説明

芳香族基質のアルキル化およびトランスアルキル化方法

【課題】芳香族基質のアルキル化方法およびポリアルキル化芳香族成分のトランスアルキル化方法
【解決手段】芳香族基質中および/またはアルキル化剤中の窒素含有化合物の不純物を乾式比色計で15 wppb〜35 wppmの範囲でモニターする。芳香族基質のアルキル化方法の好ましい実施例の芳香族基質はベンゼンで、アルキル化剤はエチレンである。トランスアルキル化方法の好ましい実施例の芳香族基質がベンゼンで、ポリアルキル化芳香族成分はジエチルベンゼンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族基質(aromatic substrate)のアルキル化方法と、その関連トランスアルキル化方法とに関するものである。
ベンゼンのような芳香族基質をアルキル化してエチルベンゼンやジエチルベンゼンのようなアルキル化された芳香族化合物を作るアルキル化方法は公知である。従って、より正確には、本発明は、芳香族基質原料中および/またはアルキル化剤原料中の窒素含有不純物のモニタリング方法に関するものである。
ジエチルベンゼンのようなポリアルキル化芳香族化合物をベンゼンのような芳香族基質とトランスアルキル化してエチルベンゼンのようなアルキル化された芳香族化合物を作る方法も公知技術である。従って、本発明は、このトランスアルキル化方法の芳香族基質材料中の窒素含有不純物のモニタリング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
触媒を使用するアルキル化およびトランスアルキル化では炭化水素供給原料中に含まれる不純物に起因する触媒毒のために触媒の再生と置換を頻繁に行う必要がある。多くの場合、例えばコークスの形成や他の副反応を減らすために、材料中の不純物による中毒が触媒の交換または再生を必要とする触媒性能の劣化の主たる理由となる段階まで触媒は開発される。
【0003】
分子篩触媒を使用した芳香族化合物のアルキル化方法は蒸気相または液相で実施できるが、液相運転では選択性を改良し、設備投資額および運転コストが少なくなるため、現在の商業的な大部のアルキル化方法は少なくとも部分的に液相条件下で運転されている。しかし、液相条件で運転する場合の一つの欠点は、供給材料中の不純物、特に窒素化合物のような極性化合物の存在に分子篩触媒が敏感になる傾向がある点にある。この種の不純物は触媒の酸活性を低下させ、触媒の再生サイクル時間を減少させる。触媒との接触前にこの種の不純物を除去するため方法が各種開発されてきた。以下、これらの不純物と、その不純物を除去するための従来方法とを説明する。
【0004】
特許文献1(米国特許第6,002,057号明細書)には下記段階を有する炭化水素流中に含まれる芳香族炭化水素のアルキル化方法が記載されている:
(a)炭化水素流中の芳香族炭化水素以外の実質的に全ての芳香族化合物を分離して芳香族−リッチな流れを形成し、
(b) (a)の芳香族−リッチな流れ中に含まれる実質的に全てのオレフィン化合物を水素化処理によって処理し、
(c) (b)からの処理済みの芳香族−リッチな流れをオレフィン−含有流と接触させてモノおよびポリアルキル化芳香族化合物を形成し、上記オレフィン−含有流は、エチレン、プロピレンおよびブチレンから成る群の中から選択される少なくとも一種のオレフィンを含み、ベータゼオライトから成る触媒の存在下のアルキル化条件での芳香族炭化水素に対するオレフィンのモル比は1未満ではなく、
(d) (c)で形成されたモノおよびポリアルキル化芳香族化合物を残りの炭化水素から分離する。
【0005】
この特許の第6欄、第48〜53行目には、上記オレフィンは水素、メタン、C2-C4パラフィンとの混合物中に存在できるが、通常は触媒を急速に非活性化するのを防止するためにオレフィン供給流中に存在するジエン、アセチレン、硫黄混合物または塩基性窒素化合物(NH3またはアミン)を除去するのが好ましいと記載されている。
【0006】
特許文献2(米国特許第6,617,482号明細書)には、極性化合物を含む芳香族供給材料から極性化合物を除去する方法と、それを用いたアルキル化プロセスが記載されている。この方法では130℃以下の温度で吸着帯域で供給材料と選択吸着剤と接触させて極性化合物を吸着させる。選択吸着剤は気孔および/または表層キャビティーの横断面積が5.6オングストローム以上である分子篩である。実質的に極性化合物が除去された供給材料を吸着帯域から取出し、アルキル化帯域へ供給し、液相のアルキル化条件下でアルキル化触媒の存在下でアルキル化剤と接触させる。この従来法は液相の芳香族化合物のアルキル化方法に関するもので、芳香族のアルキル化触媒に有毒な極性汚染物質を選択的に除去するために芳香族供給材料を予備処理する工程を含んでいる。汚染物質には窒素、硫黄および酸素を含む化合物、特にベンゼン、トルエンまたはキシレンとして同じ沸点範囲を有する化合物が含まれる。
【0007】
特許文献3(米国特許公開第2005 0,143,612号明細書)に記載のアルキル芳香族化合物の製造方法では有害物質を除去するために処理した芳香族化合物をオレフィン化合物と接触させる。この方法では汚染物質を除去するために酸性ゼオライト触媒の存在下で処理して所望のアルキル芳香族化合物を製造する。芳香族化合物の供給材料とオレフィン供給材料とゼオライト触媒の存在下で反応させる前に、芳香族化合物の供給材料(好ましくはオレフィン供給材料も)を処理して汚染物質、特に窒素化合物を実質的に除去する。窒素化合物を除去するために供給材料を前処理することで酸性ゼオライト触媒の運転時間および寿命をかなり改善できる。
【0008】
この従来方法の目的は触媒アルキル化またはトランスアルキル化プロセス用のオレフィンまたは芳香族供給材料中の有機または無機の窒素化合物を除去するための方法および装置を提供することにある。この従来方法には、供給材料の一方または両方中の窒素含有不純物は酸性ゼオライト触媒の酸性活性サイトを中和し、触媒活性および所望反応を遂行する能力を低下させるということを発見したと記載されている。触媒上に窒素-含有不純物が長期的に体積すると、触媒活性が徐々に低下し、プラント性能が容認不可能なレベルまで低下し、触媒を再賦活または再生または交換するためにプラントの運転を停止する必要がある。
【0009】
特許文献4(米国特許第7,199,275号明細書)に記載の不純物を含む芳香族炭化水素流のアルキル化方法は、上記不純物を除去する前処理系を有する第1段階と、この第1段階の下流に位置する第2段階と、一つのサイクル長とを有する。この方法は下記(a)〜(c)の段階から成る:
(a) 上記第1段階の前処理系で芳香族炭化水素流を第1の分子篩13Xと接触させて純物の少なくとも一部を除去し、部分的に処理された芳香族炭化水素流を作り、
(b) 上記の部分的に処理された芳香族炭化水素流を前処理系の第2段階の第2の分子篩4Aと接触させて残留する不純物の実質的に全てを除去して、完全処理された芳香族炭化水素流を作り、
(c) この完全処理された芳香族炭化水素流をアルキル化触媒の存在下かつアルキル化条件下でアルキル化剤と接触させて、アルキル化された芳香族炭化水素流を生産する。
前処理系のサイクル長は前処理系の第1段階のみまたは前処理系の第2段階のみで使用するサイクル長より長い。
【0010】
上記方法の好ましい実施例では段階(c)のアルキル化剤を第3の分子篩と接触させて処理済みのアルキル化剤を作り、この処理済のアルキル化剤を段階(b)の上記の処理された芳香族炭化水素流と接触させて段階(c)のアルキル化された芳香族炭化水素流を生産する段階を有する。
【0011】
しかし、上記の従来方法には上記不純物を工業的にチェックするか(検査方法)は記載がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,002,057号明細書
【特許文献2】米国特許第6,617,482号明細書
【特許文献3】米国特許公開第2005 0,143,612号明細書
【特許文献4】米国特許第7,199,275号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明者は、乾式比色計(dry colorimetry)を用いることによって芳香族基質中またはアルキル化剤中の上記不純物を5分以下の時間で精密に測定することができるということを発見した。
気相で入手できない場合には供給材料の被分析サンプルを蒸発してから、不純物の量に比例して色が変化する試薬を担持した多孔質基材を通して流す。色の変化を電子装置を用いて不純物の量に変換する。それと並行して、時間応答性を改善する他の多くの装置を使用することができ、測定値は毎秒または毎分毎に得ることができる。また、不純物の量が所望レベルより高い場合には、触媒を収容した反応装置を一時的に迂回させることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、下記(a)〜(d):
(a) アルキル化触媒を収容したアルキル化反応帯域を用意し、
(b) 芳香族基質を含む供給材料とアルキル化剤とを上記アルキル化反応帯域の入口から供給してアルキル化触媒と接触させ、
(c)アルキル化触媒の存在下で芳香族基質のアルキル化が起こる温度および圧力条件でアルキル化反応帯域を運転して、芳香族基質と、モノアルキル化およびポリアルキル化された芳香族成分との混合物から成るアルキル化製品を生産し、
(d) アルキル化反応帯域からアルキル化製品を取り出す、
の段階を有する芳香族基質のアルキル化方法において、
芳香族基質中またはアルキル化剤中または芳香族基質とアルキル化剤の両方の中の窒素含有化合物の不純物を乾式比色計で15 wppb〜35 wppmの範囲でモニターすることを特徴とする方法にある。
【0015】
本発明の好ましい実施例では、アルキル化反応帯域は液相で運転される。
本発明の他の好ましい実施例では、芳香族基質はベンゼンであり、アルキル化剤がエチレンである。
【0016】
本発明はさらに、下記(a)〜(e):
(a) トランスアルキル化触媒を収容したトランスアルキル化反応帯域を用意し、
(b) このトランスアルキル化反応帯域の入口に少なくとも芳香族基質から得たポリアルキル化芳香族成分を含む供給材料を導入し、トランスアルキル化触媒と接触させ、
(c) トランスアルキル化帯域へ芳香族基質を供給し、この芳香族基質は段階(b)の一つと同じものであり、
(d) ポリアルキル化芳香族が不均化(disproportionation)され、ポリアルキル化芳香族成分の含有量か低下し、モノアルキル化芳香族の含有量が多くなるような温度および圧力条件下でトランスアルキル化帯域を運転して、不均化製品を生産し、
(e) トランスアルキル化帯域から不均化製品を取り出す
の段階を有するポリアルキル化芳香族成分のトランスアルキル化方法において、
芳香族基質中の窒素含有化合物の不純物を乾式比色計で15 wppb〜35 wppmの範囲でモニターすることを特徴とする方法にある。
【0017】
本発明の実施例では、芳香族基質はベンゼンであり、ポリアルキル化芳香族成分はジエチルベンゼンである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
液相でのプロピレンでのベンゼンのアルキル化およびベンゼンとポリイソプロピルベンゼンのトランスアルキル化で使用される触媒にはゼオライトベータ、ゼオライトY、ゼオライトオメガ、ZSM-5、ZSM-12、ITQ-1、ITQ-2、ERB-3、SSZ-25、MCM-22、MCM-36、MCM-49、MCM-56、MCM-58、MCM-68、フォジャサイト(faujasite)、モルデナイト(mordenite)、多孔質結晶性珪酸マグネシウムおよびタングステン酸塩変性酸化ジルコニウムが含まれ、これらは全て公知のものである。
【0019】
エチレンでのベンゼンアルキル化および液相でベンゼンおよびポリエチルベンゼンのトランスアルキル化で使用できる触媒はゼオライトベータ、ゼオライトY、ゼオライトオメガ、ZSM−5、ZSM−12、ITQ−1、ITQ−2、ERB−3、SSZ−25、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、MCM−58、MCM−68、フォジャサイト(faujasite)、モルデナイト(mordenite)、多孔質結晶性珪酸マグネシウムおよびタングステン酸塩変性酸化ジルコニウムが含まれる。
【0020】
これらの触媒大部分は下記特許に記載されており、これら特許の内容は本明細書で引用したものとする:
【特許文献5】国際特許第WO 2007/081923号公報
【特許文献6】欧州特許第0,485,683号公報
【特許文献7】欧州特許第0,467,007号公報
【特許文献8】欧州特許第0,507,761号公報
【特許文献9】欧州特許第1,691,923号公報
【特許文献10】欧州特許第0,826,653号公報
【特許文献11】欧州特許第0,733,608号公報
【特許文献12】欧州特許第0,726,242号公報
【特許文献13】欧州特許第0,844,023号公報
【特許文献14】欧州特許第0,879,809号公報
【特許文献15】欧州特許第0,943,594号公報
【特許文献16】欧州特許第1,043,296号公報
【特許文献17】欧州特許第1,059,277号公報
【特許文献18】欧州特許第1,002,778号公報
【特許文献19】欧州特許第1,031,549号公報
【特許文献20】米国特許第6,268,305号明細書
【特許文献21】欧州特許第1,188,734号公報
【特許文献22】欧州特許第1,211,233号公報
【特許文献23】欧州特許第1,208,907号公報
【特許文献24】欧州特許第1,556,318号公報
【特許文献25】欧州特許第1,546,071号公報
【特許文献26】欧州特許第1,727,860号公報
【特許文献27】欧州特許第1,581,466号公報
【特許文献28】欧州特許第1,807,201号公報
【特許文献29】欧州特許第1,851,184号公報
【0021】
例えば、アルキル芳香族化合物の合成に触媒作用を起こすMCM-22およびその使用は下記文献に記載されており、その内容は本願明細書で引用したものとする。
【特許文献30】米国特許第4,954,325号明細書
【特許文献31】米国特許第4,992,606号明細書
【特許文献32】米国特許第5,077,445号明細書
【特許文献33】米国特許第5,334,795号明細書
【特許文献34】米国特許第5,900,520号明細書
【0022】
MCM−36とアルキル芳香族化合物合成でのその使用は下記文献に記載されており、その内容は本願明細書で引用したものとする。
【特許文献35】米国特許第5,250,277号明細書
【特許文献36】米国特許第5,292,698号明細書
【特許文献37】米国特許第5,258,565号明細書
【特許文献38】米国特許第5,250,277号明細書
【0023】
MCM−49とアルキル芳香族化合物合成でのその使用は下記文献に記載されており、その内容は本願明細書で引用したものとする。
【特許文献39】米国特許第5,236,575号明細書
【特許文献40】米国特許第5,493,065号明細書
【特許文献41】米国特許第5,371,310号明細書
【0024】
MCM−56とそのアルキル芳香族化合物合成での使用は下記文献に記載されており、その内容は本願明細書で引用したものとする。
【特許文献42】米国特許第5,362,697号明細書
【特許文献43】米国特許第5,453,554号明細書
【特許文献44】米国特許第5,536,894号明細書
【特許文献45】米国特許第5,557,024号明細書
【特許文献46】米国特許第6,051,521号明細書
【0025】
MCM−58とそのアルキル芳香族化合物合成での使用は下記文献に記載されており、その内容は本願明細書で引用したものとする。
【特許文献47】米国特許第5,437,855号明細書
【特許文献48】米国特許第5,569,805号明細書
【0026】
MCM−68とそのアルキル芳香族化合物合成での使用は下記文献に記載されており、その内容は本願明細書で引用したものとする。
【特許文献49】米国特許第6,049,018号明細書 アルキル芳香族化合物の合成触媒としてタングステン酸塩変成酸化ジルコニウムを使用することは下記文献に記載されており、その内容は本願明細書で引用したものとする。
【特許文献50】米国特許第5,563,311号明細書
【0027】
下記文献にはゼオライトベータを使用して液相でアルキル化またはトランスアルキル化する方法が記載されており、その内容は本願明細書で引用したものとする。
【特許文献51】米国特許第5,081,323号明細書
【0028】
ゼオライトYでクメンを製造することは下記文献に記載されており、その内容は本願明細書で引用したものとする。
【特許文献52】米国特許第5,160,497号明細書
【特許文献53】米国特許第5,240,889号明細書
【0029】
ゼオライトBeta、ゼオライトY、ゼオライトOmegaを使用して芳香族アルキル化合物を製造する方法は下記文献に記載されており、その内容は本願明細書で引用したものとする。
【特許文献54】米国特許第5,030,786号明細書
【特許文献55】米国特許第5,980,859号明細書
【特許文献56】欧州特許第0,467,007号公報
【0030】
ゼオライトベータでクメンを製造する方法は下記文献に記載されており、その内容は本願明細書で引用したものとする。
【特許文献57】米国特許第5,522,984号明細書
【特許文献58】米国特許第5,672,799号明細書
【特許文献59】米国特許第5,980,859号明細書
【特許文献60】米国特許第6,162,416号明細書
【0031】
クメンやエチルベンゼンのようなモノアルキル化ベンゼンの製造でのゼオライトMordeniteの使用は下記文献に記載されており、その内容は本願明細書で引用したものとする。
【特許文献61】米国特許第5,198,595号明細書
【0032】
選択ex situゼオライト触媒でエチルベンゼンを製造する方法は下記文献に記載されており、その内容は本願明細書で引用したものとする。
【特許文献62】米国特許第5,689,025号明細書
【0033】
ZSM−5でエチルベンゼンを製造する方法は下記文献に記載されており、その内容は本願明細書で引用したものとする。
【特許文献63】米国特許第5,157,185号明細書
【0034】
中間の孔サイズを有するゼオライトでエチルベンゼンを製造する方法は下記文献に記載されており、その内容は本願明細書で引用したものとする。
【特許文献64】米国特許第3,751,504号明細書
【特許文献65】米国特許第4,547,605号明細書
【特許文献66】米国特許第4,016,218号明細書
【0035】
ゼオライトYのような大きい孔サイズのゼオライトでエチルベンゼンを製造する方法は下記文献に記載されており、その内容は本願明細書で引用したものとする。
【特許文献67】米国特許第4,169,111号明細書
【特許文献68】米国特許第4,459,426号明細書
【0036】
ゼオライトZSM-12の合成方法は下記文献に記載されており、その内容は本願明細書で引用したものとする。
【特許文献69】米国特許第5,021,141号明細書
【0037】
ゼオライトZSM-12を用いてエチルベンゼンを製造する方法は下記文献に記載されており、その内容は本願明細書で引用したものとする。
【特許文献70】米国特許第5,907,073号明細書
【0038】
ゼオライトMordeniteを用いてエチルベンゼンを製造する方法は下記文献に記載されており、その内容は本願明細書で引用したものとする。
【特許文献71】米国特許第5,430,211号明細書
【0039】
ゼオライトBetaでエチルベンゼンを液相で合成する方法下記文献に記載されており、その内容は本願明細書で引用したものとする。
【特許文献72】米国特許第4,891,458号明細書
【特許文献73】米国特許第6,060,632号明細書
【0040】
下記文献にはエチルベンゼンおよびクメンを含むアルキル化芳香族化合物の触媒蒸留による各種の製造システムが記載されており、その内容は本願明細書で引用したものとする。
【特許文献74】米国特許第4,849,569号明細書
【特許文献75】米国特許第4,950,834号明細書
【特許文献76】米国特許第5,086,193号明細書
【特許文献77】米国特許第5,113,031号明細書
【特許文献78】米国特許第5,215,725号明細書
【0041】
「芳香族化合物」という用語は当業者がアルキル置換または非置換の単環または多環式の任意の化合物を意味する。また、選択した反応条件で触媒毒として作用しない限り、ヘテロ原子、例えばNまたはSを含む芳香族化合物でもよい。アルキル化された置換芳香族化合物は芳香族環に直接結合した少なくとも一つの水素原子を有していなければならない。芳香族環は一つ以上のアルキル、アリル、アルキルアリール、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、ハライドおよび/またはアルキル化反応を妨害しないその他の基で置換できる。適した芳香族炭化水素にはベンゼン、ナフタリン、アントラセン、ナフタセン、ペリレン、コロネン(coronene)およびフェナントレンが含まれる。
【0042】
芳香族化合物の置換基となるアルキル基は一般に1〜約22個、好ましくは約1〜8個、よりも好ましくは約1〜4個の炭素原子数を含む。適したアルキル置換芳香族化合物にはトルエン、キシレン、イソプロピルベンゼン、n−プロピルベンゼン、α−メチルナフタレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、デュレン、p-クメン、ブチルベンゼン、擬似クメン、o-ジエチルベンゼン、m-ジエチルベンゼン、p-ジエチルベンゼン、iso−アミルベンゼン、iso−ヘキシルベンゼン、ペンタエチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、1,2,3,4-テトラエチルベンゼン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4-トリエチルベンゼン、1,2,3-トリメチルベンゼン、m-ブチルトルエン、p-ブチルトルエン、3,5-ジエチルトルエン、o-エチルトルエン、p-エチルトルエン、m-プロピルトルエン、4-エチル-m-キシレン、ジメチルナフタレン、エチルナフタレン、
2,3-ジメチルアンスラセン、9- エチルアンスラセン、2-メチルアンスラセン、o-メチルアンスラセン、9,10-ジメチルフェナンスレンおよび3-メチル-フェナンスレンが含まれる。上記より高分子量のアルキル芳香族炭化水素を出発材料として使用することもでき、芳香族炭化水素をオレフィンオリゴマーでアルキル化して得られる芳香族炭化水素も含まれる。そうした化合物は当業者にしばしばアルキレートと呼ばれ、ヘキシルベンゼン、ノニルベンゼン、ドデシルベンゼン、ペンタデシルベンゼン、ヘキシルトルエン、ノニルトルエン、ドデシルトルエン、ペンタデシルトルエン、その他が含まれる。多くの場合、このアルキレートは高い沸点を有し、その沸点は芳香族環に付いたC6〜C12のアルキル基のサイズによって変化する。改質油、特に多量のベンゼン、トルエンおよび/またはキシレンを含む改質油も本発明方法の有用な供給材料を構成する。
【0043】
本発明のアルキル化方法を実施するのに有用なアルキル化剤には一般にアルキレート化可能な芳香族化合物、好ましくは1〜5つの炭素原子を有する芳香族化合物と反応可能な一つ以上のアルキル脂肪族基を有する任意の脂肪族芳香族有機化合物が含まれる。適したアルキル化剤の例としてはオレフィン、例えばエチレン、プロピレン、ブテンおよびペンケテン、アルコール(モノアルコール、ジアルコール、トリアルコール、その他を含む)、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブタノールおよびペンタノール、アルデヒド、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒドおよびn-バレルアルデヒド、アルキルハロゲン化物、例えば塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチルおよび塩化ペンチル、その他が挙げられる。
【0044】
軽質オレフィンの混合物も本発明のアルキル化剤として使用できる。従って、各種精製設備からの流れ、例えば燃料ガス、エチレン、プロピレン、その他を含むガス工場のオフガス、軽質オレフィンを含むナフサクラッカ・オフガス、精製FCCプロパン/プロピレン流、その他の主成分であるエチレン、プロピレン、ブテンおよび/またはペンテンは有用なアルキル化剤である。
【0045】
本発明方法で改質可能な典型的な芳香族アルキル化反応にはエチレンとベンゼンの反応でエチルベンゼンを得る方法、プロピレンとベンゼンの反応でクメンを得る方法、エチレンとトルエンの反応でエチルトルエンを得る方法、プロピレンとトルエンの反応でシメンを得る方法が含まれる。
【0046】
本発明のアルキル化方法は、有機反応物すなわちアルキル化可能な芳香族化合物とアルキル化剤とを有効なアルキル化条件下で例えば触媒組成物が固定された担体を収容した例えば流通式の反応装置の適切な反応帯域中でアルキル化触媒と接触させて実施される。上記条件には下記の条件が含まれる:約0℃〜約500℃、好ましくは約50℃〜約250℃の温度、約0.2〜約250気圧、好ましくは約5〜約100気圧の圧力、約0.1:1〜約50:1、好ましくは約10:1〜約0.5:1のアルキル化可能芳香族化合物とアルキル化剤とのモル比、および、約0.1〜500hr-1、好ましくは0.5〜100hr-1の重量時間供給速度(WHSV)。
【0047】
反対物は気相または液相にすることができ、ニートすなわち他の材料との意図的な混合または希薄なしで供給でき、また、キャリアガスまたは希釈剤、例えば水素または窒素と一緒にゼオライト触媒組成物と接触させることができる。ベンゼンをエチレンでアルキル化してエチルベンゼンを生産する場合のアルキル化反応は液相で実行できる。適切な液相条件には下記が含まれる:150℃〜316℃、好ましくは205℃〜260℃の温度、約3000psig(20875kPa)以下、好ましくは400〜800psig(2860〜5600kPa)の圧力、エチレン供給をベースにした約0.1h-1〜20h-1、好ましくは1h-1〜6h-1の重量時間供給速度(WHSV)、アルキル化反応装置中のエチレンに対するベンゼンの比率は1:1〜30:1モル、好ましくは約1:1〜10:1モル。
【0048】
乾式比色(colohmetry)分析の原理は上記で説明した。分析すべき供給材料のサンプルをガス相で利用できるまで蒸発させ、不純物の割合に応じて色を変える試薬を入れた多孔質基質中送る。液体サンプルは任意の手段で蒸発させることができる。多孔質基質はフィルタ紙のような紙にすることができる。多孔質基質は窒素含有化合物の不純物に特異な化学試薬、特にアンモニア(NH3またはNH4OH)、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミンおよびトリメチルアミンに応答する試薬を支持しているのが好ましい。この化学試薬は明らかにH2Sに反応するが、通常、芳香族基質の供給材料中およびアルキル化剤中にはH2Sは存在しない。窒素含有化合物の量が分かっているサンプル(較正)で得た標準色と着色度を比較する。この比較には任意の手段を使用できる。好ましくは写真光学装置のような電子的装置を用いて色を読み取り、標準色と比較して不純物量に変換する。そのレンジは30wppb〜25 wppmの範囲であるのが有利である。被分析ガスサンプルは較正に従って試薬を支持した多孔質基質中を約1〜5分で流れる。
【0049】
時間応答性を改善するために、上記のような装置を並列して使い、測定値を例えば毎秒または毎分出す用にすることができる。不純物の量が所望レベルより高いことが分かった時には、触媒を収容した反応装置を一時的にバイパスさせる。例として、上記分析はカナダのC.I. Analytics社からSensi-tape(登録商標)7510の名称で市販の動装置で行うことができる。
【0050】
運転中、測定したサンプル流に露出されたサンプリング「ウインドウ、窓」でSensi-Tape(登録商標)を+1だけ増加させる。目標ガスが存在する場合、濃度に比例した汚れが生じる。それと同時にテープの露出部分から光ビームが反射される。その強度を連続的に測定する。汚れが増えると反射光量が減少し、その減少度が光電検出器によってアナログ信号として検出される。この信号をデジタル信号に変換し、分析装置の永久メモリに格納されたガス応答曲線とマッチさせ、実際の濃度値として表示/記録する。これらの機能は全てマイクロプロセッサで制御される。分光測光とマイクロプロセッサ制御とを組み合わせることで優れた精度、反復性および低ppb(parts-per-billion)濃度能で検出を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)〜(d):
(a) アルキル化触媒を収容したアルキル化反応帯域を用意し、
(b) 芳香族基質を含む供給材料とアルキル化剤とを上記アルキル化反応帯域の入口から供給してアルキル化触媒と接触させ、
(c)アルキル化触媒の存在下で芳香族基質のアルキル化が起こる温度および圧力条件でアルキル化反応帯域を運転して、芳香族基質と、モノアルキル化およびポリアルキル化された芳香族成分との混合物から成るアルキル化製品を生産し、
(d) アルキル化反応帯域からアルキル化製品を取り出す、
の段階を有する芳香族基質のアルキル化方法において、
芳香族基質中またはアルキル化剤中または芳香族基質とアルキル化剤の両方の中の窒素含有化合物の不純物を乾式比色計で15 wppb〜35 wppmの範囲でモニターすることを特徴とする方法。
【請求項2】
アルキル化反応帯域を液相で運転する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
芳香族基質がベンゼンで、アルキル化剤がエチレンである請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
下記(a)〜(e):
(a) トランスアルキル化触媒を収容したトランスアルキル化反応帯域を用意し、
(b) このトランスアルキル化反応帯域の入口に少なくとも芳香族基質から得たポリアルキル化芳香族成分を含む供給材料を導入し、トランスアルキル化触媒と接触させ、
(c) トランスアルキル化帯域へ段階(b)の一つと同じものである芳香族基質を供給し、
(d) ポリアルキル化芳香族が不均化され、ポリアルキル化芳香族成分の含有量か低下し、モノアルキル化芳香族の含有量が多くなるような温度および圧力条件下でトランスアルキル化帯域を運転して、不均化製品を生産し、
(e) トランスアルキル化帯域から不均化製品を取り出す
の段階を有するポリアルキル化芳香族成分のトランスアルキル化方法において、
芳香族基質中の窒素含有化合物の不純物を乾式比色計で15 wppb〜35 wppmの範囲でモニターすることを特徴とする方法。
【請求項5】
芳香族基質がベンゼンで、ポリアルキル化芳香族成分がジエチルベンゼンである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
窒素含有化合物の不純物を乾式比色計で30 wppb〜25 wppmの範囲でモニターする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2011−517691(P2011−517691A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504412(P2011−504412)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053992
【国際公開番号】WO2009/127533
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(305041979)トタル ペトロケミカルス フランス (6)
【氏名又は名称原語表記】TOTAL PETROCHEMICALS FRANCE
【Fターム(参考)】