5mmol/gである。mmol/gでのイソシアネート基含量とg/equivalentでの当量とが逆比例することは、当分野の熟練者に自明であろう。mmol/gでのイソシアネート基含量は、ASTMD−5155−96Aに従って重量%での含量から求められる。
【0035】
ある好ましい実施様態においては、モノマー成分(a1)が、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネートとジフェニルメタン2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,2’−ジイソシアネート、オリゴマー状ジフェニルメタンジイソシアネートから選ばれる少なくとも一種の多官能性イソシアネートを含んでいる。この好ましい実施様態においては、成分(a1)が、オリゴマー状ジフェニルメタンジイソシアネートを含み、官能価が少なくとも2.5であることが特に好ましい。
【0036】
成分(a2)
本発明によれば、本多孔質材料は、成分(a2)として、一般式Iの少なくとも一種の多官能性の置換芳香族アミン(a2)を含み、
【0037】
【化2】

【0038】
さらに必要なら、少なくとも一種の、一般式Iのアミン類(a2−s)とは異なり、多官能性脂肪族アミン(a2−a)と多官能性芳香族アミン(a2−u)からなる群から選ばれる他の多官能性アミンを含んでいる。
【0039】
なお式中、R1とR2は、同一であっても異なっていてもよく、水素と直鎖又は分岐鎖の1〜6個の炭素原子をもつアルキル基から独立して選ばれ、すべての置換基Q1〜Q5とQ1’〜Q5’は同一であっても異なっていてもよく、水素と第1級アミノ基、直鎖又は分岐鎖の1〜12個の炭素原子をもつアルキル基から独立して選ばれる。なおこのアルキル基は他の官能基をもっていてもよい。ただし、
−一般式Iの化合物が少なくとも2種の第1級アミノ基を含み、Q1とQ3とQ5の少なくとも一つが第1級アミノ基であり、Q1’とQ3’とQ5’の少なくとも一つが第1級アミノ基であり、
−Q2とQ4、Q2’、Q4’は、一般式Iの化合物が、芳香族環に結合している少なくとも一種の第1級アミノ基のα位に、必要なら他の官能基もつ、少なくとも一種の直鎖又は分岐鎖の1〜12個の炭素原子をもつアルキル基をもつように選択されている。
【0040】
したがって、成分(a2)は、一般式Iの多官能性芳香族アミン(a2−s)が一つの構成成分となっている多官能性アミンを含む。多官能性アミンは、分子当り少なくとも2個のイソシアネートに反応性のアミノ基をもつものである。イソシアネートに反応性のアミノ基は、第一級アミノ基と第二級アミノ基であり、一般に、第1級アミノ基の反応性が第二級アミノ基よりかなり大きい。
【0041】
本発明によれば、一般式IのR1とR2は、同一であっても異なっていても良く、水素と第1級アミノ基と直鎖及び分岐の1〜6個の炭素原子をもつアルキル基から独立して選ばれる。R1とR2は、好ましくは水素とメチルから選ばれる。特に好ましくは、R1=R2=Hである。
【0042】
2とQ4、Q2’、Q4’は、好ましくは、置換芳香族アミン(a2−s)が、少なくとも2個の第1級アミノ基をもち、それぞれが一個または二個の直鎖又は分岐鎖の1〜12個の炭素原子をもつアルキル基(このアルキル基は他の官能基をもっていてもよい)をα位置にもつように選択される。Q2とQ4、Q2’、Q4’の一つ以上が、直鎖又は分岐鎖の1〜12個の炭素原子をもつアルキル基に相当し、他の官能基をもつ場合、このような官能基としてはアミノ基及び/又はヒドロキシ基及び/又はハロゲン原子が好ましい。
【0043】
一般式I中の置換基Qとしてのアルキル基は、好ましくは、メチルとエチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルから選ばれる。
【0044】
これらのアミン(a2−s)は、好ましくは3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンと3,3’,5,5’−テトラアルキル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラアルキル−2,4’−ジアミノジフェニルメタンからなる群から選ばれる。なお、3、3’、5、5’位置のアルキル基は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖又は分岐鎖の1〜12個の炭素原子をもつアルキル基から独立して選ばれ、他の官能基をもっていてもよい。上記のアルキル基としては、メチルやエチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル(いずれの場合も無置換の)が好ましい。
【0045】
ある実施様態においては、置換基Qの一つ以上のアルキル基の水素原子の一つ、一つ以上、あるいはすべてがハロゲン原子で、特に塩素で置換されていてもよい。あるいは、置換基Qの一つ以上のアルキル基の水素原子の一つ、一つ以上、あるいはすべてが、NH2またはOHで置換されていてもよい。しかしながら、一般式(I)中のアルキル基が炭素と水素とからなることが好ましい。
【0046】
特に好ましい実施様態においては、成分(a2)が、3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを含む。なお、これらのアルキル基は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖又は分岐鎖の1〜12個の炭素原子をもつアルキル基から独立して選ばれ、必要なら官能基をもっていてもよい。上述のアルキル基は、好ましくは無置換アルキル基から選ばれ、特にメチルとエチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルから、特に好ましくはメチルとエチルから選ばれる。テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンが極めて好ましい。
【0047】
上述の(a2−s)型の多官能性アミンは、当業界の熟練者には公知であるか、公知の方法で製造可能である。公知の方法の一つが、酸触媒存在下でのホルムアルデヒドとのアニリンまたはアニリン誘導体混合物との反応、特に2,4−または2,6−ジアルキルアニリンとの反応である。
【0048】
成分(a2)は、必要なら他の多官能性アミンを含むことができる。可能な他の多官能性アミンは、特に、構造(a2−s)のアミンとは異なる多官能性芳香族アミン(a2−u)や多官能性脂肪族アミン(a2−a)である。もちろん、必要なら、脂肪族基と結合している反応性アミノ基と芳香族基に結合している反応性アミノ基の両方を持つアミンもまた可能である。
【0049】
好適な多官能性芳香族アミン(a2−u)は、特にジアミノジフェニルメタンの異性体や誘導体である。成分(a2)として好ましいジアミノジフェニルメタンの異性体や誘導体は、特に4,4’−ジアミノジフェニルメタンや、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノジフェニルメタン、オリゴマー状ジアミノジフェニルメタンである。
【0050】
好適な多官能性芳香族アミン(a2−u)はまた、特にトルエンジアミンの異性体や誘導体である。成分(a2)として好ましいトルエンジアミンの異性体や誘導体は、特にトルエン−2,4−ジアミン及び/又はトルエン−2,6−ジアミン、ジエチルトルエンジアミンであり、特に3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン及び/又は3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミンである。
【0051】
第一の好ましい実施様態においては、成分(a2)が、(a2−s)型の多官能性芳香族アミンのみを含む。第二の実施形態においては、成分(a2)が、(a2−s)型と(a2−u)型の多官能性芳香族アミンを含む。後者の第二の好ましい実施様態においては、成分(a2)が、好ましくは少なくとも一種の多官能性芳香族アミン(a2−u)を含み、そのうち少なくとも一つがジアミノジフェニルメタン(MDA)の異性体や誘導体から選ばれる。
【0052】
第二の好ましい実施様態においては、成分(a2)は、特に好ましくは、4,4’−ジアミノジフェニルメタンと、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノジフェニルメタン、オリゴマー状ジアミノジフェニルメタンから選ばれる少なくとも一種の多官能性の芳香族アミン(a2−u)を含む。
【0053】
オリゴマー状のジアミノジフェニルメタンは、一種以上のアニリンとホルムアルデヒドからなる多環式メチレン架橋縮合生成物を含む。オリゴマー状MDAは、少なくとも一種の官能価が2より大きなMDAを、特に官能基が3または4または5であるMDAオリゴマーを含み、通常このようなオリゴマーを複数含んでいる。オリゴマー状MDAは公知であるか、公知の方法で製造可能である。オリゴマー状MDAは、通常モノマー状MDAの混合物の形で使用される。
【0054】
オリゴマー状MDAを含む多官能性アミン(a2−u)の(平均)官能性は、約2.3〜約5の範囲で変動し、特に2.3〜3.5、特に2.3〜3の範囲で変動する。このような異なる官能価をもつMDA系多官能性アミンの混合物の一つは、特に、通常塩酸触媒でのアニリンとホルムアルデヒドの縮合で粗製MDIを製造する際に中間体として形成される粗製MDAである。
【0055】
第二の実施形態においては、化合物(a2−u)としてオリゴマー状ジアミノジフェニルメタンを含み全体としての官能価が少なくとも2.1である成分(a2)が特に好ましい。
【0056】
第一または第二の実施形態の変形例である第三の好ましい実施様態においては、成分(a2)の他の構成成分として、即ち第1または第二の好ましい実施様態のアミンに加えて、多官能性芳香族アミン(a2−a)を使用することもできる。
【0057】
第三の好ましい実施様態においては、これらの多官能性脂肪族アミン(a2−a)が、少なくとも一個の第1級アミノ基を含むことが好ましく、特に少なくとも二個の第1級アミノ基を含むことが好ましい。
【0058】
これらの好適な多官能性脂肪族アミンは、個別に用いても混合物として用いてもよい。好適な多官能性脂肪族アミンは公知であり、国際公開特許WO2009/027310の7頁28行〜11頁32行に記載されている。なお、この文献を引用として明確に本明細書に組み込む。
【0059】
特に好ましいアミン(a2−a)は、ポリアルキレンポリアミンである。本発明の目的において、ポリアルキレンポリアミンは、少なくとも3個のアミノ基(第一級、第二級のまたは第三級)をもち、重量平均分子量(Mw)が少なくとも500g/molである脂肪族アミンである。好適なポリアルキレンポリアミンが、WO2009/027310の87頁23行3〜11頁23行に記載されている。
【0060】
ポリアルキレンポリアミンとして、特にポリエチレンイミンが極めて好ましい。本発明の目的においては、ポリエチレンイミンは、基−CH2−CH2−NH−を含み、少なくとも3個のアミノ基をもち、重量平均分子量(Mw)が少なくとも500g/molであるオリゴマーとホモポリマーとコポリマーを含む。しかしながら、好ましいポリエチレンイミンは、実質的にエチレンイミンからなるものであり、特にエチレンイミンのホモポリマーである。
【0061】
(a2−a)型のアミンとして特に好ましいポリエチレンイミンは、構造−(Ch2−CH2−NH2)の末端エチレンイミン単位と構造−(CH2−CH2−NH)−の線状エチレンイミン単位と構造N−(CH2−CH2−)3の分岐状エチレンイミン単位とから選ばれる単位からなるものであることが好ましい。
【0062】
これらのポリエチレンイミンは、無水状態で使用することが好ましい。なお、無水状態とは、DIN53715によりカールフィッシャー法で求めた含水率が0〜1.5重量%であり、好ましくは0〜1重量%、特に好ましくは0〜0.5重量%であることを意味する。
【0063】
これらのポリエチレンイミンは、高度に分岐していることが好ましい。本発明の目的において、高度に分岐したポリエチレンイミンは、複数の−NH基をもち、それらの構造が不均一である、特に長さの点と分岐点間領域の順序において不均一である未架橋高分子である。これらは、デンドリマーと同様に中心分子から形成されるが、分枝鎖の長さが不均一である。しかしながら、これらは、機能性側基をもつ線状構造をとることができ、あるいはこれら両極端の組合せとして、分子の線状部と分岐状部を持つことができる。
【0064】
分岐の程度(DB)は、DB=(T+Z)/(T+Z+L)で定義される。なお式中、Tは末端モノマー単位の数であり、Zは分岐状モノマー単位の数であり、Lは線状のモノマー単位の数であり、これら値は、通常%であらわされる。これらの数は、13C−NMRスペクトルにより、第一級アミノ基(T)、第三級アミノ基(Z)、第二級アミノ基(L)として求められる。分岐度の定義については、H. Frey et al., Acta Polym. 1997, 48, 30を参照されたい。
【0065】
第三の好ましい実施様態においては、この高度に分岐したポリエチレンイミンの分岐度DBが40〜100%であることが特に好ましく、さらに好ましくは50〜80%、特に55〜70%である。
【0066】
好適なポリエチレンイミンは、例えばBASF社よりルパソール(R)として市販されている。
【0067】
2〜6個の、特に2〜4個の第1級アミノ基をもち、数平均分子量が400〜約10000g/mol、好ましくは800〜約6000g/molであり、分岐度DBが40〜100%、好ましくは50〜80%、特に55〜70%である高度分岐ポリエチレンイミンが、アミン(a2−a)として特に好適である。
【0068】
成分(a2)の多官能性アミンの総重量(100%)中の一般式Iの(a2−s)型アミンの比率は、好ましくは1〜100重量%であり、特に10〜100重量%、極めて好ましくは30〜100重量%である。
【0069】
成分(a2)の多官能性アミンの総重量中の多官能性脂肪族アミン(a2−a)の比率は、好ましくは0〜90重量%であり、特に0〜50重量%、特に好ましくは0〜20重量%である。
【0070】
成分(a2)の多官能性アミンの総重量中の、(a2−s)型アミンとは異なる多官能性芳香族アミン(a2−u)の比率は、好ましくは0〜90重量%であり、特に0〜80重量%、特に好ましくは0〜60重量%である。
【0071】
アミン(a2−s)とともにポリアルキレンポリアミンを多官能性脂肪族アミン(a2−a)として使用すると、特に高い機械的安定性と、高い気孔率、高い気孔体積と低い密度をもつ多孔質材料が得られる。
【0072】
したがって、ある特に好ましい実施様態においては、成分(a2)は、多官能性アミンの総量(100重量%)に対して、合計で50〜99.5重量%の一般式Iの多官能性芳香族アミン(a2−s)と必要ならこれと異なる芳香族アミン(a2−u)と、また0.5から50重量%の多官能性脂肪族アミン(a2−a)とを含んでいる。ある極めて好ましい実施様態においては、成分(a2)が、80〜99.5重量%の一般式Iの多官能性芳香族アミン(a2−s)と0.5〜20重量%の多官能性脂肪族アミン(a2−a)とを含む。
【0073】
多孔質材料の製造方法
好ましい本発明の多孔質材料の製造方法は、以下の工程からなる:
(a)溶媒(C)への成分(a1)と成分(a2)の投入;
(b)溶媒(C)の存在下での成分(a1)と成分(a2)の反応によるゲルの生成;
(c)前工程で得られるゲルの乾燥。
【0074】
工程(a)において、成分(a1)と成分(a2)をそれぞれ別個に供給することが好ましく、特に相互に別個に前もって溶媒(C)に溶解することが好ましい。
【0075】
ある好ましい実施様態においては、成分(a1)を第一の容器の、成分(a2)の構成成分を第二の容器の、いずれの場合も溶媒(C)中に供給し、最後に工程(b)の初めで混合する。ある好ましい本発明の多孔質材料の製造方法は以下の工程を含む:
(a−1)溶媒(C)中への成分(a1)とこれとは別個の成分(a2)の投入;
(a−2)工程(a−1)で得られる両成分の混合による、溶媒(C)中に成分(a1)と成分(a2)を含むゲル前駆体(A)の作製;
(b)上記溶媒(C)の存在下でのゲル前駆体(A)の反応によるゲルの生成;
(c)前工程で得られるゲルの乾燥。
【0076】
以下、工程(a)〜(c)の好ましい実施様態をより詳細に説明する。
【0077】
工程(a)
本発明によれば、工程(a)において、成分(a1)と成分(a2)をそれぞれ溶媒(C)中に投入する。成分(a1)と成分(a2)の混合でゲル前駆体(A)が得られる。このゲル前駆体(A)は、モノマー構成単位(a1)と(a2)を上述の比率で含んでいる。
【0078】
成分(a1)のNCO基と成分(a2)のアミノ基の使用比率(当量比)は、1.01:1〜1.5:1であることが好ましい。成分(a1)のNCO基と成分(a2)のアミノ基の当量比は、特に好ましくは1.1:1〜1.4:1であり、特に1.1:1〜1.3:1である。NCO基が過剰であると、溶媒除去後に低収縮性の多孔質材料が、特にキセロゲルが得られる。
【0079】
モノマー構成単位(a1)と(a2)は、ゲル前駆体(A)中ではモノマーの形で存在しているか、前もって部分的または非当量的なイソシアネート基とアミノ基の反応でプレポリマーに変換されており、適当なら他のモノマー構成単位(a1)と(a2)と共にゲル前駆体(A)を形成している。従って、このゲル前駆体(A)はゲル化可能であり、工程(b)の架橋ポリマーによる架橋でゲルに変換可能である。多孔質材料中で重合した形で存在する成分(a1)と(a2)の比率は、ゲル前駆体(A)中で未反応の形で存在している成分(a1)と(a2)の比率に相当する。
【0080】
用いる成分(a1)の粘度は広い範囲で変更可能である。本発明の方法の工程(a)で用いられる成分(a1)の粘度は、好ましくは100〜3000mPa・sであり、特に好ましくは200〜2500mPa・sである。
【0081】
このように、本発明の方法の工程(a)で、液体希釈剤中にゲル前駆体(A)を含む混合物が得られる。本発明の目的において、「溶媒」(C)は液体希釈剤であり、即ちより狭い意味での溶媒と分散媒体の両方を含んでいる。特に、この混合物は、本当の溶液であってもよく、コロイド状溶液または分散液、例えば乳化液または懸濁液であってもよい。この混合物は、本当の溶液であることが好ましい。溶媒(C)は、工程(a)の条件下で液体である化合物、好ましくは有機溶媒である。
【0082】
溶媒(C)は、原理的には、工程(a)で混合物に加わる温度及び圧力の条件下(短縮して溶解条件下)で液体である単独の化合物あるいは複数の化合物の混合物である。溶媒(C)の組成は、この有機ゲル前駆体を溶解または分散できるように選択され、好ましくは溶解できるように選択される。好ましい溶媒(C)は、この有機ゲル前駆体(A)の溶媒となるものであり、即ち反応条件下で有機ゲル前駆体(A)を完全に溶解させるものである。
【0083】
工程(b)からの反応生成物はゲルであり、即ち溶媒(C)で膨潤した粘弾性をもつ化学骨格である。工程(b)で形成されるネットワークに対して良膨潤剤である溶媒(C)は、一般に微細気孔と小さな平均孔径をもつネットワークを与えるが、工程(b)からのゲルに対して貧弱な膨潤剤である溶媒(C)は、一般に大きな平均孔径をもつ粗大気孔のネットワークを与える。
【0084】
従って、溶媒(C)の選択は、所望の孔径分布と所望の気孔率に影響を与える。また、溶媒(C)は通常、本発明の方法の工程(b)の間にあるいはその後に、沈殿反応生成物の形成による析出またはフロック化が起こらないように選ばれる。
【0085】
適当な溶媒(C)を選択すると、沈殿反応生成物の比率が、混合物の総重量に対して通常1重量%未満となる。特定の溶媒(C)中に形成される沈殿生成物の量は、ゲル化の前に反応混合物を適当なフィルターで濾過して重量的に決めることができる。
【0086】
可能な溶媒(C)は、イソシアネート系ポリマーに関する従来技術から公知の溶媒である。好ましい溶媒は、成分(a1)と(a2)には溶媒となり、即ち成分(a1)と(a2)の構成成分を反応条件下で完全に溶解させて、工程(a)で与えられる溶媒(C)を含む混合物の全体中の有機ゲル前駆体(A)の含量を好ましくは少なくとも5重量%とするものである。溶媒(C)は、成分(a1)に対して不活性であることが、即ち非反応性であることが好ましい。
【0087】
可能な溶媒(C)は、例えばケトンや、アルデヒド、アルキルアルカノアート、ホルムアミドやN−メチルピロリドンなどのアミド、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド、脂肪族及び脂環式ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化芳香族化合物、フッ素含有エーテルである。上記化合物の2種以上の混合物もまた可能である。
【0088】
また、アセタール、特にジエトキシメタンやジメトキシエタン、1,3−ジオキソランも溶媒(C)として使用可能である。
【0089】
ジアルキルエーテルと環状エーテルも、同様に溶媒(C)として好適である。好ましいジアルキルエーテルは、特に2〜6個の炭素原子をもつものであり、具体的には、メチルエチルエーテルや、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、プロピルエチルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、プロピルイソプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、エチルn−ブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル、エチルt−ブチルエーテルである。好ましい環状のエーテルは、特にテトラヒドロフランやジオキサン、テトラヒドロピランである。
【0090】
溶媒(C)としては、アルデヒド及び/又はケトンが特に好ましい。溶媒(C)として好適なアルデヒドまたはケトンは、特に、一般式R2−(CO)−R1に相当するものである。なお式中、R1とR2は、それぞれ、水素または1、2、3または4個の炭素原子をもつアルキル基である。好適なアルデヒドやケトンは、特に、アセトアルデヒドやプロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソペンタアルデヒド、2−メチルペンタアルデヒド、2−エチルヘキサアルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド、フルフラール、アクロレイン二量体、メタクロレイン二量体、1,2、3,6−テトラヒドロベンズアルデヒド、6−メチル−3−シクロヘキセンアルデヒド、シアンアセトアルデヒド、エチル.グリオキシレート、ベンズアルデヒド、アセトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−ブチルケトン、エチルイソプロピルケトン、2−アセチルフラン、2−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、アセトフェノンである。上述のアルデヒドとケトンは、混合物の形で使用することもできる。最大で3個の炭素原子をもつアルキル基を置換基として有するがケトンとアルデヒドが溶媒(C)として好ましい。特に好ましいのは、アセトンである。
【0091】
多くの場合、上述の溶媒から選ばれる2種以上の完全に混合可能な化合物を混合物の形で使用することで、特に適当な溶媒(C)が得られる。成分(a2)の構成成分として多官能性脂肪族アミン(a2−a)が使用される場合、工程(b)の初めでは、保護された形の脂肪族アミンの第1級アミノ基を使用し、この第1級アミノ基が遊離状態で、即ち−NH2として存在していないことが有利である。脂肪族アミンの保護された第1級アミノ基は、イソシアネートに対する反応性が小さい。工程(b)において、脂肪族アミンの第1級アミノ基が、ケチミン及び/又はアルジミンの形で存在することが特に好ましい。このようなアルジミン及び/又はケチミンは、このアミン(a2−a)を一種以上の上述のアルデヒド及び/又はケトン中に前もって溶解して、対応するアルジミン及び/又はケチミンとすることで形成することが好ましい。
【0092】
適当な方法は当業界の熟練者には公知であり、WO−2009/027310の12頁24行〜15頁10行、及び18頁23行〜19頁13行に記述されている。
【0093】
工程(b)での反応から、工程(c)の乾燥時に大きく収縮しない十分に安定なゲルを得るには、本発明の方法の工程(a)で得られる混合物全体中のゲル前駆体(A)の比率が、通常5重量%以上である必要がある。本発明の方法の工程(a)で得られる溶媒(C)を含む混合物全体中のゲル前駆体(A)の比率は、好ましくは少なくとも6重量%であり、特に好ましくは少なくとも8重量%、特に少なくとも10重量%である。
【0094】
他方、得られる混合物中のゲル前駆体(A)の濃度が大きすぎてはならない。これは、優れた性能をもつ多孔質材料が得られないためである。一般に、本発明の方法の工程(a)で得られる混合物全体中のゲル前駆体(A)の比率は40重量%以下である。本発明の方法の工程(a)で得られる溶媒(C)を含む混合物全体中のゲル前駆体(A)の比率は、好ましくは35重量%以下であり、特に好ましくは25重量%以下、特に20重量%以下である。
【0095】
工程(a)で得られる混合物は、他の構成成分として、当業界の熟練者には公知の通常の助剤を含んでいてもよい。その例としては、表面活性物質、難燃剤、核剤、酸化安定剤、潤滑剤と離型剤、染料と顔料、加水分解や光、熱または変色などに対する安定剤、無機及び/又は有機充填材、強化材や殺菌剤があげられる。
【0096】
上述の助剤や添加物に関する詳細な説明が、専門文献に、例えばプラスチック添加物ハンドブック(Plastics Additive Handbook, 5th edition, H. Zweifel, ed. Hanser Publishers, Munich, 2001)に見られる。
【0097】
本発明の方法の工程(a)でのこの混合物の作成は、従来法で実施可能である。良好な混合を達成するために、本目的のために攪拌器あるいは他の混合装置を使用することが好ましい。他の混合条件は、通常それほど重要ではない。例えば、混合は、0〜100℃で、0.1〜10bar(絶対圧)で、特に、例えば室温で大気圧で実施可能である。
【0098】
工程(a)で得られる混合物をゾルと呼ぶこともできる。本発明の目的において、「ゾル」は、有機ゲル前駆体(A)が非常に細かく分散した状態で分散媒体としての溶媒中に分散しているコロイド状溶液と、有機ゲル前駆体(A)が溶媒中に溶解した本当の意味での溶液の両方をさす。
【0099】
工程(b)
本発明によれば、工程(b)で、溶媒(C)の存在下での成分(a1)と(a2)が反応してゲルを形成する。即ち、本発明の方法の工程(b)において、有機ゲル前駆体(A)がゲル化反応してゲルに変換される。このゲル化反応は重付加反応であり、特にイソシアネート基とアミノ基の重付加反応である。
【0100】
本発明の目的において、ゲルは、液体と接触して存在している架橋されたポリマー由来の系である(ソルボゲルまたはリオゲル、または水が液体の場合:アクアゲルまたはヒドロゲルとも呼ばれる)。このポリマー相は、連続的な三次元骨格を形成する。
【0101】
本発明の方法の工程(b)において、通常放置することにより、例えば単にこの混合物が入った容器、反応容器または反応器(以下、ゲル化装置と称す)を放置することにより、このゲルが形成される。ゲル化(ゲル成形)の間、この混合物を攪拌あるいは混合しないことが好ましい。これは、攪拌や混合がゲル形成を阻害するためである。ゲル化中、混合物あるいはゲル化装置を覆うことが有利であることが知られている。
【0102】
ゲル化は当業界の熟練者には公知であり、例えば、WO2009/027310の21頁19行〜23頁13行に記載されている。
【0103】
工程(c)
本発明では、工程(c)で先の工程の得られたゲルを乾燥する。
【0104】
原則として、好ましくは溶媒をCO2または超臨界乾燥に適当な他の溶媒で置換した後で、超臨界条件下で乾燥を行うことができる。このような乾燥は、当業界の熟練者には公知である。超臨界条件は、除こうとする液体が超臨界状態となる温度と圧力をいう。これにより、溶媒の除去によるゲル体の収縮を最低限にすることができる。
【0105】
しかしながら、本方法の単純性を考えると、ゲル中に含まれる液体の臨界温度と臨界圧力に至らない温度と圧力で、ゲル中に含まれる液体をガス状態に変換して乾燥することが好ましい。
【0106】
得られるゲルの乾燥は、溶媒(C)の臨界温度と臨界圧力未満の温度と圧力で溶媒(C)をガス状態に変換して行うことが好ましい。従って、乾燥は、他の溶媒で前もって置換することなく、反応中に存在する溶媒(C)を除いて行うことが好ましい。
【0107】
適当な方法は、同様に当業界の熟練者には既知であり、WO2009/027310の26頁22行〜28頁36行に記載されている。
【0108】
多孔質材料の性質と用途
キセロゲルが、本発明の目的の多孔質材料に好ましい。即ち本発明の多孔質材料は、キセロゲルであることが好ましい。
【0109】
本発明の目的において、キセロゲルは、気孔率が少なくとも70体積%であり、体積平均孔径が50ミクロン以下であり、ゾルゲル法で生産され、液相が、ゲルをその液相の臨界温度未満、臨界圧力未満で(「亜臨界条件」で)乾燥して除かれた多孔質材料である。
【0110】
この平均孔径は、DIN66133の水銀圧入測定法により決められた値であり、本発明の目的においては、基本的には体積加重平均である。DIN66133の水銀圧入測定法は、多孔度を測定する方法であり、ポロシメーターで行われる。この方法では、多孔質材料の試料中に水銀が圧入される。小さな気孔は、大きな気孔より水銀を充填するのに大きな圧力を必要とし、孔径分布と体積加重平均孔径は、その圧力/体積グラフから求めることができる。
【0111】
この多孔質材料の体積加重平均孔径は、5ミクロン以下であることが好ましい。この多孔質材料の体積加重平均孔径は、特に好ましくは4ミクロン以下であり、極めて好ましくは3ミクロン以下、特に2.5ミクロン以下である。
【0112】
低熱電導度の面からは、高気孔率で非常に小さな孔径が望ましいが、製造方法の理由で、また十分に機械的に安定な多孔質材料を得るためには、体積加重平均孔径に事実上下限が存在する。通常この体積加重平均孔径は、少なくとも200nmであり、好ましくは少なくとも400nmである。多くの場合、この体積加重平均孔径は、少なくとも500nmであり、特に少なくとも1ミクロンである。
【0113】
本発明の多孔質材料の気孔率は、好ましくは少なくとも70体積%であり、特に70〜99体積%、特に好ましくは少なくとも80体積%、極めて好ましくは少なくとも85体積%、特に85〜95体積%である。体積%で表した気孔率は、多孔質材料の全量のうちのその比率が気孔からなることを意味する。熱電導度を最小とするためには、通常非常に大きな気孔率が望ましいが、多孔質材料の機械的性質と加工性からこの気孔率には上限ができる。
【0114】
本発明によれば、成分(a1)と(a2)は、多孔質材料中に反応した(重合した)形で存在する。本発明の組成のため、モノマー構成単位(a1)と(a2)は、多孔質材料中で主に尿素結合で結合している。この多孔質材料中の他の可能な結合の種類は、モノマー構成単位(a1)のイソシアネート基の三量体化で形成されるイソシアヌレート結合である。この多孔質材料が他の成分を含む場合、他の結合が、例えばイソシアネート基とアルコールまたはフェノールとの反応でできるウレタン基が存在するかもしれない。
【0115】
多孔質材料中の成分(a1)と(a2)の少なくとも50モル%が、尿素基−NH−CO−NH−で結合していることが好ましい。多孔質材料中の成分の(a1)〜(a3)の50〜100モル%が尿素基で結合していることがより好ましいく、特に60〜100mol%が、極めて好ましくは70〜100mol%、特に80〜100mol%、例えば90〜100mol%が尿素基で結合していることが好ましい。
【0116】
100モル%のうちの残りは、他の結合として、特にイソシアヌレート結合として存在する。しかしながら、この他の結合が、当業界の熟練者には既知のイソシアネートポリマーの他の結合形で存在していてもよい。その例としては、エステル基や尿素基、ビウレット基、アロファネート基、カルボジイミド基、イソシアヌレート基、ウレトジオン基及び/又はウレタン基があげられる。
【0117】
多孔質材料中のモノマー構成単位の結合のモル%は、固体状態または膨潤状態でのNMR(核磁気共鳴)スペクトロスコピーで決定される。適当な測定方法は当業界の熟練者には公知である。
【0118】
本発明の方法により得られる有機多孔質材料の密度は、通常20〜600g/lであり、好ましくは50〜500g/l、特に好ましくは100〜300g/lである。
【0119】
本発明の方法は、ポリマー粉末またはポリマー粒子だけでなく、これらが結合した多孔質材料を与える。得られる多孔質材料の三次元形状はゲルの形状により決まり、このゲルの形状はゲル化装置の形状により決まる。したがって、例えば円筒形のゲル化容器を使用すると、通常およそ円柱状のゲルが得られ、これが乾燥すると円柱形の多孔質材料が得られる。
【0120】
本発明の多孔質材料、また本発明の方法で得られる多孔質材料は、低い熱電導度と高い気孔率、低い密度、高い機械的安定性をもつ。この多孔質材料はまた、小さな平均孔径をもつ。上記のいろいろな性質のため、熱絶縁分野での、特に例えば冷蔵装置などの非常に薄厚の真空パネルが望まれる真空分野用途での絶縁材料として、あるいは建築分野での絶縁材料として、この多孔質材料を使用することができる。真空絶縁パネル中での利用、特に真空絶縁パネルの芯材としての利用が好ましい。また本発明の多孔質材料を絶縁材料として使用することも好ましい。
【0121】
また本発明の多孔質材料は低い熱電導度をもつため、1〜100mbarの圧力での、特に10mbar〜100mbarでの圧力での使用が可能となる。本発明の多孔質材料のいろいろな性質のため、特に、真空パネルの寿命が長いことが望ましく、また毎年約2mbarの圧力上昇で、例えば100mbarの圧力で数年たった後でもこれらのパネルがまだ低い熱電導度を持っているような分野での使用が可能となる。本発明の多孔質材料と本発明の方法で得られる多孔質材料は、優れた熱的性質をもち、また優れた材料性能を、例えば易加工性や、低脆性等の高機械的安定性をもつ。
【実施例】
【0122】
試料の1g当りの気孔体積(ml)とこれら材料の平均孔径の測定は、室温で、DIN66133(1993)に準じて水銀ポロシメトリーで行った。本発明の目的においては、平均孔径とは、平均の気孔の直径である。体積加重平均孔径は、上記の標準に従って求めた孔径分布から計算した。
【0123】
気孔率(単位:体積%)は、次式から計算した。
P=(Vj/(Vj+Vs))×100 (体積%)
式中、Pは気孔率であり、Vjは、DIN66133によるHg圧入体積(ml/g)であり、Vsは、試験片の比体積(ml/g)である。
【0124】
多孔質材料の密度(単位:g/ml)は、次式により計算した。
p=1/(Vj+Vs)
【0125】
比体積として、1/Vs=1.38g/mlを用いた。この値は、Heピクノメトリーで決定できる。
【0126】
以下の化合物を使用した:
a1−1:オリゴマー状MDI(ルプラナート(R)M200)、
ASTM−D−5155−96AによるNCO含量:30.9g/100g、官能価:約3、DIN53018による粘度:2100mPa・s(25℃)
a1−2:オリゴマー状MDI(ルプラナート(R)M50)、
ASTM−D−5155−96AによるNCO含量:31.5g/100g、官能価:約2.8〜2.9、DIN53018による粘度:550mPa・s(25℃)
a2−1:テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン
a2−2:テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン
a2−3:3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン
a2−4:4,4’−ジアミノジフェニルメタン
【0127】
実施例1
ガラスビーカー中で、1.6gの化合物a1−1を、20℃で撹拌しならがら10.5gのアセトンに溶解した。第二のガラスビーカー中で、1.6gのテトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(a2−1)を11gのアセトンに溶解した。工程(a)で得られたこれら二つの溶液を混合した。この結果、透明な低粘度混合物が得られた。この混合物を室温で24時間放置して硬化させた。次いで、このゲルをガラスビーカーから取り出し、20℃で7日間乾燥して液体(アセトン)を除いた。
【0128】
得られた材料の平均孔径は4μmであった。気孔率は89体積%で、その密度は135g/lであった。
【0129】
実施例2
ガラスビーカー中で、1.6gの化合物a1−2を、撹拌しながら20℃で10.5gのアセトンに溶解した。第二のガラスビーカー中で、1.6gの3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(a2−3)を11gのアセトンに溶解した。工程(a)で得られたこれら二つの溶液を混合した。この結果、透明な低粘度混合物が得られた。この混合物を室温で24時間放置して硬化させた。次いで、このゲルをガラスビーカーから取り出し、20℃で7日間乾燥して液体(アセトン)を除いた。
【0130】
得られた材料の気孔体積は5.6ml/gであり、平均孔径は3nmであった。気孔率は89体積%であり、その密度は155g/lであった。
【0131】
実施例3
ガラスビーカー中で、1.4gの化合物a1−1を、20℃で撹拌しながら10.5gのアセトンに溶解した。第二のガラスビーカー中で、1.7gのテトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(a2−2)を11gのアセトンに溶解した。工程(a)で得られたこれら二つの溶液を混合した。この結果、透明な低粘度混合物が得られた。この混合物を室温で24時間放置して硬化させた。次いで、このゲルをガラスビーカーから取り出し、20℃で7日間乾燥して液体(アセトン)を除いた。
【0132】
得られた材料の気孔体積は6.3ml/gであり、平均孔径は2μmであった。気孔率は85体積%であり、その密度は143g/lであった。
【0133】
実施例4
ガラスビーカー中で、1.4gの化合物a1−2を、20℃で撹拌しながら10.5gのアセトンに溶解した。第二のガラスビーカー中で、1.7gのテトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(a2−2)を11gのアセトンに溶解した。工程(a)で得られたこれら二つの溶液を混合した。この結果、透明な低粘度混合物が得られた。この混合物を室温で24時間放置して硬化させた。次いで、このゲルをガラスビーカーから取り出し、20℃で7日間乾燥して液体(アセトン)を除いた。
【0134】
得られた材料の気孔体積は5.5ml/gであり、平均孔径は1.5μmであった。気孔率は85体積%であり、その密度は160g/lであった。
【0135】
実施例5C
ガラスビーカー中で、1.9gの化合物a1−1を、20℃で撹拌しながら10.5gのアセトンに溶解した。第二のガラスビーカー中で、1.3gの4,4’−ジアミノジフェニルメタン(a2−4)を11gのアセトンに溶解した。工程(a)で得られたこれら二つの溶液を混合した。この結果、透明な低粘度混合物が得られた。この混合物を室温で24時間放置して硬化させた。次いで、このゲルをガラスビーカーから取り出し、20℃で7日間乾燥して液体(アセトン)を除いた。
【0136】
得られた材料の気孔体積は5.1ml/gであり、平均孔径は2.9μmであった。気孔率は87体積%であり、その密度は170g/lであった。
【0137】
実施例6C
ガラスビーカー中で、2gの化合物a1−2を、20℃で撹拌しながら10.5gのアセトンに溶解した。第二のガラスビーカー中で、1.3gの4,4’−ジアミノジフェニルメタン(a2−4)を11gのアセトンに溶解した。工程(a)で得られたこれら二つの溶液を混合した。この結果、透明な低粘度混合物が得られた。この混合物を室温で24時間放置して硬化させた。次いで、このゲルをガラスビーカーから取り出し、20℃で7日間乾燥して液体(アセトン)を除いた。
【0138】
得られた材料の気孔体積は3.1ml/gであり、平均孔径は1.5μmであった。気孔率は81体積%で、その密度は260g/lであった。
【0139】
本発明の多官能性置換芳香族アミンの使用により、特に、同等な気孔率を持ちながら密度が小さな多孔質材料を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a1)少なくとも一種の多官能性イソシアネートと、
(a2)少なくとも一種の、一般式Iの多官能性置換芳香族アミン(a2−s)と、
【化1】

必要なら、少なくとも一種の、一般式Iのアミン(a2−s)とは異なる他の多官能性アミンで、多官能性脂肪族アミン(a2−a)と多官能性芳香族アミン(a2−u)とからなる群から選ばれるものと、を反応した形で含む多孔質材料
(ただし、式中、R1とR2は、同一であっても異なっていてもよく、水素と直鎖又は分岐鎖の1〜6個の炭素原子をもつアルキル基から独立して選ばれ、置換基Q1〜Q5とQ1’〜Q5’のすべては、同一であっても異なっていてもよく、水素と第1級アミノ基、直鎖又は分岐鎖の1〜12個の炭素原子をもつアルキル基(アルキル基は他の官能基を持っていてもよい)から独立して選ばれ、ただし、
一般式Iの化合物が、少なくとも2個の第一級アミノ基をもち、Q1とQ3とQ5のうち少なくとも一つが第1級アミノ基であり、Q1’とQ3’とQ5’のうち少なくとも一つが第1級アミノ基であり、
2、Q4、Q2’、及びQ4’が、一般式Iの化合物が、必要なら他の官能基を持っていてもよい少なくとも一種の直鎖又は分岐鎖の1〜12個の炭素原子をもつアルキル基を、芳香族環に結合している少なくとも一個の第1級アミノ基のα位置に持つように選択される)。
【請求項2】
2、Q4、Q2’、及びQ4’は、上記置換芳香族アミン(a2−s)が、それぞれ、直鎖又は分岐鎖の1〜12個の炭素原子をもつアルキル基(このアルキル基は他の官能基を持っていてもよい)をα位置に有する少なくとも2個の第1級アミノ基を持つように選択される請求項1に記載の多孔質材料。
【請求項3】
上記アミン成分(a2)が、3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンと3,3’,5,5’−テトラアルキル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラアルキル−2,4’−ジアミノジフェニルメタン(ただし、3、3’、5、5’位のアルキル基は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖又は分岐鎖の1〜12個の炭素原子をもち、他の官能基を持っていてもよいアルキル基から独立して選ばれる)からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物(a2−s)を含む請求項1または2に記載の多孔質材料。
【請求項4】
一般式Iの多官能性芳香族アミン(a2−s)のアルキル基が、メチルと、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチルから選ばれる請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔質材料。
【請求項5】
一般式Iの多官能性の芳香族アミン(a2−s)が、3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、好ましくはテトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンである請求項1〜4のいずれか一項に記載の多孔質材料。
【請求項6】
成分(a2)がさらに、多官能性脂肪族アミン(a2−a)としてポリアルキレンポリアミンを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の多孔質材料。
【請求項7】
成分(a2)がさらに、4,4’−ジアミノジフェニルメタンと、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノジフェニルメタン、オリゴマー状ジアミノジフェニルメタンから選ばれる少なくとも一種の多官能性芳香族アミン(a2−u)を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の多孔質材料。
【請求項8】
成分(a1)と(a2)の総量を100重量%として、20〜80重量%のイソシアネート成分(a1)と20〜80重量%のアミン成分(a2)を、それぞれ反応した形で含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の多孔質材料。
【請求項9】
モノマー成分(a2)が、多官能性芳香族アミン(a2−u)としてオリゴマー状ジアミノジフェニルメタンを含み、その官能価が少なくとも2.1である請求項1〜8のいずれか一項に記載の多孔質材料。
【請求項10】
モノマー成分(a1)が、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネートとジフェニルメタン2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,2’−ジイソシアネート、及びオリゴマー状ジフェニルメタンジイソシアネートから選ばれる少なくとも一種の多官能性イソシアネートを含む請求項1〜9のいずれか一項に記載の多孔質材料。
【請求項11】
上記キセロゲルの体積加重平均孔径が5ミクロンである請求項1〜10のいずれか一項に記載の多孔質材料。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の多孔質材料の製造方法であって、
(a)請求項1〜11のいずれか一項に記載の成分(a1)と、それとは別個に成分(a2)のそれぞれ溶媒(C)中への投入と;
(b)溶媒(C)の存在下での成分(a1)と成分(a2)の反応によるゲルの生成と;
(c)前工程で得られるゲルの乾燥とからなる方法。
【請求項13】
得られるゲルの乾燥が、ゲル中に含まれる液体の臨界温度と臨界圧力未満の温度と圧力でゲル中に含まれる液体をガス状態に変換して行われる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
得られるゲルの乾燥が超臨界条件下で行われる請求項12に記載の方法。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか一項により得られる多孔質材料。
【請求項16】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の多孔質材料または請求項15に記載の多孔質材料の絶縁材料としての利用。
【請求項17】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の多孔質材料または請求項15に記載の多孔質材料の真空絶縁パネルへの利用。

【公表番号】特表2013−513675(P2013−513675A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542490(P2012−542490)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068962
【国際公開番号】WO2011/069959
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】